初投稿なので、色々おかしい所があるかもしれませんが、そこは温かい目で見てくださると嬉しいです。
駄作ですが、もしよければ見ていってください。
転生
(あぁ、短い人生だったなぁ……)
おれはぼんやりとそう思った。
目の前では信号を無視したトラックが今まさにおれを轢き潰さんと迫って来る。周囲のあちこちから悲鳴が聞こえてくるが、どうやらトラックの運転手は居眠りをしているようで、自分のトラックが人を轢き殺そうとしている事には気づいていないらしい。
実際にはほんの数秒の事なんだろうが、その数秒が何故かおれにはひどくゆっくりに感じる。頭の中を今までの思い出達が次々と駆け巡っていく。
(あ、これアレか、走馬灯ってやつ)
この走馬灯というのは、人が死ぬ直前に今までの記憶を頭の中に駆け巡らせることで、その記憶の中から助かる可能性があるものを探り出す為にあるらしい。しかし残念な事におれの頭の中には猛スピードで迫って来るトラックをどうにかできるような記憶は蓄積されていない。それに、おれの頭の中に一番多く浮かんできたのは、今の状況とはまったくといっていいほど無関係なモノばかりだった。
(まさか、こんな時でもゲームの事しか思い出さないなんてなぁ……)
おれは思わず苦笑してしまう。
死ぬ直前になってもゲームの事しか考えられないなんて、我ながらどうかしていると思ったが、同時に自分らしいとも納得してしまった。
(ああ……でも………)
おれはあと一秒もしないうちにトラックに撥ねられて死ぬのだろう。この人生に不満などは無い。ごく普通の家庭に生まれ、ごく普通の小学校時代を過ごした。小学校3年生頃にはもうおれはゲームにのめり込んでいたが、両親はおれを愛してくれたし、ゲームの話で盛り上がれる友人もできた。中学校でも、特に羽目を外すことも無く穏やかに過ごした。高校は、第一志望の高校に入る事ができたし、そこそこ充実した高校生活だったと思う。
学校へ行き、友人とくだらない事を言い合って笑い、家に帰ってゲームをする。他の人から見れば、何の変哲もない、つまらない人生だという人もいるだろう。だが、おれにとっては幸せな人生だった。
でも、少しだけ、心残りがあるとすれば……
「もっとゲームしたかったなぁ……」
そう呟いた直後、トラックがおれを弾き飛ばした。
体に走る衝撃と痛み、それらに見送られて、おれは意識を手放した。
おれは死後の世界なんて信じていない。いや、信じていなかった。
「……………」
しかし、今目の前に広がるこの景色を見て、おれは死後の世界を信じざるを得なくなってしまった。
「……………」
目の前には、あたり一面に綺麗な花が咲いていた。
「……………」
おれが周りを見渡して絶句していると、背後から声が掛けられた。
「おい、そこのおぬし」
後ろを振り返ると、そこには白い髭をたくわえた老人が立っていた。………この人絶対神様だ。
「……………」
「……………」
「…………………………」
「…………………………」
「………………………………………」
「…………いや流石にそろそろ喋ってくれんかの?この沈黙気まずいのじゃ……」
「……はっ!す、すみません……」
ありえないことが起こり過ぎて脳がフリーズしていたようだ。もっとも、もう死んだのだからフリーズする脳があるのか定かではないが。
「あの、一応聞きますけど此処は………?」
「うむ、ここはおぬしが考えている通り、あの世じゃ」
「あの世、ということは……」
「おぬしは死んだのじゃ」
「……………ッ!」
自分が死んだのは理解していたが、他人にそれを伝えられると思っていたよりかなりキツい。
「そうですか……やっぱりおれ、死んだんですね…」
「うむ……残念な事にな」
「…………」
「…………」
「…………………」
「…………………」
「………………………あの」
「さっきの様に黙り込んでしまったのかと思うたわ……何じゃ?」
「おれはこれからどうなるんですか?」
「そうじゃのう…普通は、ここに送られて来た者は天国か地獄のどちらかに行く事になっているんじゃが……」
「普通は……?」
なんだかその言い方だと、おれが普通じゃないみたいに聞こえてくるので少し不安になって、思わず話の途中で質問してしまった。だが神様は特に機嫌を損ねた様子も無く、
「おぬし、自分が死ぬ前に変わった心残りを言っておったじゃろう?」
確かに言ったが、まさか聞かれていたとは思わず、おれは少しだけ恥ずかしくなってしまった。最期の言葉が「もっとゲームしたかった」だった人なんて、多分おれ以外に居ないと思う。
「そ、それがどうかしたんですか?」
「うむ、おぬしは地獄に送られるような罪は犯しておらんし、今世はまだ十六年しか生きておらん。そんなおぬしが不憫に思えてのお。今回は特別に、おぬしの願いを叶えてやろうと思ったのじゃよ」
「え、それってつまり…」
生き返るということだろうか?でもどうやって?多分おれの体は今葬式に出されているだろう。まさか葬式の途中で生き返るのか?何それ怖い。
「あの、もう少し詳しくお願いします」
「おぬし、転生してみたいと思ったことはないか?」
「転生?」
「そうじゃ。おぬしは前の世界で死んでしもうたから、前の世界に転生させる事はできんがな」
「それじゃあ…」
「おぬしが転生するのは、異世界ということになる」
マジか。
異世界っていったら、魔法が毎日飛び交ってるヤバイ所ってイメージしかない。おれみたいなのがそんな世界で生きていけるのだろうか?
