『川神聖杯戦争』   作:勿忘草

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今回は長いバトルです。
次回は少し短めの話を書いてまたバトル回を書こうと思います。


『射手と槍兵』

あのセイバーから言われた協力の内容は俺からすればつまらねえもんだった、たかだか狙撃するだけの奴に勝つ為に俺の力が欲しいって俺をなんだと思ってるんだよ。

 

まあ、俺達に聖杯が渡るんならやらない理由なんざねえから別に良い、其れにあのライダーを倒す為に重要な情報も貰えたし満足してる。

 

目的地でもあるアーチャーの家の前で立って話し合いをする、この距離ならば狙撃しようにも姿を見せないといけない、俺の速度より速い狙撃が求められる時点でかなり条件は厳しいだろう。

 

「しかし引きこもりをどうやって上手く外に出すんだ、このまま家ごとやるってか?」

 

俺は素朴な疑問を投げかける、一回でも攻撃または威嚇してたら話は別だが流石にいきなりやるのは面倒だから好きではないぜ。

 

「いきなりそんな事するわけないだろ、まずは相手の気持ちを揺さぶったりして余裕を無くしていく

それこそ篭ってないで前線に出たほうが良いって思うようにな」

 

そう言うとセイバーがロケット花火を取り出して火をつける、狙っているのは窓だろう。

しかしこんなに少なくて十分な牽制になるのかね、どうせ使うなら相手に警戒させる為に景気良くやっても良いんじゃねえのか?

 

「まずは一発目だ、まあ、あいつがこの程度で動揺するような弱いメンタルだったら良いんだけどな」

 

窓に向かって放たれた花火は窓に当たると綺麗な音を立てて落ちていく。

そしてアーチャーがこちらに気づいた瞬間、既にセイバーが花火を取り出して次の準備を始めていた。

 

「次は爆竹だ、音と火花で動揺を誘う」

 

そう言ってセイバーが二発目の花火に火を着ける、そして一拍置いた後今度は窓に向かって放つのではなく投げていく。

投げた花火が再び窓に当たる、さっきのロケット花火とは比べ物にならないほどのけたたましい音が鳴り響いて落ちていく。

 

アーチャーの奴はそれでも動じずに居た、するとセイバーが微笑みながらさっきよりも多くの花火を取り出していた。

 

「最後にもう一回ロケット花火だ、さっきより火薬の量も多いから威力は高いし本数も増やした

窓にヒビ位は入るだろうさ……無視した分も合わせて痛い目見やがれ!!」

 

少し意地になっているのか、窓の向こうを見ながらセイバーは花火を放つ、窓に向かって綺麗に放物線を描いて当たる。

さっきとは比べ物にならない火薬の威力についに窓が悲鳴を上げたのか亀裂が走っていた、そしてセイバーは振り向いて俺に一言言うのだった。

 

「ランサー……こうなったらお前の技で窓を割ってくれよ

あそこまで徹底的に無視を決め込むなら、そういう方法を取っていかないと埒が明かないぜ

それにいくらか行動したんだ、これで『いきなり』他人を巻き込んだわけじゃない、気付いたあいつが出てこなかったから悪いんだ」

 

三回もやって無理だったから流石に痺れを切らしたか。

まあ、俺も一回目で無理なら『リング』とかするから人の事言えないけどな。

結構『気』を使うからできればセイバーに窓を破壊して欲しかったんだが、聖杯をくれるんだから言うことを聞いといても損はないしここは一丁やっとくか。

 

「いくぜ、『致死蛍』!!」

 

『気』を球体状にかたどって広範囲に放射する、まあ、一般人の家にまで被弾するが別にかまわねえや。

攻撃がところどころに直撃して景気のいい音が響いてやがる、こりゃあ良いな、まだまだやってみるか。

 

「おっ、割れたみたいだな、ガラスが散ってやがる……こいつで仕上げだ!!!」

 

よく見るとアーチャーの家の窓が飛び散っているのが見える、いつの間にか当たっていたみたいだ、俺は腕に『気』を宿して輪の形へ変えていく、それをアーチャーの家に向かって全力で放った。

 

「いけよ、『リング』!!」

 

俺の放った一撃は綺麗な放物線を描いて家へと向かっていく、アーチャーがどんな反応をするのか楽しみだな。

 

「『四神』が一つ 『白虎 虎砲閃』!!」

 

