リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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さてさて、第28話の投稿です。

鈴木健吾/仮面ライダーエクシスは普段、どこに潜伏しているのか?

スカリエッティが開発した代物の正体とは?

今回はそれらの謎が解明されます。

それではどうぞ。



第28話 平和な時間

「ッ……このガキがぁ!!」

 

「ぐ……うわっ!?」

 

『『グァウッ!!』』

 

突然アビスに襲い掛かって来たエクシス。彼のマグニバイザーの刀剣をアビスバイザーで弾き、エクシスの胸部を蹴りつけ後退させたアビスはアビスセイバーを突き立てる。しかしエクシスもタダでやられる訳ではなく、後退するエクシスに代わりマグニレェーヴとマグニルナールが2体がかりでアビスに襲い掛かる。

 

「狐共が……!!」

 

『グラァッ!!』

 

マグニルナールは右手から光弾を放ち、アビスはそれをアビスセイバーで防御する。しかしその直後、突然アビスセイバーがアビスの手を離れ、マグニルナールの方へと飛来し奪われてしまう。

 

『グルァッ!!』

 

「!? 何……ぐぁっ!?」

 

マグニルナールが奪い取ったアビスセイバーにマグニレェーヴが左手を近付けた瞬間、マグニレェーヴの左手から反射するようにアビスセイバーが高速で飛来し、アビスの左腕を強く斬りつけた。流石のアビスもこの攻撃は想定外だったのか上手く対応できず、斬りつけられた左腕を右手で押さえる。

 

(ッ……あの時の傷が……!!)

 

かつてファムに付けられた左腕の傷口が、アビスセイバーで斬りつけられた事で開いてしまったようだ。仮面の下で苦悶の表情を浮かべるアビスに、体勢を立て直したエクシスが飛びかかりマグニバイザーの刀剣で思いきり突き立てた。

 

「ぐっ!?」

 

「お前のせいで……お前のせいでアイツを救えなかった……お前だけはここで潰す!!」

 

「ッ……なるほど、他所の時間でも俺は恨みを買っているようだな……だが」

 

マグニバイザーがアビスの右手に掴まれ、エクシスの腹部にアビスバイザーが突きつけられる。

 

「……少し図に乗り過ぎだ!!」

 

「!? ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

『『グラゥ!?』』

 

アビスバイザーから連射される水のエネルギー弾で吹き飛ばされ、エクシスに巻き込まれるようにマグニレェーヴとマグニルナールも転倒。そこへ追撃を仕掛けようと再度アビスバイザーを向けるアビスだったが、そこへ乱入するようにライアが割って入り、アビスバイザーを掴み上げた。

 

「ッ……お前……!!」

 

「もう止せ、戦いをやめろ!! これ以上は……ッ!?」

 

しかしそんなライアの背中に、エクシスのマグニバイザーによる一撃が炸裂。思わぬ攻撃にライアは振り返ってエクシスのパンチを掴み、マグニバイザーを受け止め掴み合いになる。

 

「どけ!! 僕の邪魔をするなぁっ!!」

 

「ッ……君もだ!! これ以上戦って何になる!?」

 

「うるさい!! 邪魔をするならアンタから……!!」

 

ライアとエクシスが掴み合いになっている一方、その光景を見ていたファムはどうするべきか判断に困っていた。

 

「あぁもう、色々と滅茶苦茶だよこの状況……どうすれば良いんだろう……?」

 

『ゲケェッ!!』

 

「ん? うわっとぉ!?」

 

しかし、ファムに考えている時間はない。先程までアビスに踏みつけられていたゲルニュートもまた、既に体勢を立て直して巨大手裏剣を構えており、ファムに容赦なく攻撃を仕掛けてきた。

 

「うげ!? そうだった、コイツがいたのすっかり忘れてた……!!」

 

『ゲゲゲゲ!!』

 

ファムとゲルニュート、ライアとエクシスが対峙している中。アビスは傷口が開いた左腕の痛みに耐えながらも右手で1枚のカードを引き抜き、アビスバイザーに装填する。

 

≪UNITE VENT≫

 

『ギャオォォォォォォォォォォォン!!』

 

どこからか現れたアビスラッシャーとアビスハンマーが一体化し、アビソドンの姿に変化。アビソドンはシュモクザメのように両面を突き出し、地上にいるライダーやモンスター達に狙いを定める。

 

「ッ……面倒だ、まとめて吹き飛ばせ……!!」

 

『グギャオォォォォォォッ!!』

 

ドガガガガガガガガガガガガガガガ!!

