リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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お待たせして申し訳ありません。ようやく第35話を更新できました。
さて、今回からようやく公開意見陳述会の話になります。

それでは本編をどうぞ。

ついでに活動報告でのアンケートにもお目を通して貰えると非常にありがたいです。



第35話 公開意見陳述会

手塚と雄一が対面してから翌日……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「公開意見陳述会、か……」

 

「せやで」

 

降り続けていた雨もようやく止んだのか、この日は雲の間から太陽が顔を覗かせている。強い日の光がクラナガンの街を照らしている中、手塚はとはやては朝早くから部隊長室で話をしているところだった。話の内容は、ある会場で時空管理局の局員達が行う大きな会議―――公開意見陳述会での任務についてだ。

 

「私達隊長陣は内部の、副隊長とフォワードの面々は屋外の警備を担当する事になっとってな。なのはちゃんとフェイトちゃん、それにフォワードの皆も朝早くから会場で警備をしとる。私もこれからすぐ会場まで向かわなければならへんから……」

 

「この後、夜遅くまで八神達は隊舎にいない……という事か」

 

「せや。そういう訳で今日1日、手塚さんと夏希ちゃんの2人は隊舎で待機しておいて欲しいんや。一応シャマルやザフィーラ達も隊舎に待機しとるし、モンスターの反応があった時はそっちの方を対応してくれて構わへん」

 

「わかった……だが、あまり隊舎から離れる訳にもいかないだろうな」

 

「ん、どういう事や?」

 

「……前にモンスターと戦っていた時、健吾がこう言っていた」

 

ゲルニュートと戦った時の事。健吾が告げていた言葉を、手塚は思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの子から決して目を離すな。あの子は今も、妙な連中に狙われている』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「健吾君がそんな事を……?」

 

「あぁ。彼があぁ言ったという事は、奴等は今後もヴィヴィオを狙って来る可能性は高い。仮にモンスターの気配があったとしても、俺か夏希のどちらかは隊舎に残っていた方が良いだろう」

 

「そうなると、シャマルやザフィーラ達にもヴィヴィオから目を離さんように言っておくべきやろうな……本当にすまへんな、手塚さん。できる事なら私達もヴィヴィオの事は守ってあげたいんやけど、上からの命令にはどうしても逆らえへん」

 

「構わんさ。とにかく、どんなタイミングでスカリエッティ達が襲撃して来るかわからない以上、常に警戒は怠らないべきだろう。連中は浅倉だけでなく、スカリエッティまでライダーの力を手に入れてしまっているからな。それに……」

 

手塚の台詞が途切れる。その途切れた理由を、フェイトから話を聞いていたはやてはすぐに理解した。

 

「……手塚さんの友人さんも、やろ?」

 

「……あぁ」

 

その言葉に、手塚の表情がまた少し曇りかける。それを見たはやては内心「しまった」と思いつつも、敢えて話を続ける事にした……スカリエッティに従っていると思われる、斎藤雄一についての話を。

 

「手塚さん、ほんまに大丈夫なん……?」

 

「……大丈夫だ、と言えば嘘になる。俺の占いに出ていたライダーも、アレは雄一で間違いない。そうなれば、次に対面した時にまた戦う事になるだろう」

 

雄一と出会った事で、手塚は確信していた。占いに出ていた謎のライダーの後ろ姿……アレはブレードの物で間違いないという事を。それと同時に、次に会った時もまた戦う事になるという事も。

 

「どの道、いつまでも悩んでいられる時間は俺達にはない。雄一が何故スカリエッティに従っているのか……その真意も、次にアイツと会った時に直接聞いて確かめるしかない」

 

「せやけど! その雄一って人、またトドメを躊躇するとは限らへんのやろう? そうなったら―――」

 

「それでも戦うさ」

 

はやての言葉を遮るように手塚が言い切る。

 

「何があろうとも、殺す事だけは絶対にしない。倒す為ではなく止める為に戦う……元の世界でも、俺はずっとそうして来たんだ」

 

「手塚さん……」

 

「……もうじきヴィヴィオが起きる時間だ。俺はそろそろ行かせて貰うぞ」

 

