リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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お待たせしました、第48話の更新です。

ここ最近、普段使っているパソコンのネット接続が悪いせいで執筆が思うように進まず、かなり苦労させられました。マジでどうしたんだ私のパソコン…orz

ちなみに今回は一部の展開が原作と変わっています。展開を変えた結果、慢心したクアットロが更に調子に乗り始めました←

それではどうぞ。



第48話 聖王ヴィヴィオ

「ヴィヴィオ!!」

 

迫り来るレイドラグーンガジェットをまた1機ほど破壊し、玉座の間に辿り着いたなのは。そんな彼女の目に映り込んだのは、今も玉座に拘束されているヴィヴィオと、クアットロが変身したオルタナティブの姿だった。

 

「あらぁ~? 結局1人ここへ来ちゃいましたのね……全く、面倒ったらありゃしないわ」

 

「ッ……あなたがクアットロ……ヴィヴィオをどうするつもり!?」

 

「ノンノン、そんな怖い顔しちゃイヤン♪ せっかくここへ来てくれたんだもの。少しだけ、あなたと遊んであげない事もないわ♪」

 

『『グガゥゥゥゥゥゥ……!!』』

 

なのはに強く睨まれても、余裕な態度のオルタナティブは、体をクネクネさせるという気持ち悪い動きをしながら指をパチンと鳴らす。すると近くの壁に設置されている鏡の鏡面がグニャリと歪み、そこからマグニレェーヴとマグニルナールの2体が飛び出そうとしたが……

 

ガシャアァァァァァンッ!!

 

「ッ!?」

 

マグニレェーヴ達が飛び出そうとした直後、2体の映っていた鏡が突然、なのはの放った小さな魔力弾で即座にブチ割られた。それに続くように周囲の壁や天井に設置されていた鏡もなのはが放つ魔力弾によって次々と破壊されていき、ミラーワールドに通じる鏡は全て破壊されてしまった。

 

「な、鏡が……!?」

 

「あなたの遊びとやらに付き合うつもりはない……大規模争乱罪で、あなたを逮捕します!! すぐに争乱の停止と武装の解除を!!」

 

「チィィィィ……な~んちゃって♪」

 

「!? 幻覚……ッ!!」

 

続けてオルタナティブにも魔力弾は放たれる……が、魔力弾はオルタナティブの体をそのまま通過する。彼女が攻撃したオルタナティブは幻覚であり、既に違う部屋へと移動していた本体は出現したモニターに映り込んだ。

 

『仲間の危機と自分の子供のピンチに、表情一つ変えずにお仕事ですか~? 良いですねぇ~、その悪魔染みた正義感♪』

 

「くっ……!!」

 

『で~も~、これを見てまだ平静でいられます~?』

 

「!? ヴィヴィオッ!!」

 

「あ、あァ……アァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

玉座に座っていたヴィヴィオは、悲鳴と共にその全身が虹色の魔力光に包まれていく。急いで彼女を助け出そうとするなのはだったが、ヴィヴィオの全身を包み込んでいる魔力が強力な突風を発生させており、上手く近付く事ができない。

 

『良い事教えてあ~げる♪』

 

モニターに映り込んだオルタナティブが憎たらしい口調で語り始める。

 

『ケースの中で眠ったまま、輸送トラックとガジェットを破壊したのは、他でもないその子なの♪ あの時あなた達が防いだディエチの砲撃もね、たとえその直撃を受けたとしても、それすら物ともせず生き残れたはずの能力……それが古代ベルカ王族の固有スキル、“聖王の鎧”。そこにレリックの融合を経て、その子は力を取り戻す。古代ベルカの王族が自らその身を作り替えた究極の生体兵器―――レリックウェポンとしての力を』

 

「アァァァァァァァァッ!!! 痛い!! 痛いよォッ!! パパァ、ママァァァァァァァァッ!!!」

 

「ッ……ヴィヴィオ!!」

 

『もうじき完成しますよ~♪ 私達の想いがゆりかごの力を……無限の力を送る究極の戦士が♪』

 

