リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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最近、今頃になってファイアーエムブレム新・紋章の謎をやり始めたロンギヌスです。アテナが、ノルンが可愛過ぎるのがいけないんじゃ……!!

そんな呟きは置いといて、今回はエピソード・ディエンドにおけるメインの敵ライダーが本格参戦です。

それではどうぞ。



エピソード・ディエンド 3

「ぐぁっ!?」

 

「きゃあっ!?」

 

「うぉっ!?」

 

「くっ……!!」

 

「「「「ガァッ!?」」」」

 

突如現れたラプターウイングの奇襲を受け、リムジンの窓ガラスを介して強制的にミラーワールドまで吹き飛ばされてしまったライアとファム。その近くでは同じく吹き飛ばされて来たレーザーとイドゥンも倒れ、更には彼等と先程まで戦いを繰り広げていた怪物達も纏めて転がり込んで来ている。

 

「ッ……あのモンスター、妙なタイミングで現れたな……!!」

 

「ねぇ、さっき聞き覚えのある音が聞こえた気がしたような……うわぁ!?」

 

『ショオォォォォォォォッ!!!』

 

鳴き声と同時に降りかかって来たのは、ラプターウイングが両翼を羽ばたかせる事で放たれる無数の羽根。その羽根が矢のように降り注ぐ中、ライアとファムは左右に移動して羽根を回避するが、そこへ立ち上がったスティングレイロードが剣を振り上げて襲い掛かって来た。

 

「シャアァッ!!」

 

「!? チィッ……!!」

 

「くそ、本当に何なんだよコイツ等!!」

 

「フンッ!!」

 

「グルアァァァッ!!」

 

ファムの方にはキグナス・ゾディアーツが回し蹴りを放ち、ファムはブランバイザーで攻撃を受け止めてから反撃の後ろ蹴りでキグナス・ゾディアーツを蹴り飛ばす。そこにタイガーオルフェノクが吼えながら勢い良く飛びかかろうとしたが……

 

≪ズ・ドーン!≫

 

「グガァア!?」

 

「!?」

 

「へーい、こっちだこっちぃ!!」

 

≪ス・パーン!≫

 

2本の鎌を弓の状態に組み合わせたガシャコンスパローから矢が発射され、空中のタイガーオルフェノクを撃ち落とす。狙撃した張本人であるレーザーはノリノリな様子で、ガシャコンスパローに取りつけられているAボタンを押してから再び2本の鎌に切り離し、撃墜したタイガーオルフェノクに斬りかかっていく。

 

「フッ……ハァッ!!」

 

「グ、グルアァッ!?」

 

「ちょ、危な!?」

 

一方、イドゥンはクラブファンガイアが振り回して来る両腕の鋏をアップルリフレクターで防御し、ソードブリンガーによる斬撃でカウンターを繰り出していた。クラブファンガイアも負けじと抵抗するが、突き立てた右腕の鋏がソードブリンガーで受け止められ、そこにイドゥンがアップルリフレクターで殴りシールドバッシュで大きく薙ぎ払う。薙ぎ払われたクラブファンガイアは大きく吹き飛び、その先にいたファムが危うく当たりそうになり、この訳がわからない状況に苛立った様子でライアと背中合わせになる。

 

「海之、いい加減説明してくれよ!! 本当に何なんだよアイツ等!?」

 

「例のライダーが召喚した連中だ。あの男、自分は何もしないままどこかに立ち去って行ったがな」

 

「召喚した!? それって、ランスターが言っていた泥棒ライダーが……じゃあこの怪物共は!?」

 

「コイツ等の詳細はまだわからないが、何かを目的に動いているのは確からしい。あの泥棒の男、先程逃がした女の子を追いかけて行ったからな」

 

「女の子を? それってどういう―――」

 

『ショアァァァァァァァァッ!!』

 

「ッ……話は後だ!!」

 

「どわた!? あぁもう……ッ!!」

 

