作者にとって、超個人的な名シーンは以下の通り。
①「……俺って、馬鹿?」ピンポーン♪
②「へん、誰がそんな事す……ってヒゲェェェェェェッ!?」
③≪Are you ready?≫←「駄目です!!」
これらの意味がわからない人、ぜひ映画館へ見に行きましょう。
そんな感想はさておき、今回もどうぞ。
戦闘挿入歌:Revolution
戦闘BGM:クライマックス8
ラストシーンBGM:ドラグレッダー
「はいぃ!? 夏希ちゃんがいなくなったぁ!!?」
『す、すみません、完全に油断しました……!!』
あの後。夏希が勝手に病室を抜け出した事はすぐさま他の面々にも伝わり、一同は大慌てでいなくなった夏希を探し出す事態に発展した。ヴァイスからの連絡を受けたはやてもまた、この日は休日だったにも関わらず、大急ぎで外出の準備を整えて街中を探して回る羽目になっていた。
「えぇい、もう!! ヴァイス君は他の手が空いている面子にも連絡しといてや!! こっちもシャマルと一緒に探して回る!!」
『わ、わかりやした!!』
「はやてちゃん、車はいつでも出せるわ!!」
「OK、ほな行くで!!」
ヴァイスとの通信を切った後、はやてはシャマルと共に大急ぎで車に乗り込み、捜索を開始。ギリギリでスピード違反にならない程度の速度で車を走らせる。
「あぁもう、ラグナちゃんに続いて夏希ちゃんまでいなくなるってどういう事や!! ラグナちゃんは誘拐犯達の仕業だったからしゃあないにしても……!!」
「もしかして、手塚さんが言ってた黒いライダーを探しに向かったのかも……だとしたらマズいわ……!!」
「ッ……頼むで夏希ちゃん……もう二度と、あんな事があっちゃいけないんや……!!」
はやての脳裏に浮かぶのは、かつてグランセニック兄妹を想って機動六課から姿を消した1人の少年。あれから彼は二度と戻って来なかった。そんな彼と同じ悲劇を、二度と繰り返す訳にはいかない。はやてはデバイスを介し、既に捜索を開始しているであろう他の面々にも連絡を入れる。
「フェイトちゃん、今状況はどうや!?」
『駄目、なのはと一緒に探してるけどまだ見つかってない……!! 手塚さんも、今ミラーワールドの中を必死に探してるところだよ!!』
「ッ……こういう時、魔導師ってのはホンマに無力やな……!!」
ライダーに変身できる手塚と違い、あくまで魔導師でしかない自分達はミラーワールドの中を自由に出入りする事はできず、入れたとしても時間切れで消滅してしまう。ただ必死に街中を探して回る事しかできない自分達魔導師の無力さを嘆くも、彼女はすぐに表情を切り替える。
『手塚さんも言ってた。あの黒いライダーから、物凄い殺気を感じ取れたって……あんな重傷を負った夏希さんが無理に挑んだりしたら……』
「そうなる前に見つけ出すんや!! そんでとっ捕まえた後、全員で夏希ちゃんに説教かましたる!!」
『うん……!! あの黒いライダーのせいで、既に何人もの犠牲者が出てる……もうこれ以上、誰も死なせる訳にはいかない!!』
「ッ……俺から忠告しても、結局はこうなるのか……!!」
一方、手塚達の方も大騒ぎだった。かつて機動六課時代に寮母を務めていたホームキーパーの女性―――アイナ・トライトンに要請してヴィヴィオの相手を任せた後、なのはとフェイトは車で、手塚はライアに変身してミラーワールド内をライドシューターで走り続けていた。
(生き急ぐな、夏希……いくらお前でも、その傷では無謀にも程がある……!!)
