リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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第54話、更新なり。

さて……今回から次回にかけて、いよいよ【彼女】へのお“死”置きが始まります。

それではどうぞ。



第54話 無限

古代ベルカの遺産―――聖王のゆりかごが撃沈してから数日後。あれから、事件はあっという間に収束へと向かいつつあった。

 

今回のJS事件の首謀者であるジェイル・スカリエッティ、そして彼に従って動いていたナンバーズは、No.02とNo.04を除く全員が捕縛・保護される事となった。

 

捜査協力を拒否したスカリエッティ・ウーノ・トーレ・セッテの4人はそれぞれ別々の次元世界に存在する軌道拘置所に収容され、それ以外のナンバーズは罪を認めて自らの意志で捜査に協力し、それにより管理局専用の隔離施設で更生プログラムを受ける事となった。これは同じく保護されたルーテシアとアギトも同様である。

 

そんな中、管理局付属の病院では……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――手塚さん、雄一さんの様子はどうですか?」

 

「ハラオウンか」

 

奇跡的に生き延びたものの、瓦礫に押し潰された事で重傷を負ってしまった雄一。現在は病室にて、病床で点滴のチューブに繋がれたまま眠りに付いており、その様子を手塚とフェイトの2人が見ていた。病床の横に置かれている心電図は今のところ、患者の容体が安定しつつある事を示す音が鳴っている。

 

「あれから変わらないな。今もまだ、雄一が目覚める様子はない」

 

「そうですか……でも、体内に埋め込まれたレリックの魔力は封印されたんですよね?」

 

「あぁ。体内のレリックに外部から干渉する為のリングも、俺が既に破壊している。これでもう、雄一が暴走して誰かを傷つけてしまう事もない……やっと、雄一の運命を変える事ができた」

 

彼と契約していたガルドサンダー達は倒され、ブレードのカードデッキも破壊した。これでもう、雄一が戦いに関わる機会は二度と訪れないだろう。元いた世界では彼を救えずに終わってしまった手塚だが、今のこの状況には心から安堵していた。

 

「良かったですね手塚さん。雄一さんを救う事ができて」

 

「俺1人だったら、雄一を救う事はできなかっただろう。彼の運命を変える事ができたのは他でもない、仲間達の協力があったからこそだ……近い内に改めて、皆に礼を言わせて欲しい」

 

「そんな改めなくても、皆もう充分理解していると思います。誰も死なせたくないという気持ちは、全員が同じですから」

 

「いや、こればっかりは変わる事のない気持ちだ。この長い時間で、俺は皆から多くの物を与えられた……感謝してもし切れないくらいに」

 

「律儀なんですね」

 

「そういう性格な物でな……それに、感謝しているのは君だってそうだ。ハラオウン」

 

「え?」

 

「……雄一を助け出そうと思った時。俺の頭の中には、かつて君に言われた言葉が咄嗟に出て来た」

 

 

 

 

 

 

『私達は罪を犯してきた。それでも私達は立ち上がって、今も前に進む事ができているんです。1人では無理でも……支えてくれる仲間がいるから』

 

 

 

 

 

 

『運命は変わるはずだ……!! たとえ俺1人では無理だとしても……俺を支えてくれる、仲間がいるなら!!!』

 

 

 

 

 

 

「あ、それって……」

 

手塚と夏希が自身の過去を打ち明けた時。フェイトもまた、同じく自身の過去を打ち明けてから、一番最初に手塚と夏希を受け入れてくれた。その時に彼女からかけて貰った言葉は、今でも手塚の心の中に強く残っていた。

 

「あの時、君にかけて貰った言葉もあったからこそ、俺は最後まで諦めずにいられたんだ」

 

「そ、そんな大袈裟ですよ! それくらいの事でわざわざお礼までは……」

 

「君にとってはそれくらいの事でも、俺にとってはとても大きい事だ」

 

ミッドチルダにやって来てから出会った、多くの仲間達。その中で、手塚が今一番感謝しているのは……一番最初に出会ったフェイトだった。

 

「初めてこの世界に来た時、最初に俺を助けてくれたのも君だったな」

 

「はい。あれからまだ1年も経っていませんけど、今は何だか懐かしく感じますね」

 

「その後も色々な事があったな……そのたびに、いろんなところで君に助けられてきた」

 

 

 

 

フェイトと共に事件を捜査し、その過程で出会った夏希を犯罪組織から助け出した時の事。

 

 

 

 

