ロクでなし魔術講師と携帯獣使い   作:ゲームの住人

16 / 27
 こんにちは、ゲームの住人です。
遂に原作二巻へ突入しましたが、最後ら辺の文章が雑になっているかもしれません……。


二章
種目決め


 アルザーノ帝国魔術学院、二年次生二組の教室。

 現在は放課後。いつもは賑やかな教室が、今日はシンと静まり返っている。

 

「はーい、誰か『飛行競争』の種目に出たい人、いませんかー?」

 

 教室の壇上に立ってクラスの皆に呼びかけているのは、『説教女神』の二つ名で有名な優等生、フィーベルさんだ。

 

「……えっと、じゃあ、『変身』の種目に出たい人ー?」

 

 静かな教室に彼女の声が虚しく響く。立候補する者は誰もいない。

 フィーベルさんは困ったような表情で黒板の前に立っている書記係のティンジェルさんを見る。フィーベルさんの助けを求めるような視線を受けたティンジェルさんは、皆を勇気づけるように言った。

 

「ねぇ皆。グレン先生も好きにしろって言ってくれたんだし、今年の魔術競技祭は皆で出てみない?思い出作りになるし、きっと楽しいよ」

 

 だが、ティンジェルさんの言葉を聞いても立候補する生徒はいない。普段なら彼女の意見には絶対に賛成する生徒達(主に男子)も、今は俯いている。これは重症だな……。

 

 そんな空気にウンザリしたかのように、このクラスのもう一人の優等生、ギイブルが眼鏡を押し上げながら言った。

 

「二人共、いい加減真面目に決めたらどうだい?優勝を狙うのなら、他のクラスのようにさっさとシスティーナや僕のような成績上位者で固めるべきだ」

 

「……でも、せっかくの機会なのに参加しないなんて…」

 

 フィーベルさんがムッとしながら言うと、ギイブルは呆れたように首を振った。

 

「分からないのかい?皆気後れしているんだよ。自分達が出場しても足手まといになるって分かってるから遠慮してるのさ。それに、負け戦と分かっていて挑む奴なんていないよ。女王陛下が賓客として御尊来(ごそんらい)なさるんなら尚更(なおさら)ね」

 

「そ、そんな言い方……!」

 

 ギイブルとフィーベルさんの間の空気がどんどん悪くなっていく。ティンジェルさんがオロオロしているのが視界に入った。放っておくのも可哀想な気がするし、そろそろ家に帰りたくなってきたので、おれは二人の口論を止めるべく口を開いた。

 

「あのー、二人共。ちょっと落ち着……」

 

 ばぁんっ!

 

「話は聞かせてもらった!後は任せろ、このグレン=レーダス大先生様になぁっ!」

 

 おれが台詞を言い終える前に、教室の前の方の扉が勢いよく開き、グレン先生が何ごとか叫びながら入ってきた。

 

「うわぁ、ややこしいのが来た……」

 

「はいそこー!ややこしいとか言わない!」

 

 思わず漏れてしまった言葉が聞こえていたのだろう、先生が変なポーズでこちらをビシィッ!と指差してきたので大人しく黙る。やけにテンション高いなあの人……。

 

 先生の突然の乱入に先程とは別種の沈黙が降りる。先生はつかつかと教壇に歩み寄り、フィーベルさんを押しのけるように教壇に立った。

 

「喧嘩はやめるんだ、お前達。俺達は優勝を目指して共に戦う仲間じゃないか」

 

 あれ?先生ってこんなキャラだったっけ……?何か変なモノでも食べたのか?

 今まで見た事が無いほど爽やかな笑顔でそう言った先生を、クラスメイト達が胡散臭そうに見つめている。

 

「どうやらお前達は種目決めに難航しているようだな。……ったく、他のクラスの連中はとっくに決め終わって練習に入っているというのに……まあいい。俺が絶対に負けないような編成をしてやる」

 

 先生は頭を振りながら、競技祭の種目表に目を通し始める。やがて一つ頷くと、ティンジェルさんに板書を頼み、競技名と名前を告げていく。

 

「まず『決闘戦』な。白猫、ギイブル、カッシュ。お前等三人が出ろ」

 

 へー、フィーベルさんとギイブルとカッシュが出るのか…………ん?カッシュ?ナーブレスさんじゃなくて?

 思わず斜め前の席に座っているカッシュを凝視する。

 呼ばれたカッシュ本人も疑問に思ったらしく、手をあげて質問する。

 

「あのー、先生」

 

「なんだ?」

 

「どうしてウェンディじゃなくて俺なんすか?」

 

「そうですわ!私の方がカッシュさんより成績がよろしくってよ!?」

 

 カッシュの言葉にナーブレスさんも追随するように立ち上がった。

 

「あー、ウェンディは土壇場でパニクりやすいし、時々呪文噛むからなー、その点カッシュは状況判断力に優れてるし、運動神経が良いから『決闘戦』やるならカッシュの方が強えと思った」

 

「なっ………!」 

 

 ナーブレスさんが不機嫌そうに頬を膨らませる。

 

「だから、お前には『暗号早解き』を任せようと思う。【リード・ランゲージ】の腕前はこのクラスの中ではお前がダントツで一番だからな。点数稼ぎよろしく」

 

 先生の台詞を聞いていたナーブレスさんの膨らんだ頬が少しずつしぼんでいった。

 

「ま、まあ……そういう事でしたら………」

 

 怒っている時に急にべた褒めされたからか、ナーブレスさんはなんとも微妙な顔で席に着いた。へー、頬を膨らませて怒っている人をべた褒めするとあんな風になるのか……。

 ………今度フィーベルさんにしてみよう。

 