はやては座っていたソファから立ち上がり、部隊長室から退室していく。彼が立ち去った後、1人部隊長室に残ったはやては心苦しそうな表情で手塚の出て行った扉を見つめていた。

 

(不甲斐ないもんやなぁ……結局、私達にできる事は何もないんやろうか……)

 

「ほんま、何事もなければええんやけどなぁ……」

 

そんなはやての呟きを聞く者は、この場には誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、今日は私達でヴィヴィオの面倒を見なきゃいけないって事だね」

 

「そういう事になる」

 

「~♪」

 

それから昼の時間帯。はやてが会場まで向かって行くのを見届けた手塚はその後、夏希と共にヴィヴィオの面倒を見ながら時間を過ごしていた。現在、ヴィヴィオは席に座って昼食を美味しそうに食べており、手塚と夏希はそんなヴィヴィオの様子を眺めながらコーヒーを堪能していた。

 

「スカリエッティ達がいつ襲って来るかわからないからな。モンスターが現れたとしても、常に俺か夏希のどちらかは隊舎に残っていた方が良いだろう」

 

「それは別に構わないけどさ……アタシもフェイトから聞いたよ? アンタの友人の事」

 

「お前もか……」

 

「お前もか、じゃないでしょ。そういう事もちゃんと話しといてくれなきゃ……本当に大丈夫なの?」

 

夏希もはやてと同じく、フェイトを介して雄一の件を既に知っているようだ。手塚の事を心配そうな表情で見る夏希だが、それでも手塚の言う事は同じだった。

 

「八神にも言ったが、戦うしかないさ。迷っているくらいなら、今は細かい事を考えずに動く他あるまい」

 

「うわぁ、真司が言いそうな事を言い出したよ。真司に影響されてるんじゃない?」

 

「そうかもしれんな。今はアイツの真っ直ぐなところが、羨ましく感じている自分がいる」

 

「……まぁ、それは確かにそうだけどさ」

 

こういう時、真司なら色々な事で迷いに迷いながらも、とにかく何かしらの行動は取ろうとするだろう。そんな真司の行動力の高さを、手塚と夏希は羨ましいと少なからず感じていた。そんな中……

 

「お、今日も2人一緒か」

 

「! ヴァイス……」

 

「座って良いか?」

 

「どうぞ」

 

手塚達が座っている席の近くをヴァイスが通りかかった。近くの席から持ってきた椅子に座ったヴァイスも、この日の昼食を食べ始める。

 

「そういえばヴァイス、ラグナちゃんは今どうしている?」

 

「ラグナなら、昨日の内に一旦家に戻ったぜ。何か用でもあったのか?」

 

「そうか……ヴィヴィオの面倒を見てくれた事で、礼を言おうと思っていたんだが」

 

「あぁ、なるほどな。それなら次会った時にでも言えば良いと思うぜ……ま、それはともかくとしてだ」

 

ヴァイスは食事の手を止め、テーブルの上に黒いドッグタグのような物を置く。

 

「ヴァイス、これって?」

 

「ストームレイダー……武装隊にいた頃、俺が使ってたデバイスだよ」

 

「! まさか……」

 

「俺もな。色々考えた上で決めたんだよ……もう一度、狙撃手としてやり直そうってな」

 

「でもヴァイス、本当に良いの? だってラグナちゃんの……」

 

「あぁ。ミスショットでラグナの目を潰しちまった。今でも内心ビクビクしてるぜ……けどよ、いつまでも迷ってばかりじゃいられねぇんだ。迷ってる間に犠牲が出るくらいなら、どれだけ迷っていても動くしかねぇだろ?」

 

「ヴァイス……」

 

「だからよ、そう遠くない内にまた武装隊に入り直すつもりだ。これ以上ウジウジしてるようじゃ、健吾の奴にどやされちまうだろうしな」

 

「……そうか。お前がそこまで決めているのなら、俺達からは何も言わない」

 

普段のように軽い笑みを浮かべるヴァイスだが、その目は今までにない強い覚悟が見え隠れしている。それを見た手塚と夏希はそれ以上何も言えず、彼の覚悟を黙って受け止める事にした。

 

