リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

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はい、ラストの10話目です。

今回でエピソード・ディエンドは完結になります。無駄に凝った演出をやろうと無駄に考え続けた結果、完結に至るまで無駄に時間がかかってしまいました←

取り敢えずどうぞ。











BGM:Journey through the Decade Remix RIDE'Symphony'








エピソード・ディエンド 10

ベルグ変異態との決戦から数十分後。

 

ベルグの変身者―――ダーインが盗難事件の犯人だと判明し、彼が住んでいたと思われるアパートにも即座に局員達の捜査が入った。その結果、ダイヤや腕時計といった金品や博物館の展示物など、これまで彼が盗んできた盗品が次々と発見され、それらは全て本来あった場所へと返される事となった。

 

ダーインの扱いについては、表向きは犯人であると同時に連続失踪事件の被害者としても扱われ、管理局は現在も彼の行方を追い続けている……尤も、どれだけ探したところで、彼の姿を目撃する機会は永遠に訪れない訳なのだが。

 

「……つまりアレは、お前が契約のカードを破り捨てたせいで起こったアクシデント、という事で良いんだな?」

 

「そ、そういう事よ……あ、あの、鋭介? 何で私は正座させられてるのかしら?」

 

「なぁドゥーエ……俺はなぁ、お前があの泥棒と組んで鷹のライダーの素性を特定した件については何の文句もないんだよ。だが始末するならするで、もっと他にやり方があっただろうに……何で契約のカードを破り捨てるだけという、中途半端過ぎるやり方で実行しようと思ったんだろうなぁ?」

 

「い、いや、私だって、まさかあんな事になるなんて思ってなかったし……え、ちょ、鋭介? 何で私の頭を掴んで……ひぎぃっ!?」

 

「あ~あ、おかげで俺が余計に苦労させられる羽目になっちまってなぁ……この地味な苛立ちは一体どうやって発散すれば良いんだかなぁ~?」

 

「痛だだだだだだだだだだだだだだだ!? ちょ、悪かったです、私が悪かったから……あ、ちょ、待って、そこは痛いって!? 鋭介、あなた思ってたより握力が強いんだからもうちょっと手加減を……みぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

その裏で、二宮とドゥーエがこんなやり取りをしていた事も敢えて書き記しておこう。

 

一方、アルファード家の屋敷では現在どうなっているかと言うと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――海東大樹さん。あなたを捕まえさせて貰います」

 

仮面ライダーディエンド―――海東大樹は今、ギンガとティアナによって拘束されているところだった。スーマンが呼び出した修理屋の面々が屋敷の損壊した箇所を修理している中、中庭の椅子に座らされた海東は胴体をバインドで縛られ、退屈そうな様子で貧乏ゆすりをしている。

 

「やれやれ。せっかく事件の解決に貢献してあげたのに、この扱いはあんまりじゃないかな?」

 

「それはそれ、これはこれです。事情がどうあれ、あなたが博物館やこの屋敷に侵入して盗みを働こうとしていた事実は変わりありませんから」

 

「他の局員に突き出されないだけ、この処置はまだありがたい方だと思って下さい」

 

海東が仮面ライダーである事は、まだ他の局員達には知らせていない。彼も手塚達と同じように別の世界からやって来た存在である為、窃盗未遂の容疑で捕縛こそすれど、彼の処遇については元機動六課メンバーのはやて達とも相談しながら判断する形となったのだ。

 

「それにしても、まさか銃を使って変身するなんて。一体どんな仕組みなのかしら……?」

 

「こらこら、変に弄らないでくれたまえ」

 

当然、拘束中はディエンドライバーも没収されており、ディエンドライバーに興味津々な様子のティアナによって銃身を何度もスライドしてガシャガシャ弄られる始末である。その様子を見て小さく溜め息をつく海東に、夏希が後ろから声をかける。

 

「ねぇ海東。さっき『ノアの結晶』をやけに素直に返してたけど、一体何を企んでるのさ?」

 

「……何の話だい?」

 

「アンタみたいな泥棒があんなアッサリ返すって事は、何かしら裏があるだろうと思ってさ。まぁ、昔詐欺師やってた頃の勘なんだけど」

 

