『川神聖杯戦争』   作:勿忘草

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今回で一応全サーヴァントの顔合わせや話で一日目を終了させました。
次回からは戦闘だとかいろいろな部分を使おうと思います。


『動き出す影 後編』

「で、これからどうすんだよ……?」

 

俺は頭をかいて亜巳に聞く。

とは言ってもこの亜巳は、俺が知っている亜巳ではない。

積み上げて来た絆も何も無い初対面の存在なのだ。

指輪を見て苦笑いをする、こんな運命があるのかと。

 

「当然行動するのさ、それ以外方法があるって言うのかい?」

 

素っ気無い答えが返ってくる。

全く持って予想通りだ。

しかし行動すると言ってもどういった方針だというのだ?

 

「何変な顔してんのさ、勝つ行動っていったら戦う事に決まってるじゃないか」

 

亜巳が笑みを浮かべてそんな事を言う。

俺ってそんなに変な顔をしていたのか?

そしてその後半の言葉を聞き入れる。

なるほど、積極的に戦っていこうって訳か。

そりゃこっちも『三騎士』に数えられるクラスの一つである『ランサー』だ。

闘わなければ宝の持ち腐れ、無用の長物だろう。

 

「はいはい……分かりましたよ」

 

大きな声に対して俺は空返事を返す。

それは確かに悪くはない。

しかし俺は自分の中で抱いた疑問を聞いてみる事にする、どういった戦い方かを

 

聞いてみることにする。

 

「で、どういった考えで戦うんだよ?

流石に積極的にいくにしても、発見して速攻で倒すじゃ消耗は激しくてやってらんねぇぞ?」

 

 

俺は手を広げてその事を言う。

するとかなりの速さで棒が突き出されるのを見た。

俺はそれを軽々と避けて微笑む。

すると睨みつけられながら大きな声で一言いわれる。

 

「そんなのは分かっているのさ、許可無くしゃべってんじゃないよ、その口は許可

 

が有るまで閉じときな」

 

俺はその言葉を聞いた瞬間に苦笑いする。

それはいくらなんでも横暴じゃないだろうか?

しかしその言葉を飲み込んでこの場は黙っておく。

流石にこの状況で機嫌を損ねたらそれこそ危ない事になる。

 

「分かった、できる限り言う事は聞く、これで良いだろ?」

 

亜巳の方へ掌を向けて手を上げて降伏の意味を示す。

それを見た亜巳はサディスティックに背筋が凍るような笑みを浮かべる。

 

亜巳は緩やかに棒を下げて歩き始める。

きっと向かうのはこれから戦う為に使う本拠地なのだろう。

 

「ほら、とっとと歩きな、遅くなったら罰を与えるよ」

 

こちらと距離が離れているのをみて亜巳が再び背筋が凍るような笑みを浮かべる。

俺は苦笑いをしてすぐに距離を詰める。

 

「これから前途多難なことが起こりそうだなぁ……おい」

 

俺は口角を上げて亜巳へ聞こえないように呟く。

この戦いの間でどこまでお互いの心は分かり合えるのか。

いつまでお互いの心に疑念は生まれないのか。

いつになればこの心の中の疼きは収まるのか。

 

俺はそういう思いを持ったまま本拠地へと向かうのだった。

 

.

.

 

「これからウチとお前は戦いあう仲ってわけだぜ!!」

 

八重歯を見せたまま満面の笑みでマスターが言ってくる。

それから一拍置いてマスターは戦いの方針を言ってきた。

せっかちだとは思うがやる気満々という事だ。

 

「お前が策を考える、勝負にはウチも出る、これで良いだろ、暴れまくろうぜ!!」

 

なんと言う雑な提案なんだろうかと思った。

作戦はオレが考えて、戦いはツーマンセル。

マスターはマスター、サーヴァントはサーヴァントって考えで戦えるから良いけれど。

 

「何とか上手い事戦う方法は考えられなかったのか?」

 

オレは素朴な疑問をマスターにぶつける。

いくらなんでも大雑把過ぎやしないだろうか?

