ロクでなし魔術講師と携帯獣使い   作:ゲームの住人

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 こんにちは、ゲームの住人です。
 戦闘描写って難しいですね………。というか、本文も前書きもだんだん雑になってる気がする……。


黄色い悪魔

 緊張と戸惑いが場を支配していた。

 この場にいるおれ、グレン先生、フィーベルさん、そしてダークコートの男の視線は、おれ達を護るかのように前に立っているピカチュウに向いている。最初に動き始めたのはダークコートの男だった。

 

「……どうやらその魔道具は強力な使い魔を召喚する物のようだな。そのような姿をした使い魔は見た事がないが……」

 

 そう呟きながら、左手を上げる。ピカチュウに弾かれて廊下のあちこちの壁に突き刺さっていた剣が壁から抜け、男の周りを浮遊する。警戒しているのか、ピカチュウの体毛が僅かに逆立った。

 

「コル、お前さっきあの生き物を『ぴかちゅう』って呼んでたな。あいつを知ってるのか?」

 

 おれの前に立っているグレン先生が話しかけてきた。動揺しているのかいつもより微妙に早口だ。隣にいるフィーベルさんも気になるのか、おれが喋るのを待っている。

 

「……はい、知ってます」

 

「………味方…なのか?」

 

 その質問にすぐには答えられず、おれは浮いたままの3DSを見る。そして、ある事に気付いた。

 画面に映っていたボックスから一匹減っている。さっきまではちゃんといたはず……。

 おれはハッとしてピカチュウを見る。そして、ボックスに入れていたポケモン達を思い出す。

 恐らく、あいつはおれのボックスに居たピカチュウだ。

 

「……味方、だと思います」

 

 もし違ったら目も当てられないので断言はしないが、多分合っている……と思う。それに、さっき名前を呼んだ時、振り返ってサムズアップしていたので、少なくとも敵ではないだろう。

 おれの言葉を聞いた先生は、安心したように「そうか」と呟いた。その時、ダークコートの男がいきなり剣を放った。何かされる前に仕留めようという算段なのだろう、剣の切っ先は全てピカチュウに向けられている。ピカチュウは再び尻尾を鋼色に輝かせ、五本の剣を待ち受ける。

 

 ぎぃぃぃぃぃいんっ!!

 

 剣と尻尾が衝突して火花が散った。一本目の剣を叩き落とし、二本目の剣も素早く(はじ)く。しかし、残る三本の剣は真っ直ぐ突っ込んでくるのではなく、ピカチュウを囲むように展開した。二本目の剣も加わり、四本に囲まれている。

 

「ピ……」

 

 ピカチュウが周りの剣を警戒しながら、チラリとおれを見た。その眼が何かを訴えているように感じて、なんだろうと考えていると、不意に違和感が鎌首をもたげた。

 

 ピカチュウは本来電気技を得意とするポケモンだ。それなのに電気技を一度も使っていない。今使っている技は恐らく『アイアンテール』で、電気技ではない。

 違和感はまだある。ピカチュウはおれ達や自分の身を守る為に技を使ったが、自分からは一度も攻撃していないのだ。その気になれば、おれ達全員を気絶させることだって可能だというのに。

 ピカチュウのアイコンタクトの意図を考えるが、なかなか答えが出ない。

 

 そうだ、ゲームでバトルする時を当てはめて考えてみよう。ポケモンのゲームはコマンド制なので、プレイヤーが技を選んで……。

 そこまで考えた時、おれはピカチュウのアイコンタクトの意図が解った気がした。

 

(もしかして……)

 

 おれがハッとするのと同時に、周囲を警戒しているピカチュウの背後にいつの間にか復活していた一本目の剣が音もなく浮かび上がった。しかし、ピカチュウは気付いていない。そう思った瞬間に、おれは前に飛び出し、叫んでいた。先生が「おい、コル!?」と言っているが聞き流す。

 

「ピカチュウ、後ろだ!」

 

「ピッ!?」

 

 おれの叫び声に反応したピカチュウが飛び退くようにして剣を避ける。そのままおれ達のところまで戻ってきたピカチュウに、おれは訊ねた。

 

