前話の次回予告や今話のサブタイトルの通り、あのカードが使用されます。仕様は龍騎本編で使われていた物とは多少異なりますが、その辺はご了承下さいませ。
それから活動報告の方も、できれば覗いて貰えるとありがたいです(特にオリジナルライダー募集で設定を送って下さったユーザーの皆様)。
ちなみに短編アンケートの票数ですが……
短編①:2
短編②:0
短編③:2
……この少ない票数から見てもわかる通り、皆やっぱりオリジナルライダーの活躍が見たいんですね。おかげでプレッシャーが相当デカいです←
そんな話はさておき、本編をどうぞ。
「……さて」
ミッドチルダ、深夜1時。ライアに変身した手塚は現在、ライドシューターに乗り込み、現実世界とミラーワールドの狭間に存在する特殊な空間内を移動していた。まだ傷の完治していない彼が、こうしてミラーワールドへ向かおうとしているのには理由がある。
(よりによって、こんな時間帯に俺達を呼び出すとはな……)
そう、それは昼間のミラーワールドにおける戦闘が終わった後の話……
『ッ……サバイブの力……?』
『何故、お前がそれを持っている……!』
『……まぁ、気になるよなぁ』
ブロバジェルとの戦闘が終わった後。アビスから見せつけられた2枚のサバイブカードは、片や赤い炎が燃え盛り、片や青い風が吹き荒れているかのように絵柄の背景が動いており、その動いている背景が絵柄の金色の翼をより煌めかせていた。
『ホテル・アグスタ……覚えているか?』
『それって、前に私達が任務で行った……』
『そう。あそこでオークションにかけられていたロストロギアの中に、このカードが紛れ込んでいたのさ。だから俺がお前等の目を、湯村が機動六課の連中の目を引きつけ、その隙にオーディンが回収した。それ以降は何故かは知らんが、奴が俺にこの2枚を預けたって訳だ』
『! あそこに、そんな物が……』
まさかそんな場所に、サバイブのカードが2枚も紛れ込んでいたとは。そんな事など知る由もなかったライアとファムが驚く中、アビスは話を続ける。
『ただし。コイツを渡す前に、色々と話しておかなければならない事がある』
『話だと?』
『そう、話だ。仮面ライダーブレード……斉藤雄一の件でな』
『『!?』』
『んで、本当なら今すぐ話をしたいところなんだが……話すと長くなるからな。そうするには、今のこの時間帯は適していない』
そして見てみると、アビスバイザーが少しずつ粒子化を始めている。既にタイムリミットが迫っているようで、アビスは仕方ないといった様子で2人に告げる。
『お前等2人。今日の夜、病院からこっそり抜け出して来い』
『何……?』
『ど、どういう事だよ。今渡すんじゃないのかよ?』
『そういう訳にもいかなくてなぁ……お前等は今、モンスターと戦う為にここに来たはずだ。それなのに無駄に長話をしてしまえば、機動六課の連中に怪しまれちまうだろう?』
『む……』
アビスの言う事も尤もだ。ライアとファムは傷が癒えていない状態でここに来たのだ。アビスと何時間も話をしてしまえば、モンスター退治に向かったはずの2人に何かあったのではないかと、機動六課の面々に心配される事になってしまう。そればかりは2人にとっても避けたい事だ。
『そういう訳だ。今日の深夜1時頃、ホテル・アグスタの屋上にお前等2人だけで来い。このカードはその時に渡してやる』
『……お前達は一体、どこまで知っている? 何を企んでこんな事をするんだ』
『残念ながら、そこまで話す義理はない』
ライアの言葉を一蹴し、アビスは2人に背を向けて立ち去って行く。
『話を受けるか受けないか、それはお前等の自由だ……尤も、そんな選択肢があると思えるくらいの余裕が、今のお前等にあればの話だがな』
『『ッ……』』
「―――全く、どこまで見透かされているのか」
そしてミラーワールド。ホテル・アグスタ付近に到着したライアがライドシューターから降りる中、そこへ続くようにもう1台のライドシューターが到着する。もちろん乗っているのはファムだ。
「海之!」
「夏希。やはりお前も来たか」
「まぁね……悔しいけど、悩んでいられる余裕がないのは、実際アイツの言う通りだし」
「……確かにな」
≪≪ADVENT≫≫
