リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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はい、今回は比較的早い段階での次話更新です。

今回は特に言う事はありません。最新話をどうぞお楽しみ下さいませ。















戦闘挿入歌:Revolution(今回は2番の歌詞でどうぞ)






































処刑用BGM:Covert Coverup












第36話 散り行く愛

「あぁん……何だ、テメェは」

 

リッパーはご機嫌斜めだった。アインハルト達に向かってエビルソーを振り下ろしたのに、横から乱入して来たライアサバイブのエビルバイザーツバイで防がれた彼は、わざとらしく舌打ちする。

 

「チッ! 俺達の恋愛を邪魔すんじゃ―――」

 

「ふんっ!!!」

 

「ぐへぁ!?」

 

直後、エビルソーを弾き上げられたリッパーの腹部をライアサバイブが蹴りつけ、そこへ飛来した何発もの銃弾がリッパーの胸部に集中する。火花が派手に飛び散りながらリッパーが吹き飛ばされる一方で、ライアサバイブの隣にバリアジャケットを纏ったティアナが並び立った。

 

「全く。占いだけで居場所を特定しようだなんて、大博打にも程がありますよ手塚さん」

 

「しかし、運命は変えられた。感謝するぞランスター」

 

「もぉ、調子良いんですから……」

 

ライアサバイブの物言いに溜め息をつくティアナだったが、彼から感謝の言葉を受けた事には悪い気はしなかったからか、その表情はかなり穏やかな物だった。その後ろではアインハルトとヴィヴィオが、キョトンとした様子で座り込んでいた。

 

「え、えっと、ティアナさんに……ヴィヴィオさんの、お父様……ですか?」

 

「……この姿で会うのは初めてだな。娘を守ってくれた事、心から感謝する」

 

「パパ、ティアナさん。どうしてヴィヴィオ達がここにいるってわかったの……?」

 

「忘れたのかヴィヴィオ。俺の占いは当たる」

 

「一応言っておきますけど、ヴィヴィオ達の居場所を特定したのは私ですからね?」

 

「? えっと……どういう事?」

 

「お前から俺にメールが来た後。すぐに高町達に頼んで、クリスの居場所を逆探知して貰った」

 

ヴィヴィオの捜索に動き出した手塚は、同じくヴィヴィオから『SOS』のメールが届いたというなのはやフェイト達にもすぐさま連絡を取り、当初はクリスの居場所を逆探知してヴィヴィオの行方を掴もうとしていた。しかしヴィヴィオ達がジャックに連れ去られた際、クリスは木箱に押し潰される形で置き去りにされてしまっていた為、それ以上ヴィヴィオの行方を追う事ができなかった。

 

「だから俺は、一か八かの賭けに出た。お前のこれからの運命を占う事でな」

 

手塚が占った中で視えたのは、罅割れた石の壁に囲まれた場所(・・・・・・・・・・・・・・)で、ヴィヴィオが八つ裂きにされるという凄惨な光景。その背景からヒントを得た手塚は、その事をなのは達に伝えた後、すぐにその光景に心当たりがある場所へと急行したのだ。それが……

 

「この区画内は、未だに碌な整備もされていない状態だ。指名手配犯が管理局から身を潜めるには打ってつけだろうと思ってな」

 

「ほんと、聞いてて耳が痛いです……」

 

ヴィヴィオ達を連れ去ったジャックがやって来たのは、未だ整備がされていない荒廃都市区画。数年前、夏希やラグナがとある事件に巻き込まれた事がある場所でもある。本来ならばこの付近のエリアは既に封鎖されているはずだったのだが、それでもこのエリアを隠れ家として利用する犯罪者は後を絶たないらしく、ティアナのような管理局で働いている局員からすれば非常に耳が痛い話のようだ。

 

「後はここに来る途中で合流したランスターが、たまたまこの付近で魔力を感知した。そのおかげでヴィヴィオ達を発見できたという事だ」

 

「魔力……あっ!」

 

ヴィヴィオとアインハルトは窮地に陥ったイヴを助ける為、それぞれ自分が使える魔法を使用している。その魔力反応をティアナのクロスミラージュが探知した事で、彼女達の居場所を掴む事ができたのだ。

 