時間の経過と共に虹色の光が収まり、その中からヴィヴィオが姿を現し、彼女を拘束していた器具が全て破壊され床に落ちていく。そのままヴィヴィオは目に光が映らないまま、フワフワと宙に浮いている。そこへオルタナティブが念話を通じて甘ったるい口調で語りかける。

 

『陛下、いつまでも呆けたままではいけませんよ~?』

 

「……へい、か……?」

 

『えぇそうです。ほら、見て下さい。あなたのパパとママを攫った、わる~い悪魔が目の前にいますよ~?』

 

「パパ、と……ママを……」

 

『そうです。とってもわる~い悪魔です♪ だから頑張ってわる~い悪魔をやっつけて、パパとママを助けちゃいましょう♪ 今のあなたには、それを実行できる力があります♪』

 

「……た、おす……わるい、あくま……たおす……!」

 

「!? ヴィヴィオ、何を!?」

 

『さぁ、想いのままに解放しなさい♪ あなたの意志で……聖王の力を!!』

 

「う、ゥ……ウアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」

 

「ヴィヴィオッ!!!」

 

叫び声と共に、ヴィヴィオの姿が変化していく。幼い体は大人の体となり、その身は青いラインの入った黒いボディスーツに覆われていき、その上から黒いジャケットが纏われ、そして長く伸びた金髪はなのはと同じようにサイドポニーに結ばれる。

 

「あなたが……ヴィヴィオのパパとママを、どこかに攫った……」

 

「違う!! 私だよヴィヴィオ、なのはママだよ!!」

 

「違う……お前じゃない!!」

 

「ッ!?」

 

ヴィヴィオが大人に変化した姿―――聖王ヴィヴィオは、その全身から虹色の魔力を放出。その衝撃でなのはが後退させられる中、聖王ヴィヴィオはなのはを強く睨みつける。

 

「嘘つき!! お前なんかママじゃない!!」

 

「ッ……そんな……!?」

 

「返せ…ヴィヴィオの、パパとママを返せぇっ!!!!!」

 

「ヴィヴィ……ッ!?」

 

聖王ヴィヴィオは拳を握り締めた瞬間にその場から駆け出し、一瞬でなのはの目の前まで接近。なのはがレイジングハートを構えると同時に聖王ヴィヴィオの拳がレジングハートに炸裂し、なのはを強く吹き飛ばした。

 

「ヴィヴィオ、お願いやめて!! 私の話を聞いて!!」

 

「うるさい、偽物め!! ヴィヴィオのパパとママをどこにやった!!!」

 

なのはを敵と認識してしまった聖王ヴィヴィオは、なのはの言葉に全く耳を貸そうとしない。偽物呼ばわりされてしまったなのははショックの表情を浮かべ、モニター越しに見ていたオルタナティブは仮面の下で嘲笑うような笑みを浮かべる。

 

『その子を止めたら、このゆりかごも止まるかもしれませんねぇ~♪』

 

「くっ……レイジングハート!!」

 

≪W.A.S full driving……!≫

 

レイジングハートの電子音が鳴り、なのはは小さな魔力スフィアを複数飛ばす。その直後に聖王ヴィヴィオが再度殴りかかり、なのはが即座に張った防御魔法も難なく打ち破られてしまう。

 

『さぁ、親子で仲良く殺し合いを♪』

 

「返せ……パパとママを返せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

「ッ……ヴィヴィオ……!!」

 

今この瞬間から……より激しく、より悲しい戦いは、始まってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ……クソッタレがぁ!!!」

 

『ヴヴッ!?』

 

なのは達がいる玉座の間とは逆方向にある、聖王のゆりかごの動力部が存在する部屋。行く手を阻むガジェット達を破壊しながらも何とか部屋に到着する事ができたヴィータだったが、辿り着いた部屋でも無数のガジェット達が出現し、おまけのその全てがモンスターガジェットに変形して一斉に襲い掛かって来た為、それ等とも応戦しなければならなくなった。

 

「邪魔だどけぇ!!」

 