今の彼等に、まともに会話できるような余裕は存在しない。両翼の鋭利な羽根を研ぎ澄ませたラプターウイングが猛スピードで突っ込んで来たのを見て、ライアとファムはその場にしゃがんで突進を回避。その際、ラプターウイングの翼が掠ったのか、ファムの白いマントの一部がほんの僅かに切断される。

 

「怪物達はあのライダー達に任せる……俺達はコイツを倒すぞ!!」

 

≪SWING VENT≫

 

「何かもう訳わかんないけど、取り敢えずそうする!!」

 

≪SWORD VENT≫

 

4体の怪物達はレーザーとイドゥンが相手取っている。その間に目の前のラプターウイングを倒すべく、ライアとファムはそれぞれの武器を召喚してラプターウイングを迎え撃とうとした。

 

その時……

 

 

 

 

ズバァンッ!!!

 

 

 

 

「!? ぐぁ!?」

 

「あぅっ!?」

 

突然、どこからか回転しながら飛んで来た槍のような武器が、ライアとファムの背中を強く斬りつけた。槍はそのまま2人の後方まで飛んで行き、オブジェクトの物陰から現れた何者かが槍をキャッチする。

 

「ッ……何!?」

 

「アイツ……!?」

 

オブジェクトの物陰から現れたその存在に、ライアとファムは驚愕する。

 

 

 

 

鷹の頭部の意匠を持つ頭部の仮面。

 

 

 

 

翼の意匠を持つ胸部と両肩の装甲。

 

 

 

 

翼を閉じた鷹のような穂先を持つ槍型の召喚機。

 

 

 

 

鷹のエンブレムが刻み込まれているカードデッキ。

 

 

 

 

鷹の意匠を持つ翼の戦士―――“仮面ライダーベルグ”は左手をコキンと鳴らした後、穂先が翼を閉じた鷹の形状をしている槍型の召喚機―――“猛召槍(もうしょうそう)ラプトバイザー”を右手でクルクル回転させ、その穂先をライア達に向ける。

 

「な……また新しいライダー!?」

 

「あのモンスター、奴と契約していたのか……!!」

 

【……ククク】

 

ライアとファムが身構えるのに対し、ベルグはその場で俯き、どこか楽しそうな様子で笑い始めた。

 

【クッハハハハハハハ……ライダーが2人……お前達も“あの男”と同じ、邪魔者(・・・)という訳だ】

 

(! この声、ボイスチェンジャーか……)

 

ボイスチェンジャーで声を変えている辺り、ベルグは自身の正体を探られないようにしているらしい。ベルグは何を面白がっているのか、笑いが絶えないままラプトバイザーを両手で構え、その勢いで2人に向かって容赦なく襲い掛かって来た。

 

【フン!!】

 

「!? くっ……!!」

 

「な、ちょお!? おい、やめろって!!」

 

【ハァッ!!】

 

「うあぁっ!?」

 

「夏希!!」

 

巧みな動きでラプトバイザーを振り回して来たベルグは、ラプトバイザーの柄でファムの腹部を殴り、すかさず穂先を彼女の背中に叩きつける。そのまま倒れたファム目掛けてラプトバイザーを振り下ろそうとするも、即座に彼女を庇ったライアがエビルバイザーで攻撃を防ぐ。

 

「何者だ……何故俺達を狙う……!!」

 

【理由は至って単純。私の目的を果たすのに、お前達は邪魔なんだ】

 

「何……ぐっ!?」

 

ベルグは無理やり押し退けたライアをラプトバイザーで斬りつけ、怯んだライアは後退しつつもエビルウィップを構え、ベルグに向かって振ろうとする。その前にベルグがラプトバイザーの柄を上にスライドすると、穂先の閉じていた鷹の翼が左右に開き、そこにベルグが1枚のカードを差し込んで柄をスライドさせ直した。

 

≪STEEL VENT≫

 

「!? 何……ッ!!」

 

電子音と共に、ライアの振ろうとしたエビルウィップが彼の手元を離れ、ラプトバイザーを放り捨てたベルグの右手に収まってしまった。自身の武器が奪われた事に驚くライアに、ベルグは奪い取ったエビルウィップで容赦なく攻撃を仕掛ける。

