王蛇:ジェノサイダー
アビス:アビソドン
エクシス:マグニウルペース
ブレード:ガルドブレイザー
……何というユナイトベント祭りか←
はい、では第37話をどうぞ。
活動報告のアンケートも未だ続行中です……できればもうちょっと皆さんに反応して貰えると嬉しいです(´・ω・`)ショボンヌ
「はははははははは!!」
「ぬぅ……!!」
乱戦の中、戦いを求めて戦場に乱入して来た王蛇。ベノサーベルを鈍器のように振り回す彼はオルタナティブ・ネオ目掛けて襲い掛かり、オルタナティブ・ネオもスラッシュダガーでベノサーベルを的確に防御し、ベノサーベルを掴んで王蛇と取っ組み合いになる。
「やれやれ、君の望む祭りがこういう事とはね……! 仮にも、私は君を雇った身だよ?」
「それがどうした……俺は戦えるなら誰でも良いんだよぉ!!」
「ッ!!」
王蛇からすれば、何度も自分を拘束して満足に戦わせてくれないような連中に従う道理などない。王蛇の足がオルタナティブ・ネオの腹部を蹴りつけ、怯んだところにベノサーベルを振り上げて容赦なく襲い掛かって行く。
「ドクター!! 今助け―――」
「ノーヴェ、後ろっス!!」
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「!? ぐぅぅぅぅぅ……ッ!!」
オルタナティブ・ネオの助太刀に向かおうとするノーヴェだったが、戦闘機人モードとなったスバルがそれをさせようとしない。全身ズタボロ状態のスバルが繰り出すリボルバーナックルの一撃がノーヴェを再び殴り飛ばしていく一方、ティアナとファムは地面に落ちているケースからギンガを助け出そうとしていた。
「ギンガ、しっかり!!」
「酷い、左手が……すみません、ギンガさん!!」
「ッ……ぐ、ぅう……!」
手首の千切れてしまっているギンガの左腕に、ティアナがバインドで強めに縛りつける事でかなり強引な止血処理が行われる。意識がない状態でもギンガが苦悶の表情を浮かべる中、そこに再度立ち上がったサイコローグが迫り来ようとしていた。
『グゴオォォォォォォ……!!』
「ッ……アイツまた……!!」
「ティアナ、ギンガの手当ては任せた!!」
『グゴゥ!?』
ギンガの応急処置をティアナに任せ、ファムはブランバイザーを突き立ててサイコローグを攻撃。顔面を攻撃されたサイコローグが怯む中、そこへ更に連続で突きを放ってサイコローグを吹き飛ばし、戦闘中だった王蛇とオルタナティブ・ネオに激突する。
「おっとぉ!?」
「ッ……おい、邪魔するなよ……せっかく面白くなってきたのになぁ……!!」
≪ADVENT≫
『シャァァァァァァァァッ!!』
「!? くっ……!!」
戦いの邪魔をされた王蛇は不機嫌な様子で、ベノバイザーにカードを装填。電子音と共に近くの建物の窓ガラスからベノスネーカーが飛び出し、ベノスネーカーの吐き出した毒液をファムは転がって回避する。それにより毒液が近くの瓦礫に降りかかり、瓦礫がジュワジュワと音を立てながら溶解していく。
(ッ……あの毒液を受けたらひとたまりもない……!! ブランウイングにも手伝って貰うしか……!!)
