リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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自分で考えても上手く思いつかない為、オリジナルライダーに関しては活動報告かメッセージでオリジナルライダーを募集しようかどうか悩んでいる自分がいます。

そんな悩みはどうでも良いとして、今回のお話もどうぞ。

挿入歌:果てなき希望









そして次回……遂に“奴”が登場します。



第16話 教導の意味

「……」

 

あの模擬戦の後、六課隊舎は全体的に重い空気の中だった。無茶な戦い方をしたスバルとティアナに対するなのはの制裁。あれからティアナは医務室に運ばれ、それを目の前で見せつけられたエリオとキャロもあまり良い精神状態ではなくなった為か、この日の午後の訓練は中止という形となったのだ。

 

「はぁ……何でこうなっちゃったんだろう」

 

「……納得できないって顔をしているな、美穂」

 

手塚と美穂はと言うと、今は男性寮の部屋で話をしているところだ。美穂はベッドの上に寝転がって納得のいっていない様子で溜め息をついており、手塚はベッドの近くの椅子に座って読書をしている。ちなみに彼が現在読んでいる本はこの六課に所属する局員から貸して貰った物であり、ミッド語の勉強も兼ねて読ませて貰っているのだ。

 

「だってそうでしょ? 2人は夜遅くまであんなに頑張って練習してたのに、なのはがティアナを撃墜して……あれから本人はそこまでした理由について何も言わないし、本当にあそこまでやる必要があったのかって思うと……あぁもう何かムシャクシャする!」

 

「高町から見て、2人のやり方は何かがいけなかったという事だろう。あの時、彼女が見せた顔からは怒りと悲しみの両方が感じ取れた……その感情の由来までは俺にもわからないが」

 

「……アタシのせいなのかな」

 

「何?」

 

ベッドの枕に顔を伏せていた美穂が起き上がる。

 

「アタシさ。スバルとティアナが練習していた時にね、ティアナに言ったんだ。無茶をするならせめて、1人じゃなくて2人でしてみたらって……その方が1人分の負担も減るんじゃないかって思って……」

 

「……」

 

「……アタシがあんな事言ったから、そのせいで……2人は……ッ!!」

 

「……そうか」

 

美穂の声が震えている事に、手塚は気付いていた。手塚は読んでいた本に栞を挟んでから閉じ、ベッドに座り込んでいる美穂の方へと振り向く。

 

「お前は後悔しているのか? そう言った事を」

 

「……わかんない、わかんないよ……2人はアタシみたいになっちゃいけない、そう思っていたのに……アタシ、2人に何て言えば良かったのかな……?」

 

「自分みたいになってはいけない、か……恐れているのか? 自分の罪を」

 

「ッ!?」

 

美穂の肩がビクッと反応する。それを見た手塚は「やはり」といった表情で確信に至る。

 

「ど、どうして……」

 

「すまないな。お前がナカジマやランスターと話していた時、俺も隠れて話を聞いていた」

 

「……」

 

「そして、あの鮫のライダーがお前に言っていた事……お前が重ねた罪というのは、もしや……」

 

「……うん、そうだよ」

 

美穂は観念した様子で、手にした枕を抱きながら手塚に告げる。

 

「アタシもね……殺したんだ。ライダーを1人」

 

「……そうか」

 

「……海之はさ、何も言わないの? こんな人殺しのアタシに」

 

「俺には、お前の罪を咎める資格はない」

 

手塚は椅子から立ち上がり、部屋の窓に手を触れながら窓の外を眺める。

 

「俺は、滅び行くライダーの運命を変える為に、自らもライダーとなって戦いに身を投じて来た。ライダー同士の戦いを止めれば、助けられなくなる命がある……その事をわかっていたにも関わらずだ。そういう意味では、俺の掲げる正義もまた、所詮は1つのエゴに過ぎないんだろう」

 

かつて手塚が運命を変えようとした、目覚めぬ恋人を救う為に戦っていた1人の青年。その青年の事を脳裏に思い浮かべながら、手塚は語り続ける。

 