 

「な……うわぁあっ!?」

 

「ぐぅ!?」

 

『『グァアウッ!?』』

 

「え、ちょ……きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

『ゲケェェェェェェェェッ!?』

 

ライアとエクシス、マグニレェーヴとマグニルナール、ファムとゲルニュートに向かって、アビソドンは突き出した両目から無数の弾丸を連射。放たれた弾丸は着弾すると同時に爆発を起こし、一同はまとめて爆撃によって吹き飛ばされる羽目になってしまった。辺り一面がアビソドンの爆撃に荒らされ焼野原と化した後、アビスは痛む左腕を押さえながらフラフラとその場から歩き去って行く。

 

「あのガキ、やってくれたな……ッ……くそ、とんだ災難……だ……」

 

その後、いつものオンボロなアパートの前まで到着したアビスは大きく跳躍し、ドゥーエが暮らす部屋のベランダまで辿り着く。しかしエクシスの攻撃で予想以上にダメージを負ってしまっていた為か、ベランダの窓に向かって倒れ込むように現実世界に帰還した後、床に倒れた二宮はそのまま意識を失ってしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「2人共、傷はまだ痛むかしら?」

 

「いや、何とか大丈夫だ。感謝する、シャマル先生」

 

「どうなるかと思ったよ本当……」

 

その後、帰還した手塚と夏希は六課本部の医務室に向かい、シャマルから傷の手当てを受けていた。しかしこの2人は二宮ほど傷を負っている訳ではなく、少しのガーゼと包帯を使うだけに留まった。その時、なのはとフェイトに連れられて医務室にやって来たヴィヴィオが駆け出し、すかさず手塚の足に抱き着いて来た。

 

「っと……ヴィヴィオか」

 

「パパ、ケガしてるの……?」

 

「大丈夫だ、大した怪我じゃない。これなら、ヴィヴィオとの約束を果たせそうだ」

 

手塚はヴィヴィオを抱き上げ、自身が座っているベッドの上に座らせてから彼女の頭を優しく撫でる。

 

「ヴィヴィオ。今日は夜まで一緒に過ごせそうだ。何をして欲しい?」

 

「うん、と。ヴィヴィオね……」

 

グゥゥゥゥゥ……

 

「「「「「……」」」」」

 

その時、ヴィヴィオの腹の虫が医務室に響き渡った。それを聞いた手塚達はヴィヴィオがお腹を空かせている事が容易にわかり、ヴィヴィオもお腹を押さえながら手塚に告げた。

 

(そういえば、まだ昼食がまだだったな……)

 

「……ヴィヴィオ、ごはん食べたい! パパとママ、お姉ちゃんといっしょに!」

 

「あぁ、わかった。これから一緒にご飯を食べようか……高町、ハラオウン」

 

「はい、わかりました」

 

「ちょうど午前の訓練も終わっていますし、食堂でお昼ご飯を済ませましょう」

 

「あぁ~、そう言われるとアタシもお腹空いてきちゃった。アタシもご飯食べに行こ~っと」

 

「あらあら、平和ねぇ」

 

こうして、手塚達はヴィヴィオを連れて食堂に向かい、皆で一緒に昼食を取る事になった。既に食堂には午前の訓練を終えたフォワードメンバー達が到着しており、そこには先日の任務で一緒に行動したギンガもいた。

 

「あ、手塚さん! ……と、夏希さんで間違いありませんか?」

 

「! 君は確か……」

 

「あれ、どちら様?」

 

「夏希さんは初めましてですね。108部隊所属のギンガ・ナカジマです。手塚さん、あの時の任務ではありがとうございます」

 

「気にしなくて良い。お互い助け合いが重要だ」

 

「ん? ナカジマって……あ! もしかして、スバルが言ってたお姉ちゃん?」

 

「はい。妹のスバルがお世話になってます」

 

「そっか! ならアタシも自己紹介しとこうかな。白鳥夏希だよ、よろしくね♪」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

「ギン姉~、ご飯冷めちゃうよ~!」

 

夏希とギンガが固い握手を交わす中、既に昼食を食べ始めているスバルから呼ばれる声がした。

 

「もぉスバルったら、あんな大声で……」

 

「まぁまぁ良いじゃん。お昼ご飯食べながらお話しようよ!」

 

(……随分フレンドリーだな)

