恨むのなら、結んでしまった縁を恨んでほしい!
○月K日
妹様がまたチラシを貰ってきた。
誰にケンカを売ったのかわからせてやる必要があるようだな悪魔ども。貴様らの恐怖を、悲鳴を、絶望を喰ろうてやろう。
気がついたら部屋の窓ガラスが全て割れており、後で主に怒られた。この恨みも悪魔どもにぶつけてやろう。
そんなことを思っていたら、先日の猫の化生が家にやってきた。そして、玄関でプルプル震えながら見事な土下座をしてきた。さすがに居た堪れない気持ちになり部屋へと招きお菓子を与えた。
猫の化生・・・・・・白音の話では、どうやら妹様からチラシをくれと言って来たらしい。白音も断ろうとしていたらしいが押し切られたとのことだ。妹様よ・・・・・・。
とりあえず見逃すことにした。決して同じ白い毛並みと名が似ていたからではない。
夜になり、父上様と母上様にバケモノたちの存在を話した。
二人とも「あっやっぱりいるんだね」と特に驚きもしなかった。主と妹様も昨晩話したとき似たような反応だったので、やはり家族なのだなと思った。だが、こう・・・・・・普通はもう少し驚くものなんじゃないだろうか? いや、人に化ける狐が目の前にいるのだから今更なのか? 私がおかしいのだろうか?
父上様と母上様の許可を得て、私の僕を護衛につけることにした。
主たちの了承を得たので、今夜から二人を鍛えることとなった。
私が作った武器を渡すと二人とも喜んでくれた。昔の私では考えられないことだが、嬉しいと感じていた。
二人には死んで欲しくないのだ。
私に名をくれた温かい主、こんな私を好いてくれる妹様・・・・・・死なせるわけにはいかない。なので、二人に作った武器には私の尾の力を込めてある。
妹様には雷と嵐を纏い、鋭い爪の付いた籠手を。
主には無骨な退魔の霊槍を。
本物ほどの力はないが、私が知りえる最も強き者の象徴を。
どうか眩しい陽の道を歩んだあの者たちのように。
○月>日
最近堕天使がうろちょろしている。
主たちには無害だろうが、あまり良い気分では無い。何度かやつらの拠点を覗き見たが、あいつらの上位の者は少々頭がおかしいので不安が残る。
まあ、最近うろちょろしている堕天使は強くも無いので問題ないだろう。やろうと思えばまばたき一度ほどの時でやれる。
それにしても、はぐれ悪魔や堕天使がよくこの町に来ているのだが、この町の領主を自称している赤毛の悪魔は何をしているのだろうか?
はぐれ悪魔に関しては、去年だけで五十匹以上私が滅ぼしていたのだが、気がついている素振りがまったく感じられない。
今回の堕天使に関しても気がついているとは思えないのだが・・・・・・。
後で未だに妹様が貰ってきているチラシを使い、白音を呼んで聞いてみるとしよう。
○月\日
堕天使の気配がなくなった。あいつら何をしに来ていたのだろうか?
しかし、悪魔が一匹増えたらしい。元から十数匹いたが、一匹くらい増えた所で問題は無い。
とりあえず、今度いつものごとくチラシで白音を呼んで、お菓子を食べながら詳しく聞くとしよう。
主と妹様の訓練は順調だ。
主は槍の効果で強化された身体能力に少し振り回されていたが、この町の悪魔どもでは太刀打ちできない域になっている。
ただ、槍の効果のせいで伸びた髪で「貞子! 中に入れるテレビ探さなきゃ!」とか言いながら嬉しそうに走り回るのは本気でどうかと思った。そんなテレビは無い。
問題は妹様だ。
確かに嵐を纏っている籠手だから出来ない事は無いのだが、初日で空を飛んだのには驚かされた。いや、飛ぶと言うと語弊がある。突然空に物凄い勢いで吹っ飛んで行ったのだ。着地のことなど考えもせずに。
この世界で初めて焦りを感じて大慌てで追いかけて受け止めたが、私に冷や汗を流させるとはやはり人間は恐ろしい生き物だ。
しかし、きっとこの先も予想の斜め上の使い方をするに違いない。父上様が愚痴をこぼす気持ちがわかった気がした。
○月―日
主と妹様が堕天使に襲われた。
いや、一緒にいた友人の雄の悪魔とシスターが襲われて巻き込まれたらしい。
カラスドモカナラズコロ――
(※以下解読不可能な文字と自主規制)
文字にすると少し落ち着いた。
とりあえず、堕天使が根城にしていた教会に、私の僕に堕天使と邪魔する者に苦痛を与え、顔に恐怖を貼り付け、絶望し、殺してくれと自ら懇願するようにして喰らうよう指示を出し五百体差し向けた。
今夜のうちに全て終わるだろう。
○月/日
また悪魔が増えた。主が言うには元シスターらしい。
いいのかシスター? 悪魔とは神敵ではないのか?
まあ、主に害がなければ放置でよい。
それにしても、もう一匹堕天使が町にいるがコレも処理するべきだろうか? 教会には近づいていなかったのは確認しているのでしばらく様子を見るとしよう。
さて、お菓子も用意できたしいつものチラシを使うとしよう。
以上、どこかの堕天使危機一髪回でした。