「それでも、ライダー達が自分の信じる正義の為に戦っていたように、俺は俺の信じる正義を貫く為に戦い続けてきた。それがエゴであるとわかっていた上でな……そして俺は、ある男を死の運命から救い出す為に、自らこの命を犠牲にした」

 

「ある男……?」

 

「……俺と同じ、ライダーの戦いを止めようとしていた男がいた」

 

「……!」

 

「その男は、人の命が失われる事を良しとしていなかった。戦いを止めれば、他のライダー達の願いが失われてしまうとわかった時も、まるでそれが自分の事のように悩み続けていた。傍から見れば甘い人間かもしれない……だが俺は、そんな彼に1つの可能性を感じた。だからこそ、俺はこの身を犠牲にして彼を守ろうと思ったんだ」

 

「そ、その男ってさ!」

 

手塚の語る人物像に、美穂は心当たりがあった。だから彼女は、手塚に問いかけたかった。

 

「もしかして……真司の事?」

 

「!? 知っているのか……!?」

 

「やっぱり……!」

 

美穂の口からも真司の名前が出て来た事には、流石の手塚も驚きを隠せなかった。

 

「アタシも真司に会ったんだ。それから色々あって、アイツに何度も戦いをやめるように言われたり、アタシからアイツを無理やりデートに誘ったりして……真司には、本当に悪い事しちゃったなぁって、今でも思ってる」

 

「……そうか」

 

自分以外にも、城戸真司と関わりを持っているライダーがいたとは思わなかった。彼の影響を受けたライダー同士が異なる世界でこうして対面する事になったのも、運命の悪戯なのだろうか。そんな風に考える手塚だったが、不思議と美穂に対して親近感らしき物が沸き上がってきた。だからこそ……彼女が抱えている物に気付けた。

 

「だからこそ、お前は恐れているのか……ライダーを殺してしまった自分の罪を」

 

「……真司には何度も言われたよ。ライダー同士で戦うなんてやめろって……それなのに、アタシはそんな真司の思いを無視して、この手でライダーを殺した。もし真司もこの世界に来ていたとしたら……アタシにはもう、真司に会わせる顔がない」

 

美穂の両腕が、持っていた枕をより強く抱きしめる。

 

「真司は良い奴だよ。ここの人達だってそう……フェイトも、なのはも、はやて達も、スバル達も、皆が優しい人達ばかりで……だから怖いんだ……アタシの罪を知ったら、皆がアタシの事を拒絶するんじゃないかって」

 

「それは……」

 

「海之がインペラーにやられて傷ついた時だって、フェイトは言ってた……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『人を守りたい。人とは戦いたくない……手塚さんは、それが自分の信じる正義なんですよね? だったら、それで良いじゃないですか。今までそう思い続けてこられたのは、人として素敵だと私は思います』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……聞いていたのか」

 

手塚がインペラーにやられて医務室まで運ばれた時の事だ。フェイトが手塚に語りかけていた言葉を、実は医務室の前で美穂も聞いていたらしい。手塚が見てみると、美穂の肩が小さく震えていた。

 

「アタシも、自分が叶えたい願いの為に、自分を押し殺して戦ってきた。勝たなくちゃいけない、ずっと自分にそう言い聞かせて……でも、この世界に神崎士郎はいない。ライダーと戦ったところで、願いは叶えられない。アタシにはもう、今まで自分が犯した罪しか残ってない……ねぇ海之。アタシ、これからどうしたら良いのかな……?」

 

「……」

 

美穂が震える声で語る言葉に、手塚は何も言葉をかけられない。戦う為に縋り続けてきた物を失い、脆くて今にも崩れてしまいそうな姿。そんな美穂の姿が、手塚の知る人物と重なって見えていた。

 

(同じだな……秋山と……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

六課全体に、緊急出動のアラートが鳴り響いたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガジェットが現れたのは海上だから、今回は空戦になる」

 

「そこで、出るのは私とフェイト隊長、ヴィータ副隊長の3人で行くから!」

 

