ー商店街 街中ー
今日は休日ということもあり雄介は梓とショッピングに出掛けていた。
「お兄ちゃん、どうかな?」
試着室からカーテンを開け、服を試着した梓が雄介に披露する。
「うん、いいんじゃない?」
続けて2回目の試着。
「これはどうかな?」
「うん、いいと思うよ」
雄介の返答に不満げになる梓。
「なんか、どうでもいいって感じ」
梓が機嫌を損ね。
「いやいや!梓は何着ても似合うなーって思うから」
「本当に?」
「ほんとほんと」
「なら、いいんだけどさ」
梓の機嫌が直りホッと息をつく雄介。
少しした後、店から出た雄介と梓。
「いいの?結構高かったよこれ」
「なーに、梓には日頃からお世話になってるからそのお礼さ」
雄介は梓に向けサムズアップをする。
「ふふっありがとう。お兄ちゃん」
梓は笑顔でお礼を言い歩き出した。
そんな梓を遠目に雄介は眺め先日の戦いを思い出す。
『ぶっ殺してやる!』
『うぉりぃやぁーーーーー!!!』
怒りに身を任せグロンギを倒し。そして…。
「(あの姿…一体何だったんだ?)」
雄介は頭に流れたあの黒い4本角のクウガを思い出す。
「お兄ちゃん?どうしたの?」
梓に呼ばれハッとなり我に帰る。
「ごめんごめん何でもないよ」
「そう?…無理、しないでね」
「えっ?」
「あの時のお兄ちゃんすごく悲しい顔してたから」
ーーーーー
先日ゴ・ジャラジ・ダを倒した後、雄介は自宅に帰宅し玄関に入る。
「お帰りなさい。お兄ちゃん」
玄関で出迎えてくれる妹に雄介は亡くなったこころが重なった。
『いやあぁぁぁぁぁこころぉーーーーー!!!!!』
友人の悲しい叫びそして流れる涙。それら全てを思い出し雄介は震え持っているヘルメットを落とす。
「お兄ちゃん?」
不思議がる梓を余所に雄介は梓に抱き付つく。
「ちょっお兄ちゃん!?」
「ごめん、ごめん…守れなくてごめん」
「…お兄ちゃん」
最初は驚いた梓だが事件で何かあったのかを察し雄介を抱きしめる。
「大丈夫だよ。お兄ちゃん」
雄介の頭を優しく撫でる梓。
「私が側にいるから」
梓の言葉に雄介は涙を流す。声を出し大きく。
あえて何も聞かずただ必死に抱きしめる梓。兄が背負った物がどんなに大きい物なのかを梓は再認識しただただ雄介を抱きしめる。
「大丈夫…大丈夫だからね。お兄ちゃん」
ーーーーー
「ごめんな。あの時は心配掛けて」
「ううん、大丈夫だよ。でも辛い時は辛いって言って?お兄ちゃんすぐ無理するんだから」
「…うん、ありがとう梓」
雄介は梓には言っていないあの事件の事、自分が見た黒い4本角のクウガの事。これ以上妹に迷惑は掛けられないと雄介は心の中で思う。
ーーーーー
ー音ノ木坂学院ー
翌日。雄介は桜子の所へと向かい自分が見た4本角のクウガの事を話す。
「…黒い4本角のクウガ…ね」
一通り話を聞いた桜子はノートパソコンを開き碑文のページを開く。
「中野君、以前に話したと思うけどこの碑文の事は覚えているよね?」
雄介に見せた碑文それはクウガが凄まじき戦士になる事を記された碑文だった。
「はい、覚えてます」
「私ね、以前0号が復活して壊された洞窟の中を調査していた時瓦礫の中から数多くの古代文字が見つかったの」
桜子はパソコンを操作し雄介に画面を見せる。
「そして修復された古代の遺跡を調べて解った事が沢山あったの」
桜子は画面を指差しクウガの戦士のマークを見せる。
「さっきの凄まじき戦士の碑文、これの戦士のマーク最初はいつも通りの戦士のマークだと思ってたんだけど」
桜子は次のページを見せる。
「よく調べたらねこの戦士のマーク2本角じゃなくて4本角だって最近解ったの」
雄介が見た画面。確かに戦士で記されたいたのは2本ではなく4本の戦士が刻まれていた。
「これは、まさか」
「中野君が見たその4本角のクウガ。あなたそれに成り掛けたって事」
「じゃあ俺は」