『ヴヴヴヴヴヴ……!!』

 

『ギシャアッ!!』

 

『ブブブッ!!』

 

『グルァアッ!!!』

 

『グジュルルルルルル……!!』

 

レイドラグーンガジェット、ゼノバイターガジェット、バズスティンガーガジェット、ギガゼールガジェット、ウィスクラーケンガジェットなど、無数のモンスターガジェットがヴィータに迫り来る。そのたびにヴィータは避けては攻撃し、避けては攻撃しての繰り返しを続けていくが、そのせいで魔力の消費が激しく、彼女も少しずつ疲労が溜まっていく。

 

「くそ、どんだけ数がいんだよ……コイツ等ぁっ!!!」

 

『グルゥ!?』

 

『ブブブッ!!』

 

『グジュルルルル!!』

 

「だぁもう、キリがねぇっ!!」

 

ギガゼールガジェットの頭部をグラーフアイゼンで殴り壊し、バズスティンガーガジェットが弓で放つ矢を弾き飛ばし、ウィスクラーケンガジェットの振るう槍をしゃがんでかわす。何とか距離を取ったヴィータは、使用できるカートリッジが残り少ない事を確認する。

 

(カートリッジも残り僅か……何とか凌げるか……!?)

 

その時……

 

 

 

 

ドスッ!!

 

 

 

 

「―――え」

 

肉を貫く鈍い音が、ヴィータの耳に聞こえて来た。ヴィータが恐る恐る自身の胸元を見ると、彼女の胸元はレイドラグーンガジェットが突き立てた槍で貫かれてしまっていた。

 

「がは、ぁ……ッ……でやぁ!!!」

 

『ヴヴ!?』

 

ヴィータは口から赤い血を吐き出す。それでも彼女は決して倒れず、振り向き様にグラーフアイゼンを振り回してレイドラグーンガジェットの顔面を殴り壊し、モンスターガジェット達を睨みながらも血の流れる胸部を右手で押さえる。

 

(くそ、ヘマやらかしちまった……!!)

 

『ブブブ……!!』

 

『グジュルルルル……!!』

 

『ギシャアァァァァァ……!!』

 

まだ倒れる訳にはいかない。モンスターガジェット達が残っている上に、破壊すべき動力部もまだ破壊できていないのだ。そう自分に言い聞かせながら、ヴィータは胸部の痛みに耐えながらグラーフアイゼンを構え直す。

 

「来いよポンコツ共……全部纏めて、ぶっ壊してやらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

傷を負う前よりも更に大きな声で叫びながら、ヴィータは敵陣に向かって突撃していく。それを迎え撃つべくモンスターガジェット達も一斉にその場から駆け出し、長い激戦が再開されるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『スバル、こっちがOK出すまで上手く引き付けて!!』

 

『了解!!』

 

市街地での戦い。念話でスバルに指示を送ったティアナは現在、とあるビルの吹き抜けが見える通路にその身を潜めていた。姿を隠した彼女がナンバーズ撃破の準備を整えている間、ノーヴェやウェンディ、更には途中で参戦したディードの3人をスバルが上手く引き付けていた。

 

「シューターとシルエット制御はオーケー、現状維持。後はここで迎え撃つ……ッ」

 

着々と準備を整える中、ティアナはナンバーズとの戦いで負傷した右足の痛みで表情を歪める。右足以外にも体中のあちこちに傷を負っている。それでも、彼女の心は決して折れようとはしなかった。

 

「……本当はさ、だいぶ前からわかってたんだ。どんなに頑張ったところで、万能無敵の超一流になんてきっとなれない……それが悔しくて、情けなくて、認めたくないって思ってた。今もその気持ちは変わらない……だけど」

 

この機動六課で、多くの仲間達と関わってきた。なのは達隊長陣の想いを知った。スバル達とは同じ苦労を共にして来た。手塚と夏希が戦う覚悟の意味を思い知らされた。戦いの中で……死に行くライダーの末路を、この目で直に見届けた事だってあった。

 

(負ければ死ぬ……それでも、皆必死に戦い続けている……夢の為にも、皆の為にも……!!)

