キルバス強そうっすねぇ~……なんて思ってたところにエボルト!?
お前消えたんじゃなかったんかい!?
というか万丈と手を組むってどういう事なの!?
つーかカズミンとヒゲは何故またライダーに変身してんの!?
……とまぁ色々な事を言っておりますが、とにかく発売が楽しみになったのは確かです。
さて、今回からエピソード・アビスの始まりです。
手塚がミッドにやって来る前、ミッドではどのような出来事があったのか……ぜひともご覧下さいませ。
それではどうぞ。
『お前と同じ、悪い人間だよ』
ある男が、ある女に向かってそう言った。
『ッ……それは一体、どういう意味かしら……?』
『言葉通りの意味だ。俺は人として褒められないタイプの人間という事だよ……お前もそうだろう?』
男は手にしていたガラスの破片を放り捨て、うつ伏せに取り押さえられている女の前でしゃがみ込む。女は目の前の男を睨みつけるが、男はそれに微塵も怯む様子はない。
『ひとまず、お前はまだ殺さないでおいてやる。お前は生かしておいた方が利用できそうだからな』
『アンタねぇ……こんな事しておいて、タダで済むと思っているのかしら』
『従わないなら、コイツ等の餌になるだけだ』
『『シャアァァァァ……!!』』
2体の怪物が唸り声を上げながら、取り押さえている女を威嚇する。怪物達の口元から垂れた涎が落ちていき、それが頬に落ちた女は表情を歪める。
『利用できそうとは言っても、絶対に必要という訳でもない……だがお前は、まだ死ぬ訳にはいかないんだろう? お前の言うドクターとやらの計画の為にも』
『ッ……アンタ、性格悪いわよ……!!』
『俺にとっては誉め言葉だ……さぁ、どうする? 俺と手を組むか、それとも組まないか』
この状況、女からすれば選択肢などあってないような物だった。従えば男の思い通りに動かされる。従わなければ怪物達の餌にされ、ドクターの計画を遂行できなくなる。彼女に与えられた選択肢は、最初から1つだけだ。
『……最悪の気分ね』
自分を取り押さえているこの怪物達は一体何なのか。この男はどうやって怪物達を従えているのか。女はまずそれが知りたかった。故に彼女は抵抗を諦め、敢えて彼の言葉に従う事にした。上手くやれば、この怪物達も、この男が持つ力も利用できるかもしれないと。
『精々、私の前で隙を見せない事ね……』
『そうか……では、肝に銘じておくとしよう』
今ここに、2人の悪い人間による協定が結ばれた。男が指で合図をする事で、女を取り押さえていた怪物達が女を解放し、窓ガラスの中へと吸い込まれるように姿を消していく。解放された女は自身の長い金髪を掻き上げ、自身の首元を手で押さえた。
『痛っ……酷い事するじゃない。女の肌に傷を付けるなんて』
『予防策だ。お前が俺を裏切ろうものなら、さっきの奴等がお前を即座に喰い殺す』
女の首元に付けられた切り傷。そこから僅かに流れ落ちる赤い血が、傷口を押さえていた彼女の右掌に付着し、女は不機嫌そうな表情を隠す事なく男に愚痴を零す。
『本当、悪い男ね……で、そろそろ名前を聞いておこうかしら』
『そうだな。俺もお前の名前を聞いておくとしよう』
『私の名はドゥーエ。よろしく、
『二宮鋭介だ。よろしく願おうか、
それから約半年後……
「―――すぅ、すぅ」
とあるオンボロのアパート、とある一室。ドゥーエはベッドの上で暖かい布団に包まり、心地の良い眠りについていた。そんな彼女は現在、上半身は黒いブラジャー、下半身は黒いショーツ以外に何も着ておらず、彼女の綺麗な肌が剥き出しにされた扇情的な格好である。女性のエロい体に目がない男が見れば、彼女の恰好に魅了される事は間違いない事だろう。
ピピピピッピピピピッ!