『グオォォォォォォォォォッ!!』
「!? うぁっ!!」
しかし、そう簡単にはいかない。既に召喚されているメタルゲラスも強烈な突進を放ち、激突したファムを建物の壁まで吹き飛ばす。更に……
「コイツ等の相手でもしてろ……!」
≪ADVENT≫
『キュルルルルル……!!』
「な……きゃあっ!?」
「夏希さん!?」
別の建物の窓ガラスから、今度はあのエビルダイバーが飛び出して来た。ファムがエビルダイバーの体当たりを受けて転倒し、それを見たティアナはエビルダイバーを見て驚愕する。
「エビルダイバーがもう1体!? 何で……アレは手塚さんのモンスターのはずじゃ……!?」
手塚の契約モンスターであるはずのエビルダイバーを、何故王蛇が従えているのか。その理由がわからないティアナだが、その理由を考えていられる時間はない。
「があぁっ!!」
「!? スバルッ!!」
ティアナ達のすぐ近くに、ノーヴェとウェンディの攻撃を受けたスバルが吹き飛ばされて来た。壁に激突した衝撃で土煙が舞う中、既に満身創痍であるにも関わらず、スバルはボロボロな体を無理やりにでも動かしながらノーヴェ達に挑もうとする。
「返せよォ……ギン姉を……返してよォ……ッ!!」
「スバル、アンタのお姉さんはここよ!! 正気に戻って!!」
ティアナが大声で叫ぶも、スバルの耳に届いていないのか、スバルはその歩みを止めようとしない。そんな状態の彼女に、ベノスネーカーが迫ろうとしていた。
『シャアァァァァァァァ……!!』
「!? 危ない!!」
『シャアッ!!』
それに気付いたファムは、対峙していたメタルゲラスを無理やり押し退け、ベノスネーカーの吐き出す毒液からスバルを庇うように突き飛ばした。そのおかげで、スバルはベノスネーカーの毒液を受けずに済んだのだが……
「……ッ!? う、ぁ……」
スバルを庇った結果、ベノスネーカーの吐き出した毒液がほんの僅かに、ファムの仮面の右半分を覆うように降りかかってしまっていた。その事に気付くと同時に、彼女の顔に猛烈な痛みが襲い掛かってきた。
「あ、ぁ……ぐ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!??」
「夏希さんっ!!!」
痛い。熱い。苦しい。顔が焼けるような痛みに苦しむファムは悲鳴を上げながらのたうち回り、ギンガの応急処置を完了したティアナがすかさず駆けつける。その一方、ファムに庇われたスバルはようやく我に返ったのか、苦しそうにのたうち回っているファムを見て呆然としていた。
「あ……え……夏希、さん……?」
何故、彼女はあんなに苦しんでいるのか?
何故、ティアナが青ざめた表情でファムに駆け寄っているのか?
何故、自分の体がこんなに痛むのか?
何故、リボルバーナックルとマッハキャリバーがこんなにも損傷しているのか?
様々な疑問が浮かび上がるスバルだったが、ファムが仮面に浴びている毒液と、自分達のすぐ目の前でノーヴェ達と戦っているベノスネーカーを見て、彼女はようやく気付いた。
今のこの惨状は、自分のせいで起こってしまったのではないかと。
「あ、ぁ……ぁ……ッ……!!」
姉を救いたいという思うあまり、彼女は我を忘れてしまっていた。
我を忘れた結果、夏希が自分の代わりに被害を被る事になってしまった。
自分のせいで、仲間が死にかける羽目になってしまったのだ。
『損傷、甚大……機能、停……止……ッ……』
表情の青ざめたスバルが膝を突き、その拍子にマッハキャリバーの右足のローラーがバキンと折れて破損する。その音すらも、今のスバルの耳には入らなかった。
「い、いや……死なないで……死なないで!! 夏希さぁんっ!!!」
≪STRIKE VENT≫
「はぁっ!!!」
「ぐぅ!?」
そんなスバル達を他所に、王蛇は召喚したメタルホーンを乱暴に振り回し、スラッシュダガーすらも弾き飛ばしてオルタナティブ・ネオに強烈な一撃を炸裂させていた。胸部にダメージを受けたオルタナティブ・ネオが地面に倒れる中、王蛇は首を回しながら楽しそうにオルタナティブ・ネオに近付いて行く。
「ッ……フ、フフフ……私の分析を以てしても、攻撃を捌き切れないとは……やはり、君の戦闘能力は計り知れない物があるようだねぇ……浅倉……!!」
「何をゴチャゴチャ言っている……喋ってる暇があるなら、戦えよ……!」
