リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ   作:ロンギヌス

93 / 160
先程までこっちに上げていた『15RIDERS』ですが、諸事情でこれとは別の小説として投稿する事にしました。
詳しい事は活動報告にて。

こちらでは『15RIDERS』に代わり、ナンバーズ更生組のとある日常を描く『エピソード・ナンバーズ』を上げていこうと思います。こちらはちゃんと龍騎キャラとなのはキャラの両方が登場します。

なお、今回のエピソード・ナンバーズですが、内容は今までのようなシリアス要素を抜いた完全な息抜き回です。その為、本作のシリアスキャラに該当する二宮、ドゥーエ、オーディンの3人は今回は一切登場しませんので悪しからず。

それではどうぞ。



エピソード・ナンバーズ 1

かつてジェイル・スカリエッティによって生み出された、12人の戦闘機人。

 

聖王のゆりかごを起動させた戦いの末、No.1、No.3、No.7はスカリエッティと共に拘置所に収容され、No.2とNo.4は消息不明扱いとなり、それ以外の面々は管理局の更生施設にて更生プログラムを受ける事となった。

 

今回は、その更生組がどのようにして過ごしているのか注目してみよう―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ皆、今日の分の課題もさっさと終わらせてしまおうか!」

 

「「はーい♪」」

 

「行儀が悪いぞ、お前達」

 

管理局海上保護施設。ナンバーズ更生組の面々は現在、同じく更生プログラムを受ける事を志願した青年―――斉藤雄一と共に、この日のカリキュラムを終えようとしているところだった。

 

「む? セイン、ここの計算を間違えてるぞ」

 

「え? うわ、ホントだ!」

 

「えぇっと、これどうやって解けば良いんスか……?」

 

人工芝や木々が特徴的なこの施設の中で、更生プログラムの指導役を担当しているギンガ・ナカジマから渡された課題を終わらせて提出する事が、この日の彼女達がするべき事。しかし、かつてスカリエッティの下で戦闘訓練ばかり積まされ、一般人としての常識が欠けていた彼女達は、この1つ1つの課題をクリアするのにだいぶ苦労しているようだ。

 

「あぁ、そこの問題はね。ここの計算式が……」

 

「ふむふむ……あ、解けた! ありがとッス雄一兄!」

 

「うん、どういたしまして」

 

そんな彼女達を補助しているのが雄一である。彼は元々は普通の一般人だった事、それからNo.1のウーノにミッド語を一通り教わっていた事もあってか、更生組の中では真っ先にこの日の課題を終わらせていた。その後はまだ課題が終わらず苦戦しているナンバーズ(主にウェンディ)の為に、1人1人丁寧に問題の解き方を教えて回っているところだ。

 

「雄一兄って教え方上手だよねぇ」

 

「ホントホント、おかげでこっちは大助かりッス!」

 

「あのなぁ、お前達。少しは自分の力で解く事を覚えてみたらどうだ?」

 

「まぁまぁチンクさん。今回の課題は確かに難しい問題が多かったですし、これくらいは仕方ありませんよ。俺なんかで良ければ、教えられる範囲までは教えますから」

 

「気持ちはありがたいが雄一。たまには自力で解かせんと、妹達の為にならんのでな」

 

スカリエッティの研究所(ラボ)にいた頃から、雄一は調理係として食事を用意したり、自分が教えられる範囲でナンバーズ後期組に勉強を教えたりしていた。その頃の雄一は浅倉威/仮面ライダー王蛇との一件で大変な事もあったりしたが、その頃からナンバーズに向ける優しさは変わらずにいる為、雄一に対するナンバーズからの好感度は非常に高いのである。

 

「お兄ちゃん」

 

「ん、どうしたのルーテシアちゃん?」

 

それはこの少女―――ルーテシア・アルピーノも同じである。かつて目覚めぬ母親―――メガーヌ・アルピーノを目覚めさせる為にスカリエッティの計画に賛同していた彼女もまた、雄一の優しさに触れた事で人間らしい感情を露わにするようになり、今では明るい表情を見せる事が多くなっていた。

 

「ここの問題、解き方を教えて」

 

「あぁ、ここの問題はね……」

 

ルーテシアから問題の解き方を聞かれ、1つ1つ丁寧に教え始める雄一。そんな2人の様子はまるで本物の兄妹のようであり、傍から見ているナンバーズ達を暖かい気持ちにさせていた。

 

「なんかこうして見ると、本当に兄妹みたいだよねぇ~あの2人」

 

