リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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お待たせしました、第25話の更新です。

今回はようやく、活動報告で募集した中から選ばせて頂いたオリジナルライダーの初戦闘になります。

それから今回、ちょっとばかり今後の展開を示唆する描写も加えてみたり。

それではどうぞ。






挿入歌:果てなき希望



第25話 少女ヴィヴィオ

手塚海之と霧島美穂―――改め白鳥夏希の2人が、自分達の過去を六課に打ち明けてから翌日……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「~♪」

 

とある地下駐車場。サラリーマンの男性が、鼻歌を歌いながら自身の車に乗り込もうとしていた。

 

その時……

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

「! 何だ……?」

 

そんな彼の耳に、甲高い金切り音が響き渡ってきた。何事かと男性は周囲を見渡していたその時、彼が乗り込もうとしていた車のガラスがグニャリと歪み……

 

『グジュルルルル……!!』

 

「へ、うわぁっ!?」

 

そこから伸びて来た1本の触手が、男性を捕らえてガラスの中に引き摺り込んでしまう。その後、車の前には男性が先程まで手に持っていたカバンだけが遺されていたのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方……

 

 

 

 

 

「すみませんシグナムさん。車を出して貰っちゃって」

 

「構わんさ。車はハラオウンからの借り物だからな。それに向こうにはシスターシャッハもいらっしゃる、私の方から仲介した方が良いだろう」

 

なのは・シグナム・手塚の3人は現在、車に乗って街を移動していた。先日保護された金髪の少女がいる病院まで向かう為だ。車はシグナムが運転しており、なのはは助手席、手塚は後部座席に座っている。

 

「それにしても手塚。自分から同行を願うとは、何か気になる事でもあるのか?」

 

「少しな……ある重要な人物に出会うと占いに出た。恐らく、あの女の子である可能性が高い」

 

「……改めて聞くが、本当に魔力を持たない人間なのか? もはやレアスキルだったとしても私は驚かんぞ」

 

「残念ながら、検査でも魔力なしという結果が出ている」

 

(それ、残念って言うのかなぁ……)

 

魔力を持たない人間が、何故そんな凄い占いができるのか。というかそれはもはや占いじゃなくて未来予知の類ではないのか。かつてフェイトが抱いたのと全く同じ疑問を抱くなのはとシグナムの2人だったが、そこに突然小さなモニターが出現し、映像通信が繋がった。

 

「ん、シスターシャッハ? どうかしましたか?」

 

『申し訳ありません! 実は―――』

 

その映像通信から聞こえて来たシスターの女性―――“シャッハ・ヌエラ”の報告を受けて、3人は驚かされた。

 

「え、脱走した……!?」

 

「……こうも面倒事が起こるとはな」

 

シャッハからの報告によると、あの金髪の少女が病院で検査を受けている最中、ちょっと目を離した隙に姿を消してしまっていたらしく、現在病院内では少女の捜索が行われているという。その報告を聞いて、手塚は小さく苦笑するが、その内心では違う事を考え始めていた。

 

(あの時、占いで見えた光景は……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

燃え盛る炎の中、何者かに抱えられている金髪の少女……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

崩れ行く瓦礫の中、地面に倒れ伏しているライアとファム……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなライアが見据える先に立っているのは、まだ見ぬ仮面ライダーの後ろ姿……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(間違いない……あの少女には何かがある)

 

あの光景がいずれ訪れる未来なのは既に確定している。それが如何にして起こるのかまではわからないが、少なくとも占いの中に映っていた以上、あの少女から目を離すべきでないのは確かだ。

 

「……変えなければ。何としてでも」

 

「え、何か言いましたか?」

 

「いや、何でもない」

 

「「?」」

 

その小さな呟きを、なのは達が聞き取る事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シスターシャッハ、状況は?」

 

「は、はい! 既に病棟と、その周囲の封鎖と避難は完了しています! 現時点ではまだ、侵入者の存在は確認されておりませんが……!」

 