オルタナティブ・ネオの首元に、メタルホーンの角が向けられる。そのまま王蛇がメタルホーンを突き立てようとしたその時……
『『グラァァァァァァァウッ!!!』』
「!? おぁっ!!」
突如、建物の窓ガラスから2体のモンスターが飛び出し、王蛇に体当たりを繰り出して来た。突然の不意打ちをかわせなかった王蛇は、すぐに体勢を立て直してからその2体のモンスターを睨みつける。
「お前等ァ……!!」
『『グガァァァァァァァァッ!!』』
マグニレェーヴとマグニルナール。かつてエクシスと契約していたモンスター達だ。エクシスが死亡して契約が破棄になって以降、野生に帰ったはずの2体がこうして、突然王蛇の前にその姿を現したのだ。
「フン……死んだライダーの亡霊か」
『『グガアァウッ!!』』
「良いぜ、来いよ……!!」
2体が刀剣を構えて王蛇に飛びかかり、王蛇もメタルホーンを構えて2体を迎撃開始。王蛇達が激しい戦闘を繰り広げる中、オルタナティブ・ネオのすぐ傍にウェンディが駆けつけて来た。
「ドクター、どうすれば良いっスかこの状況!?」
「少しダメージを受け過ぎてしまったようだ……仕方ない、ここは撤退するとしよう」
「え、良いんスか!? ターゲットのあの2人は……」
「ゼロファーストとゼロセカンドも回収したいところだったが……これ以上の戦闘は流石の私もキツい。あの姉妹については諦めるしかなさそうだ。ウェンディ、君もノーヴェを連れて撤退したまえ。チンクはセインに回収させる」
「り、了解したっス……ノーヴェ、撤退するっスよ!!」
「んな!? チィ……アイツ等、次会った時に仕返ししてやる……!!」
王蛇がマグニレェーヴ達と戦っている隙に、オルタナティブ・ネオはサイコローグを連れてミラーワールドに突入して撤退。ウェンディはスバルとの戦闘で負傷していたノーヴェを連れて撤退し、一番ダメージを受けたチンクはディープダイバーの能力で地中から現れたセインに回収され、一同はその場からの撤退に成功したのだった。
「―――ひとまず、俺が介入する必要はなさそうで何よりだ」
その戦いの一部始終を、離れた位置にある建物の屋上から二宮はのんびりと眺めていた。彼は自身が介入する必要がないとわかって安堵する一方、この戦いで負傷してしまったナカジマ姉妹、そしてファムの変身が解けた夏希の方を双眼鏡で見据える。
(霧島の奴があそこまで負傷したのは少し想定外だったが……まぁ、変身した状態で浴びただけなら、まだギリギリ何とかなるだろ。あとはもう1人、オーディンが監視している手塚の方はどうなっているのか……)
場所は変わり、機動六課の本部隊舎……
「IS……ツインブレイズ」
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
「ザフィーラッ!!」
激しく燃え盛る隊舎に、吹き飛ばされたザフィーラが壁を破壊して突っ込んでしまっていた。ザフィーラを吹き飛ばした張本人である、長い茶髪が特徴的な少女―――“ディード”が両手に双剣状のエネルギーを構えてザフィーラに再度攻撃を仕掛けに向かう一方、少し離れた位置では中性的な容姿を持つ茶髪の少女―――“オットー”が右掌から緑色の光線を連続で発射し、シャマルの張ったバリアを打ち破ろうとしていた。
「IS……レイストーム!」
「ッ……あなた達、どうしてこんな事を……!!」
「答える義理はない」
「抵抗も無駄。あなた達はここで倒れる事になる」
「ッ……ヴィヴィオは、連れて行かせんぞ……!!」
防戦一方なシャマルを援護するべく、瓦礫の中から飛び出すザフィーラだったが、既にその体は全身から血が流れてボロボロである。それでもシャマルとザフィーラは倒れる訳にはいかない。ヴィヴィオを守る為にも、ここで屈する訳にはいかないのだ。しかし……
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「「!?」」
隊舎の壁が爆発すると同時に、狙撃銃型のデバイス―――ストームレイダーを装備したヴァイスが、2人のすぐ近くまで吹き飛ばされて来た。彼が吹き飛んで来た方向に2人が振り返ると、その先にはガリューを引き連れたルーテシアの姿があった。そしてガリューの腕の中には……
「「ヴィヴィオッ!!」」
ガリューにお姫様抱っこの要領で抱えられているヴィヴィオの姿もあった。意識を失っているのか、目を閉じているヴィヴィオは2人の声にも反応しない。
「悪いけど、あなたはここで終わり……」
