リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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毎回、次回予告で書いてるキャラの台詞はいつも適当である為、その次に書く話も、その次回予告に使った台詞を入れなきゃいけないというクッソ面倒な書き方をしております。
おかげで今回、前回の次回予告で使った台詞を全て入れようとした結果、話の内容が無駄に長くなってしまいました。たぶん1万字には達してると思います。

まぁそれはさておき、今回から“彼女”が本格的に登場します。そして話の展開がだいぶ強引ですが、こうでもしないと話を進められないので……。

それではどうぞ。



第6話 白い翼

あれから翌日……

 

(さて。あぁは言ったものの、まずはどうやって探すか……)

 

首都クラナガン、港湾地区。手塚は現在、フェイトが運転する黒い車に乗って移動しているところだった。何故彼がこのような行動に出ているのかと言うと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……私の仕事に同行させて欲しい……?」

 

「あぁ」

 

フェイトにお願いした手塚の頼み事……それは、フェイトの執務官としての仕事に自身も同行させて欲しいという物だった。その頼み事には流石のフェイトも驚きを隠せなかった。

 

「確か執務官は、大まかに言えば事件や法務案件に関しての統括をするんだったな」

 

「は、はい。大きく分けると、部隊に所属して案件処理を担当する内勤派と、自分の得意な分野で捜査に関わっていく独立派になります。私は捜査範囲を広めていく為に両方を担当しています。執務官は簡潔に言うと、警察と検察が合わさったような感じの役職ですから」

 

「それなら、例の連続失踪事件を始め、ハラオウンもこのミッドチルダで様々な事件に関わっていく機会は多いはずだ。もし俺以外にもライダーがこの世界に来ていて、そのライダーがまだ管理局に対して何の接触もしていなかったとしたら、そういった事件の裏で隠れて行動していたり、民間人のフリをして街中に潜んでいる可能性も決してないとは言い切れない……地球人からすれば、この世界の文化や技術はかなり複雑だからな」

 

それはこの数日で、手塚自身が大変よく味わった気持ちだ。少なくともこの世界における常識は、何の予備知識も持たない者が一度に全てを把握し切れるほど簡単ではないはずだ。もし自分以外にライダーがやって来ているとしたら、その点を何とかする為に何らかの活動はしているかもしれない。

 

「そういう事でしたか。確かに、はやてに外出の許可を得られさえすれば可能かもしれません……けど、手塚さんはあくまで『機動六課に保護された次元漂流者』というのが表向きの形になりますので……」

 

「……管理局に保護された身の人間が、さも当然のように執務官と行動を共にするというのも、それはそれで不自然だろうな」

 

それらの旨も伝えた上で、手塚ははやてにフェイトの仕事に同行できないかどうか確認を取る事にした。それに対するはやての反応はと言うと……

 

「まぁ、そういった理由があるんなら構わへんよ」

 

手塚とフェイトの予想に反して、意外とアッサリ許可は下りた。これにはフェイトよりも、最初にこの提案をした手塚が一番驚いた。

 

「……本当に良いのか? 提案した俺が言うのも何だが、かなり問題だらけだぞ」

 

「要は手塚さんが次元漂流者だと周囲に悟られなければ良い話や。せやから当然、その私服で街中を歩かせる訳にはいかへん。出歩く際はちゃんとした服装に着替えて貰うで」

 

「は、はやて、本当に大丈夫なの?」

 

「こうしてる間にも、モンスターがまた民間人を襲っているかもしれへんのや。このミッドがそんな状況になっている以上、ある程度はこっちで融通も利かせたるわ……そもそも、この機動六課を立ち上げるのだって、かなり反則スレッスレやったしなぁ」

 

「?」

 

(それに、フェイトちゃんと一緒に行動するんなら、シグナムとヴィータも文句は言わへんやろうしな……)

 

はやてが小声で呟いた台詞は、手塚でも聞き取る事はできなかった。しかしそんな事は今は重要ではない。はやてが指をパチンと鳴らすと、制服の上に白衣を纏った金髪の女性が手塚の背後にヌッと現れ、それに気付いた手塚はいきなり背後を取られた事に驚き素早く後退する。

 

「ッ!?」

 

「そういう訳や。シャマル、手塚さんが着るスーツのサイズ測定は任せたで♪」

 

