リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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今回から、本格的に雄一の過去編がスタートです。

ちなみに、劇中ではタイムベントによって手塚達が過去の映像を見ている……といった風な話になっていますが、ここからしばらくは手塚達の視点ではなく、雄一の視点で話を進めていこうと思っています。

ついでに活動報告の方も、短編アンケートは続いています。それから一部ユーザーの皆様にも、できる事なら活動報告を覗いて頂けると本当に助かります。

それでは本編をどうぞ。



第40話 ブレードの誕生

『お前の夢を取り戻したければ……戦え。戦って全てを取り戻せ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『シャアァァァァァァァァァッ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

痛イ。苦シイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ッ……雄一!? 雄一!! 雄一ィッ!!! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ごめン、手塚……お前ダケデモ、ドウか生き延ビテくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドウカ、俺ノ分マ、デ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――はっ!?」

 

深い真っ暗闇の中。青年―――斎藤雄一は、意識が戻りその目が覚める事となった。目覚めた彼の視界に最初に映り込んだのは、見覚えのない鉄製の天井だった。

 

「ッ……はぁ……はぁ……」

 

額を一筋の汗が流れ落ちる。雄一はその汗を腕を拭い取ってから、自分が今いる場所を確認するべく周囲を見渡していく。右を見れば鉄製の壁が、左を見れば頑丈そうな鉄格子が確認でき、自分が座っている場所は白い掛け布団の存在するベッド。ここが独房らしき場所である事は雄一もすぐに理解できた。

 

(ここは、一体……)

 

何故自分はこんな所にいるのか。自分は喰い殺されたのではなかったのか。そんな数々の疑問に囚われていた雄一の耳に、どこからか誰かの会話が聞こえて来た。

 

「ドクター、彼が目を覚ましたようです」

 

「おぉ、ちょうど良いタイミングだね」

 

「……?」

 

雄一が見据えた鉄格子の先に、2人の人物が姿を現した。片方は白衣を纏った紫髪の男性、もう片方はウェーブかかった薄紫色の長髪が特徴的な女性だ。

 

「やぁ、よく眠れたかな?」

 

「……あなた、達は?」

 

「私はジェイル・スカリエッティ。彼女は秘書のウーノだ。よろしく」

 

「あ、えっと……斉藤雄一、です」

 

スカリエッティが名乗り、それに続くようにウーノもペコリと頭を下げる。それに対して雄一も、思わず礼儀正しく頭を下げながら自己紹介を行う。それから彼は、スカリエッティに聞きたい事を聞いてみる事にした。

 

「あの……ここは一体……?」

 

「ふむ、意外と落ち着いているね……雄一君、と呼べば良いのかな? ここは私の研究所(ラボ)さ。君が森の中で倒れていたところを、私の身内がここまで拾って来たのさ。彼女が拾い物をしてくるなんて、なかなかに珍しい事でね」

 

「……そう、ですか。あの……助けて頂いて、ありがとうございます」

 

「私は特に何もしていないさ。礼なら君を拾った本人にすると良い、後で私から紹介しよう……それよりもだ。君にはいくつか聞きたい事がある」

 

「?」

 

「雄一君、君は何故あんな所で倒れていたんだい? 君が倒れていたあの地域は、人がそうそう来るような場所ではないはずなんだが」

 

鉄格子に手をかけながら、スカリエッティは雄一が倒れていた理由を問いかける。しかし雄一は、その質問には答えられなかった……というよりも答えようがなかった。

 

「えっと……すみません。俺にも、よくわかりません」

 

「ふむ、わからないか……では、自分が倒れる前の記憶はどうかね? 何か覚えてはいないのかな?」

 

「倒れる前の……」

 

その時、雄一の記憶が呼び起こされる。傷害事件に巻き込まれた時の記憶、大好きだったはずのピアノが弾けなくなった時の記憶、謎の男からカードデッキを渡された時の記憶……そして、自分がモンスターに喰い殺された時の記憶。

 

「……ッ!!」

 

雄一は頭を抱えて震え出した。今でも彼の心身には鮮明に残っていた。自身の体を、跡形もなく貪られていく時の苦痛が。

 

「う、ぁ……がは、ごほ、ごほぉっ!!」

 

「おやおや……この感じ、どうも訳ありのようだね」

 

ベッドから崩れ落ち、口元を押さえて咳き込み始める雄一。そんな彼の様子を見たスカリエッティは自身の顎を触れながら考え込む仕草をした後、独房の扉の前に出現させたキーボードを操作してからロックを解除し、扉を開けてウーノと共に独房の中へと入っていく。

