なのでぶっちゃけ、そんなに面白味はないです。
それではどうぞ。
追記:非ログインの方でも感想を書けるようにしました。
「到着しました、手塚さん」
「……なるほど。ここが」
「時空管理局古代遺物管理部……機動六課。その本部隊舎です」
あれから翌日。ある程度体調が回復した手塚は何とか退院する事ができ、フェイトに連れられる形で機動六課の本部隊舎まで移動する事になった。車が停車し、車から降りた手塚は機動六課本部隊舎を見上げた後、フェイトの後に続くように中へ入っていく。
「レリック……だったか。確かここは、そういった物に関連する事件を担当する部隊なんだな?」
「はい。レリック専門部隊とはありますけど、レリック以外にも、ロストロギアに該当すると思われる物の事件は基本的に、この機動六課で請け負う事になっています」
このミッドチルダでいう新暦71年頃。密輸されたレリックが原因で発生したのが、大規模な空港火災。災害担当局員だけでは対応し切れず、近隣の陸士部隊や航空隊の局員も緊急招集され、高町なのは、フェイト・T・ハラオウン、そして八神はやての3人も出動する事になった大きな事件。この事件は何とか解決したものの、この一件を経た八神はやては、このような事件に対して迅速に行動できる部隊が管理局には必要だと実感し、機動六課の設立を決意する切っ掛けとなったのだ。
「管理局は大きな組織ですが、大き過ぎる為に小回りが利かなくて、そういった事件に対してはどうしても後手後手に回ってしまう事が多いんです。管理局の局員になって、私達も初めてそれを理解させられました」
「後手に回ってしまい、それにより防げたはずの被害が出てしまう、か……救いたくても救えない時の気持ちは、俺にもよくわかる」
「え……?」
「……俺の事は、部隊長さんの所に到着してから詳しく話そう。今は案内を頼む」
「あ、はい、わかりました。こちらです」
(……さて、まずは何から話すべきか)
フェイトに隊舎の内部を案内されながら、手塚はこれから機動六課の面々に話すべき事の内容を整理し始める。そんな手塚の考える仕草に、フェイトは道中で何度かチラリと振り返ってみるものの、考え事をしていた手塚がそれに気付く事はなかった。
「初めまして。機動六課総部隊長を務める、八神はやてです」
「手塚海之だ。よろしく頼む」
その後、部隊長室に到着した手塚は機動六課の責任者と呼べる人物―――八神はやてと対面。2人は笑顔でペコリと一礼し、はやては自分の席に座り、手塚はなのはが用意した椅子に座り込む。
「ハラオウン執務官から話は聞いています。あなたが次元漂流者である事……そして、あなたが連続失踪事件について何か知っているという事も」
「……いきなり本題に入るのか」
八神はやての真剣な表情に、手塚もすぐに笑顔が消える。彼は上着のポケットからカードデッキを取り出し、はやての机の上に置く。
「一から話すつもりではあるが……話す前にまずは」
「「「?」」」
「このカードデッキに触れてみろ。アンタ達の知りたがっている真実が見えてくるはずだ」
手塚の言葉にはやて達は首を傾げるも、まずははやてが手塚の置いたカードデッキを右手で触れる。すると……
キィィィィィン……キィィィィィン……
「? 何ですか、この音……うぇえい!?」
「!? アレは!!」
「え、何!? どうしたの2人共!?」
はやては近くの壁にかかっている鏡を見て変な悲鳴を上げ、フェイトも鏡の方を見て即座にバルディッシュを構える。なのはは2人何に対して反応しているのかわからず、彼女も同じようにカードデッキに触れる。すると……
「!? 怪物……!?」
『キュルルルル……!』
なのはの視界にも、鏡の中から部屋を覗き込んでいるエビルダイバーの姿が映り込んだ。なのはも同じように自身デバイスを構えようとする中、手塚がそんな彼女達を手で制す。
「安心してくれ。あのモンスターは敵じゃない」
「「「え?」」」