「はいはーい♪」

 

(……嫌な予感しかしない)

 

金髪の女性―――“シャマル”はニコニコ笑顔でメジャーを両手で構えており、それを見た手塚はこれからされるであろう行動を予測し、溜め息をつく羽目になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、似合ってますね手塚さん」

 

「ここまでする必要があったかどうかは疑問だがな……」

 

そういう訳で現在、手塚はいつもと違う姿に変装中だ。周囲から管理局に関係のある人間だと思われるよう、着ている黒スーツは赤いネクタイをキッチリ締め、頭部には茶髪のカツラを被り、更には伊達メガネまでかけさせられている。これだけでも普段の恰好の時とは別人のように変化しており、少なくとも次元漂流者として保護されている身の人間にはとても見えない。

 

(手塚さんのスーツ姿……ちょっとカッコ良いかも)

 

「ハラオウン、そろそろ信号が変わるぞ」

 

「え? あ、はい、すみません!」

 

助手席に座っている手塚を思わずジーっと見ていたフェイトは、手塚に指摘され慌てて運転に意識を戻す。そんな彼女を他所に、手塚はフェイトが仕事関係で携帯している資料の束を手に取り、1枚ずつ確認していく。

 

「普段からこんなに多くの事件に関わっているのか」

 

「こっちの仕事にひと段落ついたら、すぐ六課に戻って訓練を手伝うって日もしょっちゅうですから、結構大変な毎日です……けど、今はそんな弱音は吐いていられません。何としてでも、この連続失踪事件は解決させたいですから」

 

「……強いんだな、君は」

 

「え?」

 

「人を助けたいという純粋な思い、人に幸せであって欲しいという願い……その優しさは誇って良い物だ。モンディアルとルシエが優しい子に育つ訳だな」

 

「そ、そう言われると……ちょっと照れちゃうかな」

 

「ところで、そこの道は曲がるんじゃなかったのか?」

 

「ふぇ!? も、もう、手塚さんっ!!」

 

「はは、すまない」

 

手塚にからかわれている事に気付いたフェイトがプンプン怒り、それに対し手塚は軽く笑いながら資料に目を通していく。そんな中、ある事件の詳細を見た手塚は笑っていた表情が変わり、その表情から笑みが消える。

 

(……スリによる被害が多発?)

 

手塚はコインを取り出し、指で軽く弾いてからキャッチする。それから目を閉じ、しばらく無言のままでいた彼は突然パッと目を開く。

 

「ハラオウン、恐らくこのスリ事件だ」

 

「へ? どうしてですか?」

 

「このミッドチルダで失踪事件が起こるようになったのは、今からおよそ1年前だったな」

 

「は、はい。それが何か……?」

 

「このスリ事件、失踪事件が起こり始めた後に発生している。それが何件もだ。恐らく、この世界にやって来た俺以外の仮面ライダーが、この世界での資金を確保する為にスリを行っている可能性がある」

 

「ど、どうしてそこまでわかるんですか? それだけだとハッキリ断定はできないんじゃ……」

 

「たった今、占いの結果に出た。モンディアルとルシエも言っていただろう? 俺の占いは当たる」

 

(……それ、もはや未来予知の領域に入ってる気が)

 

フェイトのそんな突っ込みが、手塚に届く事はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

港湾地区、とある路地裏……

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……!!」

 

お洒落な服の上に黒コートを着た若い女性が、息が切れそうな状態で必死に走っていた。女性は人がいない袋小路へと逃げ込み、設置されている大型のゴミ箱の中に素早く隠れる。そんな事をするとゴミの臭い匂いが移ってしまいそうだが、今の彼女にそんな事まで考えていられるほどの余裕はない。

 

「おい、いたか!?」

 

「駄目だ! こっちにはいねぇ!!」

 

「何としても見つけ出すぞ、管理局の連中にバレたら面倒だ!!」

 

男達の声がすぐ近くまで接近し、そして遠くへと消えていく。男達が去ったのを確認した女性は、ゴミ箱の蓋を開けて周囲に誰もいない事を確認する。

 

「はぁ、はぁ……行ったかな……? たく、アイツ等しつこ過ぎでしょ……どうやって振り切ろうかな……」

 

