前回のお話でようやくサバイブを登場させられました。ここからは一気に戦いが終わりに近付いていきます。
そして今回のラストですが……かなり思い切った展開になりました。
ただスカッとするだけが龍騎ではないのです。
それでは第51話をどうぞ。
追記:現在、活動報告にて募集中のオリジナルモンスター設定ですが、生物モチーフについての注意事項を少しだけ加筆しました。
戦闘BGM:クライマックス8
『な……何なの、あの姿は……!?』
オルタナティブ―――クアットロは驚愕していた。先程までブレードに追い詰められていたはずのライアが、突然謎のアドベントカードを使用すると共に、彼女等が保有するデータになかった強化変身を遂げ、ライアサバイブの姿へと変化したのだ。その姿は映像越しでも明らかに普通ではない事がわかり、彼女は仮面の下で冷や汗を流す。
『ま、まぁ良いわ、今更姿を変えたところで……雄一さん、さっさと潰しなさい!!』
「了解ィ……!!」
「……来い、雄一」
オルタナティブの命令を受け、ブレードがガルドバイザーを振り上げながら再び駆け出していく。それを見たライアサバイブは左手に構えたエビルバイザーツバイをゆっくり上げると、エビルバイザーツバイの両端のヒレを模した部分から鋭利な刃―――エビルエッジを伸ばし、近接用の武器に変化させてから向かって来るブレードを迎撃する。
「デヤァッ!!」
「……!!」
ガルドバイザーとエビルバイザーツバイの刃がぶつかり合う。そのまま鍔迫り合いになる……かと思われたが、ライアサバイブが少し力を入れるだけでガルドバイザーの方が簡単に弾かれていき、怯んだブレードにライアサバイブが更に一撃を加えてみせる。
「ふっ!!」
「グゥ!?」
エビルエッジで斬りつけられたブレードは転倒するも、すぐに体勢を立て直して先程自分が投げ捨てたガルドウィップを再度拾い上げ、ライアサバイブ目掛けて振り回す。しかしライアサバイブは慌てず、エビルバイザーツバイで的確にガルドウィップの攻撃を防いでから、エビルバイザーツバイを弓のように構え出す。
「はぁっ!!」
「ッ……グアァ!?」
そしてエビルバイザーツバイから、矢の形状をしたエネルギー弾が数発ほど放たれる。その内の1発がブレードの右手からガルドウィップを弾き落とし、残りの矢はブレードのボディに命中して彼を大きく吹き飛ばした。
(手加減をしていてこれか……何という力だ……!!)
「す、凄い……」
先程からライアサバイブは、誤ってブレードを殺してしまわないよう攻撃は威力を加減しながら行っている。それでもほんの数回攻撃しただけで、戦況はあっという間にライアサバイブの方が優勢な状況に変化しており、離れた位置から見ていたディエチもライアサバイブの圧倒的な戦闘力を前に魅了されてしまっていた。
『な、何ですって……!!』
尤も、それはオルタナティブにとっては全く面白くない状況でもあった。彼女は仮面の下で忌々しげに歯軋りしながらライアサバイブを映像越しに睨みつけており、その拳は力強く握り締められている。
(何よ、何なのよあの姿は!? あの男が見せたカード……あんなの、オルタナティブの開発資料にも載っていなかったわよ……!?)
想定外過ぎる事態に陥った事で、先程までの余裕は失われ始めていた。更にここから、彼女にとって想定外の事態は続いていく。
ズズゥゥゥゥゥゥゥゥン……!!
「!? な、何よこの揺れは……!!」
突如、ゆりかご全体が大きく揺れ出した。それは戦闘中だったライアサバイブ達、そしてコントロール室で見ていたオルタナティブも例外ではなく、オルタナティブは慌ててモニターを出現させて揺れの原因を探る。
『駆動炉破損……システム大幅ダウン……』
「な、何ですって!? どうしてそんな事に……!!」
揺れが発生する数分前……
「はぁ、はぁ……ッ……うおりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
動力部となる駆動炉が存在する部屋。ボロボロの満身創痍に至りながらも何とかモンスターガジェットを全滅させる事ができたヴィータは、力いっぱいグラーフアイゼンを振り下ろし、駆動炉の動力源である赤い結晶体を何度も攻撃していた。しかし頑強な結晶体は何度攻撃されてもビクともしておらず、逆にヴィータの方がいつ倒れてもおかしくない状況だった。
(まだだ、まだやれるはずだ……なのはや手塚達だって必死に頑張ってんのに、アタシだけこんな所でくたばってる訳にはいかねぇんだ……!!)