 

「大丈夫かね? その様子だと、何かトラウマのような物でも抱えているようだが」

 

「はぁ、はぁ……すみ、ません……大丈夫です……ッ」

 

「本当にかい? まぁとにかくだ。君にはまず、その優れない体調を整えて貰うとしよう。話はそれからだ」

 

「どうぞ。お飲み下さい」

 

「ッ……ありがとう、ございます……」

 

ウーノから水の入ったコップを渡され、雄一は少しずつ水を喉の奥へと流し込んでいく。未だ顔色の優れない雄一ではあったが、水を飲むだけでも少しは違うのか、多少は呼吸も落ち着いたようだ。

 

「さて、雄一君。私の予想が正しければ、君はこのミッドチルダの住人ではなく、違う世界の住人だろう」

 

「……ミッド、チルダ?」

 

「その様子、やはり何も知らないようだね。名前からして恐らく地球人か……取り敢えず、君には色々と説明する必要があるようだ。私に付いて来たまえ」

 

「立てますか?」

 

「あ、はい……大丈夫です」

 

スカリエッティが独房から出て行き、雄一もウーノの手を借りる形でその場から立ち上がる。それから雄一は2人の後ろを付いて行く事になり、3人は複数の培養カプセルが並ぶ長い通路を進んでいき、とある大きな部屋へと到着する。

 

「さて、まずはどこから説明するべきか……ウーノ」

 

「はい」

 

スカリエッティが椅子に座り込み、ウーノが装置の前に立ちキーボードを捜査する。すると3人の周囲に複数のモニターが一斉に出現し、それを見た雄一は驚いて思わず後ずさった。

 

「こ、これは……?」

 

「驚いたかな? 我々が今いるこの世界―――ミッドチルダは魔法文化が発展していてね。君がいた世界に、こんな便利な技術はないだろう?」

 

「……ここが、違う世界……?」

 

雄一は自分達の周囲をゆっくり回転している複数のモニターを見て、呆気に取られたような表情になる。そんな彼の反応を面白そうに見ていたスカリエッティは、1つのモニターに映っている地球を雄一に見せた。

 

「君がいた世界は、この世界で間違いないかな?」

 

「! 地球……」

 

「君が何故こんな場所にいるのか、簡潔にだが私から説明しよう。君は今、何らかの形で地球からミッドチルダに転移して来た。そしてミッドチルダに転移した後、森の中で倒れていたところを私の身内が拾い、この研究所(ラボ)まで運ばれて来たという訳だ……ここまでは理解して貰えたかな?」

 

「は、はい……」

 

「しかしわからないのが、君がこの世界に転移して来た理由だ。君は何か心当たりはないかね? 尤も、先程の様子からしてあまり思い出したくない物があるようだが」

 

「……ッ」

 

その言葉を聞いて、雄一の脳裏に再びあの光景が浮かび上がる。しかし先程に比べると多少は気分が落ち着いていたからか、先程のように咳き込むような事はなかった。

 

「話したくないのであれば、無理に話さなくても構わないよ。無理に聞き出そうとしても、あんな風に過呼吸にでもなられたら余計に話を聞けないからね」

 

「……いえ、話します」

 

「ほぉ?」

 

雄一にとって、スカリエッティ達は倒れていた自分を拾ってくれた恩人だ。だからこそ、雄一は彼等に全てを話す事にした。自分がこの世界に来る前の出来事を……死んだはずの自分が、何故か今もこうして生きている事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鏡の世界、鏡のモンスター、そして仮面ライダー……ふむ」

 

スカリエッティは目を閉じたまま、膝の上を指でトントン突きながら座っている椅子を回転させる。そして椅子が何回目かもわからない回数ほど回転した後、椅子の回転を止めたスカリエッティはクククと僅かにだが不気味な笑い声を上げた。

 

「なるほど……雄一君。君は随分と信じられないような事に巻き込まれたようだねぇ」

 

「……信じるんですか? 俺の話を」

 

「1年以上前の私なら、そう簡単には信じていなかっただろう。しかし今の私は違う……何故なら、その仮面ライダーに関連する興味深い物を拾ったばかりだからね」

 

「?」

 

スカリエッティはある物を取り出す。片方はオルタナティブの設計データが載せられている開発資料、そしてもう片方は……エンブレムのない、赤紫色のカードデッキ。雄一は思わず後ずさる。

 

「それは……!」

 

「このカードデッキ……君が生前、その神崎士郎という男に渡された物で間違いないかな?」

 

「ッ……はい」

 