疲れている女性は息を整えながらもゴミ箱から這い出た後、袋小路からコッソリ抜け出し早くこの場から逃げようと移動を開始する。しかし……

 

「あ、いたぞ!! あの女だ!!」

 

「げっ!?」

 

結局は見つかってしまったようだ。女性は慌てて走り出し、サングラスをかけた強面の男が、他の男達に対して指示を出す。

 

「くそ、追え!! 絶対逃がすな!!」

 

「はぁ、はぁ……も、もう嫌だ、どうすりゃ良いのこの状況……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……今のところ、収穫はなしか」

 

一方、手塚とフェイトはスリ事件を追って調査を行っていた。しかし手掛かりになりそうな情報はこれと言って得られておらず、手塚はフェイトが駐車した車の前で事件の資料を確認していた。現在、フェイトはスリ事件の詳しい資料を得る為に、港湾地区にある時空管理局執務官の捜査部の施設まで向かっており、手塚は彼女が戻って来るまで車の近くで待機する事にしていた。

 

(だが、占いで出た風景はこの辺りで間違いないはず。他にそれらしい手掛かりさえあれば……ん?)

 

そんな時だった。手塚がたまたま見据えた方角には、2人組の男に追いかけられている女性の姿。

 

「何だ……?」

 

何事かと思った手塚は、追いかけられている女性の所まで駆け出した。その数分後、先程まで手塚がいた場所に資料を持ったフェイトが戻ってきた。

 

「手塚さん。残念ながら、あまりそれらしい手掛かりは見つから……あれ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……あいたっ!?」

 

2人組の男に追われ続けていた女性は、走っている途中で躓いて転んでしまった。そこへ2人組の男が疲れた様子ながらも追いついてきた。

 

「や、やっと追いついたぜ、このアマ……!!」

 

「ぜぇ、ぜぇ……さぁ、一緒に来て貰うぞ……!!」

 

「ッ……アンタ達、しつこい男は嫌われるよ……!!」

 

強気に出る女性だったが、その表情には焦りが出ている。万事休すかと思われたその時……

 

「2人がかりで女を狙うとは感心しないな」

 

「「!?」」

 

そんな3人の前に、走って追いかけてきた手塚が姿を現した。手塚の姿を見た女性は目を輝かせる。

 

(来た、チャンス……!)

 

「あぁん? 何だテメェは」

 

「邪魔だぜ兄ちゃん、引っ込んでな」

 

その時……

 

「あぁ、やっと見つけた! もぉ、どこに行ってたのよダーリン♡」

 

「「「―――は?」」」

 

女性の口から発された、突然の爆弾発言。これには手塚も2人組の男達も思わず呆気に取られた。

 

「私を一人にするなんて酷いじゃない! 怖かったんだからもぉ~!」

 

「……俺がダーリンだと?」

 

「……ごめん、後は任せるね」

 

「なっ!?」

 

小声でボソリと謝罪した女性は、手塚に2人組の男の相手を押しつけ、自分は即座に走って逃走を再開。いきなり過ぎる展開に理解が追いつかなかった手塚だが、そんな彼の前に2人組の男が立ち塞がる。

 

「よぉ兄ちゃん、あの女の連れって訳か」

 

「ちょうど良い。ちょっとツラ貸せや」

 

「……今日の俺の運勢は最悪だな」

 

2人組の男は、手塚が女性の関係者だとすっかり信じ込んでしまっているようだ。手塚はこの日の自分の運勢を呪いつつ、溜め息をついてから男達と向き合う。

 

「悪いが、男と付き合う趣味はなくてな。他を当たってくれ」

 

「あぁ!? 知った事かよ!!」

 

「大人しく従わねぇと、痛い目見る事になるぜ?」

 

男達はそれぞれナイフを取り出し始めた。これは説得も無理そうだと判断した手塚は、ポケットから1枚のコイン取り出す。

 

「お前達の運勢を占ってやろうか? ……いや、占うまでもないな」

 

「あぁ? 何をふざけた事抜かしてんだオラァッ!!」

 

2人組の内、坊主頭の男がナイフを突き立てようと手塚に迫った。その瞬間、手塚は取り出したコインを指で弾き飛ばし、弾かれたコインが坊主頭の男の目元に直撃する。

 