「うぅ~……」

 

そんな時、目玉焼きを美味しく食べていたはずのヴィヴィオが、皿の上を嫌そうな表情で睨み始めた。それに気付いた手塚達が皿を見てみると、皿の隅っこに小さな緑色の欠片が残っていた。

 

「あ、またピーマン残してる」

 

「ヴィヴィオ。好き嫌いは駄目だと、ママからも言われているだろう? 我慢して食べてみろ」

 

「ん、苦いのやだぁ……!」

 

「ははは。まぁ気持ちはわかるぜ、子供はピーマンや人参をよく嫌うからなぁ」

 

そんな会話をしつつも、手塚達はヴィヴィオがピーマンと格闘している様子を眺め続ける。

 

(あの占いの通りになるなら……いずれはヴィヴィオも、戦いに巻き込まれる事になる)

 

ヴィヴィオにはまだ、健吾が既に死亡している事は教えていない。こんな純粋無垢な子に、そんな残酷過ぎる結末はとても教える訳にはいかない。そしてこれから起こりうるであろう戦いに、ヴィヴィオを巻き込ませる訳にもいかない。

 

(守らなければならない。この身を懸けてでも、ヴィヴィオは絶対に……)

 

ヴィヴィオやヴィヴィオの周りにいる者達が、ずっと笑顔でいられる日常を守り通したい。心の中でそう固く決意しながら、手塚はすっかり温くなってしまったコーヒーを口にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、二宮が滞在しているオンボロのアパートでは……

 

 

 

 

「陳述会は、夕方の18時頃から……か」

 

ソファに寝転んでいた二宮はと言うと、新聞の番組表を見ながら公開意見陳述会の時間帯を確認していた。その公開意見陳述会という名前の通り、今回行われる会議はミッドチルダだけでなく、他の世界でもテレビ中継で公開される事になっている。二宮が退屈そうに新聞を読んでいる中、仕事に向かう準備をしていたドゥーエは、制服のネクタイを締めている真っ最中だ。

 

「また随分と熱心に読んでるわね」

 

「どうせ予定の時間になるまで暇だろうからな。お前はこれから仕事か?」

 

「えぇ。どうせ陳述会の件で色々忙しくなりそうだから、今日の夕食はいらないわ」

 

「そうか……ところで、細工(・・)の方は順調だろうな?」

 

「……もちろん。目の前で開発されようとしている兵器を、私がただ呑気に見ているだけのはずがないでしょう?」

 

「それなら問題ない。今回の陳述会で中将殿には、どうせすぐ役立たずになるだろう(・・・・・・・・・・・・・・・)兵器の運用について、立派な演説をして貰うとしよう」

 

「……本当に悪い男ね。住民からの批判がもっと酷い事になっちゃいそう」

 

「それが俺達の狙いだからな。お前等ナンバーズも、兵器の1つや2つくらい今更どうって事ないんだろう?」

 

「当たり前じゃない。いくら私達ナンバーズでも、今更あんなチンケな兵器に苦戦するほど雑魚じゃないわよ」

 

「ほぉ、流石だな。アビスラッシャー達に呆気なく取り押さえられた事のある奴は言う事が違う」

 

「ぐっ……それは言わない約束でしょう……!」

 

初めて出会った時にされた事を指摘されたドゥーエは図星で顔を赤くするが、この時の二宮は新聞の方に視線を向けており、ドゥーエの事はまるで眼中にない様子。その事に内心少しだけイラっとする彼女だったが、これが二宮という人物なのだとすぐに割り切り、いくらか頭を冷静にさせる。

 

「とにかく、これから仕事に行ってくるわ。あなたこそ、大事なところで精々失敗しないように気を付けなさいよ?」

 

「わかり切ってる事をいちいち聞くな。良いからさっさと行って来い」

 

「本当に口が減らないわね……もう良いわ」

 

ドゥーエは反論すらも諦めた様子で溜め息をついてから、鞄を持って出掛けて行く。彼女が出掛けた後、数秒経過してから窓ガラスにオーディンの姿が映り込んだ。

 

『準備はできているだろうな? 二宮』

 