「間に合って良かった。そこに倒れている子(・・・・・・・・・)の事も、色々話は聞きたいところだが……」

 

ライアサバイブが正面に向き直り、ティアナモクロスミラージュの銃口を向ける。その先では崩れた瓦礫の中から飛び出したリッパーが苛立った様子でライアサバイブを睨みつけていた。

 

「クソが……また良いところで俺の邪魔しやがって……!!」

 

「どうやら、娘達が世話になったようだな……今ここで、その礼はさせて貰うぞ……!!」

 

「はん、野郎から礼を貰ったって何も嬉しかねぇんだよ気色わりぃ!! ……でもまぁ」

 

リッパーがティアナの方をチラリと見る。自分に視線が向けられていると気付いたティアナは一瞬だけゾクリと身を震わせるが、それでも臆する事なく逆に睨み返す。

 

「そっちのお嬢さんだったら大歓迎かなぁ……どうだぁい?♡」

 

「ッ……残念だけどお断りよ。あなたはもう一度牢屋に入る事になるわ」

 

「そんな事言わずにさぁ、君も俺と楽しも……うべぇ!?」

 

リッパーが言い切る前に、エビルバイザーツバイから放たれた矢が彼を吹き飛ばし、吹き飛んだリッパーが激突して壁が崩れ落ちた。

 

「ランスター、ヴィヴィオ達を頼む」

 

「わかりました、私もすぐに合流します。アインハルト、外まで運んであげる。ヴィヴィオ、その子を運べるかしら?」

 

「う、うん、大丈夫!」

 

「すみません、ご迷惑をおかけします……」

 

ティアナがヴィヴィオ達を安全な場所まで連れ出して行く中、壁を破壊して別の部屋にやって来たライアサバイブは1枚のカードを引き抜き、起き上がろうとしているリッパーと相対する。

 

「あぁクソッタレ……良いぜ、まずはテメェから先にぶっ殺してやる……!!」

 

「ランスター達の前では言わなかったが、お前に言っておかなければならない事がある」

 

≪SWORD VENT≫

 

エビルバイザーツバイからエビルエッジが伸び、接近戦に備えるライアサバイブ。彼はエビルソーの稼働音を掻き鳴らすリッパーに対し、冷たい声で言い放った。

 

「ジャック・ベイル……お前には死相(・・)が視えている。悪い事は言わない、大人しく投降しろ」

 

「余計なお世話だ……オラァッ!!」

 

「ッ……はぁ!!」

 

リッパーがエビルソーで切りかかり、ライアサバイブがエビルエッジで受け止める。ライダー同士の熾烈な戦いが始まろうといていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「腕、大丈夫っすか?」

 

「うん、大丈夫。ありがとね吾郎ちゃん」

 

一方、ジャックの襲撃から逃れた夏希と吾郎はと言うと。ジャックの攻撃で傷を負った夏希を手当てする為、吾郎は一度人目の付かない場所まで彼女を連れて移動し、彼女の手当てを完了していた。その後はリムジンが停められている駐車場まで戻ろうとしていた。

 

「でも、本当に大丈夫なの? あのユニコーンっぽい子の事」

 

「あの子の方には、俺の知人が向かうと言っていました。彼なら、あの子を無事に連れて戻って来るはずです」

 

「あの蜘蛛男が? なんか不安だなぁ……」

 

吾郎が夏希の手当てをしていた時の事だ。ヴィクターから吾郎に「イヴがまたミラーワールドに向かった」という知らせが来たのと、なのは達から夏希に「ヴィヴィオが事件に巻き込まれたかもしれない」という知らせが来たのはほぼ同じタイミングだった。だからこそ2人はこうして、大急ぎで駐車場まで戻ろうとしていたのである。

 

「そっちの方こそ、大丈夫なんですか? 知り合いの子が危ないかもしれないんじゃ……」

 

「うん、アタシもすぐ探しに向かうつもり。心配ないって、吾郎ちゃんに手当てして貰ったし……ッ……!」

 

心配はいらないと言った感じで右腕をグルグル回す夏希だったが、まだ傷の痛みが残っているのか、夏希の表情が歪みかけた。そうなる事を見越していたのか、吾郎はすぐに夏希に駆け寄った。

 

「あまり、無理はしないで下さい」

 

「ッ……けど、早く探しに行かないと……」

 