その後、病院に到着した3人はシャッハと合流し、手分けして少女を探し始めた。シャッハとシグナムの2人は病院内、なのはと手塚の2人は病院の中庭をメインに捜索しており、なのははシャッハと通信を繋げながら中庭を探し続けている。

 

「じゃあ、検査では特に異常は出なかったって事ですね?」

 

『それでも、悲しい事ですが……あの子が人造生命体である事だけは間違いありません。一体、どんな危険性を秘めているのか……』

 

「……何にせよ、まずはその子を見つけ出すのが先決だな。話はその後だ」

 

「そうですね……って、あれ?」

 

中庭を探し回る中、なのはは近くの茂みがガサガサ揺れている事に気付いた。手塚もそれに気付き、2人は無言で目配せしてからゆっくりその茂みへと近付いて行く。するとその茂みの中から、白いウサギのぬいぐるみを抱きかかえているあの少女が姿を見せた。

 

「あ、ここにいたんだね」

 

「っ……!」

 

なのはが声を出した事で、少女も2人の存在に気付きビクッと怯えた様子で後ずさりする。それでもなのはは慌てず、なるべく笑顔で優しい口調で少女に接する。

 

「あ、ぅ……」

 

「心配したんだよ? 突然いなくなったって聞いたから」

 

なのはが笑顔でゆっくり歩み寄るのに対し、少女はまだ少し怯えている表情ではあるものの、なのはの見せる笑顔に優しさを感じ取ったからか、後ずさりをする様子は見られない。そんな中、こういう事は女性に任せるのが一番だろうと考えた手塚は、敢えて自分は近付かず、少し離れた位置から彼女達の様子を眺める事にした。

 

しかし……

 

 

 

 

「逆巻け、ヴィンデルシャフト!!」

 

 

 

 

「「「ッ!?」」」

 

なのはと少女の距離が縮まろうとした直後、騎士甲冑のようなバリアジャケットを着たシャッハが、トンファーの形状をした双剣型デバイス―――“ヴィンデルシャフト”を装備して2人の間に着地。突然現れたシャッハになのはと手塚が驚き、少女はまた怯えた様子で後ずさりし、その場に座り込んでぬいぐるみを落としてしまった。

 

「……何て無茶無茶な」

 

「あ、う……ぁ……!」

 

いくら警戒しているとしても、無防備な子供の前で武器を構えるのは流石にどうなのか。手塚が少しだけ呆れた表情を浮かべ、なのはが慌てて少女を守るようにシャッハの前に立つ。

 

「シ、シスターシャッハ! ちょっと待って下さい!」

 

「え? で、ですがその子は……!」

 

「ヌエラ殿。そちらの事情もわかるが、あまり子供を怖がらせるものではないだろう。かえって問題を悪化させてしまいかねない」

 

「うっ……すみません、軽率でした」

 

手塚からも指摘され、シャッハが申し訳なさそうに後ろに下がる。その後、なのはは再び少女の方に振り返り、座り込んでいる少女の前でしゃがみ込む。

 

「ごめんね、驚いちゃったよね。怪我とかしてない?」

 

「あ……うん」

 

「良かった。何とか立てそう?」

 

「うん……」

 

少女がゆっくり立ち上がった後、手塚は地面に落ちているウサギのぬいぐるみを拾い上げ、なのはと同じように少女の前でしゃがみ込む。

 

「初めまして。お姉さんは高町なのはって言います」

 

「俺は手塚海之。君の名前、教えてくれないか?」

 

なのはと手塚が笑顔を浮かべて自己紹介し、少女はまだ少し怯えながらも手塚からぬいぐるみを受け取り、恐る恐る口を開いた。

 

「……ヴィヴィオ」

 

「ヴィヴィオ、か……良い名前だね」

 

「ん……」

 

なのはに優しく頭を撫でられ、少女―――ヴィヴィオが目を細める。その表情は嫌がる様子は見せていない。

 

「ヴィヴィオは、どこか行きたかったの?」

 

「……いないの」

 

「え?」

 

「パパとママ……どこにもいないの……!」

 

