リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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はいどうも、第53話の更新です。

今回でJS事件にひとまずの決着がつきます。

そして雄一の運命は……まぁ、もう答えは出てるんですよね。龍騎という物語を知る人達からすれば賛否両論な結末かもしれませんが。

それではどうぞ。












戦闘挿入歌:Revolution(歌詞は1番or2番、お好きな方をお流し下さい)











第53話 変わる運命

あれは、いつの日だったか。

 

 

 

 

そうだ。あれは確か、この世界で浅倉と対面する前だったかな。

 

 

 

 

『へぇ~。雄一兄って、ピアニストになる事が夢だったんスねぇ』

 

 

 

 

『うん。今はもう叶えられるかどうかもわからない夢だけどね……』

 

 

 

 

スカリエッティさんの研究所(ラボ)で、いつものように昼食を取っていた時。

 

 

 

 

廃棄物処理場に置かれていたピアノで俺が演奏したのを聞いたからか、俺がピアノを弾ける理由についてチンクさん達が問いかけてきた事があった。

 

 

 

 

『わからない? どういう事だ』

 

 

 

 

『もう、ずっと昔の話ですからね。今はライダーとなった以上、モンスターと戦い続けるしかありませんし』

 

 

 

 

実際、腕の傷がなくなった理由は特に重要じゃない。

 

 

 

 

今の自分には、過去に捨てた夢なんかよりも成し遂げなければならない事がある。

 

 

 

 

そう自分に言い聞かせて、俺は仮面ライダーブレードとして戦い続けた。

 

 

 

 

ルーテシアちゃんの母親を守り続ける為に。

 

 

 

 

ルーテシアちゃんの母親を一刻も早く目覚めさせる為に。

 

 

 

 

そんな気持ちを抱き続ける中……俺はこの世界に来てから初めて、自分以外のライダーと遭遇した。

 

 

 

 

それも、かつて俺から夢を奪った張本人である男―――浅倉威と。

 

 

 

 

『そうやって、何人もの人間を傷つけて来たのか……!!』

 

 

 

 

『何だそりゃ? お前の事なんか俺が知るかよ』

 

 

 

 

あの男は、あの事件の事を何も覚えてはいなかった。

 

 

 

 

あの男にとって俺は、今まで自分が傷つけてきた人間の1人という認識でしかなかった。

 

 

 

 

『オ前ダケハ……絶対ニ許サナイッ!!!』

 

 

 

 

そこから先は、俺もよく覚えていなかった。

 

 

 

 

わかっているのは、俺が怒りに呑まれたまま浅倉に暴行を加え続けた事、そして……そんな俺の事を、怯えた目で見つめるルーテシアちゃんの顔だった。

 

 

 

 

『お兄ちゃん、どうしたの……!? お兄ちゃん!!』

 

 

 

 

―――倒セ、ソノ手デ全テヲ捻リ潰セェッ!!!

 

 

 

 

『うるさぁい!! 黙れ黙れ黙れぇっ!!! 消えろ……ッ……俺の中から消えろォッ!!! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!』

 

 

 

 

怒りに呑まれた結果、俺は浅倉を殺しかけてしまった。

 

 

 

 

ルーテシアちゃんが止めてくれなかったら今頃、俺は人の命を殺めてしまうところだった。

 

 

 

 

それからも、俺の中の憎しみはずっと俺に呼びかけ続けてきた。

 

 

 

 

浅倉を倒せと。

 

 

 

 

敵を潰せと。

 

 

 

 

邪魔者を全て抹殺しろと。

 

 

 

 

そんな強い憎しみに、俺は負ける訳にはいかなかった。

 

 

 

 

道を踏み外しかけた俺を、ルーテシアちゃんは引き止めてくれた。

 

 

 

 

そんな彼女の為に、俺は自分の精神をすり減らしてでも、彼女の望みを叶えてあげようと心に誓った。

 

 

 

 

彼女の笑顔を取り戻す事を願った。

 

 

 

 

それなのに……

 

 

 

 

『待、て……雄一……ッ……!!』

 