 

【フッ!!】

 

「ぐぁ!? ッ……ならば……!!」

 

≪COPY VENT≫

 

【! ほぉ……】

 

ライアがエビルバイザーにカードを装填すると、ベルグの構えていたエビルウィップがコピーされ、2本目のエビルウィップがライアの手に収まった。それを見たベルグは仮面の下で面白そうに笑みを浮かべ、両者同時にエビルウィップを振り上げる。

 

「はぁ!!」

 

【むんっ!!】

 

エビルウィップ同士が何度も激突し、火花を激しく散らし合う。弾かれたエビルウィップが近くの地面に打ちつけられた後も、2人は何度もエビルウィップを振るい互角の戦いを繰り広げる。しかし、その戦いもそう長くは続かなかった。

 

≪GUARD VENT≫

 

【! これは……?】

 

エビルウィップを振り上げようとしたベルグの周囲を、無数の白い羽根が覆い尽くす。何事かと周囲を見渡すベルグの不意をつくように、真後ろから接近したファムがウイングスラッシャーで斬りかかった。

 

「そこ!!」

 

【!? ぐ……!!】

 

ウイングスラッシャーの一撃が命中し、怯んだベルグをファムが蹴りつける。怯んだベルグが白い羽根の中から抜け出した直後、そこにライアの振るったエビルウィップも炸裂した。

 

「でぁ!!」

 

【ぐぉう……!?】

 

エビルウィップの一撃を胸部に喰らい、倒れたベルグが地面を転がされる。エビルウィップを構えたライア、ウイングスラッシャーを構えたファムが並び立つ中、立ち上がったベルグはそれでも笑いを止めなかった。

 

【ク、ククク……クハハハハハハハ!! なるほど、一筋縄ではいかないようだな……!!】

 

「……まだ戦いを続けるつもりか」

 

【当然だとも。しかし、お前達はそう簡単に倒せそうにない事は理解した……そこで】

 

ベルグはエビルウィップを一度その場に放り捨て、右手を背中に回して何かを取り出す。ベルグがどこからか取り出した物……それにライアは見覚えがあった。何故ならそれは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディエンドが所持していた物と同じ形状をした(・・・・・・・・・)、紫色のディエンドライバーだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!? それは……!!」

 

【少しばかり、汚い手を使わせて貰うとしようか……フンッ!!】

 

「ぐっ!?」

 

「きゃあっ!?」

 

ベルグは取り出した紫色のディエンドライバーを構え、ライアとファムに向けて銃弾を乱射。銃撃された2人が倒れている隙に、ベルグはどこからか取り出した1枚のカードを紫色のディエンドライバーに差し込み、銃身をスライドさせた。

 

≪KAIJIN RIDE……BUFFALO UNDEAD!≫

 

【さぁ行け……フッ!!】

 

「「ッ!?」」

 

くぐもっと怪しげな電子音と共に、銃口から射出された複数の黒い影が周囲を動き回り、やがて1つに重なり怪物を実体化させる。赤い角と青い角を生やし、ベルトにウロボロスのようなバックルを持ったバッファローのような特徴の怪人―――“バッファローアンデッド”は鼻息を荒くしながら、目の前のライアとファムを睨みつけている。

 

「怪物を、呼び出した……!?」

 

「ッ……あの怪物達は、お前が呼び出していたのか!!」

 

【そういう事だ……やれ、化け物!!】

 

「ヌオォォォォォォォォォォォッ!!!」

 

「夏希、避けろ!!」

 

「うわたたた!?」

 

バッファローアンデッドは雄叫びを上げながら猛スピードで突進し、ライアとファムに襲い掛かる。2人は何とかその突進を回避し、避けられたバッファローアンデッドはそのまま建物の壁に突っ込み、その圧倒的パワーで建物の壁を大きくめり込ませた。

 

「なんてパワーだ……!!」

 

「ヌゥゥゥゥン……ヌガァァァァァァァァァァッ!!!」

 

「ちょ、また来たぁ!?」

 