いくらサバイブの力を持っているとしても、常人ならまず動けないレベルの傷を負っているのだ。そんな状態の夏希がリュウガに挑んだところで返り討ちにされるだけ。そうなってしまう前に、彼はミラーワールド内を動いていると思われる彼女を見つけ出そうとする。
しかし、そう上手くはいかないのがライダーの戦いである。
ドガァァァァァァァァンッ!!!
「なっ……ぐあぁ!?」
突如、どこからかココナッツ状の爆弾が複数投下され、その内の1発がライドシューターに直撃した。その衝撃でライドシューターが転倒するも、地面に放り出されたライアは受け身を取って素早く起き上がり、爆弾が飛んで来た先を見上げる。
「今のは……アイツか!!」
『グゴォォォォォォォォォッ!!』
ライアが見上げたその先には、ドームの屋根からココナッツ状の爆弾を投げようとしているスコングナックラーの姿があった。契約者だった成瀬が死亡して野生に戻ったスコングナックラーは、偶然見つけたライアを標的と見なし、攻撃を仕掛けて来たのだ。
『グゴォッ!!』
「こんな時に……!!」
スコングナックラーの投げる爆弾が次々と落ちて来る中、爆撃を回避したライアはサバイブ・疾風のカードを引き抜いた。それを合図に彼の周囲を強風が吹き荒れ、飛んで来る爆弾を弾き返していく。
≪SURVIVE≫
「俺の邪魔をするな……!!」
『グゴォォォォォォォォォォンッ!!!』
エビルバイザーツバイにカードを差し込み、強化変身を遂げたライアサバイブはエビルバイザーツバイから複数の矢を連射する。それを爆弾で相殺したスコングナックラーはドームの屋根から飛び降り、ライアサバイブ目掛けて勢い良く飛びかかって行く。
≪GUARD VENT≫
「ッ……チィ!!」
「フン……ハァッ!!」
「ぐあぁ!?」
一方、リュウガと遭遇したアビスは戦闘を開始したものの、戦況はリュウガが優勢となっていた。アビスセイバーの斬撃をドラグシールドで悉く防がれ、リュウガの拳が的確にアビスの装甲を殴りつける。カウンター攻撃を受けたアビスがすぐに反撃でアビスセイバーを突き立てるも、それをドラグシールドで受け流したリュウガは彼の背中に回し蹴りを放ち、蹴りを喰らったアビスが地面を転がされる。
「ハァ、ハァ……城戸の戦闘力をコピーしてるだけの事はあるか……!!」
「ラァッ!!」
「くっ……ぜあぁ!!」
素早く起き上がったアビスはリュウガのパンチをかわし、近くの電柱を右足で蹴り折って薙ぎ倒す。もちろんそんな物で怯むリュウガではなく、倒れて来た電柱をリュウガは右手で難なく受け止める。
「そこだ……!!」
「!? クッ……」
が、そこにアビスバイザーによる水のエネルギー弾が飛来し、リュウガの顔面に正確にヒット。この攻撃には流石のリュウガも多少はダメージを受けたらしく、電柱を放り捨てたリュウガは反撃の為に次のカードを引き抜き、左腕のブラックドラグバイザーに差し込み装填する。
≪STRIKE VENT≫
『グォルルルルル……!!』
「ッ……来るか……!!」
≪UNITE VENT≫
『ギャオォォォォォォォォォンッ!!』
ドラグブラッカーの頭部を模した手甲―――“ドラグクロー”がリュウガの右手に装備され、その周囲にドラグブラッカーも飛来する。それを見たアビスも引き抜いたカードをアビスバイザーに装填し、ビルの壁を破壊して登場したアビソドンがアビスの頭上まで飛来する。
「まだだ……!!」
≪STRIKE VENT≫
「……フッ」
アビソドンだけでは、倒し切るだけの火力が足りない。そう判断したアビスはアビスクローも召喚し、右手に装備した状態で静かに構え出す。それを見たリュウガも姿勢を低くしてドラグクローを構え、ドラグブラッカーの口元からも黒い炎が噴出し始める。
「ハアァッ!!!」
『グオォォォォォォォォォンッ!!!』