 

 

 

『う、ひぐ……痛い……痛いよぉ……パパ、ママァ……ッ!!』

 

 

 

 

気付けば俺は、誰かの笑顔を取り戻す為に、誰かの笑顔を奪ってしまっていた。

 

 

 

 

手塚とあの女の子を、無理やり離れ離れにさせてしまった。

 

 

 

 

『だから雄一さんは安心して……私の操り人形にでもなっていなさい』

 

 

 

 

気付けば俺は、クアットロさんの操り人形にされてしまっていた。

 

 

 

 

あの人に操られるがままに、俺はディエチちゃんを傷つけ、手塚の命を奪おうとしてしまった。

 

 

 

 

誰かを助ける為に、誰かの笑顔を奪おうとする事……それ自体がそもそもの間違いだったんだ。

 

 

 

 

それこそが、俺の背負った罪だったんだ。

 

 

 

 

だから今のこの状況(・・・・・・)は、起こるべくして起こった事なんだと思う。

 

 

 

 

でも、これで良かったのかもしれない。

 

 

 

 

罪を犯した以上、いつの日か報いを受ける日がやって来る。

 

 

 

 

それが今この時だった……ただそれだけの話だ。

 

 

 

 

それに、俺が抱いていたもう1つの望みは無事に叶った。

 

 

 

 

手塚が俺を止めてくれた。

 

 

 

 

これでもう、俺が誰かの笑顔を奪ってしまう事もない。

 

 

 

 

『雄一さん、しっかりして下さい!!』

 

 

 

 

『お願い、死なないで雄一さん!!』

 

 

 

 

誰かが、俺の事を呼んでいる気がする。

 

 

 

 

『お兄ちゃん、死んじゃ駄目だよ!! お兄ちゃん!!』

 

 

 

 

あぁ、そうだ。

 

 

 

 

これは、俺のせいで傷付いてしまった人達の声だ。

 

 

 

 

こんな俺の為に、彼女達は心配してくれているのか。

 

 

 

 

その気持ちは、俺も凄く嬉しいと思う……けど、もう無理だ。

 

 

 

 

今、俺の意識も少しずつ消えようとしている。

 

 

 

 

たぶん、俺はもうじき死ぬだろう。

 

 

 

 

心残りがないと言えば、それも嘘になる。

 

 

 

 

でも彼なら……手塚や、その仲間達なら……ルーテシアちゃんの母親を、無事に助けてくれるはずだ。

 

 

 

 

ルーテシアちゃんの笑顔を、取り戻す事ができるはずだ。

 

 

 

 

だから俺は、最期までそれを信じたい。

 

 

 

 

『―――ち』

 

 

 

 

皆、ごめんね……こんな俺の為に。

 

 

 

 

『―――雄一!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルーテシアちゃん……ごめんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから……ありがとう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勝手に死なせはせんぞ……雄一ィッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズズゥゥゥゥゥゥゥン……!!

 

「―――ッ……!?」

 

暗かった雄一の視界が、突然明るくなった。

 

一瞬だけ目を瞑った後、彼の視界に映ったのは……自身を押し潰していたはずの瓦礫を、ライアサバイブが力ずくで持ち上げようとしている姿だった。

 

「てづ、か……?」

 

「ぬ……ぐ、うぅぅぅぅ……ッ!!」

 

サバイブの力を以てしても、あまりに大き過ぎる瓦礫を1人で持ち上げるのは相当な負担がかかるようだ。ライアサバイブの口から苦悶の声が漏れる中、彼の背後からディスパイダーガジェットが複数の針を連射して襲い掛かろうとする。

 

「させない!!」

 

『ギシャシャアッ!?』

 

しかしそれも、なのはが魔力弾を放つ事で全て撃ち落とされる。逆にディスパイダーガジェットに魔力弾を命中させて後退させる中、ライアサバイブが持ち上げた瓦礫の下で倒れている雄一をディエチとヴィヴィオが引っ張り出そうとする。

 

「手塚さん、しっかりして……!!」

 

「うんしょ、うんしょ……!!」

 

