まさか1話で完了するとは思ってなかったファーストアラート回。最も、色々とイベントを省略してるので当然っちゃ当然なのですが。
それではどうぞ。
ちなみに最後のシーン……違和感を覚える方がいらっしゃったら、それが正解です。
仮面ライダーファム―――霧島美穂と出会い、彼女を仲間に引き入れる事ができた手塚達。
その後、機動六課では彼女の紹介も行う事になり……
「仮面ライダーファム……もとい、霧島美穂。これからよろしく。機動六課の総部隊長さん♪」
「……まさか本当にライダーを見つけて戻って来るとは思わへんかったなぁ」
部隊長室。霧島美穂の自己紹介を聞いていたはやては、まさか手塚達が本当にライダーを発見して来るとは思っていなかった為に苦笑いを隠せずにいた。一方で、ソファに座っている手塚はカップに入れられたコーヒーを飲みながら、白い布の上にコインを落として占いを続けている真っ最中だ。
「おまけに、ミッドに来てからまだ数日しか経ってないのに、気付いたら犯罪組織を1つ壊滅に追い込むのに貢献してるって……手塚さん、あなたも地味に凄い事しとるなぁ」
「たまたま美穂が連中に関わっていたからな。それに連中を捕らえたのは俺ではなくハラオウンだ」
「何言ってるのさ。アタシは海之とフェイトの2人には感謝してるんだよ? だからこうして2人に同行してここまで来た訳なんだしさ。だからモンスターが出た時以外でも、アタシに手伝える事があったら手伝うよ」
「ま、まぁそれは本当にありがたいところやけど……フェイトちゃんも言うとったように、スリを働いた件については全く無罪という訳にいかへん。モンスターと戦う時はまだ仕方ないにしても、それ以外の時はしばらく、機動六課のメンバーと行動を共にして貰うで。原則として単独行動は禁止やから、そのつもりでな」
「はーいはい、わかってまーす♪」
「はぁ……手塚さんと違って、随分軽い性格やなぁ」
はやてが溜め息をつく中、手塚はカップを机に置き、再び自分のコイン占いに意識を戻す。白い布の上を数枚のコインが転がり、目を閉じた手塚は脳裏に次に起こりうる出来事を予測できないか占い続ける。
「……マズいな」
「手塚さん、どうかしたん?」
「今日、このミッドで何かしらの事件が起こりうる。出動準備を整えた方が良いだろう」
「はい!? 何その占い!?」
「しつこく言うが、俺の占いは当たる」
「いやいやいやいや!? いくら何でも、たかが占いでそう何度も当たる訳が―――」
ビーーーー!!
ビーーーー!!
ビーーーー!!
「「……」」
はやてが大きく否定しようと瞬間、隊舎全体に鳴り響き始めた緊急アラート。はやてと美穂が絶句している中、既にそれを予測していた手塚はすぐに動き始めていた。
「う、嘘やぁん……」
「うっわぁ、本当に当たるんだ。海之の占いって……」
「何をしている? 早く出動しなきゃいけないんじゃないのか?」
「……ゴホン!! と、とにかく!! フォワード分隊、出動の時や!!」
「え、これ、私達も行った方が良いのかな……?」
「手伝える事は手伝うと、そう言ったのはお前だろう? 早く向かうぞ」
「ですよねー」
「お、手塚の旦那! それに霧島の姐さんも!」
既にフォワード分隊が乗り込んでいる移動用のヘリ。そこに駆けつけた手塚と美穂に、ヘリのパイロットである茶髪の青年が語りかけてきた。
「お前は……?」
「そういや話すのは初めてだったな。俺はヴァイス・グランセニック陸曹だ、気軽にヴァイスって呼んでくれ」
「うわぁ凄いヘリ……ていうか姐さんって何!? やめて何か恥ずかしい!」
「はは! 俺なりの呼び方って奴なんで、お気になさらず」
そこへなのはとリインが乗り込んできた。
「皆さん、お待たせしました! 全員乗ってますね?」
「高町、ハラオウンは?」
「フェイトちゃんは公安の捜査部にいるので、遅れて合流します! それじゃヴァイス君、ヘリを出して!」
「了解! 飛ばすぜ、しっかり掴まってな!!」
最後にリインとなのはが乗り込み、ヴァイスの操縦で移動ヘリがヘリポートから出陣。ヘリが飛び立つ中、ヘリの内部ではなのはからフォワードメンバー達に伝達をしていた。