「「!」」

 

なのはと手塚は目を見開いた。ヴィヴィオは人造生命体なのだから、当然親などいるはずもない。しかし今にも泣き出しそうな少女の前で「君に親はいない」なんて残酷な事を言えるはずもない。だから……

 

「そっか……なら、一緒に探そうか。お姉さんやお兄さん達もお手伝いするから」

 

「……うん」

 

「ヴィヴィオ、泣き止めそうか?」

 

「……うん」

 

少女の前で、なのは達はただそう言う事しかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、オンボロなアパートでは……

 

 

 

 

 

「―――つまり、お前は今日1日だけ休みを取ったという事か?」

 

「そういう事。今日は鋭介と一緒に、のんびり過ごせそうだわぁ~」

 

「俺にとっては悪夢の1日だな……」

 

今日1日だけ休暇を取ったドゥーエは、ベッドに寝転がってのんびり寛いでいた。ソファに座ってテレビを見ていた二宮はウンザリした様子で愚痴を零しながら、手元に置いている皿から1枚の煎餅を手に取って齧り、口の中でボリボリ噛み砕いている。

 

「あ、そうだ鋭介。せっかくの休みなんだし、今日は2人でどこかお出かけでもしない?」

 

「却下。浅倉が街をうろついてる可能性があるってのに、外出なんぞできるか」

 

「それなら問題ないわよ。その浅倉って奴、好き勝手に暴れ過ぎたせいでトーレ達にまた取り押さえられちゃったらしいから、少なくとも今はこの街にはいないはずよ。もう1人の方も、まだ別の街で活動中みたいだし」

 

「……それを差し引いたとしても、機動六課にあの2人がいる時点でこっちは全く安心できんわ。一応釘を刺しているとはいえ、普段から奴等と遭遇しないに越した事はない」

 

「もぉ、融通利かないわねぇ……あ、そうだ。急いで伝えなきゃいけない事があったわ」

 

「あ?」

 

ドゥーエはある事を思い出し、ベッドからムクリと起き上がる。

 

「もうじき地上本部から機動六課の方に、ちょっとした臨時査察が入るみたいなの」

 

「それがどうかしたのか」

 

「とにかく聞いて。まず機動六課の方は、リミッター付きとはいえランクの高い魔導師が複数で、おまけに次元漂流者という名目で2人の仮面ライダーと連携してる。そして地上本部の方はと言うと、特別扱いを嫌うあのレジアス中将がいる……ここまで言えば、鋭介でもわかるんじゃないかしら?」

 

「……!」

 

ドゥーエが言いたいのはこうだ。機動六課は元々、仮面ライダーの存在を差し引いても過剰と言えるレベルの戦力を保有している。そこに連続失踪事件の真相を知る仮面ライダーが2人も連携しているのだ。もしこの事がレジアス中将に知られてしまえば、レジアス中将はその点を突いて容赦なく六課を叩き、解散にまで追い込もうとするかもしれない。

 

「……それは確かに困るな」

 

オーディンと共に立てている計画を進めていく場合、今はまだ機動六課を潰される訳にはいかない。少なくともライアとファムの2人には、機動六課に滞在していて貰わなければ困るのだ。

 

(少し面倒だが、仕方ないか……)

 

二宮は煎餅の皿を一旦テーブルに置き、上着のポケットからメモ用紙とボールペンを取り出す。

 

「ドゥーエ。少し手伝って貰いたい事がある」

 

「あら、何かしら」

 

「前にブライアンを始末しに行く時、お前に見せて貰った地上本部のルート……もう一度確認しておきたい」

 

「……という事は、これから外出の時間って事ね?」

 

「あぁ。もう何本か、釘を刺しておく必要があるとわかったんでな。近い内に尋ねさせて貰うとしよう」

 

「少なくとも、今すぐって訳ではなかったはずよ。尋ねるなら時期を見た方が良いかもしれないわ」

 

「タイミングも重要か……まぁ良い。少し手伝って貰うぞ」

 