「ゼアァッ!!!」
『ギャオォォォォォォォォンッ!!!』
リュウガがドラグクローを突き出すと共に、ドラグブラッカーの口から放たれる黒い火炎弾。アビスクローから放たれる水流弾と、アビソドンの突き出した両目から放たれる無数の弾丸。それらが正面から激突する事で大爆発が起こり、爆風でお互いの姿が見えなくなるが……
「―――ハァッ!!!」
「何……があぁっ!?」
爆風の中から飛び出して来たリュウガが、突き出したドラグクローでアビスを突き飛ばした。その強烈な一撃を受けたアビスはビルの壁に叩きつけられ、そこに距離を詰めて来たリュウガがアビスの首元を左手で掴み、力強く絞め上げ始める。
「ハァァァァァァ……」
「ぐぅ……コイ、ツ……ッ!!」
突きつけようとしたアビスバイザーもドラグクローで押さえつけられ、いよいよ窮地に陥ったアビス。リュウガはアビスの首を絞めながら壁に押さえつけ、そのまま彼を窒息死させようとする。
(やはり、使うしかないか……!!)
できれば隠し通しておきたい手札だったが、それで死んでしまっては元も子もない。アビスは呼吸が上手くできずに呻きながらも、右手をカードデッキに持って行き、あのカードを引き抜こうとした……その時。
≪CLEAR VENT≫
ガギィンッ!!
「―――!? グッ……」
突如、リュウガの後頭部に謎の攻撃が命中し、大きな打撃音が響き渡る。何事かと振り向こうとしたリュウガは続けて背中にまで謎の攻撃を受け、怯んだ彼は右手のドラグクローでアビスバイザーを押さえつけていた力が緩んでしまう。
「ッ……はぁ!!!」
「!? グゥゥゥゥ……ッ!!」
その隙を見逃さなかったアビスは、すぐさま解放されたアビスバイザーをリュウガの腹部に押し当て、超至近距離で水のエネルギー弾を連射。その内の1発がリュウガのカードデッキに命中する中、無理やりアビスから引き離されたリュウガは右手のドラグクローを突き出そうとするも、そのドラグクローに
『ギャオォォォォォォォォォンッ!!!』
「グゥ!?」
そこへ更にアビソドンが弾丸を連射し、リュウガの周囲で次々と爆発が起こる。両腕で自身を守るように防御姿勢を取ったリュウガは一時的にその場に立ち止まった後、すぐに動き出して爆風の中を掻い潜り、その先にいるアビスを攻撃しようとした。
「……!?」
しかし、そこにはアビスの姿が見当たらない。気付けばアビソドンも姿を消してしまっており、リュウガだけがその場に取り残される形となっていた。
「フン……ッ」
せっかく見つけたライダーをみすみす逃すものか。リュウガはアビスを探し出そうとしたが、先程の至近距離連射は流石に大きく響いたのか、攻撃を受けた腹部を右手で押さえる。そしてベルトのカードデッキもまた、ほんの僅かにだが罅が生えてしまっていた。
(……まだだ……)
ライダー1人を倒すのに時間をかける訳にはいかない。リュウガはどこかに逃げ去ったアビスを探し出そうと歩みを進めようとしたが……前方からやって来た存在を見て、その歩みもすぐに止まった。
「やっと見つけたぞ」
かつて元いた世界で、自身が一方的に追い詰めた存在。
トドメを刺そうとしたが、本物の自分に妨害され仕留め損なった存在。
「真司……いや、もう1人の真司。仮面ライダーリュウガ」
白鳥夏希……仮面ライダーファム。
かつてリュウガに手も足も出なかった女戦士は今、カードデッキから引き抜いた1枚のカードを裏返し、激しく燃え盛る絵柄をリュウガに見せつける。
「お前に痛めつけられた時の事、今でも思い出すよ……」
「……!」
燃え盛る絵柄のカード―――サバイブ・烈火の力で周囲が燃え上がり、その熱気にリュウガが後退する。その一方でファムはブランバイザーを引き抜き、正面に突き出すと共にブランバイザーツバイに変化。そして差し込み口にサバイブ・烈火のカードをゆっくり差し込んでいく。