「……んん」
窓ガラスから明るい日の光が照らされ始める中、ドゥーエの耳元でうるさく鳴り響く目覚まし時計の音。意識が浮上したドゥーエは目を開けると、うるさい目覚まし時計の音に表情を歪ませ、布団の中から伸びた彼女の右手がだるそうに目覚まし時計のボタンを押す。
ピピピピッ……
「……んふぅ」
目覚まし時計の音が止み、歪んでいたドゥーエの表情が笑顔に戻る。そこから先はまた布団に顔を潜らせ、再び気持ちの良い深い眠りへと意識を沈めていく―――
「さっさと起きろ寝坊助女」
「ふぎゃあっ!?」
―――事はできず、先に起きていた二宮によってベッドから蹴り落とされる事となった。床に落とされたドゥーエは思いきり頭を打ちつける羽目になり、彼女から布団を引っぺがした二宮は畳んだ布団を回収し、代わりに用意した掃除機でベッドのシーツを掃除し始めた。
「痛つぅ~……ッ……ちょっと、起こし方が乱暴過ぎるんじゃないの……?」
「休みだからって二度寝しようとするお前が悪い。目覚ましが鳴ったらさっさと起きろ。部屋の掃除ができん」
「もぉ、良いじゃない休みの日くらい。こっちは仕事で疲れてんのよ……全く、ケチなんだから」
掃除機の音で聞こえていないのか、ドゥーエの愚痴を無視してベッドの上を掃除している二宮。叩き起こされた挙句無視までされたドゥーエは若干イラっとした表情を浮かべるが、何とか我慢して床から立ち上がり、着替えの服を持って浴室まで移動していく。
(せっかく人が気持ち良く眠ってたのに、本当最悪ね……)
この二宮鋭介という男、ドゥーエに魅了されるであろう「エロに目がない男」の部類には到底当て嵌まらないほどの冷血漢だ。そもそもこの2人、一番最初の出会いからもう既に最悪な展開であり、彼はドゥーエを脅迫する事で無理やり彼女が住むこの住居に自分も住み着き始めた。当初は利用されている苛立ちから、何度か彼を殺してやろうと画策した事がある彼女だが……
(……案の定、窓のカーテンは全開だし)
その暗殺は全て失敗に終わっている。普段はソファで寝るようにしている二宮は、寝ている間も窓のカーテンを全開にし、ソファの近くにはガラスで出来ている机を置いている。おまけに壁には小さな鏡をかけていたり……要するに彼の周囲には、
キィィィィィン……キィィィィィン……
「……コイツ等はコイツ等でまだ睨んでるし」
『『グルルルルル……』』
二宮が寝ている間も、彼の契約モンスターであるアビスラッシャーとアビスハンマーの2体が窓ガラスやガラス製の机を介してドゥーエを監視している。少しでも妙な動きを見せれば、この2体は即座にドゥーエに襲い掛かろうとするだろう。この2体に襲われないよう先に窓のカーテンを閉めようとしたり、机を布で隠そうとしたりなどしても2体は同じような反応を見せる為、彼女はいつしか二宮の暗殺を諦め、現在はこうして大人しく彼と一緒に生活しているのである。
「はぁ……安心しなさいよ。今更アイツを殺そうとしたりなんかしないから」
ドゥーエがそう言っても、浴室の鏡に映り込んでいるアビスラッシャー達は未だ威嚇を続けており、ドゥーエに対する警戒を解こうとしない。ドゥーエは小さく溜め息をついてから、着替えのジーンズを履き、上には大きめの白いTシャツを着込み、着替えを完了するのだった。
「あら、今日も豪華なのを作ったわね」
その後、ドゥーエは二宮が用意した朝食にありつく事にした。彼女の前にはふんわりとした白いご飯、こんがり焼け目のついた赤いシャケ、芳醇な香りのする味噌汁、そして小皿に乗った白菜の漬け物。それらは一目見たドゥーエが目を輝かせるほどだったが、逆に二宮は彼女の大袈裟な反応に少しだけ呆れた様子を見せていた。
「あ、味噌汁だ。これ美味しいから好きなのよねぇ~」
「こっちの世界にも味噌汁があると知った時は、流石の俺も素直に驚いた……というか、それくらいの朝飯はむしろ普通だろう。今までどんな食生活を送ってたんだお前は」
「あのねぇ。何度も言うけど、私だって局員の仕事が忙しいのよ? 家に帰っても料理する暇なんてないし、おかげで朝と夜は適当にカップラーメンやコンビニ弁当で済ませる事がしょっちゅうよ」
「あっそ、そいつはご愁傷様だな。それで俺に家事を全部押しつけた訳か」
「ここに住まわせてあげてんのよ? 家事くらいはして貰わなくちゃ」
「それは別に構わんがな……で、食うならさっさと食え。飯が冷めちまう」
「はいはい。それじゃ、頂きまーす」
ドゥーエは両手を合わせた後に箸を手に取り、まずは味噌汁のお椀を手に取って汁を口にする。口の中に広がる熱さと濃厚な味わいが、早速ドゥーエの味覚を刺激し、彼女の気分を暖かくさせた。
(本当、料理は普通に上手いから反応に困るわ……)
ドゥーエ自身、彼に胃袋を掴まれている事は薄々自覚していた。今までは1人寂しく食事をしていたのが、今ではこうして暖かい手料理を食している。二宮のムカつく言動に苛立ちつつも、何だかんだで彼の手料理を恋しく感じる事が多くなってきているのだ……尤も、その暖かい手料理を作っているのは血も涙もない冷徹な男だが。
(あぁムカつく……でも美味しいから余計悔しい……!!)