【私を忘れて貰っては困るなぁ!!】

 

再び突っ込んで来たバッファローアンデッドの突進をかわす2人だったが、そこへベルグが再びラプトバイザーを構えて飛びかかり、それに気付いたライアがエビルバイザーで防御する。

 

「くっ……お前、どこでそれを手に入れた……それを使って、何をしようとしている!!」

 

【話す必要はない……それより良いのか? そちらの彼女は何やらピンチのようだが】

 

「ヌガアァッ!!!」

 

「くっ……があぁっ!?」

 

「!? 夏希!!」

 

【隙ありィッ!!】

 

「ぐぁあ!?」

 

ファムがバッファローアンデッドの角で壁に叩きつけられ、そのダメージで地面に倒れ伏していく。その光景に気を取られたライアは一瞬の隙を晒してしまい、ベルグのラプトバイザーを突き立てられ更にダメージを与えられてしまう。

 

(マズい……エビルダイバーの力を借りるか……!!)

 

このままではジリ貧だと考えたライアは、エビルダイバーを召喚するべく、カードデッキから引き抜いたエビルダイバーのカードをエビルバイザーに装填しようとする……が、それこそがベルグの仕掛けた罠だった。

 

【今だ、化け物!!】

 

「ヌゥンッ!!」

 

「!? なっ……!!」

 

ベルグの合図と共に、バッファローアンデッドがライアに向かって右手を翳す。するとライアの体がいきなりバッファローアンデッドのいる方まで磁石のように(・・・・・・)引き寄せられ、バッファローアンデッドの右手に収まり首絞められる形になる。

 

「ぐっ……コイツ、健吾と同じ力を……ッ!?」

 

「フンガァ!!」

 

「うぁっ!?」

 

直後、バッファローアンデッドは磁力を反発させ、右手で首絞めていたライアを一気に吹き飛ばす。吹き飛ばされたライアの先では、ベルグがラプトバイザーを構えており……

 

【ハァッ!!!】

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

「ッ……海之!!!」

 

ラプトバイザーの一撃を叩き込まれたライアが吹き飛び、建物に叩きつけられて地面に落下する。地面に倒れていたファムが叫ぶ中、地面に落ちたライアの右手からエビルダイバーのカードが離れてしまい、それをベルグが拾い上げる。

 

【ここまで手こずらせるとはな……まぁ良い、このカードは貰っておくぞ】

 

「ッ……返せ、それは……!!」

 

【フン!!】

 

「ぐぁっ!?」

 

ベルグは倒れているライアを蹴り転がした後、大きく後ろに下がってから再び取り出した紫色のディエンドライバーを右手に構え、1枚のカードを装填口に差し込み銃身をスライドさせる。

 

≪FINAL ATTACK RIDE……≫

 

「く、ぅ……ッ!!」

 

電子音と共にベルグが紫色のディエンドライバーを構えると、その銃口から複数のカード状のエネルギーで形成されたターゲットサイトが出現し、その狙いが倒れているライアに定められる。それを見たファムは直感でヤバいと判断したのか急いで立ち上がろうとするが、そんな彼女の背中をバッファローアンデッドが踏みつける。

 

「フン……!!」

 

「ぐ、この……おい、待て、やめろぉ!!!」

 

【まずは1人……この場で終わらせてやるッ!!!】

 

≪DI・DI・DI・DI・END!≫

 

ベルグがトリガーを引いた瞬間、ターゲットサイトを構成していた無数のカードが紫色のビームに変化し、凶悪な必殺技―――“ディメンションシュート”がライア目掛けて発射されていく。成す術がないライアは両腕で頭を守る事しかできず、ファムは動けない状態ながらも彼の名を叫ぶ。

 

「海之ィッ!!!!!」

 

「くっ……!!」

 

これは万事休すか……と思われた、その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

≪STRIKE VENT≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドガァァァァァァァァァァンッ!!!

 

【!? 何……!!】

 

ベルグが発動したディメンションシュートは、別方向から飛んで来た1発の水流弾が命中し、ライアに命中する直前で爆発を引き起こした。自身の攻撃が邪魔されるとは思っていなかったのか、ベルグは驚いた様子で水流弾が飛んで来た方角に視線を向ける。

 

「全く。様子を見に来てみれば、何だこの状況は」

 

「ッ……二、宮……!!」

 

「お前、何でここに……!?」

 

水流弾を放った張本人―――アビスは右手に装備していたアビスクローを放り捨て、倒れたまま動けないライアを守るようにベルグと相対する。まさかアビスがライアを助けるような行動に出るとは思わなかったのか、ファムも彼の行動に驚きを隠せなかった。

 

「お前等に死なれると俺達が困るってだけの話だ。今はそれよりも……」

 

アビスは面倒そうな口調で鼻を鳴らした後、ベルグが構えている紫色のディエンドライバーを見据える。

 

「なるほど。妙な武器をお持ちのようだな」

 

【貴様……誰かは知らんが、邪魔をするなら容赦はせんぞ!!】

 

ベルグが紫色のディエンドライバーで狙い撃つも、アビスはそれをアビスバイザーで防御し、カードデッキから1枚のカードを引き抜こうとする。それを見たバッファローアンデッドは踏みつけていたファムを蹴り転がし、アビスに向かって右手を翳して磁力を操り、アビスの体を引き寄せていく。

 

「フンッ!!」

 

「! おっと……」

 

「ッ……二宮!!」

 

このままではアビスもライアと同じ攻撃を受けてしまう。そう危惧したファムだったが……その心配は杞憂だった。

 

 

 

 

ズガガガガァン!!!

 

 

 

 

「ヌグァアッ!?」

 

【!?】

 

引き寄せられたアビスをバッファローアンデッドが右手で捕まえようとした瞬間、アビスはアビスバイザーから水のエネルギー弾を連射し、バッファローアンデッドの顔面に全弾命中させる。それによりバッファローアンデッドが怯み、引き寄せられた勢いを利用したアビスはバッファローアンデッドの胸部を思いきり蹴りつけ、大きく吹き飛ばしてみせた。

 

【ば、馬鹿な!? 何故攻撃パターンがわかった!?】

 

「もう見飽きたんだよ、その攻撃は」

 

磁力を操るバッファローアンデッドの能力。それと同じような能力(・・・・・・・)を過去に体験した事があるアビスには、そんな小細工は通用しなかった。

 

「俺からすればお前が邪魔だ……消え失せろ」

 

≪UNITE VENT≫

 

『ギャオォォォォォォォォォォンッ!!!』

 

【!? ぐおぉっ!?】

 

「グガァァァァァァッ!?」

 

アビスによって召喚されたアビソドンが飛来し、突き出した両目から放つ弾丸でベルグを襲い、頭部から伸ばしたノコギリでバッファローアンデッドを地面に叩きつける。その間に何とか立ち上がったファムは、未だ倒れているライアの下まで急いで駆け寄っていく。

 

「海之、大丈夫!? しっかりして!!」

 

「ッ……力が、抜け、て……ぐっ!?」

 

ファムがライアの体を起こしたその時、ライアの体に異変が生じ始めた。ボディ各部の装甲が赤紫色から灰色に変色し、左腕のエビルバイザーは形状が変化し質素な形状の召喚機になってしまう。

 

「!! そんな、何で……!?」

 

「チッ……契約のカードを奪われたのか、面倒な」

 

モンスターの契約カードは、ライダーにとって非常に重要なアイテムだ。エビルダイバーのカードをベルグに奪われた事で、カードデッキのシステムが「契約カードを紛失した」と認識し、ライアをブランク体にまで弱体化させてしまったのだ。思わぬ事態に陥ったライアを見て、アビスは厄介そうに舌打ちする。

 

「「「「グワァァァァァァァッ!?」」」」

 

「!」

 

その時、アビス達のすぐ傍にクラブファンガイア、タイガーオルフェノク、スティングレイロード、キグナス・ゾディアーツの4体が転がり込んで来た。そんな4体の怪物を追いかけるように、レーザーとイドゥンもピンピンした様子で姿を現す。

