ロクでなし魔術講師と携帯獣使い   作:ゲームの住人

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 こんにちは、ゲームの住人です。
 皆さん、今日はクリスマスイブですよ!今頃外はリア充達で溢れていると思いますが、私は温かいこたつの中で音楽を聞きながら小説を書いています。外は寒そうだぜ……。
 


日常

 

「おい……お前、なんか話し掛けて来いよ……」

 

「で、でも……あの子、なんか怖くね?」

 

「あのデタラメな力……本当に人間なのか…?」

 

 教室のあちらこちらから、そんな囁き声が聞こえてくる。

 時間は昼休み。普段はもっと和気あいあいとした空気なのだが、今日は打って変わってどこか気まずい空気が流れている。

 

 クラスメイト達がチラチラと視線を送る先に、この空気の原因がいた。レイフォードさんだ。

 

 眠たげな瞳でぼんやり座っている様子を見ていると、とてもじゃないが大剣をぶん投げてゴーレムを粉々にした人物と同一人物だとは思えない。

 

 午前中の一件以来、クラスメイト達はすっかりレイフォードさんから距離を取ってしまった。別に仲間はずれにしようとしている訳ではない。ただ、とにかく話し掛けづらいのだ。レイフォードさん自身も他の誰かに話し掛けようとする様子はなく、それどころか席を立つ気配すらない。

 

 着席しているレイフォードさんを中心に、教室内には彼女に話し掛けたいが怖くて話し掛けられない生徒達がぱらぱらと散り、遠巻きに彼女を取り囲むという何とも言えない光景が広がっていた。

 

「ううむ……」

 

 賑やかな教室の中心で一人ぽつんと浮いているレイフォードさんの姿は、見ていてなんだか切なくなってくる。

 何か話し掛けた方が良い気がしてくるな……。

 

 おれがなんと話し掛けようか考え始めた時、ティンジェルさんとフィーベルさんがレイフォードさんに近付いていくのが見えた。ティンジェルさんに話し掛けられたレイフォードさんは、相変わらず無表情だがきちんと応じている。

 

 ティンジェルさん達に任せておけば、レイフォードさんのぼっち化は防げるだろう。

 

 ティンジェルさんのカンストしているコミュ力に脱帽しつつ、おれは昼食を摂るべく教室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

「あ」

 

「お」

 

 料理が載ったトレーを持って食堂内を歩いていると、ばったりライアスと出くわした。

 

「一人か?それなら一緒に食おうぜ」

 

「いいよ。向こうが丁度二席空いてる」

 

 席が埋まらない内に急いで移動し、おれ達は昼食を食べ始めた。今日のメニューは魚のフライと茹で野菜を挟んだ大きめのパン、オニオンスープ、デザートのアップルパイだ。

 

 正面に座るライアスのトレーには、ローストビーフとサラダ、大きなパン二つとコーンスープが載せられている。全て大盛りだ。

 

 パンに齧り付いていると、かなりのハイペースで皿の上のローストビーフを減らしていたライアスが訊ねてきた。

 

「そういえば、編入生が来たんだって?どんな人なんだ?」

 

 頭の中に眠たげな表情のレイフォードさんの姿と、大剣でゴーレムを粉砕した時のレイフォードさんの姿が浮かんだ。

 

「うーん……その人は女子なんだけど、大人しそうに見えて、結構アグレッシブっていうか……」

 

「ふーん……個性的な人なんだな」

 

「ま、まあね」

 

 そこで会話は一旦終了し、お互い食事に集中する。少しして、遂にローストビーフを皿の上から消滅させたライアスが言った。

 

「そういや、お前らのクラスはもうすぐ遠征学修に行くんだったな。何処に行くんだ?」

 

「ええと……『白金魔導研究所』ってところ」 

 

 確か、生物の構造や遺伝情報に魂の情報、合成獣(キメラ)とかの研究をしているところだったような気が……。

 

「何処に行っても普段は見られないものばかりだろうし、おれは何処でもいいんだけどね」

 

「まあそんなもんだよな」 

 

 他愛もない話をしながら食事を続ける。

 

「ところで、最近ポケモンしてる?」

 

「ん?ああ。一応クリアしたぞ」

 

「おおー、おめでとう」 

 

 ぱちぱちと拍手を送ると、その時の事を思い出したのか、ライアスが楽しげな笑みを浮かべた。

 

「なんつーか……育てるって楽しいんだな。どんどん強くなるし」

 

「おっ、遂にライアスも気付いたか、ポケモンの魅力に」

 

 うんうんと頷いていると、物思いに耽っていたライアスが何故かニヤリと笑った。

 

「……なあ、今度バトルしようぜ」

 

「うん?別に良いけど」

 

 ……こやつ、さては前回おれに挑んでボロ負けしたのを忘れたと見える。ふふふ、あの時からどれ程強くなったのか楽しみだな。

 

「じゃあ、オレそろそろ行くわ」

 

「ああ、また今度」

 

 あっという間に大盛りだった昼食を平らげたライアスは、トレーを持って去って行った。それから間もなく、おれが来るより前から近くに座っていた女子集団がおしゃべりしながら立ち去ると、おれの周りは一気に人気が無くなり、静かになった。寂しい。

 

 黙々とパンを食べ終え、スープを飲み干す。アップルパイに手を伸ばした時、遠くから聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「あっ、あそこが空いてるよ」

 

 そちらを見れば、レイフォードさんを伴ったティンジェルさんとフィーベルさんの姿が。

 

 来た、友達来た!これで勝つる!

  

 心の中で謎の喝采を上げる。周りが賑やかな場所で一人でいる時特有の空気よ、さらばだ。貴様の出番は終わった。

 

「コル君、ここ空いてる?」

 

「五百年前から空いてるよ、ぜひ座って!」

 

「う、うん、ありがとう……?」

 

「どうしてそんなにテンション高いのよ……?」

 

 怪訝そうにしながらフィーベルさんが隣に座り、正面にティンジェルさん、斜め前にレイフォードさんが座る。

 

 ティンジェルさんの昼食がライアスの昼食と量を除いてほぼ被っている事に軽く驚きつつ、アップルパイを堪能する。ちなみにフィーベルさんはスコーン二つ、レイフォードさんに至っては小さな苺タルトがひとつだけ。栄養偏るぞ……? 

 

「………………」 

 

 レイフォードさんは両手で持った苺タルトをじっと見つめ、ふんふんと匂いを嗅いでいる。そして恐る恐る顔を近付け、そっと一口齧った。

 

「…………!」

 

 心なしか目が輝き、先程までの躊躇(ためら)いが嘘のように苺タルトを食べ始める。

 あっという間に食べ終えると、レイフォードさんはじっと自分の手を見つめた。

 

「…………」

 

 どこか名残惜しそうに見える。

 

「……えっと……もう一個食べる?」

 

「!」 

 

 声を掛けると、レイフォードさんが眼球だけ動かしておれを見た。

 

「………もう一個食べられるの?」

 

「うん、注文すれば何個でも食べられるよ。注文する?」 

 

「………ん」

 

 席を立ったレイフォードさんの付き添いとして、おれも一緒についていく。ついでだし、おれも苺タルト買おうかな……。

 

「ちょっと行ってくる」

 

「コル君、リィエルの事よろしくね」

 

「あいよ。席とっといて」

 

 この後、おれとレイフォードさんは苺タルトを買う為にカウンターと席の間を六往復した。

 




 こたつを開発した人って天才ですよね……。

 追記:感想欄で今日がフィーベルさんの誕生日だと教えて頂きました。フィーベルさん、誕生日おめでとう!
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