「……そんな考えに至る知恵を君が持っているとはね」

 

「うぉい、だいぶ失敬だな!?」

 

「あぁそうさ。僕が守ろうと思ったお宝はあそこにある」

 

夏希の突っ込みをスルーし、海東は屋敷のとある一室の窓を見上げる。その一室がどこの部屋の物なのか、海東の視線を辿った手塚は思い出した。

 

「『ノアの結晶』が収納されていた部屋……海東、お前は知っているのか? あそこに何があるのかを」

 

「その通り……尤も、僕にとっては大して価値のない代物だけどね」

 

「? どういう事だよ。アンタ、お宝が欲しかったんじゃないのか?」

 

「わかってないなぁ君達は」

 

海東の言おうとしている意味がイマイチ理解できない。首を傾げる手塚と夏希に対し、海東は首を振ってからフッと笑みを浮かべてから告げた。

 

「目に見える物だけが、価値のあるお宝じゃないって事さ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――えっと、ここかしら」

 

『ノアの結晶』が元々収納されていた、“氷壁のアルファード”の絵画が存在する一室。本来『ノアの結晶』を欲していたはずの海東がアッサリ『ノアの結晶』を返却して来た事にロザリーは困惑しつつも、その際に彼から一緒に渡された1枚の紙切れを見ながら、壁にかけられている絵画の前にやって来ていた。

 

(こんな所に、一体何があるって言うんですか……お父様(・・・)

 

ロザリーは『ノアの結晶』の入った箱を棚に置いた後、その手に持っていた紙切れに目を移す。そこに書かれていたのは……今は亡き父からの遺言だった。

 

『ロザリー お前がこれを読んでいる頃には、私はもうこの世にはいないだろう 最後に1つだけ、お前に頼みたい事がある』

 

(……どうして、今頃になってそんな事を)

 

自分に冷たく接し、父親としての優しさと愛情を捨て去った最低な男だ。ロザリーはそんな男の頼み事など、とてもじゃないが聞く気にはなれず、最初はこんな紙切れなど破り捨ててしまおうと考えていた……しかし、海東から告げられたあの言葉が、どうしても彼女の頭から離れないでいた。

 

 

 

 

『このお宝は、君にとっても知っておいた方が良い代物だろう』

 

 

 

 

()と同じだね……君はまだ、お宝の本当の価値を知らずにいる』

 

 

 

 

「……海東さん、あなたは一体……」

 

私に何を伝えたかったのですか。

 

こんな場所に、一体何があるというのですか。

 

その真意を確かめたい一心で、ロザリーはここへやって来た。彼女は箱を開けて『ノアの結晶』を取り出し、紙切れに書かれている手順に従って動いてみる事にした。

 

『ノアの結晶は所詮、それを守り抜く為の鍵でしかない 中央に埋め込まれている赤い宝石を、絵画の額縁に嵌め込めば、その鍵は開かれる』

 

(! 取れた……)

 

『ノアの結晶』の装飾として付いている、キラキラと輝きを放っている宝石。その中央部分にある赤い宝石に指の爪を上手く引っ掛け、少しだけ力を入れて引っ張る事で『ノアの結晶』から取り外したロザリーは、絵画の額縁に存在する小さな窪みの部分にその赤い宝石を嵌め込んだ。するとガコンッという音が鳴り、壁にかけられていた絵画が右横へと少しずつ動き始めた。

 

「こんな所に、こんな仕掛けが……!」

 

驚嘆するロザリーを前に、絵画の裏に隠されていた黒い金庫が現れる。ロザリーは金庫のダイヤルに手を触れ、紙切れに書かれている通りに回し始める。

 

(えっと、右26を4回……左91を3回……)

 

書かれている暗証番号の通りにダイヤルを回し、最後の数字を回す。そうする事で扉のロックが解除され、金庫の扉がゆっくり開けられていく。中には一体何が入っているのか。それを一刻も早く確かめたかったロザリーは金庫の中を覗き込み……その目を大きく見開かされる事になった。

 

「これは……!」

 

 

 

 