 

手塚がそんな事を思う中、一同はメニューを決めて昼食を食べ始める事にした。この日のメニューは手塚がサバ味噌定食、夏希は唐揚げ定食、ヴィヴィオはオムライスだ。

 

「うぅ~……!」

 

しかし、そのオムライスにはピーマンも混じっていたようで、ヴィヴィオは嫌そうな表情でピーマンだけ残そうとしていた。それに気付いたなのはが注意する。

 

「あ、コラ。駄目だよヴィヴィオ、好き嫌いをしちゃ」

 

「ん~……苦いのきらい……!」

 

「ヴィヴィオ。好き嫌いばっかりしてたら、大人になった時に綺麗になれないよ?」

 

「うぅ~……!」

 

「仕方ないよなのは。子供なんだし、好き嫌いの1つや2つもあるって」

 

「もぉ、フェイトちゃん。こういうのは甘やかしちゃ駄目。直せるのなら子供の内に直しておかなきゃ」

 

「……だそうだぞ、ルシエ」

 

「うぐっ……!」

 

「?」

 

少し厳しいなのはをフェイトが宥めようとするが、なのはは譲ろうとしない。ちなみにヴィヴィオが好き嫌いしているのに紛れて、キャロがエリオの皿に自分の嫌いな人参をコッソリ乗せようとしていたが、彼女の行動は手塚にはバッチリ見られており、キャロが諦めて人参を自分の皿に戻したのは余談である(この時、エリオはたまたま他所を向いていた為、キャロの行動には気付いていないようだが)。

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ~、じゃあスバルが魔法を勉強し始めたのってかなり最近なんだ!」

 

「はい。普通校に通っていたので、始めたばかりの頃はティアナちゃんにもかなりご迷惑をおかけしちゃったみたいで……」

 

「うぅ、それは言わないでよギン姉~」

 

「まぁ、アンタの破天荒ぶりにはもう慣れたわよこっちは」

 

一方で夏希は、ナカジマ姉妹やティアナと共に昼食を取りながら会話をしていた。特に夏希とギンガは初対面でもう既に意気投合しているようで、2人は笑顔で楽しく会話をしている。

 

「良かったじゃんスバル、こんな良いお姉ちゃんと一緒でさ」

 

「あ……そういえば夏希さん。八神部隊長からお聞きしたんですが……その、ご家族の方は……」

 

「あぁ、それなら気にしなくて良いって。スバルもギンガも、大事な家族なんだからさ。お互い大事にしなよ?」

 

「夏希さん……はい、もちろん!」

 

「うん、良い返事!」

 

そんな会話をした後、スバルとギンガはあっという間に昼食を食べ終えてしまい、彼女達が食べた料理の皿は食べカス1つ残らず綺麗になる。それに気付いた夏希とティアナは驚いた。

 

「「食べ終わるの早っ!?」」

 

「ぷはぁ、ご馳走様! ギン姉、この後は訓練入ってないからさ! 久々にちょっと練習しない?」

 

「あら良いわね、腕が鳴るわ! それじゃ夏希さんにティアナちゃん、私達は先に向かいますね」

 

「あ、あぁうん、行ってらっしゃい」

 

ナカジマ姉妹の早食いに夏希とティアナが苦笑いを浮かべているのも気付かず、スバルとギンガは姉妹で技の練習をする為に訓練所まで向かって行く。それと入れ違うように、ヴァイスが昼食を乗せたお盆を持って2人がいる近くの席に座った。

 

「お、ティアナに姐さん。2人も食べてるのか」

 

「あ、どうも。ヴァイス陸曹」

 

「やっほーヴァイス……って、その呼び方どうにかならないの?」

 

「なっはっは。前にも言ったように、俺なりの呼び方なんでお気になさらず……そういや、スバルはもう行っちゃったのか?」

 

「は、はい。ギンガさんと一緒に技の練習にと」

 

「あぁ、確かスバルの姉ちゃんだっけか。仲良いよなぁあの2人。見ていて微笑ましいぜ」

 

「ヴァイス陸曹……変な目で見てませんよね?」

 

「失礼だなオイ!? 別にナンパしようとか考えちゃいねぇよ!?」

 

「慌ててそう言うって事は考えてたんじゃん」

 

「やかましい!! たく……熱っ!?」

 