その後、ヘリポートには隊長陣とフォワードメンバー、そして手塚と美穂が集まっていた。司令室から伝えられた情報によると、今回ガジェットが現れたのは海上施設も船もない海の上であり、そこを一定の速度で何度も旋回飛行を続けているらしく、今回はなのは、フェイト、ヴィータの3人だけで殲滅に向かう事になった為、フォワードメンバー達は今回は六課で出動待機という形になっている。

 

「皆はロビーで出動待機ね」

 

「そっちの指揮はシグナムが担当する。お前等、留守を頼んだぞ」

 

「「「はい!」」」

 

「……はい……」

 

スバル達はいつも通り大きな声で返事を返す。しかしティアナだけは、模擬戦でなのはに撃墜された時の悔しさが今も残っているからか、暗い表情のまま元気のない返事だった。

 

「……ティアナは、出動待機から外れとこうか」

 

「「「!?」」」

 

「そうだな。そうしとけ」

 

「ッ……」

 

そんなティアナの様子を気遣ってか、なのはとヴィータはティアナのみ出動待機から外す事を決定し、それにスバル達が驚く。ティアナは顔を俯かせたまま、拳をワナワナと震わせる。

 

「言う事を聞かない奴は、使えないって事ですか……」

 

「……自分で言っててわからない? 当たり前の事だよ」

 

「ッ……!!」

 

なのはが敢えて厳しく言い放った言葉に、美穂は思わず反論しようとした。そんな言い方はないだろうと。しかしできなかった。美穂は踏み込もうとした足を留め、その様子を手塚は横目で黙って見ていた。

 

「現場での指示や命令はちゃんと聞いています……! 練習もサボらずやっています……!! それ以外の努力も、教えられた通りじゃないと駄目なんですか!?」

 

「お前……!」

 

ヴィータが前に出ようとしたが、なのはがそれを手で制する。ティアナは構わず言い放つ。

 

「私はなのはさん達みたいなエリートじゃないし、スバルやエリオのような才能も、キャロのようなレアスキルもない!! 少しぐらい無茶でもしなくちゃ、私のような凡人は強くなんて―――」

 

バキィッ!!

 

「!? ティア!!」

 

「シグナム、いきなり何を……!!」

 

「心配するな。加減はした」

 

最後まで言い切る前に、シグナムがティアナを殴り倒した。倒れたティアナにスバルが駆け寄り、美穂がシグナムに掴みかかる。シグナムは美穂の手を離しながら、ティアナに向かって冷たく言い放つ。

 

「こういう駄々を捏ねるだけの馬鹿は、なまじ付き合ってやるから付け上がる……高町、ハラオウン、ヴィータ、早く現場に向かえ」

 

「う、うん……!」

 

なのはとヴィータが先にヘリに乗り込んで行き、フェイトもそれに続こうとしたが、その前にエリオとキャロ、それから手塚と美穂にも小声で呼びかける。

 

(ごめん皆、何とかフォローお願い……!)

 

((え? は、はい!))

 

(う、うん、わかった)

 

(気を付けて行って来い)

 

4人が引き受けてくれた事にホッとしたのか、フェイトもすぐにヘリに乗り込み、ヘリが飛び立ち出動していく。その様子を見届けたシグナムはスバルに抱えられているティアナを睨み付ける。

 

「目障りだ。いつまでも甘ったれてないで、さっさと部屋に戻れ」

 

「あ、あの、シグナム隊長……」

 

「そろそろ、その辺に……」

 

「シグナム副隊長」

 

フェイトに頼まれた通り、早速エリオとキャロがフォローに回ろうとしたその時、突然立ち上がったスバルがシグナムと向き合った。シグナムがギロリと睨み付けるが、スバルはたじろぎながらも口を開く。

 

「確かに命令違反は絶対に駄目だし、さっきのティアナの物言いとか、それを止めなかった自分も駄目だったと思います」

 

「ッ……」

 

スバルの言葉に、それを聞いていた美穂も胸がズキリと反応した。

 

「だけど……自分なりに強くなろうとする事とか、きつくても何とか頑張ろうとする事って、そんなにいけない事なんでしょうか!?」

 