『キュルルルル……!』
『ピィィィィィィィ……!』
2人にとって、二宮鋭介は何を企んでいるのかわからず、とても信用できる人物ではない。それでも今は、そんな信用できない人物を宛てにする事しかできないのが現状だった。そんな歯痒い思いをしながらも、2人は召喚されたエビルダイバーとブランウイングにそれぞれ飛び乗り、一気にホテル・アグスタの屋上まで移動する。そして2人が着地する屋上には、壁に背を付けた状態で立っているアビスの姿があった。
「来たな。待っていたぞ」
「……わざわざこんな場所で待ってるなんてね」
「お前等に来て貰わないとこっちが困るんでな……付いて来い」
アビスに連れられ、2人は階段に向かう為の扉を通じてミラーワールドから現実世界に帰還。現実世界のホテル・アグスタ屋上に戻った3人は同時に変身解除し、二宮が2人の方に振り返る。
「こうして、変身前の状態で話すのは初めてだったな。一応名乗っておくとしよう……二宮鋭介、仮面ライダーアビスだ。改めてよろしくな」
「……聞かせて貰おうか。雄一の件について」
「せっかちな奴だな……まぁ良いだろう」
二宮は屋上のベンチに座り込み、アビスのカードデッキから2枚のサバイブカードを引き抜く。
「まず現状を確認しようか。お前等は機動六課の連中と一緒にスカリエッティ達と対立している、だがお前等2人はライダーとなったスカリエッティと斉藤雄一、そして単独で動いている浅倉に敗れ、六課は敗北し、あの金髪のガキが連れ去られる事態になった……違うか?」
「ッ……お前、どうしてヴィヴィオの事まで知ってるんだよ!?」
「いちいち余計な質問をするな面倒臭い。今は俺が聞いた事に『はい』か『いいえ』で答えろ……で、そこの所はどうなんだ? 手塚海之」
「……事実だ」
「だろうな。だからこそ、俺はお前等をここに呼んだんだ。1つ目の理由は、お前等が戦力面で奴等に対抗できるようにする為」
二宮は2枚のサバイブカードを見せつける。
「まず1枚。秋山蓮が使っていた『疾風』の力」
「……!」
「そしてもう1枚。城戸真司が使っていた『烈火』の力」
「うわっとと……!?」
二宮はそれぞれ手塚に青いサバイブカード、夏希に赤いサバイブカードを投げ渡す。手塚はそれを片手のみで上手くキャッチし、夏希は慌てつつも何とか両手でキャッチ。夏希は渡されたカードの絵柄をジッと見つめる。
「これが、真司の使っていたカード……」
「そのカードを使えば、お前等は今まで以上に強力な力を手にする事ができるはずだ。スカリエッティにも、斉藤雄一にも、そして浅倉にも正面から戦える……逆を言えば、一歩間違えれば相手を殺しかねない力でもあるがな」
「……そんなカードを俺達に渡す理由は、聞いても答えないんだろう?」
「よくわかってるじゃないか。さて、お前等をここに呼んだ2つ目の理由だが……ここからがメインの、斉藤雄一についてだ」
その言葉で、手塚の目付きが鋭くなる。それを感じ取った二宮はフンと鼻を鳴らし、自身が座っていたベンチの上にゴロンと寝転がってから話を切り出した。
「あの斉藤雄一は、お前がよく知る斉藤雄一で間違いないんだな?」
「……何が言いたい」
「言葉の通りの意味だ。あの斉藤雄一は、本当にお前が知っている斉藤雄一で間違いないかと聞いている」
二宮から投げかけられた質問の意図が読めず、手塚は眉を顰めながらも口を開く。
「……あいつは優し過ぎる。だからこそ、今も誰かの為に苦しんでいる。それだけは確かだ」
「優し過ぎる、ねぇ……本当にそれだけか?」
「何?」
「オーディンから聞いたぞ。二度目の戦いで、奴はお前に対して容赦なく攻撃して来たそうじゃないか。それでもまだ、お前は奴が優しい人間だとハッキリ言い切れるのか?」
「ッ……」
手塚の脳裏に、ブレードが口調を荒げて攻撃して来た時の事が思い浮かぶ。確かにあの時の雄一は、手塚も見た事がないくらい攻撃的な一面を見せていた。それは手塚も否定できる要素が見つからない。
「……奴があんな風になった理由だが、一応調べはついている」
「!? 本当か……!!」
「あぁ。俺も話に聞いただけだから、詳しい事までは知らないが……現時点で、わかっている事は1つある」
