リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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待 た せ た な

……いや本当、お待たせして申し訳ない。自分がやりたいと思っている展開に繋げる為の文章が上手く思いつかず、結局かなり強引な展開で持っていくしかありませんでした。

一応、次回の分も執筆は何とか続いているので、次回の話はあまり日にちを開けずに更新できそう……な気がします。
気がするだけです、あまり当てにしないように←






そういえば、仮面ライダージオウのPVが本格的に公開され始めましたね。
ビルドからは戦兎と龍我、エグゼイドからは永夢と飛彩の登場が確定していて、今の段階で作者はwktkが止まりません。

そんな呟きはさておき、本編をどうぞ。



エピソード・ファム 5

高校生―――成瀬章(なるせあきら)は虐められっ子だった。

 

 

 

 

クラスでは仲の良い友達もおらず、彼は常に1人だった。

 

 

 

 

そこを不良達に付け込まれ、彼はカツアゲされ、暴力を振るわれ、パシリとして扱われる事がしょっちゅうだった。

 

 

 

 

彼は己の弱さを恨んだ。

 

 

 

 

自分に力さえあれば、アイツ等に復讐できるのに。

 

 

 

 

そう思った時……彼の前に、あの男が姿を現した。

 

 

 

 

『このデッキを手にした時、お前は全てを見返す力を得られるだろう……戦え』

 

 

 

 

その男―――神崎士郎から与えられたカードデッキを使い、彼は偶然遭遇したスコングナックラーと契約し、仮面ライダーアスターとなった。

 

 

 

 

彼は歓喜した。

 

 

 

 

これでようやく、自分を虐げて来た奴等に復讐する事ができるのだと。

 

 

 

 

そこからの彼の行動は早かった。

 

 

 

 

まず、自分を虐めて来た不良達はスコングナックラーに捕食させた。

 

 

 

 

それだけでは飽き足らず、彼はアスターに変身して街の不良達を片っ端から襲撃し、暴力で無理やり自分に従わせてきた。

 

 

 

 

従う意志を見せた者は快く受け入れ、従おうとしなかった者は例外なくスコングナックラーの餌食にしてきた。

 

 

 

 

野生のモンスターを倒していく事で、ライダーとしての戦い方も知った。

 

 

 

 

そうしてライダーの力を振るっていく内に、彼は従えさせた不良達を束ね、1つの勢力として築き上げていた。

 

 

 

 

皆が自分の言う事を聞いてくれる。

 

 

 

 

こんな力を前に、自分に逆らう者なんていない。

 

 

 

 

誰も自分には勝てない。

 

 

 

 

自分こそが最強なんだ。

 

 

 

 

そう思い上がっていた彼の計算は、ある男達によって狂わされる事となる。

 

 

 

 

1人は北岡秀一……またの名を、仮面ライダーゾルダ。

 

 

 

 

銃火器を駆使したゾルダの火力が圧倒的だった事、ライダーとの戦闘はこれが初めてだった事もあり、アスターは成す術なく追い詰められた。

 

 

 

 

『ま、待て!? 飛び道具なんて卑怯だぞ!!』

 

 

 

 

『はぁ? お前、戦いに正々堂々なんて言葉が通じると思う? 馬鹿馬鹿しい』

 

 

 

 

卑怯なんて言葉もゾルダには一蹴され、敗北した彼は撤退を余儀なくされた。

 

 

 

 

その事で彼は焦った。

 

 

 

 

実力ではとても他のライダーに敵わない。

 

 

 

 

このままではいずれ他のライダーに殺されて死ぬ。

 

 

 

 

そう考えた彼は、他のライダーを変身する前に(・・・・・・)始末しようと考え始めた。

 

 

 

 

ライダーの変身者が生身でいるところを不良達に襲わせ、奪い取ったカードデッキを破壊し契約破棄に追い込む。

 

 

 

 

その作戦は一度成功し、彼はライダーを1人排除する事に成功した。

 

 

 

 

これならいける。

 

 

 

 