「…あなたから優しさが無くなりただ敵だけを倒す戦う為だけの生物兵器になろうとしてたのあなた自身が」
桜子は雄介の肩を掴み。
「中野君、あなたがどんな想いで戦ってるかあの子達を見れば分かる…だけど今回のように怒りや憎しみだけで戦ったら今度は本当にあなたがあなたじゃ無くなるかもしれない。あの子達やあなたの家族の事を想うなら…もう分かるでしょ?」
桜子は雄介から離れパソコンを閉じる。
「クウガという大きな責任をあなたが持ちながら偉そうな事言ってごめんなさい。だけどあの子達の笑顔を守るのがあなたでしょ?それだけは忘れないでね?」
桜子はそう言い教室を出た。
雄介は桜子の言う通り怒りや憎しみで自分を失い沢山の人達を悲しませようとした自分が情けなくなってしまった。
「っとうに情けねぇ」
ーーーーー
雄介も教室を出て部室に行こうとした時。
「あれっ?」
急に目眩がしふらつく雄介。
「何だ?…これ」
段々と足取りが悪くなりそして。
「やべっ」
目の前が真っ暗になり。
「あぶない!」
誰かに支えられた感触と共にプツンッと雄介の意識が途切れた。
ーーーーー
ー放課後 部室ー
「ねぇゆーすけ遅くない?」
凛が心配しμ'sの皆も顔を見合わせる。
「確かに…連絡取ってみるね」
穂乃果が雄介の携帯に掛けるも応答はなかった。
「ダメ、コールは鳴るけど出ないや」
「心配やな…ことりちゃん何か知ってる?」
「ううん、何も…私、ちょっと探してみるね」
ことりはそう言い部室を出た。
ーーーーー
「んんっ…ここは?」
雄介が目を覚ますと白い天井が見えた。
「あっ起きましたか?」
声が聞こえ雄介が振り向くとそこには三玖に似た子が立っていた。
「君は…確か三玖ちゃんの」
「五月ですよ。あなたとは何度か会ってるはずですが」
五月が椅子に腰を掛ける。
「あぁそうだ五月ちゃんだ…でもどうして五月ちゃんが」
「あなたが廊下で倒れる所を見てすぐに先生を呼んだんです」
雄介は思い出す急に目眩が起こり倒れる所を誰かに支えられた事を。
「そうか…あの時、五月ちゃんが」
「保健の先生からは疲れが出ていると…ベッドに寝かせ安静にしてればすぐに良くなるそうですよ」
五月はそう言い椅子から立ち。
「じゃあ私はこれで。他の姉妹を待たせてますから」
五月はそう言い帰ろうとするが。
「ちょっと待って!ちゃんとお礼を」
雄介が立ち上がろうとするとまだ足がふらつき。
「うわっ!」
「ちょっ!」
雄介が五月に覆いかぶさるように転ぶ。
「ってて…って痛くない?」
雄介が顔を上げると五月の胸に顔が挟まっている雄介。
「…」
「…」
少しの沈黙。そして五月の顔が赤くなり。
「…ははっ枕みたい」
「ハレンチですぅ!」
パァンッ!と大きな音が保健室に響き渡った。
ーーーーー
ことりが雄介を探していると廊下の奥から雄介が歩いてくる。
「ゆーくん!探したよ…どこにっ」
ことりは雄介が頬を抑えている事に気付き。
「ゆーくん…なにやってたの?」
「えーっと、ちょっと疲れて保健室にいました」
「その頬の跡は何?」
「えーっと、その〜」
「また誰かにエッチな事したんだ」
ことりがジトーっと雄介を睨む。
「違う!違う!…ちょっとこれは不慮の事故で」
「ふん!ゆーくんのバカ!エッチ」
雄介があたふたと言い訳を考えていると。
「もう、ほら行くよ」
ことりは雄介の手を取り。
「みんな待ってるから」
「…うん」
そう言い雄介とことりは部室に向かった。
ーーーーー
部室に戻り穂乃果達は練習の準備をする。
雄介はみんなをボーッと眺め。
「怒りや憎しみか」
雄介はそう言い自分の拳をぎゅっと握る。
「…怖いな自分が自分じゃ無くなるのは」
雄介がそう言うと穂乃果が前に来て。
「雄介何やってるの?ほら行くよ」
準備が出来た穂乃果達。そして雄介を呼び。
「…うん!」
雄介は穂乃果の手を取り屋上へと向かった。
ーーーーー
ー屋上ー