「そんな状態じゃまともに戦えません。俺も一緒に行きます」

 

「へ?」

 

夏希と一緒に探しに向かうと言い出した吾郎。これには夏希も一瞬呆気に取られた。

 

「いや、でも……」

 

「急がないとマズいんですよね? 2人の方が、万が一の事態にも備えられます」

 

「……じゃあ、お願い」

 

実際、傷の痛みがまだキツいとは思っていた夏希は、吾郎の言葉に素直に甘える事にした。そこで彼女は、自身のカードデッキから1枚のカードを引き抜いた。

 

「それなら、アタシがサポートに徹した方が良さそうかもね」

 

「?」

 

「もしもの時は、吾郎ちゃんがそれを使って」

 

「! これは……」

 

夏希から手渡されたカードを見て、吾郎は少しだけ目を見開いた。そのカードの絵柄は赤い炎(・・・)が燃え盛り、金色の翼(・・・・)が煌めきを放っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ!!!」

 

「ぐぉあ!?」

 

場所は戻り、荒廃都市区画のとある廃ビル。

 

「ぐ、この……ぐぅ!?」

 

ライアサバイブとリッパーの戦闘は、ライアサバイブが一方的に圧倒する展開となっていた。エビルソーの斬撃は悉くエビルエッジで防がれ、反撃の一撃をその身に受け続けていた。劣勢に陥ったリッパーがいくらか疲弊して息も途切れ途切れになっているのに対し、ライアサバイブは特に疲弊している様子もなく、姿勢をまっすぐ伸ばしたまま冷静にリッパーを追い詰める。

 

「諦めろ。お前では俺には勝てない」

 

「チッ図に乗ってんじゃ……ごぁ!?」

 

その時、真横からまた数発の弾丸が飛来し、リッパーの体勢を崩させた。ライアサバイブの横には再びティアナが並び立つ。

 

「ヴィヴィオ達は?」

 

「安全な場所まで避難させました。合流したシャマル先生が手当てをしてます」

 

「そうか」

 

ヴィヴィオ達の身の安全が確保できたのであれば、後はリッパーを捕まえるのみ。2人が改めてリッパーと向き合う一方、リッパーは忌々しげな態度で、かつティアナに対して下卑た笑みを浮かべていた。

 

「しつけぇ野郎が……この鬱憤は、そっちのお嬢さんに晴らして貰うとするかなぁ♡」

 

「二度も言わせないで、そんなのこっちから願い下げよ!!」

 

ティアナが弾丸を連射し、リッパーの足元に次々と着弾する。それにより再び土煙が発生するが、今更それを気にするようなリッパーではない。

 

「へへへ、無駄だよぉ……君がそこにいるのはわかってるんだからねぇ!!♡」

 

リッパーはすぐに土煙の中から飛び出し、目の前に立っているティアナに向かってエビルソーを振り下ろす。それによりティアナの胴体が無惨にも切り裂かれてしまう……と思われたが。

 

「無駄よ」

 

「……あ?」

 

エビルソーで斬りつけた瞬間、ティアナの姿が幻となって消え去った。手応えがない事と、ティアナの姿が消えた事に気付いたリッパーは思わず唖然となった。

 

「こっちよ」

 

「ぬぉっ!?」

 

するとリッパーの胸部に攻撃が当たり、リッパーの体が仰け反った。リッパーは周囲を見渡し、通路の曲がり角からティアナがこちらを覗き込んでいる事に気付いた。

 

「そこにいたかぁ!!♡」

 

「はいハズレ」

 

≪Bullet shoot≫

 

「ぬが!! な、何ぃ……?」

 

今度はリッパーの背中に弾丸が命中し、リッパーは困惑した様子で後ろに振り向いた。すると後ろにもティアナの姿があり、リッパーはティアナが2人いる事に驚愕していた。

 

「んぁ、どういう事だ……?」

 

「「さぁ、本物はどれかしら?」」

 

≪Fake silhouette≫

 

「!? うぉ……ッ!!」

 

別方向から飛んで来た弾丸を転がって回避したリッパーは別の部屋に逃げ込むも、そこにも3人目のティアナの姿があり、さらに4人目のティアナが部屋に転がり込んで来た。どんどん数が増えて行く事に驚くリッパーだったが、内心では密かにほくそ笑んでいた。