そう思い込んだ彼は、次のターゲットに狙いを定め、同じ作戦を実行しようとした……が、それが彼にとっての命取りとなった。

 

 

 

 

彼が狙いを定めたその男は、彼のような弱者が決して挑んではいけない“怪物”だったのだ。

 

 

 

 

浅倉威……またの名を、仮面ライダー王蛇。

 

 

 

 

その男こそ、彼の計算を狂わせたもう1人の男だった。

 

 

 

 

ライダーの力がなくとも凶暴だった浅倉は、襲い掛かって来た不良達を返り討ちにしてしまい、逆に不良達からアスターの存在を聞き出した。

 

 

 

 

それにより浅倉に付け狙われる羽目になってしまった彼は、自分が今まで従えてきた戦力を全て失う事となり、ミラーワールドでの戦いにおいても王蛇を相手に防戦一方だった。

 

 

 

 

『つまらん、歯応えがなさ過ぎる……』

 

 

 

 

『い、いやだ!! 助けてくれ……ッ!!』

 

 

 

 

『もう良い……消えろ』

 

 

 

 

≪FINAL VENT≫

 

 

 

 

そして彼は、王蛇が繰り出したベノクラッシュによって葬られ、呆気なく死亡してしまった。

 

 

 

 

“無理強いをされる側”から“無理強いをする側”に回った彼は、同じ作戦で行けると思い調子に乗ってしまった。

 

 

 

 

その結果、彼は“無理強いを物ともしない怪物”に敗北し、破滅へと追いやられてしまったのである。

 

 

 

 

しかし、死んだはずの彼は再び目覚めた。

 

 

 

 

目覚めた彼を待っていたのは、地球とは異なり魔法の文化が発達した世界だった。

 

 

 

 

彼の手元には、アスターのカードデッキが残っていた。

 

 

 

 

ここがどんな世界なのか?

 

 

 

 

自分の他にもライダーがいるのか?

 

 

 

 

それらの疑問を解決する為に、彼は生前と同じ行動を取り始めた。

 

 

 

 

アスターに変身した彼は、たまたま見つけた不良達を1人残らず暴力で薙ぎ倒し、自身の配下として無理やり従わせる事にした。

 

 

 

 

従わない者はスコングナックラーの餌食となり、不良達への見せしめに利用した。

 

 

 

 

こうして彼は、生前と同じように1つの勢力を築き上げ、不良達を使って今いる世界―――ミッドチルダに関連する情報を搔き集めていった。

 

 

 

 

その集めた情報を介して、彼は知った。

 

 

 

 

この世界にも、自分と同じライダーがやって来ている事を。

 

 

 

 

自分を殺した浅倉らしき人物も、この世界で目撃されている事を。

 

 

 

 

その浅倉が、今は死亡が確認されているという事を。

 

 

 

 

それを知った時、彼は再び歓喜した。

 

 

 

 

これでもう、自分にとって脅威となる存在はいない。

 

 

 

 

後は他に存在するライダーを1人残らず潰してしまえば、今度こそ自分の平穏は保たれる。

 

 

 

 

彼はそう思っていた……しかし、彼の計算は再び狂い始める。

 

 

 

 

ミラーワールドで遭遇した、女性の白いライダー。

 

 

 

 

彼女を始末しようとした時、別の赤紫色のライダーにそれを妨害されてしまった。

 

 

 

 

自分が使用する武器を、そのライダーは自分よりも上手く活用してみせた。

 

 

 

 

その事実は彼に屈辱を与え、同時に彼を大いに焦らせた。

 

 

 

 

『ふざけるな、僕はもう死にたくないんだ……僕以外のライダーなんて皆邪魔なんだよ……!!』

 

 

 

 

その焦りから、彼は生前に行っていた作戦を再び実行し、あの2人を始末しようと目論み始める。

 

 

 

 

彼はこう思っていた。

 

 

 

 

自分以外のライダーがいる限り、自分に平穏は訪れないのだと。

 

 

 

 

平穏を手にする為には、自分以外のライダーを潰すしかないのだと。

 

 

 

 

しかし、彼は気付いていなかった……というより、歪みに歪んでいた彼は気付きようがなかった。

 

