○月A日
主と妹様は高校に通っている。
高校には悪魔と呼ばれる化生の一種が住み着いているのは知っているが、主たちに害をなさなければ放って置くつもりだ。我ながら甘くなったものだ。
もっとも、害をなせば生まれてきたことを後悔させながらありとあらゆる苦痛を与え、じわじわと心を折りながら一匹残らず滅ぼすつもりなのだが。
そんな中、ある日主と妹様から悪魔の臭いがした。
さて、楽しい虐殺の時間だ。心地よい絶望と悲鳴をアゲテモラウトシヨウ。
と、思っていたのだがどうやら悪魔どもが配っているチラシが原因だったようだ。
悪魔どもは人間にこのチラシを配り、願いをかなえる代償として対価を貰うのを仕事としているらしい。まったく理解できない。
だが、これはいい機会なのかもしれない。
この世界は、バケモノどもが人間にちょくちょく害をなしている。
天使に悪魔どもは人間を家畜としてしか見ていない。口ではおそらく『そんなことはない』と言うだろうが、やっていることは家畜に行うそれと大差が無い。もっとも、私からすれば生ぬるいのだが。
天使どもは人間を聖剣とやらを使う素材にしていたり、洗脳し敵対勢力と戦う駒としている。
悪魔どもは悪魔の駒とやらで強制的にほかの種族を悪魔にできるらしく、種族の存続を謳いながらコレクションとして珍しい人間や美しい人間を無理やり眷属としているようだ。
私からしてみれば、どちらも非合理的だ。実際どちらの勢力も逃げられたりと愚かな結果になることが少なくない。やはり他者を縛るには、恐怖と絶望で心を折り従わせるのが一番だ。
堕天使は神器という物を持つ人間を集めているようだが、主たちは所持していないので実質無害だろう。
このようなバケモノが町を闊歩している。もしもの時を考えると、主たちには戦い方を教えるのがよいのかもしれない。
チラシを捨てるように言ったら、妹様が交換条件としてモフり1時間を要求してきた。解せぬ。
○月×日
主たちがまたチラシを強制的に渡されて帰ってきた。
正直に言うと、あいつら何やってんだと直接言って滅ぼしてやりたい。
『アナタの願い叶えます』
胡散臭すぎだ。もうちょっと文章を考えるべきだ。
とりあえず私が燃やしておいた。
私の尻尾がモフられすぎて少しごわごわする。
○月(日
ここ数日、毎日モフられて日記を書く気力がなかった。
悪魔死すべし慈悲は無い。
主が聞いてきてくれたおかげで、あの悪魔どもが何故主たちにしつこく付きまとうのかが判明した。
結論を言うと私のせいだった。私と暮らしているので主と家族には私の妖力が少量ついてしまっているのだ。
並みのバケモノであれば私の妖力を感じて近づかなくなるのでよかれと思っていたのだが、どうやら高校に住み着いている悪魔は妖力は感じ取れるがその力の脅威度すらわからない未熟者らしい。
この世界のバケモノどもがこのレベルであるのなら、主たちに至急力をつけてもらうのがよいだろう。馬鹿は予想外の行動を起こすことが多いので、こちらも警戒しなければ。(参照:主の普段の行動)
とりあえず、武器となるものを作っておこう。
○月<日
しつこい。
あまりにもしつこい!
毎日毎日毎日毎日毎日毎日・・・・・・チラシを渡しよって!!
妹様なんて、もはやあのチラシを私の尻尾モフり券としか見てないではないかっ!
私の安息と尻尾の毛並みのために、一応人に化けたあとチラシを使い一匹悪魔を呼び出した。出てきたのは白い髪の小さな悪魔だった。よく気配を探ると、まさかの猫の化生だった。
元とはいえ同じ化生のよしみで、なるべく優しく微笑んで話しかけたら「ひぃい」と本気で怯えられた。解せぬ。
とりあえず、主たちに手を出すなと釘を刺しておいた。真っ青な顔をしてうなずいていたのでこれで大丈夫だろう。
主たち以外と話すのは久しぶりだったので、暇つぶしに猫の化生に身の上話をしてもらった。最初は渋っていたが、母上様が作っておいてくれたお菓子を与えると快く話してくれた。
話を聞いて、やはり悪魔はろくでもないものだというのがよくわかった。その後、土産のお菓子を渡し帰した。
そろそろ武器を作り終えるので、早急に主たちを鍛えることにしよう。これでも昔、人間の幼子をそれなりに育て上げたことがあるのだ。出来ないはずが無い! 早速今夜主たちに話そう。