リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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現在、活動報告でオリジナルライダーを募集中。

しかし、思ったよりアイデアが送られて来なくて内心ションボリしております。簡潔にでも良いんだ……誰かアイデアを、オリジナルライダーのアイデアを下さい……(´・ω・`)

……そんなアホ過ぎる呟きはさておき、第21話をどうぞ。

追記:気付けばまた日間ランキングに入っていました。今回は86位ですが、それでも嬉しい事には変わりありません。ありがとうございます!
(というか前回10位になった時はマジで何があったんだろう……?)



第21話 知る覚悟

「あ、ぁ……そんな……」

 

「ヘリが……!」

 

ディエチの繰り出した砲撃がヘリに向かい、引き起こされた爆発。その光景を見たスバル達は愕然とし、ヴィータは怒りの形相でルーテシアに掴みかかる。

 

「おい、他にも仲間がいんのか!? どこにいる!! 言え!!」

 

「お、落ち着いて下さいヴィータ副隊長!!」

 

スバルの制止も聞かずにルーテシアに問い詰めようとするヴィータだが、ルーテシアは口を閉ざしたまま何も答えようとしない。その時、レリックのケースを確保していたエリオの足元の地面から、ヌルリと謎の腕が伸びる。

 

「!? エリオ君、足元!!」

 

「え……うわ!?」

 

「レリック頂き!」

 

「しまった!?」

 

それに気付いたギンガが叫ぶも、それと同時に地面から飛び出してきた水色髪の少女―――“セイン”がエリオからケースを強奪。ティアナがクロスミラージュで狙い撃つも、弾丸が命中する前にセインはすぐさま地中へと潜ってしまう。

 

『ルーお嬢様、ナンバーズ6番のセインです。私のIS“ディープダイバー”でお助けしますので、フィールドとバリアをオフにしてジッとしてて下さいね』

 

『うん。アギトと浅倉は……』

 

『アギトは今の一瞬で離脱しましたよ。浅倉の旦那は……アタシが言っても聞かないんで、後でトーレ姉様が回収するそうです』

 

『……了解』

 

「!? テメェ!!」

 

「ほいじゃ、さよなら~!」

 

そしてヴィータ達の不意を突き、ルーテシアのすぐ隣の地面から浮かび上がったセインは、彼女を抱き寄せると同時にすぐにまた潜水。ヴィータがグラーフアイゼンを振るうも空振りに終わり、セイン達の行方をリインがサーチしようとしたが……

 

「駄目です、ロストしました……」

 

「くそ……!!」

 

気付けばアギトの姿もない。ルーテシア達にまんまと逃げられてしまい、ヴィータが舌打ちする一方、離れた場所では王蛇が地面を転がり、その王蛇にライアがベノサーベルを突きつけていた。

 

「大人しく捕まれ、浅倉……!!」

 

「アァ~……やっぱり戦いは良いねぇ」

 

王蛇は悔しがるどころか、むしろ戦いを楽しんでいる様子だ。ご機嫌な王蛇は左手でベノバイザーを取り出し、装填口を開いて1枚のカードを装填する。

 

≪ADVENT≫

 

『グォォォォォォォォォン!!』

 

「!? ぐぁっ!!」

 

電子音と共に、近くのビルの割れ欠けているガラスから二足歩行のサイを思わせる怪物―――“メタルゲラス”が飛び出し、物凄い勢いで突進を仕掛けて来た。思わぬ攻撃にライアは大きく地面を転がされ、ベノサーベルを地面に落としてしまう。

 

「海之!!」

 

「くっ……メタルゲラスも一緒なのか……!!」

 

『グォォォォォォッ!!』

 

振り返ったメタルゲラスが再び突進を仕掛け、ライアとファムが左右に回避する。その隙に王蛇は別のカードをベノバイザーに装填し、別の武器を召喚しようとしていた。

 

≪STRIKE VENT≫

 

「オラァッ!!」

 

「ぐぅ!?」

 

「うわっ!?」

 

メタルゲラスの頭部を模した手甲型武器―――“メタルホーン”を右手に装備し、王蛇はそれを振り回しライアとファムに強烈な一撃を炸裂させていく。

 

「あのガキ共は帰ったか……まぁ良い、もっと遊ぼうぜぇ!!」

 