「ッ……くそ……!!」
傷だらけになっているヴァイスを見下ろすルーテシア。その両隣にオットーとディードが並び立つ。
「ルーテシアお嬢様、お疲れ様です」
「うん……お兄ちゃんは?」
「雄一様は現在、手塚海之の足止めを行っています」
「そう……」
「ッ……待て、行かせるかよ……!!」
ヴィヴィオを連れて行かせる訳にはいかない。ヴァイスは受けた傷の痛みで表情を歪めながらも、ストームレイダーを構えてルーテシア・オットー・ディードの3人を狙おうとした……その時。
「―――ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
「「「ッ!?」」」
まだ割れていなかった隊舎の窓ガラスから、ライアが勢い良く吹き飛ばされて来た。
「手塚さん!?」
「ッ……全員、下がれ!!!」
シャマルが駆け寄ろうとしたが、ライアは大声で叫んでそれを制止させる。ライアが叫んだ言葉の意味がわからない一同だったが……それもすぐに理解させられる事になった。
「―――ウオァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
「「「「「ッ!?」」」」」
「ッ……ぐあぁっ!?」
そんな雄叫びが聞こえてきたのは、その数秒後だった。ミラーワールドから飛び出して来たブレードは、右手に構えたガルドバイザー、左手にガルドチャクラムを構えた状態でライアに飛びかかり、ライアの胸部装甲を力強く斬りつけた。突然のブレードの登場に、シャマル達だけでなくルーテシア達も驚愕の表情を示す。
「手塚!!」
「アレって、仮面ライダー……!?」
「「雄一様……!?」」
「お兄ちゃん……ッ!?」
「ガァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
狂ったように雄叫びを上げながらライアに襲いかかるブレードの姿は、オットーやディード、ルーテシアすらも戦慄させるほどだった。そんな彼女達の事など目も暮れず、ブレードはガルドバイザーとガルドチャクラムの二刀流でライアを何度も攻撃し、彼に次のカードを引く隙を全く与えない。
「倒ス……俺ノ邪魔ヲスル奴ハ、俺ガ全テ倒スゥッ!!!」
「!? ぐぅっ……どうしてしまったんだ、雄一……!!」
こんなにも荒い口調で、これほどまでに狂ったような戦い方をするブレードの姿は、彼の性格をよく知るライアにとってはとても想像のつかない事だった。一体、何が彼をここまで突き動かしているのか。そんな事を考えていられる余裕は今のライアにはなく、エビルバイザーで攻撃を防ぎながらも何とか反撃の隙を見出そうとする。
「お兄ちゃん……!」
普段なら無表情であるはずのルーテシアも、目の前の光景には言葉を失っている様子だった。それに気付いたヴァイスは、改めてストームレイダーを構え直し、ルーテシア達を狙う。
(今の内にヴィヴィオを……!!)
「!? お嬢様!!」
「ッ……くぅ!?」
「チッ防がれたか……ならもう一度!!」
ヴァイスの行動に気付いたオットーが声を上げ、それにより気付いたルーテシアが即座に防御魔法を張り、ヴァイスの銃撃を防ぐ。すぐさまヴァイスが次の射撃を行おうとしたその時……
「ッ……ソノ子ニ、手ヲ出スナァァァァァァァァァァァッ!!!」
「!? うぉわっ!?」
ヴァイスがルーテシアに攻撃を仕掛けた事に気付いたのか、ブレードは怒り狂った様子でガルドチャクラムをヴァイス目掛けて投げつけ、ヴァイスのストームレイダーを弾き落とした。更に……
『ショアァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!』
ライアとブレードが飛び出して来たのと同じ隊舎の窓ガラスから、ガルドブレイザーが全身に炎を纏わせた状態で飛び出して来た。その灼熱に燃える金色のボディを持つガルドブレイザーを見て、シャマル達は思わず圧倒されてしまった。
「なっ!?」
「何だ、あのモンスターは……!!」
「ッ……まずい、逃げ―――」
『ショオォォォォォォォォォォォォォッ!!!』
「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」」」」
