正月にPCが逝って、ほかの作品を読んでたのがきっかけで書いて見ました。
別の作品がプロット再構築中なため、こちらの作品は間に書いていく感じです。
○月H日
趣味を持っていない私に主が
「日記でもつけたらいいんじゃね」
と言ってきたので、今日から書くことにした。
とりあえず、書き始めた理由を書いてみたのだがこれでいいのだろうか?
○月#日
何を書けばいいのかわからない。
今日もいつもと同じく平凡な一日だった。なので書くことがないのだ。
主に尋ねてみたが
「いや、俺も夏休みの宿題でしか書いたことが無いのでわからない」
というなんとも言いがたい返答だった。
ジト目で主を見た私は間違っていなかったはずだ。
今日はもう寝よう。
○月$日
今日も平凡な一日だった。
たかが日記くらい私には造作も無いことよと思っていた二日前の私を殴りたい。
・・・・・・とりあえず、後で主を殴っておこう。
書くことが思い浮かばないので、私のことを書いておこう。
名は雨音。狐の化生だ。
私は人間と化生に滅ぼされた。あの時確かに滅ぼされたはずだった。
しかし、気がつけば力を失った子狐の姿で倒れていたらしい。
そして、幼い主に拾われて雨音という名をもらい、今も住まわせてもらっている。
かつてのことを考えれば、私がここにいることが知れれば必ず人間と化生が群れをなして滅ぼしにくると思っていたのだが、どうやらここは私がいた世界とはまったくの別の世界らしい。誰も来なかった。
調べてみたが、どうやらこの世界には私と同一個体がいたようだが、今は子孫を残して滅んでいるらしい。
なんにせよ、名を・・・・・・雨音という名をくれた主が巻き込まれないのであればそれでよい。
○月&日
昨日は私のことを書いたので、今日は主たちのことを書こうと思う。
家族は主と父上様と母上様、そして妹様の四人家族だ。
父上様は普通のサラリーマンで一家の大黒柱として働いている。
お金なんて奪ってくればいいと思っていたが、人間は労働をして対価としてお金を貰うことに喜びを感じる生き物らしく、父上様も例外ではないようだ。まあ本人がそれでよしとしているのできっといいのだろう。
母上様と妹様に弱いらしく、お願いというと無理してでも叶えようとする。
私も昔似たようなことを言って人間どもをたぶらかしていたが、それと比べると可愛いものだろう。
それはいいのだが、愚痴を私に言ってくるのはどうかと思っている。私は狐だぞ父上様?
尻尾くらいは触らせていいが、腹に顔をうずめようとするのは駄目だ。それをしていいのは主と妹様だけだ。
母上様は家で家事をしている。
人間の雌で、子供が二人もいるのに外見が若々しい謎な人間だ。もしかすると化生なのかもしれない。
かつて人間の宮廷で贅沢を味わい尽くした私から見ても、母上様の料理は美味だ。
普通に店で売られている食材を使い、普通の調理器具に普通の調味料を使っているのにあの味を作れるのがいまだに不思議だ。やっぱり化生なのだろうか?
ただ、私の撫で方は一番上手だ。
思ったより文字数を稼げていたので、主と妹様のことは明日にしよう。
○月=日
今日は主と妹様のことを書こうと思う。
妹様は勤勉でしっかりした人間だ。
人間なんぞどの個体も同じだと思っていたが、真逆の主が近くにいたため違いがよくわかった。
だが、私が関わるとまるで駄目な人間へとなる。
尻尾をモフり、腹に顔をうずめているときの顔は妹様の名誉のためにほかの人間には見せられない。
人間は二面性を持つ生き物だとは理解していたが、ここまで変わるものなのかと驚いた。
初めて人に化けたときの反応も、ほかの家族とは違った。
「今すぐケモ耳とケモ尻尾だして」
化生も逃げ出すほどの鬼気迫る目つきで言ってきた妹様は、この私に恐怖という久しく忘れていた感情を思い出させるには十分なものだった。
やはり人間は恐ろしい。
最後に、私に雨音という名を与えてくれた主のことだ。
一言で言い表すと馬鹿だ。
体を動かすのは好きだが、勉強は苦手で最終的に私と妹様が教えている。狐と年下から勉強を教わるというのはどうかと今でも思っている。
雨音という名は主がつけてくれた。私を拾ったときに雨が降っていたからという理由だった。
気に入っている名だが、もうちょっとこう・・・・・・考えろよ主と思わなくもない。
そんな駄目な主だが・・・・・・温かく眩しいのだ。
かつて私を滅ぼした人間のように。
かつて私が憧れ望み続けていた陽のように。
私が近くにいていい存在ではないのはわかっている。だが、名を貰い私という存在はこの世界で確かに生まれたのだから。これからも主のそばで生きてみようと思っている。
だが、無理難題を私に押し付けるのは勘弁してほしい。私はどこぞの青狸ではない。狐だ。