家に当たろうとした瞬間にアーチャーが速い動きでレーザーを出して『リング』を相殺しやがった。

なかなかいいもん持ってんじゃねえかよ、こっちとしては一回で終わらせるわけがないけどな。

 

「さて、もうこれで知らん振りは出来ない、どう出るんだ?」

 

そうセイバーが言った瞬間、窓からアーチャーとそのマスターが飛び出す、このままだと危険だとでも思ったんだろう、なんたって一般人が居るんだもんな。

その考えは間違ってねえが俺が相手をするんだ、この世には逆立ちしても勝てねえ相手が居るのを教えてやんぜ。

 

「まさかこんな昼間から狙ってくるとはな、ちょっと予想外だな

一般人だって居るんだから多少は技を控えると思っていたんだけど」

 

アーチャーが怒りの顔を見せる、何を寝ぼけた事を言っているんだよ。

これは戦争だぜ、どんな手を使っても勝ったらいいんだ、その為に他人がどうなっても知ったことじゃねえよ。

 

「じゃあどうするんだ、まさか尻尾巻いてここから逃げ出すのか?

別にそうするのは構わねえけど易々と俺が逃がすと思うなよ」

 

指を豪快に鳴らして相手に向かって笑顔で言ってやる、さて……どういう反応を返してくるのかねぇ。

 

「逃げるのかって、そりゃ逃げるだろ

こんな所じゃ他人を巻き込むしな、流石にここでやる訳にはいかねーだろ」

 

そういう反応かよ、面白くねえ奴だな。

そこはニコニコして『やってやる』ってぐらい言ってくれよ、そうしたら実力差を見せて絶望させてやろうと思ったのに。

 

「他人を巻き込むのが嫌ならテメェだけそういう技を控えりゃ良い話だろが

俺は自分にとって大事じゃねえ奴なんかなどうでもいいのさ、知ったこっちゃねえ」

 

構えた俺に対してアーチャーが憎しみを抱いた目で睨みつけてくる、既に戦いは始まっている。

理由をつけてこの状況を止めようとしても無駄な足掻きだ、俺は止まりはしないからそういうことは諦めたほうがいいぜ。

 

「言っとくがごちゃごちゃ考える余裕なんざ、テメエにはねぇんだぜ!!」

 

俺は叫ぶように拳を突き出す、アーチャーが気を操って何か技を発動させる、さっきとは違う技のようだが相殺するには遅い発動だ、このまま飛んでいきやがれ。

 

「四神が一つ『玄武 羅生門』!!」

 

力を込めた拳がアーチャーへ当たったが手応えが感じられない、衝撃を吸収でもしてんのか?

こんな小細工なんてしやがって……イラつくんだよ

 

「うぜぇんだよ……クソッたれが!!」

 

しゃらくせえ真似をするアーチャーに対して歯を軋らせて睨みつける。

それを何処吹く風というように俺に背中を見せて一気に逃走を始めやがった、それがいかに無駄な事かを思い知らせてやるよ。

 

「『致死蛍』!!」

 

数で一気に攻め立てる、レーザーで消すことは出来るだろうがその次の瞬間に拳をぶち込んでやる、あの変な技も全身くまなくやったら逃げ場がねえだろう。

 

「甘い、四神が一つ『青龍』!!」

 

アーチャーが技を使うとあいつの体から出ていた『気』が変質していって『雷』の属性でも手に入れたのか放電していた。

周りから爆ぜるような音まで鳴っていやがる。

 

それを体の中に取り入れて首を鳴らした次の瞬間一気に加速をしていき攻撃を避けて俺との距離を開かせていく。

本当に厄介な野郎だ、宝具の開放をする暇が有ってもこれじゃあ効果がいきとどかねえから無駄になっちまう。

 

「逃がさないとか言ってたけどこれに追いつけるか!!」

 

あの野郎、このまま人目のつかねえ所まで行く気か?

無駄だ、すぐに追いついてやるよ、『最速』に敵うわけがねえんだ、違いを見せてやる。

 

「当然追いついてやるぜ、せいぜいみっともなくみすぼらしく逃げるんだなぁ!!」

 

俺は足に力を入れて追いかけ始めていく、この程度ならまだ追いつける速さだ、あの状態が終わった時にはお前はお終いだ、覚悟しておくんだな。

その間に後ろを振り向くと地味にセイバーが離されずに追いかけてきていた、鈍足じゃなくて良かったぜ。

 

とりあえず追いつくというのもいいが追いかけている途中にも攻撃する機会はある、俺は一般人などお構い無しに攻撃をアーチャーに仕掛けた。

 