「がっ!? テメ……ごはぁ!?」

 

「悪く思うな」

 

コインが目元に当たって怯んだ坊主頭の男は、即座に接近してきた手塚にナイフを持った手を掴まれ、その腹部に容赦なく肘打ちを喰らわされる。坊主頭の男が膝を突くのを見て、もう1人の金髪の男が臆しながらも手塚に襲い掛かる。

 

「くそ、舐めんじゃねぇ!!」

 

「お前がな」

 

「な……!?」

 

そんな金髪の男もナイフをかわされ、懐に入り込んだ手塚が男の右腕を掴み、そこから華麗な背負い投げを披露し金髪の男を地面に叩きつけた。

 

「が、ごふ……!!」

 

「……全く、血の気の荒い男達だ」

 

軽々と男達を叩きのめした手塚は、着ていたスーツの上着を綺麗に整えながら、先程弾いて地面に落ちたコインを拾い上げる。

 

(それにしても、さっきの女はどこに行った……? コイツ等の言葉からして、何か面倒な状況にいるのは確かなようだが……)

 

しかし、彼に考える時間は与えられなかった。

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

 

「……ッ!?」

 

『グルルルルル……!!』

 

モンスターの接近を警告する金切り音。手塚が振り向いた先にある建物の窓ガラスに、あのギガゼールの姿が映り込んでいた。

 

「あの時、取り逃がした奴か……!!」

 

手塚は建物の窓ガラスまで近付き、カードデッキを突き出して変身の構えに突入する。

 

「……変身!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

 

「……ッ!? 嘘、こんな時に……!?」

 

一方、手塚に2人組の男達を押しつけて逃走した女性も、逃走先でモンスターの接近を察知していた。彼女は急いで近くの建物の窓ガラスに駆け寄ってから、着ているコートの内側から取り出した白いカードデッキを左手に持って窓ガラスに突き出す。すると女性の腰にも銀色のベルトが出現し、女性は両腕をゆっくり広げるように動かしてから、右手を素早く前に出して左手をベルトの左側に移動させる。

 

「変身!」

 

カードデッキがベルトに挿し込まれ、女性の全身にいくつもの虚像が重なり、女性は白い戦士―――“仮面ライダーファム”への変身を完了。窓ガラスを通じてミラーワールドに突入し、ライドシューターに乗り込んでモンスターのいる場所まで移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『グルルルル……グゥ!?』

 

そしてミラーワールド。どこかへ移動しようとしていたギガゼールだったが、そこへファムの乗ったライドシューターが突撃し、ギガゼールを大きく跳ね飛ばした。停車したライドシューターの中からファムが降り、左腰に納めているレイピア型の召喚機―――“羽召剣(うしょうけん)ブランバイザー”を抜きながら駆け出し、立ち上がろうとしていたギガゼールに思いきり斬りかかる。

 

「やぁ!!」

 

『グルァ!?』

 

ファムに斬りつけられたギガゼールは再び転倒するも、ファムの二度目の攻撃は転がって上手く回避し、立ち上がってから槍を装備して迎撃を開始。ファムとギガゼールが戦う中、そこへライドシューターに乗ったライアも到着した。

 

「!? 見つけた、あのライダーがそうか……!!」

 

≪SWING VENT≫

 

ファムに加勢するべく、ライアも召喚したエビルウィップを構えて駆け出そうとする。

 

しかし……

 

『ギシャシャシャシャッ!!』

 

「何……ぐぁ!?」

 

突如、別のモンスターがいきなり乱入して来たのだ。青いボディを持つカミキリムシのような怪物―――“ゼノバイター”が急降下しながら、ライアに向かってブーメラン状の武器を振り下ろしてきたのだ。攻撃を受けたライアは後退させられ、そこへゼノバイターがブーメランで斬りかかってくる。

 

「ッ……やたら不意打ちが多いな、モンスターは……!!」

 

 

 

 

 

 

「!? あのライダー……!!」

 

『グルァ!?』

 

ギガゼールと戦っていたファムも、ゼノバイターと戦っているライアの存在に気付き、斬り倒したギガゼールを右足で踏みつけてからブランバイザーの装填口を開き、カードデッキから引き抜いたカードを装填する。

 

≪SWORD VENT≫

 