 

 

 

そのような思考であり続ける限り、彼に本当の平穏は訪れない。

 

 

 

 

自分が変わらない限り、彼の運命が変わる事は決してないという事に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――さん、アキラさん!」

 

時刻は夜。

 

「アキラさん、起きて下さい!」

 

「ん、う~ん……」

 

荒廃都市区画、とある廃ビル。スカリエッティ一味と機動六課の戦いが終わってなお、未だ整備されず放置されたままになっているこの地では今、アスターの変身者である少年―――成瀬章が主導となってある作戦が実行されようとしていた。

 

「ふぁぁ……なんだ、マイキーか。どう? 何か進展あった?」

 

「は、はい! 例の写真の娘を確保しました。これで作戦を実行に移せます!」

 

「……ん、オッケー。よくやったよ」

 

廃ビルの中、ボロボロなベッドの上で昼寝をしていた成瀬は、手下かつ不良の1人であるマイキーからの報告を受けた後、上機嫌な様子でベッドから起き上がり、マイキーを連れて下の階へと降りて行く。2人が降りて行った先の部屋の扉を開けた先には……

 

「やぁ、お嬢さん。突然連れて来たりしてごめんね?」

 

「……ッ!!」

 

縄で両腕と両足を縛られ、猿轡をされているラグナの姿があった。彼女の周囲で他の不良達がニヤニヤ下卑た笑みを浮かべている中、ラグナはそれに臆する事なく、不良達を従えている張本人である成瀬を睨みつける。

 

「彼女で間違いないの?」

 

「う、うす。例の女と仲良く買い物をしている光景を見た奴もいるんで、間違いないっす」

 

「そっか。皆ご苦労さん」

 

「「「「「あざっす!!」」」」」

 

不良達が声を揃えて返事を返す中、それに満足した成瀬は不良達に指先で合図を出す。それを見た不良達はラグナの口元を封じていた猿轡を下にズラし、それにより喋れるようになったラグナは成瀬を強く睨む事をやめないまま低い声で問いかけた。

 

「……私をどうするつもりですか? 犯罪ですよね、これ……!」

 

「うん、ちょっとだけ君を餌に使おうと思ってさ。大丈夫、用が終わった後はすぐに君を解放してあげるよ」

 

「……ここの人達の会話から、あなたがやろうとしてる事は大体わかってます。こんな事して……あなたに一体何の得があるんですか!」

 

「ふぅん、得ねぇ……邪魔な存在を排除できる事かな」

 

「……!?」

 

何も悪びれる事なく言い切った成瀬は、近くの木箱に座り込む。

 

「彼等の話を聞いたって事は、もうわかってるんでしょう? 僕がライダーだって事は。僕がこの世界で平穏に暮らす為にはさ、他のライダーが邪魔な訳。だから潰そうと思ってるんだ」

 

「な、何を言って……!?」

 

「その為に、そのライダーと親しい関係にある君を利用させて貰う事にしたんだ。君が誘拐されたと知れば、君と仲の良い彼女だって見捨てる訳にはいかないでしょ?」

 

成瀬が言いたい事はこうだ。自身の邪魔になるライダーを排除したい。しかし排除しようにも、相手側には技量面において自身を遥かに上回っている人物がいる。真正面から挑んでも勝てないだろうと判断した彼は、人質を使う事でライダー達を誘導し、人質と引き換えにそのライダーが持つカードデッキを破壊する魂胆だ。そうすれば自身が戦わずとも、相手を契約破棄で死に追いやる事ができるのだから。

 

「ちなみに何で君を誘拐したのかと言うと、君があの白いライダーの女と仲良くやってるところを実際に目撃した奴がいるから。おまけにそいつ、昔その女に財布を盗られたって話だからさ。その女の事はよく覚えてたみたいなんだよねぇ」

 

「ッ……夏希さんが……?」

 