「……お前と言いドゥーエと言い、本当に口うるさくて敵わんな」

 

『私達の計画はここからが重要だ。六課に味方するあの2人にはこれから、スカリエッティ達を相手に戦って貰う事になるのだからな。要所要所でフォローを入れてやる必要がある』

 

「それで俺がパシリに使われるって訳か……面倒ったらありゃしない。何事もなく終われば良いんだが」

 

『何事もなく終わるはずがないのは、お前が一番わかり切ってるだろうに』

 

「わかり切ってるからこそ嫌になるんだよ。もっと人員がいればこんな苦労もしないで済むってのに……」

 

『自分の判断でエクシスを倒した以上、お前の自業自得だ……とはいえ、このまま人数が少ない状態で活動するのも、それはそれで確かに要領が悪い。人員を増やしたいのであれば、1つ方法がある』

 

「何?」

 

ソファから起き上がった二宮に対し、オーディンはどこからか取り出したある物(・・・)を見せつける。

 

『使える手駒を増やしたい……お前は今、そう望んでいるのだろう?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時間は更に経過し、公開意見陳述会会場……

 

 

 

 

 

『公開意見陳述会の開始まで、あと3時間を切りました。本局や各世界の代表による、ミッドチルダ地上管理局の運営に関する意見交換が目的となるこの会、波乱含みの議論になる事は珍しくなく、地上本部からの陳述内容について、世間からも注目が集まっています』

 

女性レポーターの声が中継を通じて世間に伝わっていく中、会場には本局や地上本部、各世界の代表となる局員達が次々と集まろうとしていた。その中には機動六課のはやて率いる隊長陣や、聖王協会のカリムやシャッハの姿も確認されており、そんな彼女達を撮ろうとするカメラのシャッター音やフラッシュが絶えずにいた。

 

『今回は特に、かねてから議論が絶えない地上防衛用の迎撃兵器―――アインヘリアルの運用についての問題が話し合われると思われます』

 

会場には既に、地上本部首都防衛隊の代表であるレジアスも到着しており、通路を歩く彼の後ろからはオーリスを始め多くの部下達が並んで歩いている。一見、平然に振る舞っているように思われる一同だったが……この時、レジアスは歩を進めながらも、ある事について考えているところだった。

 

「……中将、本当によろしいのですか?」

 

そんな中、レジアスの後ろを歩いていたオーリスが密かに小声で話しかける。その言葉を聞いて、レジアスは元々険しかった表情が更に険しくなる。

 

「構わん。奴があぁ言った以上、我々は我々の正義を貫くまでだ」

 

「しかしあの男は……」

 

「くどいぞ。お前は黙って私に付いて来ればそれで良い。余計な口出しをしてくれるな」

 

「……はい」

 

オーリスがそれ以上何も言わなくなる中、レジアスは少し前に出会った謎の青い戦士(・・・・・・)の事を脳裏に思い浮かべる。思い浮かべると同時に、彼は忌々しげに表情を歪めた。

 

(こんな大事な時期に忌々しい……奴め、一体何を企んでいる……?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ、始まりましたね……!」

 

それから時間が経ち、遂に公開意見陳述会が始まった。アインヘリアルの運用についてレジアスが大きな声で演説をしている中、会場の外ではヴィータ、エリオ、キャロの3人が警備の為に巡回しているところだった。スバルやティアナ達も今、別の場所で警備を行っている最中だ。

 

「今のところ、特に何事もなさそうですが……」

 

「油断すんなよ。しっかり警備してろ」

 

「「はい!」」

 

「キュクゥ~」

 

エリオとキャロがビシッと敬礼する中、ヴィータは2人と連れて会場を巡回しながら、会場の2階にいるなのはに念話で連絡を取り始める。

 

『それにしてもわからねぇ……予言通りに事が動いたとして、内部でクーデターが起こる可能性は薄いんだろ?』

 

『アコース査察官が調査してくれた範囲ではね』

 

『そうすっと外部からのテロって事になるし、スカリエッティ一味の仕業になるのはほぼ確定になるんだが……だとしたら奴等の目的は何だよ? 管理局を襲ったところで、奴等に何かメリットがあるようにはとても思えねぇんだ』