「君は……トレーナーの指示を待ってるの?」

 

 ピカチュウはおれを見上げた後、「ピカッ!」と頷く。そして、「ピカピー!」と言いながら、おれを指差した。

 

 おれがトレーナーってことか……。

 

「そっか……。ピカチュウ、おれが指示を出すから、アイツを倒すのを協力してくれる?」

 

「ピカー!」

 

 威勢の良い鳴き声を上げるピカチュウを見ながら記憶を探る。確か、コイツが覚えてるわざは………。

 

「……よし、いくぞピカチュウ!『でんこうせっか』だ!」

 

 内心では指示を聞いてくれるか不安だったが、ピカチュウはおれの意志に応えた。壁や床を足場にしてピカチュウが凄い速さでダークコートの男目がけて接近する。

 

「何っ……!」

 

 ダークコートの男が急いで五本の剣のうち二本を自身のところまで呼び戻して備え、残りの三本がピカチュウを迎え撃った。

 

「『アイアンテール』で剣の腹を!」

 

「ピッカァッ!」

 

 ピカチュウの尻尾が三度(みたび)輝き、鋼と化した尻尾が剣を打ち据える。支持通り尻尾は狙い(たが)わず剣の腹を叩き、刀身を半ばから折る。

 他の二本もあっという間に叩き折り、勢い余って尻尾で床を少し(えぐ)りながらピカチュウが前進する。これで使える剣は二本だけ。敵はもう目の前だ。

 

「『10まんボルト』!」

 

 ピカチュウが大きく跳び上がった。身体が電気を纏って金色に見える。バチバチと電気が弾ける音が廊下に響き渡った。

 

「くっ……!」

 

 男が咄嗟に自分の前で剣を交差させ、防御の姿勢をとる。

 

「ピ〜カ〜…ヂュ〜〜〜〜ッ!!!」

 

 そして、ピカチュウ渾身の『10まんボルト』がダークコートの男を剣ごと巻き込み、凄まじい轟音を響かせる。僅かな電気が空気を伝ってここまで届き、おれの頬を軽く痺れさせた。

 

 

 

 

 

 

 

 雷撃が収まった後、そこには、ボロボロになった二本の剣と、ダークコートのところどころが焦げ、床に倒れている男の姿があった。

 

「……倒した…の………?」

 

 フィーベルさんの呟きが聞こえてくる。続けて、若干引き()った顔のグレン先生が呻くように言った。

 

「つ、強すぎだろ……なにこのちっこいの……」

 

 二人程ではないが、おれも驚いていた。ゲームやアニメで見るのと実際に見るのとでは迫力が全然違う。

 ダークコートの男の頬をぺちぺち叩いて気絶しているかどうかを確認していたピカチュウは、少し考えた後、男の右肩に手を当て、先程より威力を弱めた電流を流した。それで満足したのか、おれ達の方にちょこちょこと歩み寄ってくる。比例するように、先生とフィーベルさんが後ずさった。まあ、あんな力を見せられたら誰だってそういう反応をするだろう。

 

「お疲れ様。ありがとう、ピカチュウ」

 

 ねぎらいの言葉を掛け、頭を撫でてやる。思っていたよりふわふわしている毛並みを堪能していると、フィーベルさんが声を掛けてきた。

 

「こ、コル?触っても大丈夫なの?」

 

「平気だよ。フィーベルさんも撫でてみる?」

 

 そう言うと、フィーベルさんがこわごわとした様子で近づいてきた。ピカチュウがフィーベルさんに注目する。

 

「う…………」

 

 フィーベルさんはピカチュウの視線に一瞬怯んだように動きを止めたが、視線に敵意がないのを感じたのだろう、恐る恐る手を伸ばした。指先がピカチュウの体毛に触れる。そのまま指先で控えめに撫でた。くすぐったかったのか、ピカチュウが頭をフィーベルさんの(てのひら)に押し付けた。

 フィーベルさんは驚いたように手を引っ込めかけたが、ゆっくりと掌全体でピカチュウの頭を撫で始める。

 