ライアが叫ぶも、既に遅かった。ガルドブレイザーが両翼から放射した無数の羽根が、炎を纏った状態でライア達のいる地上に放たれて行き、地面に当たると同時に大爆発を引き起こし始めた。その爆発はシャマルの張ったバリア魔法すらも簡単に破壊してしまい、ライア達は誰一人逃げ切れないまま爆発に巻き込まれてしまった。
「ぐ……なんて凄まじい攻撃……!」
「これが、仮面ライダーの力ですか……!」
「ッ……!!」
一方でルーテシア達は、上空に移動する事で爆発に巻き込まれずに済んでいた。オットーとディードがガルドブレイザーの凄まじい力を見て圧倒される中、ルーテシアは今も地上で戦闘態勢を解かずにいるブレードに不安そうな表情を浮かべていた。
「お兄ちゃん……ッ!?」
そんなルーテシアの目に映ったのは、ブレードがガルドバイザーを構えた状態のまま、燃え盛る炎の中で地面に倒れているライアに迫っていく光景だった。ブレードはガルドバイザーを逆手に持ち、受けたダメージのせいで起き上がれないライアの腹部を踏みつける。
「が、ぁ……ッ!!」
「倒ス……コレデ、終ワリダァ……!!」
ガルドバイザーを両手でしっかり握り、その刃先をライアの首元に向ける。そしてブレードはその状態から、ガルドバイザーを勢い良く突き立て―――
「お兄ちゃん、駄目ぇっ!!!!!」
―――られなかった。
「……ッ……!!」
突き立てられようとしていたガルドバイザーの刃先は、ライアの首元ギリギリでピタリと止まっていた。その光景を見たオットーとディードは、自分達の隣で大声で叫んだルーテシアに目を向ける。
「お嬢様……?」
呆然とする2人を他所に、ルーテシアは地面に降りてからブレードの隣まで駆け寄って行き、制止している彼の腰に抱き着いた。
「お兄ちゃん、もう良い……もう充分だから……!」
「グ、ゥ……ルー、テシア……チャン……?」
「それ以上は駄目……お兄ちゃんまで、人殺しにならないで……!」
「ッ……グ、ゥア……ァ……」
その言葉を聞いて、ブレードは踏みつけていたライアの腹部から足を退けた後、構えていたガルドバイザーを地面に落とし、頭を抱えて苦しそうに呻き始める。そんな彼の手をルーテシアが引っ張って行く中、辛うじてまだ意識が残っていたライアは、俯せの状態になりながらも2人を呼び止めようとした。
「待、て……雄一……ッ……!!」
「……ごめんなさい」
謝罪の言葉。その一言が返って来たのは、ルーテシアの口からだった。それだけ告げてから、ルーテシアは今も頭を抱えているブレードを連れてガジェットに乗り込み、オットーやディード、そしてヴィヴィオを抱えたガリューと共にどこかへ飛び去っていく。それをライアは止められなかった。
「ッ……」
激しく燃え上がる隊舎。その周囲には、ガルドブレイザーの攻撃を受けた仲間達が倒れている。かつて占いの中で見えた光景とは、
「みん、な……」
ライアは地面に倒れ伏したまま、変身が解けて手塚の姿に戻る。そんな彼を始め、倒れている者達を複数のトンボ型ガジェットが取り囲む。
(俺は……ッ……)
何も守れなかった。
無力だった。
仮面ライダーという異質の力を持っていながら……結局、運命を変える事ができなかった。
(すま、ない……ヴィ、ヴィ……オ……)
「エリオ君、あれ!!」
「!? そん、な……」
倒れて動けない中、聞こえて来たのは駆けつけて来たエリオとキャロの声。手塚は2人がこちらに駆け寄って来る足音を耳にしながらも、その意識は少しずつ薄れていく。
(約束……守れ、な……かっ……)
「ヴォルテェェェェェェェェェェェェルッ!!!!!」
キャロの叫ぶ声。地響きと共に聞こえて来る巨竜の咆哮。それらを耳にしてから、手塚の意識は少しずつ闇の中へと落ちて行くのだった。
「はぁ、はぁ……ッ……!」
一方、ルーテシア達は一度とある建物の屋上に降り立ち、ガジェットに運ばれていたブレードをゆっくり屋上に下ろしていた。ブレードは柵に寄り掛かりながら、変身が解けて雄一の姿に戻る。
「お兄ちゃん、大丈夫……?」
「ッ……うん……大丈夫、だよ……ルーテシア、ちゃん……さっきは……止めてくれて、ありがとう……!」
柵に寄り掛かるように雄一が座り込み、ルーテシアは心配そうに彼の額から流れる汗を拭い、その様子をオットーとディードは少し離れた位置から見守っている。そんな時、空気を全く読もうともしない映像通信がいきなり繋がり、そこにクアットロの顔が映り込んだ。
『はぁ~い、ルーテシアお嬢様~♪』
「! クアットロ……」
「はぁ……はぁ……クアットロ、さん……!」