「喰らえよ、『星殺し』!!」

 

攻撃の余波で一般の通行人たちが吹っ飛んでいく、全く邪魔な奴らだ。

アーチャーの奴が必死な顔で屋根に飛び移って避ける、今の攻撃で何人ぐらい怪我をしただろうな、逃げなかったらこんなことにもなってなかっただろうよ。

 

「屋根を使ってまでなりふり構わず逃げるか、無様だなあ!!」

 

こんなものは所詮は消える時間を少し延ばすだけのつまらん小細工だ、最後に見る景色でも目に焼き付けておけばいいさ。

 

「ほら、喜べよ、追加だ、『リング』!!」

 

再び跳躍をして逃げていくアーチャー、屋根の瓦が何枚か壊れたみたいだな。

これなら避けられないような技を出せば良い、俺はもう一度アーチャーに向かって奥義を放ってみる。

 

「『致死蛍』!!」

 

当てる為に範囲が広い技を出す、流れ弾で窓が割れたり壁が壊れたりして悲鳴や物音が響いている、良い気分だな。

しかしあいつには当たらない、段々と苛立ちが募ってきやがる、この怒りは追いついた時に存分晴らさせて貰うぜ、アーチャー。

 

.

.

 

数分後、俺はアーチャーに追いつく。

目的地についた瞬間こっちに振り向いて構えを取る、やる気満々みてえだな。

 

「ここなら人目につかない……流石にこっちも今回限りは真っ向勝負だ、来いよ」

「ああ、いかせてもらうぜ、そしてテメエは後悔しながらとっとと失せろッ!!」

 

こちらも構えて『気』を放出していく、放電したような状態はまだ続いているみたいだ。

まあ、さっきの技と違って普通に攻撃が通るんだったらただ速度が上昇しただけだ、そこまで危険視しなくてもいいだろう。

 

「川神流『無双正拳突き』!!」

「四神が一つ 『玄武 羅生門』!!」

 

こっちが先手必勝とばかりに踏み込む、一気に速度を最大にまであげて拳を突き出すとアーチャーは気を体に纏わせて守りの姿勢をとっていた。

その拳が当たった瞬間、アーチャーは当然といわんばかりの顔で受け流して悠然と立っていた。

 

「またかよ……」

 

またさっきのように手応えを感じねえ、しかしこの技の正体は掴んだ、衝撃を吸収するんじゃなくて『気』を使って全身に散らしていやがる。

 

「ハアッ!!」

 

こちらが技の仕組みに気づいた瞬間、アーチャーが回し蹴りを放ってくる。

腕を交差して止めようとするが受けようとした腕をすり抜ける、想像していたよりも遥かに速い一撃だ。

頭を振って避けるが僅かに頬が切れたのが分かる、頬から唇にかけて熱いものが垂れているからだ。

 

「シッ!!」

 

更に追撃の踵落とし、鋭くて速い一撃だ、俺は冷静に見切ってその攻撃を掴む、少し手に衝撃が有るが離さずにしっかりと持っておく。

 

「意外と徒手空拳でも戦えるのかよ」

 

俺は苦々しい顔でアーチャーに言う、『射手』のくせにここまでいい動きをするのは流石に予想外だ。

 

「ちっ!!」

 

アーチャーは受け止められた足を強引に振りほどこうとするが、俺はそのまま地面に叩きつけてやる。

 

「がっ!!」

 

アーチャーが苦しそうに息を吐き出す、固くて砂利も豊富な地面だからかなりダメージはあるはずだろう。

俺は笑みを浮かべたままその顔に向かって蹴りを放つ、するとアーチャーは必死の形相で転がっていき何とか追撃を逃れやがった。

全く……つまらねえ野郎だぜ、大人しく食らっておけば良いものを。

 

「今のは効いたよ……でも今度はこっちの番だぜ!!」

 

起き上がって深呼吸で息を整えて『気』を放出して纏い始める、アーチャーは構えて体を僅かに揺らしていく、その瞬間俺の手からは電気が走っていた。

 

「奥義『麒麟』!!」

 

そんな事を思っているとアーチャーが目の前から消える、俺はその姿を追うが見つける事ができない、俺が目で追えない速度なんてのは初めてだ。

俺は背筋に恐ろしいものを感じる、とっさに防御の構えをして攻撃を待つ、逸って打ち合いになれば見えない速度というのは面倒だからな、あいつの攻撃がやむのを待つのが良い。

 