「チュ〜……」

 

 ピカチュウが気持ち良さそうに目を細めた。

 フィーベルさんがピカチュウを優しく撫でているのを眺めていると、ダークコートの男に例の拘束を(ほどこ)し終わったグレン先生が歩いてきた。

 

 グレン先生の顔色は、ダークコートの男と戦う前よりはマシになっているが、まだ結構キツそうだったので【ライフ・アップ】を掛ける。「悪い…助かる」と言いながら床に座り込んだ先生は、しばらくフィーベルさんとピカチュウを眺めていたが、不意に言った。

 

「コル、お前は何者なんだ?」

 

 質問の意図が分からずにグレン先生を見るが、先生の表情は真剣そのものだ。とりあえず正直に答える。

 

「……ただの学生です」

 

「嘘付け。ただの学生があんなデタラメな力持った使い魔を召喚できるかよ。何らかの魔道具を使用したんだろうが……それにしたって普通の使い魔と比べても異常な魔力量だ」

 

 それもそうだ。

 恐らく先生は何故おれがピカチュウのような強大な力を持った使い魔を使役できるのかを疑問に思っている。でもそれはおれだって知りたい。ゲームの中からポケモンが出てくるなんて普通じゃない。なにか原因があるとすれば、それはおれがこの世界に転生する時くらい……か?そういえばおれを転生させてくれたおじいさんが転生する直前に何かを言っていたな……。確か………プレゼント?だったか?

 

 そこまで思い出すと、おじいさんの台詞が意外と簡単に思い出せた。ええっと……。

 

『ワシからも、おぬしが喜びそうな力をプレゼントしておいた。まあ、それは後のお楽しみじゃの』

 

 原因が判明した。プレゼントってこの事だったのか……。それにしても、3DSからポケモンが出てくるようにするなんて、なんて無茶苦茶なんだ……!いや、嬉しいけどね?一度でいいからポケモンに触ってみたいと思ってたし。というか改めて見るとピカチュウ可愛すぎる。

 

 ポケモンが出てきた原因が分かってスッキリした直後、目先の問題を思い出す。

 グレン先生が知りたい事を話そうとしたら、過去にかなりさかのぼって話をしなければならない。それこそ、おれが他の世界からの転生者である事も全てだ。そんな事を話してしまってもいいのか?というか、話したとしても信じてもらえない気がする……。

 

「……………」

 

 黙って(うつむ)いているおれをグレン先生は真剣な表情でしばらく見つめていたが、やがてふぅっと息をつき、言った。

 

「ま、お前にも何か事情がありそうだしな。無理に答えなくてもいいぜ」

 

「……すみません…………」 

 

 おれがそう言うと、先生はニカッと笑った。

 

「お前は良い奴だからな。それにどんな事情があろうと俺の生徒である事に変わりはない。……おお、俺今メッチャ教師っぽい事言った……!」

 

「………最後の台詞で台無しですよ」

 

 思わず苦笑を漏らしてしまう。でも、先生のこういう所は嫌いじゃない。

 グレン先生は自分の身体を軽く見回し、立ち上がった。腕をグルングルン回し、調子を確認する。顔色は少し良くなり、身体の怪我も大体塞がったようだ。塞がったとは言っても無理に動き回るとまた開きそうなので油断はできないが。

 

「ありがとなコル、もう大丈夫だ」

 

 その言葉を聞き、【ライフ・アップ】を掛けるのを止める。

 

「先生、もう平気なんですか?」

 

 ピカチュウと戯れていたフィーベルさんが立ち上がった先生に気づき、声を掛けた。

 

「ああ、もう大丈夫だ。ルミアを助けに行かんとな」

 

 先生のところにピカチュウが興味津々で寄って来た。

 

「ピッカピカチュー!」

 

 と鳴きながら右手を先生に差し出す。

 

「おう、さっきはありがとな。助かったぜ」

 

 先生は少し(かが)み、ピカチュウの手を握った。ピカチュウは嬉しそうに耳を揺らした。

 

 




 ポケモンの新作いつ出るのかなぁ……。早く発売されないかなぁ……。
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