「君、達……どう、して……ッ……!」

 

「言ったはずだぞ……!!」

 

雄一が引っ張り出された後、ライアサバイブは持ち上げた瓦礫をすぐに放り捨て、雄一に肩を貸すようにその場から起こし上げる。

 

「お前の運命は俺が変えると……自分から勝手に死ぬ事だけは、この俺が絶対に許さん……!!」

 

「ッ……けど、俺は……たくさん、罪を犯した……!! たくさんの人達の、笑顔を奪った……俺にできる事は、もう……死んで、償う事しか―――」

 

「ふざけるなぁっ!!!」

 

ライアサバイブが大声で叫ぶ。それを間近で聞いたヴィヴィオが一瞬だけビクッと震える反応を見せたが、ライアサバイブは続けて言い放つ。

 

「罪を背負ったから死ぬべき? 悪人は生きてちゃいけないとでも? ……勝手な事を言うな!! お前のそれは償いじゃない、ただ逃げてるだけだ!!!」

 

「ッ……けど、俺は……!!」

 

「たくさんの人達の笑顔を奪っただと……だったら尚更生き延びてみせろ!! お前がここで死んだ後、残された人達からどれだけ多くの笑顔が失われると思っている!! 笑顔を奪う事が罪だと言うなら……これ以上誰かの笑顔を奪うような事だけは絶対にするな!!!」

 

「ッ!!」

 

自分が死ねば、残された人達の笑顔まで奪ってしまう。それは元いた世界で、手塚自身が直に味わった事。だからこそ、雄一をここで死なせる訳にはいかないのだ。彼がここで死ねば、今度こそ誰かの笑顔が永遠に失われてしまうのだから。

 

「俺はもう、あんな思いはたくさんだ……!!」

 

「手、塚……ッ!」

 

「運命は変わるはずだ……!! たとえ俺1人では無理だとしても……俺を支えてくれる、仲間がいるなら!!!」

 

『ブブブッ!!』

 

「!? しまった、まだガジェットが……!!」

 

意地でも雄一を生かして連れ出そうとするライアサバイブ。その頭上から、ゆりかごのシステムその物に操られた1機のレイドラグーンガジェットが、その手に構えた槍を振り下ろそうとして来た。

 

「手塚さん、雄一さん!!」

 

「……ッ!!」

 

その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドガァァァァァァァァンッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ブブゥ!?』

 

玉座の間の扉が、轟音と共に木っ端微塵に破壊された。そこから飛んで来た1発の雷撃が、ライアサバイブ達に襲い掛かろうとしたレイドラグーンガジェットを吹き飛ばした。

 

「今のは……」

 

「海之ッ!!!」

 

「手塚さんっ!!!」

 

『ピィィィィィィィィィィッ!!』

 

『シャアッ!?』

 

破壊された扉の中から、ブランフェザーが大きく羽ばたきながらその姿を現した。突っ込んで来たブランフェザーがディスパイダーガジェットをも突き飛ばす中、ブランフェザーの背中に乗っていたファムサバイブとフェイトの2人が飛び降り、ライアサバイブ達の前に着地する。

 

「フェイトちゃん、夏希ちゃん!!」

 

「ヤッホー、お待たせ!!」

 

「2人共、どうやってここに……」

 

「ゆりかごの壁に穴が開いていたので、そこから突入して来ました!! あと、はやてとヴィータも一緒です!!」

 

「うわぉ、ホンマに凄いスピードやなぁこの白鳥ちゃん……!!」

 

「うっぷ……速過ぎて吐きそ……うぇぇぇ……ッ!!」

 

ブランフェザーの背中には、ゆりかごに乗り込んですぐに合流したはやてとヴィータも乗っていた。はやてはブランフェザーが優雅に羽ばたく姿に興味津々だったが、ブランフェザーの飛ぶスピードが速過ぎるせいでヴィータは若干酔っており、胸部を貫かれた傷の痛みも相まって色々な意味で満身創痍だったりする。

 

「皆、急いで乗って!! ここも後少しで完全に崩落する!!」

 