 

「私は……こんな所で終われない!!」

 

その時、爆発音と共にビルの壁が破壊され、スバルがノーヴェ達を引きつける形で向かって来た。それを見たティアナは即座に構える。スバルがティアナの目の前まで来たところで急停止し、即座に振り返ってノーヴェ達と対峙する。

 

「スバル、用意は良いわね!?」

 

「OK、ティア!!」

 

「!? 何のつもりだテメェ等ァッ!!」

 

ティアナが何かを仕掛けようとしているのに気付いたのか、ノーヴェとディードが即座にティアナに向かって高速で接近。ディードが振り下ろした両手の長剣をティアナがクロスミラージュ・ダガーモードで防御し、そこにノーヴェが回転しながらティアナ目掛けて蹴りを放つ。

 

「残念!!」

 

「!? 何……!!」

 

しかしティアナが回避した事で蹴りは壁に激突し、土煙が舞い上がる中でティアナとスバルが姿を消す。2人の姿を見失ったノーヴェ達が周囲を見渡すと、ビルの壁をアンカーで登って逃げようとするティアナを発見し、そちらに向かおうとしたが……

 

「!? 幻影だと……クソ!!」

 

それはティアナが仕掛けたシルエットだった。別方向から飛んで来た弾丸がノーヴェのローラーブーツに命中し、ローラーブーツが破損したノーヴェがバランスを崩している間、ティアナは後から飛んで来たウェンディにも弾丸を放ち、ウェンディも負けじと魔力弾を放つ。

 

「来なさい、アンタ達の相手は私よ……!!」

 

ティアナを挟み撃ちにするべく、片方はノーヴェ、もう片方はウェンディとディードが陣取って構え直す。すぐには仕掛けて来ないノーヴェ達だったが、その間にティアナは彼女達の戦闘スタイルを一通り分析を完了していた。

 

(陣形はさっきと同じ、連携は上手いけど単調……後はコンビネーションの初動さえ見抜けば……勝機はある!!)

 

その時、彼女達のいるエリアを覆っていた結界が解除される。それに驚いたノーヴェ達は顔を見合わせるも、すぐに切り替えてティアナに攻撃を仕掛ける。

 

「ッ……うぉらぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

「……!!」

 

ノーヴェとディードが突っ込み、ライディングボードに乗ったウェンディも砲撃の体勢に入る。しかし、初動を見切ったティアナの動きは迅速だった。

 

「そこ!!」

 

「「なっ!?」」

 

2つのシューターがノーヴェ達に向けて放たれ、ノーヴェとディードは左右に回避。しかしそれは囮だった。2人の注意が逸れた隙にウェンディが乗っているライディングボードの魔力エネルギー目掛けて弾丸を放ち、弾丸の命中した魔力弾が暴発してライディングボードごとウェンディを吹き飛ばした。

 

「うわぁっ!?」

 

「ぐぅ……!?」

 

吹き飛ばされたウェンディは壁に激突し、爆発の衝撃でノーヴェの動きが止まる。その隙にティアナはディードの魔力刃をダガーモードで防ぎ、即座に次のシューターを発射しそれぞれウェンディの顎とディードの後頭部に直撃させた。

 

「がっ!?」

 

「ぐ……!?」

 

「な、お前等!?」

 

戦闘機人と言えど、人体の急所に当たればひとたまりもないのだろう。地面に落ちたウェンディとディードは倒れたまま動かず、1人残ったノーヴェはティアナを睨みつける。

 

「これで、残りはあなた1人!!」

 

「チィ……畜生がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

2人を倒された怒りでノーヴェが再度突っ込んで来る。ノーヴェが繰り出した拳をティアナは両手のダガーモードをクロスして防いでみせるも、ノーヴェの拳が少しずつ彼女を押し始める。

 

「潰す!! テメェだけでも絶対に!!」

 

「残念だけど、それは無理よ!! 何故なら―――」

 

「うおりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「!? なっ―――」

 