インペラーの襲撃で傷付いた手塚の身を、フェイトが案じてくれた時の事。

 

 

 

 

ライダーバトルの真相を打ち明け、その上でフェイト達が手塚と夏希を受け入れてくれた時の事。

 

 

 

 

ヴィヴィオの親代わりとなった自分の為に、フェイトが要所要所で手助けしてくれた時の事。

 

 

 

 

雄一と敵対する事になり、揺らぎかけていた正義をフェイトが正してくれた時の事。

 

 

 

 

ライダーの戦いに身を投じている手塚と夏希の為に、2人が平穏に過ごせる時間を守りたいとフェイトが言い出した時の事。

 

 

 

 

雄一が命の危機に瀕した際、フェイトと夏希が一緒に駆けつけてくれた時の事。

 

 

 

 

思い返せば色々な事があった。そして思い返した出来事の大半で、何度もフェイトに助けて貰った。だからこそ手塚は、機動六課の仲間達の中で一番最初にフェイトに礼を言いたかった。

 

「この場で言うのも何だが、礼を言わせて欲しい……ありがとう、フェイト・T・ハラオウン」

 

「あ、ぁう……」

 

手塚から告げられた感謝の言葉。それを一番最初に、それも真正面から受け止める事になったフェイトは少しずつ顔が赤くなっていき、それに気付いた手塚が不思議そうな表情を見せる。

 

「どうした? 妙に顔が赤いが」

 

「え、あ、いや、その……な、何でもありません! どうかお気になさらず!」

 

「?」

 

首をブンブン振り、何とか心を落ち着かせようとするフェイト。しかしそんな彼女の意志とは逆に、彼女の心臓の音はバクバクと鳴り、その鼓動が少しずつ強まっていく。

 

(もぉ~この人……どうやったらそんなかっこいい事を真顔で言えちゃうんだろう……ッ!!)

 

常人なら恥ずかしがって渋るであろう言葉も、手塚は特に恥ずかしがる事なくサラリと言ってのける。自分も言いたい事は割とズバズバ言うタイプだが、手塚はそれを当たり前のように上回る。フェイトが赤くなった顔を両手で必死に隠そうとしていた時、病室の扉が開き夏希がひょこっと顔を覗かせた。

 

「あ、やっぱり今日も来てたんだ。海之にフェイ……トはどうしたの?」

 

「さぁ? 俺にはわからん」

 

「うぅ~……!!」

 

今も病床にて眠っている雄一。病室の隅っこでしゃがみ込み、赤くなった顔を必死に隠しているフェイト。椅子に座り込んだまま、そんなフェイトの様子を見て首を傾げている手塚。それらの光景を一通り見て……すぐに原因を理解した夏希は「ほほぉ?」と口元をニヤつかせた。

 

「あ、海之。ちょっと2人で話したい事があるからさ、ちょっとだけ付き合ってよ」

 

「? あぁ、わかった。ハラオウン、雄一の事を看ていて貰えるか?」

 

「へ? あ、は、はい! わかりました! お気を付けて!」

 

「この病院で一体何に気を付ければ良いんだ……まぁ良い、取り敢えず言って来る」

 

夏希に連れられ、手塚が病室から出て行く。そして病室の扉が閉まった後……フェイトはすぐさま壁に両手をつき、ブハァと大きく息を吐いてから心を落ち着かせ始めた。

 

(あぁもう、どうしよう……さっきから全然落ち着かないよ……!)

 

ここ最近、フェイトは自分でも何かがおかしいと気付き始めていた。手塚と話をしている途中、何故か今みたいに突然心臓の鼓動が高鳴り、普段の冷静さが急激に失われていく……それは一度や二度どころの話ではない。おまけに今もまだ顔は赤くなったままで、なかなか落ち着けそうにない。

 

(心臓がバクバクしてる……何だろう、この胸の苦しみは……?)