「すまない、助かった……エクソダイバー、お前も頼む!!」

 

≪ADVENT≫

 

『キュルルルル……!!』

 

ブランフェザーの隣にエクソダイバーも並び、ブランフェザーの背中にはフェイト・はやて・ヴィータの3人が、エクソダイバーの背中にはなのは・ヴィヴィオ・ディエチ・雄一の4人がそれぞれ乗り込んでいく。一方、それを妨害しようとディスパイダーガジェットが口からワイヤーを伸ばす。

 

『ギシャァァァァァ……シャアッ!!』

 

「ッ……邪魔をするな!!」

 

しかし、それに気付いたファムサバイブがすかさず前に立ち、目の前に突き出したブランセイバーにワイヤーを巻きつかせる事で妨害する。そしてすぐにライアサバイブがエビルエッジでワイヤーを切り裂き、2人はディスパイダーガジェットの行く手を阻むように立ち塞がる。

 

「脱出準備、完了や!!」

 

「OK、皆は先に行って!! アタシ達はコイツ等を全部片付けてから脱出する!!」

 

「え!? でも、それだと2人が……!!」

 

「皆が先に脱出した後、すぐにこっちに呼び戻せば良い……怪我人もいるんだ、とにかく急げ!!」

 

『キシャアァァァァァ……!!』

 

『『『『『ブブブブブブ……!!』』』』』

 

一体どこから出現したのか、気付けば玉座の間にはディスパイダーガジェットを含め大量のモンスターガジェットが集まり始めていた。これ以上脱出が遅れれば全員の生存が叶わくなる。それを理解したフェイト達は、意を決した表情でライアサバイブ達に背を向けながら叫ぶ。

 

「ッ……2人共、無事を祈ります!!」

 

「それじゃあエイちゃんに白鳥ちゃん、ひとっとびお願いや!!」

 

『キュルルルルル!!』

 

『ピィィィィィィィィィィッ!!』

 

一同を乗せたエクソダイバーとブランフェザーは、強化前の状態よりも更に速いスピードで飛び立ち、玉座の間を飛び去って行く。それを妨害しようと針を飛ばすディスパイダーガジェットだったが、それもエビルバイザーツバイから発射された矢で全て撃ち落とされる。

 

「お前の相手は俺達だ……!!」

 

「皆の脱出の邪魔はさせないよ!!」

 

『ギシャアァァァァァァァァァァッ!!!』

 

ディスパイダーガジェットは狙いを変更し、ライアサバイブとファムサバイブに向かって針を連射。2人は左右に分かれて針を回避した後、それぞれの武器を構えてディスパイダーガジェットに飛びかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その数分前。なのはの砲撃で破壊されたコントロール室では……

 

 

 

 

 

「ッ……クソ……やってくれたわね、あの女ァ……!!」

 

そこではなのはの砲撃で撃破されたはずのクアットロが、満身創痍の状態でフラフラと歩き出していた。どうやらオルタナティブに変身していたおかげで、無傷とはいかずとも、気絶しない程度にはダメージを抑える事ができていたらしい。

 

「もう許さない……こうなったら全員、このゆりかごと一緒に沈めてやるわ……ッ!!」

 

思わぬ反撃を受けた逆恨みから、クアットロはキーボードを操作してゆりかごの自爆システムを起動。ここまで計画を狂わされた以上、せめて侵入者達を1人残らずゆりかごの自爆に巻き込もうと考えたようだ。

 

「これで終わりよ……何もかも全部、ゆりかごと一緒に滅びてしまえ!! アッハハハハハハハハハハ!!!」

 

クアットロは壊れたように笑いながらオルタナティブに変身し、まだ割れていなかった鏡を介してミラーワールドへと突入。ゆりかごからの逃走に成功したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヴァイスさん、来ました!! 隊長達です!!」

 

「お、来たか!!」

 

その後、ライア達が最初に突入する際に破壊した壁の穴を通じて、なのはやフェイト達を乗せたエクソダイバーとブランフェザーが脱出に成功。脱出した先でアルトとヴァイスが乗ったヘリと合流し、なのは達はすぐにヘリの中へと乗り込んでいく。