ノーヴェが気付いた時には遅かった。今までティアナによって姿を消して貰っていたスバルが突然ノーヴェの真横から姿を現し、ノーヴェを両腕のリボルバーナックルで殴り飛ばしたのだ。しかも両方のリボルバーナックルでカートリッジロードしていた為か、その強力な一撃は吹き飛ばしたノーヴェを壁に叩きつけた後、地面に倒れた彼女が動けなくなるほどだった。

 

「はぁ、はぁ……スバル、ナイスタイミング」

 

「えへへ、どうだ!」

 

「が、ぁ……くっそぉ……!!」

 

勝敗は決した。ノーヴェは何とかして起き上がろうとするも、体に力が入らず起き上がれない。そこにティアナとスバルが歩み寄り、ティアナはノーヴェの体にバインドをかけて拘束する。

 

「あなた達を保護します。私はアンタ達の事情をよく知らないけど、罪を認め、保護を受け入れさえすれば、まだ生き直す事はできるはずよ」

 

「ッ……んな訳ねぇ!! アタシ等は戦闘機人……戦う為の兵器なんだ!! 戦って勝ち抜く以外に、生きる方法なんてありゃしねぇんだよ……!!」

 

「そんな事ないよ」

 

スバルは笑顔を浮かべながら、倒れているノーヴェの前でしゃがみ込む。

 

「戦う為の兵器だって……笑う事も、優しく生きる事はできる。同じ戦闘機人の私ができてるんだもん。あなたにもそうする事はできるはず」

 

「あなたは自分の意志で、自分の生きたい道を決める事ができる……けど、あなたも知ってるはずよ。どれだけ戦いをやめたいと思っても、自分の意志で戦いをやめられない人達がいるという事を」

 

「……ッ!!」

 

ティアナの言葉を聞いて、ノーヴェの脳裏に1人の人物の顔が思い浮かぶ。自分達に笑顔で接し、自分達の為に手料理を振る舞ってくれた青年の顔を。

 

「ずっと戦い続けるしかないなんて、普通の人間なら気が狂うなんてレベルじゃないわ。それでもね……どんなに痛くても……どんなに苦しくても……それでも人を守る為に戦う人達を、私達は知っている……その様子だと、あなたのすぐ近くにも、そんな想いで戦ってる人がいるんじゃないかしら」

 

「……アタシは……!!」

 

ノーヴェは右腕で自身の目元を隠すも、その目元からは僅かに涙が零れ落ちていく。それに気付いていたティアナとスバルは小さく笑みを浮かべて彼女を抱き起こそうとした……が、そんな2人に倒れていたはずのディードが襲い掛かって来た。

 

「はぁっ!!」

 

「!? まだ意識が―――」

 

突然の不意打ちで、2人は対処が間に合いそうにない。ディードの魔力刃が2人を攻撃しようとしたその瞬間……

 

 

 

 

ズドォンッ!!!

 

 

 

 

「がっ……!?」

 

「「!?」」

 

どこからか飛んで来た1発の魔力弾が、2人に斬りかかろうとしたディードの額に命中。撃たれたディードは再度吹き飛ばされてから今度こそ意識を飛ばし、ディードの手から離れた刀剣が地面に突き刺さる。

 

「狙撃? まさか……!」

 

ティアナとスバルは魔力弾が飛んで来た方向へと振り返る。2人が見据えた先には、空高く飛んでいる1機のヘリコプターから狙撃銃型デバイス―――ストームレイダーを構えているヴァイスの姿があった。

 

『悪いな、だいぶ寝過ぎちまったぜ』

 

「「ヴァイス陸曹!!」」

 

2人はヴァイスの復活を知って笑みを浮かべる……が、笑っていられる時間は今の彼女達にはなかった。

 

『『『『『『ブブブブブ……!!』』』』』』

 

「「ッ!?」」

 

突如、彼女達の周囲を6機のガジェット達が取り囲む。それ等が一斉に変形し、それぞれオメガゼールガジェット、ワイルドボーダーガジェット、ソロスパイダーガジェット、3機のレイドラグーンガジェットに変化して襲い掛かって来た。