『私は病を患ってからという物、もう長く生きられる体ではなかった』

 

 

 

 

何故、父は冷たい人間になってしまったのか。

 

 

 

 

『ロザリー 小さい頃からお前は、私によく懐いてくれていたな』

 

 

 

 

何故、父は自分に『ノアの結晶』を守るように言い渡したのか。

 

 

 

 

『そんなお前を悲しませないようにするには……あぁする以外、他に方法が思いつかなかった』

 

 

 

 

そこにあったのは、父の真意を知るには充分過ぎる代物だった。

 

 

 

 

『しかしそれが、お前にもっと辛い思いをさせてしまっていた』

 

 

 

 

かつて、自分が父に渡そうと思っていた物。

 

 

 

 

『何を言ったところで、もはや言い訳にしかならん これからもずっと、私の事は恨んでくれて構わない』

 

 

 

 

父が受け取ってくれなかった以上、もはや何の価値もないと思い込んでいた物。

 

 

 

 

『それでも……最後に1つだけ、お前に伝えたかった』

 

 

 

 

それこそが、父が何よりも大事にしていた物だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ロザリー……今まで、すまなかったな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父の似顔絵。

 

かつて父に破り捨てられ、今はもう存在していないだろうと思っていたそれは、セロテープで丁寧に貼り直された状態で、金庫の中に保管されていた。

 

「ッ……どうして……」

 

それを手に取った時、ロザリーは声が震えた。頬の上を、雫が流れ落ちていくのを感じた。

 

「どうして、今になって……こんな物を渡そうとしたのですか……!」

 

隠さないで欲しかった。

 

自分の口でハッキリ言って欲しかった。

 

伝えたい物があるのなら……愛する父の口から、生きて伝えて欲しかった。

 

「言ってくれなきゃ……何も伝わらないじゃないですか……お父様……ッ!!」

 

父が病で亡くなった時は、一度も流れなかったというのに。

 

どうして今になって、涙が止まらないのか。

 

我慢したいのに、涙が溢れ出て来るのを止められない。セロテープの経年劣化した似顔絵を握り締めながら、ロザリーは何粒もの涙が零れ落ちていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――そういう事か」

 

同時刻。手塚達もまた、海東の口から告げられた“お宝”の真相を知らされていた。

 

「じゃあアンタ、それをロザリーに教えたくてこんな事を……?」

 

「勘違いしないでくれたまえ。何度も言うように、僕はお宝を守りたかっただけさ」

 

夏希の言葉を否定するように告げながら、海東はフンと鼻を鳴らす。

 

「あの紙に書かれていた内容を読んだ時点で、お宝の正体は何となくわかっていた。僕にとっては何の価値もない紙屑でしかない……けど、彼女にとっては違う」

 

真意を語りながら、海東は思い出していた。

 

かつて、自身が盗みを働いた際に失われてしまったお宝。

 

そのせいで母の想いに気付けず、母を憎みながら生き続けてしまった青年。

 

その青年とロザリー。親の真意を知らずに生き続けて来た2人の姿が、海東には重なって見えていたのだ。

 

「繋がりこそがお宝になる事もある……そのお宝は、決して失われてはならない」

 

「海東さん……」

 

海東が命を懸けてでも守ろうとしていたお宝。その意味がようやくわかった事で、ギンガやティアナ、夏希達も少しだけ柔らかい表情になる。

 

「なるほどねぇ~。アンタもアンタで、ちょっとは良いところがあるって事だ」

 

「よしたまえ、気持ち悪い」

 

「良いじゃん別に。このこの~♪」

 

「……お宝、か」

 

海東が嫌がるのも無視し、夏希は後ろから彼の頬を指先でチョンチョンと突っつき始める。鬱陶しそうに眉を顰める海東の表情を見ている内に、手塚の表情にも笑みが浮かび上がる。

 

「海東さん、あなたの思いは理解しました。ですが罪が罪である以上、一度私達にご同行願います。応じて頂けるのなら、決して悪いようにはしません」

 

捻くれているけど、根は悪い人じゃない。そう判断した事でギンガが代表して告げるが、海東は首を振ってそれを拒否する。

 