穂乃果達は練習に励み雄介はそれを見る。
「(完璧だ…でも)」
みんなが一通り練習を終え休憩に入る。
「形はほぼ完璧ね」
「そうやね、でも」
希がチラッといつも休憩の時に座っている真姫の隣りが空いている。
「にこっち…はまだ駄目なのかな?」
「そう、ね…真姫。にこの様子昨日どうだった?」
絵里は真姫にいつもにこの様子を見に行ってもらってる。
「…まだ駄目。最近は顔を出してくれるけどやっぱりにこちゃんずっと責任感じてて」
真姫の言葉に雄介は顔を伏せる。
「守れなかったのは俺のせいなのに…にこ」
雄介がそう言うと。ことりがぎゅっと雄介に抱き付く。
「ゆーくんダメ!」
「ことり、ちゃん?」
「自分のせいだとかそんな事考えちゃダメだよ」
「だけど…俺は」
「そうよ、にこちゃんは雄介のせいなんて一言も言ってなかった」
真姫がそう言い。
「にこちゃん言ってたわ。雄介には感謝してるって。だからお願い自分を責めないで…にこちゃんの為にも」
「真姫ちゃん…ありがとう」
「お礼ならにこちゃんに言って…大丈夫。絶対戻って来るから」
真姫がそう言いと。
「…あぁ、そうだな」
雄介はそう言い微笑む。
ーーーーー
ー未確認生命体対策本部ー
会議室の机にて一条は書類を書き以前の事件の事を思い返していた。
「(あの事件から中野の様子が少しおかしい…あの未確認生命体を撃破した後、何かに怯えているような感じだった)」
一条は書類を書いていた手を止め。
「一体何があったんだ…中野」
すると杉田と桜井も会議室へと入り。
「よう、一条」
「お疲れ様です一条さん」
一条も振り返り。
「お疲れ様です」
一条が桜井の持っているファイルに目がいき。
「桜井さん、それは」
「あっこれですか。以前の事件をまとめた物です」
桜井が一条にファイルを渡し。
「前の事件は正直応えたな。何人もの学生が亡くなって」
杉田がそう言い桜井も頷き。
「俺もあの時は正直…4号…中野君があんな戦い方をするもの当然です」
桜井がそう言い一条も思っていた。
「(確かにあの時の中野は…怒りに身を任せてるような戦い方だった)」
ーーーーーー
ー商店街ー
雄介はμ'sの練習の後、今日の買い出しに街を出ていた。
「これと、これと、これ…うん。食材はオーケーだな梓に今帰るようLINEするか」
雄介は梓にLINEを送り駐車したバイクの方へと向かい歩き出す。
歩いてる途中。身に覚えのある人物が店の方から出てきた。
「あっ五月ちゃんだ」
「げっ中野君」
雄介を見るなり嫌な顔をする五月。
「えぇ〜俺、嫌われてる?」
雄介がしょんぼりしていると五月は雄介に背を向け。
「当然です!あんな事をされてぇ」
わなわなと怒りが漏れる五月。
「とにかく!私は行くところがあるのでこれで失礼します!」
五月は雄介にそう言い歩き出して行った。
「う〜ん、めちゃくちゃ嫌われてるなぁ。今度三玖ちゃんに相談するかな」
雄介が再び歩き出して駐車場へと向かう。
「……見つけたぞクウガ」
ーーーーーー
駐車場へと着いた雄介は停めたバイクの方へと向かうと。
「よぉ…久しいなクウガ」
雄介の前に立つ大男。雄介はその男に身に覚えがあり。
「っ!?お前はあの時の!」
その大男はニヤッと笑みを浮かべ。
「覚えてくれてて嬉しいよ」
そう、その大男は以前、雄介を追い詰めたゴ・バベル・ダだった。
雄介は身構え。
「っ何の用だ!」
バベルは腕をバキバキと鳴らし。
「知れた事を…お前ともう一度戦う為に来たんだクウガ!」
バベルは怪人態へと変わり雄介に襲い掛かる。
雄介はバベルの拳を避け。ドォン!っとバベルの拳が地面を抉る。
「っこのっ!」
雄介は腹部に手をかざし体内からアークルが出現する。
「変身!」
雄介は赤いクウガへと変身を遂げる。
「いいねぇ…さぁあの時の続きといこうじゃないか!」
「くっ!」
クウガとバベルの戦闘が始まり。
キャーッ!うわぁぁぁぁ!!!