 

「な、コイツ等いきなり……!?」

 

「危ない!!」

 

「くっ!?」

 

1機のレイドラグーンガジェットが、ノーヴェに向かって槍を振り下ろそうとした。即座に庇ったスバルが殴りつけて返り討ちにするが、他のモンスターガジェット達も倒れているウェンディやディードを始末しようと彼女達に接近して来る。

 

「まさかコイツ等、彼女達を用済みとして始末するつもり!?」

 

「なっ!? まさか、クア姉が……そんな……!!」

 

「そんな事……私達がさせない!!」

 

『2人共、伏せろ!!』

 

ヴァイスの念話を聞いた2人は、ノーヴェ達を守るようにその場に伏せる。その直後、ヘリコプターからヴァイスがストームレイダーで放った魔力弾が次々とモンスターガジェット達を狙い撃ち、センサーを撃ち抜く事でモンスターガジェット達の動きを鈍らせていく。

 

『気ぃ抜くなよ2人共!! このポンコツ共、この街にいる人間は1人残らず殺すつもりだ!! このまま俺達で倒して回るぞ!!』

 

「「了解ッ!!!」」

 

このままノーヴェ達を殺させる訳にはいかない。センサーを破壊され動きが鈍ったモンスターガジェットをスバルが殴り壊し、ティアナはノーヴェ達を守りながらモンスターガジェットを狙い撃っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グオォォォォォォォォォッ!!!」

 

「グガァァァァァァァァァッ!!!」

 

場所は変わり、とあるビルの屋上。キャロが召喚した巨竜―――ヴォルテールと、ルーテシアが召喚した巨大な白い竜―――白天王(はくてんおう)が激しい格闘戦を繰り広げている中、エリオはガリューの繰り出す攻撃をストラーダで上手く捌き、キャロは飛んで来る魔力弾を防ぎながらもルーテシアに呼びかけ続けていた。

 

「もうやめて!! 私達が戦う理由なんてない……私たちと戦ったって、何にもならないよ!!」

 

「あなた達にはなくても、私にはある……私はもう、大切な人を失いたくないからッ!!」

 

「あなたに助けたい人達がいるなら、私達もそれを手伝う!! 絶対に約束する!! だから、もうこんな事はやめにしよう!!」

 

「それでも……私はもう……引き下がれないから!!」

 

守りたい人がいるからこそ、譲れない物がある。キャロがどれだけ呼びかけても、ルーテシアは決して戦う事をやめようとはしなかった。

 

「私はお母さんに目覚めさせたい……お兄ちゃんに楽をさせてあげたい……!! だから私は!!」

 

そこまで言いかけたその時……ルーテシアの背後から、何かが襲い掛かろうとしていた。

 

「!? 危ない!!」

 

「え―――」

 

 

 

 

バヂィッ!!

 

 

 

 

「が……!?」

 

『グジュルルルル!!』

 

ルーテシアが振り返った瞬間、彼女の全身に強力な電流が襲い掛かった。いつの間にか背後に回り込んでいたブロバジェルガジェットが、その両手から放つ電撃で彼女を容赦なく攻撃して来たのだ。強力な電撃をまともに浴びてしまったルーテシアはビルの屋上へと落下し、そこをフリードリヒが助け出す。

 

「大丈夫!? しっかりして!!」

 

「ぐ、ぅ……!!」

 

『グジュルルルル!!』

 

キャロがルーテシアに呼びかけているところに、ブロバジェルガジェットが再び電撃を放とうとする。そして発射された電撃がキャロ達に命中しようとしたその瞬間、割って入ったエリオが代わりに電撃を浴びてしまう。

 

「ぐ、うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

「エリオ君ッ!!」

 

「ぐ、ぅ……僕は、大丈夫だから……おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

魔力変換素質が電気だからか、電撃に耐性があったエリオはストラーダの穂先をブロバジェルガジェットの胴体に押し当てる。そのまま穂先に魔力を集中させ、振り抜くようにブロバジェルガジェットの胴体を斬り裂いた。