 

(はっはぁん、そういう事かぁ……♡)

 

ティアナが次々と増えて行く理由に何となく察しがついたのか、彼は飛んで来た弾丸をしゃがんでかわした後にエビルソーを一旦床に置き、1枚のカードをリッパーバイザーに装填した。

 

≪SEARCH VENT≫

 

『ギュルルルル……!!』

 

罅割れた窓ガラスから顔だけを出したエビルリッパーが、頭部の長い吻から波動エネルギーを放射。それが廃ビル全体に広がっていき、それによって複数いるティアナの中から、本物の居場所だけを正確に特定した。

 

「そこかぁ!!!」

 

「ッ……きゃあ!?」

 

リッパーがエビルソーを勢い良く投擲し、エビルソーが回転しながら部屋の入口付近に立っていたティアナ目掛けて飛んで行く。マズいと思ったティアナは即座に防御魔法を繰り出すも、ティアナを守るように出現した魔法陣がエビルソーによって粉砕され、その衝撃で吹き飛んだティアナの体が壁に打ち付けられた。

 

「ぐっ……!!」

 

「無駄だよぉ、お嬢ちゃん……俺は隠れている女の子を見つけるのは得意中の得意なんだぁ~♡」

 

仮面の下でニヤリと笑みを浮かべたリッパーは、リッパーバイザーの刀身を撫でながらティアナに迫って行く。背中を強く打ち付けてしまったティアナはゴホゴホと咳き込みながら、リッパーを睨むように見上げる。

 

「それにしてもお嬢ちゃん、幻術魔法が得意なんだねぇ……おかげで昔、俺の事を邪魔して来たクソ魔導師の野郎を思い出しちゃったよ」

 

「……ッ!!」

 

リッパーの言動に、ティアナは驚いた様子で目を見開いた。

 

「やっぱり……あなたが兄さんを……ティーダ・ランスターの命を……!!」

 

「へぇ! お嬢さん、もしかしてあのクソ魔導師の妹だったのかい!? そっかそっかぁ、道理で何となくだけど顔が似てるような気がした訳だ!♡」

 

楽しそうに笑っているリッパーに対し、ティアナは睨みつける視線がより強まった。

 

ティアナがまだ小さかった頃に亡くなった魔導師の兄。

 

かつて自分が強さを求めた原因である兄の死。

 

その兄を殺したという仇の犯罪者が、今こうして目の前に立ち、目の前で笑っている。

 

「あぁ、もしかして怒ってるのかい? もしそうならごめんね! でも君のお兄さんが悪いんだよ? しつこいくらい俺の邪魔してくるもんだからさぁ! 何度殺してやろうと思ったか数え切れないくらいだよ!」

 

「……」

 

「もし怒ってるんだとしたら、俺にその恨みをぶつけると良いよぉ!! お嬢さんの恨みなら、俺がいくらでも受け止めてあげるからねぇ!!♡」

 

「……いいえ、遠慮しておくわ」

 

「おひょ?」

 

傍から見れば、これほど非道な人間はそうそういない事だろう。そう思われてもおかしくないくらい身勝手な言動ばかり繰り返すリッパーに対して……ティアナは驚くくらい冷静だった。

 

「私はあなたが憎い……けど、恨みはしない」

 

「んん? 俺が憎いんじゃなかったのかい?」

 

「……かつて復讐に燃えていた人を、私は知っている」

 

俯いたティアナの脳裏に浮かぶのは、肉親を殺した仇との因縁に決着をつけ、今も共に戦っている女戦士の姿。

 

「私はその人を間近で見て来た。だから復讐を果たしても何も意味がないって、私は知る事ができた……」

 

「ううん?」

 

「そして私も、ある失敗を犯した……そのおかげで、大事な事に気付く事ができた」

 

かつての新人時代、訓練で無茶をして、上官から罰を受けた時の記憶。

 

その時の光景を思い起こしながら、ティアナは改めてリッパーを見上げ、その目でまっすぐ見据えた。そこに宿っていたのは憎しみではなく、犯罪者を捕まえようという強い意志と覚悟だった。

 

「私がここに来たのは、兄の仇を討つ為じゃない……」

 