「ふむ、やはりそうか……君が倒れていたすぐ傍に、これも一緒に落ちていたらしい。私はこれを見て、この資料と関係があるのではないかと読んだのさ。君はこの資料に見覚えはないかい?」

 

スカリエッティはオルタナティブの開発資料をペラペラ捲り、そのデータを雄一に見せつける。しかし雄一からすれば、そんなデータには全くと言って良いほど見覚えがなかった。

 

「……?」

 

「……その様子だと、君はこれを知らないようだね。何か詳しい情報が手に入るかと思ったが、知らないのであれば仕方ない」

 

スカリエッティは残念そうな表情で資料を片付けた後、カードデッキを机の上に置く。

 

「さて、話を続けようか。君はこのカードデッキを使って、仮面ライダーという物に変身した事は一度もないんだったね?」

 

「……はい」

 

「では、このカードデッキは私の方で預からせて貰ってもよろしいかな? こういった謎のアイテムは、ぜひとも研究してみたいと思っていてね」

 

「……構いません。俺はそもそも、戦う事は好きじゃありませんから」

 

「ふむ、ではこれはこちらで預かるとして……実はまだ、君に言っていなかった事がある」

 

「? 何ですか……?」

 

「実は君が意識を失っている間に、こちらで勝手に君の体を検査してみたのだが……面白い事がわかってね」

 

スカリエッティが話を進める中、ウーノがキーボードを操作して別のモニターを出現させる。そこにはミッド語による文章が並んでいた。

 

「えっと……これは?」

 

「私は魔力を持たない人間に、人工的に魔力を与えて人造魔導師を生み出す研究もしていてね……調べてみたところ、君の体も人造魔導師の素体として適している事がわかったんだ。これはぜひとも、君の体を使って研究してみたいと思ってね!! 想像してみたまえよ雄一君……今まで魔法を使えなかった自分が、魔法を使えるようになって思うがままに戦える姿を!! どうだい、素晴らしい研究だと思わないかい!?」

 

「は、はぁ……」

 

「すみません。一度こうなってしまうと、私でも止められなくて」

 

少しずつテンションがハイになっていくスカリエッティの口調に、雄一は少しだけ表情が引き攣り始めた。その事に気付いているのか否か、スカリエッティは今も楽しそうな表情で話を続けており、ウーノからも謝罪の言葉が出るほどだ。すると途中で一旦落ち着いたのか、スカリエッティの台詞が途切れた。

 

「ふぅ、少しテンションが上がり過ぎてしまった……まぁそういう訳だ。せっかくの貴重な素体だ、君を使い捨てにしたりなんて事をするつもりは毛頭ないから安心したまえ。もちろんタダでとも言わない。君がここに滞在している間、君の衣食住は我々が保証しようじゃないか。君が地球に帰りたいのであれば、君が帰る為の方法も我々の方で何とかしてみようとも思っている……どうかね?」

 

スカリエッティから手を差し伸べられる。先程のハイテンションで不気味な表情を見たからか、雄一はほんの少しだけ心の中で迷ったが、他に行く宛ても存在しない。それに話を聞いてみたところ、別に自分の命を奪おうとかそんなつもりは(一応)ないようだ。そういった考えから、彼はスカリエッティの提案に乗る事にした。

 

「……すみません。少しの間、お世話になります」

 

「うん、良い返事だ」

 

こうして、雄一はしばらくの間、スカリエッティの研究所(ラボ)に滞在する事になった。

 

「ようこそ我が研究所(ラボ)へ。雄一君、私は君を歓迎しよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしこれが、後に雄一の運命を大きく左右する事になるなど……この時の雄一は、まだ知る由もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドクターから話は聞いている。私はチンクだ、よろしく頼む」

 

「は、はい、斎藤雄一です。これから少しの間、お世話になります」

 

それから翌日。雄一はスカリエッティからの紹介で、ナンバーズのメンバー達と対面する事となった。ナンバーズのNo.5―――チンクと握手を交わしたのを皮切りに、彼は順番に紹介を受けていく。

 

 

 

 

「……トーレだ。馴れ合いはせんからそのつもりでいろ」

 

No.3―――トーレ。厳格そうな雰囲気を醸し出している、紫髪が特徴的な長身の女性。

 

 

 

 

「あらあら、随分大人しそうな印象ですわねぇ。まぁ取り敢えず、よろしくお願いしますわぁ~」

 

No.4―――クアットロ。白いマントと眼鏡が特徴的な、どこか口調が甘ったるい茶髪の女性。

 

 

 

 

「私はディエチ。よろしく」

 

No.10―――ディエチ。茶髪のロングヘアを後ろで結っている、寡黙な雰囲気の少女。

 