「ん……うぉっ!?」

 

『ギシャア!?』

 

『ピィィィィィィィィィィッ!!』

 

電子音が鳴り響いた瞬間、戦っていたライアとゼノバイターの足元から白鳥のモンスター“ブランウイング”が水飛沫と共に出現。ライアとゼノバイターが同時に転倒する中、出現したブランウイングがファムの真上を通過し、翼のフチを模した薙刀状の武器―――“ウイングスラッシャー”が召喚され、ファムの右手に握られる。

 

「はぁっ!!」

 

『グルルルル!!』

 

ウイングスラッシャーを構えたファムは、槍を構えたギガゼールと激しい攻防戦を繰り広げる。互いの武器がぶつかり火花を散らし合い、ギガゼールの槍をかわしたファムがギガゼールを蹴りつけ、怯んだところをウィングスラッシャーで容赦なく斬りつける。その攻防はそう長くは続かず、ファムはギガゼールの頭を踏みつけて空中に跳び上がり、唐竹割りの要領でギガゼールの槍ごと縦に斬りつけてみせた。

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

『グルゥゥゥゥゥゥゥゥッ!?』

 

槍を破壊され、大ダメージを受けたギガゼールがフラフラながらも逃げようとする。しかしファムはそれを決して逃さず、ファイナルベントのカードをブランバイザーに装填する。

 

≪FINAL VENT≫

 

『ピィィィィィィィィィィッ!!』

 

『グ、グルァッ!?』

 

再び飛来してきたブランウイングが先回りし、翼を羽ばたかせて発生させた突風で、逃げようとしていたギガゼールをファムがいる方角まで吹き飛ばす。その吹き飛ぶ先には、ウイングスラッシャーを構えたファムが静かに待ち構え……

 

「……やぁっ!!」

 

『グルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!?』

 

吹き飛んできたギガゼールを、擦れ違い様にウイングスラッシャーで一閃。必殺技“ミスティースラッシュ”で胴体から真っ二つにされたギガゼールはファムの後方で爆散し、出現した白いエネルギー体をブランウイングが捕食して飛び去っていく。

 

 

 

 

 

 

 

『ギシャシャシャ……シャアッ!!』

 

「ぐっ……おい、待て!!」

 

≪ADVENT≫

 

そしてライアと戦闘を繰り広げていたゼノバイターだが、突然狙いを変えたのか、ライアの右肩を踏みつけて建物の上まで大きく跳躍し、建物から建物へジャンプしながら移動し始めた。逃がすまいとしたライアがすかさずエビルダイバーを召喚するも、ゼノバイターは華麗な身のこなしでエビルダイバーの体当たりを回避し、あっという間に逃げ去って行ってしまった。

 

「逃げ足の早いモンスターが多いな……」

 

これ以上は追いかけても捕まえられないだろうと判断したライアは、ギガゼールを仕留めたばかりのファムの方へと振り返る。ファムもライアが見ている事に気付いたのか、ライアの方まで歩み寄っていく。

 

「ヤッホー、さっきぶりね♪ イケメン君?」

 

「! その声、まさかさっきの……」

 

「アッタリ~♪ ちょっと前から、アンタが戦ってるところは見物させて貰ったよ」

 

「……やはり、あの時俺を助けてくれたのもお前だったか」

 

先日、ギガゼールに苦戦していた際にブランウイングが助太刀に入った時の件だ。モンスターが何の理由もなくライダーを助けるはずがないと思っていたライアは、目の前にいるファムこそがブランウイングの契約者で、自身を助けてくれたライダーだと確信した。

 

「あの時の事は感謝する。おかげで助かった」

 

「本当にね。1人であんな無茶してたら、いつか本当に死ぬよアンタ。何でそこまで無理する必要があるんだか」

 

「モンスターがいる限り、この世界で生きている人達が危ない。だから俺は、モンスターから人々を守る為にこの力を使うつもりだ」

 

「……ふぅん、そうなんだ」

 

「?」

 

ファムが少し黙り込んだ事に疑問を抱くライアだったが、今は自分が一番気になっている事を聞く事にした。

 

「それより、お前はどうやってこの世界に来た? できれば教えて欲しいところなんだが」

 