≪SURVIVE≫
「……けど、今はもうそれはどうだって良い」
ブランバイザーツバイからブランセイバーを引き抜いた瞬間、ファムの全身が炎に包まれ、ファムサバイブの姿へと変化する。それに対しリュウガも、ブラックドラグバイザーに1枚のカードを装填する。
≪SWORD VENT≫
ドラグセイバーを右手でキャッチし、リュウガが静かに構えを取る。一方でファムサバイブも、ブランセイバーとブランシールドを構えながらリュウガと対峙する。
「お前はこの世界でも、新たな犠牲者を出そうとしている……」
「……」
「けど、それはもう終わりだ……お前は今、ここでアタシが倒す」
赤き炎を司りし、純白の騎士。
黒き炎を司りし、漆黒の騎士。
対となる2人の騎士は今、かつての因縁に決着をつけようとしていた。
「―――ゴホ、ゴホッ」
「大丈夫? ゆっくり呼吸して」
現実世界のクラナガン。とあるビルの路地裏まで逃げて来たアビスは変身を解除し、二宮の姿に戻ってから座り込んで必死に呼吸を整えていた。そんな彼の傍に駆け寄っているのは、その手に
「ハァ、ハァ……またお前に助けられるとはな」
「無事で本当に良かったわ……鋭介でも敵わないなんて、本当に化け物みたいな奴ね。サバイブのカードは使わなかったの?」
「使うしかないとは思ったが……まぁ、お前が来たおかげで使わずに済んだ。後は」
二宮とドゥーエは目の前のビルを見据える。ビルの窓ガラスには、ファムサバイブとリュウガが真正面から対峙している光景が映り込む。
「ここからは選手交代だ……が、多少不安もある。ドゥーエ、万が一に備えて準備しとけ」
「えぇ、任せて頂戴」
≪BLUST VENT≫
『キュルルルルッ!!』
『グ、ゴ……ゴォォォォォ……ッ!?』
場所は変わり、巨大ドーム付近。ライアサバイブに呼び出されたエクソダイバーが両ヒレの車輪を肥大化させ、そこから発生させた強風でスコングナックラーの動きを妨害していた。そこにライアサバイブがエビルバイザーツバイを構え、複数の矢を発射しスコングナックラーに着々とダメージを蓄積させていく。
『グゴッ!? グゴォォォォォォ……グゴッ!!』
≪SHOOT VENT≫
「逃がさん……はぁっ!!」
『グゴオォォォォォッ!!?』
ダメージを受け続けたスコングナックラーは、自分が不利だと判断したのか、再びドームの屋根に登ってどこかへ逃げ出そうとする。しかしそれを逃がすライアサバイブではなく、エビルバイザーツバイから放たれた強力な電撃の矢がスコングナックラーの背中に命中し、バランスを崩したスコングナックラーが頭から地面に落下する。
「お前の相手をしている時間はない……」
≪FINAL VENT≫
『キュルルルルル……!!』
ファイナルベントのカードが装填された後、ライアサバイブがエクソダイバーの背中に飛び乗ると同時にエクソダイバーのボディがバイクモードに変形。疾走するエクソダイバーから放たれた電撃は、体勢を立て直そうとしていたスコングナックラーに命中し、その動きを完全に制止させる。
『グ、ゴ……ォ……ッ!?』
「消え失せろ……!!」
ライアサバイブを乗せたエクソダイバーは全身に強力な電流を纏わせ、加速して一気に突っ込んで行く。そのまま前方にいたスコングナックラーのボディ目掛けて突っ込み、ボディを粉砕されたスコングナックラーは大爆発を引き起こし、跡形もなく消滅してしまった。
「ッ……こうしている間にも夏希は……エクソダイバー、急ぐぞ!!」
『キュルルッ』
スコングナックラーの相手に時間を取り過ぎてしまったライアサバイブ。彼はバイクモードから通常形態に戻ったエクソダイバーの背中に立ち、エクソダイバーに乗ったままファムの行方を上空から探し始める。
(頼む、無事に見つかってくれ……!!)