「そう! 君がここに来たのは、俺と愛し合う為なんだよねぇ!!♡」

 

リッパーは改めてリッパーバイザーを振り上げ、ティアナ目掛けて振り下ろそうとする。それでもティアナの目に、震えはなかった。

 

「私がここに来たのは……あなたのような悪を、この手で捕まえる為だ!!!」

 

ティアナは体を横にずらし、リッパーバイザーの刃をギリギリ回避する。そしてリッパーの胸部に突き付けられた2丁のクロスミラージュが、ゼロ距離で弾丸を連射してみせた。

 

「うごばばばばばぁっ!!?」

 

「脱獄犯ジャック・ベイル……あなたを逮捕します!!!」

 

「ッ……ヒ、ヒヒヒ、ヒヒャハハハハハ!!」

 

胸部に何十発もの弾丸を撃ち込まれたにも関わらず、リッパーは楽しそうに笑っていた。フラフラながらも立ち上がったリッパーはリッパーバイザーを構え、ティアナに斬りかかろうとする。

 

「良いねぇ、良い目をしてるじゃないかお嬢ちゃん!! おじさん、ますます燃えて来ちゃったよぉ!!!♡」

 

「残念だったわね、あなたの相手は私だけじゃない……!!」

 

 

 

 

≪SHOOT VENT≫

 

 

 

 

ズドォンッ!!

 

「ぐほぁあっ!?」

 

別方向から飛んで来た強烈な一撃が、リッパーを大きく吹き飛ばした。床を転がされたリッパーが見たのは、エビルバイザーツバイを弓のように構えているライアサバイブの姿だった。

 

「またテメェかぁ……ッ!!!」

 

「女性が絡むと、こうも視野が狭くなるとは……よほど男が嫌いらしいな」

 

「……ウガァァァァァァァァッ!!!」

 

エビルバイザーツバイから放たれた矢を転がって回避したリッパーは、ライアサバイブに向かってリッパーバイザーで斬りかかる。しかしライアサバイブはエビルバイザーツバイで難なく防御し、逆にリッパーの腹部にカウンターのパンチを叩き込む。

 

「ぐっ……何故だ……どいつもこいつも、何故俺の邪魔ばっかりするんだぁ!!!」

 

「わからないなら教えてやる……!!」

 

リッパーの腹部を蹴りつけたライアサバイブが断言する。

 

「それはお前が、本当の意味で人を愛していないからだ……!!」

 

「!? 何だと……ッ!!」

 

「人は互いに助け合える、共に笑い合う事ができる……そんな人の愛を、俺達はたくさん見て来た……!!」

 

人々の平和を守る為に、手塚と共に戦っている元機動六課の仲間達。

 

罪を償う為に、仲間と共に生きていく覚悟を決めた夏希。

 

大切な人の為に、最後まで戦い散って行った健吾。

 

ある少女の為に、己の精神を削ってでも戦い続けた雄一。

 

たくさんの人の愛を見て来たからこそ、彼は堂々と言い放つ事ができた。

 

「お前のそれは、もはや愛情ではない……ただの独りよがりだ!!!」

 

「ッ……俺が、独りよがりだと……?」

 

人を傷つけ、人の笑顔を奪うリッパーの行いは、到底許される行為ではないのだと。ライアサバイブから自身の行いをハッキリ全否定されたリッパーの拳は、強い怒りで震えていた。

 

「野郎の分際で……俺の愛を否定するなぁっ!!!」

 

怒りのままにリッパーバイザーを振り上げ、ライアサバイブに斬りかかろうと迫るリッパー。しかしそんなリッパーの左腕に突如、リング状のバインドが巻き付いた。

 

「ッ!?」

 

「あなたにはもう、何もさせない……!!」

 

「ぐ……ごはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

動きを封じられたリッパーをライアサバイブがエビルエッジで斬りつけ、さらに至近距離で矢を撃ち込まれたリッパーが通路を大きく吹き飛び、床を何度も転がされる。そしてそんなリッパーの胴体をリング状のバインドが厳重に縛りつけ、完全に身動きが取れない状態になった。

 

「大人しく牢屋に帰れ、ジャック・ベイル」

 

「あなたの悪行もここまでよ……!」

 

「……ヒ、ヒヒ、ヒハハハハハハ」

 