「エビルダイバー、一旦戻れ。餌ならモンスターが現れた時に用意してやる」
『キュルルル……』
手塚がそう言うと、エビルダイバーは覗くのをやめてどこかに飛び去っていく。鏡にはエビルダイバーの姿が映らなくなり、デバイスを構えようとしていたなのはとフェイトも警戒を解く。
「驚かせてすまない。説明をするには、一度自分達の目で確かめて貰った方が早いと思ってな。アレは直接襲われた人間か、もしくはカードデッキに触れた事のある人間でなければ視認ができないし、モンスターが近付いて来てる事を示す為の警告音も聞こえてこない」
「あ……」
それを聞いて、フェイトは倒れている手塚を見つけた時の事を思い出す。
(そっか。あの時デッキに触れたから、私にも音が聞こえたんだ……)
「あ、あの、手塚さん……さっきの怪物は一体……?」
なのはに改めて問いかけられ、手塚は話を続ける。
「あのモンスターの名前はエビルダイバー。鏡の中に存在する世界―――ミラーワールドに生息しているモンスターの1匹だ」
「つまり手塚さんは、あの鏡の世界にいるモンスターを倒す為に……えっと、仮面ライダーでしたっけ? それに変身して戦っている……という事ですか?」
「簡潔に言えば、そういう事になる」
手塚はまず、ミラーワールドとミラーモンスターについての説明を終えた。ミラーワールドに生息するモンスター達は、時折現実世界に干渉しては、人間をミラーワールドに引き摺り込んで捕食を行う。モンスターに捕食された人間は助からない。それにより、自分のいた世界でも同じような連続失踪事件が発生していたという事。
「そんな……このミッドチルダに、そんな危険な怪物達が潜んでたなんて……!!」
「で、ですが、手塚さんはどうやってさっきのモンスターを従えて……?」
「それは、このカードのおかげだ」
手塚はカードデッキから1枚のカードを抜き取る。カードにはエビルダイバーの姿が描かれていた。
「俺達ライダーは、モンスターと契約しなければまとも戦う事ができない。契約を結んでモンスターの力を借りる事で、初めて他のモンスターと対等に戦う事ができる」
「へぇ、このカードが……」
なのはが手塚の持つカードを手に取り、絵柄をジーっと眺める。
「……が、モンスターとの契約はメリットばかりじゃない。契約とは、お互いに利益があるからこそ結ぶ物だからな。俺達ライダーはモンスターから力を得る代わりに、モンスターは俺達ライダーから餌を与えて貰う……それが契約内容だ。もし餌を与える事を怠るような事があれば、俺はエビルダイバーとの契約を破棄した事になってしまう」
「餌……?」
「餌は大きく分けて2種類。1つは、倒したモンスターから得られるモンスターの魂。そしてもう1つは生きた人間の命。俺がエビルダイバーに与えているのは前者だ。生きた人間を食わせるなど到底できない」
「じゃあ……契約を破棄したら、どうなるの……?」
「当然、契約を結ぶ前の関係に戻るだけだ……その時は、俺が死ぬ事になるだろう」
「「「ッ!?」」」
その言葉ではやて達は察した。契約を結ぶ前の関係……それはつまり、“捕食する側”と“捕食される側”の関係に戻ってしまうという事。もし手塚が契約を破棄してしまえば、手塚はエビルダイバーによって……その時点ではやて達は、脳内に浮かび上がる嫌な想像を強制ストップする事にした。
「それから、間違ってもそのカードは絶対に破かないようにしてくれ。カードが失われてしまったり、カードデッキが破損したりすれば、それだけで契約破棄の扱いになってしまうからな」
「ッ!? ちょ、そういう事は先に行って下さいよびっくりしたぁ!?」
それを聞いたなのはが慌ててカードを手放し、床に落ちたカードを手塚が拾い上げる。
「……と、とにかく、モンスターの特徴については一通りわかりました。おかげで、このミッドチルダで起きている連続失踪事件の原因も判明しましたし」
「……その事なんだが、少し気になっている事がある」
