次回も続きます。
二つの同盟が生まれて早くも二日が経った。
四組の主従がお互いの戦い方や戦法、スキルでどう倒すかを考えている時。
唐突にその戦いは始まった。
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「それにしても楽しくないわね」
私は誰にも聞こえないような声で呟く。
マスターはお稽古か何かしらで今はいない。
『千里眼』をやっても誰も視認できる距離や球の範囲に入らない。
弱いからなのかもしれないけどやはり立ち向かってくるぐらいはして欲しい。
そう考えて歩いていたら一人の女性とぶつかる。
ぶつかった時に見えたその姿は私と『瓜二つ』だった。
私はその存在を知っている、『川神百代』。
『武神』と謳われる最強の女子高生だ。
しかし名前をいきなり呼ぶ事はしない、初対面の人間の名前を呼ぶなんて下手したら不審者扱いをされる。
例え世界規模で有名でも節度は守らないとね。
「貴方、何者かしら?」
白々しいが私は百代に話しかける。
一拍置いて百代が振り向いて私を見る。
一瞬驚いた顔をしていたけれどすぐにそれは笑みに変わる。
「私の名前は川神百代だ、あんたは?」
百代の笑みは子供のように純粋で、そして壊れそうなほどに危うさを感じさせるものだった。
その気持ちは分かるわ、『自分自身』に出会えたようなものだから。
戦いに楽しみを感じる者としては確実に抱く夢。
それは『自分自身』と戦う事。
「私の名前なんて良いわ、やる事は一つしかない、それを分かっているでしょ?」
そんな私の言葉を聞くと笑みを浮かべて百代が『気』を放出する。
確かにその量は凄まじく天さえも衝いていた。
私はそれを感じて喜びを感じはしなかった、むしろ落胆していた。
もしかしたら満たされないだろうという事を心の中でだが感じさせられた。
「それだったら私でも出せるわよ!!!」
そう言って私も『気』を放出する。
その量は百代を平然と凌駕する、さて……始めるわよ。
私は駆け出す。
百代も同じ様に駆け出す。
最初の攻撃は激突を互いに選ぶ。
「ハアッ!!」
体をお互いにぶつけ合う。
大地が揺れて僅かに相手が後退する。
力比べは私に分があるようね。
まあ、気の量から察して全部私が勝つでしょうけど。
「川神流奥義『無双正拳突き』!!」
奥義をぶつけてくるけれどそれでも私には届かない。
「川神流奥義『無双正拳突き』!!」
同じ技同士がぶつかる。
轟音を立てて風が吹き抜ける。
威力は同等のようだけれどもまだまだ私はこんなものじゃない。
「こんなので勝てると思っているのかしら?」
笑みを浮かべて私が一言呟く。
その言葉に苛立ったのか向かってくる。
弱いから弱いと言ってるようなものなのに何で怒るのよ。
私が間違った事を言っているわけじゃないのに。
「『致死蛍』!!」
多くの光弾を放つ、その量は確かに凄い。
だけれど私の前ではそんなものは無駄だわ。
「『星殺し!!』」
一発の大きな光線の前に意味なんてないという事を教えてあげる。
太くて大きいレーザーが一薙ぎにしていく。
全ての光弾が霧散して煙を上げている。
「くっ!!」
「隙だらけね、『大蠍撃ち』!!」
流石に一方的だったのか隙が出来てしまっていた。
隙が出来たから腹に思い切り奥義をぶち込む。
捻れを加えて一気に気を乗せてやった。
百代は吹き飛んでいき地面に背中をつけていた。
「こんなものは通用しないぞ……『瞬間回復』!!……なっ!?」
回復をしているのに顔が歪んでいる。
その種明かしは簡単な物だ。
「瞬間回復に使うであろう気より多い気の一撃を叩き込めば良い話よね」
今さっき瞬間回復をする際に気を多く含んだ一撃を叩き込んでいた。
その為回復が十分に行われなかったのだ。
「まだまだいくわよ」
私は笑みを浮かべて歩を進める。
百代は立ち上がり呼吸を整えて構えなおす。
「ハアッ!!」
さっきよりも速い速度で私へと向かってくる。
気合が有れば勝てるなんてことは無いわ。
その事を体に、心に刻み付けてあげる。
「『
百代は手刀の奥義をを繰り出してきた。
おそらくいなせないであろう技。
仮に受けとめても、ダメージを受けそうなほどの気の量だ。
「くっ!!」
避けて次の攻撃に備える。
