ロクでなし魔術講師と携帯獣使い   作:ゲームの住人

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 こんにちは、ゲームの住人です。
 すみません、ちょっと忙しくて書く時間が中々取れませんでした……。
 


魔術競技祭

「ピカ!ピカー!」

 

 

 声が聞こえる。

 

 

「んん……」

 

「ピーカ!ピカピー!!」

 

 

 布団ごしにおれの上で何かが跳び跳ねている。

 

 

「…………待って……あと五分……」

 

「ピカピチュカピッカー!!ピカチュー!!」

 

 

 ……ん……?ピカチュウ…?なんでピカチュウが………?

 

 

「ピ〜カ〜…ヂュ〜〜〜〜ッ!!!」

 

「あ"あ"あ"あああああああぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

 

 

 最悪の目覚めだった……。

 どうもピカチュウはおれがいつまで()っても起きないのを心配して3DSから出てきたらしい。

 起こしてくれるのは嬉しいんだけど…10まんボルトは止めて………起きるどころか永眠しちゃうから……。

 

 焦げた寝癖を整えながらいつもの噴水広場に向かって歩く。(すで)にそこに来ていたフィーベルさんとティンジェルさんがおれを見て目を丸くした。

 

「おはよう二人共」

 

「お…おはよう……」

 

「おはよう……あの、コル君?髪の毛が少し焦げてるけど……何かあったの?」

 

「ち、ちょっと朝食を焦がしちゃって……」

 

「どんな料理をしたら髪が焦げるのよ……」 

 

 フィーベルさんが呆れたように首を振っている。

 三人でしばらくお喋りしていると先生が来たので四人で学院に向かう。フィーベルさんやティンジェルさんがどこかそわそわしているのは決して気のせいではないだろう。

 今日は魔術競技祭。皆の練習の成果が表れる日、そして、ティンジェルさんのお母さんがやって来る日だ。

 

 

 

 

 開会式が終わり、おれ達は観戦席でクラスメイトを応援していた。今の競技は『飛行競争』。学院敷地内の広大なコースを二人一組のリレー形式で飛び回る競技だ。

 

『さあ最終コーナーッ!二組のロッド君いけるか!?いけるのか!?    いったあぁぁぁぁあッ!二組のロッド君、七組を抜いて三位でゴオォォルッ!この展開を誰が予想したぁぁッ!?』

 

 実況者が興奮気味の奇声を張り上げる。洪水(こうずい)のような拍手と歓声が上がった。おれも夢中で手を叩く。

 少し意外だったのは、おれ達以外のクラスの人達も応援してくれている事だ。何故かは知らないが、応援してくれる人数は多いに越したことはない。

 先生がクラスメイト達に問われてさっきの競技について解説している。競技が始まって最初ら辺はやけにペースがゆっくりだなーと思っていたが、どうやら先生の作戦だったらしい。先生の頬が何故か引きつっているように見えたが、きっと気のせいだろう。

 

 貴賓席に目を向ければ、ティンジェルさんのお母さん   女王陛下の隣にアルフォネア教授が座っているのが見える。選手が優等生ばかりの中、二組が好成績を収めた事が愉快だったのか、教授が膝を叩いて大爆笑していた。それは遠目にも判るほどで、隣の学園長やメイドっぽい人に(たしな)められているようだった。

 

「おい、見たか!?三位だぞ三位!」

 

 カッシュが興奮気味にセシルに話しかける。話しかけられたセシルも目をキラキラと輝かせて言った。

 

「凄い!凄いよロッド君とカイ君!」

 

 クラスメイト達は皆こんな感じに騒いでいる。テンションMAXだ。

 ……おれを除いて。

 

 おれは静かに立ち上がり、カッシュ達に声を掛けた。

 

「……()ってくる」

 

「ああ、もうすぐコルの競技か!おう、行ってこい!」

 

「いってらっしゃい!応援してるよ!」

 

 二人の暖かい言葉に見送られる。さっきから緊張しっぱなしで、落ち着かない。こんなに緊張するのは前世の高校受験以来かもしれない。

 

「ちょっと、緊張しすぎじゃない?」

 

 からかうような声が聞こえてきたのでそちらを向くと、ニヤニヤしているグレン先生とフィーベルさんがこちらを見つめていた。

 

「もう、ダメだよシスティ!からかったりしちゃ!先生もですよ!」

 

 ああ、こんな時ティンジェルさんの優しさが心に染みる……。

 

「おやおやぁ〜?コル君は一体何にビビっているのかなぁ〜〜?」

 

「べ、別にそういう訳じゃ……」

 

「コル、お前なら大丈夫だ。リラックスしていけ」

 

 ふざけた顔から一変、真面目な表情で先生が励ますように言った。

 

「なにも優勝が全てって訳じゃない。所詮(しょせん)これは『(まつり)』だ。楽しんでこい」

 

「……はい」

 

 緊張がわずかに薄れるのを感じながら、おれは競技場に降りる階段に向かった。

 

「次の競技、『迷宮探索』に出場する生徒はこちらに集まってくださーい!」

 