 

 

 

「アタシはセイン、よろしくねぇ~」

 

No.6……セイン。水色髪のセミロングが特徴的な、とにかく明るい少女。

 

 

 

 

「ドクターの客人っスか? アタシはウェンディで、こっちはノーヴェっス! よろしく!」

 

「……フン」

 

No.11……ウェンディ。濃いピンク髪を後ろに纏めた、かなり軽い口調の少女。

 

No.9……ノーヴェ。常に不機嫌そうな表情をしている、短い赤髪の少女。

 

 

 

 

現時点でこの場にいないNo.2、まだ稼働していないNo.7・No.8・No.12を除き、一通りナンバーズの自己紹介を受けた雄一。その自己紹介の中、雄一は彼女達が全員、機械を体内に組み込まれたサイボーグのような存在―――戦闘機人である事を知った。

 

「人体に機械を融合……!?」

 

「そう、それこそ私が研究・開発している戦闘機人だ。古来より何度も開発が試みられた最新型の兵器を、私はこの手で完成させてみせたのだよ!」

 

正直な所、雄一は彼の語る理論的な話は頭に入っていなかった。しかしナンバーズが人体に機械を組み込まれたサイボーグのような存在である事。彼女達が機械を組み込まれる事を前提に生み出された存在である事。そういった倫理面の問題と、研究所に滞在させて貰っている立場から、雄一はかなり複雑な心情だった。

 

「ドクター」

 

「おや、ルーテシア嬢。探し物は見つかったかね?」

 

「ううん……」

 

そんな時、雄一とスカリエッティの前にルーテシアがガリューを連れてやって来た。ルーテシアが残念そうな表情で俯いている中、雄一はルーテシアの後ろで腕を組んでいるガリューに目を引かれていた。そんな雄一の存在に気付いたのか、ルーテシアは雄一と目線を合わせる。

 

「あ……目が覚めたんだ」

 

「あぁ、つい先日ね……雄一君、紹介しよう。彼女はルーテシア・アルピーノ。後ろにいるのは彼女に付き従っている召喚獣のガリューだ。倒れていた君を見つけて、ここまで運んで来たのも彼女達だよ」

 

「! 君が……」

 

スカリエッティの紹介で、雄一は目の前にいる少女が自分を運んでくれた人物である事を知った。こんな若い少女まで魔法を使うのかと不思議に思いながらも、雄一はルーテシアにお礼を述べる。

 

「えっと……ルーテシアちゃん、で良いかな?」

 

「……ん」

 

「俺は斎藤雄一。助けてくれた事、凄く感謝してる。ありがとう」

 

「……気にしなくて良い。拾ったのも、タダの気まぐれだから」

 

そう言って、ルーテシアは背を向けて立ち去って行っていく。そして立ち去っていくルーテシアの背中を見届けていた雄一の肩に、スカリエッティの手が置かれる。

 

「さて雄一君。早速で済まないが、検査の時間と行かせて貰って良いかな?」

 

「……はい」

 

素晴らしいくらい不気味なニコニコ笑顔を浮かべているスカリエッティに、雄一は引き攣った笑みを浮かべる事しかできない。彼等の世話になっている以上、雄一は大人しく彼の頼み事に応じる事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからもしばらく、雄一はスカリエッティによる検査を受けつつ、ミッドチルダでの文化や言語についても勉強する日々が続いた。1日に朝・昼・夜の3回も検査を受け、空いている時間でウーノやチンクを介してミッド語を教えて貰う。更に朝食・昼食・夕食の時間では……

 

「皆、ご飯ができたよ」

 

「待ってたっス!」

 

ただ検査を受け、勉強に付き合って貰うだけでは申し訳ないと思ったのだろう。研究所(ラボ)に滞在させて貰っている間、雄一はスカリエッティ達の為に自ら調理係を引き受ける事になった。生前にピアニストを目指しながら様々なアルバイトをこなしていた彼は、飲食店のバイトで働いていた頃のスキルを存分に生かし、美味しい手料理を彼等に提供していた。

 

「いやはや、まさか雄一君が料理を得意としていたとは。私達にとってもラッキーだったね」

 

「うん、美味しい。ノーヴェはどう?」

 

「ア、アタシは別にどうだって……」

 

「あ、じゃあノーヴェの分はアタシが貰うっスねぇ~」

 

「な……おい、勝手に食うんじゃねぇよ!」

 

「まぁ、これだけでも彼がいる価値はありそうですわね」

 

「ムグムグ」

 