「喰らえ!!」

 

そう言って目の前に現れたアーチャーが俺に対して仕返しとばかりに攻撃を始める。

 

右中段蹴り。

右下段蹴り。

左上段突き。

右上段蹴り。

左中段蹴り。

そして最後に頭突き。

 

その攻撃は脇腹や顔にも入っていた、しかし受けをきちんとしているから攻撃自体を防ぐことは問題ない。

いくら苦しくなくてもここまでされたら腹が立つ、こっちもそれなりに仕返しをしなくてはいけない。

 

「オラァ!!」

 

腹に正拳突きがめり込む、しかし腹に力を込めて衝撃を和らげる、そしてその攻撃を掴んで難を逃れる。

 

「あんまり調子に乗るんじゃねえよ、ボケが!!」

 

欲張ってきた正拳突きを掴んで俺は詠唱をして宝具を開放する、仕返しの時間だぜ、覚悟しておけよ、アーチャー。

 

「『我、繋がりを絶やさず添う者なり

例え傷つこうとも、例え病めようとも、汝の命運が為に傍らへ馳せ参じよう

愛しき人との指輪(パスト・リング)』』」

 

俺の宝具の能力はこの指輪の片方を持っている人間の所へ瞬間移動すると言うものだ、この場合は亜巳の居る場所である。

流石のアーチャーもいきなり瞬間移動をすれば動きが止まるだろう、それも狙った上での発動だ。

 

「なっ、これは……!?」

 

案の定アーチャーは一瞬硬直する、さて…さっきの分を返させてもらうとするか。

俺は笑顔を浮かべて正拳突きを掴んでいる腕に力を込める、そして俺は一言アーチャーに向かって呟く。

 

「ここからは俺がお前に攻撃を食らわせる番だぜ、アーチャー」

 

そう言って俺は蹴り飛ばして距離を作る、そこから間髪入れずに腕を大きく広げて息を深く吸い込み勢いをつけた腕をアーチャーへと突き出して『気』を放出した。

 

「喰らいな、『致死蛍』!」

 

その突き出した勢いのまま何度も何度もアーチャーへと放っていく、弾幕を張ってあいつの行動を制限する。

レーザーで相殺するかか上空へ逃げるしか避ける手はねえ、そこにこいつも放てばもう逃げ場なんてもんはねえ、これで詰みだろう。

 

「ちっ!!」

 

予測していた通りにアーチャーは跳んで避ける、余りにも想像通りだったから笑みを浮かべちまったが気合を入れて追撃の技を放つ。

 

「そっちに逃げ場はねえぜぇ、『リング』!!」

 

俺は手で輪を作り出してそれを無防備な状態のアーチャーに向けて放つ、これをどう捌くのか見物だな。

 

「四神が一つ 『白虎 虎砲閃』!!」

 

するとアーチャーは『リング』を相殺するためではなく空に向かって放つ、その反動で一気に地面へと降りていきやがる。

そういった捌き方も有るには有ったな、でもその着地を狙えばいいだけの話だ、一息つかせる暇も与えはしないぜ。

 

「こいつで終いだ、喰らいやがれ、『星殺し』!!」

「なっ!?」

 

アーチャーは驚いた顔を浮かべたまま『星殺し』の光に包み込まれていきやがる、

あの『致死蛍』の攻撃から何もかも思い通りだぜ、最高の気分だ。

 

「ハハハッ、モロに喰らったぜ、こりゃ終わったな、やっぱりテメエなんかより俺の方が強いってわけだ!!」

 

俺は大声で笑う、抵抗してこの程度なんざ無様なもんだ、初めに逃げずにやられた方が良かったんじゃないのか?

 

「随分と笑顔だが良い事でもあったのか?」

 

後ろからアーチャーの声が聞こえた、どうやら『星殺し』を回避していたらしい、よく見ると俺の手から電撃がはしっていた。

なるほど、さっきの連打で俺の体に電気を纏わせておいて技で俺の方向へ引き寄せられたというわけか。

 

「いや……お前の声を聞いた時点で最悪だ」

 

俺はアーチャーの方向へと体を向ける、そして俺はアーチャーを睨みつけていた。

せっかく最高の状況だったのに水を差すなよ、散りざまでもせめて美しくしてやろうという俺の気持ちが分からないのか。

 

「そうか、じゃあその最悪の状況にこいつも追加だ!!」

 