「貴様という奴は……ッ!!」

 

王蛇がメタルホーンでライアに殴りかかる一方、ファムは先程放り捨てられたブランバイザーを拾おうと、地面に落ちているブランバイザーに右手を伸ばそうとしたが……

 

「……ッ」

 

ブランバイザーを掴もうとした時、ファムの右手がピタリと止まる。先程脳裏に浮かび上がった言葉が、彼女の頭から離れずにいた。

 

「アタシ……アタシは……ッ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウフフのフ~♪ どぉ? 私のこの完璧な計画♪」

 

「少し黙ってて。今、命中を確認中」

 

ライダー達の戦いが続いている一方で、クアットロはヘリが砲撃で爆発したのを見て上機嫌だった。ディエチはヘリがちゃんと撃墜されたかどうか確認を行っている最中で、爆発による煙が少しずつ晴れていき……2人は驚愕させられる事となる。

 

「あれ、まだ飛んでる……?」

 

「あ、あら?」

 

ディエチが目撃したのは、砲撃が命中したにも関わらずヘリが平然と飛んでいる光景だった。これにはディエチだけでなくクアットロも唖然とした表情になるが、ヘリが今も普通に飛び続けているのには理由があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ま、間に合った……!!」

 

「ヴァイス君、シャマル先生、大丈夫ですか!?」

 

『え、えぇ、こっちは大丈夫よ!』

 

『女の子も無事でさぁ!』

 

ヘリに命中するはずだった砲撃は、ギリギリのタイミングで割って入ったなのはとフェイトの2人が強力な防御魔法を張り、何とか砲撃を防ぐ事ができていたのだ。何とかヘリを守れた事にホッとするなのはだったが、フェイトはある疑問を抱いていた。

 

(気のせいかな……さっき、何か変な音が聞こえたような……?)

 

しかし、今はそれを気にしている暇はない。ヘリに向かって砲撃なんて危ない事をしてきた者を捕まえるべく、なのはとフェイトは砲撃が飛んできた方角からクアットロとディエチの居場所を特定し、すかさずフェイトが高速で移動しクアットロ達の前に姿を現す。

 

「見つけた!!」

 

「うぇえ!? もう見つかった!?」

 

「速い……!!」

 

クアットロとディエチはすかさず逃走しようとしたが、そこになのはも追いついて来た。

 

「止まりなさい!! 市街地での魔法使用、及び殺人未遂の現行犯で逮捕します!!」

 

「今日は遠慮させて頂きますわ~……シルバーカーテン!!」

 

クアットロは自身のIS(インヒューレントスキル)―――シルバーカーテンを発動し、ディエチと共にその姿を見えなくさせる。しかし、なのは達は慌てる様子を見せず、フェイトがある人物に念話で呼びかけた。

 

『はやて!』

 

『位置確認、詠唱完了。発動まであと4秒……』

 

実は今回の戦い、なのはとフェイトだけでなくはやても参加していたのだ。本来、諸事情で現場に出られる回数が限られているはやては、その権限を惜しみなく使って現場に出向し、なのは達と同じくガジェットの殲滅に回っていたのだ。

 

「広域……遠隔攻撃!?」

 

「嘘ぉん!?」

 

「遠き地にて、闇に沈め……デアボリック・エミッション!!」

 

詠唱を終えたはやてによって、上空に巨大な黒い球体が出現。シルバーカーテンで逃げていたクアットロとディエチは驚愕する中、そこにはやてが容赦なく球体を巨大化させて周囲を飲み込んでいく。クアットロとディエチは必死に逃走を続けてギリギリ攻撃を回避する事ができたが、そこになのはとフェイトが飛来する。

 

「もう逃がさない……!!」

 

「「ひぃ!?」」

 

「トライデント……スマッシャー!!!」

 

フェイトが繰り出した雷撃魔法に、クアットロとディエチは焦った様子で抱き合った。その時……

 

「IS発動……ライドインパルス!!」

 

そんな声が聞こえた瞬間、クアットロ達が立っていた場所にフェイトの雷撃魔法が炸裂。その爆音と共に攻撃が命中したかと思われたが……

 

「……逃げられた……!!」

 