 

それはヴィータだけでなく、なのはやフェイト、はやて達も疑問に思っている事だ。スカリエッティが科学者である事から、兵器開発者としての腕前を披露する為という可能性もあるだろうが、それならば襲うのは別に管理局でなくても問題はないはず。それを実行した後のスカリエッティの狙いがイマイチ見えて来ないのだ。

 

『管理局の本部を壊滅させられるほどの兵器を用意できるって事が証明できるのなら、確かにそれを欲しがる人はいくらでもいるだろうけど……』

 

『それで管理局を真正面から襲うのはリスクの方がデカ過ぎるだろ。仮面ライダーの性能を確かめたいんだとしても、そこからどんな目的に繋がるのか、それがどうしてもわからねぇ』

 

『だよね……まぁ、わからない事をあんまり考え過ぎてもしょうがないよ。今はとにかく、はやてちゃんからの指示に従って動くしかない。本当なら、何事もなく終わるのが一番良いんだけどね』

 

『そうだな……』

 

結局は、何事もないまま終わってくれる事を祈るしかない。ヴィータとなのははそこで一旦念話を切り、今はとにかく会場の警備に集中する事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな会場を、遠く離れた位置から見ている者達がいた。

 

 

 

 

 

 

「陳述会、始まったみたいだね」

 

「うん……」

 

先日と同じビルの屋上から、雄一とルーテシアは陳述会が行われている会場を眺めていた。雄一が双眼鏡で会場を見ていた時、2人の前に映像が出現し、そこにクアットロの姿が映し出される。

 

『はぁ~い、ルーテシアお嬢様に雄一さ~ん♪ 作戦の準備はよろしいですか~?』

 

「……えぇ、問題はありません」

 

「いつでも動ける……」

 

『それは良かった♪ ではルーテシアお嬢様はこれから、“聖王の器”となる例の子を保護(・・)しに、雄一さんにはそれを阻止するであろう者達の足止めをお願いしま~す♪』

 

「わかった……お兄ちゃん、また後で」

 

「うん。気を付けてね、ルーテシアちゃん」

 

「ん……」

 

雄一に頭を優しく撫でられ、気持ち良さそうに目を細めるルーテシア。彼が手を離した際に「あ……」と残念そうな表情を浮かべる彼女だったが、すぐに切り替えてその場から転移していく。そして残された雄一は、未だ映像に映っているクアットロに問いかける。

 

「クアットロさん……あの約束(・・・・)は、守って貰えるんですよね?」

 

『えぇ、それはもちろん♪ ちゃんとお仕事を完了してくれるのであれば、わざわざ約束を破るような事はしませんよぉ~♪ それとも雄一さん、私が約束を破った事なんてありましたぁ~?』

 

「……いえ。それだけ聞ければ、充分です」

 

『それは何より。では、作戦通りお願いしますねぇ~……あ、もし浅倉さんと出くわした場合、可能なら捕縛もお願いしますわ。それではぁ~♪』

 

映像が消えた後、雄一は服のポケットからカードデッキを取り出す。鳥を象った金色のエンブレムが刻まれた赤紫色のカードデッキ……それを見つめながら、雄一はかつて元いた世界での出来事を振り返っていた。

 

 

 

 

 

 

失敗を繰り返しながらも、ピアニストへの道を歩んでいた時の事。

 

 

 

 

 

 

浅倉の暴力事件に巻き込まれ、ピアニストへの道を断たれてしまった時の事。

 

 

 

 

 

 

夢を失い絶望していた自身の前に、神崎士郎が現れた時の事。

 

 

 

 

 

 

戦いを拒み、自身の夢を捨てる事を決めた時の事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

契約を拒んだが為に、ガルドサンダーに喰い殺されてしまった時の事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ……ぅ、が……ごほ、ごほっ!!」

 

それらの記憶が一度に呼び起こされ、雄一は口元を押さえてその場に蹲る。何度も吐き気に襲われかけるも、必死にそれを押さえた雄一は、額から汗が流れ落ちる中、右手首に装着しているリングに視線を移す。

 

(症状がだいぶ悪化してきてる……この体も、一体いつまで保つか……ッ……!)