「あ~あ、せっかくのお休みなのにまたお仕事しなきゃいけないなんて最悪よねぇ~。何かしら埋め合わせでもして貰わないと個人的に納得がいかないわねぇ~」

 

「……お前はこんな俺に何を期待してるんだ」

 

そんなドゥーエの態度にイラっとする二宮だったが、舌打ちしてから妥協した様子で頭を掻く。

 

「わかったわかった。買い出しくらいなら付き合ってやる」

 

「あら嬉しい、そう来なくっちゃ♪」

 

「全く……」

 

二宮にとっては、ドゥーエのおかげでミッドチルダの魔法文化や管理局の存在を知る事ができたのも事実。ある協定を結んでいる以上、たまには彼女の要求も呑んでやらなければならない……それが二宮の胃を痛める要因にも成り果ててしまっている訳なのだが。

 

「俺達はあくまで利害の一致で手を組んでいるだけだ。あまり羽目を外し過ぎてヘマをやらかすなよ」

 

「心配御無用。私の“ライアーズ・マスク”がどんな能力なのか、あなただってわかってるはずよ」

 

「それは確かにそうだが……」

 

「それに。毎日こんな部屋に閉じ籠ってないで、少しは外に出て気分転換をしてみるのも大事だと思わない?」

 

ベッドから立ち上がったドゥーエは、二宮の隣に座り込む。現在のドゥーエは黒いタンクトップに青色のホットパンツという、それなりに肌の露出が多い恰好だ。そんな恰好の彼女が二宮に寄り添っているにも関わらず、二宮は表情1つ変えようともしていない。

 

「私からすれば、こんなにアピールしてるのに全く動じない男はあなたが初めてよ。あなたがこれまでどんな人生を過ごして来たのか……あなたが一体どんな人間なのか……手を組んだ者同士として知っておきたいのよ。それくらいなら別に何の問題もないでしょう?」

 

「誰のせいでストレスを溜めてると思ってんだか……言っておくが」

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

『『グルルルル……!!』』

 

「!」

 

例の金切り音と共に、部屋の窓ガラスにアビスラッシャーとアビスハンマーが映り込む。2体はドゥーエを睨みつけながら、小さく唸り声を上げている。

 

「コイツ等は今でも、お前の血の匂い(・・・・)を忘れちゃいない。その事を頭に入れておくんだな」

 

「わかってるわよ。私はその上で言わせて貰ってるんだから」

 

「……ならば良い。お前の好きにしろ」

 

「えぇ、そうさせて貰うわ」

 

二宮が諦めた様子で溜め息をつき、ドゥーエはそんな彼に寄り添ったままご機嫌な様子で、地上本部の内部構造を示した映像を自分達の目の前に出現させる。

 

(たく、本当に面倒な女だ……)

 

「~♪」

 

ドゥーエにくっつかれている二宮は、ルートを書き記しにくいと横目で彼女を睨みつけるが、ドゥーエは知らんぷりを決め込んでいる。好きにしろと言った以上、何を言っても無駄な事を悟った彼は、もはや何度目かもわからない溜め息をつく羽目になるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、機動六課本部では……

 

 

 

 

 

「う~ん、どないしよっか……」

 

二宮が懸念していた六課への臨時査察について、はやても同じく頭を悩ませているところだった。その臨時査察について現在はフェイトと話し合っており、する事が何もなくて退屈だった夏希も会話に参加している。

 

「確か、地上本部から臨時査察があったんだっけ」

 

「そうなんよ。この六課も結構無茶なやり方で設立したしなぁ……」

 

「ねぇ。地上本部の査察ってそんなに厳しいの?」

 

「前に言った、レジアス中将が特にそうなんです。ただでさえうちは戦力が強過ぎるのに加えて、手塚さんと夏希さんの事もありますし。もし2人が仮面ライダーである事や、2人が連続失踪事件について詳しく知っている事などが知られてしまった場合……」

 

「色々面倒な事になるのは間違いないわなぁ。下手したら、六課自体が解体される可能性も……」

 