爆風が晴れたそこには、クアットロとディエチの姿はなかった。途中で誰かの救援が入った事にはなのは達も気付いていたようで、既にどこにも反応が感じられない事から追跡は断念せざるを得なくなってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘリは何とか無事みたいだな……!」

 

「よ、良かったぁ……!」

 

場所は戻り、ヴィータやフォワードメンバー達はヘリが無事である事を知り安堵していた。しかし、まだ安心している場合ではない。

 

「「うわぁ!?」」

 

「はははははは!!」

 

「「「「「!?」」」」」

 

メタルホーンで吹き飛ばされたライアとファムが、ヴィータ達のすぐ近くまで転がって来た。そこに跳躍して来た王蛇がメタルホーンを振り下ろそうとしたが、それに気付いたヴィータがグラーフアイゼンでメタルホーンを防いでみせた。

 

「テメェ、何のつもりだ!! 話によっちゃ拘束させて貰うぞ!!」

 

「あぁ? 邪魔だ。どけよ……!!」

 

「「はぁぁぁぁぁぁっ!!」」

 

そこへギンガとスバルが殴りかかり、王蛇を後退させる。更にティアナが銃弾を放ち、王蛇が怯んだところにエリオがストラーダによる一撃を炸裂させ、フリードリヒの放つ火炎弾が命中し王蛇を転倒させる。更にはライアまでもが飛び蹴りを繰り出し、立ち上がろうとした王蛇を大きく蹴り飛ばし、一同が一斉に王蛇を取り囲む。

 

「お前等ァ……!!」

 

「大人しく投降しろ、浅倉……!!」

 

ヴィータにリイン、フォワードメンバー達、ギンガ、そしてライアとファム。大勢に囲まれて圧倒的に不利な状況にまで追い込まれた王蛇だが、それでも彼の闘争心は未だ消え失せようとはしていなかった。その時……

 

チュドォォォォォォォン!!

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

「何だ……ッ!?」

 

「く……!?」

 

そんな一同の周囲に複数の魔力弾が飛来し、一同の視界を遮るように次々と爆発が発生する。全員が怯んだ隙にトーレが一瞬で駆けつけ、後ろから王蛇の首元を掴む。

 

「浅倉、引くぞ」

 

「ん……うぉっ!?」

 

突然後ろから引っ張られ王蛇が驚く中、トーレは王蛇を連れて素早く退却。煙が晴れる頃には、王蛇はその場からいなくなってしまっていた。

 

「ッ……逃がしたか」

 

「くそ……悪いはやて、こっちは逃げられちまった。召喚師の一味だけじゃねぇ、インペラーとは違う紫色のライダーまで現れたんだが、そいつも捕まえられずレリックまで奪われた……迂闊だったよ」

 

ヴィータが通信ではやてに報告するが、そこにスバル達が待ったをかけた。

 

「あ、あの、ヴィータ副隊長……」

 

「お前達は何も悪くねぇ。今回の件は完全にアタシ達の落ち度だ、お前達は気にするな」

 

「い、いえ、そういう事ではなくて……」

 

「何だよ? こっちは今報告中なんだ、邪魔するな」

 

「そ、そのレリックの事なんですけど……」

 

何度も報告を遮られて少しイラつくヴィータだったが、次にスバル達が言った言葉でそのイライラもすぐに消える事になる。

 

「今まで緊迫な状況で、言うタイミングがなかったんですが……」

 

「レリックについては、ちょっとした一工夫をしてまして」

 

「何?」

 

「どういう事ですか?」

 

「実は……こういう事なんです」

 

キャロが頭に被っていた帽子を取ると、そこには小さなカチューシャがあった。ティアナが指を鳴らした瞬間、そのカチューシャは一瞬でレリックに変化し、ヴィータとリインは驚かされた。

 

「ケースの方はシルエットではなく本物でした。私のシルエットは衝撃に弱いので、敵に奪われた時点でバレてしまいますから」

 

「そこで、ケースを開封してレリックに直接封印処理をして……」

 

「敵との接触が一番少ないキャロに持っていて貰ったんです」

 

「なるほど~!」

 

「でかしたお前等!!」

 