 アナウンス係の指示に従って参加者が一列に並ぶ。おれ達が整列したのを確認した実況者が魔術の拡声音響術式を起動し、喋りだした。

 

『それでは、『迷宮探索』のルール説明をこの競技の考案者、アルフォネア教授が行います!教授、お願いします!』

 

 実況者と入れ替わるようにアルフォネア教授が前に出る。

 

『えー、この競技の舞台は競技場の地下にある迷宮だ。この日のために私が造っておいた。諸君らには今からその迷宮の最深部を目指してもらう』

 

 教授がパチンと指を鳴らすと、競技場の中心に巨大な魔方陣が出現し、それを囲むように一定の間隔を空けて十個の降り階段が現れた。

 

『迷宮の中には仕掛けを解かないと開かない扉やモンスターに似せた魔導人形も用意されていて、諸君らを見つけ次第(しだい)襲うように設定してある。慌てなければ倒せる強さにしてあるが、戦うか避けるかは諸君らが好きに決めていい』

 

 ルール説明を聞いているうちに、思考が少しずつ落ち着いてきた。そうか、無理に倒す必要はないのか……。

 

『制限時間はニ時間。こちらから戦闘不能と判断された場合、または何らかの非常事態に(おちい)った場合、諸君らは強制的にそこの魔方陣の上に転移するようになっている。また、攻撃対象が行動不能となった場合は魔導人形は攻撃を止め、非常事態の場合全ての魔導人形は停止する』

 

 非常事態というのは地震があった時とかに備えているんだろうけど………。そういえば、この世界に転生してから一度も地震にあった事がないな…。

 

『配点については簡単だ。最深部に辿り着けば得点、辿り着けなければ配点はなしだ』

 

 最後に、と教授が続けながらニヤリと笑う。

 

『最深部に降りる階段は、一体の魔導人形が守っていて、ソイツを倒さなければ先に進めないようになっている。……強いぞ。心してかかれ』

 

 そう言い残して、アルフォネア教授は席に戻っていった。

 

『アルフォネア教授、ありがとうございました!それでは選手の皆さんは、それぞれ自分のクラスの応援席前の階段に移動してください!』

 

 実況者の指示に従い、おれは二組の側にある階段に向かった。

 

 

 

    システィーナ   

 

「コル、大丈夫かしら……」

 

 システィーナが呟くと、隣に座っているルミアが苦笑いした。

 

「凄く緊張してたもんね……」

 

 システィーナ達の応援席の前には地下へと続く階段が口を開けていて、その階段をじっと見つめているコルの姿がある。

 システィーナは斜め後ろに座るグレンに声を掛けた。

 

「先生、コルは大丈夫だと思う?」

 

「いや、分からん」

 

「「えっ?」」

 

 てっきり自信満々に「余裕」とか言うと思っていたグレンの意外な返事にシスティーナとルミアは目を(またた)かせる。

 

「正直、全部あいつ次第だな」

 

「コル次第……?」

 

「この競技をコルに任せたのは、あくまでコルならいけるかもしれんと判断したからだ」

 

 これだけでは不十分だと思ったのか、グレンはそう判断した理由を説明し始めた。

 

「理由は二つあるんだが、まず一つ目の理由な。これは最近判明した事なんだが、コルはちょっと異常なほど魔力が多い」

 

「え?」

 

「異常なほど……?」

 

 二人の戸惑いを無視してグレンは話を続ける。

 

「二つ目。あいつは咄嗟(とっさ)の判断に優れていて、突発的な状況に対する耐性も高い。多分、このクラスの誰よりもな」

 

「コルが……?」

 

 システィーナは普段のコルを思い浮かべようとするが、浮かんでくるのは昼休みに校庭で昼寝をしている姿やクラスメイト達とふざけ合っている姿ばかりだ。

 

 グレンが立てたニ本の指を振ってみせる。

 

「魔力量が多ければニ時間もの長丁場でも耐えられるし、状況判断も優れてるから、不意打ちされない限りそうそう遅れはとらんだろ。あいつ意外と慎重だし」

 

 グレンがそこまで話し終えた時、グレン達の応援席の前に投影魔術による大きな画面が現れた。画面は真っ暗で何も映していないが、迷宮の中に入った選手を観戦するための物だろう。競技の準備が整ったようだ。

 

『さあさあ皆さん、お待たせ致しました!これより本日の目玉競技『迷宮探索』を開始します!選手の皆さんは合図とともに迷宮の中に入ってください!いきますよ!よーい………』

 

「コル……頑張って」

 

 システィーナがそっと呟く。すると、まるでこの喧騒(けんそう)の中でも声が聞こえたというようにコルがこちらを振り向いた。

 

 翡翠(ひすい)色の瞳と金色の瞳が交錯(こうさく)する。

 

 彼の顔に緊張の色はもうなかった。システィーナに向かって軽く微笑みかけると、正面の階段に向き直る。

 

 

 パァンッ!

 

 音響魔術による破裂音が響き、それを合図に十名の生徒達による『迷宮探索』が始まった。

 

 

 




 次回からは完全オリジナル展開になります。更新速度がますます遅くなるかもしれませんが、気長に待っていただけると嬉しいです!
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