まだ一話しか投稿していないのにお気に入り登録して下さった方、ありがとうございます!
今回はかなり短めになってしまいましたが、二話目です。
(知らない天井だ………)
おれが意識を取り戻して最初に思ったのは、そんなどうでもいい事だった。
どうやらおれは何処かに寝かされているらしい。
周囲を探ってみようとするが、何故か身体をうまく動かす事ができない。ふとある可能性に思い当たり、自分の手を顔の前に持ち上げてみる。
(ああ、やっぱり……)
おれの視界に映ったのは、小さくてぷにぷにした赤ん坊の手だった。
おれが意識を取り戻してから十分程経った。その間におれは、赤ん坊でもできる事、つまり記憶の整理を行なっていた。
普通は自分が赤ん坊になってしまったらパニックになってもおかしくないが、おれは前世で異世界転生モノの小説を何冊か読んだことがあったのでそこまでパニックにならずに済んだ。
前世の記憶をある程度探ってみるが、問題なく思い出す事が出来た。どうやら何か忘れている訳ではないようだ。
転生する時にこれまでの記憶を忘れてしまうのではないかと内心かなり不安だったが、そんな事はなかったのでとても安心した。
そういえば転生する直前に、おれを転生させてくれたお爺さんが何か言っていた気がする。正直言ってあの時は意識が
考え事をしながら見える範囲で周囲を観察してみたが、今のところ解った事はここが室内だという事くらいだ。………うん、それは見れば解るな。
ところで、おれが記憶の整理を行なっていた理由は、自分の記憶に何かおかしなところがないか探るためだが、実はもうひとつ理由がある。
くぅぅ〜〜………
それは、このお腹の音の正体……つまり、空腹を紛らわせるためだった。
本当は最初に目覚めた時からお腹が空いていたのだが、赤ん坊になってしまったとはいえ、精神年齢十六才の男子高校生が空腹程度で泣くわけにはいかない。そんな事はおれのプライドが許さない。しかし、身体の方はそろそろ限界の様だ。
「うぅ……」
泣きたい訳ではないのに身体が勝手に泣こうとする。身体がおれの言うことを聞いてくれない。頑張れ、負けるなおれ!
「うぅう〜〜〜」
やめろ、泣くんじゃない………!!
「うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!」
おれの泣き声が部屋中に響き渡った。
おれは空腹に勝つことは出来なかった……。
すると、おれの泣き声を聞きつけたのか、一組の男女が慌てた様子で部屋へ飛び込んできた。おそらくおれの両親だろう。母親らしき人がおれを抱き上げてあやしながら父親らしき人に何か指示を出した。それを聞いた男は頷くと、隣の部屋から小さな器とスプーンを持ってきて、器から掬ったおかゆのような物をおれの前にそっと差し出した。おれは半ば反射的にスプーンに食い付く。
それを見た男の人はとても嬉しそうな顔をして、スプーンに新しいおかゆを掬い、おれの前に持ってくる。そんな男とおれを微笑ましそうに眺めながら、女の人がおれに向かって話しかけてきた。
「%&∂⊗∅♧★#@〜?」
言葉は全く理解できなかったが、なんとなく「どう?おいしい?」的な事を言っている様だったので、とりあえず女の顔を見て「う〜!」とだけ言っておいた。
お腹が一杯になったからなのか、おれは眠くなり、両親に見守られながら眠りについた。