そして今、とある地下通路……
「「―――ハァッ!!!」」
ファムサバイブとリュウガによる、熾烈な戦いは始まっていた。地面を破壊して地下通路まで落下した2人は、ドラグセイバーとブランセイバーによる剣戟で互いに一歩も譲らぬ激しい戦いを繰り広げ、その余波を受けた周囲の壁や地面、天井などが次々と破壊されていく。
「フン……ハァッ!!」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
それでも盾を装備している分、リュウガの斬撃を防げているファムサバイブが少しずつ押し始めていた。ドラグセイバーをブランシールドで受け止め、その隙にブランセイバーで斬りつける。ブランセイバーがブラックドラグバイザーで防がれようものなら、足でリュウガを強引に蹴り飛ばす。
「グッ……ラァ!!!」
「く……ぐぁっ!?」
しかし、それだけで一方的にやられるほどリュウガも弱くはない。正面から突き立てて来たブランセイバーをドラグセイバーの刀身で受け流し、擦れ違い様にファムサバイブの胸部装甲を斬りつけた彼は体を回転させ、その勢いを利用した斬撃でファムサバイブのブランシールドを押し退ける。
「デヤァッ!!」
「くっ……!!」
振り下ろされたドラグセイバーをブランセイバーで防ぎ、拮抗し合う2人。しかしその時、ファムサバイブの全身に猛烈な痛みが走った事で力が抜けてしまい、その隙を突いたリュウガは右足でファムサバイブを蹴りつけ、ファムサバイブが地面を転がされる。
(ッ……駄目だ……まだ耐えろ、アタシの体……!!)
「ダァッ!!」
リュウガの振るって来たドラグセイバーを前転でかわしたファムサバイブは、立ち上がる際にブランセイバーをブランシールドに収納し、1枚のカードをブランバイザーツバイの装填口に差し込んだ。
≪SHOOT VENT≫
「そこだ!!」
ブランバイザーツバイの両翼が開き、ブランシューターとなったそれを構えたファムサバイブは、その先端から数発の矢を放ち……リュウガが右手で触れようとしている左腕を正確に狙い撃った。
「ッ!? グゥ……」
狙撃されたリュウガの左腕……否、ブラックドラグバイザーは
「残念だけど、
しかしそれは、リュウガの戦法をよく知らないアスターだからこそ引っかかった戦法。既に一度その罠に嵌められた事があるファムは、自分が一瞬でもリュウガから目を離した隙に、リュウガが再びその罠を仕掛けて来るのではないかと。その可能性を常に考慮して動いていた。
「どっかの馬鹿みたいに、正面から来いよ……!!」
≪ADVENT≫
『ピィィィィィィィッ!!』
「ッ……!!」
≪ADVENT≫
『グオォォォォォォン!!』
ブランフェザーが天井を破壊して現れるのを見て、かつてと同じ戦法は通用しないと判断したリュウガは装填口を閉じてカードを装填。同じく天井を破壊して現れたドラグブラッカーがブランフェザーの右翼に噛みつき、ブランフェザーも負けじと右翼を発火させドラグブラッカーを引き剥がす。
「やぁっ!!」
「フッ……!!」
そしてファムサバイブとリュウガも、再び激しい剣戟が再開される。何度も剣で打ち合い続け、甲高い金属音が連続で響き渡る中、リュウガが下から振り上げたドラグセイバーがファムサバイブの右腕を斬りつける。それにより腕の傷口が開いたのか、ファムサバイブは仮面の下で苦悶の表情を浮かべる。
「ぐ……あぁっ!?」
そこからはリュウガが徐々に圧倒していき、何度もファムサバイブの装甲を斬りつけてから彼女の腹部を左手で殴りつけ、壁に叩きつける。リュウガとの戦いで受けたダメージに加え、成瀬達によって負わされてからまだ完治していない体中の傷のダメージもあり、ファムサバイブは少しずつ限界が近付いて来た。
(まだ、だ……まだ、倒れる訳には……!!)