しかし次の瞬間見えたのは笑みを浮かべた百代だった。
「今のはフェイントだ、『無双正拳突き』!!」
「なっ!?」
百代は避けるのを見越して手を握りこんでいた。
私が避ける方向に向かって放たれた一撃。
その一撃は脇腹に突き刺さって私を吹き飛ばした。
「はあっ…今のは効いたわね」
肋骨や骨への損傷は無かった。
『気』で防御を固めて置いてよかったようね。
「ようやく一撃をいれたぞ、休ませないぞ、そらそら!!」
百代がそう呟いて攻撃を仕掛ける。
『無双正拳突き』の乱れ打ちが襲い掛かってくる。
捌くには余りにも多い量ね。
さっきの攻撃で少し動きが鈍い。
「休ませないって言ってるだろ!!」
動いて防いでも何発か当たる。
動きが鈍いこの体にはかなりの辛さだ。
一刻も早くここから逃れないといけないわね。
「くっ!!」
この連打から逃れるのはカウンターを取るのが速い。
私は冷静に攻撃を見極める。
そして僅かな綻びを見つけ出して手を伸ばしていく、捕まえてこの流れを止めて見せる。
「よしっ、捕まえたわ!!」
「残念だったな、そいつは罠だぞ」
手を伸ばして拳を捕まえると、私は一気にカウンターを叩き込もうとする。
しかし百代に対してカウンターを取ろうとした腕を逆の腕でとられる。
そして笑みを浮かべた大きな声で技名を言っていた。
「喰らえ、『人間爆弾』!!」
百代が自爆技を放つ。
百代を中心にして爆発が起こり爆風が巻き起こる。
「ゴホゴホ……しかし甘いわ!!」
吹き飛ばされた私は咳払いをしながら場所を探る。
この程度のダメージならばまだ問題じゃないわ。
それにその量の煙では私の『千里眼』からは逃げられない。
何処にいるかなんてバレバレよ。
「『星殺し』!!」
「私も……『星殺し』!!」
場所から技名を言う声が聞こえた。
百代がこっちに対して星殺しを放つ、その方向はずれていなくて的確なものだった。
私もそれに対抗して星殺しを放つ。
普通ならこんな状況で放つような技ではない。
隙を作ってから一気に相手を倒す為に放つ技だ。
互いにぶつかり合って轟音を立てて煙が上がる。
一気にここで攻めていく。
私はもう一度星殺しの構えをして叫ぶように言葉を発した。
「もう一回、『星殺し』!!」
私は星殺しを連射する。
流石に連射は無理だったのか、そのまま無防備に喰らってしまう。
煙を上げているのを見て勝利を確信した。
「まだまだぁ!!!」
しかし百代がその確信を裏切るように迫ってくる。
ここまで粘るとは思わなかったわ、それならば最大の技でこの戦いを終わらせてあげる!!
「最大の技……『震皇拳』!!」
体内で気を爆発させる拳。
私の莫大な気を使うことによってその威力はとてつもないものとなる。
突っ込んできた百代の腹に食らわせる。
その代償に無双正拳突きを見舞うが、勝負が決まったという手応えに揺らぎは感じなかった。
吹き飛ばされた百代は気絶をしていた。
『気』が内部破壊をして更に拳そのものの衝撃が押し寄せるこの技。
瞬間回復をしようとしても間に合わないし立ち上がるのも難しい。
最高の状態なら耐えれたでしょうけど、あれだけ疲労していては難しいわ。
「私の勝ちね、でもまだ消化不良って感じだわ」
気は消費したけれどまだ余裕はある。
まだまだ戦うには十分な量ね。
私がそう言うと何処からか風を切る音が聞こえる。
『千里眼』で探ったら気配がすぐ近くにまで来ていた。
そしてそれから数秒の間、待って現れたのは……
あの時に橋を爆破させた男と私を吹き飛ばした男。
「久しぶりだな、バーサーカー、あんなに気を放出したら嫌でも気づいてしまうぞ」
「塵芥の分際で随分と暴れたな」
指を鳴らして私を見る男と相変わらず偉そうに言う男。
まさかあの女性の戦いがこんな状況を呼び出すなんて……。
しかしそんな事は些細な事ね、むしろ来てくれたのだから全力で潰してしまえば良い。
「楽しませてくれるなら誰でもいいわ……
貴方たちはあの日と同じ様にまとめて相手にしてあげる!!」
そう言って気力を放出して私は近づこうとする。
しかし次の瞬間私の横からとてつもない衝撃が襲い掛かる。
私は無防備なまま横に大きく吹き飛ばされる。
吹っ飛ぶ前に一瞬見る事が出来たがその正体は大きな紅色のバイクだった。
「『
女王様からのプレゼントだ!!