ティアナからジト目で見られ、夏希からも上げ足を取られたヴァイスは強制的に話題を中断させ、気分を落ち着かせるべくコーヒーを口にしようとして火傷しかける。そんな慌てた様子のヴァイスに、夏希は思い出したようにある事を問いかけた。

 

「そういえばヴァイス。前に言ってた妹さんの事、アタシ聞きたいなぁ~」

 

「え? ヴァイス陸曹、妹がいらっしゃるんですか?」

 

「うげ、何でこのタイミングでそれ思い出すんだよ……悪いけど、それは聞かないでくれって前にも言ったろ」

 

「喧嘩でもしたの?」

 

「……」

 

ヴァイスのフォークを持っている手がピタリと止まる。

 

「……何で姐さんがそこまで言うんだ? 姐さんからすりゃ赤の他人だろうに」

 

「ヴァイスからすればお節介だろうけどさ。もし妹さんと喧嘩でもしてるんなら、早いところ仲直りするに越した事はないよ。妹さんの写真を大事そうに持ってるんだもん。心の底から嫌ってる訳じゃないんでしょ?」

 

「……」

 

「仲直りしようと思えばできるはずなのに、いつまでも喧嘩したまんまでいるのはヴァイスだって辛いと思ってるんじゃないの? それにこういうのって、手遅れになってからじゃ遅いだろうしさ」

 

「夏希さん……」

 

「……そう言われると弱いな」

 

手塚と夏希の過去は既に六課の皆に伝わっている。その事もあってか、夏希の言葉にヴァイスは拒絶の意志を強く示せなかったようで、彼は困ったように髪をポリポリ掻いてからフォークを皿の上に置く。

 

「まぁ、別に喧嘩してる訳じゃねぇよ。俺が一方的に関わりを断ってるだけの話さ」

 

「じゃあ、どうして?」

 

「……俺が武装隊にいた頃の話だ」

 

落ち着いて熱いコーヒーを口にしてから、ヴァイスは2人に語り始めた。

 

「ある事件が切っ掛けだ。その事件で俺は、アイツの……ラグナの片目を潰しちまったんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、昼食を終えた手塚・なのは・フェイトの3人はその後、部屋に戻ってヴィヴィオの相手をしていた。なのはとフェイトは既に溜まっていた書類仕事を完了している為、ヴィヴィオの相手をする時間を存分に確保する事ができている。そして3人がヴィヴィオの為に絵本を読むなどしている内に……

 

 

 

 

「ふみゅう……すぅ……すぅ……」

 

「あれ、ヴィヴィオ?」

 

「……寝てしまったようだな」

 

「きっと疲れちゃったんでしょうね。ゆっくり寝かせてあげましょう」

 

フェイトが絵本を読んであげていた最中、ウトウトしていたヴィヴィオは手塚の膝を枕代わりに寝転がり、そのままお昼寝タイムに突入してしまった。なのはがヴィヴィオをベッドまで移動させてあげようとするが、ヴィヴィオは手塚の膝を枕代わりにしたまま決して離れようとしない。

 

「ん、うぅん……」

 

「ありゃ……どうしよう、全然離れてくれそうにないや」

 

「構わんさ。しばらくこのままでいてやろう」

 

「ヴィヴィオ、手塚さんにすっかり懐いちゃいましたね……それに」

 

なのはとフェイトは、手塚の頬に張られているガーゼを見て少しだけ表情が暗くなる。

 

「ヴィヴィオも、手塚さんの怪我を見て心配そうにしてました。きっと、ヴィヴィオも何となくわかってるんだと思います。手塚さんがかなり大変な思いをしている事を」

 

「……それで、俺から離れたくないと思ってるという事か」

 

手塚がヴィヴィオの頭を撫でてみると、ヴィヴィオは更に表情が安らかになる。眠っている間も、手塚の手の温もりを感じているのだろう。

 

「あまり無理はしないで下さいね。手塚さんと夏希さんの事が心配なのは、ヴィヴィオだけじゃなく六課の全員が同じ気持ちですから」

 

「安心してくれ。流石の俺達も、必要以上の無理をするつもりはない。今までならともかく……今は死ねない理由ができてしまっているからな」

 

「それなら良いんですが……」

 

「……だからこそ、1つ頼みたい事がある。特に執務官のハラオウンにな」

 

「「え?」」

 

眠っているヴィヴィオの頭を撫でながら、手塚はなのはとフェイトにある頼み事をする事にした。

 

「モンスターと戦っている最中、新たなライダーと遭遇した」

 

「! それって……」

 