周りの人達が逃げ惑う中。
「えっ?一体何事です?」
五月もその異変に気付いていた。
ーーーーーー
クウガとバベルの拳がぶつかり合い反動で互いによろけ。
「ハハァッ!」
バベルは笑いながらクウガに向かいキックをするがクウガはそれを避け。
「っらぁ!」
クウガもバベルにキックをしバベルの脇腹に当てる。
「っ!」
バベルはよろけるが体制を立て直し。
「うぉらぁ!」
ブンッ!と大きく拳を振るうがクウガは屈み即座に肘でバベルの腹部に攻撃し。
「くっ!」
バベルがよろけた一瞬で。
「うぉりぃやぁ!」
クウガはマイティキックをバベルに直撃させる。
「ぐはぁっ!」
バベルは吹き飛び建物に激突し建物の瓦礫がバベルに覆いかぶさる。
「…」
クウガは様子を見ていた。
「(奴がこれでくたばる訳がない。それに…。)」
クウガは考えていると。瓦礫の中からバベルが起き上がる。
「やるじゃないかクウガ。あの時とは別人だぞ」
バベルは嬉しそうに言い。ゆっくりと歩いてくる。
「ふざけんな、お前まだ全然本気じゃねぇだろ」
「それは、お互い様だろ」
コキッコキッと首の音を鳴らし。
「だがまぁ本気か…今のお前になら出していいかもな」
バベルはそういった瞬間目つきが変わる。
「本気を!」
バベルは体中に力を込め始める。
「うおぉぉぉぉ!!!」
徐々に体の色が変異し。
「むん!」
バベルの体は黒く染まりより強固な体となった。
「体が変わった?」
クウガはバベルの変異に驚き。
「クウガ、強くなったのはお前だけではないという事だ」
バベルは胸元に着いた装飾品を取り外すと大きなハンマーに変わった。
「気を付けろよ今度の俺は…」
ダンッ!とバベルは飛び出し。
「強いぞ」
振りかざしたハンマーをクウガはギリギリの所で避ける。
「っ!」
ハンマーは地面に当たり抉れコンクリートが大きく割れていく。
「っ!?何てパワーだっ!」
クウガは体制を立て直しすぐさまバベルに向かい攻撃するが。
ガンッ!とクウガのパンチをハンマーの柄でガードした。
「どうした?クウガ」
バベルはクウガの腕を払い除け。
「お前も早く本気を出さなければ」
ブォンッ!とハンマーがクウガの脇腹に直撃する。
「ぐっふっ!?」
「死ぬぞ?」
そのままクウガは吹き飛ばされ建物の中にまで飛ばされた。
「がはっ!ぐっ!」
直撃を受けたクウガは脇腹を抑えるがそこから血が流れてくる。
「くっ…そっ!あんなのもう一回喰らえばマジでやべぇぞっ!」
クウガは立とうとするが膝を着く。
「(どうする?あの力に対抗するには赤い金のクウガじゃねぇと!)」
だがクウガは解っていた。ここで赤い金の力を使えば周りが大変な事になると。
「何とか…しないと!」
クウガは気力で立とうとした瞬間。
「きゃあ!」
小さな悲鳴にクウガは振り向く。
「(生存者!?避難が間に合わなかったのか!?)」
するとそこには身に覚えのある人物がいた。
「…五月ちゃん?」
そこには小さく丸まって震えている五月がいた。
五月も突然呼ばれ。
「えっ?どうして私の名前を?」
きょとんっとする五月に。
「クウガ!」
建物の中に入り込んで来たバベル。大きくハンマーを振り下ろし。
「っ!」
クウガは寸前の所で躱しハンマーが地面にめり込む。
その隙にクウガは五月を抱え脱出しようと試みるが。
「逃さんぞクウガ!」
バベルはハンマーを横に振りクウガに当てようとするがクウガは落ちていたモップを取り。
「”超変身”!」
紫のクウガに変わると同時に金の力を解放した。
ガキィィンッ!と鉄と鉄のぶつかる音が大きく響き渡り。火花を散らす。
「きゃあっ!」
五月は怯え目を固く閉じる。
「待っていたぞ!その力をぉ!!!」
ガンガンッ!ハンマーを振り回しクウガはそれをソードで受けていた。
「(このままじゃマズい!何とかここから出ないと!)」
クウガは咄嗟にソードを持ち替え。
「っ!」
ソードの柄をバベルの顎に当てる。
「ぐっ!」
「うぉりぃやぁ!」
クウガはソードでバベルの腹部を切り裂き。
「ぐぁっ!」
その攻撃によりバベルは膝を付き。
「五月ちゃん!掴まってて!」
五月は言われた通りにぎゅっとクウガに掴まり。
「”超変身”!」
クウガは青いクウガに変わりその場を脱出した。
「クウガ!待て!クウガァァァーーーーー❗❗❗❗❗」
ーーーーーー
クウガは安全な所まで移動すると五月を降ろし。
「ここなら安全だから早く家に帰った方がいい」