「気になっている事?」
「あぁ」
手塚はエビルダイバーのカードをカードデッキに戻しながら、はやて達に自身の疑問を告げる。
「モンスター達は皆、俺がいた地球という世界で活動していたんだが……それが何故か、このミッドチルダにまで現れている。その原因が俺にはわからない。そもそも、何故この世界にもミラーワールドが存在してるのか……」
「うーん……それは私達にもわかりませんね。そもそも、ミラーワールドの事やモンスターの事なんて今日初めて知りましたから。まさか日本でもそんな連続失踪事件が起きていたなんて……」
「……ん?」
その時、なのはの何気ない発言に、手塚がピクッと反応した。
「……ハラオウン。昨日病院で聞いた話では、八神と高町は地球の出身だと言っていたな」
「へ? は、はい。そうですけど……」
「……だとしたらおかしい。俺がいた地球では、連続失踪事件は何度もニュースになっていたはずだ。なのに地球出身のアンタ達がどうしてその事を知らない?」
「「……え?」」
今度ははやて達も首を傾げ始めた。
「ちょ、ちょっと待って下さい! 確かに私とはやてちゃんは地球の出身ですけど、ミッドチルダのような連続失踪事件が地球でも起きてるなんて話は聞いた事がありませんよ?」
「何、どういう事だ……?」
どうも会話の中に、認識の食い違いが生じ始めている。その食い違いの原因に、一番最初に気付いたのははやてだった。
「……もしかしたらですが」
はやての言葉に、他の3人が振り返る。
「……手塚さん。“パラレルワールド”って言葉を知ってますか?」
「……」
手塚は両肘をついたまま、両手の上に顎を乗せて考えていた。
彼がそうしている理由は他でもない、はやてから聞かされた仮説が原因だ。
(別々に存在する地球、か……)
いくつも並行して存在すると言われるパラレルワールド。はやてが告げた仮説とはまさにそれに関する内容で、はやて達のいた地球と、手塚のいた地球は別々に存在しているのではないか、という事だ。
(馬鹿な、そんな事は絶対ありえない……なんて、言い切れない自分がいるのも確かだ)
そもそも、全てが反転したミラーワールドなんて世界が存在している時点で、手塚の考える“ありえない”は既に何の意味も為さない。その仮説の通りだと考えた方が、自分とはやて達の間で認識の食い違いが生じているのにも全て辻褄が合ってしまうのだから。
(こんな状況なのに、俺は今、自分でも驚くくらい冷静だ……)
そこまで冷静でいられるのは、やはり……
「……八神」
「あ、やっと喋った」
「次元漂流者は管理局に保護された後、元の世界に帰して貰えるんだったな」
「そ、そうですが……」
「その事だが……今はまだ、この世界に滞在させて欲しい」
「「「えっ!?」」」
その発言に、はやて達は驚きの声が挙がる。
「で、でも手塚さん、元の世界に戻りたいんじゃ……」
「俺はモンスターを倒す為に仮面ライダーとして戦っているんだ。この世界にまでモンスターが出没しているのであれば、俺はそれを見過ごす訳にはいかない」
「け、けど……」
「俺が元の世界に戻ったとしよう。お前達だけで、鏡の中にいるモンスター達を対処し切れるのか?」
「ッ……!!」
図星を突かれたのか、はやてが沈黙する。
「俺なら鏡の中のモンスターに対処できる。どうだ? 知ったかぶりな言い方になってしまうが、アンタ達もこの世界の平和を守りたいと思っているんだろう? それなら、俺にもその手伝いをさせて欲しい。アンタ達も、貫き通したい正義という物があるんじゃないのか?」
「……」
はやては目を閉じた後、小さく息を吐いてから目を開く。
「……次元漂流者は可能な限り、元の世界に帰してあげるのが管理局におけるルール。本当なら、今回の事件にあなたを関わらせる訳にはいきません……ですが」
はやては目を開き、手塚と目を合わせる。その目は非常に鋭く、どこか熱い何かを感じさせる目だった。