「僕の行き先は、僕だけが決める。残念だけど断らせて貰うよ」

 

「で、ですが―――」

 

「ところで、さっきからあそこにいるのは誰だい?」

 

「「「え?」」」

 

「……?」

 

海東が目配せで指し示した方角に、手塚達が一斉に振り返る。しかし彼等が見ている方角には、特に怪しい人物は見当たらない。

 

「? 海東さん、それらしい人物はどこに、も……」

 

ティアナが言いかけたところで、視線を戻した一同は気付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

椅子に座っていたはずの海東が、その場から姿を消していた事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「―――あれぇ!?」」」

 

「な、いつの間に……!?」

 

バインドでしっかり拘束していたのに、いつの間に抜け出したのか。手塚達はいなくなった海東を見つけ出そうと周囲を何度も見渡す。すると何かに気付いた夏希が指差した。

 

「あ、あそこ!!」

 

「「え!?」」

 

夏希が見上げながら指差した方向。その先には屋敷の屋根の上に立ちながら、中庭にいる手塚達を見下ろしている海東の姿があった。

 

「お前、どうやって抜け出した……!?」

 

「僕の手にかかれば、これくらいどうって事ないさ。あと、これも返して貰うよ」

 

「あ、それは……!?」

 

海東は右手に持ったディエンドライバーを見せつけ、ティアナが慌てて自身の懐を探る。海東はディエンドライバーをしまい、代わりに別の物を取り出した。

 

「あぁ、それから……『ノアの結晶』は手に入らなかったけど、お宝はちゃんと手に入った」

 

海東が取り出した物……それはダーインが盗み出していた、古代生物の化石だった。

 

「「「……あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」」」

 

「この世界のお宝、確かに頂いたよ……じゃあね☆」

 

あの騒ぎの中、どさくさに紛れて盗み出していたのだ。海東は満足した様子で指鉄砲のポーズを取ってから、屋根から飛び降りてどこかに走り去って行く。当然、このまま見逃すギンガ達ではない。

 

「ちょ、海東さん、いつの間に盗んだんですかそれー!?」

 

「あぁもう、ちょっとだけ見直してやったのに結局これかよ!!」

 

「待ちなさい、コラァー!!」

 

走り去って行く海東をギンガ、夏希、ティアナが慌てて追いかけ始める。ただ1人、中庭に取り残された手塚は呆然と見ている事しかできなかった。

 

「……嵐のように過ぎ去って行ったな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、しつこいねぇ君達も」

 

 

 

 

「「「待て、泥棒ーッ!!!」」」

 

 

 

 

盗難事件の中、『ノアの結晶』を巡って繰り広げられた戦い。

 

 

 

 

それは1人の青年と3人の女性による追走劇が行われる形で、幕を閉じる事になるのだった。

 

 

 

 

盗む物はきっちり盗む……それがこの男、海東大樹なのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから翌日……

 

 

 

 

 

 

「ほあぁぁぁぁぁ……!」

 

高町家の食卓。フェイトの目の前に広がっていたのは、手塚のお手製である豪華な料理の数々。仕事続きで疲れが溜まりに溜まっていたフェイトは、この暖かい手料理の数々を前に歓喜の表情を浮かべていた。

 

「うわぁ、すご~い! 手塚さん、どうしたんですかこの料理?」

 

「先日の事件のお礼という事で、アルファード家の人達からたくさんの食材を譲り受けてな。せっかくだから今日の夕食に使わせて貰う事にした」

 

「パパの料理、美味しそ~う!」

 

手塚の用意した豪華な手料理にはフェイトだけでなく、なのはとヴィヴィオも目を輝かせるほどだった。彼女達の素直な感想に笑みを零しつつ、手塚は使い終わったフライパンを洗剤で洗い終える。

 

「む、そういえばマヨネーズを出し忘れていたな……ヴィヴィオ、冷蔵庫から取って来てくれるか?」

 

「は~い!」

 

ヴィヴィオが冷蔵庫にマヨネーズを取りに行く中、席に座ったフェイトはテーブルに並ぶ料理を見ながら幸せそうに涙を流していた。

 