実は崩れる地下水道から脱出する直前、ティアナは先の展開を考慮し、予めケースから取り出したレリックに封印処理を済ませた後、ティアナの幻術魔法でレリックを小さなカチューシャに変え、キャロの帽子の中にずっと隠していたのだ。これにはリインとヴィータも素直に称賛し、ヴィータは笑顔でティアナ達の頭を思いきり撫で回したのだが……

 

「ん、何だ。あんまり嬉しそうじゃなさそうだな。アタシに撫でられるのが不満か?」

 

「あ……い、いえ、そういう事ではなくて……」

 

「実は、その……今回の任務中、色々ありまして」

 

「? どういう事だ」

 

「戻ってから説明する」

 

そこに変身を解除した手塚が、同じく変身を解除した美穂に肩を貸しながら歩み寄って来た。

 

「手塚……?」

 

「今回起きた事は、六課の全員に伝えなければならない……インペラーの身に起こった件でな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、機動六課の追撃を逃れて無事に逃走できたナンバーズやルーテシア達はと言うと……

 

 

 

 

 

「「「「か、空っぽぉ!?」」」」

 

とある洞窟内にて、クアットロ、ディエチ、セイン、アギトの4人が驚愕の声を上げていた。確保したケースの中身が、ティアナ達の作戦によって既に空っぽになっていたからだ。

 

「セインちゃん、あなたまさか……!」

 

「ア、アタシはちゃんと運んできたよ!?」

 

「ディープダイバーの使い方を間違えて、中身だけ落として来ちゃったとか?」

 

「そうだよ、そうに違いないって!!」

 

(……違う、これじゃない)

 

クアットロやディエチがセインを非難する中、ルーテシアはケースに刻まれている番号を見て少しがっかりした様子を見せていた。そんな彼女を他所に、セインはモニターを開いてクアットロ達からの疑いを晴らそうとした。

 

「ほら、見てよ!! ちゃんとスキャンして本物のケースだって確認したし……!!」

 

「ま、まぁ、確かにケースは本物のようですけど……」

 

「中身のレリックはどこに……?」

 

「馬鹿者共。お前達の目は節穴か」

 

そんな時、今まで黙って見ていたトーレが厳しめな口調で言い放ち、モニターに映っているキャロの被っている帽子を指差した。

 

「ここだ。この娘が被っている帽子の中にレリックが隠されている」

 

「うげ、じゃあしてやられたって事!? くっそぉ~!!」

 

「全く、見事に出し抜かれおって……」

 

セインが悔しそうに叫び、トーレが呆れた様子で頭を掻いたその時……トーレは後方から殺気を感じ、その身を横にズラした。その瞬間……

 

 

 

 

ズガァァァァァァァァァァンッ!!!

 

 

 

 

「うひゃあぁっ!?」

 

「「ひぃっ!?」」

 

同じく殺気を感じ取ったセイン達が左右に避けた瞬間、彼女達がいた場所にメタルホーンが振り下ろされ、地面を大きく陥没させた。もちろん王蛇の仕業だ。

 

「あ、浅倉の旦那? 一体何を……?」

 

「おい、まだ戦わせろよ……せっかく楽しんでいたのに邪魔してくれたな……!!」

 

「いい加減にしろ浅倉。あの状況ではお前の方が圧倒的に不利だったんだぞ、それをわかった上での発言か?」

 

「黙れ……俺は戦えればそれで良いんだよぉっ!!!」

 

「ぎゃあっ!? こっちに八つ当たりしないで頂戴!!」

 

「知った事かぁ……アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」

 

危うくメタルホーンが当たりそうになったクアットロが怒るが、王蛇にとってそんなのは知った事じゃない。戦いを途中で中断された彼は苛立った様子で洞窟の壁にメタルホーンを叩きつけては、セイン達に向かって思いきり振り回して来たりと、自分のイライラを発散させる為に暴れ始めた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!? 浅倉の旦那がまた暴走したぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

「全く、アイツの暴走ぶりは本当に頭が痛くなるな……お前達、少し手伝え。浅倉を取り押さえるぞ」

 

「えぇ!? アタシ等じゃ無理だよ、旦那の力が強過ぎるんだもん!!」

 

「文句を垂れるな、良いから手伝え!!」

 