 

「紫電……一閃ッ!!!」

 

『グジュルゥッ!?』

 

胴体を斬り裂かれたブロバジェルガジェットが爆散する。しかしブロバジェルガジェットだけでは終わらず、気付けばエリオやキャロ達、そしてヴォルテールや白天王の周囲を無数のレイドラグーンガジェットが取り囲んでしまっていた。

 

「コイツ等、何で味方にまで……!!」

 

「わからない、どうしてこの子まで……ッ!? エリオ君、あれ見て!!」

 

『ブブ……ブッブッブッブッブッブッ!!』

 

キャロが指差した方角にいる1機のレイドラグーンガジェットが突然更なる変形を行い、またしてもその姿形を変えていく。その姿はトンボと人を混ぜた二足歩行型ではなく、完全なトンボの姿に変化していた。

 

「また姿を変えた……!?」

 

『ブブ……ブブブブブッ!!』

 

「!? うわっと!?」

 

レイドラグーンガジェットから更に変形した姿―――ハイドラグーンガジェットは羽根を高速で羽ばたかせ、2本の前足のアームをエリオ達に向ける。するとアームがミサイルのように発射され、エリオ達を捕縛しようと高速で飛んで来た為、エリオが即座にストラーダで撃ち返す。

 

「う、ぅ……」

 

「!! ねぇ君、大丈夫!?」

 

「ッ……どう、して……私を……!」

 

『あら、まだ息があったのね』

 

「「「!?」」」

 

その時、エリオ達の前にモニターが出現。そこに映り込んだオルタナティブは仮面で素顔が見えないが、その口調は明らかに相手を見下した物だった。

 

「クアットロ……どう、して……!」

 

『申し訳ありません、ルーテシアお嬢様~♪ あなたにと~っても残念なお知らせ♪ 実を言うと、もうあなたに対する興味がなくなっちゃいました~♪』

 

「……え?」

 

オルタナティブが告げた残酷な一言。それはルーテシアを絶句させるには充分過ぎる一言だった。

 

『まぁそういう訳なので~♪ 非常に心は痛みますが~、そこのガキ共と一緒に死んじゃって下さ~い♪』

 

「ッ……ま、待って……!! それじゃお母さんは……!? お兄ちゃんはどうなるの……!?」

 

『あぁ、ご安心下さ~い♪ 雄一さんは私がこれからも重用していきますので♪ ついでにお母様も、お嬢様がお亡くなりになった後にきっちり後を追わせて差し上げま~す♪ それでは~♪』

 

「ま、待って……クアットロ!!」

 

ルーテシアの呼び止める声も無視し、モニターの映像が消える。それと同時にハイドラグーンガジェットがルーテシアに対してもアームを発射し、彼女を攻撃しようとしたが……

 

「でやぁっ!!」

 

『ブブッ!?』

 

飛び上がったエリオがストラーダを振るい、ハイドラグーンガジェットが発射したアームを地面に叩き落とす。その一方でルーテシアの周囲にも無数のモンスターガジェットが現れるが、それ等もガリューが1機ずつ確実に破壊していく。その中で、ルーテシアは絶望した表情でその場に膝を突いていた。

 

「ッ……そんな……私は、一体……何の為に……」

 

「諦めちゃ駄目だよ!!」

 

『シャアッ!?』

 

ルーテシアに向かってレイピアを振り下ろそうとするバズスティンガーガジェットだったが、直前でキャロが防御魔法を張った事で阻止される。続けてフリードリヒが口から放った火炎弾でバズスティンガーガジェットを押し返していく中、キャロはルーテシアの両肩を掴んで叫ぶ。

 

「しっかりして!! まだ戦いは終わってない!!」

 

「で、でも……私はもう……」

 

「あんな奴の思い通りにさせちゃいけない!! あなたがここで諦めたら、今度こそ全てが無駄になる!! 大切な人達を助ける為にも、諦める事だけは絶対にしないで!!」

 

「その通りだ!!」

 