 

「……また妙なのがゾロゾロと」

 

「うっしゃあ、ノリノリで行っちゃうぜぇ~?」

 

≪ガシャット! キメワザ!≫

 

「フッ……!!」

 

≪カモン! リンゴスカッシュ!≫

 

アビスがそんな呟きを残す中、レーザーは腰に装着しているベルト―――“ゲーマドライバー”からゲームカセット型のアイテム―――“ライダーガシャット”を引き抜き、それを弓モードとなっているガシャコンスパローの装填口に差し込む。その横ではイドゥンもアップルリフレクターを放り捨て、腰に装着しているベルト―――“戦極ドライバー”のブレードを1回倒し、ソードブリンガーにエネルギーを収束させ始める。

 

「これでも喰らいなぁ……!!」

 

≪GIRIGIRI CRITICAL FINISH!≫

 

そしてレーザーが構えたガシャコンスパローも、発射口に強力なエネルギーが収束されていき、大きなピンク色の矢と複数の黄色の矢が形成される。そして……

 

「「―――ハァッ!!!」」

 

「「「「ガァァァァァァァァァァァッ!!?」」」」

 

振り下ろされたソードブリンガーから放たれる巨大な斬撃、そしてガシャコンスパローが形成した全ての矢が一斉に放たれ、怪物達に襲い掛かった。逃げ遅れた怪物達は斬撃で切り裂かれ、全身を矢で撃ち抜かれ、溜まらず爆散させられる事となった。

 

「うわぁ!?」

 

「ッ……凄いパワーだな」

 

「ヒュ~♪ 一丁上がりぃっと!」

 

「フッ……」

 

爆発の余波を受けたアビス達でも、その威力は凄まじい物だと感じさせるほどだった。そして怪物達が消え去ったのを確認したレーザーはハイテンションな口調で、イドゥンは最後まで物静かな状態のまま、一瞬でその場から姿を消してしまった。

 

「え、消えた!?」

 

「役目を終えたって事か……どうせならもうちょっと付き合ってくれても良いだろうに」

 

「ヌガァァァァァァァァァッ!!!」

 

「! おっと」

 

「うわ!? コイツまた……!!」

 

そんな彼等の前に、アビソドンの追撃を逃れたバッファローアンデッドが再び突進して来た。アビスはそれをヒラリとかわし、ファムが慌ててウイングスラッシャーで受け止める中、ラプトバイザーを構えたベルグが忌々しげな口調でアビスと対峙する。

 

【忌々しい奴等め……今度こそ潰してくれる!!】

 

≪FINAL VENT≫

 

『ショアァァァァァァァァッ!!』

 

ラプトバイザーにカードが装填され、ベルグの背後に回り込むようにラプターウイングが飛来する。ラプターウイングは両足でベルグの両肩を掴み、そのまま空高く舞い上がって行く。

 

【ハァァァァァァァァァァァァァァッ!!!】

 

「! これはちょっとマズいな……っと」

 

ラプターウイングと合体したベルグはドリルのように回転し、アビス目掛けて突っ込んでいく。それを見たアビスはすぐに動き出し、ファムと取っ組み合いになっていたバッファローアンデッドの後頭部を右手で掴み、無理やり引き寄せる。

 

「来い」

 

「ヌッ……ウゴアァァァァァァァァァァッ!!?」

 

無理やり引っ張られたバッファローアンデッドはそのままアビスのキックを喰らい、大きく吹き飛ばされる。そこへドリルのように回転しながら突っ込んで来たベルグの必殺技―――“トルネードスラスト”がバッファローアンデッドの胴体を貫き、致命傷を受けたバッファローアンデッドは跡形もなく爆散してしまった。身代わりで必殺技を防がれたベルグは地面に着地し、アビスを睨みつける。

 

【ッ……化け物を盾代わりにしたか、小癪な真似を……!!】

 

「さて、お前には色々と聞きたい事がある。正体を明かして貰おうか」

 

