狐の日記   作:姫戸三角

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久々の白猫日記となります。


11 白猫日記

△月$日

 アーシアさんがアーシア先輩になりました。頼もしい回復が出来る神器の持ち主です。

 

 最近胃が痛いので頼んだら治してくれますかね?

 

 

 

△月】日

 部長が妹ちゃんたちを勧誘しようとしています。それだけはまずい。

 無理やり悪魔に転生でもさせてしまったら、確実にみんな死んでしまいます。より残酷な方法で。

 

 部長には絶対に二人を勧誘し悪魔にしないよう言っておきました。

 

「部長たちの四肢を全てへし折ってでも止めます」

 

 と言ったら、何とか引いてくれました。後で、アーシア先輩に胃を治してもらいましょう。

 

 

 

△月_日

 雨音さんの正体は狐でした。

 白く綺麗な毛並みで、同じ白色として少し憧れます。

 

 触りたいとは微塵も思いませんが。

 

 

 お願いですから妹ちゃん! 止めてください私はまだ死にたくないのです! 

 

 

 

△月★日

 今日も呼び出されました。雨音さんに。

 

 修行をするとのことで、お兄さんと妹ちゃんの二人と戦うことになりました。

 雨音さんとだったら全力で走って逃げようと思っていました。

 

 

 お兄さんは人間辞めてました。

 

 イッセー先輩から聞いてはいたのですが、瞳が縦に細くなって、歯と爪が鋭く尖り、髪が身長より伸びた姿はもう人間とは呼べません。絶対に。

 そんな姿で私よりも早く動き回り、私たち悪魔の天敵の退魔の槍を振るってきます。悪夢以外のなにものでもありません。

 何度か挑みましたが、結局あっけなく捕まり頭を撫でられます。小さいからですか? 私の身長が小さいからですか?

 

 

 妹ちゃんは妖怪始めてました。

 

 雷と嵐を纏い、火を吐いてました。

 

 

 空を飛び、火を吐き・・・・・・雷・・・・・・教会・・・・・・血――――。

 

 

 私は何も思い出さなかった。ええ、何も思い出しませんでした。

 

 決して特徴が酷似しているとか思いませんでした。

 

 

 そういうことにします。涙が止まりません。

 

 アーシア先輩にまたお世話になりましょう。

 

 

 

△月→日

 日課となりつつある呼び出しに応えて、今日も今日とて魔窟に向かいます。

 今回は談笑で済んだのですが、最後の最後で重いのが来ました。やはり雨音さんは雨音さんです。

 帰り際にお土産のお菓子を持たされました。いつも出してくれる妹ちゃんのお母さんが作っているお菓子は非常に美味しく、こっそり楽しみにしていたのですが、今日のはやばいです。

 

 

 雨音さんの手作りでした。

 

 

 冷や汗が止まらない。

 食べて大丈夫なのか? 呪いとかそういうのもアーシア先輩は治せますかね? 魔王様でも、この際神でもいいですから手元にあるこれから助けてください。

 

 神に祈ったせいで頭痛に悶えながら、それでもそんな考えが止まりません。

 部室に戻ると、イッセー先輩が居ました。

 

 

 ――――魔王様。悪い悪魔の私をお許しください。

 

 

 私の契約先の、黒髪で美人なお姉さんの手作りお菓子ですと言って、イッセー先輩に笑顔で手渡しました。きっと、ぎこちなく引き攣った笑顔になっていたでしょう。

 気持ち悪いほど泣いて喜び、お菓子を食べてくれました。

 十分ほど様子を見て、イッセー先輩に異変が無いか念入りに確認した後に私も食べました。普通に美味しかったです。

 

 前に雨音さんが料理は出来ると言っていたのは事実だったようです。これで次回からも安心です。

 

 そして、明日からもう少しイッセー先輩に優しくしようと思います。

 

 

 

△月【日

 泣いた。雨音さんのえげつなさにそれはもう泣きました。

 

 いつものように呼び出され、今日も修行でした。

 仙術の訓練をすることになりましたが、私は未熟なので上手く使えないと言ってはみたけど無駄でした。

 仙術は、周囲の気に干渉して取り込むことで色々なことを行える術です。未熟な私が仙術を使えば、周囲の陰の気にまで干渉し取り込んでしまって暴走してしまいます。

 

 それを知って雨音さんが出した解決方法の一つ目が、周囲の陰の気を全て雨音さんが食べてしまうというものです。

 

 違う! そうじゃない!! 

 

 周囲とか以前の問題で、陰の気の塊と言ってもいい雨音さんが近くに居る時点で確実に暴走します! 驚いたような目で私を見ていましたが、あれは絶対に何かずれたことを考えている目でした。

 

 二つ目が、暴走前提で仙術を使い、暴走したら雨音さんが力づくで止めるというものです。

 

 その場で土下座しました。死んでしまいます私が。

 

 三つ目が、陽の気で満ちているお兄さんと妹ちゃんに張り付いて仙術を使うというものです。

 何故か私よりも先に妹ちゃんが賛成していましたが、結果的には大成功です。

 ただ、仙術を使うと猫の耳と尻尾が出てきてしまい、それを妹ちゃんとお兄さんがモフりだしてきました。

 

 一瞬だけ見えた雨音さんの目が、視線だけで上級悪魔も殺せそうな眼光を放っていたのは見なかったことにします。

 

 

 

△月а日

 気がついたら、知らない天井でした。

 

 

 部長たちがあまりにもしつこいので、話だけという条件で二人を部室に案内しました。

 部室には部長と言い争っているフェニックス家の三男、ライザーが居ました。あんなやつ呼び捨てで十分です。

 

 部室の隅で二人とお菓子を食べ、言い争いが終わるのを待っていたら、どうやらレーティングゲームで決着をつけることになったようでした。

 これで帰ってくれればよかったのですが、イッセー先輩が余計なことを言ったので、それに気をよくしたライザーが・・・・・・こともあろうか妹ちゃんを口説きました。さらに、転生悪魔にしてやるとも言い放ちました。

 

 妹ちゃんは即答で

 

「モフりがいのある毛並みが無い人はちょっと」

 

 と返事をしていましたが、私の意識はそこで途絶えました。

 

 

 血を吐いて倒れたらしいです。

 

 こうして保健室で横になりながら日記を書いていて思いました。いや、気がつきました。

 

 

 どうせ死ぬときは部員みんな一緒ですよね? それなら問題ないですよね? 楽には死ねないでしょうけど。

 

 

 どこかに居る姉さま。お元気でしょうか? 白音は姉さまに会いたいです。

 見つけたら一発殴ろうと思っていましたが、今は姉さまの胸に飛び込みたいです。そして、二度トハナシマセン。

 

 

 

 

 一緒ニ――――胃を痛メましょウ?

 

 

 




ふ っ き れ た 。
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