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 

暴れ回る王蛇をトーレ達が取り押さえに入る中、アギトはグッタリした様子でルーテシアの頭の上で休み、ルーテシアは後ろで起こっている喧騒は完全にスルーしてケースを見つめていた。

 

「もう嫌だ……あの変態ドクターにしろ、ナンバーズにしろ、コブラ野郎にしろ……何でこんな胡散臭い奴等と関わる羽目になっちゃったんだろう……」

 

(絶対見つけてみせる。私の目的の為にも……早くお兄ちゃんを安心させる為にも……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――さて」

 

オンボロのアパート。窓ガラスを通じてミラーワールドから戻って来てから、アビスの変身を解除した二宮は早く休む為にソファに寝転がろうとしていた。その時、彼が戻って来た窓ガラスにオーディンの姿が映る。

 

『上手くいったのか? 二宮』

 

「あぁ。あの単細胞馬鹿はこっちで始末したよ……そういうお前こそ、俺が仕事で忙しくしている間に一体どこで何をしてやがった?」

 

『フッ……機動六課の連中が“聖王の器”を確保していたからな。少し連中のフォローに回ってやっていた』

 

「何……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は戻り、ヘリが砲撃で撃墜されそうになった瞬間。なのはとフェイトが防御魔法を張って、ヘリを守り切ろうとしていた時だった。

 

「ヤ、ヤベぇよ先生!?」

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

『……全く』

 

≪GUARD VENT≫

 

ドォォォォォォォォォォォォォォンッ!!!

 

この時、ヘリのガラスに映っていたオーディンは不死鳥を象った杖型の召喚機―――“鳳凰召錫(ほうおうしょうしゃく)ゴルトバイザー”にカードを装填し、そこから召喚した大型の盾―――“ゴルトシールド”を、なのはとフェイトが防御魔法を張っている所に向けて撃ち放っていたのだ。そのおかげで、なのはとフェイトはディエチの砲撃を防ぐ事に成功したのだが、シャマルやヴァイス達は砲撃が当たりそうな瞬間に目を瞑り、なのはとフェイトは飛んでくる砲撃の轟音でゴルトバイザーの電子音が聞こえておらず、あの一瞬の間にオーディンが介入していた事には気付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……聖王の器だと? 何だそりゃ」

 

『二宮、お前には話しておこう。あの聖王の器となる娘こそ、これから我々が計画を果たすのに重要な存在となりうるのだからな……』

 

「?」

 

“聖王の器”という言葉は初めて聞いたのか、二宮は首を傾げ、オーディンがそんな彼に詳細を語る。その内容は二宮の目を多少だが見開かせる事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから時間が経過し、時刻は夜。

 

エリオとキャロが見つけた金髪の少女は病院に搬送され、現在は病室でぐっすり休んでいる。その事については一同も安堵しているのだが……

 

「「「「「……」」」」」

 

六課は現在、ティアナが模擬戦でなのはに撃墜された時よりも、更に重苦しい空気に包まれてしまっていた。何故なら手塚やギンガ、フォワードメンバー達の口から、なのは達や美穂に知らされたからだ。

 

湯村が辿ってしまった、あまりにも残酷過ぎる末路を。

 

「じゃあ……あのインペラーが、死んだって事……?」

 

「……そういう事になる」

 

「スバル達の顔色が妙に悪いと思ったら、そういう事だったのか……」

 

「……あの後、インペラーの砕けたカードデッキは回収してフィニーノ達に提供した。アレで何かしらの解析ができれば良いが……今はそんな事を言っている場合ではないか」

 

ソファに座っていた手塚がチラリと見た先には、神妙な顔つきで手塚を見ているティアナ達の姿があった。

 

「何か聞きたそうな顔だな。ランスター」

 

「……はい」

 

フォワードメンバーを代表し、ティアナが前に立って手塚の顔を真正面から見据える。そしてティアナは、手塚の隣に座っている美穂の方にも視線を向ける。

 

「任務に入る前……エリオとキャロがあの女の子を発見して、シャマル先生が診断をした後の事です。あの女の子を保護した直後に、あのインペラーの変身者である男が現れました。その男はこう言っていた……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺が最低だと? それはあの白鳥女にも言える話だろうがよ』

 