「夏希さんが言っていた、狐のライダーですか?」

 

「あぁ……あの狐のライダー、若い少年のような声をしていた。恐らく変身者は未成年だろう。その変身者を特定する為に調査をしたい」

 

「若い少年らしき人物、ですか……わかりました。はやてにも私から話を通しておきます」

 

「頼んだ」

 

その時……

 

「んん……パパ……」

 

「「「!」」」

 

グッスリ眠っているヴィヴィオの口から、寝言が聞こえて来た。

 

「パパァ……ママァ……お姉ちゃん……みんな、いっしょ……ヴィヴィオと……いっしょ……」

 

穏やかな寝顔を浮かべているヴィヴィオの寝言に、手塚達は先程までの真剣な表情から微笑ましい表情に変わる。

 

「……取り敢えず、今日はゆっくりするとしようか」

 

「フフ♪ そうですね」

 

「ヴィヴィオ、どんな夢見てるのかな……?」

 

とにかく、今日1日くらいはヴィヴィオと一緒の時間を過ごそう。そう考えた3人はしばらくの間、手塚の膝の上で眠るヴィヴィオに毛布をかけてあげたり、頭を撫でてあげたりなどして、ヴィヴィオが目覚めるまで静かにその様子を見守る事にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜……

 

 

 

 

 

 

「―――ん」

 

「あら、鋭介。目が覚めたのね」

 

あれから意識を失っていた二宮。意識の戻った彼が目を開けると、彼の視界には顔を覗き込んで来ているドゥーエの顔だった。ソファの上で横になったまま毛布をかけられていた二宮はゆっくり起き上がり、左腕の傷に巻かれている包帯に気付く。

 

「……お前が手当てしたのか」

 

「えぇそうよ。私が帰って来てみたら、鋭介が腕から血を流して倒れてたんだもの。流石に私もびっくりしたわよ」

 

「そうか……そいつは手間をかけたな」

 

「うわ、驚き。鋭介の口から感謝の言葉が出て来るなんて」

 

「お前は俺を何だと思ってんだ」

 

「他人を平気で犠牲にできちゃう外道でクズな男」

 

「……否定はしない」

 

実際その通りだから何とも言えない。二宮は特に言い返す事もせず、ソファの前のテーブルに置かれているコップから水を飲み、水分補給を行う。

 

「それで、一体何があったのよ? 用心深いあなたが傷を負うなんて珍しいわね」

 

「……前にオーディンが言っていたライダーと接触した。今後手を組む為に手助けしてみたんだが……そいつから思いきり攻撃される羽目になった」

 

「あらま。何でそんな事に?」

 

「俺はよく知らんが、向こうは俺に殺されたとか何とか言っていた……たぶん湯村と同じで、俺が知っているのとは違う時間から飛んで来たライダーだろうな」

 

「違う時間、か。何か色々ややこしいわね……取り敢えずわかったのは、あなたがその違う時間においても、他のライダー達から恨みを買っていた……という事くらいね」

 

「おかげで俺が命を狙われる羽目になっちまったよ……あのガキ、次に会ったらタダじゃおかねぇ。オーディンが見つけたライダーと言えど、一度受けた分はキッチリ返してやる」

 

「うっわぁ何て陰湿……あ、でも鋭介。その仕返しとやらは今はやめといた方が良いわよ」

 

「何?」

 

「私が帰って来る数時間前にね、私の姉のウーノから連絡があったの。ドクターが遂に例のライダーシステムを完成させたとか」

 

「例のライダーシステム?」

 

「そう。しかもそれ、鋭介達のようなライダーとは少し違うみたい。これがそのデータよ」

 

「どれ……ッ!?」

 

ドゥーエは二宮の前にモニターを映し出し、そこにデータを表示する。そのデータに載っている画像を見て、二宮は驚愕の表情を示した。

 

「これは……!!」

 

「あら、鋭介も知ってるのね。このライダーの事」

 

「あぁ、よぉく知ってるさ……くそ、また外出しにくくなっちまったじゃねぇか。スカリエッティの野郎、本当に面倒なもん作りやがったな」

 

「どうする? 臨時査察の件も、一旦様子を見る?」

 

「……いや、それは予定通り実行する。ドゥーエ、当日はお前にも手伝って貰うぞ」

 

「もぉ、無理なんかしちゃってさ」

 

「痛っ……お前なぁ」

 