 

雄一は屋上の柵を手で掴み、その場からゆっくり立ち上がる。そして彼は階段に繋がっている扉の前に立ち、カードデッキを左手に持って静かに構えを取り始める。

 

(俺はもう止まれない……あの子(・・・)の為にも、止まる事はできない……)

 

自分には果たさなければならない事がある。それを果たそうとすればまた、手塚と対峙する事になるだろう。その時、自分は今度こそ彼を倒せるのだろうか……それは今の自分にはわからない。

 

「手塚……お前なら、俺を……!」

 

雄一はカードデッキを突き出し、扉のガラスに映し出されたベルトが具現化して彼の腰に装着される。それを確認した雄一は目を閉じ、右腕をゆっくり上げながら目の前のガラスを指差すようなポーズを取った後……閉じていた目を開き、あの言葉を口にする。

 

「……変身!」

 

ベルトにカードデッキを装填し、雄一は目の前のガラスを右手で指差した状態のまま、その全身に複数の鏡像が積み重なっていく。そして彼の姿は戦士の姿に変わり、雄一はライアそっくりの剣士―――仮面ライダーブレードへの変身を完了させるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

「「―――ッ!!」」

 

それから数分後。六課本部隊舎でヴィヴィオの面倒を見ていた手塚と夏希は、近くの窓ガラスに視線を向ける。そこには……

 

「!? 海之、アレって……!!」

 

「アイツは……!!」

 

『シャアァァァァァァ……!!』

 

手塚と夏希を睨みつけている、ガルドサンダーの姿があった。それを見て手塚は確信した。雄一が自分を呼んでいる事を。

 

「夏希、シャマル、ザフィーラ!! ヴィヴィオの事を頼む……!!」

 

「OK、任せて!」

 

「気を付けて行って来い……!」

 

「……変身!!」

 

ヴィヴィオの事を夏希達に任せ、手塚は窓ガラスにカードデッキを突き出し、ベルトを装着。彼はすぐさまカードデッキをベルト装填してライアに変身する。そしてミラーワールドに突入しようとした時、ライアの手をヴィヴィオが掴んだ。

 

「! ヴィヴィオ……」

 

「パパ……ちゃんと帰って来てね?」

 

「……約束しよう。ヴィヴィオの事は俺達が守る。待っていてくれるか?」

 

「……うん。行ってらっしゃい、パパ」

 

「あぁ、行って来る」

 

ライアはヴィヴィオの頭を優しく撫でた後、窓ガラスの方へ振り返りミラーワールドへ突入。ライドシューターに乗り込み、飛行しているガルドサンダーの追跡を開始する。

 

『シャアッ!!』

 

(雄一……お前は本当に、スカリエッティと手を結んで……ッ!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビーッ!!

 

 

 

 

ビーッ!!

 

 

 

 

ビーッ!!

 

 

 

 

「な、何だ!?」

 

「何事だ……!?」

 

一方、陳述会会場でもまた、突然の警報に局員一同が混乱に陥っていた。会場のあちこちで謎のシステムダウンが発生しており、通路の出入り口もエレベーターもまともに作動しない状態だった。

 

「フェイトちゃん、通信は!?」

 

「駄目、全く繋がらない……!!」

 

なのはとフェイトもすぐに行動に移ったが、どれだけ通信を行っても六課司令室のロングアーチには全く繋がりそうにない。会場内の局員達は全員、閉じ込められる形になってしまった。

 

(中将、敵の攻撃です……!)

 

(会の中止はせんぞ)

 

(はっ……)

 

しかしそんな状況下でも、レジアスは会議を中止させるつもりは毛頭ないようだ。それを他所に、はやて・シグナム・カリム・シャッハの4人もかなり深刻そうな表情を浮かべていた。

 

「はやて、これは……!」

 

「始まった……予言の通りだとしたら、ここから……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、会場の外でも大変な事態になっていた。

 

 

 

 

 

「ガジェット!? どこからこんな数が!?」

 

『本部を囲んでいます!! その数……100!!』

 