「そういえば、ルーお嬢様って雄一兄の事が好きなんスかね? 見た感じだと凄く嬉しそうに見えるッスけど」

 

「セインの言う通り、どちらかと言うと兄妹のような感じだろうな。雄一の表情からして、あれは妹分に対して向けている目だ」

 

「な~んだ。もしそういう関係だったら、ちょっとだけからかってやろうと思ってたんスけど……あいた!?」

 

「余計な事はせんで良い」

 

「……なぁ、チンク姉」

 

余計な一言を呟いたウェンディがチンクに頭を叩かれる中、今まで黙って見ていたノーヴェが口を開いた。

 

「あの2人は良いけどさぁ……あっちは放っといて良いのかよ?」

 

「「「あっち?」」」

 

ノーヴェに指差された方向にチンク達が振り返る。その先には……

 

「……」

 

少し離れた位置の木に背を付けながら、体育座りで雄一とルーテシアの様子を眺めているディエチの姿があった。ポケェ~……とした様子で微動だにしておらず、その姿にチンク達は思わず言葉を失った。

 

「デ、ディエチ姉……?」

 

「前からずっとあんな調子だよ。何か変なもんでも食べたんじゃねーかって思うくらい」

 

「お、おい、大丈夫かディエチ?」

 

チンクが恐る恐る声をかけてみるが、ディエチの反応はない……が、よく見るとディエチの口が一瞬だけボソリと何かを呟いた。それに気付いたチンク達が耳を澄ましてそれを聞き取る事にした。

 

「……良いなぁ」

 

聞こえて来たのはその一言だけ。しかし、その一言を呟いた時のディエチはどこか、頬が少しだけ赤く染まっているようにも見えた。そしてディエチの視線の先にいる雄一とルーテシア……というより視線は明らかに雄一の方に向いている。それらの要素から、チンク達は察した。

 

(……え? これ、マジの方ッスか?)

 

(いやこれ、もしかしなくてもそういう事だろ)

 

(うわぁ、普通にあり得そうだよ……というか、昔はあそこまで表情豊かじゃなかった気がするんだけど!)

 

(ふむ。まさかとは思うが、これは本当に……)

 

ディエチの反応からして、もしかしなくてもそういう事なのだろう。チンク達が聞こえない程度の声でひそひそ話し合う一方……

 

「「……」」

 

同じく黙って見ていたオットーとディードが、密かにディエチの方に視線を向けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――はぁ」

 

その日、全員が課題を終わらせてギンガに提出し、その後は自由時間となった更生組一同。ただし、スカリッティの手でレリックウェポンとなった雄一とルーテシアは専用の検査を受けなければならない為か、現在はこの2人だけが不在の状況だった。

 

(……駄目だ、集中できない)

 

そんな中、芝生の上に座りながら読書をしていたディエチ。しかしイマイチ読書に集中できないのか、彼女はまだ読み終わっていない本を閉じてから、芝生の上に仰向けで寝転がる。

 

(いつからだろうなぁ……雄一さんを見るたびに、胸がドキドキするようになったのは……)

 

今までは、ここまで胸がドキドキするような出来事はそうそうなかった。しかし今では、雄一の顔を見るたびに何故か頬が熱くなり、いつからかそちらに意識を向けてしまうようになっていた。特に雄一が楽しそうな笑顔を浮かべている時は、心臓の高鳴りが普段よりも凄い事になっている。

 

「雄一さん……」

 

この日もまた、雄一は更生組全員に勉強を教えてくれた。その事はディエチも凄く感謝している。しかし、今の彼女には感謝以外の気持ちも少なからず存在していた。

 

「雄一さん……」

 

この日もまた、雄一はいつものようにルーテシアに勉強を教えていた。

 

もし、そこにいるのがルーテシアではなく自分だったら。

 

もし、彼に笑顔を向けられているのが自分だったら。

 

もし、その笑顔を独り占めにできるとしたら。

 

(……って、何考えてるの私!?)

 

そこまで考えた直後、ディエチは顔を赤くしながら慌てて首を振る。しかしどれだけ頭の中のイメージを掻き消そうとしても、彼女の脳裏から雄一の姿が消える事はない。

 

(何で……何でこんなに……!)