雄一の手料理は、スカリエッティやナンバーズ、ルーテシアからは絶賛だった。現時点で雄一にあまり興味を示そうとしていないノーヴェですら、ウェンディに取られないよう自分が食べる分はしっかり食べている。そんな彼女達の喧騒に苦笑いを浮かべながらも……雄一は違う事に意識が向いていた。

 

(……やっぱり、ちゃんと動かせる)

 

生前に浅倉が起こした傷害事件……その時に負った右腕の傷が、綺麗サッパリなくなっていた。雄一は右手をギュッパギュッパ握ったり開いたりを繰り返し、右手が正常に動く事を何度も確認する。何度も確認してしまうくらい……かつて抱いていた夢を、彼は今も忘れられずにいた。

 

「……」

 

「んむ、どうしたんスか?」

 

「……え? あぁ、ううん。何でもない。俺の事は気にせず、どんどん食べてね」

 

しかし、今はそんな事を気にしていても仕方がない。ご飯を口に頬張ったまま首を傾げるウェンディに対し、雄一は笑顔を浮かべてから、自身も目の前の料理に手をつけていく。

 

(……)

 

そんな雄一の様子を、ルーテシアは料理を食べながらジッと見つめていた。その事に雄一は気付いておらず、ルーテシアもすぐに目の前の料理を食べる事に意識を向けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

元の世界に帰れるまで、しばらくはそんな日常が続くだろう。

 

 

 

 

 

 

この時までは、雄一はそう思っていた。

 

 

 

 

 

しかし……

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

 

『―――シャアッ!!』

 

 

 

 

 

 

雄一にとって因縁深き存在が、彼等のいる研究所(ラボ)まで迫り来ようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇっと、ここの文字は確か日本語で……」

 

それからある日の事。この日の雄一は、ウーノから課されたミッド語の課題をクリアするべく、1枚の紙に書かれたいくつかの文章を翻訳しようと頑張っているところだった。文字の1つ1つを落ち着いて翻訳しながら、彼はスカリエッティに用意して貰った専用の部屋まで戻るべく、長い通路を歩いていく。

 

「それからここは……ん?」

 

そんな時だ。たまたま通りかかった部屋の扉が開いている事に気付いた雄一は、何の部屋かと思い中を覗いてみる事にした。そこには……

 

「ッ……これは……!」

 

複数並べられた培養カプセル。その中の培養液に浸かっている複数の女性。思わず手に持っていた紙とペンを足元に落とすほど、それらを見て言葉を失いかける雄一だったが、その培養カプセルが複数並ぶ部屋の中を、ルーテシアが歩いているのを発見する。

 

「ルーテシア、ちゃん……?」

 

「……!」

 

雄一に声をかけられ、振り向いたルーテシアが雄一の存在に気付くも、すぐに視線を逸らして歩き始める。雄一は何故彼女がこの部屋にいるのだろうか。気になった雄一は、恐る恐るだが部屋の中に入り、ルーテシアの後ろを付いて行くように歩き始める。

 

「ルーテシアちゃん、どうしてこんな所に……?」

 

「……」

 

雄一は勇気を持って話しかけたが、ルーテシアからは容赦なく無視されてしまう。彼女の冷たい態度に一瞬だけ傷付きそうになる雄一だったが、彼女がとある培養カプセルの前で歩みを止めたのを見て、雄一も彼女が見上げている培養カプセルを見据える。

 

「! この人……」

 

その培養カプセルの中に入れられている女性。ルーテシアにそっくりな容姿と髪型。その女性を見て悲しげな表情を浮かべているルーテシア。それらを見て、雄一はこの女性の正体を何となくだが予想する事ができた。

 

「……もしかして、君のお母さん?」

 

「……」

 

ルーテシアは何も答えず沈黙しているが、首を横に振る事はしなかった。一応、雄一の言葉を肯定したと見て良いようだ。

 

「どうして、君のお母さんがこんな所に……」

 

「……お母さんは」

 

ここで、初めてルーテシアがまともに言葉を発した。

 

「お母さんはずっと、ここで眠り続けてる……このままじゃ、お母さんは目覚めない」

 

「眠り続けてるって……ずっと、この中で?」

 

ルーテシアはコクリと頷く。

 

「ドクターが言ってた。目覚めさせるには、専用のレリックが必要だって……それさえあれば、お母さんを目覚めさせられる事ができるかもしれないって」

 

「……そう、なんだ」

 

ルーテシアの言うレリックについては、ウーノからロストロギアの存在について教えられた際に、名称だけは一応聞いてはいた。それが一体どんな物なのかまでは雄一もまだ詳しくは知らないが、それがルーテシアにとっては非常に重要な代物である事だけは理解できた。