ヴィータの額から頬にかけて、赤い血が流れ落ちる。何度も振り下ろすたびに、グラーフアイゼンの罅割れが少しずつ大きくなっていく。それでもヴィータは何度も攻撃し続ける。このゆりかごを止める為に。
「ぜってぇぶっ壊す……アタシと、アイゼンに……砕けねぇもんなんかねぇっ!!!」
振り下されるグラーフアイゼンの一撃。罅割れが更に大きくなっていくが、ヴィータは力ずくでも結晶体を破壊する為に押し切ろうとする。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
バキィィィィィィィンッ!!
しかし、現実は非情だった。遂にグラーフアイゼンが粉々に砕けてしまい、バラバラになって床へと落ちる。そしてヴィータもこの一撃で遂に力尽きたのか、その体が少しずつ床へと落下していく。
「ッ……駄目、か……悪ぃ、なのは、手塚……ごめん、みん……な……」
「謝る事なんかあらへんよ」
「……え?」
そんなヴィータを、受け止める人物がいた。それはゆりかご周囲のガジェット達を殲滅した後、同じように内部に突入してきたはやてだった。
「は、や……て……!」
「鉄槌の騎士ヴィータ……そして鉄の伯爵グラーフアイゼンが、こんなになるまで頑張ったんや」
ヴィータを抱えながら、はやては目の前の駆動炉を見据える。何度もグラーフアイゼンで攻撃されたのがようやく響いてきたのか、赤い結晶体はバチバチ音を鳴らしながら少しずつ罅割れていく。
「砕けない物なんて、この世にはあらへんで……!!」
そう言い切ると同時に、赤い結晶体を中心に駆動炉が連鎖するように爆発し始めた。ヴィータの決死の攻撃で駆動炉を破壊されたゆりかごは、上昇速度がどんどん低下していく事となる。
一方、スカリエッティの
「はぁっ!!」
「く……うぉっ!?」
「ぐぉあ!?」
サバイブ・烈火の力によって強化変身を果たしたファムサバイブ。ブランバイザーツバイから引き抜かれたブランセイバーはオルタナティブ・ネオのスラッシュダガーを簡単に弾き返し、オルタナティブ・ネオの胸部を斬りつけて確実にダメージを与えていた。続けて王蛇が振り下ろして来たベノサーベルを左腕の盾―――“ブランシールド”が受け止め、王蛇の腹部に強烈な蹴りを炸裂させて壁に叩きつける。
「ハハハ……お前も、その力を持っていたとはなぁ……!!」
「たった一撃でこの威力とは……その力、実に興味深いねぇ……!!」
「アンタ達の遊びに付き合う気はないよ!!」
ダメージを受けた王蛇とオルタナティブ・ネオが壁に背を付けて体を支える中、ファムサバイブは左手でカードデッキから1枚のカードを引き抜き、右手に持ったブランセイバーの柄部分の装填口を展開。そこにカードを差し込んでから装填口を閉じる。
≪SHOOT VENT≫
エコーのかかった電子音が響き渡り、ファムサバイブはその場で直立したままブランセイバーをブランシールドに収納してブランバイザーツバイの状態に戻す。するとブランバイザーツバイの両端のパーツが展開してボウガンのような形態―――“ブランシューター”の状態に変形し、ファムサバイブはそのブランシューターの銃口を王蛇とオルタナティブ・ネオに向ける。
「はぁっ!!!」
「く……うおあぁっ!!?」
「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
ブランシューターから連射された炎の矢は、弾き返そうとした王蛇とオルタナティブ・ネオの胸部にそれぞれ数発ほど着弾し、2人を纏めて吹き飛ばしてみせた。王蛇はかなりの勢いで床を何度も転がされ、オルタナティブ・ネオも同じように転がってから近くの機材に叩きつけられる。
「凄い……浅倉とスカリエッティを、圧倒してる……!!」
その光景を見ていたフェイトも、ファムサバイブが見せる力を前に思わず圧倒されていた。彼女がいつの間にサバイブのカードを手に入れていたのかはわからない。しかし今のこの状況下では、彼女の繰り広げる攻撃や技が非常に頼もしく見えていた。一方でオルタナティブ・ネオも、ファムサバイブの力を前に笑みを浮かべていた。
「ぐ……く、ははは……良い、実に興味深い……!!」
ブランシューターで狙い撃ちにされた時点で、オルタナティブ・ネオは既に満身創痍だった。それでも戦う事をやめようとしない彼は膝を突いた体勢のまま次のカードを引き抜こうとしたが、そんな彼の胴体がバインドで二重に縛り付けられる。
