『川神聖杯戦争』   作:勿忘草

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今回が最終話です。
終わりとしては少し尻すぼみになってしまったという感覚です。


『願いは無く、満たされた器はただひたすらに輝く』

勝者が決まり聖杯が私たちの前に現界をする、ついに願いを叶える時がやってきたのだ。

ライダーは笑顔で私にこういってきた。

 

「叶えたい事を叶えりゃいいんだよ、ワン子ちゃん

ここでのさよならにもうくよくよする必要なんて要らない」

 

そうなんだ、これは別れの時。

自害を命じるか、なにかしらの方法でライダーが死ななければ聖杯が満たされる事はない。

このままずっと一緒にいる事はできても、きっとそれは本人が望んではいないだろう。

 

そう考えていたらライダーは自害については良くない印象があるのか。

それだけはしないように事前に釘をさしてきた。

 

「頼むから自害させられて痛い思いしたまま消えるのは嫌だから、契約破棄ってことで消えさせてくれ

その方法でも結果としては俺の魂が問題なく入るだろうから明日にはこいつが満たされているはずだ」

 

契約破棄で供給されなくても消えるのね、それじゃあそっちの方が良いわ。

今まで頑張って戦ってきてくれた人に嫌な思いをさせてまで貰うのはなんだか悪い気がする。

 

「それで私はどんな事を命じたらいいの?」

 

どういった願いを最後に命じれば良いのかぴんと来ない。

ライダーが望む事を命じてあげないといけないと思って私は聞いてみる。

 

「うーん、やっぱり体の傷治してくれよ、痛いから自害ほどじゃねえけどこのまま消えるのはちょっといやだし」

 

首をコキコキ鳴らして手のひらを何度か開閉して体の調子を確かめてからライダーが言ってくる、もし体の調子が良かったら一体何を命じるように提案する気だったのかしら?

 

「最後に聞くけれど叶えたい夢ってなんだったんだい?」

 

「私の夢そのものは川神院の師範代になってお姉さまの補佐をすることだったの

でもそれは道具を使ってまで叶えてしまったら今までの努力が無駄になってしまう

それに今回実力差がある相手に向かっていった貴方や勇敢な人達を見ていたらね、私はまだ死に物狂いで頑張ってしがみつく気迫が足りないって感じた。

だから今まで以上に自分を追い込んで夢を追いかけて見せるわ、それで今どうしても叶えたい願いは私には無いの、無くなってしまったの」

 

「いやいや、謙遜するなよ、今までだって十分頑張っているのが分かるぜ。

それに死に物狂いになったからって体がいきなり強くなるわけじゃない、時には休ませてやるのも必要だ」

 

ライダーは私の言葉に同意しながら激励をしてくれている、笑いながら最後まで元気付けてくれるこの姿には優しさと清々しさを感じてしまう。

 

「そうか、じゃあ今度呼ばれるのが速くなっちまうな

とにかくやるか、命じてくれよワン子ちゃん」

 

呼ばれるのが速くなるという言葉に首を傾げる、なぜなのかは私にもわからない。

でも私は難しく考えずにライダーに最後の令呪を使うために片手を掲げて大きな声で言う。

 

「わかったわ…『最後の令呪をもってライダーに命じる、その傷を癒しなさい』!!」

 

そう言ったらライダーの傷が見る見るうちに治っていく、少し時間が経てば戦う前と全く同じ無傷な姿がそこにはあった。

 

「体の傷が治ったのがはっきりと分かるな、そろそろ行くけどワン子ちゃん、達者で頑張れ、そしてその願いを自分の力で叶えろよ」

 

そう言って手を振って去っていくライダー。

私はその後ろ姿に頭を下げて見えなくなるまでありがとうを言っていた。

 

.

.

.