 

「お母さんに、目覚めて欲しいんだね」

 

「……私には、守りたい人がいるから……目覚めて欲しい人がいるから、私は魔導師になった。あなたは?」

 

「え……?」

 

「誰かの為に……あなたは、自分の命を懸ける覚悟がある?」

 

「……俺は」

 

今もまだ、雄一の脳裏にはあの時の記憶が消えずにいる。思い出すだけで、吐き気にも襲われそうになる。それでも雄一は我慢した。必死に笑顔を保とうとした。目の前の少女には、笑顔で接しなければならない……そんな気がしていたから。

 

「……命を懸ける覚悟とか……俺には、そういうのはよくわからない。でも……戦いに勝てば願いが叶う。戦わなければ自分が死ぬ。そんな選択肢を、迫られた事ならあるよ」

 

「……戦ったの?」

 

「いや……俺は戦わなかった。それで死んだ。死んでから、何故か俺はこの世界にやって来た」

 

「戦わなかった……どうして?」

 

「……嫌だったから」

 

自身が死ぬ時の記憶。それと同時に呼び起こされる、夢を応援してくれた親友の顔。

 

「……自分の夢の為に、誰かの命を奪うのが嫌だったんだ。戦いに勝って、願いを叶えたとしても……俺自身が、それを認める事ができない……そんな気がしたから」

 

「……」

 

ルーテシアは気付いていた。自分の思いを語る雄一の表情が、震えていた事に。ルーテシアの前で必死に笑顔を保ち続けようとしている雄一の瞳に、葛藤のような物が含まれていた事に。

 

「……不思議な人」

 

「俺なんて、ルーテシアちゃんに比べればどうって事ないよ……君のお母さん、いつか目を覚ますと良いね」

 

「……うん」

 

俯くルーテシアの頭を、雄一が右手で優しく撫でる。不思議と彼の手を拒絶しようとは思わなかったのか、ルーテシアはされるがままの状態で目を細めており、それを見た雄一はハッと気付いた。

 

「あ……ご、ごめん! 急に撫でられて、嫌だった……?」

 

「……良い」

 

「え?」

 

ルーテシアが目を細めているのを見て、彼女が嫌がっていると誤解した雄一はすぐに手を離した……が、そんな彼の手を、ルーテシアが両手で掴む。そして雄一と目を合わせた。

 

「良いから……続けて」

 

「……うん、わかった」

 

雄一自身が持つ優しさに、何となく気付いていたのだろう。ルーテシアから懇願された雄一は、もう一度彼女の頭を優しく撫で始め、ルーテシアは気持ち良さそうに目を細め、体が自然と雄一の方へと傾いていく。そんな彼女を受け止めてあげた雄一は、頭を優しく撫でてあげながら彼女の表情を見つめる。

 

(こんなに幼い年齢で魔導師をやってるけど……やっぱり、年相応の女の子だ。母親がこんな事になっていて……愛情に飢えているんだ……)

 

目覚めない母親の為に、若くして魔導師となったルーテシア。そんな彼女の為に、自分にも何かしてあげられる事はないだろうか。雄一はそんな事を考え始めていた。

 

そんな時だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「……!!」」

 

ルーテシアにとっては聞いた事のない……雄一にとっては恐怖にも等しい音が、その場に響き渡ってきたのは。

 

「……この音、何……?」

 

初めて聞く音に困惑の表情を浮かべるルーテシアだったが、その時彼女は気付いた。先程まで自分の頭を撫でていたはずの雄一が……両手で耳を塞ぎ、怯えた様子でガタガタ震えていた事に。

 

「う、嘘だ……そんな……どうして、どうしてこの音が……!!」

 

「……?」

 

そして……それ(・・)は現れた。

 

 

 

 

 

 

『―――シャアッ!!!』

 

 

 

 

 

 

「「ッ!!」」

 

赤い鳳凰型の怪物―――ガルドサンダー。

 

雄一にとってトラウマに等しい怪物が、培養カプセルを介し、2人の前にその姿を現した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――本当に役に立つのでしょうか? あの男は」

 

「確かに。ただ魔力が高いだけでは、私達の役に立つかどうか疑問ですわ」

 

その数分前。スカリエッティがいる研究室にて、トーレはエンブレムの刻まれていないカードデッキを手に取って眺めながら、スカリエッティに自身の疑問をぶつけていた。トーレと同じ疑問を抱いていたからか、クアットロも彼女からパスされたカードデッキをジーっと見ながらスカリエッティに問いかける。