『お前等、あの女が元いた世界で一体何をしていたか知ってるか? あの女が一体どんな事をやらかしたか、お前等は知ってんのかよ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの男は、明らかに知っているかのような口ぶりでした。美穂さんの過去を」

 

「ッ!!」

 

ティアナがそう言った瞬間、美穂がビクッと怯えたように肩を震わせる。それにフェイトが気付くが、ティアナは敢えて構わず続けた。

 

「そんな彼が、戦いの中でモンスターに喰われて死んだ。今まで手塚さん達は鏡の世界―――ミラーワールドで戦っていたから、手塚さん達が普段どんな戦いをしていたのか、私達は知りませんでした……けど」

 

バラバラに砕け落ちていくインペラーのカードデッキ。

 

湯村に群がっていくガゼル軍団。

 

そのガゼル軍団に貪り喰われていく湯村の断末魔。

 

その一連の光景が脳裏に浮かび再び顔色が悪くなっていくティアナだったが、それでも耐えて話を続ける。

 

「今日、初めて知りました。あんな簡単に人の命が失われるような戦いに……いつ死が迫って来るのかもわからないような戦いに、手塚さんと美穂さんが関わっていたなんて」

 

「……そうか」

 

「それで、私は思ったんです……そんな危険過ぎるモンスターの力を使ってまで、仮面ライダーはどうして戦うんですか?」

 

「!」

 

「あの男が言っていた事からして、ただモンスターと戦う為だけにライダーの力が存在してるようにはとても思えないんです。あのミラーワールドって……モンスターって何ですか……仮面ライダーって、一体何なんですか!?」

 

段々声が大きくなり、怒鳴るように問い詰めるティアナを、咎める者は誰もいなかった。今この場にいる六課の全員が、同じ事を思い始めていたからだ。手塚もまた、そんなティアナと黙って視線を合わせている。

 

「……いずれは」

 

今まで黙って話を聞いていたはやてが、静かに口を開く。

 

「手塚さんや美穂ちゃんの方から話してくれると思って、今まで敢えて聞かずに黙っていた……せやけど、今回の件がある以上、そろそろ私達も知っておきたいんや。モンスターがこの世界に巣食っているからには……あの紫色のライダーが召喚師の一味と関わっているからには、この世界で起こる事件に関わっている私達も、いつまでも事実を知らないままでいる訳にはいかへん」

 

「……」

 

「これでも、手塚さんと美穂ちゃんが信用できる人間なのは充分わかり切っとるつもりや。せやから、話してくれへんか? あなた達が持っている……仮面ライダーの力の意味を」

 

静寂の時間が続く。この場にいる全員が、手塚と美穂に視線を送っている。手塚は数秒間だけ目を閉じた後、閉じた目をスッと開いてから、ゆっくり口を開いた。

 

「……皆が言おうとしている事は理解したつもりだ。その上で敢えて聞かせて貰おう。俺達の過去を……俺達がこれまで関わってきた戦いを……全てを知る覚悟が、お前達にはあるか?」

 

手塚の問いかけに、一同が静かに頷く。あのシグナムやヴィータもだ。それを見た手塚は小さく息を吐いた。

 

「……わかった。俺達の知る全てを話そう。良いな? 美穂」

 

「……うん」

 

怯えたような表情でソファに体育座りをしていた美穂も、弱々しい声だが返事を返す。それを聞いて、手塚は目の前のテーブルに自身のカードデッキを置いた。

 

「ここにいる全員が察しているように、俺達が持っているカードデッキは元々、人助けの為だけに存在する力ではない。本来の使い道は別にある」

 

「……何ですか? それは」

 

フェイトの問いかけに答えるように、手塚は伝える事にした。

 

 

 

 

 

 

「あのインペラーとの戦いを思い出せば、皆も薄々だがわかってくるはずだ。この力は……」

 

 

 

 

 

 

自分達が関わってきた、あの戦いの事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「仮面ライダーは元々、殺し合いをする為に存在していたんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎StrikerS!


フェイト「死んだって……手塚さんと美穂さんが……?」

ヴィータ「死ぬとわかってて、それでも戦ってきたってのか……!?」

手塚「俺は誰よりも優しく、誰よりも強かった男を1人知っている」

美穂「咎めを受けるべきなのは、むしろアタシの方だよ……」


戦わなければ生き残れない!
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