変わらないブラック鎮守府 作:リボルキ・チタノ
胸糞
「ここか」
蝉の声がうるさい7月下旬
とある元ブラック鎮守府に新しい提督さんが着任する
彼は傷ついた艦娘を助けたりもしないし、整備を整えることもない
ただ、ただそこにい続けるだけ
偽善を振りかざしたりもしなければ、勘違いでハーレムを作ったりもしない
これは変わらないブラック鎮守府の物語
私の名前は
本当は陸軍のような自分の体で戦えるところが良かったんだが海軍でなんだかんだのうちに中佐まで行ってしまった
昔はよかった。中佐になる前は比較的銃なんかも撃てたが、多分提督なんかになると使えるのはせいぜい拳銃ぐらいだろう……まったく損な役回りだ。くそったれ
どうやら私が着任する鎮守府は前任の提督が艦娘に無茶をさせすぎて艦娘達が心に傷を負ってるとかなんとか……まぁそんなことどうだっていいのだがな
ん?あぁ、艦娘か
艦娘って言うのは簡単に言えば生体兵器だな
ある意味人造人間と言ってもいいかもしれん
この艦娘を作り始めた理由が今から六年前に発生した深海棲艦というよくわからん生物の襲撃事件だ
この深海棲艦ってのはよく分かってないが、どうやら昔沈んだ船の怨念らしい。それが形を持って襲いかかってきたんだそうだ。実にくだらない
しかも深海棲艦は元船だけあって、海上を走行できる
銃なんかは効くがあまり外洋にいると当たらん
戦艦なんかで攻撃使用にも、人形なため小さく素早い。
だから砲撃が当たらない
そんなもんライフルで飛び跳ねるノミの眉間狙えと言ってるのと同じだ
そこで開発されたのが艦娘。唯一無二の対深海棲艦用兵器だ。まぁ艦娘は兵器じゃないなんて言う馬鹿どももいるがな
話を元に戻そうか。何はともあれ私はその人間不信な艦娘共のいる鎮守府に飛ばされたんだよ。まったく、いやになる
「ここか」
今回行く鎮守府は結構な田舎にあるため、徒歩と電車できた
それにしても貧相な場所だな
目の前には薄汚れた建物
そう、これこそ私が着任する鎮守府「黒井鎮守府」
しかたない。入るか
私は中に入ろうと門の近くによると
「止まりなさい」
おっと、なにかいた
子供だな。だが十中八九こいつが艦娘だろう
「私は怪しいものではない。新しく
そう言いつつ私はガキに命令書を渡した
そいつはそれを無言でひったくると、何を言うでもなく鎮守府のなかに駆けていった
「チッ、これだからガキは嫌いなんだ」
糞を超えてド糞暑いなか、外でしばらく待つと
「いいでしょう、中に入るのを許可します」
クソガキが戻ってきた
「そうか」
ガキが無言で促すので中に入る
それにしても汚い場所だな……
「こちらでお待ちください」
クソガキがひとつの部屋の前で止まった
もうこいつは何があろうとクソガキだ
中に入るとソファがあったので座って待つ
10分ほどだろうか。待っているとノックがなり、中に誰かが入ってきた
「失礼します。提督代理の加賀です」
「あぁ」
加賀と名乗ったそいつは俺の正面の椅子に座った
「小泉中佐ですね。大本営より伺っております」
「そうか。それで私はここでなにを?」
「私の提出する書類にサインをしていただくだけです」
ふん、随分と楽な仕事だ。案外ここの鎮守府でも良かったのかもな
「それと」
「なんだ」
「あまり無闇に鎮守府内を出歩かないようにした方が身のためです」
「なに?」
「不慮の事故が起きてしまうかもしれないので」
「…………そうか」
そう言う加賀の目は何も見ていなかった
気味が悪いな
「では、私の部屋に案内してくれ」
「はい」
「出来たら自炊できるところがいいのだが」
「……わかりました。一部屋あります」
「ならそこに案内してくれ」
「わかりました」
なぜ自炊が出来る部屋がいいか?こいつらと会いたくないからだ
正直さっきのガキも
さて……これからどうするかな……とりあえず食べ物は近くの商店街で買えるはずだな……
「あれ?加賀さん、そいつ誰?」
声が聞こえた
「この方は新しく着任された提督です」
声の方向を見るとガキがいた
ちっ、またか……
そのガキは私を見て
「ふーん、あたしは曙。外出る時には気を付けろよ?怪我しちまうかもしれないからな。クソ提督」
これだから嫌いなんだ。こういうガキは
ただ、ここで表に出したら私の負けだからな
「そうか、ご忠告ありがとう」
それを聞いた曙は露骨に顔を顰めた
バカが。私が何回貴様のようなバカを相手してきたと思う
すると曙は私の胸ぐらを掴みかかってきた
「あんまり調子に乗るなよ……人間」
あ?
私の蹴りが曙の腹に刺さった
やはり
倒れこんだ曙の髪の毛をつかみ持ち上げる
「なぁ」
「うぅ……」
「貴様、勘違いするなよ。その言葉丸ごと貴様らに返してやる」
曙は嗚咽を漏らし、加賀は何が何だかわかってないようで固まっている
「たかだか人間に造られた兵器が人間に楯突くな」
それだけ言うと私は髪の毛を放す
「分かったか?」
「……ひぐっ」
「ガキはいいよなぁ、困ったら泣けばいいんだから。まぁ、お前らに絡む気は無いから安心しな。貴様らが来るのは例外だが」
そして私は加賀に声をかける
「おい、いつまで固まっている。部屋に案内しろ」
なんてことは無い。艦娘達が自己運営をしてるだけ