 

「そういえば、クアットロは……?」

 

「わからへん。ゆりかごのあちこちを探してみたけど、どこにも姿は見当たらへんかった」

 

「ッ……まさか、割れてない鏡を使ってミラーワールドに……!?」

 

はやて達が発見する前に、クアットロはオルタナティブに変身したままミラーワールドを介して逃走する事に成功していた。今回の事件を引き起こした犯罪者の1人を捕まえられなかった事実に、なのは達は悔しそうに拳を握り締め、クアットロによって良いようにやられたディエチも歯軋りする。

 

「過ぎた事で悔しがっていても仕方あらへん。とにかく今は、全員が無事に生き延びる事を優先するんや」

 

「ッ……悔しいけど、今はそれしかないよね……お願い!! 手塚さんと夏希さんを助けに行ってあげて!!」

 

『キュルルルル……!!』

 

『ピィィィィィィィィ……!!』

 

フェイトの願いを聞き入れたのか否か。なのは達が全員ヘリに移った事を確認した後、エクソダイバーとブランフェザーはすぐさまUターンし、ゆりかご内部へと戻って行く。その光景を見届けながら、フェイト達は手塚と夏希が無事に脱出する事を強く願い続ける。

 

(手塚さん、夏希さん……2人共、どうか無事で……!!)

 

ヘリに乗っている全員がそう祈り続ける。ヘリの外では、ゆりかごがボディのあちこちで爆発を起こし、少しずつ海へ落ちて行こうとする光景が映っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『キシャシャシャアッ!!!』

 

「「ふっ!!」」

 

ゆりかご内部。玉座の間から長い通路まで移動したライアサバイブとファムサバイブは、ディスパイダーガジェットが飛ばして来る針をかわしながら走り続けていた。既に他のモンスターガジェット達は破壊されており、残るはこのディスパイダーガジェットだけだ。

 

「お前との鬼ごっこもここまでだ……!!」

 

「粉々にしてやるよ……!!」

 

≪SWORD VENT≫

 

≪SHOOT VENT≫

 

『!?  ギシャア……ッ!!』

 

2人は同時にカードを装填し、ライアサバイブはエビルエッジから飛ばす斬撃で、ファムサバイブはブランシューターから飛ばす炎の矢でディスパイダーガジェットの足を破壊し、ディスパイダーガジェットがバランスを崩してその場に転倒する。その隙に2人はトドメを刺すべく、ファイナルベントのカードを装填する。

 

≪≪FINAL VENT≫≫

 

『キュルルルルル……!!』

 

『ピィィィィィィィィィッ!!』

 

「「……はっ!!」」

 

電子音が鳴り響いた後、なのは達を送り終えたエクソダイバーとブランフェザーが舞い戻って来た。2人はそれぞれの契約モンスターの背中に飛び乗り、それを合図にエクソダイバーとブランフェザーが同時にボディを変形させていき、バイクモードとなってディスパイダーガジェットに突っ込んで行く。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」

 

『ギッ……シャガァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!?』

 

炎の羽根が襲い掛かり、電撃で動きが止まるディスパイダーガジェット。そこに電撃を纏ったエクソダイバー、赤いマントに包まれドリル状になったブランフェザーが突っ込み、ディスパイダーガジェットのボディを跡形もなく粉砕・爆破してみせた。そして2人はバイクモードのまま通路を猛スピードで走り続ける。

 

「もう時間がない……急ごう!!」

 

「あぁ……!!」

 

『聖王のゆりかご、完全消滅まで残り10秒』

 

『9……8……7……』

 

崩落が進んでいる事が原因なのか、通路に設置されていた鏡は全て割れてしまっており、もうミラーワールドを介しての脱出はできない。2人はバイクモード状態の2体を加速させ、前方にある壁の穴まで走り続ける。

 

 

 

 

『6……5……4……』

 

 

 

 

(間に合え……!!)