「う~ん、どうしよっかなぁ~……助けて貰った事に感謝してるんなら、ちょっとお願いしたい事があるんだけど良いかなぁ~って」

 

「お願い?」

 

「うん、実は……あ、ちょっと待った」

 

「!」

 

その時、ライアとファムは気付いた。自身の右手が、シュワシュワと音を立てながら粒子化し始めていた事に。

 

「時間切れみたいだしさ。一旦外に出よ?」

 

「……あぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は~い、お待たせ~♪」

 

「……来たか」

 

その後、現実世界に戻った手塚は路地裏に移動し、先程遭遇した女性と再び対面した。

 

「アタシは霧島美穂、仮面ライダーファムよ。アンタは?」

 

「手塚海之。仮面ライダーライアだ」

 

「手塚海之ね……じゃあさ、海之って呼んで良い? アタシの事も美穂で良いからさ」

 

「好きにしろ。それで、お願いとは何だ?」

 

「うん、実はね……アタシの事、守って欲しいの!」

 

「……何?」

 

仮面ライダーである彼女を守って欲しいだと?

 

一体どういう事なのか、手塚は目の前の女性―――“霧島美穂(きりしまみほ)”から話を詳しく聞いてみる事にした……のだが。

 

 

 

 

 

 

 

「……つまり、さっきの奴等はスリの被害者で、お前がそのスリを行った張本人という事だな?」

 

「そ、そういう事になるかなぁ……?」

 

美穂から聞いた話は、手塚を呆れさせるには充分な内容だった。手塚と同じくミッドチルダにやって来た美穂は、この世界で生きていくにはこの世界での通貨が必要と判断し、スリを行って資金を調達していたのだ。そして先程の男達はそのスリの被害者であり、美穂が追いかけられていたのは完全に自業自得だったという事になる。

 

「……この世界での資金が必要だったとはいえ、それでスリを働くお前もお前だな」

 

「し、仕方ないじゃない! この世界は訳のわからない事だらけで、こうでもしなきゃお金なんてまともに手に入らないし……アタシに親切にしてくれる人達だって、どいつもこいつもアタシの体目当てだし」

 

「……確かに。そういう輩にとって、困っている女性はまさに格好の獲物だろうな」

 

「そう、アタシって罪な女! アタシにこんな美貌を与えた、神様の罪はとても重いのよ!」

 

「凄まじい責任転嫁を見た」

 

「……って、そんな事は今は良いの! んで、どいつもこいつも下心丸出しな輩ばっかりだったから、お金だけコッソリ頂いて逃げる事がしょっちゅうだったの」

 

「……ここに書かれてる被害はその手の連中ばかりなのか」

 

手塚は手元の資料を見て呆れ果てる。

 

「事情が事情だな。ひとまず、俺と一緒に来い。管理局の機動六課という部隊に頼めば、手厚く保護はしてくれるだろう。スリを働いた以上、何らかの処罰は下るだろうがな」

 

「うっ……か、管理局に向かうのは、ちょっと待って欲しいかなぁ……なんて」

 

「何故だ?」

 

「じ、実は……」

 

「見つけたぞゴラァッ!!」

 

「「!!」」

 

そんな時だった。ついさっき手塚に叩きのめされたばかりの2人組の男達が、再び手塚と美穂の前に現れた。それを見た美穂は「やばっ」と言いたげな表情で再び手塚を前に押し出す。

 

「ごめん、やっぱその話は後!!」

 

「な、おい!?」

 

「「逃がすかぁっ!!」」

 

美穂は再び逃走し、手塚は再び2人組の男を相手取る羽目になってしまった。そんな手塚に2人組の男が再び襲い掛かる。

 

「おい兄ちゃん、さっきはよくもやってくれたなぁ……!!」

 

「今度はさっきみたいにはいかねぇぞ!!」

 

「……厄日だな」

 

その時……

 

ガキィィィン!!