「!? ……君か。邪魔をしないで貰いたいところなんだが」
「……そういう訳にはいかない」
オルタナティブ・ネオは仮面越しに、自身をバインドで縛り付けた人物―――フェイトを冷たく睨む。しかしフェイトは全く怯まず、その身に纏っていたバリアジャケットが変化していく。
「夏希さんは私に言ってくれた。迷う必要なんかないんだって……あの子達の愛情を、少しでも疑ってしまっていた自分が恥ずかしいとも思った」
フェイトが纏っていた黒い軍服調のバリアジャケットが、装甲が減ってレオタードのような露出度の高い物に変化していく。それに応じて彼女が構えていたバルディッシュも形状を変化させ、黄色い魔力刃が伸びた2本の刀剣形態―――ライオットザンバーに変化する。
「私は弱いから。これからも迷ったり、悩んだりを繰り返すと思う……でも、きっとそれで良いんだ。その為に仲間がいるんだから……!! その仲間が、戦いで傷付いて苦しんでいるのなら……せめてその人達が、戦いのない間だけでも平穏に過ごせる時間を作ってあげたい!! その為に私達は戦うんだ!!!」
「……ふん!!」
一瞬、その場からフェイトの姿が消える。オルタナティブ・ネオは僅かに感じ取った気配からスラッシュダガーを真横に構え、ガキンという金属音と共にフェイトの振り下ろしたライオットザンバーを防ぎ切った。
「素晴らしい演説をご苦労……しかし良いのかな? その姿は明らかに装甲が薄いなんてレベルではない。一撃でも受けてしまえば、君自身の命がどうなる事やら」
「ライダーの力に比べれば、私の力なんてちっぽけかもしれない……でも、それで構わない!! あなたを直接倒す力はなくても……夏希さんが浅倉を倒すまでの時間稼ぎはできる!!」
「はは、言うじゃないか!!」
【ACCEL VENT】
ライオットザンバーを弾いたオルタナティブ・ネオが、スラッシュバイザーにカードを読み込ませる。それによりオルタナティブ・ネオは目に見えない速度でその場から動き出し、フェイトも同じくらいのスピードでオルタナティブ・ネオと刃を交えていく。
「ほぉ、このスピードに追い付けるのか……なるほど、やはり君も興味深い!!」
「言っていろ!!」
『グゴォォォォォォォォォォッ!!!』
互いに剣を弾き合い、そこから何度も2人が激突する。常人では視認できないくらいスピードの速過ぎる戦いが繰り広げられる。そこへ更にサイコローグの放つミサイルも飛び交い、フェイトがそれを華麗に捌いていく過程からあちこちで爆発が発生する。
「私の目的も同じだ!! ジェイル・スカリエッティ……お前にこれ以上、好き勝手はさせない!!!」
「ぐぉあっ!!」
ファムサバイブと王蛇の戦いはと言うと、こちらは既に一方的な戦いとなっていた。王蛇の振るうベノサーベルの一撃はファムサバイブのブランシールドで悉く防がれ、逆にブランセイバーで的確にダメージを与えられ、強烈な突きが王蛇をまたしても吹き飛ばす。
「ぐ、おぉ……ッ!!」
「浅倉……お前1人のせいで、今まで多くの人間が傷つけられてきた……!!」
立ち上がろうとする王蛇をブランセイバーで斬りつけ、壁に向かって叩きつける。ベノサーベルで反撃して来ようものなら、ベノサーベルを叩き落として容赦なく膝蹴りを叩き込み、怯んだ王蛇のボディを連続で斬りつけていく。
「私のお姉ちゃんを殺して……手塚の友達から夢を奪って……この世界に来てからも、健吾を手にかけてラグナちゃんを悲しませた……これ以外にも、お前に人生を狂わされた人達はたくさんいる……その苦しみは計り知れない……!!」
「ぐ、ごぁ、がっ……!!」
「今のお前はもはや……死ぬ事すらも償いにならない!!!」
「がはぁっ!?」
ブランセイバーを勢い良く振り上げ、斬りつけられた王蛇の体が宙に舞う。そのまま地面に落ちた後、ファムサバイブは王蛇に対してブランセイバーの刃先を向ける。
「お前はここで捕まえる!! お前が持っているライダーの力も奪ってやる!! お前は死ぬまで永遠に、牢屋で収まる事のない苛立ちに苦しみ続ける……それが、お前がこれから受けるべき報いだ!!!」
「ッ……あ、あぁ~」