 

 

 

 

『3……2……1……』

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

『0』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドガァァァァァァァァァンッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カウントが終わり、聖王のゆりかごは大爆発を引き起こした。ミッドチルダを恐怖のどん底に陥れた最凶最悪の兵器が今、爆発音と共に海へと落ちて行く。

 

「おい見ろ、ゆりかごが!!」

 

「落ちて行く……!!」

 

その光景は、ヘリに乗っているなのは達の目にも見えていた。ゆりかごだった残骸が海に沈む中、一同はまだここに戻って来ていない者達の無事を祈り続ける。

 

「手塚さん……夏希さん……ッ!!」

 

聖王のゆりかごが、完全に海へと沈む。それから少しの時間が経過した後……まず最初に気付いたのはヴィヴィオだった。

 

「あ、あれ!」

 

「「「「「!!」」」」」

 

ヴィヴィオが指差した方向に、全員の視線が向く。その先には太陽の光に照らされながら……ヘリまで飛んで来ようとしている、2つの大きな影が存在していた。

 

「あれは……!」

 

「手塚さん、夏希さん!!」

 

飛んで来た2つの影……その正体はエクソダイバーとブランフェザーだった。2体の背中に乗っているライアサバイブとファムサバイブがヘリに乗り込んだ後、2体のモンスターはすぐにヘリの窓ガラスに入り込み、ミラーワールドへと帰還していく。

 

「ふぅ、助かったぁ~!」

 

「……間一髪だったな」

 

「パパァ~!!」

 

変身を解いた手塚と夏希が座り込み、手塚の方にはヴィヴィオが笑顔で飛びついて来た。手塚はそれを両手で受け止め、ヴィヴィオの頭を優しく撫でる。

 

「おかえり、パパ!」

 

「あの時はちゃんと言えなかったな……ただいま、ヴィヴィオ」

 

「えへへ~……!」

 

頭を撫でられたヴィヴィオが嬉しそうに笑い、その様子をなのはやフェイト達が暖かい目で見守り続ける。そして手塚の隣に座り込んでいた夏希が、手塚の方にスッと拳を突き出した。

 

「やったね、海之」

 

「……あぁ」

 

手塚も同じように拳を突き出し、2人の拳がコツンとぶつかり合う。

 

 

 

 

1人では到底変えられなかったであろう運命。

 

 

 

 

それは仲間達の協力もあって、変える事ができた。

 

 

 

 

その喜びを噛み締めた手塚は、今まで誰にも見せた事がないくらい、綺麗な笑顔を浮かべてみせたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆりかごは撃沈……手塚さん達も全員生還!!」

 

「良かった、良がっだよぉ……!!」

 

「手塚、白鳥……やったな……!」

 

手塚達の帰還は、すぐに地上で戦っていた六課メンバー達にも伝わっていった。ティアナが歓喜し、スバルが嬉し涙を流し、シグナムが安堵の表情を浮かべる一方、手塚達の生還はルーテシアの耳にも伝わっていた。

 

「終わった、の……?」

 

「うん! 雄一さんも無事に助けられたって!」

 

「君のお母さんも、武装隊が無事に保護したって連絡があった! だからもう安心だよ!」

 

「……終わった……そっか……」

 

母親のメガーヌは武装隊に保護され、雄一も手塚達によって助けられた。大切な人達が無事だとわかり、ルーテシアはその場に座り込んだ後、いくつもの涙の粒を零し始める。

 

「お母さん……お兄ちゃん……良かった……本当に、良がっだぁ……ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、後に『JS事件』と呼ばれる事になる大きな戦いは幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『後始末は任せたぞ、二宮』

 

「あぁ……面倒だが、さっさと沈めてやるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その裏では既に、二宮がある目的の為に動き出そうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎StrikerS!


手塚「改めて、皆に礼を言わせて欲しい」

フェイト「何だろう、この胸の苦しみは……?」

クアットロ「誰なのよあんた!?」

オーディン『ようやくピリオドが打たれる……!』


戦わなければ生き残れない!






≪SURVIVE≫






二宮「沈めてやるよ、この俺が……!」
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