二宮はベンチに寝転がった状態のまま、懐から綺麗に折られた1枚の書類を取り出し、それを広げてからポイッと手塚達の足元に放り捨てる。
「その資料を見てみな」
「……?」
手塚はその放り捨てられた書類を拾い上げ、書かれている内容を確かめる。まず一番最初に目が行ったのは、一番上に貼られている雄一の顔写真、そして文章の中に大きく書かれている『S+』の文字。その内容を見て……手塚は大きく目を見開かせた。
「!? まさか、これは……ッ!!」
「な、何? 何が書かれてたんだよ海之?」
「……手塚は気付いたようだな」
ミッド語を読めない夏希は困惑の表情を浮かべる一方だ。そんな彼女にもわかるように、手塚はその書類に書かれている内容を簡潔に語った。
「……『被験者番号102、名前は斉藤雄一。保有魔力量は推定でランクS+と判断された』」
「!? ちょ、ちょっと待って!! それってまさか……」
「そう……斉藤雄一、奴も魔力持ちだ」
「「……ッ!!」」
二宮の口から告げられた真実。それを聞いた夏希は驚愕し、手塚も信じられないといった表情で書類に何度も目を通す事しかできない。
「とはいえ、奴は魔法に関しては素人と言って良いレベルらしい……まぁ当然だろう。そもそも俺達の世界に、魔法文化なんて存在しちゃいないんだからな」
「な、なら、それがその斉藤雄一とどう関係があるっていうんだよ……!?」
「……調べによると、奴はその魔力を引き出す為の補助装置らしき物を、体に装着しているらしい。その装置が一体どういう物なのかは俺も詳しく知らんがな」
「補助装置……なら、アイツが戦いの中で暴走したのは……!」
「その引き出した魔力が制御できなくて、自分でも止められないくらい暴走した……ってところか? あくまで憶測に過ぎんが」
「けど、それなら余計にわからないよ。何でそんな暴走をしてまで、斎藤雄一は魔法を使うんだ……?」
『そこから先は、私も説明に加わるとしよう』
「「「!!」」」
声が聞こえて来ると同時に、3人の周囲に無数の金色の羽根が舞い落ちる。そして二宮が寝転がっているベンチのすぐ隣に、オーディンが瞬間移動して来たかのように一瞬でその姿を現してみせた。
「オーディン……!」
「……おいおい、アンタまでここに来るとはな」
『事情を説明するには、私がこの場にいた方が手っ取り早いからな』
「あ? どういう事だそりゃ」
寝転がっていた二宮がベンチから起き上がる中、オーディンは手塚と夏希の方を見据える。
『手塚海之。お前は斉藤雄一を
「……あぁ」
『これから私が語る内容は、お前にとっては残酷な真実かもしれん。お前のその評価が、いとも簡単に覆る事になるかもしれん……それでもお前は、先の真実を知りたいというのか?』
手塚海之に、如何なる真実でも受け止める覚悟があるのかどうか。オーディンは敢えて意地悪く問いかける。そんな問いかけに対し、手塚は静かに目を閉じた後……開かれた目は、オーディンを真っ直ぐ見据えていた。
「……俺は今まで、マシじゃない未来など占いで何度も見て来た。そんな俺でも、他人の心の奥底まで占える訳じゃない」
『ほぉ……?』
「だからこそ、俺は知らなければならない。アイツの真意を……俺の前にライダーとして立ち塞がった、雄一の思いを」
その目に迷いはなく、ブレてもいなかった。夏希が不安そうな表情で手塚を見ている中、オーディンは数秒ほど間を置いてから次の言葉を発する。
『……そうだ。その言葉を聞きたかった』
オーディンが左手をかざした瞬間、金色の羽根と共に杖型の召喚機―――ゴルトバイザーが出現。オーディンはそれを左手で掴んで地面に突き立て、カードを差し込む為の装填口を開く。
『ならば語り明かそう。斉藤雄一が、この世界で何をしていたのか……』
オーディンはカードデッキから1枚のカードを引き抜いた。そのカードの絵柄を見て、今まで退屈そうに話を聞いていた二宮が驚愕の表情を示す。
「!? そのカードは……!!」
『そうか。このカードの存在を知っているのは、この場では二宮だけだったな』
「「?」」
『だが安心しろ、お前達には何の害もない。元いた世界で使っていた時とは、仕様が異なるからな』