クウガはそう言い去ろうとするが。
「待って下さい!」
五月はクウガの手を取る。
「怪我…してるじゃないですか」
先程バベルにやられた傷から血が流れていた。
「あっあぁ…俺は大丈夫」
クウガはそう言い。ゆっくりと五月の手をほどく。
「あの時もそうでした。あなたは自分の身を顧みず業火の中、三玖を助けに行ってくれた」
それに…と続き。
「私と四葉、二乃が未確認に襲われ…そして。三玖が未確認に誘拐された時いつでもあなたが助けに来てくれた」
五月はクウガの背中をジッと見つめ。
「そして今日も私の事を…あなたは一体何者なんですか?」
五月の言葉にクウガは振り向き。
「…仮面ライダー…クウガ」
クウガはそう言い立ち去って行った。
「…仮面ライダー」
ーーーーーーー
クウガは先程戦っていた場所に戻ると警察官達がいた。
「一条さん!」
クウガがその名を呼ぶと一条は振り向き。
「中野!」
「未確認は!?」
「いや、我々が来た時にはもう姿はなかった」
「そう、ですか」
クウガは雄介の姿に戻る。
「今回の未確認…以前戦った15号でした」
「あの未確認か」
「はい、しかも前戦ったより強くなってそれに俺みたいに姿を変えてパワーアップしてました」
「それで、この被害か」
一条は辺り見渡す。建物は崩壊し地面は大きく抉れていた。
「君の方は大丈夫だったか?」
「俺はなんとか」
一条は雄介をジッと見つめ。腹部から血が流れている事に気付き。
「大丈夫か?椿の所に連絡を」
「あっいや、大丈夫ですよ。すぐ治りますから」
雄介はそう言い断った。
「そうか…とにかく俺はまだ調査があるから君は休め、何かあったらまた連絡する」
「わかりました。それじゃあ俺はこれで」
雄介は一礼をしその場を後にした。
「(変わりは…ないようだな。いつもの中野だ)」
ーーーーーー
ー夜 中野家(五つ子)ー
姉妹全員が食卓を囲んでおり食事をしていた。
「五月、あんた今日は全然食べないわね」
二乃が五月の方を見てそう言った。
「あっその、あまり食欲なくて」
「珍しいじゃない。具合とか悪いの?」
二乃がそう言い姉妹全員が五月を見る。
「だ、大丈夫ですよ!体調は全然悪くないので心配には及びません」
「じゃあどうしたのよ?…何かあったの?」
「そうだよ五月。何か嫌な事でもあった?」
二乃と四葉が話し掛けるも。
「ぜ、全然!みんなが心配するような事はないですよ!」
五月はそう言い食べ物を口の中に放り込んで。
「ごちそうさまでした!」
そう言って食器を片付けそそくさと自分の部屋へと戻って行った。
「何か怪しいわね」
五月の怪しい行動に皆が怪しみ一花が腕組みをし。
「…あれは、恋だね」
一花がそう言うと少しの沈黙と同時に皆が驚き。
「こ、恋!?あの五月が!?」
「えぇ〜!五月も大人の女性に」
「…すごい気になるかも」
「まぁ本当かは分からないけど五月ちゃんも年頃の女の子だし恋のひとつやふたつあるでしょ」
「う〜ん…あの五月がねぇ」
ーーーーーーー
ー翌日ー
雄介は学校に着きバイクから降りると。
「おはよう、ユースケ」
突然呼ばれ振り返る。
「三玖ちゃん。おはよう」
雄介が挨拶を返すと三玖が近づき。
「ユースケ昨日、五月と会った?」
「ん?あぁ偶然街で。それに未確認が出て避難が間に合わなかったみたいで、でも怪我なく無事に帰ったと思うけど」
やっぱりっと三玖は思い。
「そんな事があったんだ。うん、五月は大丈夫」
「なら良かった。無事でなにより」
雄介はニカッと言い。
「五月、昨日帰ってから様子変だったのユースケ何か知ってる?」
「ん?いやぁ、でも未確認を見て怖かったんじゃないかなぁ?それで様子が変だったとか」
三玖は雄介をジッと見て。
「…うん、多分そうかもね」
三玖は携帯で時間を見て。
「ユースケそろそろ教室に行こ?チャイム鳴っちゃう」
「うぁっ!?そんな時間!?行こう三玖ちゃん!」
雄介と三玖は駆け足で学校の中に入って行った。
「(五月の昨日の様子…多分ユースケの事を気にしてるんだ)」
ーーーーーー
4時間目の授業が終わり雄介は教室を出てトイレに向かう途中、曲がり角からドンッと誰かにぶつかった。
「きゃっ!?」
「あっ!」
雄介は咄嗟にぶつかった人物の背中に手を回し転倒を防ぐ。
「ごめん!大丈夫だった?」
「すみません。考え事をしてて前をよく見てなかった…って中野君!?」
五月は雄介の顔を見るなりすぐに離れた。
「えぇ〜そんなに俺嫌われてる?ていうかデジャヴ」