しかしこれだけ言っても、王蛇はファムサバイブの言い放つ言葉になど聞く耳を持とうとしない。これだけ攻撃されても立ち上がれるほどのタフさを備えた彼は、首をゴキゴキ回してからファムサバイブを睨みつけ、左でベノバイザーを構える。
「久しぶりだなぁ……こんなにイライラさせられるのは……!!」
≪FINAL VENT≫
『グオォォォォォォォォォッ!!』
「はぁぁぁぁぁぁ……はぁ!!」
ベノバイザーにカードが装填され、後方からメタルゲラスが走って来た。王蛇は右手に出現したメタルホーンを構えてから跳躍し、メタルゲラスの両肩に足を乗せてファムサバイブ目掛けて突っ込んで行く。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
必殺技―――“ヘビープレッシャー”を発動させた王蛇は雄叫びを上げながら、メタルホーンを突き出した状態でファムサバイブに襲い掛かる……が、それに対するファムサバイブの行動は非常に冷静だった。既に次のカードを引き抜いていた彼女は、すぐさまそれをブランセイバーの装填口に装填する。
≪ADVENT≫
『ピィィィィィィィィィィィィィッ!!!』
エコーのかかった電子音と共に、培養カプセルを介してブランウイングが飛び出す。するとブランウイングの体が鏡のように砕け散り、その中からブランウイングの強化形態となる姿―――“ブランフェザー”が出現。ボディ各部に赤いラインが、両翼にタイヤのようなパーツが追加されたブランフェザーは華麗に羽ばたき、ファムサバイブの近くまで飛来していく。
「よろしく」
『ピィィィィィィィィィィッ!!』
ファムサバイブの合図と共に、ブランフェザーが勢い良く翼を羽ばたかせて強烈な突風を発生させる。その突風はヘビープレッシャーを繰り出している最中の王蛇を真横から発生し、王蛇とメタルゲラスを纏めて吹き飛ばしてしまった。
「な……おぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
『グオォン!?』
吹き飛ばされた王蛇とメタルゲラスが大きく転がり、交戦中であるフェイトとオルタナティブ・ネオ達の近くまで移動する。立ち上がった王蛇はファムサバイブを睨みながらも、その口元は楽しく笑っていた。
「ハハハハハ……そうだ、もっと戦えぇ……!!」
これだけパワーの差を見せつけられてもなお戦い続けようとする王蛇は、取り出したベノバイザーにカードを装填する。
≪UNITE VENT≫
『シャアァァァァァァァァッ!!!』
『グオォォォォォォォォッ!!!』
『キュルルルルルル……!!!』
電子音と共に、王蛇の周囲にベノスネーカー、メタルゲラス、エビルダイバーの3体が集結する。メタルゲラスの頭部とベノスネーカーの上半身が融合し、ベノスネーカーの尻尾がメタルゲラスの臀部から長く伸び、背中に取りついたエビルダイバーのボディが翼のように変形していく。
「ッ……アレは……!!」
『グギャオォォォォォォォォォォォォォンッ!!!』
ベノスネーカー・メタルゲラス・エビルダイバーの3体が融合して誕生したドラゴンのような姿の
「ッ……また面倒なのを……!!」
≪SWORD VENT≫
『ピィィィィィィィィィィィィッ!!』
それでもファムサバイブは慌てない。次々と飛んで来る毒液をかわしながら、ファムサバイブは引き抜いたカードをブランセイバーに装填させる。電子音とファムサバイブの後方にブランフェザーが移動し、ブランフェザーが嘴から噴出した炎がファムサバイブの構えたブランセイバーに纏われていく。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……はぁっ!!!」
「くっ……!!」
『!? グゴァ……!?』
ファムサバイブが振り下ろすブランセイバーから、灼熱の斬撃が飛来する。それを見た王蛇はすぐさま近くでミサイルを飛ばしまくっていたサイコローグの後頭部を掴み、自身の傍まで引き寄せて自身の前に突き出した。
『グゴ―――』
もはや断末魔を上げるタイミングもないまま、灼熱の斬撃がサイコローグのボディを真っ二つに切り裂いた。切り裂かれ、焼き尽くされたサイコローグはその場で呆気なく爆散してしまい、それによってフェイトと交戦中だったオルタナティブ・ネオの身にも異変が発生する。
「―――ッ!?」
「!! これは……」
「な、何だ……急に力が……!?」