もう少し何かしらあるとは思うのだが。

そう思った次の瞬間大声が飛んできた。

 

「ウチは頭が悪いんだよ、お前が考えなきゃ意味ねーんだよ!!」

 

逆切れをされる。

頭が悪いことを大げさに言われても困る。

そう思いながら苦笑いをしていた。

 

「悪いがそんなにオレの戦闘力には期待しないで欲しいな」

 

オレは一応一言断っておく。

過度な期待を寄せられても困るというのが本音だ。

 

「セイバーなんだろうが、剣士って奴なんだろうが

何ビクビクした事いってんだ、ボキャー!!」

 

マスターが俺に詰め寄って真剣な目をしたまま罵ってくる。

『セイバー』だから強いに決まっているといった目だ。

『剣士』なのだから弱いわけがないと思っている顔だ。

とりあえず勘違いだというのを正さないとな。

 

「そんな大層なもんじゃないさ」

 

俺はため息をついてマスターに言う。

セイバーに選ばれたからと言ってそんな顔をされても困る。

こっちは正統な条件や方法で戦うというよりも、どちらかといえば奇襲や奇策を使って戦うような奴だ。

普通に真っ向勝負で戦ったら良い勝負ができるぐらいのものだろう。

もしかしたら『ランサー』や『アーチャー』に劣っている可能性もある。

そう考えれば『最優』の称号が泣くほどに切ない。

 

「でも、そういった差は埋めれるんだろ?」

 

マスターのその言葉にオレは頷く。

こちらが得意なのは個人戦よりも同盟などを組んだ団体戦であり、それがオレの真価を発揮する場面となる。

 

「勝ち方なんていくらでもあるからな」

 

これが一番自分にとって良い事だ。

裏切りや策謀といった心理戦を含めた上で戦えばいい。

殴りあったりするだけの武の比べ合いではないのだから。

 

「本当か!!、一体どういう方法が有るんだ,教えてくれよ!!」

 

マスターが興味しんしんでオレに聞いてくる。

せっかちなマスターだと再び思う。

ほんの少しその必死な姿に笑いが込み上げてきた、当然秘密にしておくけど。

 

「それは始まってからのお楽しみだね」

 

オレは笑みを浮かべてどういった戦法をとるのか。

どういった奴と組めば良いのか。

これから先の戦いを有利に進める為に頭を回していたのだった。

 

.

.

 

「しかし驚きよな、理性を持った『バーサーカー』とは」

 

我は召喚した相手を見て驚いていた。

『狂戦士』であるはずが狂わずに理性を保っているのだ。

 

「私の前では狂うような精神干渉は無駄だわ」

 

我の言葉などどこ吹く風というように言う。

狂ってないのにこれほどの力とはとてつもないな。

 

「規格外というわけか……我の力でどうにか出来るだろうか」

 

我はため息をつく。

初めから狂って居ないという事は仮に狂った場合はこれから更に力を食われると

いう事。

今でもかなり我の体には多大な負担がかかっている。

 

しかし我は理解してやらなくてはいけない。

満足がなければ、納得がなければ降りたとしても誰も良しとしない。

未練を残したままの脱落などそれこそ悲しいだけなのだ。

 

「『どうにか出来る』のではなく『する』しかないわ、勝ちたいならね」

 

我の声が聞こえていたのかバーサーカーが言う。

勝ち負けを最優先にするので有ればそうだ。

だが余りにもそれを求めるのは速いのではないかと考える。

 

「とりあえず相手のことを調べて様子見だな、無茶な事をしないのが一番だ」

 

その為、我は自分なりの提案をする。

ピンチになればなる程、バーサーカーは我から力を吸い上げてしまう。

仮にそれで我が倒れてしまったら洒落にならぬ出来事だ。

つまり積極的に戦ったりしていては自滅の道を辿ってしまう可能性がついて回る。

 

それをできるだけなくすにはそういった無茶な戦いを控える事。

そのような戦いを控えればピンチになることはまずほとんどない。

何より規格外なのだ、一対一に持ち込んで戦えば十中八九勝てるであろう。

 

「そんなのつまらないわ」

「なっ!?」

 