 

気付いたら、先程よりも胸の鼓動が早まり始めていた。自分が着ている白いシャツの胸元をギュッと掴みながら、自分の心臓がドキドキしている事を認識する。

 

「私……もしかして、雄一さんが……」

 

 

 

 

 

 

「「雄一様がどうかしましたか?」」

 

 

 

 

 

 

「うわぁっ!!?」

 

仰向けに寝転がるディエチの顔を、真顔で覗き込んで来たオットーとディードの2人。突然目の前に2人の顔が現れた事で、ディエチは驚いてすぐさま起き上がった。

 

「オ、オットーにディードか……びっくりさせないでよ」

 

「失礼しました。しかし、先程からやけに顔を赤くしたり首を何度も振ったりしていたもので」

 

「気になって、つい声をかけてしまいました」

 

「え……私、そんな事してた?」

 

「「してました、思いっきり」」

 

「声を揃えて言われた!?」

 

真顔で、しかも声を揃えて言われる羽目になり、ディエチはますます顔が赤くなる。しかしオットーとディードの容赦のなさは留まるところを知らなかった。

 

「しかも途中、雄一様の名前を何度も呼んでおられました」

 

「そのたびにディエチ姉様の顔がどんどん赤くなっておりましたし……」

 

「わかったもう良い、もうわかったから!!」

 

「それはつまり……」

 

「雄一様に惚れた、という事でしょうか?」

 

「ちょ、2人共そんなストレートに……!?」

 

「「どうなのですか?」」

 

「~~~~~ッ!!」

 

容赦なく畳みかけて来るオットーとディードに、ディエチは恥ずかし過ぎるあまり両手で顔を覆い始めた。その恥ずかしさは、雄一の名前を声に出していた先程までの自分をビンタしたくなるほどだ。

 

「……それ、答えなくちゃ駄目?」

 

「「ワクワク」」

 

オットーとディードは目を輝かせ、ディエチの返答を待っている。JS事件の頃は感情の起伏が乏しかったはずなのに、何が切っ掛けでここまで好奇心旺盛になったのか。そんな疑問はさておき、純粋な目を向けながら返答を待つオットーとディードを前に、ディエチは観念して白状する事にした。

 

「……そうだよ。私、雄一さんの事が好きになっちゃったみたい」

 

「「おぉ……!」」

 

ディエチから予想通りの返答を聞けたからか、オットーとディードは更に興味津々な様子で、早く話の続きを聞きたいと言いたげに目を輝かせる。そんな2人の反応に気付いているのか否か、ディエチはまだ僅かに頬を赤くしながら話を続ける。

 

「ドクターの研究所(ラボ)にいた頃から、雄一さんにご飯を作って貰ってさ。その時はまだ、感謝の気持ちくらいだったんだ……でもあの時」

 

研究所(ラボ)の廃棄場に捨てられていたオンボロのピアノで、雄一が演奏してみせた時の事。たとえ音程がおかしくとも、それも大して気にせず、楽しそうに演奏している時の雄一の姿が……ディエチの目にはとてもカッコ良く映っていた。その時から既に、彼女は雄一の事が気になり始めていたのだ。

 

「ですがディエチ姉様。なのはさんから聞いた話では、確か……」

 

オットーとディードは、ゆりかごの戦いで起きた出来事をなのは達から聞かされていた。しかしディードがその事に触れる前に、ディエチが手で制する。

 

「うん……でも、私は気にしてないよ。今の雄一さんが笑顔でいてくれているなら、私はそれだけでも充分だから」

 

手塚達の活躍で、雄一は身も心も無事に救い出された。アルピーノ親子も救われ、雄一も心からの笑顔を浮かべられるようになった。それだけでも、ディエチは充分満足なつもりだった。

 

 

 

 

 

 

「「―――だそうですよ、お姉様方」」

 

「……へ?」

 

突如、オットーとディードがそんな事を言い出した。思わず変な声が出たディエチの前に、近くの草木に隠れて聞いていたチンク・セイン・ノーヴェ・ウェンディが姿を現した。

 

「す、すまないディエチ。私からはやめるように言ったのだが……」

 

「ヒュ~♪ いやぁ~お熱いねぇ~♪」

 

「これはまた、良い事を聞いちゃったッスねぇ~♪」

 

「わ、わりぃディエチ。あんまこんな事言うべきじゃないんだろうが……聞いてて砂糖吐きそうになった」

 

「……ッ!!!」

 

どうやら、チンク達にも全部聞かれていたようだ。ディエチは羞恥のあまり、自分の顔がトマトのように真っ赤になっていくのをハッキリと感じ取っていた。

 

