NEW FAMILY   作:佐渡カラ君

1 / 1
設定のガバガバ感が否めないうえに駄文ですが、読んで少しでも気に入っていただけるとありがたいです。


1 高木穂乃果

「ただいまー」

穂乃果が家にもう帰ってきていると思って明るく帰宅したが、まだ帰ってきてないらしい。

運動会の練習か何かだろうか。最近の小学校は5月や6月のうちに運動会を済ませてしまうところが多いらしい。圭汰自身も、小学校の頃の運動会は秋開催だったが中学の時はやはり早くに済ませていたことを思い出す。

高木はもう仕事に出ているはずだ。まあ、仕事に出ていたとしても高木の家はマンションの隣の部屋だ。いるかどうか確かめに行こうかとも思ったが、答えはもうほぼわかっているし確かめたところで特に何もすることも話すこともないのでやめておく。

 

制服から私服に着替え、宿題を早めに終わらせようと思ったらだれかがカギを開ける音が聞こえた。穂乃果が帰ってきたのだろう。鍵を開け終わる前に急いで玄関まで移動する。

「ほのちゃんおかえり~」

「ただいま~!」

穂乃果が笑顔で家に入ってくる。体育着のまま帰ってきたところをみると、やはり放課後に運動会の練習をしていたのだろう。

「じゃあほのちゃん、汗かいてるみたいだし早めに着替えとこっか。手洗いうがいもちゃんとするんだよ?」

「うん!」

 

圭汰は穂乃果用の洋服ダンスから着替えを一式取り出して、洗面所に向かう。

洗面所のドアを開けると穂乃果は上半身裸の状態だったが、圭汰にみられてもはずかしそうにはしない。まだ「お年頃」という歳ではないのだろうか。小学三年生ともなるともうそろそろ照れてもよさそうなものだが、まあ心を許してくれているということにしておこう。こっちも変に意識しているからいけないのだろう。それに、毎日一緒にお風呂に入っているし、トイレのときまで一緒にいることもある。このくらいなんてことない。

(あとはっきり言ってこちらに不都合なことは何もないし、これはあまり認めたくないが幼女は好きだ)

「着替え持ってきたよ。シャワー浴びる?」

「ううん、シャワーはいいや」

「そっか、じゃあ汗かいたままふくきるのはちょっとあれだからタオルでからだ拭いておこうね。」

「うん、穂乃果自分で拭く」

「じゃあちゃんと拭くんだよ?」

「うん。穂乃果もう三年生だよ。ちゃんとできるもん。」

そっかそっか~偉いね~と言って圭汰は穂乃果の頭をなでる。穂乃果はとてもうれしそうだ。

 

やはり子供はいい。喜怒哀楽がすぐ表に出るから接しやすい。もちろんみんながみんなそうなわけではないだろうし、子どもにも隠したい感情や実際に隠している感情、我慢していることなんかがあるのだろうけど、穂乃果は仮に隠そうとしても感情は全部顔に出てしまうタイプだ。そもそも隠そうとしてないかもしれないが。

それに子どもは一緒にいるだけで癒しになる。現代人らしくストレスがたまっている圭汰にとっては本当に数少ない救いだ。ただ、圭汰が穂乃果に癒しを求めすぎたせいで穂乃果にストレスがたまったら元も子もないから、そこらへんは気を付けているつもりだ。

 

ストレスとは関係ないかもしれないが、穂乃果がいつも笑顔なのは気になる。元気なのは良いことだし、基本的には自然な、何も違和感のない笑顔なのだが、何か時々不自然な、我慢しているような笑顔な気がするときがある。もちろん思い込みかもしれないし、そりゃ子どもにも悩みの一つや二つ、それ以上あってもおかしくないのだが、それでも無理して笑顔を作る必要はないはずだ。まあまだ実は一緒に過ごし始めて二か月たっていないし、これからいろいろとわかってくることもあるのだろう。無理に急いですべてを理解しようとする必要はない。ゆっくり時間をかけて理解をすればいい話だ。

 

穂乃果の体育着がひとつしかなく、明日も運動会の練習があるというので一度圭汰の制服と一緒に洗濯を始めた。体育着は明日にでももう一組買ってあげよう。

 

「ほのちゃんアイス食べる?」

「たべるー!」

「じゃあいっぱいあるから選んでいいよ」

「うん!」

駄目だ。やはり穂乃果は可愛すぎる。

 

穂乃果は元気よく冷蔵庫に向かい、スティックタイプの果肉入りみかんアイスをダイニングテーブルの椅子にちょこんと座って頬張る。圭汰は穂乃果が玄関に置いて行ったランドセルを穂乃果のところに持っていき、同じタイプのリンゴのアイスを頬張る。

 

「ほのちゃん運動会では何やるの?」

「うーんとね、かけっこでしょ、大玉ころがしでしょ、あとダンス!」

「そっか~ダンスか~、なに踊るの?」

「エグザイル!」

「おーすごいね!」

「うん!ぐるぐる回るんだよ!」

あまり可愛げのあるダンスではない気もするが、本人が楽しそうなのでまあいいだろう。

「お兄ちゃんほのちゃんの運動会ちゃんと見に行くからね、いっぱい練習するんだよ?」

「お兄ちゃん来てくれるの?」

「うんもちろん。あ、お母さんも行けるようにするって言ってたよ」

「お母さんも?」

穂乃果が心配そうに聞いてくる。これは仕方のないことだ。穂乃果の母親は昼から夜遅く、ほぼ毎日早朝まで仕事をしている。父親はいない。穂乃果が生まれた直後、どこかに逃げてしまったらしい。だから彼女はそれからつい最近まで一人で娘のことを養ってきた。その代わり、ほとんど娘と触れ合えていなかったのだ。でも彼女と話すと、とても娘のことを愛していて、大事にしているんだなぁということがわかる。仕事がないときはできるだけどこか遊びに行ったり、行けなくとも家で色々一緒にしようとしているのもその表れだろう。

穂乃果も圭汰と一緒に暮らし始めるまでは家に帰ってきてから寝るまで一人という生活をほぼ毎日続けていたのだろうけど、母親のことは好きらしい。普段はとても関係は良好だ。

 

穂乃果がいつも仕事に追われている母親がみに来ると言って母親の体調を心配してあの表情になったのか、それとも本当に来れるのかどうか心配してあの表情になったのかは圭汰にはよくわからなかったが、子どもなりに複雑な心境なのだろう。

 

「うん。お母さんもちゃんと来るって言ってたよ。よかったね」

「うん」

やはり元気がない。基本的に彼女は母親がいるところ以外で母親の話をすると不安そうな顔をする。でも母親と一緒にいるときの笑顔は本物だ。これは感覚的にわかる。

 

アイスを食べ終わり、穂乃果に歯を磨かせて宿題を早めにするように言った圭汰は、自分自身も勉強を再開した。




ありがとうございました
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。