 

「確かに、君達の疑問は尤もだろうね……しかし、彼もまだ自分の状況を判断できていないようだからね。今はしばらく様子見と行こう。時期を見て、彼も私達の計画に使えるかどうか判断しようじゃないか」

 

「……あのような腑抜けが、我々の役に立つでしょうか?」

 

「いっその事、レリックの実験として使い潰す方がまだ有用に思えてなりませんわ」

 

「何、慌てる事はないさ。まだまだ時間はあるんだからね……それに」

 

「それに?」

 

「科学的根拠のない、ただの勘に過ぎないが……いずれ彼は、自らこの力を使う道を選ぶ事になる。そんな気がしてならないのさ」

 

「「?」」

 

スカリエッティの言葉に、トーレとクアットロは目を合わせて頭にクエスチョンマークを浮かべる。その一方でスカリエッティはカードデッキを手に持ちながら、オルタナティブの開発資料を見て楽しそうに笑い続ける。

 

その時……

 

 

 

 

ビーッ!!

 

 

 

 

ビーッ!!

 

 

 

 

ビーッ!!

 

 

 

 

「「「―――!?」」」

 

突如、研究所(ラボ)全体に警報が鳴り響き始めた。これにはトーレとクアットロだけでなく、不気味な笑みを浮かべていたスカリエッティもすぐに表情が真剣な物に切り替わる。

 

「何事だ……?」

 

『ドクター!!』

 

その時、出現したモニターにウーノの顔が映り込んだ。

 

「ウーノ、何事だい?」

 

『緊急事態です!! 培養室から火の手が……!!』

 

「「「!?」」」

 

それを聞いて、3人はすぐさま研究室を飛び出し、培養室に向かって走り出す。そして彼等が培養室の入り口前に駆けつけた直後、赤い灼熱の炎が培養室の中で激しく燃え上がり、3人は一瞬だけ怯まされた。

 

「ッ……ウーノ、何があったんだい?」

 

「わかりません、私が来た時には既にこの状況で……ッ!!」

 

その時、スカリエッティ達のすぐ傍に何かが吹き飛んで来た。それはルーテシアの召喚獣であるガリューだ。

 

「ッ……ドクター、アレを!!」

 

「!?」

 

『シャアァァァァァァァァァァァッ!!!』

 

激しく燃え盛る炎の中、空中を自在に飛び回るガルドサンダーの姿が確認できた。ガルドサンダーは全身に炎を纏いながら、口から強力な火炎弾を連射し続けている。培養カプセルの前では、尻餅をついてガタガタ震えている雄一を必死に防御魔法で守ろうとしているルーテシアの姿も確認できた。

 

「ルーテシアお嬢様、アレは一体何ですの!?」

 

「ッ……わからない……急に、カプセルのガラスから飛び出して来て……!!」

 

「ガラスから? ……まさか、雄一君が言っていた鏡の怪物か?」

 

「鏡の怪物……まさか、アレがモンスターだと……!?」

 

「な、何でも良いですけれど、このままでは研究所(ラボ)が全焼してしまいますわぁ!!」

 

『シャアッ!!』

 

部屋のあちこちが激しく燃え上がる一方、飛び回っていたガルドサンダーはようやく着地し、ある培養カプセルに目を付け、そちらに歩みを進めようとしていた。その先にあったのは……

 

「ッ……近付かないで!!」

 

『シャッ!?』

 

ガルドサンダーが目を付けたのは、カプセルの中にいるルーテシアの母親だった。その狙いに気付いたルーテシアが魔力弾を放ってガルドサンダーを転倒させるが、それによって怒ったガルドサンダーはルーテシアに向かって尾羽を長く伸ばし、彼女を捕らえてから思いきり振り回し壁に叩きつけた。

 

「あぐっ!?」

 

「ッ……ルーテシアちゃん!!」

 

「……チィ!!」

 

『シャアッ!?』

 

ルーテシアに追撃を仕掛けようとするガルドサンダーだったが、すかさずトーレが割って入りガルドサンダーを殴り飛ばし、ガルドサンダーは狙いを変えてトーレに向けて火炎弾を放つ。トーレ達が激しい戦闘を繰り広げている間も、雄一は恐怖で体が震えたまま何もできずにいる。それを見たスカリエッティも流石にこの状況はマズいと判断したのか、この状況を打破するべく、手に持っていたカードデッキから1枚のカードを取り出した。

 

(あの開発資料に載っていたカードのデータ……あのデータ通りなら、これでモンスターを封印できるはず……!!)