【誰が従うものか……!!】

 

ベルグが紫色のディエンドライバーを構え、アビスもアビスバイザーを構える。2人は正面から相対しようとした……が、それもすぐに終わる事となる。

 

【……!】

 

紫色のディエンドライバーを構えた右手が、少しずつ粒子化し始めていた。それに気付いたベルグは構えを解き、1枚のカードを取り出す。

 

【時間切れか、仕方ない……この借りはいずれ必ず返させて貰う】

 

≪ATTACK RIDE……INVISIBLE!≫

 

「! 消えた……どっかの誰かさんと似たような事を」

 

ベルグは怒りに満ちた口調ながらも、紫色のディエンドライバーにカードを装填し、一瞬でその場から姿を消してしまった。ベルグを取り逃がしてしまったアビスは面倒臭そうに溜め息をつき、ブランク体となったライアに肩を貸して支えているファムの方へ振り返る。

 

「ぐっ……!!」

 

「海之、しっかりして……くそ!! 海之の契約カードが奪われるなんて……!!」

 

「まさかこんな事になるとはな……霧島、お前は手塚を連れて一旦戻れ。奴の行方は俺が探す」

 

「な、待てよ!? アイツはアタシ達が見つけて―――」

 

「その足手纏いを連れてか? ハッキリ言わせて貰うが、今のそいつは何の役にも立たないし、そんな状態でミラーワールドの中を動き回っていたら、いつ契約破棄で喰われるかわからん。さっさとそいつの身の安全を確保する方法でも考えた方が、今のお前等には得策なんじゃないのか?」

 

「ッ……くそ……!!」

 

アビスの言う事は尤もだった。何も言い返せなかったファムは悔しげに歯噛みしながらも、弱っているライアを連れてミラーワールドを後にしていく。そんな2人の後ろ姿を見ながら、アビスはもはや何度目かもわからない溜め息をついた。

 

「他所の世界から異物が紛れ込んだおかげで、とんだ面倒事になっちまったなぁ……嫌になるぜ、全く」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――ッ!? 手塚さん、どうしたんですかその傷!?」

 

「あ、ギンガ!! ごめん、海之を運ぶの手伝って!!」

 

その後、ミラーワールドから帰還した夏希はギンガと合流し、2人で一緒に傷付いた手塚を運び出そうとしていた。その際、手塚の懐から落ちたライアのカードデッキが、エンブレムが失われた状態となっているのにギンガは気付いた。

 

「これって……夏希さん、一体何があったんですか……!?」

 

「凄く大変な事になっちゃってさ……急がないと、海之が危ない……!!」

 

「あ、あの!」

 

そんな時だった。手塚を運ぼうとしていた夏希とギンガに、1人の人物が声をかけて来たのは。

 

「私達のお屋敷なら、ここからすぐ近くにあります……! そちらの方を、急いでリムジンに乗せて下さい……!」

 

「あなたは、さっきの……!」

 

(! もしかして、海之が言ってたのって……)

 

それは先程、ギンガがライノイマジンから助け出した金髪の少女だった。彼女が指し示すリムジンには既に老齢の男性が運転席に座っており、いつでも走れるよう準備を整えていた。

 

「こちらはいつでも発車できます! お急ぎを!」

 

「で、ですが……」

 

「ごめん、お言葉に甘える!!」

 

「ちょ、夏希さん!?」

 

ギンガが返事を返す前に、夏希は手塚を連れてちゃっちゃとリムジンの後部座席に乗り込んで行く。ギンガは慌てて夏希を呼び止め、小声で夏希に話しかける。

 

(い、良いんですか? 運ぶなら近くの病院に運んだ方が……)

 

(ギンガ、海之が言ってたのってたぶんこの子でしょ? だったら彼女達の近くにいてあげないと、いつまた怪物達が現れるかわからないからさ……!)