そしてこれで終わりだと思うなよ?」
紅色のバイクに乗っていた男が大きな声で言ってくる。
バイクを消してこちらをジロジロと舐めるように見ていた。
「トゥラトゥラトゥラー!!!!」
その視線を何とかしようと考えていたら上から声が聞こえる。
その影は速く落下をしてくる。
衝撃で体が上手く動かない私は必死に体をよじった。
「くっ!!」
ギリギリのタイミングで体を捻って避けるが腕を斬られる、かなりの深さだ。
腕に熱さが走り、体の中にまで痛みが響いている
「避けるなよ……でもまだ終わらないぜ」
そう男が言う、するとその視線の向こうでは薙刀を持った女の子が回転して向かってくる。
「許さないわ……川神流奥義『大車輪』!!」
速度はあるけれどこれならば避けられる。
そう思ってよけた先には女の子の大きな声が響いてきた。
「その避けた先こそ危ないぜ、ヒャッハー!!」
怒涛の連撃に肝を冷やした私は頭を下げて回避をしようとする。
しかしそこであのキャスターが意地の悪い声で言葉を発していた。
「頭ぐらい上げろよ、見ないと避けれないぜ」
指をぱちりと鳴らしたら爆発で僅かに頭が上がる。
そしてあの女の子の大きな声が後ろから聞こえてきた。
「チャー・シュー・メーン!!」
ゴルフクラブで頭を殴られる。
衝撃で頭がチカチカする。
しかしそれだけではなくそのチカチカしている中に速い膝蹴りが顔面に入っていた。
「どんなもんだ、モモ先輩の仇だぜ!!」
声は聞こえるけれど目が上手く見えない。
すると次は脇から持ち上げられる、一瞬宙を舞うと一撃が入ってきた。
「次は私の番です、『トンファーマールシュトローム』!!」
宙を舞う私に何回もの攻撃が叩き込まれる。
身動きが取れないまま暗闇の状態で体を地面に叩きつけられる。
起き上がろうと力を込めたその瞬間にあの傲岸不遜な男の声が耳に聞こえてきた。
「
頭の上から思いっきり衝撃波を食らう。
体が地面にめり込んでいく。
「あああっ!!!」
声を上げて起き上がろうとした瞬間、足元が光る。
この瞬間私は再び結界に入っているのだと思い知った。
「上手くいったな!!」
「ええ、こんなに綺麗にはまるとは思わなかった、これで多少は有利に働くでしょう」
女性と男性が喜んでいる。
しかしそれは一瞬で目線はバイクでの乱入者たちに向かっていた。
私も気になっているから聞いてみる事にした。
「あなた達は何で此処に来たの?」
私は起き上がって相手の方を見て質問をする。
いきなりの乱入なのだ、理由はあるはずだ。
「川神百代をナンパする為だよ、言わせんな」
バイクに乗っていた軽薄そうな男がさも当然だというように答える。
「しかし、ナンパは予想外な形で失敗か……
なぁ、アンタに聞くけど今から勝負なんてやめて俺と良いことしないか?
めくるめく世界へ招待してやるからさ?」
腕を組んで堂々といかがわしい事を言う。
それを遮るように腕白そうな刀を持った少年が言葉を発した。
「元々は川神百代をイレギュラーから引き摺り下ろすつもりだったんだよ
まあ、これは少し予想外だけどサーヴァントのようだし結果オーライだ」
刀をきっちりと構えてこちらに真剣な目線を送ってくる。
私はそれを見て笑みをこぼして言葉を言う。
「なら来なさい、今のは所詮不意打ちよ
真っ向勝負で戦えば貴方たち如き、私の相手じゃないってことを思い知らせてあげる!!」
私は気を放出して迎撃する為に構えるのだった。
次回も引き続いてバトル回です。
何かしらご指摘がありましたらメッセなどでお願いします。