「と、殿方とあんなに密着してたら誰だってすぐに離れます!」
五月は声を荒げ。
「それにあなたにはハレンチな事をされたんです!警戒して当然です!」
「ごめんごめん…あっそういえば今朝、三玖ちゃんと会ったけど五月ちゃん様子が変だったって心配してたよ?」
「えっ三玖が?」
「うん、何かあったなら相談に乗るよ…って警戒されてる俺が言うのもおかしいか」
雄介はハハハッと笑い頭を掻く。
「…おかしな方ですね」
五月もふふっと少し微笑み。
「良かった」
「えっ?」
突然の雄介の言葉に五月は頭に?マークが浮かび。
「やっと、五月ちゃんの笑顔が見れた。やっぱり笑ってると可愛いね」
雄介がそう言うと五月は顔を真っ赤にし。
「何を言ってるのですか!?口説いてるつもりですか!?」
「いやぁそう言う意味じゃ」
五月とやり取りしてると雄介の携帯が鳴り出す。
「ちょいごめん!はい俺です…出たんですか!?はい、はい!わかりました。すぐに向かいます!」
雄介は通話を終え。
「ごめん、五月ちゃん!また後で!」
雄介はすぐに走り出し。自分の教室に向かった。
「えっ?何なんですか?いきなり」
五月は気になり後をつける。
雄介はすぐに鞄を持ち出し。
「未確認が出たから行ってくる。ことりちゃん、先生に説明お願い」
「うん、わかった気をつけてね。ゆーくん」
雄介とことりのやり取りを見て五月はますます気になる。
「(未確認が出現?でもなぜ中野君が?…まさか!?)」
五月はすぐに雄介の後を追った。
「中野君!」
雄介の後姿が見え声を掛ける五月。
雄介に追いつき少し息を荒げ呼吸を整える五月。
「ど、どうしたの五月ちゃん?」
「どこへ行くんですか?まだ授業中ですよ」
「そ、それはそのぉ〜ちょっとお腹痛くて早退しま〜す」
雄介のわざとらしい演技に少し腹を立てずんずんと雄介に近づく五月。
「嘘ですよね?…行くんでしょう?未確認生命体を倒しに…未確認生命体4号さん?」
五月に4号と呼ばれ目を逸らす雄介。
「すみません。さっきあなたとあなたの友人の会話が聞こえました。盗み聞きと言われても仕方ありません…ですが」
五月は顔を上げ雄介の顔をジッと見つめ。
「なぜ…なぜ、あの時言ってくれなかったんですか?ちゃんとお礼を言えなかったじゃないですか」
「それは、そのぉ…まぁ驚かせたくなかったし。それにあまり五月ちゃんをこっちの事に巻き込みたくなかったからかな」
「こっちの事?」
「未確認との事で巻き込みたくないんだ。正直、俺の友達も家族も全員…知っちゃたからにはまぁしょうがないけど五月ちゃんには普通に過ごして欲しいから」
「それって、他のみんなが幸せなら自分はどうなってもいいって聞こえますよ?」
「まぁそんな感じかな」
「そんなのっ!」
「だけど、その考え方で沢山怒られた。幼馴染からも妹からもね。だからちゃんと帰って来るそう約束してるんだ」
自分を巻き込みたくない大切な人達が守れたら自分はどうでもいい。この中野雄介の覚悟を前に五月は言葉が出なかった。
「じゃあ俺、行くね?」
雄介はバイクに跨りエンジンを掛ける。
「待ってください!あなたのその覚悟の源は何なんですか!?」
「…笑顔だよ」
「…えっ?」
「みんなの笑顔を守りたい…それは家族や友達、それに五月ちゃん。君の笑顔もだ」
「…なかの…くん」
「100%守れるかって言われたら正直無理だけど…実際、前の事件で友達の家族を俺は守れなかった」
雄介はヘルメットを被り。
「だからこれ以上大切な人達の涙はみたくない。みんなに笑顔で欲しいから俺は戦うんだ」
雄介はそう言いヘルメットのバイザーを下げ走り去って行った。
「何なんですか…何なんですか、もう」
五月は微笑み。
「かっこいいじゃないですか」
ーーーーーー
雄介が現場に向かう中、一条から通信が入る。
『中野、聞こえるか?』
「はい!今、現場に向かってます!」
『今、情報が入った。奴は地下の商店街の壁を壊し道を封鎖し人々を閉じ込めてる!』
「(以前、やった手口か)わかりました!すぐに向かいます!」
『頼む!我々もすぐに向かう!』
一条との通信を終え雄介はスピードを上げ現場に向かった。
ーーーーー
雄介が到着しそこには何名か警察官がそこにいた。
「状況は!?」
「駄目だ。壁が厚すぎてドリルで開けるのも時間が掛かる!」
雄介は少し考え込み。
「俺がゴウラムで突っ込んで道を開けます!皆さんは離れてて下さい!」