「へぇ? 夏希って言うんだ、その女……まぁとにかく、その夏希って人を誘き寄せた後は、彼女のカードデッキと引き換えに君を解放してあげるよ。たぶん君の家族や友人から色々聞かれるだろうけど……その時は『公園のベンチでお昼寝してたら遅くなってしまった』的な事でも言えば良いんじゃないかな?」

 

「……どうして」

 

「ん?」

 

「どうして……そんな酷い事ができるんですか……同じ人間なのに、どうして……!!」

 

「……ぷ、くははははははははははははははは!!」

 

睨みつけながら問い詰めて来たラグナ。彼女の投げかけて来た疑問に、成瀬は高笑いし始めた。

 

「何故かだって? 答えは簡単さ……同じ人間だから(・・・・・・・)だよ」

 

成瀬は木箱から立ち上がり、ラグナの方へと歩み寄って行く。ラグナはそんな彼から遠ざかろうとしたが、手足が縛られている事、不良達が彼女を取り押さえていた事もあってそれは叶わない。

 

「人間ってのはさぁ、何が何でも優劣を付けなきゃ気が済まないんだよ。1人か2人……自分より立場の弱い人間を見つけては力で無理やり従わせる。虐げる側か、虐げられる側か……僕は虐げる側に回った」

 

「だからって、人を殺すような真似を……!!」

 

「口では何とでも言える。むしろ人間ってのは、表面上は正しくなければいけない……けど、そんな事を口にする人間に限って、大抵は虐げる側に回りたいのが本音なんだよ」

 

成瀬はラグナの前でしゃがみ込み、彼女の顎を手で持ち上げる。もちろん、ラグナの成瀬を睨む目付きは全く変わらない。

 

「それにだ。君と仲の良い夏希って人も、他人から財布を盗むような悪い事をしてるじゃないか。結局、人間ってのはそういう物なのさ。自分の為になら何だってする……ライダーも同じだよ」

 

「……違う」

 

「ん?」

 

成瀬が唱えた性悪説。それに対し、ラグナは小さい声だがハッキリと否定してみせた。

 

「人間は……ライダーは、そんな最低な人ばかりじゃない」

 

「……へぇ、言うじゃないか。君がライダーの一体何を知ってるのかな?」

 

「……少なくとも、あなたよりは知っている……最低なライダーだっているかもしれない……それでも、誰かの為に戦う人達がいる……誰かの為に、自らを犠牲にする人だっていた……!」

 

彼女の脳裏に浮かぶのは、成瀬と同じく高校生でありながらライダーとして戦っていた少年の姿。彼は己を犠牲にしてでも、ある兄妹(・・・・)の為に戦い続けようとした。そんな強い覚悟を、彼女は知っていた。

 

あの人(・・・)は、こんな事しない……あなたなんかとは違う……!!」

 

ラグナの目は震える事なく、まっすぐな目で成瀬を睨み続ける。そんな彼女の自身を恐れようとしない態度を見せつけられたからか……成瀬の表情からも笑みが消えていく。

 

「……ふぅん」

 

 

 

 

バキィッ!!

 

 

 

 

「ッ……」

 

成瀬の振るった裏拳が、ラグナの頬を強く殴りつけた。殴られたラグナが倒れ伏すのには目も暮れず、成瀬は彼女の傍に置いてあるバッグから通信端末を取り出した。

 

「まぁ良いや。どうせ今からやる事は変わらないし……それじゃあ皆、配置に付いてね」

 

「「「「「ういっす!!」」」」」

 

不良達が部屋から出て行く中、成瀬はラグナの通信端末に電源を入れ、端末内の通信番号を確認する。

 

「へぇ、お兄さんでもいるのかな? 凄い量のメールが来てるねぇ……取り敢えず、この夏希って人にメールでも送るとしよっか」

 

(ッ……駄目です、夏希さん……ここに来ちゃ駄目……!!)