「げ、そうなの? じゃあ査察の間、アタシと海之は隠れた方が良いかな?」

 

「2人は一応、表向きは次元漂流者の扱いや。何も知らない一般人を装えば何とか……なるんかなぁ」

 

「いや、自信なさげにアタシに言われても困るって」

 

査察の間だけ、何とかして手塚と夏希が仮面ライダーである事は隠し通さなければならない。今後の事を思う内に溜め息をつくはやてとフェイトだったが、ここでフェイトが話を切り替える。

 

「そういえばはやて。これ、査察対策にも関係してくるんだけど」

 

「ん、何や?」

 

「そろそろ聞いても良いかな……この機動六課を設立した、本当の理由を」

 

この時、フェイトの表情はかなり真剣な物だった。それを見たはやてと夏希も表情が切り替わる。

 

「……確かに。教えるなら、今がええタイミングかもしれへんな」

 

「危険なロストロギアの回収が主な理由じゃないの?」

 

「それは一応本当の話や……けど、本当の理由はまた別にある。これは私達だけじゃなく、なのはちゃんや手塚さんも交えて話した方がええと思う」

 

「「?」」

 

はやての言葉に、フェイトと夏希は顔を見合わせて首を傾げる。

 

「実を言うと、これから聖王協会本部の騎士カリムの所まで向かう予定や。そこで私達隊長3人に、手塚さんと夏希ちゃんも一緒に来て欲しい」

 

「私と海之も?」

 

「せや。これは2人にとってもかなり重要な話になると思うとる……まぁとにかく、なのはちゃんと手塚さんを呼び戻すのが先決やな」

 

そう言って、はやてがなのはと手塚に呼びかけようとモニターを出現させ、通信を繋げた時だった。

 

 

 

 

 

 

『うぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!!』

 

 

 

 

 

 

「「「……へ?」」」

 

モニターの映像に、大声で泣いているヴィヴィオの姿がドアップで映り込んだのは。

 

『あ~も~ヴィヴィオちゃん! お願い泣き止んで!』

 

『いやだぁ~! 行っちゃやだぁ~!』

 

『……参ったな。どうするべきか』

 

そんなヴィヴィオを何とか泣き止ませようとするなのはだが、ヴィヴィオは全く泣き止みそうにない。ヴィヴィオにそれぞれ服の袖を掴まれているなのはと手塚が困り果てている光景は、はやて達にもしっかり目撃されていた。

 

「え、えっと……なのはに手塚さん……」

 

「その子どうしたの?」

 

『あ、フェイトちゃんに夏希ちゃん! お願い助けて!』

 

『そろそろどうにかなってしまいそうだ……』

 

「……ティアナちゃん。事情を説明してくれへん?」

 

『あ、はい、実は……』

 

 

 

 

 

 

 

その後、合流した3人はティアナから、何があったのか簡潔に説明を聞く事になった。ヴィヴィオの両親を探す手伝いをしてあげると言ったなのはと手塚だったが、当然ヴィヴィオの親など見つかるはずもない。そのせいでヴィヴィオがまた泣き出しそうになった為、2人で何とか泣き止ませようと必死に構い続けた結果、気付いたらかなり懐かれていたらしく、こうして2人にしがみついたまま離れなくなってしまったそうだ。

 

「エースオブエースと仮面ライダーにも、勝てへん相手がおるんやなぁ」

 

「大変だねぇ2人共……ぷ、くくく……!」

 

「八神に夏希、笑ってないで何とかしてくれ。俺達はこの状況をどうやって切り抜ければ良い?」

 

「ほらほらヴィヴィオちゃん、笑ってー!」

 

「うぇぇぇぇぇん!」

 

はやてと夏希は面白そうに笑っているが、手塚は慣れない子供の相手にすっかり疲弊していた。今でもスバルが何とかヴィヴィオを笑わせようと必死にいないいないばぁをしているが、それでもヴィヴィオは全く泣き止みそうにない。一同がすっかり困り果てていたその時……