エリオやキャロがアワアワする中、スバルと向き合っていたシグナムや後ろから見ていた手塚は、スバルの話を無言で聞き続ける。

 

「自分なりの努力とか……そんなにしちゃいけない事なんでしょうか!!」

 

「自主練は良い事だと思うし、強くなろうとするのも良い事だと思う」

 

「……!」

 

話を遮る形で、シャーリーがスバル達の前に姿を見せた。

 

「フィニーノ……?」

 

「持ち場はどうした」

 

「メインオペレートはリイン隊長がやってますから……何かもう、皆不器用で、とても見てられなくて」

 

この時のシャーリーは、いつもの明るい穏やかな表情ではなく、とても真剣な表情をしていた。

 

「皆、ちょっとロビーに集まって。私が説明するから……なのはさんの事……それから、なのはさんの教導の意味を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えた、あそこだね……!」

 

一方でなのは達は、ガジェットが現れたという海上のポイントまで到着していた。ヘリから離れた先で旋回飛行を続けているガジェットは、まるで「撃ち落としてくれ」とでも言っているかのようだった。

 

「んじゃ、とっとと仕留めるぞ」

 

「うん、そうだね……ッ!? 待って、あれ見て!!」

 

「? どうしたの、フェイトちゃ……ッ!?」

 

その時、フェイトはある事に気付き、ガジェットの方を指差した。それを見たなのはとヴィータも同じようにガジェットを見ると、驚くべき光景がそこには存在していた。

 

「ガジェットが……」

 

「変形していってるだと……!?」

 

突如、1機のガジェットが空中で変形を開始したのだ。銀色だったボディの内側からは青色のボディが現れ、人間の手足を思わせるパーツが飛び出し、背部には昆虫を思わせる羽根が形成されていく。

 

「あ、あれは……」

 

「トンボ……?」

 

そのガジェットは、先程までの姿とは全く異なっていた。青色のボディに鋭い爪を生やした手足、背中から生やした羽根、そして頭部に点々と出現した複数の赤い目。それはまるで、人間と昆虫のトンボが組み合わさったかのような姿をしていた。

 

「どういう事……? 今まであんな姿は見せた事なかったのに……」

 

『ブブ、ブブブブブブ……』

 

「ッ……来るぞ!!」

 

青いトンボの姿をしたガジェットは、どこからか取り出した機械の槍を両手で構え、なのは達の所まで高速飛行を開始。なのは達もすぐに構え、戦闘を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ……これは……!」

 

その一方、六課隊舎のロビーに集められた手塚や美穂、そしてフォワードメンバー達。一同はシャーリーが出現させたモニターの映像を見て、言葉を失っていた。

 

「これ……なのはさん……?」

 

「うん、そうだよ。どれもかつて、なのはさんが今までに関わってきた事件……」

 

モニターに映し出されていたのは、9歳当時から既に魔導師として戦っていた幼いなのはの姿。この頃から様々な事件に関わり続けた彼女が、体の負担を考えずに無茶を繰り返してきた事で引き起こされてしまった事故。次にモニターに映し出されたのは……

 

「ッ……な、何だよ、これ……!?」

 

「……ッ……!!」

 

重傷を負ってしまったなのはが、ベッドに寝かされている姿。全身包帯だらけなその酷過ぎる姿に、美穂は思わず口元を押さえ、手塚もこれには流石に言葉を出せなかった。

 

「この時なのはちゃんは、下手したらもう二度と歩けなくなるかもしれないほどの重傷を負ったの。無茶をして迷惑かけてしまってごめんなさいって、口癖のように何度も言ってたわ」

 

「こんな事が……」

 

シャマルの説明に、フォワードメンバーは全員が息を呑んだ。そこへシグナムが語り掛ける。

 

「必死に挑まなければならない時や、命を懸けても譲れぬ戦いも確かにあるだろう……しかしだ。ランスター、お前がミスを犯したあの状況は、自分や仲間の命を懸けてでも、どうしても挑まねばならない戦いだったのか? 訓練中にお前が出した技は……一体誰の為の、何の為の技だ!」