「正直な所、自分達だけではとても解決できそうにないと思っている自分もいる……手塚さん。無礼を承知の上でお願いがあります」
「「!?」」
「ちょ、はやて!?」
はやては机に両手を置き、自身の頭を机の上に乗せる。これには手塚だけでなく、なのはとフェイトも思わず驚き声を上げるが、そんな事は構わずはやてが続ける。
「仮面ライダーライア、手塚海之さん……どうか、私達に力を貸して下さい。お願いします」
「……!」
部隊を率いる人間は、そう安々と頭を下げるような事があってはならない。それなのに、彼女は目の前で一般人相手に堂々と頭を下げている。
(これほどまでに熱い正義感……“あの男”を思い出すな)
そこまでされた以上、手塚には断る理由など存在しない。
「……わかった。俺にできる事は精々モンスター退治くらいだが、アンタ達の力になる事を約束する」
「……ありがとうございます!」
頭を上げたはやては嬉しそうに感謝の言葉を告げ、手塚もフッと笑みを浮かべる。2人は互いに手を差し出し、固い握手を交わす。
「改めて……機動本部総部隊長、八神はやてです! ようこそ、機動六課へ!」
「改めて……手塚海之、仮面ライダーライアだ。こちらこそ、よろしく頼む」
今日この日、手塚海之は機動六課に協力するべく、ミッドチルダに滞在する事が決定した。
しかし、彼はまだ、機動六課の面々に話していない事がいくつもあった。
何故、自分が仮面ライダーの力を持っているのか。
その仮面ライダーの力が、元々は何の為に存在していた力なのか。
死んだかもしれない自分が、どうして今もこの世界で生きているのかを。
キィィィィィン……キィィィィィン……
『……ほぉ』
ミラーワールド。とある荒廃したビルの内部で、とある存在が静かに立ち尽くしていた。
『なるほど……彼も、この世界に来ていたとはな……』
キィィィィィン……キィィィィィン……
「……!」
首都クラナガン。
管理局地上本部から少し離れた位置に建てられているオンボロな外見の建物にて、台所らしき場所で洗い物をしていたその人物は、聞こえて来る金切り音に忌々しげな表情を浮かべる。
「ちっ……めんどくせぇ」
『『グルルルルル……!!』』
キィィィィィン……キィィィィィン……
「……!」
ミッドチルダ東都、とある森林地帯。
小さな洞穴の中で焚き火を焚いていた人物は、響き渡る金切り音を聞いて悲しげな表情を浮かべる。
「この音……いやだ……また、俺に戦えと言うのか……!!」
キィィィィィン……キィィィィィン……
「お?」
ミッドチルダ北部、とある路地裏。
そこでは2,3人の不良が滅多打ちにされた状態で倒れており、その中心に立っている人物は、響き渡る金切り音に待ってましたと言わんばかりの表情を浮かべる。
「ぐ、ぅ……!!」
「げほ、ごほ……!!」
「ヒュ~♪ 良いねぇ、グッドタイミングだ! やっぱ、こんな雑魚共じゃ退屈凌ぎにもならねぇぜ!」
キィィィィィン……キィィィィィン……
「う~わ、こんな時に最悪……」
首都クラナガン、とある噴水広場。
人込みの中に紛れていたその女性は、その金切り音に対してうんざりそうな表情を浮かべていた。
「まぁ良いや。今日の収穫は上々だし、さっさと済ませよっか」
急いでその場から移動を開始する女性。そんな彼女が近付いていく噴水には……
『ピィィィィィィ……!!』
空高く舞い上がる、巨大な白鳥の姿が映り込んでいた。
この世界に存在する仮面ライダーは、ライアだけではない……
もう既に、何人かの仮面ライダーは同じように活動を開始しようとしていた……
To be continued……
リリカル龍騎StrikerS!
手塚「ここは、訓練所なのか……?」
「「「「よろしくお願いします!!」」」」
???「アタシはまだお前を信用してねぇからな」
手塚「ッ……モンスターか!!」
???「嘘……私の他にもライダーが……?」
戦わなければ生き残れない!