内心では愚痴りつつも、その口はしっかりご飯とシャケを美味しく味わっている。胃袋を掴まれた以上、彼女が二宮に勝つ事は到底不可能である。どの食卓でも胃袋を掴んだ者が強いのだ。
「ところでドゥーエ。
二宮が告げた一言。それを聞いたドゥーエは箸を動かしていた手がピタリと止まり、その表情は冷徹な仕事人に変貌していた。
「……鋭介が言ってた通りね。ここ最近、不審な死を遂げる局員が増えてきてる」
「やっぱりか……」
ドゥーエが朝食を食べている間、掃除機を止めた二宮はドアの郵便受けから取って来た新聞紙を広げる。その一番大きな見出しには『エドワード・プリウス氏、謎の死! やはり凶器見つからず』と堂々と書かれていた。
「始まりは2週間前に地上本部の幹部が1人。そこから1日置く事に1人ずつ、地上本部勤務の局員が自宅で殺害されているところが発見されているわ。どの局員も皆、死因は胸の刺し傷ってあるけど……」
「その凶器が見つからず、犯人がドアや窓から侵入した形跡もなし……か」
このミッドチルダで起こっている謎の連続殺人事件。その被害者は地上本部に勤務している局員ばかりで、その全員が自宅で死体として発見されており、胸部の刺し傷が原因で死亡した物とされている。しかし、これまで犯人が被害者の自宅に侵入した形跡は発見されておらず、殺人に使用した凶器も未だ発見されていないらしい。これが普通の殺人事件ではない事は、二宮とドゥーエもすぐに理解していた。
「これ、モンスターが起こしている連続失踪事件とはまた別って事よね。モンスターならそもそも死体なんて残さないでしょうし」
「だとすると、考えられるのは俺以外のライダーが起こしてるって可能性か」
「もしかしてなんだけど……あの湯村とかいう奴の仕業じゃないの?」
「……俺も一瞬考えたが、恐らく違うな。アイツは人を襲わせる事はあっても、死体まで残す事はしない」
湯村敏幸。二宮がミッドチルダにやって来てから最初に出会った仮面ライダーで、元いた世界では自分と同じ高見沢グループの社員だった男だ。この世界では基本的にそこらの不良やチンピラからカツアゲする事で資金を得ているらしく、それだけで彼が粗暴な人間である事がよくわかるが……流石の彼も、わざわざ死体を残すような殺し方はしないはずだ。契約しているモンスターの都合上、彼なら丸ごと餌として捕食させているはずだからだ。
「湯村も違う、か。じゃあもう別人と考えるのが自然よねぇ……あ、そういえば」
「何だ?」
「私が所属している部署の同僚が色々噂話しててね。その中に気になる話があったの」
ドゥーエと同じく、地上本部に勤務している彼女の同僚がしていた噂話。その中に1つ、彼女にとっても無視のできなさそうな内容が存在していたという。
「ここ最近、局内で何人かの目撃者がいるそうよ……夜の局内で、
「……黒い羽根?」
一方、クラナガンのとある路地裏では……
「ごはぁ!?」
1人のチンピラが、路地裏のゴミ箱に叩きつけられるように薙ぎ倒されていた。倒れたゴミ箱から溢れ出たゴミが散乱する中、チンピラを薙ぎ倒した迷彩柄ジャケットの男は拳をパキポキ鳴らしながら接近する。
「たく、手間取らせやがって。さっさと金出せば済む話なのによぉ……」
「ぐっ……テメェ、こんな事してタダで済むと―――」
「あぁ思ってるぜ? テメェはここでくたばるんだからなぁ……っと!!」
ガシャアンッ!!