雄介はそう言い。腹部からアークルを出現させ。
「変身!」
雄介は赤いクウガへと変身を遂げる。そして少し経ったらゴウラムが飛んで来てBTCSと合体する。
「行きます!」
「みんな退避だっ!」
警察官の号令と共にクウガはバイクを加速させその壁へと突っ込んで行った。
バゴォーンッ!と共に大きな音がし壁が崩れ去って行く。
そこに見えた光景は。
「ひ、ひどい」
そこには沢山の人達が血を流し倒れていた。
「…」
クウガはバイクを降り。
「警察官の皆さんはここの人達をお願いします。俺は未確認を追います」
クウガはそう言い走って行った。
ーーーーー
クウガが辺りを走るとそこにはハンマーを持ったバベルが座っていた。
「…お前っ!」
「待ちかねたぞクウガ…お前が来る前にここにいるリント達は全員死んだぞ」
クウガは拳を握り締め。
ダンッ!と飛び出しバベルに目掛けパンチを繰り出すがバベルのハンマーにより防がれる。
「良い殺気だ…殺しがいがある」
ブンッ!とハンマーを振りクウガの腕を弾き。
「さぁ今度こそ決着をつけるぞクウガァ!」
バベルが突撃し戦いが始まる。
ーーーーー
ー音ノ木坂学院ー
雄介を見送った後、五月は自分の教室に戻ろうとした時。三玖と鈴合わせをし。
「五月どこ行ってたの?四葉、心配してたよ」
五月と四葉は同じクラスで授業中にも五月の姿がなく心配していた。
「すみません。少し」
「…まさかユースケの事?」
「な、何で中野君が出てくるんですか!?」
「やっぱり…ユースケの事ならもう五月は知ってるんだよね?ユースケがクウガって事」
「…やっぱり三玖も知っていたんですか」
「まぁ何度もユースケには助けられたからね」
「彼がなぜあんなにも命を張って頑張るのか…あの人の口から聞きました」
「…笑顔でしょ?」
「えぇ…みんなの笑顔を守る為に戦う。その為にあんな怖い未確認生命体と戦えるなんて凄いです」
「…惚れた?」
「なっ!なぜそのような話に!?」
「だってユースケカッコいいもん。あんなにみんなの為に頑張るユースケ…ほんとうにカッコいい」
「ほ、惚れたかどうとかはともかく正直格好いい…とは思いました」
「ふふっそっか」
「だからこそ無事に帰って来て欲しいです。話したい事まだ沢山ありますから」
ーーーーー
「うぉりぃやぁ!」
ガンッ!キンッ!と地下に金属音が激しく響き渡る。
「どうしたクウガ!あの力を出さなければ俺には勝てんぞ!」
「っ!るっせぇ!」
ガキンッ!クウガのソードが弾き飛ばされ。
「ふんっ!」
バベルのハンマーがクウガの体に直撃する。
「ぐあっ!」
その衝撃により吹き飛び壁に激突する。
「くっそっ!」
紫のクウガのボディにバベルのハンマーの跡がくっきりと残っていた。
「なんてパワーだっ!」
「クウガ早く本気を出せ…でなければあの時みたいに追い込まなければ力を出せないか?」
「なんだと?」
「それともここにいるリント達と同様。昔お前が庇っていたガキのリント達を探し殺せば本気を出すか?」
バベルのその言葉にクウガの心臓がドクンッ!と響いた。
「さっきからベラベラ下らねぇ事ばっか言いやがって」
クウガはゆっくりと立ち上がり落ちていた鉄パイプをタイタンソードに変える。
「そんなに死にたきゃ」
ダンッ!と一気にクウガはバベルの懐に入り。
「なっ!?」
「殺してやるよ」
クウガは金の力を解放しライジングタイタンへと変化する。
ズバッ!とその一瞬でバベルの腕を切り落とし。
「ぐあっ!」
バベルが怯んだ瞬間キックをしバベルを吹き飛ばす。
「ぐあぁぁぁ!!!」
切り落とされた腕を抑え悶え苦しむバベル。
「殺す…殺してやる」
クウガはゆっくりと近づく。
「(な、何なんだコイツは!?まるで別人!?今までの奴の比じゃない!これはまるで…奴と同じ)」
バベルは怯え後退りをする。
「ぶっ殺してやる!」
クウガがソードを振り上げた瞬間。ドクンッ!と心臓の波を打ちまた黒い4本角クウガの幻影が頭の中に流れた。
「かはっ!」
カランッとクウガはソードを落とし通常の紫のクウガへと戻った。
「っ!また…俺は」
クウガは頭を抑え膝を着く。
「どうしたクウガ?来ないのか?」
バベルは立ち上がりハンマーを握りしめ。
「来ないのならこちらから行くぞ!」
バベルはハンマーを振り下ろしクウガはそれを避ける。
「遅い!」
バベルは即座にハンマーを持ち替え振りクウガの腹部へと直撃させた。
「がはっ!」
クウガは横転しバベルは即座にクウガに馬乗りをしクウガの首を掴む。