なんと、本部の周囲を取り囲むように大量のガジェットが一斉に出現したのだ。これには会場の警備をしていたスバルやティアナ達も驚愕し、すぐさま対応に向かう。

 

「ヴィータ副隊長、私達が中の状況を見てきます!! なのはさん達を助けないと!!」

 

「あぁ、気を付けろよ!! どこから敵が現れるかわからんぞ!!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

『ヴィータ副隊長!! 何者かが本部まで高速で向かって来ています!! 推定ランク……オーバーS!!』

 

「!? マジかよ……そっちはアタシとリインで向かう!! 地上はスバル達に任せろ!!」

 

「ユニゾン、行くです!!」

 

フォワードメンバー達と途中で別れたヴィータは、本部まで向かって来ている何者かを迎え撃つべく、合流したリインとユニゾンした状態で飛行を開始。彼女が向かおうとしている先からは、バリアジャケットを纏った大柄の男性が赤毛の小さい少女を連れて飛んで来ようとしていた。

 

「そこの奴、今すぐ止まれ!!」

 

『それ以上進めば、迎撃に入ります!!』

 

「うげ、この間の奴等か!! 旦那!!」

 

「あぁ」

 

ヴィータの姿を見た赤毛の小さい少女―――アギトは厄介そうな表情を浮かべ、大柄の男性―――ゼストは右手に持っていた槍型のデバイスを両手で構え出す。そしてアギトも同じようにゼストとユニゾンを行い、茶色だったゼストの髪が金色に変化する。

 

「警告は無視ってか……管理局機動六課スターズ分隊副隊長のヴィータだ!! テメェを逮捕する!!」

 

「騎士、ゼスト……参る」

 

高速で飛んで来るヴィータを迎え撃つゼスト。2人は目の前まで近付いた瞬間、互いのデバイスをぶつけ合い戦闘を開始するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな戦いに釣られるかのように、ある男も動き出そうとしていた。

 

「おぉ……!」

 

浅倉だ。彼は戦闘が行われている会場の方を見て、ニヤリと笑みを浮かべてカードデッキを取り出す。

 

「聞こえるぞぉ……祭囃子が……!!」

 

せっかく戦いが行われているのなら、これに参加しない理由はない。彼は近くの建物の窓ガラスにカードデッキを突き出し、変身ポーズを取ってカードデッキをベルトに装填した。

 

「変身ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、私もそろそろ向かうとしようかな」

 

「ドクター、お気を付けて」

 

そしてスカリエッティの研究所(ラボ)でも、スカリエッティが動き出そうとしていた。ウーノがペコリと頭を下げる中、スカリエッティは目の前に立てられている大きな鏡の前に立ち、右手に持っていた黒いカードデッキを鏡に向かって突き出す。すると特殊な形状のベルトが鏡に映し出され、それが鏡から飛び出してスカリエッティの腰に装着された後、スカリエッティはカードデッキを宙に高く放り投げる。

 

「……変身!」

 

スカリエッティは楽しげに笑みを浮かべ、落ちて来たカードデッキを左手でキャッチしてベルトに装填。そしてスカリエッティの全身に黒い鏡像が重なっていき、スカリエッティは疑似ライダー“オルタナティブ・ネオ”への変身を完了した。

 

「さぁ、楽しい実験を始めようじゃないか。ククククク……クハハハハハハハ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして動き出していたのは、魔導師や仮面ライダーだけではなかった。

 

『『グラァァァァァウ!!』』

 

契約者を失い、野生に帰ったままミラーワールド内を彷徨い続けていたマグニレェーヴとマグニルナール。この2体もまた、狙いを定めた獲物を確実に喰らうべく、ビルからビルへとジャンプしながら、ミラーワールド内のクラナガンを素早く移動していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

様々な思惑の交差する戦いが今、このミッドチルダの地で繰り広げられようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎StrikerS!


手塚「何故そこまでして戦おうとする!?」

雄一「お前をライダーにしてしまったのは、他でもない俺だから……!!」

スカリエッティ「また会えたねぇ、白鳥のお嬢さん?」

夏希「あの子に近付くな!!」

浅倉「何をやっている……? 俺も仲間に入れろよ……!!」


戦わなければ生き残れない!
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