オーディンが引き抜いたカード……その絵柄に描かれていたのは、1から13までのローマ数字が書かれた大きな時計の絵だった。オーディンはそのカードをゴルトバイザーの装填口に挿し込む。
『刮目するが良い……運命に翻弄されし男の、残酷な真実を』
≪TIME VENT≫
ボォォォォォン……ボォォォォォン……
どこからか鳴り響く時計の音。カードの効果を知らない手塚と夏希が思わず周囲を見渡す中、唯一カードの効果を知っている二宮は思わずその場で身構える。そして……
『……フッ!!』
「!? ぐぁっ!?」
「な……きゃあ!?」
「……ッ!!」
オーディンが腕を胸の前に置いた瞬間、彼の全身が鏡のように粉々に砕け散る。その衝撃で手塚・夏希・二宮の3人が怯み……彼等の動きが、その場でピタリと制止する。
ボォォォォォン……ボォォォォォン……
チク、タク、チク、タク、チク、タク、チク、タク……
そして粉々に砕けたはずのオーディンの姿が、一瞬にして元に戻る……否、
そこから時計の鳴る音、時計の針が進む音が、世界に大きく鳴り響く。そんな状況下で今もなお意識を保ち続けているのは、カードの力を発動したオーディンのみだった。
「―――ん」
ふと、手塚の意識が覚醒する。
「ここは……」
目覚めた彼の視界に映ったのは、ホテル・アグスタの屋上ではなかった。彼の周りには、無数の木々によって形成された森林地帯が大きく広がっている。どうして自分はこんな場所にいるのか。その理由を知るより前に、手塚は自身の近くに倒れている夏希の姿を発見する。
「! 夏希、大丈夫か」
「ッ……海、之……ここは……?」
「わからない。恐らく、どこかの森の中のようだが……」
「全く、オーディンの野郎。俺まで巻き添えにしやがったな」
「「!」」
2人が振り向いた先には、大きな岩の上に座り込んでいる二宮の姿があった。彼は岩の上で胡坐をかき、不機嫌そうな表情を浮かべながら右手で頬杖を突いている。
「よぉ、お前等。目が覚めたかよ」
「二宮……お前は知っているのか? この状況を」
「……一応は知っている。オーディンの話じゃ、前に俺達がいた世界でも使われてたらしいからな……と言っても実際のところ、俺はあんまり記憶に残ってないが」
『記憶になくて当然だ』
3人の前に、オーディンが瞬時に姿を現す。
『あの時はライダーの記憶ごと、時間を巻き戻していたからな。お前がよく覚えていないのも無理はない』
「……ん? ちょっと待って」
オーディンの告げた言葉に、夏希は思わず問いかける。
「今、時間を巻き戻したって言わなかった?」
『あぁそうだ。それが私が先程使ったカード……タイムベントの力だ。私は世界における全ての事象……その時間を巻き戻す事ができる。お前達は今、その巻き戻された時間の先にある過去……およそ1年前の過去の映像を、こうして見せられているという訳だ』
「はぁ!? 何だよそれ、反則過ぎるだろそんなカード!!」
『それは私に言われても困る。私は元いた世界では、神崎士郎の指示でこのカードを使っていただけだからな』
「! 神崎士郎の指示だと……?」
『そう……何にせよ、今はそんな事は重要ではなかろう。見よ』
オーディンが左手で指差す先に、手塚達が振り返る。その先には、先程までの手塚達と同じように倒れている青年の姿があり……その青年の顔を見た手塚は思わず大きな声で叫んだ。
「雄一!!」
手塚は倒れている青年―――雄一の下まで駆け寄り、彼の背に触れようとした。しかし手塚の触れようとした右手は雄一の体を通過し、触れる事ができなかった。
『お前達はあくまで、過去の映像を見ているだけだからな。お前達が過去の人間と触れ合う事はなく、お前達の声が過去の人間に聞こえる事もない』
「ッ……雄一……」
「アレが、斉藤雄一……?」
「……待て。何か来るぞ」
その時、何かに気付いた二宮はある方向を見据える。その先からは、手塚達も見覚えのある存在が草木の中から飛び出して来た。
「! 海之、アイツって……」
「……あの少女が連れていた召喚獣か」
現れたのは、ルーテシアに付き従っている召喚獣のガリューだった。そこへ続くように少女―――ルーテシアも草木の中から姿を現し、ガリューの隣に着地する。
『ガリュー、一体どうし……人?』