 何はともあれ、去年は出場出来なかったカッシュが競技祭に出られる事になったのだ。友達として嬉しく思う。先生が他の科目の出場者を発表している間に、おれは斜め前のカッシュに小声で話し掛けた。

 

「良かったじゃないかカッシュ!」

 

「お、おう……でも、ホントに俺が出て良かったのかな………」

 

「何言ってるんだよ、いいに決まってるだろ?なんせ先生から指名してきたんだから。もっと自信持ちなよ」

 

「そうだな……」

 

「応援してるからな!頑張れよカッシュ!」

 

「おう!任せとけ!」

 

 去年の競技祭は優等生達だけが出ていてどこか別の世界の出来事のように思っていたし、その頃はフィーベルさん達とも今ほど仲良くなかったので一日中ゲームの事を考えて過ごしたが、今年は楽しくなりそうだ。

 去年の競技祭を思い出していると、先生がサラリとおかしな事を言った。

 

「あと、『迷宮探索』は……コルが適任だな。これ配点高いから頼んだぞー」

 

「……え?おれも出るんですか?」

 

 そう質問すると、先生がキョトンとした。

 

「何言ってんだ?出るに決まってるだろ」

 

「あ、そうですか」

 

 えぇー……。おれも出場するのか……。『迷宮探索』って名前でなんとなく想像つくが、それ絶対短時間じゃ終わらないやつでしょ…?しかも配点高いとか責任重大じゃないか……。

 

「やったなコル!お前も出られるぞ!」

 

 カッシュがニコニコしながら話しかけてきた。

 

「…そ、そうだな……お互い頑張ろう………」

 

 少し楽しみだった競技祭が一瞬で楽しみじゃなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 その日の深夜。

 街中の人が寝静まる頃におれは目覚める。

 あらかじめ畳んで置いていた動きやすい服に着替え、ポケットに3DSを突っ込んで家を出る。

 向かった先は少し離れた所にある大きな自然公園だ。注意深く周りを見渡しながら足を踏み入れ、奥にある雑木林へ向かう。奥へ奥へと歩き続けると辺りの草や木々が鬱蒼と生い茂り、雑木林というより森と言った方が正しいような雰囲気になってきた。そんな場所を更に歩くと、やがてひとつの空き地に辿り着いた。

 

 人が来ないような場所を予め探しておいたのだが、流石にここなら誰も来ないだろう。

 おれは3DSを取り出し、日本語で呟いた。

 

「『起動』」

 

 3DSに光の回路が走り、手から少しだけ浮かぶ。下画面に表示されたポケモン達の中の一匹をタップする。ポンッという音と共に飛び出してくるボールをキャッチし軽く投げると、ピカチュウが出てきた。

 

「ピカッ」

 

 片手を上げて挨拶してくるピカチュウに同じく片手で挨拶をする。寄ってきたピカチュウを撫で、おれは地面に座り込んだ。ピカチュウが背中をよじ登り、頭の上に乗ってくる。

 

「うーん、召喚にもだいぶ慣れてきたな……」

 

 頭の上に乗っているピカチュウが「ピー?」と鳴きながら上から覗き込むようにしてこちらを見つめてくる。

 

 テロ事件があって以来、おれは両親が仕事でいない日の深夜に家を抜け出すようになっていた。別にグレた訳ではなく、ポケモンの召喚方法や戻り方などを調べるためだ。また、あらかじめポケモンの召喚に慣れておくためでもあるし、単純にポケモンと触れ合いたいだけでもある。

 

「……ニ匹目いってみるか」

 

 傍に浮いている3DSに手を伸ばす。少し迷ってから、画面をタップ。新たなボールを少し離れた地面に投げる。

 おれが選んだのはイーブイだった。イーブイは前足で耳の裏を掻いた後、こちらをつぶらな瞳で見つめてくる。

 

「おいで」

 

 声を掛けると、少しずつ近寄ってきた。手が届く距離まで近づいてきたので驚かさないように優しく頭を撫でる。

 

「キュウ……」

 

 イーブイはくすぐったそうにしているが、嫌がっている感じはしない。

 ピカチュウがおれの頭から飛び降り、イーブイに向かって片手を上げた。

 

「ピカッ」

 

「キュイ」

 

「ピカピカ、ピカチュー?」

 

「キュウウ!」

 

「ピッカピカピー!」

 

 何やら会話?をしているように見える。ニ匹とも楽しそうだし見ていて和むので、しばらく二匹のやり取りを観察した。

 今日は一応二匹で止めておくが、もう少ししたら大きめのポケモンを召喚してみてもいいかもしれない。飛行タイプのポケモンに頼んだら背中に乗せて飛んでくれたりするんだろうかと考えながら、会話を終えて寄ってきたピカチュウとイーブイを撫でる。

 

「ピカチュウ、イーブイ。おれ魔術競技祭に出る事になったんだ」

 

「ピカー?」

 

「キュウウ?」

 

「おれは応援だけで満足だったんだけどさ……どうも先生はクラスメイト達全員を出場させるつもりみたいだ。去年は成績が優秀な人しか出場できなかったのに、凄い変化だろ?皆喜んでたよ」

 

 話の内容は二匹にとっては難しかったようだが、おれの気持ちが伝わったのか、二匹は嬉しそうに耳や尻尾を揺らした。

 

 




 はい、今回はイーブイを出しました。
書いてて思ったんですけど、イーブイってどんな声で鳴くんでしたっけ?ポケモンの鳴き声って難しいですね……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。