「げふぁ……ッ!?」
チンピラの頭に勢い良く振り下ろされ、破片が周囲に散らばる酒瓶。意識を飛ばして倒れたチンピラの懐から財布を回収し、満足そうに笑みを浮かべる迷彩柄ジャケットの男―――湯村敏幸は口笛を吹き、近くの壁にかかっている鏡を見て合図を出す。
キィィィィィン……キィィィィィン……
「おう、そいつ喰って良いぜ」
『グルァッ!!』
その瞬間、鏡から上半身だけ飛び出たギガゼールが気絶しているチンピラを掴み、一瞬でミラーワールドへと引き摺り込んでしまった。証拠隠滅を終えた湯村はその後、戦利品である財布を手でポンポン投げたりキャッチしたりを繰り返す。
(しっかし面倒だなぁ。こちとら酒を飲みてぇ気分なのに、こっちじゃ身分証明書がねぇからなぁ……)
酒やタバコを購入する場合、どの店でも年齢確認の際に身分証明書を見せる必要がある。しかし湯村はこのミッドチルダでの身分証明書を携帯していない為、大好きな酒はどうしても別の方法で入手しなければならない。そんな彼が、酒を入手する方法はただ1つ。
「仕方ねぇ、面倒だが取りに行くか……あの女の事だ。どうせ1本か2本はビール買ってるだろ」
それは二宮とドゥーエのいるアパートを訪れる事だ。ドゥーエは仕事帰りに自分が好きな酒をよく何本も購入しているのだが、彼女は割と早い段階で酔い潰れてしまう事が大半であり、二宮の場合はそもそも酒を嫌っているので全く飲もうとしない。それ故、いつも購入した酒が大量に余っていまう事が多く、その余った酒を湯村が譲り受けているのだ。
そうと決まれば話は早い。湯村は2人がいるであろうアパートに向かおうと、用のなくなった路地裏からさっさと立ち去ろうとした……その時だ。
キィィィィィン……キィィィィィン……
「……お?」
再び聞こえて来た金切り音。立ち止まった湯村は「また餌をねだってんのか」と鏡の方を見るが、鏡にギガゼール達の姿は映っていない。そうなると可能性はもう1つ……野生モンスターの出現だ。
「……今は酒を飲みてぇ気分だが、まぁこっちも倒しとくか」
モンスターを倒せば、
「変身!!」
カードデッキを装填し、湯村はインペラーの姿に変身。鏡を通じてミラーワールドへと突入していく……この時、彼は気付かなかった。
「……」
彼がミラーワールドに向かうところを、ある人物が隠れて見ていた事に。
「―――どぉらっ!!」
『ヴゥ!?』
ミラーワールドに突入したインペラーはとある工場跡地までライドシューターで移動し、ある建物内に潜んでいた白いヤゴ型の怪物―――シアゴーストを発見。ライドシューターから降りた彼は即座に飛び蹴りを放ち、口から伸ばした糸で天井に上がろうとしたシアゴーストを蹴りつけて地面に落下させた。
「逃がしゃしねぇぜ、虫野郎……!!」
『ヴヴヴ……ヴェウ!!』
「はん、やる気か? 良いぜ、かかって来いよ……うぉららららあ!!」
『ヴァアウ!?』
怒ったシアゴーストがインペラーに向かって飛びかかり、それを回避したインペラーは跳躍してシアゴーストの顔面を連続で蹴りつける。連続で蹴られたシアゴーストが地面に倒れる中、インペラーはカードデッキからファイナルベントのカードを引き抜く。
「ちゃっちゃと終わらせてやるよ……!!」
この程度の雑魚にいちいち時間をかける理由もない。さっさと終わらせてやろうと、インペラーがファイナルベントのカードを右膝のガゼルバイザーに装填しようとした……その時。
≪ADVENT≫
『クアァァァァァァァァッ!!!』
「!? 何……!!」
突如、どこからか聞こえて来た電子音。それはインペラーが鳴らしたガゼルバイザーの物ではない。インペラーが驚いて周囲を見渡そうといた直後、建物の天井を破壊して侵入して来たのは黒いカラスのような怪物―――“シャドウクロウ”だった。
『クカァァァァッ!!』
『ヴェウゥ!?』
「あ、、おいコラ!? そいつは俺の獲物だ!!」
インペラーの怒鳴る声も無視し、シャドウクロウは空中を自在に飛び回りながら、地上にいるシアゴーストに連続で体当たりを喰らわせる。一方的にダメージを与えられ続けたシアゴーストがフラフラになる中、またどこからか電子音が聞こえて来た。
≪FINAL VENT≫
「はっ!!」
「!?」
先程破壊された天井から、1人の戦士が華麗に飛び降りて来た。建物内が薄暗いせいで姿がよく見えない中、その戦士は背中にシャドウクロウを合体させ、一瞬で複数の分身を生成してシアゴーストに狙いを定める。