「暖かい手料理が目の前に……私、生きてて良かったぁ……!!」

 

「お、お仕事大変だったみたいだね、フェイトちゃん……」

 

「そう言って貰えるだけでも、作った甲斐はあるな……遠慮はいらない、先に食べていてくれ。俺はこれを洗い終えてからにする」

 

「はい、頂きます!!」

 

「それじゃ私も、頂きま~す♪」

 

いろんな人達から本気で心配されていたフェイトだが、本人がこれだけ幸せそうなら大丈夫だろう。手塚がそんな事を思いながらも洗ったフライパンを拭いている中、早速料理を食べ始めたなのはとフェイトはスプーンで掬い上げてから一口目を頬張った。

 

「「……美味しい~♡」」

 

「あぁ~、ママとお姉ちゃんだけズルい! ヴィヴィオも食べる~!」

 

「あぁ、その前にヴィヴィオ。ちょっとこっちに来てくれ」

 

「う?」

 

なのはとフェイトが幸せそうに料理を食べているのを見たヴィヴィオがテーブルまで向かおうとした時、綺麗に洗い終わったフライパンを片付けた手塚が呼び止める。彼は駆け寄って来たヴィヴィオの前でしゃがみ込んだ後、ポケットから取り出した1枚のカードをヴィヴィオに差し出した。

 

「お前に、渡しておきたい物がある」

 

「! パパ、これ……」

 

手塚が差し出したのは、あれから使わずに終わった封印(シール)のカード。アドベントカード自体はヴィヴィオも知っていたが、カードの絵柄については彼女も知らない物だった。

 

「お守りのカードだ。これを持っている限り、鏡の中の怪物がお前を襲う事はできない」

 

「パパ……」

 

「パパや夏希が傍にいない間も、このカードがお前を守ってくれる……持っていてくれるか?」

 

「……うん! ありがとう、パパ!」

 

封印(シール)のカードを受け取り、感謝の気持ちを露わにするヴィヴィオ。そんな彼女の笑顔を見て手塚もにこやかに笑い、彼女の頭を撫でてから立ち上がる。

 

「さ、俺達も食べよう」

 

「うん! 早くしないと、ママとお姉ちゃんに全部食べられちゃう!」

 

その後は手塚とヴィヴィオも席につき、先に食べているなのはやフェイト達に続くように夕食を食べ始める。美味しそうに料理を食べるヴィヴィオ達の姿を見ながら、手塚は先日の戦いで海東から告げられた言葉を思い出す。

 

 

 

 

『繋がりこそがお宝になる事もある……そのお宝は、決して失われてはならない』

 

 

 

 

(海東……お前の言う通りだ)

 

ヴィヴィオ達が笑顔でいられる、ごく普通の平和な日常。彼が心から守りたいと思える“お宝”は、彼の目の前には広がっていた。

 

(失いたくない……そう思っている自分がここにいる)

 

これこそが、自分が戦い続けようと思えた一番の理由なのだと。今回の事件を経て、手塚はそれを改めて認識させられる事となった。

 

(……と、そういえば)

 

先程ヴィヴィオに渡した封印(シール)のカード。そのカードが切っ掛けで、手塚はある事を思い出した。

 

(二宮は言っていた。何者かが、俺にカードと写真を渡すように頼んで来たと……一体、誰がそんな事を……?)

 

そしてもう1つ、彼は夏希から聞かされている事があった。それはベルグとの戦いの最中に姿を見せたという、謎の赤い仮面ライダー。その事を脳裏に浮かべながら、手塚は口に運んだスープの味を堪能していく。

 

「……これから先、また忙しくなりそうだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、とあるビルの屋上……

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ出発するとしようかな」

 

あの後、ギンガ達の追跡を見事振り切る事に成功した海東。満月が夜空に浮かぶ中、彼は目の前に広がる街の風景を一目眺めてから、この世界を旅立とうとしていた。

 

「世界には、僕の知らないお宝がまだいくつも存在している……いつの日か、またこの世界にやって来る事があるかもしれない」

 

海東が構えた指鉄砲のポーズ。それはこの場にいない、手塚達に対して向けられた物だった。

 

「次に僕がやって来た時、君達(・・)の守り抜いたお宝が、一体どれだけ価値のあるお宝に変わっているか……楽しみにしているよ」

 

銀色のオーロラへと消えていく直前で、海東が言い残した言葉。

 

それは、今を生きて戦い続けている仮面ライダー達に対する、海東なりの1種のエールでもあったのだった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パシャッ!