「今回の任務は、山岳エリアのリニアレールから反応が見つかったレリックの回収、及びそれを付け狙うガジェットの殲滅! 既にリニアレールは乗っ取られていて、制御不能の暴走状態に陥ってる」
「! 訓練のシミュレーターに出ていた機械兵器、あれは実在する敵なのか……?」
「はいです! ここ最近、あのガジェットが突然ロストロギアを狙ってあちこちに出没するようになったんです。確認されているだけでも、現在リニアレールに30機ものガジェットが乗り込んでいるとの情報が」
「30機!? あのリニアレールの中にそんなにいるの!? え、本当に大丈夫なのこれ……?」
美穂はフォワードメンバーを見て不安そうに告げるが、それに対してなのはは落ち着いた様子で語りかける。
「新しいデバイスでぶっつけ本番になっちゃったけど、今までのように練習通りにやれば大丈夫だよ! それでも危ないと思った時は私かリイン、それから手塚さんと美穂さんでサポートするから!」
「「「はい!」」」
「ッ……は、い……」
スバル、ティアナ、エリオが大きな声で返事を返す中、キャロだけはまだ不安が残っているのか、他の3人よりも返事を返す声が少し小さかった。それに気付いたなのはと手塚が、キャロに優しく語りかける。
「大丈夫だよキャロ。私も、スバルも、ティアナも、エリオも、それに手塚さんや美穂さんも、ここにいる皆が同じ志の下で繋がっている。キャロの魔法は皆を守ってあげられる……とても優しい力だから」
「ルシエ、君は一人で戦っている訳じゃない。あの時も占いで言ったが、自分だけで解決できそうになければいつでも周りを頼れ。一人では無理でも、仲間と共になら、運命などいくらでも変えられる」
「なのはさん、手塚さん……」
その時、隣に座っていたエリオもキャロの手を握る。
「僕も一緒だから……一緒に戦おう、キャロ」
「……うん!」
(……ふぅん、結構勇気あるんだなぁ)
それにキャロが力強く答え、なのはと手塚もそれを微笑ましい目で見る。最初は不安に思っていた美穂も、エリオとキャロの様子を見て自分からとやかく突っ込まない事にした。
「なのはさん、見えてきましたぜ!」
ヴァイスが叫ぶ通り、移動ヘリが向かう先の山岳エリアでは、ガジェットドローンに乗っ取られたリニアレールが暴走していた。それを見たなのはは一足先にヘリのハッチに向かう。
「それじゃあ、先に行って来ます!」
「お気をつけて!!」
「え、ちょ、何で飛び降りて……!?」
なのはがハッチから飛び降り、それを見た美穂が慌てる中、なのはは赤い宝玉のような待機状態になっている自身のデバイス―――“レイジングハート”に触れる。
≪スタンバイレディ……≫
「行くよ……レイジングハート・エクセリオン! セットアップ!!」
≪セットアップ≫
なのはの全身が光り出し、先程まで着ていた局員の制服が消え、白と青のカラーリングが特徴的なバリアジャケットを全身に纏わせる。待機状態だったレイジングハートも杖の形状に変化する。
「スターズ1、高町なのは……行きます!」
なのははレイジングハートを手に取り、高速で飛行しながら現場に向かっていく。その光景を見ていた美穂は呆然とした様子で呟いた。
「……人間って、空も飛べるんだ」
「飛べるモンスターと契約しているのに今更だな」
手塚の冷静な突っ込みが入る中、リインがフォワードメンバーに指示を下す。
「レリックはリニアレールの重要貨物室に保管されています! スターズとライトニング、どちらかの部隊が重要貨物室に潜入してレリックを確保し、ガジェットドローンを殲滅すればミッションコンプリートです!」
「おっしガキ共、思い切って行って来い!!」
「「「「はい!!」」」」
まずはスバルとティアナがハッチに立つ。
「スターズ3、スバル・ナカジマ!」
「スターズ4、ティアナ・ランスター!」
「「行きます!!」」
≪≪セットアップ≫≫
スバルとティアナは同時に飛び降りながら、それぞれのデバイスを起動してバリアジャケットを展開。それに続いてエリオとキャロも互いの手を繋ぎながらハッチに立つ。
「ライトニング3、エリオ・モンディアル……!」
「ライトニング4、キャロ・ル・ルシエ……!」
「「行きます!!」」
≪≪セットアップ≫≫