 

「……ッ!!」

 

そこまで言われて、ティアナはようやく自分の過ちを理解する事ができた。自分がどれだけ無謀な無茶を繰り返してきたのか。

 

「……こんなになってでも、なのはは立ち上がったんだね……」

 

「……」

 

そしてそれは、手塚と美穂の心にも重くのしかかっていた。手塚は美穂が言っていた言葉を思い出す。

 

『2人はアタシみたいになっちゃいけない、そう思っていたのに……』

 

(……彼女達は、俺達と同じになってはいけない……か。その通りなのかもしれないな……何故なら俺達は……)

 

そんな事を考えている時間は、彼等には与えられなかった。

 

何故なら……

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

モンスターの接近を察知してしまったからだ。

 

「……考える暇も与えてはくれないようだな、モンスターは」

 

そんな愚痴を零しながら、手塚は美穂と共にロビーの窓ガラスまで向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『フフ、フフフフフ……♪』

 

ミラーワールド、海岸エリアの岩岸付近。砂浜を移動していたデッドリマーの反応を察知したライアとファムは、移動しているデッドリマーの前に立ち塞がった。

 

「今度こそ仕留めさせて貰う」

 

「アンタはここまでだよ……!」

 

『フフ? フフフフフフ……!!』

 

ライアとファムの姿を見たデッドリマーは、素早く岸の方の森へと移動を開始。それを追いかけるライアとファムだったが、デッドリマーは高い跳躍力で木から木へ飛び移り、なかなか攻撃の隙を与えてくれない。

 

「すばしっこい奴め……!!」

 

『フフフッ!!』

 

「うわ、ちょ、危なっ!?」

 

ライアが毒づく中、木の上に立ち止まったデッドリマーは尻尾の拳銃を手に取り、ポインターの照準を合わせると共に2人を狙撃し始めた。ライアとファムはあちこちを駆け回り、デッドリマーの銃撃をかわし続ける。

 

その時……

 

「うらぁっ!!」

 

『フフ!?』

 

そんなデッドリマーの背中を、どこからか跳躍してきたインペラーが蹴りつけた。後ろから蹴り落とされたデッドリマーが地面に落ち、インペラーがすぐに追撃を仕掛ける。

 

「そいつは俺の獲物だ、テメェ等には譲らねぇよ……!!」

 

≪ADVENT≫

 

『『『『『グルルルルッ!!』』』』』

 

今度こそデッドリマーを仕留めるべく、インペラーが装填したカードでガゼル軍団が木々の間から一斉に出現。しかしライアとファムは、こうなる事を見越していた。

 

「いや、お前が来るだろうと思っていた……!」

 

「あぁん?」

 

≪ADVENT≫

 

「ブランウイング、よろしく!」

 

『ピィィィィィィィィィィッ!!』

 

「んな、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

『『『『『グルァァァァァァァァァァッ!?』』』』』

 

インペラーがガゼル軍団を召喚する事を読んでいたのか、ファムがすかさずブランウイングを召喚し、ガゼル軍団に向かって羽ばたき強烈な突風を発生させた。インペラーは近くの木に捕まる事で難を逃れたが、ガゼル軍団は呆気なく吹き飛ばされ、そのまま海の方に落とされてしまった。

 

「ッ……コイツ……!!」

 

「アンタも六課で指名手配されてるんだ。今、ここで捕まえさせて貰うよ」

 

「舐めてんじゃねぇぞ小娘がぁっ!!!」

 

インペラーがファムと対峙する一方、デッドリマーはその隙を突いてこの場から逃走しようとしていた……が、それもすぐにライアに妨害される。

 

≪SWING VENT≫

 

「お前は俺が相手だ」

 

『フ、フフ……!?』

 

ライアに蹴りつけられたデッドリマーは大木に叩きつけられ、そこにエビルウィップを巻きつけられる。それによりデッドリマーは大木に縛り付けられたまま身動きが取れなくなり、その間にライアはファイナルベントのカードを装填した。

 

≪FINAL VENT≫

 

「終わりだ……!!」

 