 

ここで、かつて兄のクロノに言われた言葉が脳裏に思い浮かんだ。それはカリムの予言を聞きに行った際、彼が手塚に対して告げていた言葉だ。

 

 

 

 

 

 

『君の事を話す時、フェイトが笑顔だったのもわかる気がするよ』

 

 

 

 

 

 

(……もしかして)

 

あの時は、そんな感情を抱いていたつもりはなかった。しかし今は違う。顔が赤くなり、心臓の鼓動が高鳴っている今だからこそ、フェイトは自覚させられる事となった……自分の心の中で、手塚に対して少しずつ抱き始めていた感情を。

 

「もしかして……私、手塚さんの事が……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで? フェイトとは一体何を話してたのさ?」

 

「……急にどうしたんだ」

 

一方、夏希に連れ出された手塚は病棟内に設置されている自動販売機の前に立ち、雄一の事を看ているフェイトの分も合わせて3本分の缶コーヒーを購入していた。夏希がカシュッとプルタブの音を鳴らし、コーヒーを喉奥に流し込んでから手塚に問いかける。

 

「別に大した話じゃない。今まで世話になった件で、ハラオウンに礼を言ったまでの事だ」

 

「な~んだ、つまらないの。もっと面白い話でもしてるのかと思った」

 

「そんな事に期待されても困る……それより夏希。お前こそ大丈夫なのか?」

 

「ん? あぁ、顔の傷なら大丈夫だって。もう少ししたら包帯も外せるってシャマル先生も言ってたし」

 

「そっちの話ではない……聞いたぞ、浅倉の事を」

 

「……あぁ、そっちか」

 

手塚も既に、浅倉が辿った末路についてフェイトから聞かされている。その事を告げられ、夏希の表情から笑顔が消える。

 

「浅倉の事、憎んでないと言えば嘘になるよ。お姉ちゃんの仇だもん。だから命を奪うんじゃなくて、生きたまま報いを与えてやるつもりだったんだ。奴が今まで傷つけて来た人達の分まで……でも、アタシには無理だった。死ぬ最期まで、奴の心は怪物(モンスター)のままだった」

 

「……大丈夫なのか?」

 

「うん、アタシは大丈夫……それより、クアットロとか言う奴がまだ逃げてる最中なんでしょ? 今はそいつを捕まえる事に意識を向けなきゃ」

 

「……そうか」

 

フェイトから聞いた話の通りならば、浅倉が死に行く光景を間近で見せつけられたのはトラウマになってもおかしくないはず。それでも夏希は、何とか気持ちを切り替えて前に進もうとしている。ならばこれ以上、自分から言う事は何もないと判断し、手塚はそこで浅倉についての話を切る事にした。

 

「ところで海之」

 

「何だ」

 

「さっきの話の続きだけどさ……本当に何もなかったの? フェイトとは」

 

「……随分しつこく聞いて来るな」

 

「だって気になってしょうがないんだも~ん」

 

「言っただろう、大した話じゃないと。今まで世話になった分、ハラオウンに礼を言うのは当然の事だろう」

 

「……はぁ~」

 

やっぱり手塚は何も気付いていない。そんな結論に至った夏希は盛大に溜め息をつき、手塚は突然溜め息をつかれた理由がわからなかった。

 

「何故溜め息をつく」

 

「そりゃ溜め息もつきたくなるって。ねぇ海之、本当に何も気付いてないの?」

 

「何をだ」

 

「もっとさぁ、フェイトに対して何か思う事はないの? 感謝以外の気持ちとかさ」

 

「感謝以外とはどういう意味だ」

 

「だ・か・ら! フェイトだって女の子なんだよ? その事で何か気付かない?」

 

「あぁなるほど、そっちの意味か。それならノーコメントだ」

 

「そっちの意味かって、本当に何も気付い、て……え?」

 

夏希の言葉が途切れた。彼女が予想していたのとは違う台詞が、手塚の口から出て来たからだ。

 

「……えっと、海之? ちょっともう1回言ってくれない?」

 

「聞こえなかったか? ならもう一度言うぞ……ノーコメントだ。少なくとも俺からはな」

 

手塚は小さく笑みを浮かべてから、フェイトの分も購入した缶コーヒーを持って病室に戻っていく。その後ろ姿を見ながら、夏希は呆けた表情のままその場に立ち止まっていた。

 

(え、あれ? 海之の奴……もしかして、もう気付いちゃってる……?)

 

その真意は、まだ闇の中である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、見つけた!! 夏希さん、検査をサボって何してるんですか!!」

 

「うげ、見つかった!?」

 

そしてその後、検査をサボっていた事がバレてティアナに怒られる羽目になったのはここだけの話である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の深夜……

 

 

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

「ひぃ!? ば、化け物……うわぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

『『グガァウ!!』』

 

「……ふん、これで満足でしょう?」

 

ミッドチルダ南部、とあるオフィス街。とある地下通路を通りかかった通行人の男性に、カーブミラーから飛び出したマグニレェーヴとマグニルナールが襲い掛かり、カーブミラーの中へと無理やり引き摺り込んだ。その様子を陰から見ていたクアットロは、かなり疲弊した様子で周囲をキョロキョロ見渡していた。

 

(今のところ、追手は来てないわね……クソッ!! こんなはずじゃなかったのに……!!)