2人は手を繋ぎながら、一緒にハッチから飛び降りていき、それぞれデバイスを機動。バリアジャケットを展開してリニアレールへ向かって行く中、リインは移動用ヘリの中に積んであった鏡を取り出した。
「手塚さん、美穂さん! 鏡はこちらに用意してあります! 準備が完了次第、地上から迫って来ているガジェットの殲滅をお願いします!」
「わかった」
「OK、任せて!」
そう言ってリインが先に飛び去って行った後、手塚と美穂はそれぞれカードデッキを鏡に向け、2人の腰にベルトが出現。2人は変身ポーズを取り、カードデッキをベルトに装填する。
「「変身!」」
手塚はライアの姿に、美穂はファムの姿に変身。その光景を見たヴァイスは興奮した様子で叫ぶ。
「うぉぉぉぉぉ!? それが仮面ライダーって奴か、めちゃくちゃカッコ良いじゃねぇか!!」
「ふふん♪ そうでしょ、そうでしょ?」
「美穂、早く行くぞ」
「あ、もう。連れないなぁ海之は……」
「旦那と姐さんも、お気をつけて!!」
ヴァイスに「カッコ良い」と言われて上機嫌になるファムだったが、ライアに引っ張られた事で渋々移動を開始。ヴァイスが応援の声を送る中、2人はハッチに立ち、カードデッキからカードを引き抜く。
「仮面ライダーライア、手塚海之」
「仮面ライダーファム、霧島美穂」
「「……出る!!」」
≪ADVENT≫
2人はカードを召喚機に装填すると同時にハッチから飛び降りる。そしてヘリの窓を通じて飛び出して来たエビルダイバーとブランウイングが飛来し、それぞれライアとファムを乗せて地上まで降り立って行く。山岳エリアの地上では、リニアレールに向かおうとしているカプセル状のガジェットが何十機も存在していた。
「うわぁ、何かいっぱいいるし……!!」
「モンスターを倒す時と同じだ。1機残らず倒すぞ」
≪SWING VENT≫
「はいはい、わかってますよっと」
≪SWORD VENT≫
2人はそれぞれ召喚した武器を手に取り、ライアとファムが跳躍すると共にエビルダイバーとブランウイングが地上にいるガジェットドローンの大軍に突っ込み、次々と破壊していく。それに少し遅れてライアとファムが着地した後、接近して来るガジェットドローンの迎撃を開始した。
「ふっはっやぁっ!!」
ファムは華麗に動きながらウイングスラッシャーでガジェットドローンを斬り裂き、斬られたガジェットドローンが爆発していく。更にはウイングスラッシャーを両手で回転させ、ガジェットドローンがレンズ部分から放出して来る熱光線を弾き返していく。
「ふん……はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
一方でライアも、エビルウィップで迫り来るガジェットを連続で攻撃した後、1機のガジェットにエビルウィップを巻きつけた。そのまま勢い良く振り回す事で、周囲にいるガジェットを巻き込むように次々と薙ぎ払い、一気に大量のガジェットを破壊してみせた。
「うわぁ、2人共強いなぁ……」
上空からガジェットを殲滅して回っていたなのはは、ライアとファムの圧倒的な戦闘力に驚いていた。そんな時、別方向からバリアジャケットを纏ったフェイトが飛んで来た。
「ごめんなのは、お待たせ!」
「もう、遅いよフェイトちゃん! それじゃ、私達も早く殲滅しようか……!」
「うん!」
なのはとフェイトはそれぞれレイジングハートとバルディッシュのカートリッジを2発使用し、魔力を一気に収束させていく。狙いは、ライアとファムがいる場所とは違う方角から向かってきているガジェットの大軍。
「エクセリオン……バスター!!」
「トライデント……スマッシャー!!」
2人の砲撃魔法が発射され、ガジェットの大軍を次々と破壊していく。ライアとファム、なのはとフェイトが順調にガジェットを破壊していく一方、リイン率いるフォワードメンバーも暴走しているリニアレールに乗り込む事に成功し、内部を占拠していたガジェットを破壊していく。
ここまでは順調だった……のだが。
キィィィィィン……キィィィィィン……
面倒な存在が、リニアレールに迫ろうとしていた。
「シュートッ!!」
「おりゃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
車両に乗り込んだティアナは2丁の拳銃型デバイス―――“クロスミラージュ”から放つ射撃で、無事にガジェットの殲滅を完了していた。一方でスバルも両足のローラーブーツ型デバイス―――“マッハキャリバー”で素早く車両を駆け抜け、右腕に装備したナックル型デバイス―――“リボルバーナックル”でガジェットを勢い良く殴りつけ、破壊してみせた。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「フリード、ブラストフレアッ!!」
「キュクゥゥゥゥッ!!」
エリオも槍型デバイス―――“ストラーダ”を振り下ろすも、ガジェットの装甲は固くなかなか破壊できない。それを援護するべく、キャロは自身の足元に魔法陣を出現させ、フリードリヒに炎の魔力を宿らせる事で強力な火炎弾を放射。ガジェットを後退させる。
ブゥゥゥゥゥン……
「!? AMF……!!」
「こんな広い範囲で……!?」
しかしガジェットはAMFを展開し、エリオがストラーダに纏わせようとしていた雷、キャロが足元に展開していた魔法陣が消滅。エリオとキャロは不利な状況に追い込まれ、ガジェットはエリオに向かって触手のようなコードを伸ばそうとしたその時……
キィィィィィン……キィィィィィン……
あの金切り音が鳴り響き始める。それと同時に……
『ブルルルルルァァァァァァッ!!』
「「ッ!?」」
伸ばしたコードでエリオを捕らえようとしていたガジェットが、車両の窓から飛び出して現れた赤いイノシシのような怪物―――“ワイルドボーダー”の体当たりで、呆気なく押し潰され破損してしまった。エリオとキャロがそれを見て驚く中、他の車両でガジェットを破壊してきたスバルとティアナ、レリックの確保に成功したリインもワイルドボーダーを見て驚愕する。
「何だコイツ!? 急に鏡の中から現れて……!!」
「なっ!? もしかして、手塚さんが言っていた鏡の世界のモンスターですか!?」
「モンスター……アレが……!?」
『ブルルルルルルルァッ!!』
「ッ……危ない、伏せて下さい!!」
「きゃあ!?」
「うわわわわわ!?」
ワイルドボーダーは胸部の小さな砲口から光弾を放ち、リイン達が伏せた瞬間、彼女達の頭上を通過した光弾が車両の壁を破壊。それだけには留まらず、ワイルドボーダーは車両の床を蹴ってから猛スピードで駆け出し、キャロに向かって突っ込んで来た。
「キャロ、危ない!!」
「きゃ!?」
『ブルァァァァァァァァッ!!』
その攻撃から庇うべく、エリオがキャロを押し退けてからワイルドボーダーの突進をストラーダで受け止めようとする。しかし魔導師とはいえど、子供の腕力で止め切れるほどワイルドボーダーの突進力は甘くなく、そのままエリオを突き飛ばして車両の壁を轟音と共に破壊し、エリオが車両の外へ吹き飛ばされていく。
「く……ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「エリオ君ッ!!」
吹き飛ばされたエリオを助けようと、キャロは破壊された壁から飛び出し、落下していくエリオに向かって必死に手を伸ばそうとする。しかし彼女の手は届きそうで届かず、そのまま2人はどんどん下へ落下していく。
「!? しまった、現れたのはリニアレールの方か……!!」
「嘘!? 落ちてるじゃんアレ!!」
一方でライアとファムも、例の金切り音でモンスターの接近は察知していた。しかし彼等の周囲にはモンスターが現れる気配がなく、リニアレールの方にモンスターが現れた事に気付くのが遅れてしまった。
「アタシが行くよ!! ブランウイング、お願い!!」
『ピィィィィィィィィッ!!』
ファムがブランウイングに乗ってリニアレールの方まで飛び立ち、ライアも同じくエビルダイバーに乗って移動しようとしたが、それを妨害するかのようにライアの周囲をガジェットが取り囲む。
「ッ……こんな時に邪魔を……!!」
「エリオ、君……ッ……!!」
必死に手を伸ばし続けるキャロ。
彼女が見据える先には、落下していくエリオの姿。
(いやだ……私は結局、役に立てていない……!!)