「フンッ!!」
ブランセイバーを収納し、再び展開されたブランシューターから矢を連射する。しかしリュウガは飛んで来る矢をドラグセイバーで1発ずつ的確に弾き返し、至近距離まで近付くと同時にファムサバイブの左肩にドラグセイバーの刃を押しつけ、そのまま胸部にかけて斜めに勢い良く斬り裂いた。
「ハアァッ!!!」
「ぐ、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
その強烈な一撃が決め手となったのか。更なる致命傷を負ってしまったファムサバイブは背後の壁に背をつけ、今にも崩れ落ちそうな両足を踏ん張らせるのが精一杯な状況に追い込まれる。それに対し、まだいくらか余力を残しているリュウガは両足でしっかり立っており、今にも倒れそうなファムサバイブの前に立ちはだかる。
(ッ……駄目、か……体、が……もう……)
視界が揺らぎかける。口元から血が零れ出る。それでも辛うじて意識を残しているファムサバイブは、リュウガがドラグセイバーを少しずつ振り上げようとしているのが見えていた。
(やっぱり……無謀、過ぎた、かな……アタシ、なんか……じゃ……)
「……終わりか?」
赤い複眼をギラつかせながら、目の前のリュウガがそう問いかけて来る。かつて戦った時も投げかけられたその問いに対し、今のファムサバイブでは答えられるほどの余裕もなかった。
「なら……消えろ」
ドラグセイバーが頭上まで高く振り上げられる。もはや相手は虫の息だ。ファイナルベントを使うまでもない。それが目の前のファムサバイブを見たリュウガの判断だった。
(消え、る……あぁ、そっか……消える、のか……アタシ……は……)
壁に突いていたファムサバイブの右手が、下へダランと下がり……拳を握り締める。
(消える……こんな、所で……?)
「……ハアァッ!!!」
ドラグセイバーが、ファムサバイブの頭部目掛けて振り下ろされる。
(……そんなの……駄目だろ)
足の力が強まっていく。
(まだ……アタシは死ねない……)
視界が鮮明になっていく。
(決めたんだ……アタシは生きるって……)
(誰かを守る為に……戦うって……)
そして……
(皆と一緒に、前を向いて進むって!!!)
夏希の目に、再び
「―――うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
ズバアァンッ!!!