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

あまりに最悪過ぎるタイミングで、モンスター出現の報せとなる金切り音が聞こえて来た。

 

「うっそぉ、こんな時に……?」

 

「手塚さん、ここは私達に任せてモンスターを―――」

 

「いーやーだーっ!! いっちゃやだぁーっ!!」

 

「―――無理そうですね」

 

「わかってくれたか。俺達の苦労が」

 

しかも今はこんな状況だ。ヴィヴィオに泣きつかれしまって離れられない以上、このままだと手塚はモンスター退治に行きたくても行けそうにない。

 

「良いよ良いよ、モンスターはアタシで何とかするから。海之達は何とかしてその子を泣き止ませなよ」

 

「……すまない、頼む」

 

「どういたしまして。また1つ貸しって事だね♪」

 

その結果、今回は夏希だけがモンスター退治に向かう事になり、夏希は近くの窓ガラスまで向かって行く。一方でフェイトはヴィヴィオが落としたウサギのぬいぐるみを拾い、ヴィヴィオの前でしゃがみ込む。

 

「ひっぐ、ぐす……ふぇ?」

 

「こんにちは。この子はあなたのお友達?」

 

「……うん、お友達」

 

「そう。可愛いお友達だね♪」

 

(((((おぉ、一瞬で泣き止んだ……!)))))

 

(……凄いな)

 

フェイトがぬいぐるみを使って上手くヴィヴィオの気を引いた事で、ヴィヴィオは泣き声が一瞬で収まった。それを見たなのは達は、子供をあやすのに手慣れているフェイトに心から感謝し、手塚もそんなフェイトに心から感心している。

 

 

 

 

 

そして数分後、フェイトは何とかヴィヴィオを説得する事に成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『グジュルルルル……』』

 

「いた、アイツ等か……!」

 

場所は変わり、ミラーワールド内のオフィス街。その街中を移動しているイカの怪物―――“バクラーケン”と“ウィスクラーケン”の2体を、ライドシューターで駆けつけたファムが発見した。

 

「あの女の子の事も気になるし、さっさと片付けようか!」

 

≪SWORD VENT≫

 

『『グジュ? グジュルルル……!!』』

 

ファムが召喚したウイングスラッシャーをキャッチし、ブランバイザーの電子音でファムの存在に気付いたバクラーケンとウィスクラーケンはファムに向かって威嚇するように鳴き声を上げ、バクラーケンはその長い触手を伸ばしてファムの胴体に巻きつけた。

 

「え……きゃあ!? ちょ、何これ、気持ち悪っ!!」

 

ファムは胴体に巻きつけられた触手で一気にバクラーケンの目の前まで引き寄せられ、バクラーケンに取り押さえられてしまう。何とかして触手から脱出しようとするファムだったが、ウイングスラッシャーごと巻きつけられているせいでウイングスラッシャーはまともに振り回せず、ブランバイザーは左腰のホルスターに納めたまま手が届きそうにない。

 

『グジュルルルル……!!』

 

(あれ? これ、何か大ピンチになってない!? ちょ、ヤバい!! これはちょっとヤバ過ぎるって!?)

 

バクラーケンがファムを取り押さえる中、もう片方のウィスクラーケンはその手に持っている槍をファムに向けて構え始めた。それを見たファムは自分がピンチである事に気付き、慌ててこの窮地を脱するべく何とかして胴体に巻きついている触手を引き剥がそうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな彼女の様子を、陰から見据えている存在がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪ADVENT≫

 

『『グラァウッ!!』』

 

『『グジュア!?』』

 

「……え?」

 

どこからか聞こえて来た電子音。それがファムの耳に届くと同時に、突如現れた2体の狐型の怪物―――“マグニレェーヴ”と“マグニルナール”が跳躍し、バクラーケンとウィスクラーケンに体当たりを炸裂させ、バクラーケン達を大きく吹き飛ばした。そのおかげで触手から脱出できたファムは、突然現れた2体の狐型モンスターを見て唖然とする。

 

「はぁ!!」

 

『グジュウ!?』

 