 

「さて、感覚的にはあと半日ってところだがどうしようかね」

 

頭をかきながら俺はつぶやく。

あと半日の間にどう楽しむかを考えるが、先立つものが全くない今では全然思い浮かぶ事もない。

 

「金とかこっちの欲を満たすものを荒稼ぎとか、ハーレムの建設をこんな面倒な体でやる気は起きないぜ

それにこっちの世界でやろうにも一回死んでからじゃないとできないのが個人的に納得できねえ」

 

不満げに思う事を口に出しながら俺は歩き始める。

そして歩きながらこの二週間のことを鮮明に思い出していく。

 

綺麗な姉ちゃんに会えた事。

その姉ちゃんの傍に居た無粋な野郎に喧嘩を売られた事。

そいつと戦ってたら女が戦いに乱入してきて面倒な状況になった事。

セイバーの奴に薬を盛られてもう少しで危ない目に合うところだった事。

そしてそんな薬を盛った奴と組んだり、成り行きとはいえ四人がかりでバーサーカーのような女と戦った事。

その後に奇襲をされてキャスターの奴に助けられた事、アサシンの奴と仲違いした事。

それからは体を休めて最後に全力を尽くした対決をセイバーとした。

思った以上に満足のできる日々だったな。

 

「こんなのだったらまた呼ばれてみるのも悪くないな」

 

思い返すとそう悪くはない時間だった気がする。

ワン子ちゃんに言った言葉の意味は『ワン子ちゃんが願いを言わなかった場合』に呼ばれるのが速くなるだけだ。

器が満たされたにもかかわらず使わなければ、聖杯は現界を維持する為に聖杯の中身は減っていくだろう。

しかし減ったとしてもごく僅かな量で、またすぐに聖杯は満たされてしまい、再びこの戦いが始まってしまうだろう。

だから俺は最後にその可能性を考えて言ったのだ。

 

「ああ言ってたワン子ちゃんが使う訳がないだろうから可能性は高いだろうな

誰にもわからねえ所でゆったりと眠って消える時間が来るのでも待っておくか」

 

もはや楽しむにも時間も必要なものも足りていないのだから、最後は令呪で傷だけを癒すのではなく、体力も癒し、この戦いで疲れた心にも休息を与える様にする。

次に目覚めるのならば俺は自分の世界に戻っているのか、はたまたこの戦いの場所に間髪いれず呼ばれるのか、それはまだ分からない。

俺は過ごした日々に充実感を抱きながら目を閉じていく、その刹那に聖杯が満たされていく幻想を瞼の裏に見ていた。

 

.

.

 

そしてライダーが光の粒になった翌日。

聖杯は七騎のサーヴァントの魂によって満たされたが、願いは叶えられずそのまま満たされた状態で現界していた。

この状況を良しとしなかった川神院は聖杯を悪用される事がないように厳重に保管した。

しかしまたこの『聖杯戦争』が始まった時、聖杯はこの場所から無くなり勝者の目の前に現れるだろう。

その再び現れる時を待っているかの様に、満たされた聖杯は保管された場所で煌々と輝いているのだった。





最後の話が尻すぼみとなってしまってすいません。
原因としては私が『願い』について把握できていなかった事が原因です。
何時かまたコラボの機会がありましたらこういったことの無いようにしていきたいです。
協力してくださった皆さんにはこの場で謝罪いたします、申し訳ありませんでした。

協力してくださった皆様には感謝しても仕切れません。
この場でもう一度感謝の言葉を述べさせていただきます。

『真剣で王に恋しなさい』 兵隊さん
『真剣で私に恋しなさい!S ~西方恋愛記~』 youkeyさん
『真剣で私に恋しなさい! ~Junk Student~』 りせっとさん
『真剣で強者に恋しなさい!』 うなぎパイさん
『真剣で武神の姉に恋しなさい!』 炎狼さん
『真剣で清楚に恋しなさい!』 ユニバースさん ※現在は暁にて活動中

今回のコラボ、ご協力いただき本当にありがとうございました。
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