体を向けた瞬間を狙っていたのだろう、アーチャーの膝が顔面に迫っている、飛び膝蹴りを俺に仕掛けてきているのが分かっていた、良いタイミングだ、素直に凄いと思う。

 

「無駄な足掻きだって言ってんだろうがよ!!!!」

 

しかしそれは俺の不意をつくには遅かった、俺でなければ逆転の一手にもなっていただろうに。

俺は腰を落とし、掌で膝を止める準備をして十分な余裕を持って待ち受けていた。

 

「なにっ!?」

 

俺はアーチャーの飛び膝蹴りを止める事に成功していた、腰をきっちりと落としていたおかげで踏ん張る事ができた。

これが仮に腰を落とせてなければ蹴り飛ばされて距離を取られていただろう、掌を出さずに額で受けていたとしても失敗してそのまま負けていただろう。

俺は最善の判断をしたという確信が有った。

 

「残念、アウトだ」

 

戻そうとする足をきちんと掴んで俺はアーチャーの方へと顔を向けた、アーチャーの言葉なんてもはや聞こえてない、俺は笑い声を上げながら離すまいと掴んだ腕に力を込めていた。

 

「グッ!?」

 

離そうともがくアーチャー、無駄だぜ。

俺の力はお前よりも上だ、このまま離さずに勝負を決めてやるよ。

 

俺は足を持ったまま振り回してアーチャーをに投げる、そして俺は握り拳を作って『気』を集中させる。

俺は全速力で駆けて行きアーチャーが投げられた場所へと先回りをする。

『最速』の俺にとって飛んでいる物体に追いつくことなど簡単だった、瞬く間にアーチャーへと追いつき、力強く踏み込んでアーチャーの腹めがけて地面へ叩きつけるように正拳突きを放つのだった。

 

「『無双正拳突き』!!!!」

 

アーチャーは無防備な状態でこの一撃を受けて地面へと僅かにめり込む。

さてと、起き上がるまでに勝負を付けさせてもらおうか、全く手間かけさせやがって。

 

「かはっ……」

 

アーチャーは何かを吐き出すような仕草をする、しかしこっちはその間さえも与えずに拳を振り上げる。

ここで攻勢を弱めればまたこいつは息を吹き返すだろう、もう二度と吹き返せないように痛めつけてやる。

 

「オラオラオラァ!!!」

 

『無双正拳突き』の連打でアーチャーを徐々に追い詰めていく、発動する暇を与えなければ衝撃を散らす技も使えないだろう。

およそ二十ほどは叩き込んだだろう、しかしまだ終わらせはしない、さっき喰らった以上の攻撃を叩き込んでやるぜ。

 

「……ああああああっ!!!」

 

痛さからくる叫びか雄叫びかわからないがいくら叫んでも無駄だ、このまま決めてやる。

アバラが折れたりする感覚をきちんと噛み締めておくんだな。

そう思って俺は大きく振りかぶって一撃を繰り出す、この次は大技で終いだ。

 

「がっ…!?」

 

しかし次の瞬間、衝撃が腹へ衝撃が響いてきていた、その正体は浮き上がった膝だったのが突き飛ばされて距離を取った瞬間に分かる。

 

なぜならアーチャーが膝を突き出しているからだ、おおよそめり込んでいた最中に放電をしていて、気づかないように俺に纏わせていたんだろう、隙が僅かに生まれた瞬間をうまく狙ってくるとは……全く抜け目の無い野郎だぜ。

 

「叫ぶだけで終わるわけが無いだろうに、油断しすぎだよ」

 

起き上がりながら笑みを浮かべるアーチャー、結構やられているくせにやせ我慢なんてしてんじゃねえよ、今の行動は所詮お前の消える時間を少し伸ばしただけだぜ。

 

「まさか『余裕だぜ』なんて思っていないだろうな?」

 

こっちを睨んで冷たい声で怒りを示すアーチャー、別にいいだろうが、強い人間に許されたもんだ。

それをどうこう言いたいなら俺と同じくらい強くなってみろよ、無理だろうけどな。

 

「まあ、そっちが強いのは認める、気の貯蔵がマックスでも俺じゃお前には勝てないかもな……でも、『反逆』するには丁度良い頃合じゃないか?」

 

そうアーチャーが言った瞬間『気』が放電をやめて少しずつ落ち着きを取り戻す。

しかし心なしか『気』の量が増えているのが感じられた、さっきよりも多くなっている。

 

「テメエ……何しやがった!?」

 

俺は疑問を投げかけた、手加減していた様子は無かったしそんな暇も与えなかったはずだ、そこから考えられるものは一つだが……

 

「私が令呪で『気』の回復を命じたんだよん、この分だと少しは戻ったんじゃないかな?」

 

俺の疑問の答えをアーチャーのマスターが言ってくる、やはりそうだったのか。

勝負所を知っているにしても結構きわどい状況での判断だな。

もう少し速くにやっても良かったはずだろうに、一歩間違えれば悲惨な結果しかなかったんじゃねえのか?