窮地に追い込まれたリッパー。そんな彼は今……仮面の下で、笑っていた。

 

「思い出すなぁ、テメェを見てると……俺を邪魔して来たあのクソ魔導師……ほんと、この手でぶち殺してやりたかったくらいだぜ……!!」

 

「……ん?」

 

リッパーの発言に、ライアサバイブは違和感を感じ取った。

 

「待て、ジャック・ベイル。お前がランスターの兄を殺したんじゃないのか?」

 

「あぁん? 知るかよ、あんなクソ野郎の事なんざ……本当なら俺がこの手でぶっ殺してやりたかったってのに、なんか知らない間に死んでやがった(・・・・・・・・・・・・・)みたいだしよぉ……!!」

 

「「ッ!?」」

 

リッパーが放った何気ない発言。それは2人にとって、到底聞き逃せる内容ではなかった。

 

「どういう事……!? あなたが兄を殺したんじゃ……」

 

その時。

 

ズドドドドォンッ!!!

 

「ぐっ!?」

 

「きゃあっ!?」

 

突如、ライアサバイブとティアナのいる天井が崩壊し、2人は素早く後ろに後退する。その隙にリッパーは胴体を縛り付けていたバインドを強引に引き千切り、近くの窓ガラスに飛び込もうとした。

 

「あばよ、お嬢さん!! ヒヒャハハハハハハ!!」

 

「!? 待ちなさい!!」

 

「くっ……!!」

 

2人はリッパーが逃げられないよう、窓ガラスに向けて矢と弾丸を放つ。しかし弾丸が命中する前にリッパーが窓ガラスに飛び込んでしまい、リッパーがいなくなった直後に窓ガラスが粉砕された。

 

「しまった……ッ!!」

 

ライアサバイブもすぐに後を追おうとしたが、2人が今いる場所は既に周りの窓ガラスが全て割れている状態であり、とてもすぐに追跡できる状態ではない。結果として、2人はリッパーを取り逃がす形になってしまった。

 

「ッ……どうして天井が……」

 

何故いきなり天井が崩れ落ちて来たのか。今の2人では、その理由はわからずじまいであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふん」

 

その様子をネヴィアが別の廃ビルから見ていた事を、2人は知る由もなかった。

 

(奴は上手く逃げたか……忌々しいが、後はあの男次第だな……)

 

ネヴィアは小さく鼻を鳴らした後、その身に纏ったマントの認識阻害機能を利用し、誰にも悟られる事なくその場から撤退するのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ふぅ、助かったぁ」

 

その後。ミラーワールドに飛び込んだリッパーは、荒廃都市区画から大きく離れた場所にある噴水広場まで、ライドシューターで逃げおおせていた。そしてライドシューターを降りて一休みしようとする彼のすぐ近くに、1人のライダーがシュタッと降り立った。

 

「誰だか知らねぇが助かったぜ。野郎の癖に気が利くなぁ」

 

「……お前があの場で捕まれば、こっちが困るだけだ」

 

リッパーの前に降り立った戦士―――アビスは面倒臭そうな口調でそう言い放った。実はリッパーが窮地に追い込まれた時、密かにやって来ていたアビスがライアサバイブとティアナの真上の天井を破壊し、リッパーに逃げる為の時間を与えていたのだ。

 

「お前とて、また牢屋送りにされるのは嫌だろう?」

 

「あぁ全くだ。しかしお前、何で俺を助けやがったんだ? 俺はお前なんか知らねぇぜ?」

 

「……お前に聞きたい事がある」

 

噴水のすぐ近くに設置されたベンチに座り込みながら、アビスはリッパーに問いかける。

 

「白いユニコーンのライダーに会ったそうだな」

 

「あぁ、あのおチビちゃんか。それがどうかしたか」

 

「あのガキの事、お前はどこまで知っている?」

 

「はぁ? 何で俺がお前に教えなきゃならねぇんだ」

 

「あの場から逃がしてやっただろう?」

 

「チッ……わかったよ」

 

地面に寝転がったリッパーは面倒臭がりながらも、律儀に説明し始めた。

 

「あの狭っ苦しい牢屋から逃げ出して間もない頃だ。追手から逃げ続けていたところに、たまたまあのおチビちゃんに会ったのさ。買い物帰りだったからかなぁ、母親と一緒に歩いていたんだ」