 

「―――帰っちゃったみたいだねぇ、あの泥棒さん」

 

銀色のオーロラへと消えていく海東。その光景を、離れたビルから双眼鏡越しに見届けている人物がいた。その青年は双眼鏡をしまい、首にかけていたカメラのシャッターを切って夜の街の風景を撮影する。

 

「ま、事件は一応解決したみたいだし、俺もそろそろ戻りましょっかねぇ。じゃないとまたアイツ(・・・)にどやされちゃうだろうし―――」

 

 

 

 

キィィィィィン……キィィィィィン……

 

 

 

 

「……うっそぉん、こんな時にぃ?」

 

モンスターの接近を知らせる金切り音。青年はげんなりした様子で階段を降りて行き、取り敢えず一番近くの窓ガラスに近付いていく。その窓ガラスには、ディスパイダー・クリムゾンの姿も映り込んでいた。

 

「はぁ、しょうがないなぁ」

 

『キシシシシシ……!!』

 

「わかってるって、そんな急かさないでよ……餌はちゃんと用意するからさ」

 

そう言って、青年は懐から取り出した赤いカードデッキを右手で宙に放り投げ、左手でキャッチする。そのカードデッキには……蜘蛛を象った金色のエンブレムが刻み込まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベルグとの戦いの中、夏希が出会ったという謎の仮面ライダー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この青年もまた、後に手塚達と深い関わりを持つ事になるのだが……今はまだ、もう少し先のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




はい、という訳でエピソード・ディエンドもこれにて完結です!

通常の本編では龍騎ライダーしか出せない関係上、せっかくだから番外編ではたくさんのライダーや怪人を出したいと思い、そうして書き上がったのが今回の物語です。
ちなみに今回チョイスしたBGMですが、作者の場合はディケイド第17話(カブトの世界編)でのソウジとマユのお別れシーンが一番印象に残っています。良いよね、この曲。

実を言うと、当初は門矢士こと仮面ライダーディケイドも登場する予定でした。しかし今回はディエンドのみに絞った方が話を纏めやすいと判断し、ディケイドはお休みする形になりました。もしかしたら今後、第2部のストーリーが終わった後に今度はディケイドが主人公の番外編を書く事になるかも……?
その場合、果たして第2部ストーリーを無事に書けるかどうかの問題になってくる訳なんですが←

今回、海東が守ろうとしていたお宝は至ってシンプル。親子の繋がり……それは超・電王トリロジーで海東が出会った青年―――黒崎レイジと同じような感じです。かつて自分が対峙した事のある彼とロザリーが重なって見えていたからこそ、海東は今回の戦いに命を懸けてまで、お宝を守り抜いたのです。
正直に言うと自分、超・電王トリロジーでの海東が凄く好きです。それ故、今回の番外編でも似たような経緯で物語に関わらせる事にしました。
まぁ、ちゃっかり化石盗んじゃってるけどな!←
ちょっと良い感じになった雰囲気を敢えて台無しにする、それが海東クオリティ。

一方、今回は最後まで裏方に徹していた仮面ライダーアイズ。
実を言うと、アイズに関しては意図的に出番を少なめにしました。これはMOVIE大戦とかでよくある、先行登場ライダーみたいなイメージで書いています。
彼が本格的に関わって来るのは、第2部のストーリーが始まってから。謎だらけな仮面ライダーアイズと出会った時、手塚達がどんな反応を示すのか……今後をお楽しみに。

さて。今後の予定ですが、次の更新で仮面ライダーベルグのキャラ設定を載せた後、今度はTVSP版を題材としたEXTRAストーリー『15RIDERS』をこの作品とは別に分ける形で投稿していく予定です。
予告はちょっと前に既に投稿している為、今回は省略。

それではまた!
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