ルーテシアは倒れている雄一の存在に気付き、彼の傍まで歩み寄ってしゃがみ込む。彼女が指で軽くツンツン突いてみても、雄一が目覚める様子はない。
『ガリュー。私達が探してるのはレリックで、人じゃな―――』
言いかけたところで、ルーテシアは気付いた。雄一のすぐ傍に落ちている物……それに惹かれるように意識が向いたルーテシアは、無意識の内にそれを拾い上げる。その光景を見ていた手塚達は驚愕する。
「あれって、カードデッキ!?」
「馬鹿な……何故あのカードデッキが、雄一の手元に……!」
ルーテシアが拾い上げた物―――カードデッキの色は、手塚が所有している物と同じ赤紫色で、エンブレムは何も刻まれていなかった。同じ色のカードデッキをどうして雄一も所持しているのか。手塚が困惑の表情を隠せずにいる一方で、拾い上げたカードデッキをジーっと眺めていたルーテシアは、未だ倒れたまま意識のない雄一の顔をもう一度だけチラリと見据えてから立ち上がる。
『……気が変わった。ガリュー、この人も連れて帰ろう』
『……』
ルーテシアの言葉に応じたのか、ガリューはコクリと頷いてから雄一を肩に背負う。するとルーテシアとガリューの足元に魔法陣が出現し、彼女達はそのまま転移していってしまった。
「あ、ちょっと!? どっか行っちゃったよ!?」
『ふむ。では少し、時を進めるとしよう』
「何……ッ!?」
オーディンが指を鳴らした瞬間、その場の風景が鏡のように罅割れ、粉々に砕け散る。手塚や夏希だけでなく二宮も思わず身構える中、砕け散った風景は一瞬で元に戻り、そこには違う光景が広がっていた。
「? 何、ここ……」
「……研究所。恐らく、スカリエッティのアジトだな」
「! スカリエッティ……」
手塚達の前に広がっているのは、どこかの研究所を思わせる謎の施設内。無数の培養カプセルが並ぶ、不気味で薄暗い部屋の中をルーテシアと雄一を背負ったガリューが移動しており、彼女達が歩くその先には、キーボードを打ちながら何かの作業をしているスカリエッティの姿があった。
『おや、おかえりルーテシア嬢……それは何だい?』
『……落ちてたから拾って来た』
『ほぉ、珍しいね。ルーテシア嬢がレリック以外の拾い物をして来るなんて』
『……この人が、こんな物を持っていた』
『ん?』
ルーテシアは雄一と一緒に拾ったカードデッキを、スカリエッティに直接手渡した。スカリエッティはカードデッキを不思議そうに見ており、カードデッキの中に入っているカードを何枚か引き抜いてみる事にした。
『ふむ? 何かのカードが入っているようだが……どれどれ』
引き抜いたカードを2枚、スカリエッティは自身のデスクの上に並べていく。2枚のカードはそれぞれ何も描かれていない無地の白い絵柄、黒いブラックホールのような絵柄になっており……それを見たスカリエッティは何かを思いついたのか、もう一度カードデッキの方を掴み取った。
『! 待てよ……もしや、これは』
『……?』
ルーテシアが首を傾げている中、スカリエッティはデスクの上に置かれていた無数の書類の中から、ホッチキスで留められている数枚の研究資料を取り出した。彼はその資料をペラペラ捲って確認した後……ニヤリと不気味な笑みを浮かべてみせた。
『感謝するよ、ルーテシア嬢。君はとても良い拾い物をしてくれた』
『……何か、わかったの?』
『あぁ、これはぜひとも研究しなければならない事柄だ。その為にはまず、そこの彼に一刻も早く目覚めて貰う必要があるがね』
スカリエッティは今もガリューの肩に背負われている雄一を見ながらも、クククと面白そうに笑い続ける。そんな彼が手に持っている資料には……
『~疑似ライダーシステム・オルタナティブ 開発資料~』
『開発者 香川英行』
疑似ライダーシステム―――“オルタナティブ”の開発設計データが書き記されていた。
To be continued……
リリカル龍騎StrikerS!
雄一「ここが、違う世界……?」
スカリエッティ「雄一君。私は君を歓迎しよう」
ルーテシア「私には、守りたい人がいるから……」
トーレ「アレがモンスターだと……!?」
戦わなければ生き残れない!
雄一「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」