『あら、雄一さんもいらっしゃいましたのね。それで、聖王の器は無事に確保できましたか~?』
「……それなら心配いらない。これから撤退するところ」
『それは安心しました♪ 実は先程、ドクター達の方はタイプ・ゼロファーストとタイプ・ゼロセカンドの回収に失敗してしまったようでして。これで聖王の器まで取り逃してしまったらどうしようかと思ってましたわ♪』
「……そう」
『でも、ルーテシアお嬢様のおかげで作戦はひとまず成功ですわ♪ ところで雄一さん、お体の方は大丈夫なんですの?』
「ッ……俺の事なら、心配はいりません……約束、守って頂けますよね……?」
『えぇ、それはもちろん♪ ちゃんと仕事をしてくれた以上、約束を違えたりはしませんわ♪』
「ありがとう、ございます……!」
『いえいえ♪ それじゃあオットーちゃんにディードちゃん、お二人を
「「了解」」
『それでは、また後で~♪』
映像通信が切れた後、雄一は柵を掴んで何とか立ち上がる。しかしその表情は今も苦しそうで、右手で自身の胸部を押さえている。
「お兄ちゃん……」
「……大丈夫だよ、ルーテシアちゃん……
「……うん……」
それでも雄一は、ルーテシアの前では決して笑顔を崩さない。彼が左手でルーテシアの頭を優しく撫でるも、ルーテシアは不安そうな目で彼を見る事しかできなかった。
その後、
「―――ふぅ、疲れた」
「お帰りなさいませ、ドクター」
仮面ライダー達との戦闘を終えたオルタナティブ・ネオが帰還し、変身を解いてスカリエッティの姿に戻っているところだった。疲れて汗だくになっている彼に、ウーノが水の入ったペットボトルとタオルを渡す。
「あぁ、助かるよウーノ……さて、映像はもう繋げてくれてるかな?」
「既に完了しています」
「よし、では早速始めようか。ウーノ」
「了解」
ウーノがキーボードを操作し、スカリエッティの目の前に巨大なモニターが出現する。水分補給を済ませ、タオルで汗も拭いたスカリエッティはすぐさまキリッとした表情に切り替わり、モニターの前で楽しそうに笑みを浮かべながら演説を開始する。
「やぁ、ミッドチルダ地上の管理局員諸君。気に入ってくれたかい? ささやかながらコレは、私からのプレゼントだ……!」
『治安維持だの、ロストロギア規制だのといった名目の下に圧迫され、正しい技術の進化を促進したにも関わらず罪に問われた稀代の技術者達……今日のプレゼントは、その恨みの一撃とでも思ってくれたまえ』
「ッ……!!」
(フフフ……♪)
スカリエッティの演説は、モニターを通じて各世界に広まっていた。公開意見陳述会会場でも、局員達はその演説をただ見ている事しかできず、特にレジアスは額に青筋が浮かび上がるほどだ。しかしそんな彼も、後ろでマリアに化けたドゥーエが怪しげな笑みを浮かべている事に気付かない。
『しかし私もまた、人間を……命を愛する者だ。無駄な血は流さぬよう努力はしたよ。可能な限り無血に人道的に、忌むべき敵を一方的に制圧できる技術……それは充分に証明できたと思う』
「……何が人道的だよ、アホらしい」
街中でその演説を建物の巨大モニターで見ていた二宮は、下らないと言った様子で缶コーヒーを口にする。そして飲み終えた缶コーヒーをグシャリと握り潰し、その場に放り捨てた後……服のポケットから2枚のアドベントカードを取り出した。
(まぁ良い、スカリエッティ達は俺達の想定通りに動いてくれたんだ……動くとすればこの後だな)
『さて、今日はここまでにしておくとしよう。この素晴らしき力と技術が必要であれば、いつでも私宛に依頼をくれたまえ。格別の条件でお譲りする……フフフフフ……フハハハハハハハ!! ハッハハハハハハハハ!!!』
モニター越しに聞こえて来るスカリエッティの高笑い。それを聞いてカリムは悲しげな表情を浮かべ、はやては拳を強く握り締めた。
「ッ……予言は、覆らなかった……!」
「まだや……機動六課は……私達は、まだ終わってない……!!」
この日、機動六課は圧倒的大敗を喫した。
変えなければならなかった運命を、何も変えられないまま……
To be continued……
リリカル龍騎StrikerS!
手塚「俺達は、運命を変えられなかった……ッ!!」
スバル「私のせいで夏希さんが……!!」
夏希「アンタ達が無事なだけでも、充分だよ……」
二宮「お前達が望むのなら、力を与えてやる」
戦わなければ生き残れない!