「!」

 

すると今度は、どこからか跳躍して来た謎のライダーが、バクラーケンの顔面に強烈なパンチを炸裂させた。その姿を見たファムは驚愕した。

 

「……嘘でしょ……?」

 

 

 

 

 

 

狐のような耳が付いている、頭部の銀色の仮面。

 

 

 

 

 

 

両肩部分から、尻尾のような毛皮を生やした胸部装甲。

 

 

 

 

 

 

1本の細長い刀剣が付いた、狐の顔を模した左腕のガントレット。

 

 

 

 

 

 

カードデッキに刻まれた、狐の顔を模した金色のエンブレム。

 

 

 

 

 

 

それはまだファムも見た事のない、謎の仮面ライダーの姿だった。

 

「あれって、新しい仮面ライダー……!?」

 

「……」

 

その狐の特徴を持った戦士―――“仮面ライダーエクシス”は、左腕に装備している狐の顔を模したガントレット型の召喚機―――“狐召機甲(こしょうきこう)マグニバイザー”のスロットを開き、カードデッキから引き抜いたカードを装填口に装填する。

 

≪FINAL VENT≫

 

『『グァァァァァァァァウッ!!!』』

 

「え、何!?」

 

ファイナルベントの電子音が鳴り響いた直後、マグニレェーヴとマグニルナールは空に向かって鳴いた後、2体の姿が1つに重なり、強烈な光を放ちながら融合していく。そして……

 

『―――グルァァァァァァァァァァァァァッ!!!』

 

九尾らしい姿が特徴の四足歩行の怪物―――“マグニウルペース”の姿が露わになる。マグニウルペースは凶暴な目付きでバクラーケン達を睨みつけ、その光景を離れた位置から見ていたファムは更に驚愕させられた。

 

「アイツのモンスターも合体するの……!?」

 

『グァンッ!!』

 

『ッ!? グジュ、ジュ……!?』

 

「はぁぁぁぁぁぁ……ふっ!!」

 

マグニウルペースは九本の尻尾を動かしつつ、口元から2つの光弾を発射し、片方はバクラーケンに、もう片方はエクシスの背中に命中させる。エクシスは両手拳をぶつけるようにポーズを取った後、マグニウルペースがいる後方へと跳躍し……

 

「でりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

『グジュ、アァァァァァァァッ!!?』

 

エクシスがマグニウルペースの眼前に来た瞬間、マグニウルペースが両目を光らせ、エクシスがバクラーケン目掛けて一気に飛来。その一方でバクラーケンも突然エクシスがいる方向へと一気に引き寄せられ、バクラーケンの顔面にエクシスの強烈なキック―――“グラビティスマッシュ”が炸裂。バクラーケンがたまらず爆散する中、エクシスは爆発の反動を利用して宙返りし、華麗に着地してみせた。

 

「凄い……」

 

「……」

 

「あ、えっと……さっきは助けてくれてありがとう! あの……」

 

爆炎の中から浮かび上がるエネルギー体をマグニウルペースが捕食し、エクシスはそれを確認してからファムの方へと振り返る。ファムは先程助けて貰った事から、まずは助けて貰った礼を述べつつ、エクシスに何者なのかを問いかけようとしたが……

 

「……ふん」

 

「え……あ、ちょっと!?」

 

エクシスはそんなファムを見て鼻を鳴らし、その場からジャンプして一気にビルの屋上まで跳躍。完全に無視されたファムが慌てて呼び止めようとするも、エクシスの姿はあっという間に見えなくなり、気付けばマグニウルペースやウィスクラーケンも姿を消してしまっていた。

 

「あの仮面ライダー……一体誰なんだ……?」

 

そんなファムの疑問に、答える者は誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎StrikerS!


???「初めまして。聖王協会騎士のカリム・グラシアです」

はやて「ちゃんと話しとこっか。機動六課設立の本当の理由」

美穂「管理局が壊滅って……!?」

手塚「盾の騎士と、剣の騎士……?」


戦わなければ生き残れない!
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