おれの不安を察したのか、老人は、
「そんなに心配せんでも、転生先の世界に行けば、おぬしも向こうの人間と大体同じ事ができるようになるから大丈夫じゃよ」
と言い、さらにこう続けた。
「それに、言ったじゃろう?願いを叶えてやると」
「え?」
「転生先の世界に、おぬしが持っていきたい物をなんでもひとつ持って行けるよう、ワシが取り計らってやろう。まあ、持って行きたい物はある程度決まっているようじゃがの?」
持って行きたい物なんておれにはゲーム以外思いつかないので、持って行く物はゲームで確定した。問題なのはどれを持っていくかだ。ps4はテレビがないと遊べないし、switchはコントローラーをどちらかひとつでも失くしたらアウトだ。ここは持ち運びしやすい大きさかつ幼い頃から慣れ親しんだ3DSにしよう。
「3DSでお願いします」
おれがそう言うと、老人は頷いた。
「うむ、分かった。3DSで良いのじゃな?」
「はい、お願いしま………」
ここでおれは重大な事に気が付いた。
「あ、あの…ちなみに、3DSのカセットとかは…」
そう、カセットである。
当たり前のことだが、3DSは、ダウンロード版以外のゲームはカセットが無いと遊べないのだ。おれは当然、カセットも一緒に持っていくつもりだったが、この老人はさっき、「なんでもひとつ」と言った。もしも、この「ひとつ」に、カセットもカウントされるのなら、転生先の世界に3DS本体だけを持って行っても遊ぶことができない。
おれが内心冷や汗をかきながら老人を見ると、老人は、
「なんじゃ、カセットまでカウントすると思ったか?ワシはそんなにみみっちい事は言わんぞ。好きなだけ持っていくがよい」
と、大変気前のいい事を言ってくれたので、お言葉に甘える事にした。とはいえ、全部持っていくのは流石に申し訳ないので、3DSのカセットの中でも、特に気に入っていた十枚のカセットを持っていく事にした。
おれがカセットを選び終えるのを静かに待っていてくれた老人は、おれが選び終わったのを確認すると、
「持っていく物はそれで良いな?選び直すなら今のうちじゃぞ」
と言い、おれが頷くのを見ると、微笑みながら告げた。
「では、しばしの別れじゃ。おぬしを今から新しい世界へ転生する。ちなみに、その3DSとカセットは、おぬしの魔力で充電できるようにしておいたし、どんな事があっても絶対に壊れんようにしておいた。どうじゃ?これならおぬしも安心できるじゃろう」
ここまで親切にしてくれた老人に、おれは感謝の気持ちが溢れてくるのを感じながら、
「あなたのお墨付きなら心配はいりませんね。…ここまでしてくださって、ありがとうございました」
と言った。その直後、おれの足元に光り輝く魔法陣らしきものが現れ、ぐるぐると回り始めた。徐々に意識が薄れていくのを感じていると、思い出したかのように老人が言った。
「あぁ、そうじゃ。ワシからも、おぬしが喜びそうな力をプレゼントしておいた。まあ、それは後のお楽しみじゃの」
………プレゼント?
疑問に思うのもつかの間、足元の魔法陣が強烈な光を放ち、おれは意識を失った。
いかがでしたか?今回はロクアカのキャラと全く絡みませんでしたが、大丈夫です、そのうち出てきます。たぶん…