「ヌグァ……ッ!?」
ドラグセイバーが完全に振り下ろされる直前、ファムサバイブの右手はブランバイザーツバイから引き抜いたブランセイバーを大きく振り抜き、リュウガの腹部を
「ハァ……ハァ……アタシは、たくさんの仲間に救われた……今のアタシには、心から信じられる仲間がいる……アタシの帰りを、待ってくれている仲間がいる!!」
「グゥッ!?」
下から打ち上げられた事で、リュウガの右手からドラグセイバーが弾き飛ばされる。
「アタシはもう、いつまでも弱いままのアタシじゃない……もう二度と、お前なんかに負けはしない!!!」
「ガッ……ゴハァ!?」
今度はリュウガの胸部装甲が斜めに斬り裂かれ、強烈な突きを受けて吹き飛ばされる。吹き飛ばされたリュウガが激突する衝撃で石柱が破壊され、リュウガが地面を転がっていく。
「欲張りかもしれないし、傲慢なだけなのかもしれない……けど、これが今のアタシなんだ」
「お前を倒して、アタシはアタシを待ってくれている皆の所へ帰る……」
「それがアタシの……1人のライダーとして手に入れる事ができた、アタシの叶えたい願いだぁっ!!!」
≪SWORD VENT≫
「!? ヌ、グゥゥゥゥゥゥ……!!」
ブランセイバーの刀身から放たれた炎の斬撃は、両腕で受け止めようとしたリュウガを力ずくで押していく。そこへ接近したファムサバイブが、続けて放った2回目の斬撃でリュウガを真上に斬り上げた。
「でやあぁっ!!!」
「グ、ガァァァァァァァァァァァッ!!?」
流石のリュウガも2つの斬撃を纏めて防ぎ切る事はできず、打ち上げられたリュウガが天井を破壊しながら地上へと押し戻される。破壊された天井の穴を通じてファムサバイブも同じように地上へと舞い戻り、ブランセイバーをブランバイザーツバイに収納してから、地面に倒れた状態から起き上がろうとしているリュウガを見据えた。
「ハァ……ハァ……これで、最後の決着だ」
ファムサバイブの右手が、カードデッキからファイナルベントのカードを引き抜き、ブランバイザーツバイへと装填する。それを見たリュウガも膝を突いた体勢のまま、
≪FINAL VENT≫
≪FINAL VENT≫
『ピイィィィィィィィィィッ!!!』
『グオォォォォォォォォンッ!!!』
エコーのかかった電子音と、くぐもった電子音が同時に鳴り響く。その2つの電子音を合図にブランフェザーとドラグブラッカーがそれぞれの契約しているライダーの背後に飛来し、ファムサバイブは跳躍してブランフェザーの背中に飛び乗り、リュウガは両腕と両足を開いた状態でゆっくり姿勢を下げ始める。
「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ……!!」」
ファムサバイブを乗せたまま大きくUターンしたブランフェザーが、変形してバイクモードになっていく。その一方でリュウガの周囲をドラグブラッカーが飛来した後、リュウガがその場から跳躍し、ファムサバイブを乗せたブランフェザーも地上を疾走する。
『グオォォォォォォォォォンッ!!!』
ドラグブラッカーの黒い炎を纏って繰り出される必殺技―――“ドラゴンライダーキック”が発動する。
『ピィィィィィィィィィィィッ!!!』
赤い炎を纏ったブランフェザーと共に突っ込んで行く必殺技―――“ボルケーノクラッシュ”が発動する。
「ハァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」
「でやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
両者の必殺技が、正面から堂々とぶつかり合う。
そして……
ズドォォォォォォォォォンッ!!!!!
大きな爆発音が、ミラーワールドの大地を震撼させたのだった。
To be continued……
遂に始まったリュウガとの決戦。
しかし手負いのファムが万全のリュウガに挑んだところで無謀も良いところなので、それより先にまずはアビスにリュウガと戦って貰いました。アビスが先に戦った事で、リュウガに手札のカードを消費させ、(本当に多少でしかないが)ある程度のダメージを残しておく事ができたのです。
まぁ、それだけで勝てるほどリュウガも甘くはありません。当然、サバイブ持ちと言えども手負いの状態で挑めばリュウガが優勢になります。
しかし、そこはこのミッドチルダで1年近くも戦い続けてきたファムです。単純なスペックだけでなく、1人のライダーとして生き抜く覚悟、仲間達と共に歩んでいく願いを持てたからこそ、彼女は途中で力尽きる事なく戦い抜く事ができました。
いくらリュウガが強くても、所詮は真司の外見とスペックを真似ただけの鏡像。ただ力が強いだけでは、彼女の持つ信念と覚悟は打ち破れないのです。
さて、次回でいよいよエピソード・ファムも終幕です。
それまでもう少しだけお待ちを。