 

「「げぇ!?」」

 

「そこまでです!!」

 

手塚に襲い掛かろうとした男達が、突然金色の輪っかのような魔法―――バインドで拘束された。突然の状況に手塚は何事かと身構えたが、そこに駆けつけてきた人物を見て構えを解いた。

 

「すまない、ハラオウン。助かった」

 

「もう、手塚さん!! 私がいない間に勝手に外を歩き回らないで下さい!! 見つけるの大変だったんですから!!」

 

「な、ハラオウンだと……!?」

 

「それって執務官の……くそっ!!」

 

拘束された男達は、フェイトを見て急に狼狽え出した。それを見た手塚は疑問に思いつつもフェイトに問いかける。

 

「それにしても、よく俺の場所がわかったな」

 

「はぁ……手塚さんを探してる途中、見覚えのある男達が何かを必死に探しているのを見かけて、後を追いかけたんです。それで追いかけた先に手塚さんが」

 

「そうか。すまなかったな……コイツ等は、あるスリの女を追いかけ回していた。その女がライダーだ」

 

「え……!?」

 

「だがハラオウン、この男達に見覚えがあると言ったな。どういう事だ?」

 

「えぇ。この2人、捜査部の方で行方を追っている犯罪組織の一員なんです。彼等の顔と資料の顔写真が一致したので、後を追いかけて来たんです」

 

「犯罪組織……?」

 

手塚はフェイトから差し出された資料を見る。その資料を読んだ手塚は、何故美穂が追いかけられているのか、何となくだが推測できた。

 

「あの女……どうやら、面倒な事件に巻き込まれたようだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ、ぜぇ……つ、疲れたぁ……こんなに走ったの久々だなぁ……」

 

一方。手塚を置いて再び逃げ出した美穂は、とある無人の公園広場で疲れを取っていた。ブランコに座り込んだままグッタリした様子で休んでいた彼女は、先程出会った手塚の事を思い出す。

 

「モンスターから人々を守る為に、か……お人好しだなぁ。まるでどこかのお馬鹿さんみたい」

 

元いた世界で彼女が出会った、不器用でお馬鹿な記者見習いの男。

 

自分もライダーになった癖に、ライダー同士の戦いを止めようと奮闘していたお人好しで、願いの為に戦っていたアタシからすれば、最初はただの馬鹿にしか思えなかった。

 

だけど、彼は本気で戦いを止めようとしていた。

 

アタシは彼を利用するつもりで近付いたのに、彼と一緒に遊園地を楽しんで、一緒に美味しい物を食べて……

 

 

 

 

気付いたらアタシは、そのお人好しな一面に惹かれるようになっていた。

 

 

 

 

「懐かしいなぁ……」

 

 

 

 

そんな“彼”と、手塚は同じ思いを抱いていた。

 

 

 

 

それが美穂からすれば、とても眩しい存在に思えた。

 

 

 

 

自分の願いの為に“憎き仇”を倒し、最愛の家族を蘇らせる為に戦っていた自分とは全く違う。

 

 

 

 

そう、自分は彼等とは違う。

 

 

 

 

「……私にはもう、守りたい物なんて何もない……」

 

美穂は懐から取り出した写真を眺める。そこには美穂と、美穂の最愛の家族の姿が一緒に写っていた。

 

「お姉ちゃん……」

 

“憎き仇”を倒した。

 

その後は、自分が恋するようになった男の“偽物”に騙され、そのせいで命を落とした。

 

なのに、自分は今もこうしてライダーとして生きている。

 

もう二度と、あの願いを叶える事はできないのに。

 

「お姉ちゃん……アタシ、これからどうすれば良いのかな……」

 

 

 

 

 

 

その時、美穂は気付かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

写真を見ている美穂を、背後から狙っている者達がいた事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ムグゥ!?」

 

突然だった。美穂の背後から男達の複数の手が伸び、美穂をブランコから引き摺り降ろして無理やり取り押さえようとし始めたのだ。写真を眺めていてすっかり気を抜いてしまっていた美穂は、男達の気配に気付けず接近を許してしまった。

 

(やば、油断した……!?)

 

バチィッ!!

 

「う……」

 

背中にスタンガンを当てられ、美穂はその場に倒れ伏す。彼女の意識はそのまま、深い闇の中に落ちていってしまった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎StrikerS!


手塚「急いで見つけ出さなければ、彼女が危ない……!!」

フェイト「助けましょう、必ず!!」

美穂「もう良いよ!! これは、アタシの問題なんだから!!」

手塚「お前の中にはまだ、人の優しさが残っているんじゃないのか……?」


戦わなければ生き残れない!
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