 

「気力自体が少ないからそんなに回復出来てないけどな…行くぜ、ランサー……」

 

そう言うとアーチャーが『気』をバングルの中へと集約していく、更にそれを外して握りつぶす。

『気』が腕に纏うように放出されると、それから少しずつ腕から下っていき掌へと集まる、集中された『気』は眩いほどの光を発していた。

 

「『心猛りて吼える、技光りて冴える、体逸りて滾らせる

我は全てを尽くして汝を討つ者、気にて天を割り光で汝を穿つ者

逆賊の最期(ラスト・リベリオン)』』!!!!」

 

なるほど、宝具の威力を底上げする意味合いが有ったのか……。

冷や汗が止まらない、もはや出し惜しみをしていたらこちらが終わってしまうと脳が警鐘を鳴らしている。

 

さっきまで放っていた俺の『星殺し』を凌駕する程の太い光線が俺に向かって放たれていく、俺も手をかざして迎撃をする事にした。

 

「……喰らいやがれ、『星殺し』!!!」

 

こっちも今使える『気』を全てつぎ込む、勝ち負けが決まってしまう場面だ、俺は腰を落として歯を食い縛り力を込めて臨戦態勢を取る、そして相手に向かってこちらも技を繰り出すのだった。

 

お互いが光に包まれていく、余りにも眩しい光に目がおかしくなってしまいそうだ。

それに続いて爆発が起こる、俺は光に包まれるだけでは終わらず結構な距離を吹き飛ばされていた。

 

立ち上がる事はどうにかできるがボロボロの体が震えて上手く動けない、しかも頭の方もぐわんぐわんと音を立てていて状況の把握が全く出来ていねえ。

もしアーチャーの気の量があと少しでも多かったらお陀仏だっただろうな、あいつ自身の『気』の少なさがどうにか俺の意識を留めたみたいだ

 

そんな事を考えながらアーチャーをよく見ると立っては居るものの肩で息をしてやがる。

 

持ってる限りでは最高の札を切ったんだろうがそれじゃあ俺は倒せなかったってことだ、

 

しかしこっちもまだ足が前に進まない、こうなったら後はあいつに任せるのが良いな。

 

俺は一言息も絶え絶えにセイバーに一言言うのだった。

 

.

.

 

「テメエ、ここまでやったんだから…外すとかふざけた真似すんじゃねぇぞ…」

 

ランサーが肩で息をしてオレに言ってくる、当然だ、ここまでやってもらって外す訳がない。

本当に最高の状況だ、これなら絶対に決められるだろう、オレはそう感じて鞘から刀を抜いた。

 

「ああっ、絶対に外さない」

 

そう言ってオレは微笑みながら踏ん張って刀を構える。

歯を食いしばって腕と足にも力を込めて最高の一撃を想像する。

 

「ハアッ!!」

 

大きな声を出して気合を乗せる、そして今まで戦わずに溜めていた速度を解き放つ。

この一撃は外せない、そんな思いが詰まった一撃だ。

 

勢いがついたその一撃は見事に標的を捉えていた、深々と貫いているのがわかる、良い手応えだった。

ここまで深ければ霊核の損傷は免れないだろう、オレはこの作戦の成功を感じ取る。

 

安心したから頬が緩みそうになるがすぐに力を入れて真剣な顔へ戻す、オレは僅かに刀を捻り更に損傷を深くする。

オレは当初の目的を果たしたのだ、余韻を噛み締めながら刀を引き抜いて鞘に戻す。

 

息を吸い込み一拍置いてオレは言葉を呟こうとする。

その呟きを聞く相手は首を回して俺を見つめてくる。

その目には驚きが有った、無理も無い、予想していない状況から抵抗をする間もなく突き刺さったのだ。

 

「ここで脱落だな……ランサー」

 

オレは刀を突き刺した相手に冷たく言い放ったのだった。




今回でバトル終了です。
長めなので時間が掛かりましたね。
次回は短くいこうと思います。
何かご指摘の点など有ればメッセでお願いします。
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