『フフゥッ!?』

 

飛来したエビルダイバーにライアが飛び乗り、ハイドベノンを発動。エビルウィップで大木に巻きつけられたデッドリマーは逃げる事ができず、そのままハイドベノンをその身に受けて爆散。ハイドベノンの衝撃でへし折れた大木が地面に倒れる中、出現したエネルギー体はエビルダイバーによって摂取された。

 

 

 

 

 

 

 

≪SPIN VENT≫

 

「そらそらそらぁっ!!」

 

「ッ……うぁ!?」

 

離れた位置では、インペラーがファムに連続蹴りを浴びせ、更にガゼルスタッブの一撃を加えてファムを苦戦させていた。ガゼルスタッブの一撃で大木に背を付けたファムはウイングスラッシャーを振り上げ、インペラーが振り下ろしてきたガゼルスタッブを受け止める。

 

「そういや聞いたぜぇ? お前等、機動六課って連中とつるんでるらしいなぁ……!」

 

「ッ……それがどうした!?」

 

「俺からすりゃあな……それが甘いんだよぉ!!」

 

「くあぁっ!?」

 

インペラーに横腹を蹴りつけられ、ファムが地面に転倒。倒れた彼女をインペラーが見下ろす。

 

「そいつ等、人助けしてるんだってなぁ? 聞けば聞くほど反吐が出る連中だぜ。誰も死なない戦いなんざ到底あり得ねぇ……それはお前等が一番よくわかってるはずだ」

 

「ッ……それは……」

 

「武器を取って争い合えば、いずれは誰かが死ぬ事になる。そして最後は生き残った奴が勝つ……それが戦いってもんだろう!!」

 

「ッ!!」

 

インペラーがガゼルスタッブを振り下ろし、ファムがウイングスラッシャーで受け止める。しかしインペラーの方が力で押しているのか、ファムはガゼルスタッブを押し返せず、上手くその場から立ち上がれない。

 

「あのガキ、何て言ったっけか? あの味方を間違えて撃ちやがったツインテールの小娘」

 

「ッ!?」

 

「ろくに味方も守れないような奴が、人助けなんざできる訳ねぇだろうが。連中は所詮、戦う事の本当の意味もろくにわかってない甘ちゃんに過ぎないんだよ。あのケツの青い城戸真司と同じようになぁ……!!」

 

「……う」

 

「あん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それだけは、絶対に違う!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な……ぐぉ!?」

 

ファムが抜き取ったブランバイザーで、インペラーの右足を斬りつけた。右足のダメージで怯んだインペラーをすかさずファムが蹴り飛ばす。

 

「平気で人を殺せるような奴が……真司を……六課の皆を、偉そうな口で語るな!!!」

 

「テ、テメェ……ッ!?」

 

反撃に出ようとしたインペラーだったが、ガゼルスタッブを構えていた右腕にエビルウィップがグルグルと巻きつけられる。それに驚いたインペラーが振り返ると、その先には離れた位置からエビルウィップを伸ばしているライアの姿があった。

 

「美穂の言う通りだ。お前は、彼女達が持っている強さの意味を知らない」

 

「何ぃ……!!」

 

「形はどうであれ、誰も死なせたくないというその思いは、機動六課の皆が同じ気持ちだった……たとえ1人では無理だとしても……それを支えてくれる仲間がいるなら、人は何度でも立ち上がれる!!」

 

「運命は受け入れる物ではない、むしろ変える物だ……彼女達の運命が破滅の物だとするなら、そんな運命は俺達の手で破壊し、変えてみせる!!」

 

「生意気ほざいてんじゃねぇぞゴラァッ!!!」

 

激怒したインペラーがガゼルスタッブを振り下ろすも、ライアとファムはそれを左右に回避。ファムは引き続きウイングスラッシャーでインペラーを相手取り、ライアはその間に1枚のカードをエビルバイザーに装填する。

 

≪COPY VENT≫

 

「ふ……はぁっ!!」

 