「いやぁ~まさか、ディエチ姉が雄一兄の事を好きになっちゃってたとはねぇ~♪」

 

「うぅっ……お、お願い皆、雄一さんには内緒にして……! こんな事を雄一さんに聞かれたら……!」

 

「あ、雄一さん帰って来た」

 

「うわっひゃい!?」

 

そんなディエチの後ろから、いつの間にか検査を終えた雄一とルーテシアが戻って来ていた。雄一が戻って来ている事に全く気付かなかったディエチはおかしな悲鳴が上がり、雄一は彼女がそこまで驚いている理由がわからず首を傾げる。

 

「ディエチちゃん、どうしたの? 今何か悲鳴のような物が聞こえたけど……」

 

「あぁ、それはねぇ雄一兄。実はディエチ姉が……むぐぅ!?」

 

「な、なななな何でもないよ雄一さん!! うん、大丈夫だから!!」

 

「そ、そう? それなら良いんだけど……」

 

危うく口を滑らせそうになったウェンディを、ディエチが後ろから口を塞いで黙らせる。必死な様子のディエチに雄一が思わず圧倒される中……ディエチが顔を赤くしている理由に気付いていたルーテシアは、ディエチに対してジト目を向けていた。

 

「……お兄ちゃんは渡さない」

 

(やれやれ、色々大変な事になってきてしまったな……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜。何とかディエチを落ち着かせる事に成功したチンク達は自分達の部屋に戻り、雄一を除く面々で話し合い始めた(雄一は既に自分の部屋で就寝している)。

 

「ほ、本当に、本当にお願いだから内緒にしててね皆……!!」

 

「いや言わねぇから、そんな強く頼まんでも」

 

「でも、本当に良いんスかディエチ姉? 雄一兄に自分の気持ちを伝えなくて」

 

「そ、それは……急にそんな事しても、雄一さんに迷惑かけちゃうかもしれないし……」

 

「それならもう、勉強に付き合って貰ったり食事を用意して貰ったりと充分かけていると思うのですが」

 

「うぐっ」

 

オットーの言葉がグサリと突き刺さり、言葉に詰まるディエチ。そんな時、話を聞いていたチンクはここで1つの提案をする事にした。

 

「それならば、何かプレゼントでも渡してみるのはどうだろうか」

 

「「「「「「プレゼント?」」」」」」

 

「……!」

 

チンクの言葉に全員が食らいついた。その話にはディエチを無言で睨みつけていたルーテシアも反応する。

 

「ギンガの話によると、そういう時は何か贈り物を渡す事で、感謝の気持ちを示すのが一番らしい。ちょうど良い機会だ。これまで世話になった身として、私達で何か雄一に贈り物を渡してみるというのはどうだ? これなら別にディエチ1人だけの問題ではあるまい」

 

「贈り物、か……」

 

「へぇ、何か良いッスねそれ!」

 

「うん、良いんじゃない? ノーヴェはどう?」

 

「い、いや、アタシは別にそんなのどうだって……」

 

「贈り物……うん、私は良いと思う」

 

チンクの提案に、(ツンツンしているノーヴェや先程までディエチを睨んでいたルーテシアも含め)その場にいる全員が賛同した。それだけ、彼女達の雄一に対する感謝の気持ちが大きいという事だろう。しかし……ここで早速、1つの問題にぶつかる事となる。

 

「ですが……贈り物と言っても、一体何を贈れば良いのでしょうか」

 

「それは……何だろう」

 

ディードの呟いた疑問に、一同は一斉に悩み始める。贈り物をしたいとは言っても、実際に何を贈れば雄一は喜んでくれるか。真面目に考える彼女達だったが、なかなかそれらしい答えは浮かび上がって来ない。

 

「……ここは1つ、他の皆の協力も借りるとしようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、彼女達のちょっとした計画は始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その計画は成功するのか、それとも失敗するのか……はてさて、どうなる事やら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

To be continued……

 




今回ようやく、雄一に対する恋愛感情が明らかとなったディエチさん。今はまだ、雄一に対しては自身の好意を内緒にしておきたい様子。他の姉妹達には思いっきりバレた挙句、ルーテシアからは睨まれる羽目になりましたが←

そんなディエチの気持ちに、今はまだ気付いていない雄一。親友の手塚はフェイトの好意に気付いていますが、雄一の場合は果たして……?

ナンバーズ更生組&ルーテシアによって始まった贈り物大作戦。
その行く末や如何に。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。