キャロの脳裏に浮かぶのは、かつて故郷の集落から追放された時の自分。
フェイトに拾われるまでの間、世界の各地を転々としていた自分。
ただ魔力が強いだけで、それをまともに制御する事もできない、化け物な自分。
常に、独りぼっちな自分。
(結局、私は……)
『君がどこに行きたくて、何をしたいのか。よく考えてごらん?』
『キャロの魔法は皆を守ってあげられる……とても優しい力だから』
(……いや、違う!!)
自分は馬鹿だ。どうしてそんな考えに至ろうとしたのか。
(今の自分には、仲間がいる……!!)
エリオがいる。
スバルがいる。
ティアナがいる。
なのはやフェイト達がいる。
手塚や美穂だっている。
(皆、私を仲間として受け入れてくれた……皆が私を助けてくれた……だから今度は、私が皆を助ける時!!)
『運命とは受け入れる物ではない』
『運命は、君達の手で変えられる』
(そうだ!! 変えるんだ!! 私の力で……自分の運命を、変えてみせるんだ!!!)
「―――フリードォッ!!!」
キャロの叫びと共に、魔法陣が再び展開される。それと共にフリードリヒの姿も魔力に包まれ、小さき竜から巨大な飛竜へと姿を変えていく。そしてキャロを乗せたフリードリヒは、落下していくエリオに追いつき、見事彼を助け出す事に成功した。
「!? 何あれ……!?」
ブランウイングに乗って助けに向かおうとしていたファムも、フリードリヒが見せた飛竜としての姿に仮面の下で驚愕の表情を示す。
翼を大きく広げたフリードリヒ。
その姿は威厳があり、そして美しくもあった。
『ブルルルルル……ッ!!』
「ッ……今です!!」
「行っけぇ!!!」
「どりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
『ブルォォォォォォォッ!?』
一方、リニアレール車両内ではワイルドボーダーとの戦闘が続いていた。リインの詠唱で発動した冷気魔法がワイルドボーダーの動きを阻害し、そこにティアナのクロスミラージュから放たれた魔力弾が命中し、そしてスバルがカートリッジを消費したリボルバーナックルの一撃が炸裂。ワイルドボーダーを車両の外部まで大きく吹き飛ばす事に成功した。
「うわ、何か飛んで来た!?」
吹き飛ばされたワイルドボーダーがブランウイングの目の前を通り過ぎていく中、エリオとキャロの2人を乗せたフリードリヒもまた、ワイルドボーダーに狙いを定めていた。
「行くよ、ストラーダ!!」
「ケリュケイオン!!」
≪≪ドライブ・イグニッション≫≫
「「行っけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」」
「キュルォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」
『ブルルルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!?』
「……すっご」
ストラーダに纏われた電撃と、フリードリヒが放つ火炎弾。二つの魔法が合わさって繰り出された一撃はワイルドボーダーに大ダメージを与えながら地面に撃墜し、ワイルドボーダーが山岳エリアの地面に落下する。その光景を見ていたファムは、この世界の魔導師の戦闘力を垣間見て唖然とさせられていた。
「手塚さん、美穂さん、トドメをお願いします!!」
「へ? あ、あぁうん!!」
「!? あぁ、わかった……!!」」
≪≪FINAL VENT≫≫
キャロの呼びかけで、唖然としていたファムはすぐに気を取り直し、巨大化したフリードリヒを見たライアも思わず驚くものの、2人もすぐにファイナルベントのカードを装填。ファムが地面に着地した後、ブランウイングは突風を起こしてワイルドボーダーを吹き飛ばし、その吹き飛んだ先でファムがウイングスラッシャーを構える。そして別方向からは、エビルダイバーに飛び乗ったライアが猛スピードで突撃し……
『ブッ……ブルァァァァァァァァァァァァァァァッ!!?』
ファムのウイングスラッシャーで斬りつけられたワイルドボーダーに、ライアを乗せたエビルダイバーの体当たりが直撃。威力のデカい攻撃を何度も受け続けたワイルドボーダーはひとたまりもなく爆散し、ファムの近くにライアが着地するのだった。
