前回の後書きでも言った通り、今回も閑話になります。おまけに短いです。
それからジオウ×ゼロワンの冬映画『令和・ザ・ファーストジェネレーション』が遂に公開されましたが、作者は色々あって今週は見に行けません。
感想欄やショートメール、活動報告などでの映画ネタバレは今はまだお控え下さい。
それではどうぞ。
インターミドルチャンピオンシップ。
様々な次元世界から集まった若き魔導師達が覇を競う魔法競技大会。
都市本戦優勝経験のあるジークリネ・エレミアを始め、この大会には“雷帝”ヴィクトーリア・ダールグリュン、“
その強豪選手の中、今回はとある選手について、少し様子を見てみるとしよう―――
「スパーの相手を頼みたい、ねぇ……」
ミッドチルダ南部、抜刀術“
「うん、わかった。ナカジマちゃんの頼みなら喜んで引き受けるよ」
『助かるよ。でも良いのかミカヤちゃん? 頼んだアタシが言うのも何だけど……』
「なに、むしろ良い修行になるさ」
白い道着と袴に身を包み、長い黒髪を後ろに結っている長身の少女。彼女こそが抜刀術天瞳流の師範代にしてインターミドルチャンピオンシップの強豪選手の1人、“ミカヤ・シェベル”である。彼女は映像に映っている自身の友人―――ノーヴェ・ナカジマからある頼み事をされ、それを快く承諾しているところだった。
「それじゃ、何かあったらまた連絡してね」
『あぁ、よろしく頼む』
通信が終わり、正座をしていたミカヤは愛刀―――“
「良いんですか? ミカヤさん」
「ん、何がだい?」
「その……練習相手を引き受けた事です」
「あぁ、それなら心配ないよヒノワちゃん」
“ヒノワ”と呼ばれた門下生の少女は、不安そうな表情でミカヤに問いかける。それに対し、ミカヤは笑顔で返してみせた。
「ヒノワちゃんが言いたいのは、私の手の内が相手に知られてしまう事……だよね?」
「はい……」
今回、ミカヤがノーヴェから引き受けた頼み事とは、現在ノーヴェの元で師事を受けているアインハルトの、彼女のスパーの相手を務める事だった。
しかしインターミドルに出場しようとしている選手が、こうして同じ出場選手の練習相手を務めるとなれば、相手に手の内を明かす事になる。そうなれば、ミカヤにとって少しでも不利な状況が生まれてしまうのではないかと。ヒノワはそんな不安を抱いていたのだが……
「だからこそだよ」
「え?」
ミカヤとて、何の考えもなしに頼み事を引き受けた訳ではない。
「確かに、相手はノーヴェちゃんが直々に鍛えている
「でしたら……」
「だから私は、それを利用する事にした」
完全な
「一撃で沈めてしまえば、それ以上相手に手の内を明かしてしまう事もない。要は利害の一致という奴さ」
「な、なるほど……!」
相手がどのような戦闘スタイルであれ、一撃で瞬殺してしまえば良いだけの話。
ミカヤがここまで自信を持って言い切れるのは、何も
「それに、相手の戦い方を見て学べる事も多いからね。使える手は存分に使っていかないと」
「す、凄い……凄いですミカヤさん! 私、心から尊敬します!」
「いやいや、そんな大袈裟だよこれぐらいの事」
道場に入ってからまだ日が浅いヒノワは、心からミカヤに尊敬の念を抱いた。ミカヤは苦笑しながらも、これから行う鍛錬の為にある人物を探し始める。
「そういえばヒノワちゃん。ここに来るまでに
「えっと、
「……そっか」
ヒノワの話を聞いた時、ミカヤの表情が一変した。そこには先程までの明るい笑顔はなく、どこか陰りのある表情を浮かべていた。
「そうなると、彼が戻って来るまで待つしかないか……何事もなければ良いんだが」
時を同じくして、ミラーワールド……
『ブブ、ブブブ……ッ……』
森の中、どこか覚束ない足取りで移動していたのは、黒いボディに緑色の複眼を持ったハエのような怪物―――“ベルゼフライヤー”だった。ハエのような特徴を持ったこのモンスター、本来なら背中の羽根を使って空中を移動する事も可能なのだが……現在はそのような動きを見せる事なく、何故か地面を歩いて移動している。
その理由は至って単純。
「―――はぁっ!!!」
―――ある1人のライダーに攻撃されたからだった。
『ブブゥ!?』
背中から長剣で斬りつけられたベルゼフライヤーが地面に倒れる中、そのライダーは長剣を両手で構えながらベルゼフライヤーを見据えた。
黒いアンダースーツの上に纏った赤い装甲。
狼の頭部を模した左肩の肩当て。
狼のような毛皮を生やしたグローブとブーツ。
そして頭部とカードデッキに刻まれている狼のエンブレム。
赤い狼のような特徴を持ったその仮面ライダーは、その手に構えた長剣型召喚機の柄を押し込み、刀身の根本部分のスロットを開いてから1枚のカードを装填し、柄を引っ張ってスロットを閉じた。
≪CHAIN VENT≫
『ブ、ブゥ……ブッ!?』
電子音が鳴り響く中、既にボロボロであるベルゼフライヤーは何とか立ち上がり逃走を図る……が、その足元に出現した鏡から複数の鎖が伸び、ベルゼフライヤーのボディに巻き付いて拘束してしまった。身動きが取れなくなったベルゼフライヤーが必死に鎖を引き千切ろうとする中、狼の仮面ライダーは長剣型召喚機を左腰の鞘に納め、姿勢を低くして居合の構えに入る。そして……
「……でりゃあっ!!!」
『ブブゥウゥゥゥゥゥゥゥッ!!?』
ほんの一瞬だった。狼の仮面ライダーが抜刀し、ベルゼフライヤーのボディが真っ二つになるまで、かかった時間は数秒もかからなかった。拘束していた鎖ごと斬られたベルゼフライヤーが爆散した後、狼の仮面ライダーは静かに長剣型召喚機を鞘に納める。
「餌の時間だよ」
『グルゥ!!』
呟いた一言と共に、狼の仮面ライダーの頭上を1体のモンスターが跳躍し、爆炎の中から現れたエネルギー体を一瞬で捕食して姿を消す。それを見届けた狼の仮面ライダーは、すぐにクルリと背を向けてミラーワールドから無言で立ち去って行く。
「―――ふぅ」
その後、天瞳流第4道場の中庭にある池から飛び出した狼の仮面ライダー。彼は変身を解除し、黒い道着と袴を着た青年の姿を露わにする。青年は小さく息をついてから、右手で拳をギュッパギュッパと握り締める。
「あぁ、いたいた」
「!」
そこに声をかけに来たのが、ちょうど彼の事を探していたミカヤだった。彼女の姿を見た時、無表情だった青年の顔はすぐに穏やかな笑顔へと切り替わった。
「あれ、ミカヤちゃん。どうしたの?」
「鍛錬の相手をお願いしようと思って、探してました。これから大丈夫ですか?
狼の仮面ライダーである彼もまた、後々イヴ達と深い関わりを持つ事になるのだが……それはまだまだ先のお話。
To be continued……
まだ素性が判明していないライダーの1人、これで居場所が判明しました。
彼もまた、割と重要なポジションのキャラクターになっています。
今後どのような活躍を見せていくのか、ぜひともお楽しみに。
まぁその前に、この亀更新を何とかしなければならないのが現状ですけどね(ズーン