 

「母親と……?」

 

「あぁ。あのおチビちゃんによく似た美人さんでなぁ♡ 親子一緒に愛してあげようとしたんだが……木刀を持った若造(・・・・・・・・)に邪魔されたんだよ」

 

「!」

 

リッパーの発言に、アビスがピクリと反応した。

 

「結局、そいつのせいで武装隊に通報されちまってなぁ。仕方ないからあの場は逃げるしかなかったのさ。で、それ以来なかなかおチビちゃんに会える機会がなかったんだが、今回また会えたのは嬉しかったなぁ~♡」

 

「……なるほど」

 

リッパーが地面に寝転がったまま惚気ている一方で、アビスは何かを考えるような仕草をした後、ベンチからゆっくり立ち上がった。

 

「そこまでわかれば充分だ。後はもう1つの用件を済ませるとしよう」

 

「んあ? そりゃどういう―――」

 

 

 

 

ザシュウッ!!!

 

 

 

 

「がっ……!?」

 

突然だった。アビスの発言の意図がわからなかったリッパーが立ち上がった瞬間、振り返ったアビスはその手に構えたアビスセイバーで、リッパーの胸部を斬りつけていた。完全に不意を突かれたリッパーは、斬られた胸部を手で押さえながらフラつきかける。

 

「テ、テメェ……俺を助けるんじゃなかったのか……!!」

 

「あの場で捕まれば、管理局の連中に余計な事を知られる恐れがあっただけだ。ここならば遠慮は必要ない」

 

「ぐっ!?」

 

リッパーの腹部を右足で蹴りつけ、建物の壁に押さえつけるアビス。そしてリッパーの首元にアビスセイバーの刃先を突きつけた。

 

「俺達が身を隠すのに利用できると思って、しばらく泳がせてはいたが……お前があのガキの過去(・・・・・・・)を知っているのであれば話は別だ。今ここで始末させて貰うぞ」

 

「ッ……んの野郎がぁ!!」

 

リッパーはアビスの右足を無理やり払いのけ、距離を取ったリッパーはリッパーバイザーをアビスに向ける。

 

「結局、テメェも他の野郎共と一緒って訳か……ちょっとでも気を許した俺が馬鹿だったぜ……!!」

 

「お前が俺を許す必要はない」

 

アビスセイバーを放り捨てた後、アビスはカードデッキから引き抜いたカードを指先で裏返し、その絵柄をリッパーに見せつける。その絵柄は、金色の不死鳥(・・・・・・)が光り輝いていた。

 

「どうせお前は、ここで死ぬ」

 

「!? 何だ、何が起きてる……!?」

 

近くの噴水から発生した水流が、アビスの周囲を包み込みドーム状になっていく。何が起きているのか理解できないリッパーを前に、アビスは最強の切り札を使用した。

 

≪SURVIVE≫

 

水のドームが風船のように弾け、周囲を水飛沫が舞う中で、金色の鎧を纏ったアビスがその姿を現した。

 

「この姿になるのも久しぶりか……」

 

人前では滅多に使う事がない切り札。

 

使うのは、目の前の獲物を確実に仕留めると判断した時のみ。

 

金色の鎧を纏った深淵の戦士―――“仮面ライダーアビスサバイブ”が放つ強いプレッシャーを前に、リッパーは思わず数歩ほど後ずさってしまった。

 

「テメェ、まさかあのエイ野郎と同じ力を……!?」

 

「そういう事だ。さぁ、どうする?」

 

「……ッ!!」

 

アビスサバイブが1歩目を踏み出し、リッパーに近付いて行く。この時、リッパーは内心で悟っていた。

 

 

 

 

 

 

抵抗しなければ、こっちが殺られる。

 

 

 

 

 

 

「……クソッ!!」

 

≪FINAL VENT≫

 

リッパーはすかさずカードを引き抜き、リッパーバイザーに装填。召喚されたエビルソーを右手でキャッチし、後方から飛来したエビルリッパーに飛び乗った。

 

「死ねやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

いくら姿を変えようとも、真正面からファイナルベントの一撃を喰らえばただでは済むまい。そう判断したリッパーはエビルリッパーに乗ったまま高速で回転し、アビスサバイブに迫って行ったのだが……

