艦娘 大海の肖像   作:妄想るアンディ

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久々にちゃんとした小説書きたいと思い、頑張ろうと思います


第1話

深海棲艦との戦いが始まって十数年。

人類の汎ゆる手段が通用しないその異形の存在により、滅亡への道を進むのみかと思われた人類。

その人類の前に、一滴の希望として現れた、艦娘と呼ばれる者たち。

艤装と呼ばれる武装を身にまとい海上を勇躍する彼女たちの力により、人類は辛くも生存圏を確保していた。

 

艦娘は艤装と同時に妖精と呼ばれる特殊な存在とともに存在し、彼女らを指揮する提督と呼ばれる特殊な才能を持った人材により運用されている。

 

 

ここ日本においても、海軍の指揮の下、各基地で運用が行われているが、国民に対してはその存在は詳しくは伝えられていない。

 

私は日本政府、海軍省、軍令部に対し艦娘に対する取材を幾度と申し込んできた。

そしてこの度、ようやく取材の許可が降りたのである。

 

 

 

 

 

第一話 

 

 

神奈川県横須賀市。

ここに日本最大級の海軍施設がある。

 

横須賀鎮守府。歴史は古く、海軍設立後最初に作られた鎮守府である。

今回私の取材依頼を引き受けてくれたのだ。

 

「ようこそ横須賀鎮守府へ。司令官付先任秘書艦の龍驤や」

 

私を迎えてくれたのは狩衣風の上着と黒いスカートに身を包み、少し変わった帽子を被った小柄な少女だった。

 

「司令官から取材に来る人がいるから迎えに行ってって頼まれたんや。きみがそうやね?」

 

よろしゅうな~と明るい笑顔で挨拶をしてくれる彼女が、私が最初に出会った艦娘となった。

 

「司令官の執務室に案内するで。ついて来てや~」

 

彼女に促され、私は鎮守府の中へ足を踏み入れる。

 

外観から想像はできたが、中に入って更にその敷地の広大さを感じる。

一応にと持参した、鎮守府祭のときなどに配られる案内図には、多種多様な施設が記されている。

そこに記されている文字の並びは、ここは一般社会とは一線を画した場所なのだと、改めて思い知らされる。

 

 

執務室までの道すがら、無言のままというのもどうかと思い彼女に声をかけてみてた

 

『広いところですね』

 

「ん?あぁ、せやな。ここには建造ドックから開発工廠、居住区とかいろいろあるからな」

 

『みなさんはここに住んでいらっしゃるのですか?』

 

「せやで、艦娘は基本的に基地内の寮に住んでる。基地の外に住んどるやつはほとんどおらんのちゃうかなぁ。

少なくともうちにはおらんよ?」

 

思い切って彼女に話しかけてみたところ、感じよく応答してくれたので、もう少し話を続けてみる。

 

『沢山の艦娘が居られるのですか?』

 

「んー、どこまで話してええんやろ?

まぁ、取材応じとるぐらいやし、細かいことはええか。

えっとなぁ、人数は一応伏せるけど、艦種で言えば全部居るで?」

 

『艦種?』

 

「艦種っちゅうのは文字通りの意味で、戦艦とか空母とかのことやで。一人一人個々の艦種の役割を担ってるんや」

 

龍驤さんがいうには、艦娘とは過去に存在した軍艦の力をその身に宿した存在ということらしい。

 

『龍驤さんは艦娘の中ではどういう役割をされているんですか?』

 

「ウチ?ウチの艦種は軽空母やねん。主力部隊とか輸送艦隊の護衛、小規模艦隊の航空戦力っちゅうのが主な任務やね」

 

『艦娘として活動されてからどのくらいになるのですか?』

 

「せやなぁ。この鎮守府の空母の中じゃ、鳳翔さんに続いて二番目かな。結構歴戦の空母なんやで?赤城や加賀には負けないってね!」

 

そう言って右手で力こぶを作る龍驤さん。確かに腕や脚、目視できる肌には、戦闘で負ったと思われる傷跡があった。

 

『沢山の戦いに参加されたのですね』

 

「せやで。もっとも最近は前線からは退いてな?新人の空母艦娘の訓練や司令官の手伝いが主やけどな~」

 

笑顔のまま答えてくれた彼女だったが、その笑顔に浮かんだ僅かながらの寂しさのようなものを、私は見逃すことはできなかった。

 

「ほんとはもっと前線で戦いたかったんやけど、左手がこないなってもうたらなぁ」

 

彼女をひと目見たときからわかっていたが、私からは触れられなかったことを彼女の方から切り出してくれたことに、嬉しさと、申し訳無さが入り交じったような気持ちに苛まれる。

笑顔のまま話す彼女の左手は、肘から下が失われていた。

 

『その腕は…』

 

「二年前の大規模作戦のときや。ちょっとドジ踏んでもうてな?結構な大怪我したんよ。

んで、その時の処置の遅れで、左手だけがどないしても戻らんかったんや」

 

失われた左手をさすりながら話す彼女を見て、当時のことが頭によぎる。

二年前といえば、北方方面で大規模戦闘があった年だ。私はその時はとある新聞社で大本営の取材をしていた。

被害は大きかったものの、人類側が勝利を収めた。勝利の報に目が向くあまり被害についてはあまり語られなかったことをおもいだす。

 

しかし今彼女と相対することで、その被害がどれほどのものだったかを思い知らされる。恐らく数え切れない程沢山の犠牲が出たのだ。

市井に暮らす者には、到底想像できない、沢山の犠牲が出たのだ。

私達の生活はそういう犠牲のもとに成り立っていると言うことを、私は早くも突きつけられる。

 

私の顔が沈んでいることに気がついたのだろう、彼女は慌てたように笑顔を見せる。

 

「ちょっ、なんで自分がそない沈んでんねんっ」

叶わんなぁと言いつつ頭を掻いて見せる彼女に、私はどう答えて良いかわからなかった。

 

『その、すみません』

 

「何で君が謝るんや。

ウチらは同情されたいとか、そんなんで戦ってるわけやない。

誰かがやらなあかん事や。たまたまウチらだったっちゅうだけの話やで?」

 

彼女は一度私から顔を背け、そう言った後再びこちらを向いて

 

「せやけど、まぁ、何やろ。嫌な感じやないね。

誰かに心配してもらえるっちゅうのは。やった甲斐あるわ」

 

笑顔で、そう言ってくれた。

 




生暖かく見守って下さい。
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