ファムのウイングスラッシャーをコピーし、ライアの手元にもウイングスラッシャーが出現。ライアも同じようにインペラーに斬りかかり、ファムとライアの振り上げた斬撃がインペラーを海岸まで大きく吹き飛ばした。

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

吹き飛ばされた拍子にガゼルスタッブを落としてしまい、インペラーは砂浜を何度も転がされる。そこから体勢を立て直すべく、カードデッキからファイナルベントのカードを引き抜いたが……

 

「させん!!」

 

「なっ!?」

 

ライアが振り下ろしたエビルウィップで、ファイナルベントのカードが叩き落とされる。そのまま上半身を両腕ごとエビルウィップで縛られ、インペラーは身動きが取れなくなってしまった。

 

「ぐ、テメェ等……!!」

 

「大人しく捕まって貰うぞ……!」

 

既にインペラーは全てのカードを使い切ってしまい、もう手札が残っていない。反撃の術がないインペラーにライアとファムがジリジリ迫ったその時……

 

 

 

 

 

 

≪SWORD VENT≫

 

 

 

 

 

 

ズバァン!!

 

「「ッ!?」」

 

インペラーの胴体を縛り付けていたエビルウィップが、どこからか回転しながら飛んできた長剣によって斬り落とされた。長剣が飛んできた方向にライアとファムが振り向くと、その先には岩岸の上に立っているアビスの姿があった。

 

「お前は……!!」

 

「言ったはずだ。邪魔をするなら容赦はしないと」

 

≪ADVENT≫

 

『『シャァァァァァァァァッ!!』』

 

「うわっ!?」

 

「ぐぅっ!?」

 

アビスバイザーにカードが装填された瞬間、海中から飛び出してきたアビスラッシャーとアビスハンマーがライアとファムに突撃し、2人を転倒させる。その隙にアビスはインペラーの隣に並び立つ。

 

「悪いなぁ二宮、助かったぜ」

 

「俺の手間をかけさせるな、全く……」

 

アビスは砂浜に刺さっている長剣―――アビスセイバーを右手で抜き取り、アビスラッシャーとアビスハンマーの攻撃を受けているライアとファムを見据える。2体の攻撃を切り抜けたライアとファムは、アビスの姿を見てすぐに身構える。

 

「ッ……またお前か……!!」

 

「そう、また俺だ。一応仕事なもんでな」

 

 

 

 

ライアとファム。

 

 

 

 

アビスとインペラー。

 

 

 

 

両者がそれぞれ構えていたその時だった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『双方、そこまでにしておけ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その存在が、一同の前に姿を現したのは。

 

「「「「!!」」」」

 

4人が振り向いた先にある、砂浜の大きな岩の上。そこには無数の羽根を周囲に広めながら、金色の光を強く放っている存在が立っていた。

 

「な……お前は……!?」

 

「ライダー……!?」

 

「ふぅん……こんな所に来るとはな、雇い主さんよ」

 

「へっへっへ……!」

 

ライアとファムはその姿を見て驚くが、アビスとインペラーはその存在の事を知っているようだった。金色の光り輝くその存在は、腕を組んだ状態で一同に言い放つ。

 

『今、お前達がこの場で争っている場合ではない……お前達には、この世界に現れたモンスター達を倒して貰わなければならないからな……』

 

「何……!?」

 

 

 

 

 

 

金色に輝くボディ。

 

 

 

 

 

 

鳥の羽根を模した両肩の装甲。

 

 

 

 

 

 

金色のベルト。

 

 

 

 

 

 

鳥のエンブレムが刻まれたカードデッキ。

 

 

 

 

 

 

『戦い続けろ、ライダー達よ……この地に巣食うモンスター達と……!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如現れた金色の戦士―――“仮面ライダーオーディン”は、一同の前でそう言い放つのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎StrikerS!


手塚「神崎士郎の、操り人形……!?」

オーディン『お前達にもいずれ、大きな試練が訪れる事だろう』

二宮「そろそろ目障りだな……」

スカリエッティ「ウーノ、彼のコンディションは万全かな?」

???「どいつもこいつもイラつかせるな……!!」


戦わなければ生き残れない!
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