「ふぅ……この世界って凄いんだね、色々な意味で」
「……その気持ちはよくわかる」
エリオとキャロを乗せたまま地面に降り立つフリードリヒを見て、ライアとファムは自分達が違う世界に来たという事実を改めて認識させられた。一方、リニアレールに積み込まれていたレリックの確保も完了し、ガジェットも1機残らず全滅した為、これで晴れて任務は完了となった。
「取り敢えず、これでミッションコンプリートって事で良いの?」
「あぁ。ひとまず、あの頑張ったモンディアルとルシエ達に労いの言葉をかけるとしよう」
「うん、そうだね……お~い!」
ファムはフォワードメンバー達の方まで駆け寄り、ファムに頭を撫でられているエリオとキャロが嬉しそうな笑顔を見せる。その光景にライアは仮面の下で小さく微笑みながらも……その表情はすぐに笑みが消えた。
(それにしても……)
ライアは破壊された無数のガジェットの残骸を見据える。
「コイツ等、何故レリックを狙っている……? コイツ等を作った奴は、一体何をしようとしているんだ……?」
ミッドチルダ、どこかの研究施設……
「スバル・ナカジマ……エリオ・モンディアル……そして、2人のまだ見ぬ仮面ライダー……」
ガジェットのレンズを通じて、今回の戦いの一部始終を見届けている者がいた。白衣を纏った紫髪の男……“ジェイル・スカリエッティ”は、映像に映されている者達に興味を抱いているのか、小さく不気味な笑みを浮かべ、我慢ができず狂気の笑い声を上げ始めた。
「フハハハハハハハハハハハハハハハ!!! 素晴らしい、素晴らしいぞ!! 欲しくてたまらない!! ぜひとも捕縛したい!! ぜひとも研究したい!! ぜひとも解剖したい!!!」
『失礼します、ドクター』
高らかに笑い続けるスカリエッティだったが、そこに薄紫色の髪をした女性―――“ウーノ”が通信を入れてきた。それに気付いた彼は笑い声を抑え、女性の通信に応対する。
「ウーノか。どうした?」
『ルーテシアお嬢様と騎士ゼストが動き出しました。それから、例の“彼”も……』
「ふむ、そうか。もう1人の方はどうしてるんだい?」
『何度言っても暴れ続けた為、一度トーレが取り押さえました。現在は独房にて拘束しています』
「やれやれ、“彼”は癖が強いなんてレベルじゃないね……まぁ良い。これから面白い事になりそうだし、我々はまだしばらく監視を続けようじゃないか」
『よろしいのですか?』
「構わないさ。クライアントが何と言おうとも、私は今このミッドで起きている状況が楽しくて仕方ない。どうやら現在、我々が引き入れた“彼等”以外にも、既に活動を開始しているライダーがいるみたいだからねぇ……フフフフフフフフ……!!」
キィィィィィン……キィィィィィン……
その日の深夜0時……
『グルゥッ!!』
『グルルルルルァ!!』
『グルルル!!』
『グラゥ!!』
『グルァァァァァァァァッ!!』
ミラーワールド、とある大きな広場。そこにはギガゼールを始め、大量のガゼル型モンスターが一ヵ所に集まり始めていた。
ギガゼール。
メガゼール。
オメガゼール。
ネガゼール。
マガゼール。
ガゼル軍団がミラーワールドのあちこちを跳び回っている中、そのガゼル軍団の中を、1人のライダーがコツコツと歩を進めていく。
「どいつもこいつも、派手に暴れてるなぁ」
茶色のボディ。
頭部から生えた2本の角。
右足に装備されたアンクレット型の召喚機。
カードデッキに刻まれたガゼルのエンブレム。
「それじゃあ始めるかぁ……楽しい楽しい、モンスター狩りを……!!」
ガゼルの特徴を有したその仮面ライダーは、派手に暴れまわるガゼル軍団を率いて、夜のミラーワールドを進行していくのだった……
To be continued……
リリカル龍騎StrikerS!
手塚「ジェイル・スカリエッティ?」
フェイト「今、私が執務官として追っているのもこの男です」
ガゼル軍団『『『『『グルルルルァッ!!!』』』』』
美穂「コイツ等、何でこんなにいっぱい……!?」
???「そいつは俺の獲物だぁ……邪魔すんじゃねぇよ!!」
戦わなければ生き残れない!