バーサーカーが我の言葉に反論をする。

一体今の提案の何処が気に入らないというのだ。

お互いが倒れずに勝ち抜くためには問題はなかったと思うのだが。

 

「私は強いの、『最強』のサーヴァントよ、何が悲しくて『最弱』や『暗殺者』みたいにコソコソしなくちゃいけないのよ」

 

これは……我は頭を抱える。

理性があるが故の我侭。

なんと言う扱いづらいものを引き当てたのか。

 

「それでも集中的に狙われては元も子もないではないか、だから抑えるように言っ

ておるのだぞ!?」

 

我はきちんとした理由を告げる。

納得させてやる為の戦い、満足させてやる為の戦いを考えれば『勝てる』ようにしてやらないとならない。

そのためにこの案をいっているのだ。

 

「集中狙いなんて構わないわ、私に勝てる相手なんて一人もいないんだから」

 

そう言って髪をかきあげる。

一拍置いて我に話しかけてきた。

 

「とりあえず今日は休みましょう、本拠地まで案内してくれないかしら」

 

そう言って我の目の前から霊体化する。

我はため息をつきこれから先の事を考えるのであった。

 

.

.

 

 

「それでどうしたいのさ、燕さん?」

 

呼ばされていた呼び名を使う必要はないからさん付けで呼ぶ。

自分の心の中でだけ燕姉と呼べば良い。

 

「戦いのプランは有るよ、でも標的がねえ……」

 

燕姉が頬に指を当てて考える。

多分だとは思うがきっと戦いを基本的に避けるといった考えだろう、そして最後に美味しい所をもっていくと言う実に燕姉らしい戦法だ。

 

「とりあえず様子を見て相手を決めようかな」

 

ほら、思ったとおりだよ。

まあ、相手を見極めずに戦うなんてバカのやることだろう、そう考えたら様子見は

 

今できる最善の一手だ。

考えもなしにガツガツいくなんて真似はナンセンスってわけだ。

 

「で、仮に選ぶとしたら誰を選ぶの?」

 

相手の選択によってはこちらも考えなくてはいけない。

長距離の攻撃のない相手とかならば良い、しかし仮に持っていた時は勝手が違

う。

近接距離に持ち込まれた場合の対策をこちらも考える必要があるからだ。

 

「うーん、今の考えでいくならばセイバーとアサシンって所かな、キャスターとかライダーとかもなかなかに面倒だからそっちでも良いかもね」

 

四人も候補があるのか。

しかしランサーやバーサーカーは放っておいても良いのだろうか?

そんな事を考えていたら悪い笑みを浮かべた燕姉が一番最高のプランを言っていた。

 

「まあ、理想としてはバーサーカーとセイバーたちが潰しあってキャスターとアサシンが残るのが一番なんだけどね」

 

それを聞いた瞬間、俺も笑みが漏れた。

確かにそれがベストなプランだ。

しかしそう簡単にはいかない、だからこそ作戦の構想が重要なのだ。

 

「とりあえずは互いに相手のクラスが持つ長所や短所を洗い出して、こちらの有利になる状況を作り出す」

 

燕姉は両手を開いて悪い笑みでこれからの具体的な方針を述べる。

俺はそれに頷いて言葉を繋げる。

 

「そして俺がその状況から一番効率の良い戦い方をする」

 

相手の弱点を突くように俺が戦うことで勝率を上げる。

こういった地味な方法を取るか取らないかだけで勝率は変わる。

 

「当然援護射撃は出来るときはやらせてもらうよん」

 

一拍置いて心強い一言が聞こえてくる。

マスターとしても普通の奴らよりも強い燕姉の援護射撃なら、こちらに隙を作ることはできるだろう。

 

「ここまで言いあえば、次は本格的な会議だね

善は急げって事、私の家もとい本拠地へ行くよ!!」

 

そこまでひとまず言ったら燕姉が俺についてくるように仕草で示す。

俺は機嫌を損ねないようにすぐについていくのだった。




次回からようやく醍醐味であるほかのマスター同士との出会いや激突を書いていこうと思います。
なにかしらのご指摘ありましたらメッセでお願いします。
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