△月E日
最近、近所を悪魔どもが早朝からランニングしている。
まったく朝からいい迷惑だ。
と、言いたい所ではあるが、こればかりは少し悪魔を見直した。
やはり美しい毛並みの維持には程よい運動が必要不可欠だからだ。あの悪魔どもも毛並みのために早朝から運動をするとはよい心がけである。
今度白音にも美しい毛並みの維持方法を伝授してやろう。
△月○日
元シスターの悪魔を見かけた。
雄の悪魔が奇声を発しながらこいでいた自転車の後ろに乗っていた。
悪魔はここまで人員不足だったのか。
悪魔の駒を作らなければ滅びると言われていたのも頷ける。化生と違い、悪魔という種は人間と同じく生殖活動で数を増やすか、悪魔の駒で他種族を悪魔に変え増やすしか出来ないらしい。
人間と悪魔の違いなど、ほんの僅かな力の差でしかないというのにも関わらず、人間を下に見ている悪魔どもはなんとも滑稽だ。いずれ悪魔は、その首を人間の牙に食い破られる日が来るだろう。
かつての私のように。
その夜に、ハイテンションで奇声を発しながら槍を振り回す主を見て、目頭が熱くなった。
△月)日
妹様が白音を家に連れてきた。
話は聞いていたが、どうやらそれなりに仲がいいらしい。
私を見て白音が驚いていた。そういえば狐の姿を見せたのは初めてだっただろうか? 妹様が私の毛並みに触れるよう促していたが、白音は硝子細工を扱うような手つきで私に触れてきた。
いくら私の毛並みが美しいからといっても、そこまで慎重に触れなくてもいいのではないか? それなりに共にお菓子を食べた仲でもあるし、少々触れる程度なら気にしないぞ?
今の私の狐の姿は、動物のキツネと大差が無い姿だ。毛並みが白く美しいことを除けばだが。
もしも白音が私の戦うときの姿を見たら、その場で倒れるのではないか?
胆力を鍛えるために主と妹様の鍛錬に参加させるべきか? これは少し考える必要があるな。
△月$日
白音をチラシで呼びつけ鍛錬に参加させた。
妹様も喜んでいたし、白音も泣くほど嬉しがっていた。
しかし、白音はあまり強くなかった。
槍の効果で跳躍力や腕力、治癒能力に皮膚の硬度等が普段とは比較にならないほど著しく増している主を相手に、何度も挑み捕まっては頭を撫でられるというのを繰り返していた。こういうのを才能の無駄遣いと言うのだろう。
雷と嵐を纏い、火を吐く妹様とは対峙しただけで泣いていた。
そう――、火を・・・・・・吐いていたのだ。
そんな能力を私はあの籠手にはつけていない! それなのに妹様は火を吐いたのだ。
あの化生を元に作り上げたので出来るのもわからなくもないが、妹様を人外めいた何かにするつもりはなかったので、あえて付けなかった能力だった。
妹様に尋ねたら
「雷! 嵐! ときたら炎だよね! って気持ちでやってみたら出来たよ?」
だ、そうだ。頭が痛い。
まだ推測でしかないが、あの籠手は独自に成長しているのかもしれない。もしかすると主の槍も・・・・・・。
とにかく今は、妹様が『美味そうな人間どこだー』とか言い出さないよう気をつけておこう。
白音の強化も少し考えなければ。
△月#日
主が槍に乗って空を飛んでいた。わけがわからない。
△月%日
今日もチラシで白音を呼び、鍛錬を行った。
白音には悪魔の力ではなく、化生としての力を伸ばすことにした。
聞いたところ、元々仙術というものを扱える化生らしい。
仙術とは生命体に流れる『気』に干渉する術なのだが、陰の気に影響され暴走する可能性があるようだ。そして、白音は未熟で扱えない。
まあ、いくつかやりようはある。要するに陰の気さえどうにかすればいいだけの話だ。
手っ取り早く、この国中の陰の気を私が全て喰らえばよい。元々主食だ、問題ない。
白音が涙目で
「違うそうじゃない。周囲とかの問題じゃないです」
と言ってきた。
まさか・・・・・・仙術とは世界中という広範囲で陰の気を集められるとは。
白音の評価を上方修正しておこう。
次の方法として、暴走してもその度に私が力ずくで即止めることを提案したら土下座された。久々に見たな。
綺麗な土下座をした白音を見て「いじめちゃだめだよ!」と妹様に怒られた。解せぬ。
私はいじめなどと言う下賎な趣味は持ち合わせていない。欺き貶め、それを嘲笑う方が好みだ。
仕方が無いので最後の方法として、主と妹様に引っ付いて仙術を使う案を出した。
陰の気を祓うほどの陽の気を持つ二人のそばなら、陰の気で暴走することはまず無い。その状態で使い続けて慣らしていけばいずれ問題なく使えるようになるだろう。
白音より先に妹様が賛成したので、しばらくはこの方法で鍛錬させることにした。
仙術を使わせたら白音に猫の耳と尻尾が生えた。予定調和のごとく妹様が飛びついた。
主までモフりはじめた。
別に悔しくなどない。
△月=日
今日は母上様のお菓子作りを手伝った。決して主に料理出来なさそうとか言われたからではない。
私はそんじょそこらの狐ではない。私にかかれば料理など造作もないことだ。ハンバーグだって作れるのだ。
と思っていたが、どうしても母上様のような味が出せない・・・・・・。やはり母上様は化生なのだろうか?
とりあえず、作ったお菓子は主と妹様に食べてもらった。味には問題ないから、少し形が悪くなってしまった物は白音にでも与えよう。
△月~日
上位の化生と出会った。
この私から見てもあの化生は異常だ。外見はともかく、力持つ化生なのに気配が完全に人間のそれなのだ。
あれで筋骨隆々の外見をもっと上手く化け、内包している強大な力を押さえ込むことが出来れば、私でさえ正体を見抜くのは難しいだろう。
この世界の化生もなかなかやるものだ。
もしかしたら、あの独特のフリフリした服装にも意味があるのかもしれない。今度主に・・・・・・は駄目だな。主は服に関しての知識もセンスもまったく無い。妹様に聞いておこう。
△月¥日
主と妹様が、レーティングゲームという悪魔どもが行う遊戯に参加することとなった。
悪魔同士のいざこざ現場に主と妹様も居合わせて、話の流れで参加させられそうになり断った所、人間だからという理由で強制参加になったらしい。
しかも、こともあろうか鳥の悪魔が妹様を口説いたそうだ。
白音が私に懇願しなければ、その場の全員皆殺しにしていただろう。
鳥は必ず焼くとして、白音が言うには命の危険は無いものらしい。それであれば、主と妹様に実戦経験を積ませるのも悪くない。
相手は火を使う不死鳥らしいが、妹様の嵐と炎の前には無力だろう。あの炎は悪魔ごときが扱う火などものともしない。
主の槍は、本物ほどの力は無いがそれでも退魔の霊槍だ。完全に打ち滅ぼす事までは出来ずとも、不死性を貫き傷の治りを大幅に遅らせることなら出来るだろう。
それに伴い、この町の悪魔どもと十日間泊り込みで鍛錬を行うそうだ。
白音も同行するので問題ないだろう。
しかし、問題なのは『人間だから』という理由で拒否することが出来なかったことだ。この先のことを考えると、主たちには後ろ盾を作るのがよいかもしれない。
△月?日
そうだ京都へ行こう。
魔法少女(乙漢)
あと、京都はガメ○3の京都駅みたいにならないといいですね。