アクセルベントで高速移動を繰り広げていたはずのオルタナティブ・ネオが、突然その場に膝を突いた。何事かと思ったオルタナティブ・ネオが自身のカードデッキを見ると、カードデッキには先程まであったはずのエンブレムが消失してしまっていた。それに気付いたフェイトもすぐさま動き出す。
「まさか、サイコローグが……ぐっ!?」
「スカリエッティ!!!」
サイコローグを失い、急激に弱体化したオルタナティブ・ネオの背中をフェイトがライオットザンバーで迷わず斬りつける。モンスターを失った影響からか、フェイトの攻撃すらもまともに通るようになったオルタナティブ・ネオは苦痛で表情を歪めながらも、ライオットザンバーの魔力刃をスラッシュダガーで受け止めようとした。
「お前のモンスターは倒された!! 実験はこれで終わりだ!!」
「ク、クハハハハハハハ……あれほどの力を、一体彼女はどうやって手に入れたというのか……!!」
フェイトのライオットザンバーが、少しずつオルタナティブ・ネオを後退させていく。これだけ追い詰められた状況でもなお、サバイブの力に対するスカリエッティの興味は消え失せなかった。
「あぁ、欲しかった……私も欲しかったなぁ……その力……!!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」
ドガァァァァァァァァンッ!!!
ライオットザンバーの一撃がカードデッキに命中し、遂にオルタナティブ・ネオを吹き飛ばしてみせた。壁に強く叩きつけられたオルタナティブ・ネオは壁を大きく凹ませ、遠く離れた位置まで吹き飛んだスラッシュダガーが床に突き刺さる中、ズルズルと床に落ちていったオルタナティブ・ネオは変身が解除され、その姿をスカリエッティの物に戻していく。
「はぁ……はぁ……広域次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティ……」
壁に背を付けたまま意識を飛ばしているのか、俯いたまま動かないスカリエッティ。フェイトはそんな彼を見下ろしながら、彼の近くに落ちているカードデッキを見据える。
「……あなたを逮捕します」
弱体化した影響で、ライオットザンバーの一撃が効いたのだろう。そのカードデッキは既に、斜めに罅割れた状態で破損してしまっていたのだった。
『グギャオォォォォォォォォォォンッ!!』
「くっ……ブランフェザー!!」
『ピィィィィィィィィィッ!!』
そしてファムサバイブはと言うと、ジェノサイダーが吐き出す毒液を必死にかわし続けていた。このまま回避してばかりではキリがないと判断した彼女はブランフェザーを呼び寄せ、飛んで来たブランフェザーがジェノサイダーに突進してジェノサイダーを怯ませる。
「浅倉、お前もこれで終わりだ!!」
≪FINAL VENT≫
「ッ……消えろ……!!」
≪FINAL VENT≫
ファムサバイブがカードを引き抜き、王蛇も同じようにカードを引き抜く。2人はそれぞれの召喚機にカードを装填し、電子音を鳴り響かせた。
『グギャオォォォォォォォォォォォッ!!!』
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……!!」
まずはファムサバイブの後方に立っているジェノサイダーが、自身の腹部を喰い破って真っ黒なブラックホールを発生させる。それに続き、ファムサバイブの前方に立っている王蛇が駆け出し、彼女に向かって強力な回転ドロップキックを炸裂させようとする。
『ピィィィィィィィィィッ!!』
「!? 何……!!」
しかしそれは、飛んで来たブランフェザーの突進で中断させられる。怯んだ王蛇がその場で立ち止まる中、ファムサバイブは華麗に飛び回っているブランフェザーの背中へと飛び乗っていく。
「はっ!!」
『ピィィィィィィィィィィィッ!!!』
ファムサバイブが背中に飛び乗ったのを合図に、ブランフェザーのボディが変形を開始。大きく羽ばたいていたブランフェザーの右翼が前方に、左翼が後方に90度回転してバイクのボディを形成し、両翼のタイヤが肥大化する事でバイクモードとしての姿が完成する。そんなブランフェザーの背中にファムサバイブが座り込み、彼女を乗せたブランフェザーはジェノサイダー目掛けて突っ込んでいく。
『グギャオォッ!?』
「なっ……!?」