 

「……アホらしい」

 

それに律儀に付き合ってあげるほど、この男は甘くなかった。

 

≪ADVENT≫

 

『ギャオォォォォォォォォォンッ!!!』

 

「ぐはぁ!?」

 

『ギュルゥ!?』

 

どこからか飛んで来たアビソドンが姿を変え、アビスウェイバーとなってからリッパーとエビルリッパーに向かって勢い良く突進。その強烈な突進で吹っ飛ばされたリッパーが地面を転がり、エビルリッパーが噴水広場に落下して水飛沫を上げる。

 

「ば、馬鹿な……ぐっ!?」

 

「いちいち時間をかけても面倒だ」

 

アビスサバイブの右手が、地面に倒れているリッパーの首を掴み、無理やり起き上がらせる。そして左手に構えていたアビスバイザーツバイの先端からアビスカリバーが展開される。

 

「さっさと終わらせる」

 

「がっ!?」

 

アビスカリバーの斬撃が、リッパーの胸部を強く斬りつける。もちろんそれだけでは終わらず、アビスサバイブは何度もリッパーの胸部を斬りつけ、着実にダメージを与え続けていく。リッパーバイザーを振り上げようものなら蹴りで弾き飛ばされ、反撃の隙すら与えようとしなかった。

 

「フンッ!!!」

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

元々、連戦続きで体力を消耗していたリッパーは、この時点で既に虫の息だった。そんな彼を容赦なく蹴り飛ばしたアビスサバイブは、1枚のカードをアビスバイザーツバイに装填する。

 

≪SWORD VENT≫

 

「こ、このぉ……ッ」

 

リッパーバイザーを落とされ、既にフラフラでありながらも、どうにか反撃しようとするリッパー。しかし、それを悠長に待ってあげるアビスサバイブではなかった。

 

「沈め、永遠に」

 

 

 

 

 

 

ズバァァァァァァァァァンッ!!!

 

 

 

 

 

 

アビスサバイブが振るった一閃。それはリッパーの胴体を斬りつけ、後ろの建物の壁すらも大きく斬り裂き、窓ガラスを全て粉砕するほどの強力な一撃となった。それを真正面から喰らったリッパーは変身が解除され、血まみれの状態になったジャックが仰向けになって倒れ込んでいく。

 

「ぐ……ごふっ……」

 

もう立ち上がる気力はなかった。痛みすらも感じなくなってきていた。そこでジャックは、自分が死ぬ時が来たのだと理解した。

 

(死ぬ、のか……俺……が……?)

 

こんなにも痛い想いをしたのはいつぶりだろうか。

 

ジャックは必死に思い浮かべた。

 

思い浮かんだのは……かつて自分を愛し、そして自分が愛してあげた(・・・・・・・・・)母親の姿だった。

 

あぁ、母さん。

 

これでまた、愛し合えるんだね(・・・・・・・・)

 

ジャックの表情は笑っていた。

 

最期まで笑ったまま、ジャックの意識は静かに消え失せていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……死んだか」

 

倒れたまま動かなくなったジャックを前に、アビスサバイブはサバイブ形態を解除し、通常の姿に戻った。

 

(これで、面倒事がまた1つ消えたか……フローレンスがこんな奴に目を付けなきゃ、最初からこんな事にはならなかったんだがなぁ)

 

内心で愚痴を零しながらも、アビスはジャックの手元に落ちているカードデッキを拾い上げる。ジャックが死んだと見なされたからか、カードデッキに刻まれていたエンブレムは消失し、未契約状態となる。

 

「さて……早いところ、見つけないとなぁ」

 

ジャックが死ぬ前に言っていた、イヴとその母親を助けたという謎の人物。その正体を一刻も早く突き止める必要が出てきた。また面倒な仕事が増えたものだと、アビスはげんなりした様子で溜め息をついた後、その場から1人静かに立ち去って行くのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャック・ベイル/仮面ライダーリッパー 死亡

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎ViVid!


シャマル「この子の事、教えてくれないかしら?」

ウェイブ「悪いけど、お宅等に話す事は何もないよ」

手塚「何だ……妙な予感がする……」

二宮「また1つ、お前に伝えておいてやろう」


戦わなければ生き残れない!
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