 

夏希をこの場に誘導するべく、成瀬は夏希の通信端末にメールを送るべく通信端末を操作する。その間、ラグナは殴られた頬のヒリヒリする痛みに耐えながら、夏希がこの場に来ない事を無言で祈る事しかできなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ふぅん。これから何をするのかと思えば、つまらない事をし始めたわね」

 

そんな成瀬達の様子は、少し離れた位置の廃ビルから双眼鏡で覗き見ているドゥーエに筒抜けだった。いつもの青いボディスーツの上から黒いマントで身を包んでいる彼女は、成瀬達がこれからやろうとしている事に呆れた表情を浮かべている。

 

(あのガキについては一応、鋭介から一任されてる訳だけど……今はまだ、手塚海之と霧島美穂に死なれるとこっちが困るのよねぇ)

 

成瀬の処遇をどうするべきかは、二宮から一任されている。つまり成瀬が死のうが生きようが、二宮の計画には何の支障もないという事。いざという時は、自身が上手くやって成瀬を始末すれば良いだけの話である。

 

(まぁ、もしもの可能性もある訳だし……現状だけでもメールで伝えておきましょうか)

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

『シュルルルルル……』

 

そう考えたドゥーエは、取り出した通信端末を操作し、二宮にメールを送って現状報告を行う事にした。そんな彼女のすぐ近くの窓ガラスに、爬虫類のようなモンスターの姿が一瞬だけ映り込み、そしてすぐにその姿が消えて映らなくなるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分後……

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ……ティアナ、そっちはどう!?」

 

『駄目です、こっちは何も……!!』

 

「くそっ……どこに行ったんだよ、ラグナちゃん……!!」

 

夏希達の方も、現在かなり慌ただしい状況となっていた。通信端末でティアナと連絡を取り合いながら、夏希は街中を必死に走り続けている。

 

事の始まりは、ヴァイスから夏希とティアナに送られて来た1通のメールからだった。

 

『ラグナと連絡が付かない。お前達のところに来てないか?』

 

当然、夏希とティアナのところにラグナは来ていない。その時点で、2人はラグナの身に何かあったのかもしれないと即座に判断し、他の面々にもメールを介して今の状況を伝えて回った。その報せはすぐさま機動六課時代の仲間達にも伝わっていき、事の深刻さを理解した一同は手分けしてラグナの捜索に動き出した。

 

(くそ、一体どこに……)

 

『~♪』

 

「!」

 

ラグナを探して走り回る中、夏希の通信端末から再び着メロが流れ始める。誰だろうかと端末を操作すると、メールの送り主はラグナからだった。

 

「! ラグナちゃ……ッ!?」

 

一瞬だけ安堵する夏希だったが、開いたメールの内容を見て愕然とした。そこには手足を縛られて動けないラグナの姿が写真として写っており、同時に短い文章も打ち込まれている。

 

『昨日は仕留め損なっちゃったね 彼女を助けたいなら、これから迎えに行くから君1人で付いて来なよ 他の誰かに知らせた場合、彼女の命はないよ』

 

「ッ……!!」

 

それだけで夏希は理解した。先日戦ったアスターの仕業なのだと。彼が自分を誘き寄せる為だけに、ラグナを巻き添えにしたのだと。

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

それから間もなく、夏希の耳に金切り音も聞こえて来る。夏希は周囲を見渡し、とあるビルのガラスに映り込んでいるアスターの姿を発見した。

 

『フフフ……』

 

「アイツ……!!」

 

アスターは指で挑発するような仕草をした後、その場から一瞬で跳躍。夏希は強く歯軋りしてから、すぐにカードデッキをガラスに突きつける。メールにも書かれていた以上、下手に他の皆に知らせていられる余裕は今の彼女にはなかった。

 

「変身!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たね……フンッ!!」

 

「うわっ!? く……!!」

 

そしてライドシューターに乗り込み、ミラーワールドへとやって来たファム。そんな彼女に、アスターのスコングランチャーによる砲弾が容赦なく襲い掛かった。ギリギリ砲弾を回避したファムはライドシューターから降り、建物の屋上でスコングランチャーを構えているアスターにブランバイザーを突きつける。

 

「お前、何のつもりだ!! 何でラグナちゃんの事まで巻き込んで……!!」

 

「それを知りたいなら、僕に付いて来なよ」

 

「待てっ!!」

 

≪ADVENT≫

 

『ピィィィィィィィィィッ!!』

 

そう言ってアスターがスコングランチャーを取り外した後、彼を肩に乗せたスコングナックラーがビルからビルへと素早く飛び移って行く。その後を追うようにファムもブランウイングを召喚し、その背中に乗り込んで空高く飛翔する。

 

(許さない……ラグナちゃんまで巻き込んだアイツは絶対に……!!)