突っ込んで来たところをブラックホールで吸い込もうとするジェノサイダーだったが、ファムサバイブの背中で靡いていた赤いマントが翼の形状に変化し、そこから複数の赤い羽根を撃ち放つ。その羽根が連続で直撃したジェノサイダーは怯んでブラックホールを閉じてしまい、その間にファムサバイブの肥大化した翼がブランフェザーのボディを包み込み、ドリルのような形態になったまま一気に加速する。
「行っけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
『グ……ギャオォォォォォォォォッ!!?』
猛スピードで突っ込んでいくファムサバイブとブランフェザー。その必殺技―――“ボルケーノクラッシュ”の一撃はジェノサイダーのボディを貫き、ジェノサイダーは虚しい鳴き声を上げながらその身が粉々に粉砕。跡形もなく消滅してしまった。
「何だと……ぐ、ぅおっ!?」
契約していた3体のモンスターが、合体した状態で纏めて倒された。その結果、その3体と契約していた王蛇も力を失い、ボディが灰色に変化したブランク体にまで一気に弱体化してしまった。力を失った王蛇がその場に膝を突く中、ブランフェザーから降りたファムサバイブが彼の前に立つ。
「終わりだ、浅倉……!!」
「ッ……はぁ!!」
しかしそれでも、王蛇は躊躇なくファムサバイブに殴りかかる。当然、その一撃はブランシールドによって簡単に防がれ、そこから引き抜かれたブランセイバーが王蛇を胸部から腹部のカードデッキにかけて大きく斬りつけた。
「でやぁ!!」
「があぁっ!!?」
その一撃で吹き飛ばされた王蛇は培養カプセルに叩きつけられ、そのまま下に落ちて変身が解除される。変身が解けた浅倉はその場で大の字になって倒れ、ブランセイバーの斬撃で破損した王蛇のカードデッキが、粉々になった状態で床へと散らばっていく。
「はぁ……はぁ……」
「もう悪あがきはやめろ。お前はこのまま連行してやる」
ブランセイバーを納めたファムサバイブは、サバイブを解除してファムの姿に戻ってから、倒れている浅倉の下まで歩み寄っていく。それに対し浅倉は、倒れた状態のまま小さく呟き始めた。
「ッ……終わり……そう、か……これで、終わりか……」
自分は負けた。ライダーの力も失われた。それはかつて、ライダーバトルに参加していた頃の敗北と、全く同じ状況だった。
「……は、ははは」
「?」
「はっはっはっ……ハッハハハハハハハハ……クッハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
「……!?」
突然、浅倉が大きな声で笑い始めた。思わずファムが足を止める中、浅倉は楽しそうに笑いながらもゆっくりその場から立ち上がる。
「ハハハハハハハハ……そうかぁ……これで、終わりかぁ……」
前の世界と同じだ。
もう充分、戦いは楽しめた……そう、楽しめたはずだった。
「……何故だ」
それなのに彼は……
「何故だ……」
「―――何故こんなにもイライラするんだぁっ!!!!!」
今まで以上に、その苛立ちを爆発させていた。
「!? ぐあぁっ!!」
それは突然の出来事だった。浅倉は近くの床に刺さっていたスラッシュダガーを引き抜き、いきなりそれを振り回してファムの胸部を斬りつけたのだ。突然過ぎる行動だった事から、すぐに対応できなかったファムが怯んで床に転がされる一方、浅倉は大声で叫びながらも我武者羅にスラッシュダガーを振り回し続ける。
「何故だ……何故だ何故だ何故だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
振り回されていたスラッシュダガーの刀身が、先程彼が叩きつけられた培養カプセルに命中する。すると罅割れていた培養カプセルから火花が出てバチバチと鳴り始めるが、そんな事も気にせず浅倉はただ苛立ちのままに、周囲の機材にスラッシュダガーを何度も叩きつけていく。
「!? 待て、やめろ浅倉!!!」
「アァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
機材が火花を散らしている事に気付いたファムが叫ぶも、浅倉は止まらない。そしてまた、スラッシュダガーの刀身が1つの機材へと叩きつけられ……その一撃が、引き鉄となってしまった。
ドガガガガガガガガァァァァァァァァァァンッ!!!