ドゥーエに包帯の巻かれた左腕を軽く叩かれた二宮は、ドゥーエを睨みつけながらも彼女によってソファの上に横にさせられ、再び毛布をかけられる。

 

「肝心なところであなたに倒れられたら私が困るの。こんな事言われたくなかったら、今は休んでさっさと怪我を治す事に専念しなさい。今はそれがあなたにとって最善策のはずよ。わかった?」

 

「……お前にそんな事を言われる羽目になろうとはな。俺もいよいよ終わりか」

 

「ちょっと、それどういう意味かしら?」

 

「さぁな。どういう意味だか」

 

「あ! もぉ、鋭介ったら……」

 

二宮の発言にイラっとなるドゥーエだったが、彼女が文句を言う前に二宮は毛布を被って眠り始めた。そんな彼の態度にドゥーエは怒りを通り越して溜め息をつく事しかできず、ソファの上から二宮の寝顔を覗き込んだ。

 

(全く、人の気持ちも碌に知ろうとしないで……本当に酷い男)

 

しかしそんなドゥーエの表情は、むしろ面白そうに微笑んでいた。彼女がその事に気付いているかどうかは、定かではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、とある民家……

 

 

 

 

 

「~♪」

 

ここでは現在、二宮と同じように左目に白い眼帯を着けた少女が、鼻歌を歌いながらキッチンで料理をしているところだった。少女の名前はラグナ・グランセニック……ヴァイスの実の妹だ。彼女が楽しそうな気分で鍋物をグツグツ煮込んでいると、玄関の方からドアの開く音が聞こえて来た。

 

「ただいま~」

 

「あ、帰って来た」

 

帰って来た人物の声を聞いて、ラグナはより一層笑顔になる。鍋を煮込んでいる火を止めてから、ラグナはその人物を出迎えに行くが、その人物を見て怒った顔を見せた。

 

「おかえりなさい……って、また怪我してるじゃないですか! 無理はしちゃ駄目って言ったでしょう!」

 

「うっ……大丈夫だよこれくらい。この手の怪我はもう慣れてるからさ」

 

「慣れてるとか慣れてないとか、そういう問題じゃないです! もぉ、早くこっち来て下さい! 手当てしますから!」

 

「ちょ、痛い痛い引っ張らないでって!?」

 

ラグナはプリプリ怒った様子で頬を膨らませ、その人物を強引にリビングルームまで引っ張ってから、救急箱を用意してその人物を椅子の上に座らせた。

 

「もぉ! 手から思いっきり血が出ちゃってるじゃないですか! こんなになるまで無茶しちゃって……!」

 

「痛ててて……これくらいなら唾でも付ければ大丈夫だって。心配性だなぁラグナちゃんは」

 

「毎回こんな怪我して帰って来たら、嫌でも心配性になります! 自分のせいだってちゃんと自覚してますか?」

 

「うぐ……すみません」

 

どうやら、その人物が怪我をして帰って来るのはこれが初めてではないらしい。その人物がラグナに怒られてタジタジになっている中、ラグナは呆れた様子で手当てをしつつ、その次はようやく笑顔が戻る。

 

「無事に帰って来てくれて良かった……おかえりなさい、健吾さん」

 

「……うん。ただいま、ラグナちゃん」

 

ラグナが見せる笑顔に、その人物―――鈴木健吾はライダーとして戦っていた時と違い、年相応の少年らしい優し気な表情で、にこやかに笑ってみせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手塚達が探し出そうと思っていた人物は、意外にもこんな近い場所に潜んでいたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、スカリエッティの研究所(ラボ)のトレーニングルームでは……

 

 

 

 

 

 

ズバァンッ!!

 

『ブ、ブブ、ブ……』

 

全身真っ黒なボディを持った仮面の戦士によって、モンスター型ガジェットが殲滅されていた。黒い仮面の戦士はその手に構えた黒い長剣を床に刺し、手首をパキポキ鳴らしながら一息ついている。そこにウーノから映像通信が繋がった。

 

『テスト終了です。オルタナティブの性能は如何ですか? ドクター』

 

「フ、フフフ、フフフフフフ……素晴らしい……仮面ライダー擬き(・・・・・・・・)で、これほどの力か……私は今最高に良い気分だよウーノ……!!」

 

黒い仮面の戦士―――“オルタナティブ”は楽しそうに笑いながら変身を解き、スカリエッティの姿に戻る。スカリエッティはオルタナティブがもたらすパワーに歓喜し、狂ったように高笑いしていた。