「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」」」」
『ヴェアァァァァァウッ!!?』
シャドウクロウと合体した戦士が、分身達と共に急降下しながら繰り出した飛び蹴り―――“キルズダンス”が全弾直撃した事で、シアゴーストは跡形もなく爆散。着地した謎の戦士は分身が消えて1人に戻り、炎の中から出現したシアゴーストのエネルギーをシャドウクロウが摂取してから飛び去って行く。
「ッ……何だと……!!」
燃え盛る爆炎が明かりとなった事で、その戦士の姿がようやく鮮明に映り込んだ。その戦士を見て、インペラーは驚愕した。
カラスの黒い羽根を模した胸部装甲。
鉄仮面のスリッドから見える黄色い複眼。
ハイヒールの形状をした両足のブーツ。
カラスのエンブレムが刻まれた黒いカードデッキ。
「見つけた……私以外のライダー」
カラスの特徴を持った戦士―――“仮面ライダーシャドウ”はゆっくり立ち上がり、細い腕を腰に持って行ったポーズでインペラーと向い合わせになる。ハイヒール状のブーツ、細くしなやかな体型、そしてその立ち振る舞いなどを見て、インペラーはシャドウの正体が女性であるとすぐに理解した。
「テメェ、何もんだ? 俺の獲物横取りしやがって……!」
「あなたと同じ仮面ライダーよ。見ればわかるでしょう……?」
「そういう事を聞いてんじゃねぇ!! 良いからさっさと答えやがれ!!」
「……う~わ、その口調。予想はしてたけど、やっぱりあなただったんだ」
「あぁ!? 何を言って……いや、待て」
何故そんな言葉が出て来るのか。それを聞いたインペラーは数秒だけ黙り込み、そして理由に辿り着いた。
「テメェ……まさか、俺の事を知ってんのか?」
「えぇ、知ってるわよ……でも、そんな事はどうでも良いの。だって私が用があるのはあなたじゃないし」
「は? テメェ一体―――」
ズドドドドォンッ!!
「ぐおわぁっ!?」
インペラーの胸部装甲に命中した数発の弾丸。それらが命中と同時に破裂し、その衝撃でインペラーが地面を転がされる。一方で、シャドウの右手にはいつの間にか、弓部分がカラスの翼を模したクロスボウ型の召喚機―――“
「あなたも、
「ッ……テメェ、何を……!?」
≪SWORD VENT≫
クロウバイザーの持ち手部分に付いている装填口が開かれ、そこに装填される1枚のカード。電子音と共に出現した黒い羽根の形状をした2本のナイフ状の武器―――“クロウフェザー”がシャドウの両手に収まる。
「そういう事だから……私の攻撃、頑張って耐え切ってね?」
そう言って、シャドウはその場から大きく跳躍。銃撃を受けて倒れているインペラーに向かって、彼女の両手からクロウフェザーが勢い良く投げられようとしていた……!!
To be continued……
と言う訳でエピソード・アビス第1話でした。
冒頭の会話は『番外編① 深淵と二番目』でも描かれていた出会いのシーンの続きです。こんな最悪な形の出会い方をしたはずなのに、気付いたら二宮の作る手料理に胃袋を掴まれて「悔しい、でも味わっちゃう……!(ビクンビクンッ)」みたいな事になってしまったのが今作のドゥーエさんになります←
どの食卓でも、料理が上手い奴は立場が上なのです。
一方、湯村がこれまで飲んでいた酒の出所も判明。今までの酒は全てドゥーエが購入していた物でした。
ドゥーエは早い段階で酔い潰れ、二宮はそもそも飲まない為、大量に余った酒は全部湯村が処理しております。二宮は必要のない酒を処分できて、湯村は大好きな酒をいっぱい飲める……という一見すると悪くない関係性ですが、そもそも二宮は酒を処分する以外に何のメリットもない為、実質的な得をしているのは湯村だけだったり←
そして今回、何やら管理局内で発生している謎の連続殺人事件。その裏で湯村が遭遇したのは謎の戦士―――仮面ライダーシャドウ!
彼女もエクシスやアスター、アイズと同様にオリジナルライダー募集を経由して登場が決定した仮面ライダーです。今回のシャドウは【ハナバーナさん】が考案して下さいました。
彼女が湯村に襲い掛かった理由とは?
彼女の言う「アイツ」とは?
その辺りはまた次回にて。
余談:湯村インペラーの戦績だが、現時点で蜘蛛型ミラーモンスターしか倒していないのは内緒だ(※ガジェットドローンはモンスターじゃないのでノーカン)