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
スラッシュダガーを叩きつけられた機材が爆発し、それに連鎖する形で一列に並んでいた培養カプセルも次々と爆発し始めた。ファムはすぐに浅倉の下へ駆け寄ろうとしたが、それより前に発生した爆発が彼女の体を大きく吹き飛ばしてしまい、浅倉の全身が爆炎の中に包まれていく。
「ッ……浅倉ァ!!!」
「!? 夏希さん、これは一体……!?」
スカリエッティや倒れていたトーレ達を拘束し終えたフェイトも、目の前で起きている爆発を見て驚愕する。起き上がったファムは浅倉の名前を叫んだが、爆炎に飲み込まれてしまった浅倉の姿は見えず、彼女はその場で膝を突く事しかできなかった。
「浅倉……ッ……!!」
「……まさか、彼は……」
ファムが叫んだ浅倉の名前と、目の前で起こった爆発。それにより浅倉の末路を悟ったフェイトがバルディッシュを落とし、ファムは膝を突いた状態のまま自身の拳を床に叩きつける。
「まただ……また、この手でアイツを……!!」
「夏希さん……」
しかしその時……信じられないような事態が発生した。
「―――オラァァァァァァァァァァァッ!!!!!」
「「ッ!? きゃあ!!」」
燃え盛る爆炎の中、爆炎に飲み込まれたはずの浅倉が
「まだだ……まだだぁっ!!!」
「あ、浅倉……!?」
「戦え……もっと戦えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」
燃え盛る炎に包まれ、全身が火達磨になってもなお、スラッシュダガーを振り回し続けるだけの浅倉。もはや完全に正気を失っているとしか思えない彼の行動は、ファムとフェイトの背筋を凍りつかせ、2人に身動きを一切取らせなかった。
「はははははははは……ハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!!」
自身の体が焼ける感覚を味わいながら、浅倉は思い出していた。
かつて幼い頃……
「もっとだ……もっとだァッ!!!」
イライラする物が、何もかも焼き尽くされている光景を。
「もっと俺を楽しませろォッ!!!」
彼は笑う。
喉が焼けて潰れるまで。
その身が完全に焼き焦げるまで。
1匹の獣は、ただひたすら炎の中で笑い続ける。
「ハハハハハ……ハハハハハ、ハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
そして数十秒間ほど経過し、笑いながらスラッシュダガーを振り回すだけだったその獣は……突然笑い声が途絶え、灼熱の炎の中でドサリと倒れ伏した。そこから先はもう、二度と獣の笑い声が聞こえて来る事はなかった。
「あ、さ……くら……」
「そんな……どうして……どうして、あんなになってまで……!!」
背筋が凍り、身動きが取れないまま、その一部始終を見届ける事しかできなかったファムとフェイト。フェイトが戦慄した表情で座り込む中、ファムはその場で俯いたまま仮面の下で表情を歪める。
「……浅倉……ッ!!」
復讐を乗り切った今なら、違う結末に変えられると思っていた。
しかし結局、元いた世界で戦った時と同じだった。
あの時と同じように、彼を死なせてしまった。
心が
完全な
「……うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
戦いには無事に勝利した。
しかし、
敗れたライダーの行く末を見届けたフェイトは、ファムの慟哭を横で聞きながら、その事を強く認識させられる事となったのだった……
浅倉威/仮面ライダー王蛇……死亡
To be continued……
リリカル龍騎StrikerS!
ヴィヴィオ「私は悪い子だから……ここにいちゃいけないんだ……!!」
雄一「手塚……俺はァ……ッ!!」
なのは「助けるよ!! いつだって……どんな時だって!!」
手塚「お前の運命は、俺達が変える!!!」
戦わなければ生き残れない!