 

「ククク……」

 

後ろからファムを乗せたブランウイングが追いかけて来ているにも関わらず、スコングナックラーの肩に乗り込んでいるアスターは、そんな彼女を見て余裕そうに笑ってみせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな2人が過ぎ去って行く光景を、ビルの真下から見上げている人物がいた。

 

その人物は何かを感じ取ったのか、2人が去って行った方角へと歩みを進めて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――待て!!」

 

「おっと」

 

そして荒廃都市区画。ここまでやって来たアスターは、廃ビルの窓ガラスを介して現実世界に帰還し、それに続くようにファムも現実世界へと帰還する。そのまま引き続きアスターを追いかけようとする彼女だったが……

 

「そこまでだよ」

 

「ッ!?」

 

追いかけた先で見た光景を見て、その足をピタリと止めてしまった。歩みを止めたファムの前に、手足を縛られたまま不良達に取り押さえられているラグナの姿があったからだ。再び猿轡をされたのか、ラグナは何かを話したくても喋る事ができない。

 

「お前……!!」

 

「彼女を傷つけられたくなかったら……わかってるよね?」

 

「んん!? ん~……ッ!!」

 

ラグナが必死に首を振って訴えるも、アスターが彼女の頭を押さえながらファムに言い放つ。それを目の前で見せつけられてしまった以上、ファムもそれ以上歯向かう訳にはいかず、その場でブランバイザーを手離す事しかできない。

 

「……何をすれば良い?」

 

「やる事は1つさ……変身を解きなよ。でないと……」

 

アスターは近くの小さな瓦礫を拾い上げ、それを両手でグシャリと粉砕する。彼はこう言っているのだ。従わなければ人質もこうなるぞ……と。

 

「……くっ」

 

ファムは俯きながらも、左手をカードデッキにかざし、ゆっくりとベルトから引き抜いて行く。ファムの変身が解除され、夏希は引き抜いたカードデッキをその場に放り捨て、両手を上げる事で抵抗の意志はない事を示す。

 

「オッケー、上出来だ」

 

ガァンッ!!

 

「が……!?」

 

アスターが親指を下に向けた瞬間、夏希の背後に回り込んでいた不良がパイプを構え、彼女の後頭部目掛けて勢い良く振り下ろした。後頭部に受けたその衝撃は強く、夏希は目の前が一瞬で真っ白になっていく。

 

(畜生……また、こんな目に遭う、の……か……)

 

そういえば、海之やフェイトと出会ったばかりの頃も、こんな風に後ろから不意打ちを喰らった事があったなぁ。そんな過去を脳裏に思い浮かべながら、倒れ伏した夏希は瞼を閉じて行き、その意識を飛ばしてしまうのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




本格的に動き始めた成瀬章……またの名を、仮面ライダーアスター。

かつて虐められっ子だった彼は、虐げられる側から虐げる側に回り、虐めっ子と何ら変わらない非道な性格に成り果てていました。目的の為なら彼は手段も選びません……それだけで勝ち残れるほど、ライダーバトルは決して甘くなかった訳ですが。

そんな彼の計画に巻き込まれる形になってしまったラグナ。健吾の行く末を知っている彼女からすれば、アスターのやっている事はただの小物でしかありません。だからこそ、敢えて彼女は成瀬に対して堂々と言い切ったのです。
健吾に関わったが故に、彼女も強く育ちました。

しかし、成瀬の企みはまだまだ続きます。
次回は捕まった夏希が割と酷い目に遭わされる予定。ちょっとでも胸糞悪い描写は苦手だという人は要注意です。

……尤も、そんな成瀬にも少しずつ終わりの時は近付いて来ていたり。
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