『『グガァッ!?』』

 

エリオが振るうストラーダの一撃で、2機のギガゼールガジェットが退けられる。

 

「戦っているのは君1人じゃない!! 僕達がここにいる!! 六課の皆がここにいる!! 手塚さんと夏希さんも一緒に戦ってくれている!! だから君も諦めないで!! 皆で一緒に、君の助けたい人達を助けよう!!」

 

「あ……ッ」

 

「だから言って!! あなたが今一番したいと思ってる事は何!? あなたが一番望んでいる事を……あなたのその口から教えて!!」

 

「ッ……私、は……!」

 

ルーテシアの声が震え出す。エリオとキャロの投げかけてくれる言葉が、自身の為を思って言ってくれている2人の言葉が、彼女の心に強く響き渡っていた。

 

「私、は……お母、さん……を……!」

 

涙が溢れ出し、声が震えて上手く喋れない。

 

「お兄ちゃん、を……助け、たい……ッ!!」

 

それでも、ルーテシアは最後まで言い遂げる。自身が今、一番望んでいる願いを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お願い……お母さんとお兄ちゃんを助けてッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「助けるよっ!!!」」

 

フリードリヒの火炎弾、そしてエリオの繰り出すストラーダの一撃が、周囲を取り囲んでいたモンスターガジェット達を薙ぎ払う。

 

「「その為に……僕/私達はここにいるから!!」」

 

「グガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

 

2人の叫ぶ言葉に続くように、ヴォルテールの放った砲撃が上空を飛んでいるハイドラグーンガジェット達を一掃していく。爆発音が連鎖して響き渡る中、キャロはルーテシアに手を差し伸べる。

 

「あ……」

 

「一緒に戦おう……ルーテシアちゃん!」

 

「……うん……!!」

 

涙を拭い、その手を掴み立ち上がるルーテシア。そしてキャロとルーテシアが並び立つ後方で、ヴォルテールと白天王も同じように並び立ち、モンスターガジェット達を迎え撃とうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな長い戦いが繰り広げられる一方、地上本部のとある一室では……

 

 

 

 

 

 

「オーリス、お前はもう下がれ」

 

「それは……あなたもです」

 

席に座ったまま、その場から動こうとせずにいたレジアス。彼は自身の傍に立つオーリスにこの場から逃げるように告げるも、オーリスは引き下がろうとしなかった。

 

「あなたにはもう指揮権限はありません。ここにいる意味はないはずです」

 

「私は……ここにおらねばならんのだ……」

 

そう告げるレジアスの目には、何かの覚悟を決めたような強い意志が込められていた。その意図が読めないオーリスが眉を顰めた直後……

 

 

 

 

ズドォォォォォォンッ!!

 

 

 

 

「ッ!?」

 

部屋の入り口が破壊され、土煙と共に謎の人物が侵入して来た。侵入者を前に身構えるオーリスだったが、その侵入者の正体に初めから気付いていたのか、レジアスは落ち着いた表情だった。

 

「手荒い来訪ですまんな、レジアス」

 

「構わんよ……ゼスト」

 

「!? ゼスト、さん……!?」

 

侵入者―――ゼストは被っていたフードを脱ぎ、その素顔を露わにする。その素顔を見たオーリスは驚愕した表情を浮かべ、レジアスは自身を睨みつけているゼストと視線を合わせる。

 

「久しぶりだな、親友(とも)よ」

 

「……まだ俺を、そう呼んでくれるというのか」

 

 

 

 

 

 

レジアス・ゲイズ。

 

 

 

 

 

 

ゼスト・グランガイツ。

 

 

 

 

 

 

この2名の因縁にもまた、1つの決着がつこうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎StrikerS!


ゼスト「お前に聞きたい事は1つだけだ」

レジアス「ゼスト、俺は……!!」

ドゥーエ「お役目ご苦労様です、中将さん♪」

ゼスト「俺はいつも……遅過ぎる!!!」


戦わなければ生き残れない!






二宮「全く、世話の焼ける女だ……」





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