 

(! ……なるほど、そういう事ですか)

 

もし怪物達がこの2人を狙っていたんだとしたら、自分達が傍にいて守ってあげなくてはならない。夏希の言いたい事を理解したのか、ギンガも納得した様子でリムジンに乗り込んでいく。

 

「OK、出して良いよ!」

 

「スーマン!」

 

「畏まりました! 少しばかり、飛ばしますぞ!」

 

夏希達が乗り込んだのを確認し、リムジンは大急ぎでその場から走り去って行く。そんな光景を……海東大樹は物陰から密かに眺めていた。

 

「やっぱりね……間違いない。この先に、僕の求めているお宝があるはずだ……!」

 

何かを確信したのか、海東はニヤリと笑みを浮かべながら右手で指鉄砲のポーズを取る。そして走り去って行くリムジンを追いかけるべく、彼もすぐにその場から姿を消すのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




仮面ライダーベルグ、本格参戦。彼は大ショッカーの科学者から厄介な物を盗んでやがりました。

今回召喚した怪人は『仮面ライダー剣』のバッファローアンデッド。ゾルダと同じバッファローモチーフで、【磁力を操る】という能力からエクシスの要素も兼ね備えています。
なお、本来のアンデッドは死ぬ事がない不死生物ですが、今回のバッファローアンデッドはあくまでカイジンライドで召喚されたコピー体に過ぎない為、普通に撃破可能です。

そして前回から今回にかけて登場したレーザーとイドゥンですが、今回は色々なネタを含ませてみました。

・海東はトレジャーハンター、レーザーは『爆捜“トレジャー”』という宝探しゲームが存在する
・海東と同様、イドゥンの変身者である藤果も潜入工作を得意とする
・どちらも鎧武者モチーフ
・どちらも藤田慧さんがスーツアクターを担当
・どちらも多人数ライダーの作品に登場する
・どちらも死亡経験あり(レーザーは後に復活したが)

まずはこんな感じ。
次はライアとレーザー、ファムとイドゥンで共通点を並べてみましょう。

☆ライア&レーザー
・最初に主人公と打ち解けたライダー
・どちらも一度死亡している(そして何らかの形で復活している)
・劇中では親友の死を引き摺っていた(ライア:斉藤雄一 レーザー:藍原淳吾)
・死ぬ前に事件の真相に辿り着く(手塚は優衣の不審な点に気付き、貴利矢は永夢と黎斗の繋がりやリプログラミングの存在に辿り着いた)
・使用武器に弓が存在する(ライア:エビルバイザーツバイ レーザー:ガシャコンスパロー)
・死ぬ前に取った行動が、後に味方をパワーアップさせた(手塚は蓮にサバイブ疾風のカードを渡し、貴利矢はリプログラミングのデータを遺していた)
・死後、自身を殺した敵に武器や能力を奪われる(ライアは王蛇にエビルダイバーを寝取られ、レーザーはゲンムにガシャコンスパローを奪われた)

☆ファム&イドゥン
・どちらも女性ライダー
・どちらも死亡経験あり
・料理が上手い(ただし、藤果はアップルパイのみ苦手)
・武器は剣と盾を使用する(ファム:ブランセイバー&ブランシールド イドゥン:ソードブリンガー&アップルリフレクター)
・復讐目的でライダーになった(夏希は姉を殺した浅倉威に、藤果は自分をモルモットにしたユグドラシル及び呉島家に)
・殺人を犯している(夏希:浅倉威 藤果:呉島天樹)
・想い人がいる(夏希:城戸真司 藤果:呉島貴虎)
・どちらも部外者によって殺害される(夏希はリュウガの騙し討ちに遭い、藤果は戦極凌馬に用済みと見なされ始末された)

……御覧のように、見つかっただけでもたくさんの共通点がありました。

ちなみに何故レーザーターボにしなかったのかと言うと、レーザーターボだと「どちらも鎧武者」という共通点ができない事、レーザーターボになってから貴利矢は一度も死亡していない事などが主な理由です。故に今回は敢えてレベル3をチョイスしました。






さて、ベルグにエビルダイバーのカードを奪われてしまった手塚。

彼はエビルダイバーのカードを取り戻せるのか?

その行く末は次回以降をお楽しみに。
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