 

スカリエッティが取り出したのは、ブラックホールのような物が描かれたカード―――封印(シール)のカードだった。彼はこのカードを使い、ガルドサンダーを封印する事を考えた。しかし……

 

『シャアァァァァァァァッ!!』

 

「!? 何……ッ!!」

 

「くっ!?」

 

「きゃあ!?」

 

怒り狂ったガルドサンダーが連続で火炎弾を放ち、その内の1発がスカリエッティ達のすぐ近くに着弾。その爆発による衝撃でスカリエッティ達が倒れる中、彼の手から離れたカードデッキが大きく吹き飛び、未だ頭を抱えて震えている雄一の目の前に落下する。

 

「あ……」

 

『シャッ!!』

 

「く……ぐあぁっ!?」

 

目の前に落ちて来たカードデッキ。この状況を何とかできるかもしれない手段が、目の前に転がっている。しかし雄一は、トーレがガルドサンダーの攻撃で壁に叩きつけられていてもなお、かつて自身を喰い殺した存在を前に、恐怖で動く事ができなかった。

 

(ッ……駄目だ……俺には、とても……!!)

 

『シャアァッ!!』

 

トーレを退けたガルドサンダーが、再びルーテシアの母親が眠る培養カプセルに狙いを定める。伸びた尾羽がカプセルを破壊し、培養液と共にルーテシアの母親が床に落ちて行く。

 

「ッ!? いや……やめて……」

 

『シャァァァァァァァァァ……!!』

 

尾羽で捕らえたルーテシアの母親を、ガルドサンダーが自身の傍までズルズル引き摺っていく。その光景に、先程の攻撃で倒れていたルーテシアが必死に手を伸ばそうとするが……その手が届くような距離ではなかった。

 

「やめて……お願い……お母さぁんっ!!!」

 

「!!」

 

必死に手を伸ばそうとするルーテシア。その目から流れ落ちていく涙。それを見た瞬間……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気付けば雄一は、体が勝手に動き出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ…………あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

「!? 雄一君……!?」

 

目の前に落ちているカードデッキを拾い上げ、その中から1枚のカードを取り出しながら走り出す雄一。その光景を見てスカリエッティ達が驚く中、走り出した雄一は自身が取り出したカードを、ルーテシアの母親を喰らおうとしているガルドサンダーに向けて右手でまっすぐ突き出していく。

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

突き出したカードが、ガルドサンダーの体に触れそうになったその瞬間。

 

 

 

 

 

 

眩い光が、その場にいた彼等を一瞬にして包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前ならきっと、その夢を叶える事だってできるはずだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前の夢を取り戻したければ……戦え。戦って全てを取り戻せ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『たとえ、この指が動くようになるとしても……人と戦うなんていやだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『雄一ィッ!!! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『雄一君、私は君を歓迎しよう』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『誰かの為に……あなたは、自分の命を懸ける覚悟がある?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『君のお母さん、いつか目を覚ますと良いね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

雄一の意識が戻った時。既にその場の光は収まっていた。燃え盛っていた炎もいつの間にか消えており、部屋の中を静寂が続いていた。

 

「……?」

 

「ッ……あのモンスターはどこに……」

 

雄一の目の前に、ガルドサンダーの姿はない。ルーテシアが雄一を見つめ、立ち上がったトーレがガルドサンダーの行方を捜している中、雄一は目の前に突き出していたカードをゆっくり裏返し、絵柄を確認する。そこには……

 

 

 

 

 

 

ガルドサンダーの姿が、絵柄の中に存在していたのだ。

 

 

 

 

 

 

「……まさか」

 

スカリエッティは気付いた。先程まで手に持っていたはずの封印(シール)のカードが、いつの間にか消滅していた事に。そして雄一が左手に持っていたカードデッキ……そこには、鳥を象ったエンブレムが刻み込まれていた。

 

「……契約を結んだ、という事なのか」

 

ライダーとモンスターが契約を結ぶ瞬間に立ち会えたスカリエッティ。彼が不気味な笑みを浮かべる中、雄一はガルドサンダーの描かれているカードをただ見つめる事しかできなかった。

 

「ッ……俺、は……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

かつては自身を喰い殺したモンスター。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのモンスターと契約を結んでしまった雄一。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今この瞬間から、斎藤雄一の……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダーブレードとしての戦いは、始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎StrikerS!


スカリエッティ「今日から君は、仮面ライダーブレードだ」

ルーテシア「あまり、無理はしないで……」

クアットロ「あの子の為に、身を削る覚悟はおありかしら?」


戦わなければ生き残れない!





雄一「今のは……俺が言ったのか……?」




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