 

スカリエッティ達が逮捕され、オルタナティブの開発資料は失われ、聖王のゆりかごも撃沈した。綿密に建てて来た計画が何もかも台無しになってしまい、逃亡生活を強いられる結果となってしまったクアットロは苛立った様子で壁を殴りつける。

 

「これも全部、あの機動六課のせいよ……特にあの2人だけは絶対に許さない……!!」

 

自身が手駒にしていたはずの雄一を解放した手塚。

 

砲撃魔法で自身に多大なダメージを与えたなのは。

 

クアットロは今、機動六課の中でも特にこの2人を強く恨んでいた。本来なら逆恨みも良いところなのだが、ある意味で生みの親であるスカリエッティ以上に腹黒い性格である彼女の中に、そんな認識は存在しない。クアットロからすれば、自分の思い通りにならない人間は誰だろうと邪魔でしかないのだ。

 

「今に見てなさい……いずれ強大な力を手に入れて、私は再びアンタ達の前に現れる……その時は、アンタ達が大事にしている物を全て壊してやるわ……!! あの聖王のガキも……あの役立たずも……あの裏切り者共も……何もかも全部ぶっ壊して、アンタ達を必ず、絶望の淵へと叩き落としてやる……!!」

 

何にせよ、自分はこのまま終わるつもりは毛頭ない。いずれ必ず機動六課の面々に復讐してやる。そんな強い憎悪を抱きながらも、クアットロはとにかく今の逃亡生活から脱する為の方法を考え始める。

 

しかし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ようやく見つけたぞ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな彼女にも、天罰が下ろうとしていた。

 

「―――ッ!?」

 

聞こえて来た声にクアットロが振り返った直後、カーブミラーに映り込んでいたオーディンが左手をかざす。すると金色の羽根が舞い上がると同時に、クアットロがいた場所の景色が一瞬で別の物へと変化した。

 

「な……ここは……!?」

 

『ナンバーズのクアットロだな』

 

先程まで地下通路にいたクアットロは、いつの間にか森林内部の湖付近にまで移動していた。大きな湖の水面に満月が映り込む中、彼女ごと一緒に転移したオーディンは腕を組んだまま立ち塞がる。

 

「仮面ライダー……!? まさか、他にもいたなんて……!!」

 

『今回、私達はお前に用があってここに来た』

 

「何……ッ!?」

 

クアットロが身を翻した直後、彼女の足元に水のエネルギー弾が数発ほど着弾。彼女が振り返った先には、岩の上に立ってアビスバイザーを向けて来ているアビスの姿があった。

 

「もう1人……!? 今まで目撃されていないライダーが、何で2人も……」

 

「よぉ、初めましてだな。俺もお前に用があってここに来たんだ……用件は、何となくでもわかるだろう?」

 

『今回の事件……お前の死を以てして、ようやくピリオドが打たれる……!』

 

「……チィッ!! 行きなさい!!」

 

『『グラァウッ!!』』

 

「おっと」

 

湖の水面から飛び出したマグニレェーヴとマグニルナールが突撃し、アビスがそれをかわしている隙にクアットロはカードデッキを水面に突き出し、出現したベルトにすぐさまカードデッキを装填。オルタナティブの姿に変身して水面からミラーワールドに突入した後、追いかけて来たアビスを迎え撃つ。

 

「誰なのよあんた!? それにもう1人の方も……何故この私を狙う!?」

 

「俺か? モンスターが発生し始めた1年ほど前からずっと、このミッドチルダで活動していたライダーさ。お前等は何も気付いていなかったようだがな」

 

「1年前から……!? 馬鹿な、あり得ない……だって、そんな目撃情報は今まで一度も……」

 

「考え事をしているところ悪いが、俺がお前を狙う理由を教えてやろう」

 

≪SWORD VENT≫

 

アビスは召喚したアビスセイバーを右手でキャッチし、その刃先をオルタナティブに向ける。

 

「簡潔に述べると……お前が用済みとなったからだ」

 

「……何ですって? 言ってる意味がわからないわ」

 

「わからないか? ならもっとわかりやすく教えてやる……お前等はずっと、俺達の掌の上で踊らされていたって事だよ」

 