 

「これはぜひとも、実際にミラーワールドに向かって実戦テストをしてみたいものだ……ウーノ、例の“聖王の器”を逃がした仮面ライダーは、もう見つかっているかね?」

 

『いえ。いくらガジェットの機能でも、ミラーワールドの内部まで鮮明な映像記録を残す事は難しく……例の仮面ライダーはまだ行方がわかっていません』

 

「やはり、見つけ出すのはそう簡単ではないか……まぁ良い。適当にモンスターの存在をチラつかせれば、向こうもそれに釣られて引き寄せられてくれるだろう。敢えてこちらから出向いてみるのも良いかもしれない」

 

『ところでドクター。浅倉様の処遇については如何なさいますか? 現在も独房にて拘束中ですが……』

 

「彼が望んでいる“祭り”まで、まだいくらか準備が必要だからねぇ。彼には悪いが、もう少しだけ我慢して貰うとしよう……何、どうせ独房には鏡に成り得るような物は存在しない。いくら彼でも、自力で脱走するのは不可能だろう」

 

『……了解しました』

 

「ところでだ。“もう1人”の方は今どうしているかね?」

 

『ルーテシアお嬢様と共に、現在はレリックの捜索を行わせています。騎士ゼスト、それにアギト様も同行していますので、こちらも問題はないかと』

 

「ふむ、そうか。いずれは“彼”にも作戦に参加して貰う事になりそうだからねぇ……時期を見て、“彼”もこちらに引き戻してみるとしようかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、現在拘束されている浅倉はと言うと……

 

 

 

 

 

 

ガシャアンッ!!

 

 

 

 

 

 

「ハァァァァァァァ……久しぶりだなぁ、こんなにイライラするのは……!!」

 

研究所(ラボ)の地下にある独房にて、イライラを晴らしたいかのように鉄格子に頭を打ちつけ、独房の通路を獣のように睨みつけていた。再び牢屋に閉じ込められる羽目になった彼は、少しでもイライラを発散しようと何度も鉄格子に自身の頭を打ちつけ、その音を聞いてやって来たトーレは呆れた様子で浅倉を見据える。

 

「懲りない奴だな、浅倉……また拘束具を壊しおってからに」

 

トーレが視線を向けてみると、浅倉の足元には両手を封じる為の拘束具が外れた状態で落ちていた。どうやら浅倉が自力で無理やり壊してみせたようだ。

 

「ッ……俺はなぁ、いつも飢えてるんだよ……!! お前等のせいで、今は最高にイラついてるぜ……!!」

 

「お前が変に暴れなければ済むだけの話だ。お前の自業自得だろうに」

 

「フン……ここから出たらまず、お前が俺を楽しませてくれそうだな……」

 

「自惚れるなよ浅倉。ライダーの力も使えない今のお前に、ここから出る手段などありはしない。ドクターの指示が下るまで、諦めてそこで大人しくしていろ」

 

もはや何を言っても無駄だと悟ったトーレは、浅倉に対する呆れを隠さないまま独房を去って行く。しかし彼女が立ち去った後も、浅倉は溜まりに溜まっているイライラを抑える事など到底できはしなかった。

 

「泣けるぜ……アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」

 

そして彼は雄叫びを上げ、鉄格子に自身の頭を打ちつける行動を再開する。鉄格子の音がガンガン鳴り響くも、今度は誰もその音を聞いてやって来る事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミラーワールド、とある森林地帯……

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

 

『―――シャアッ!!』

 

1体の赤いモンスターが、素早い動きで木から木へと跳躍しながら移動していた。その身のこなしは、そこらのモンスターとは明らかに何かが違っていた。

 

『シャァァァァァァァァ……!!』

 

『キシャアッ!!』

 

『グルァ!!』

 

そこへ更に2体ものモンスターが駆けつけ、3体は木々の上から首都クラナガンの街を睨みつける。そして3体のモンスターはバラバラに散らばり、3手に分かれて街へと侵攻していくのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎StrikerS!


夏希「妹さんが人質に……!?」

ヴァイス「ラグナがあんな目に遭っちまったのは、俺の責任だ」

ゲルニュート『ゲケケェッ!!』

手塚「すばしっこい奴め……!!」

健吾「ッ……あの子は……」

レジアス「何だお前は!?」

二宮「アンタに警告しに来たのさ」


戦わなければ生き残れない!
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