「ぐっ!」
「どうした?さっきの力は出さないのか!?俺を怯えさせる程のあの力!」
バベルはさらに力を入れクウガの首を絞める。
「ぐあぁぁぁ」
「俺を殺したいからあの力を出したんだろ!なら躊躇はするな出せ!でなければあのガキのリント達を見つけ出しお前の目の前で首を引きちぎってやるぞ!」
「っ!てん…めぇっ!」
クウガの腕の力が強くなる。
ダンッ!と大きな音が聞こえバベルはクウガの首を離す。
「な、なんだこれは!?」
バベルが急に苦しみだし悶える。
「何が起こったんだ?」
クウガも疑問に思っていると。
「中野!」
ライフルを持った一条がクウガを呼ぶ。
「一条さん!」
「榎田さんが開発した特殊弾だ。これで奴の動きを抑えられるだろう。今のうちに!」
「はい!」
クウガは飛び上がり即座にバイクの方へと向かう。
「この近くにある雑木林が爆破ポイントだ。頼むぞ!」
「わかりました!」
クウガは赤いクウガへと超変身しバイクに跨る。
ブォンッ!と大きな音を立てビートゴウラムがバベルに突っ込みバベルをゴウラムの頭に固定し地下を出る。
程なくして爆破ポイントに着きバイクを急ブレーキしバベルを吹き飛ばす。
「がっ!」
バベルは横転しまだ苦しみながらも立ち上がる。
クウガはバイクから降り。
「お前の望み通り決着をつけてやるよ!」
クウガは構え金の力を解放し赤の金のクウガへと変わる。
ダッ!と駆け込みジャンプし。
「うぉりぃやぁー!!!」
クウガのライジングマイティキックがバベルの体に直撃する。
「ぐおぁぁぁぁっ!!!」
あまりの衝撃にバベルは数メートル吹き飛び木に激突し何本も折れ最後に壁に激突し倒れる。
「かはっ!」
バベルの体から紋章が現れるもバベルはゆっくりと立ち上がり。
「み、…見事だ…クウガ。これほどの力が…ある、とはな」
「こいつまだ!」
クウガは再び構え直すも。
ザシュッ!と音と共に突然バベルの腹部から大きな大剣がバベルの体を貫通していた。
「なっ!?」
「こ、これはっ!?」
バベルが驚いていると後からカブトムシに酷似した未確認が歩いて来た。
「時間だバベル」
「ガ、ガ…ドル」
ガドルと呼ばれた未確認は大剣の柄と掴み。
「ゲゲルを放棄しクウガに敗れたお前はもう用済みだ」
「き、さまっ!」
ガドルは大剣をバベルから引き抜きバベルは大量の血を吹き出したと共に爆発した。
「くっ!」
ガドルはクウガを見ると共に。
「クウガ…バベルを倒したのは見事だが。お前は…ダグバ、ビザバデバギ」
ガドルはそう言い残し去って行った。
「何を言ったんだ奴は?」
ーーーーー
「もう一体の未確認?」
雄介は一条と合流し先程の事を伝えていた。
「はい、奴は自ら15号を倒してから俺に何か言って去っていきました」
「仲間割れか?」
「微かに聞こえたのが時間切れって言ってましたね」
「奴らのゲームには時間が限られているのか」
「ですかね?」
「…まぁとにかくだ今回の事件は解決した。時間が時間だが君はどうする?」
雄介も時計を見ると16時前だった。
「そうですね。部活には間に合いそうですので学校に戻ります」
雄介はバイクに跨り。
「それじゃあ一条さん。また何かあったら連絡下さい」
「あぁわかった」
雄介はサムズアップをしバイクにエンジンを掛けその場を後にする。
ーーーーー
雄介が学校に戻りバイクから降りると。
「もう、授業は間に合いませんよ」
「うぇ?」
声を掛けられ振り向くとそこには五月がいた。
「五月ちゃん待っててくれたの?」
「ち、違います!偶然です」
「えぇ〜うっそだぁ俺の事待っててくれたんでしょ?可愛いなぁ」
雄介が五月をからかうと頬膨らませ。
「もう!知りません!」
五月は怒ってそっぽを向いた。
「ありゃりゃ怒られちゃたかな?」
「…無事に帰ってきてくれて良かった」
五月がボソッと言い。
「えっ?五月ちゃん何か言った?」
「何でもありません!さようなら!」
五月はそう言い残し帰って行った。
「あっうん。また明日」
雄介がそう言うと五月は振り向きべーっとあっかんべーをし帰って言った。
その振り向きの際、五月が微笑んだ事は雄介は知るよしもなかった。
ー第27話 衝動endー
だいぶ投稿が遅れて申し訳ありません。中々話の構成とか時間が無くこんなに遅れました。本当に申し訳ありませんでした。
気を取り直して次の話は番外編を書こうと思います。
どんなお話になるかお楽しみに。