「人を馬鹿にするのもいい加減にしてくれないかしら!!」

 

【SWORD VENT】

 

飛来したマグニブレードをキャッチしたオルタナティブが跳躍し、アビスに斬りかかるもアビスセイバーで受け止められる。

 

「お前等も馬鹿だよなぁ。俺達が裏で動いている事に全く気付かないまま、あんなデカい玩具を使って呑気に遊んでいたんだからな」

 

「どういう意味かしら……!!」

 

「もっと詳しく教えてやっても良いが……あんまり話す時間もないんでな。本音を言うと、さっさとお前を始末して帰りたい」

 

「ふざけてんじゃないわよ!!」

 

マグニブレードがアビスセイバーを弾き返し、オルタナティブが連続で斬りかかる。しかしアビスはそれを的確に回避しながら後退し、跳躍して大きく距離を離す。

 

「ふざけるなも何も、こっちは至って真面目なんだが」

 

「だとしても、あんたなんかに……お前なんかに殺される私じゃないわ!! 妙な力を使っていた手塚海之ならともかく、あの力を持たないお前じゃこの私は倒せない!!」

 

実際、オルタナティブが持つスペックは非常に高い。少なくとも、並のライダー相手に遅れを取るほどその性能は弱くないのだ。それ故、クアットロはこの時点ではまだ内心いくらか余裕はあった。

 

「……あぁそうかい」

 

 

 

 

 

 

アビスが、あのカード(・・・・・)を見せるまでは。

 

 

 

 

 

 

「なら、使わせて貰うとしようか」

 

「……?」

 

アビスセイバーを放り捨てたアビスは、カードデッキから1枚のカードを引き抜いた。その裏返したカードの絵柄を見て……オルタナティブは表情が一気に青ざめ始めた。

 

「そ、そんな……どうして……」

 

何故ならそのカードには……

 

「どうして……どうして、お前がそのカードを持っているッ!!?」

 

手塚が使っていた物を思い出させる……【金色の不死鳥】が描かれていたのだから。

 

「……さて」

 

アビスが左腕のアビスバイザーを正面に突き出すと、アビスバイザーが水流に包まれ、その形状が鮫の顔を模したハンドガン状の召喚機―――“鮫召砲(こうしょうほう)アビスバイザーツバイ”へと変化する。そのアビスバイザーツバイの口の部分が大きく開いた後、アビスは右手に持っていた【金色の不死鳥】が描かれたカード―――“サバイブ・無限”を開いた口の下顎部分にゆっくり挿し込み、そのまま食べさせるように下顎を閉じて装填する。

 

≪SURVIVE≫

 

鳴り響く電子音。それと共に近くの湖の水が巻き上げられ、アビスの全身を包み込んでいく。オルタナティブが動揺して上手くアクションを取れない中、アビスを包み込んだ水球が光り出し、風船のように弾ける事でアビスの新たな姿を露わにさせる。

 

「あ、あぁ……そんな……ッ!!」

 

 

 

 

 

 

形状が変化し、金色のラインが追加された仮面。

 

 

 

 

 

 

鮫の頭部、鮫の牙を模した両肩の装甲。

 

 

 

 

 

 

青や水色が混ざっていたのが、黒一色に統一されたアンダースーツ。

 

 

 

 

 

 

胸部装甲に大きく刻み込まれた、アビスの金色のエンブレム。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サバイブ・無限の力を手にした彼は、無限を司る深淵の騎士―――“仮面ライダーアビスサバイブ”への強化変身を果たしてみせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「安心しろ。そう時間はかけない」

 

「ひぃ……!?」

 

ゆりかごでサバイブの力を垣間見ているオルタナティブが、恐怖のあまり尻餅をつく。そんな彼女の恐怖心になど微塵の興味も示さないアビスサバイブは、左手に構えたアビスバイザーツバイを高く上げ、その先端からアーミーナイフ状の刀身―――“アビスカリバー”を展開させる。

 

「沈めてやるよ、この俺が……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今から始まるのは戦闘ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

深海の狩人による、一方的な蹂躙である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




リリカル龍騎StrikerS!


クアットロ「い、いやだ、死にたくない……ッ!!」

ドゥーエ「憎いと思ってるはずなのに……どうして……!!」

オーディン『答えは決まったようだな……』

二宮「今、楽に沈めてやる」


戦わなければ生き残れない!




≪STRANGE VENT≫



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