早く主人公を学院に入学させたくて、今回はかなり早足で進めてしまいました。
3話目です。
異世界に転生してから、一ヶ月が経った。おれは相変わらずベッドに寝たきりだったが、あれから少し解ってきた事がある。まず、おれの両親についてだ。やっぱりというか、一週間前に始めて会った二人が親だった。
父親の方は、名前をソルといい、青い髪に金色の瞳をした中々のイケメンさんだ。母親の方は、名前をクラリスといい、黒くて綺麗な髪に茶色の瞳のかなり美人な人だ。
おれは自分の外見が気になったが、この部屋には鏡が無いし、まだ歩き回る事が出来ないので、今のところは想像するしかない。美男美女との間に産まれたのだからそこまで悪くはないと信じたい。
おれの名前については、父さんと母さんがおれに話し掛けてくる時に、「コル」という言葉をよく聞くから、多分コルで合ってると思う。
この国の言葉については、父さんと母さんがしょっちゅう話しかけてくるので、なんとなくだが少しずつ意味が解る様になってきた。
おれが転生してから二年が経った。
おれは自分一人で歩けるようになり、この世界の言葉もある程度話せるようになった。また、父さんや母さんに色々と質問して判明した事だが、おれ達が住んでいる街はフェジテといって、北セルフォード大陸の北西端にあるアルザーノ帝国という国の南部にある結構大きな街らしい。
また、この世界に転生する前から気になっていた事だが、やはりこの世界にも魔法が存在した。
正確に言えば魔法ではなく魔術らしいが、おれにとってはどちらも同じ様なものだ。
そして、このフェジテには、アルザーノ帝国魔術学院という、魔術について学ぶ所もあるという。さすが異世界。
ちなみに、家の中を探検している時に、鏡を発見したので自分の外見を確認したところ、黒髪に金色の目で、顔はブサイクではないが「やだ、かっこいい……」という程かっこよくはなかった。あと、家名が気になって母さんに聞いたところ、「ファルリル」だった。……とあるゲームに出てくる嫌いな敵キャラと一文字しか違わなくて地味にショックだった。
そして、おれが十才になった時、大事件が起こった。
その日、おれは母さんに言われて自分の机の引き出しの中を整理していた。
「………ん?」
引き出しをいったん机から外した時、おれは引き出しの中に見覚えのない箱を見つけた。
(あれ、こんな箱持ってたっけ?)
そう思いながら、おれは何気なく箱を開け、その箱の中から目を離すことが出来なくなった。
「な……!こ、これは……!!」
箱の中には、転生して以来ずっと探し続けていた3DSが入っていた。
この大事件の後、部屋で小踊りしているところを母さんに見つかってしまい、とても恥ずかしかった。
そしてこの日から、おれのゲーム三昧な日々が始まったのだった。なお、この世界からしてみれば、ゲームはイレギュラーな存在だと思うので、この3DSとカセットの事は、両親にはなるべく内緒にすることにした。
ちなみに、おれが選んだ十個のカセットについては3DSにもとから入っていた何も書いてない黒いカセットの中にデータとしてダウンロードされていた。いちいちカセットを入れ替える必要が無くなったので、手間が省けて嬉しかった。
そして数日後、おれは父さんと母さんから大事な話があるから居間においでと言われ、居間に向かった。
「お、来たね」
おれの父さん、ソルは、おっとりとした物腰と優しい喋り方が特徴の全体的にのんびりした人だ。しかし、仕事がかなり出来るようで、この国の財務省に勤めるエリートである。人は見た目によらないとはこの事だな。
「父さん、母さん。大事な話って何?」
「ああ、それは…」
父さんが何かを言おうとした時、お茶をコップに注いできてくれた母さんが、
「まあまあ二人共、立ち話もなんですから、座って話しませんか?」
と言ってきた。
おれの母さん、クラリスは、基本しっかり者だが、天然なところがあり、たまに素でとんでもない事をやらかすかわいい人だ。仕事で敬語に慣れきってしまい、敬語で話さないと落ち着かないらしいので、おれや父さんにも敬語を使っている。ちなみに母さんも財務省に勤めている。キャリアウーマンだ。
母さんの言葉を聞いた父さんは、「そうだね」と頷いてから、居間にある椅子に座った。
おれと母さんが椅子に座ったのを確認した父さんは、めったに見せない真剣な顔をして言った。
「コル、魔術を習ってみたいとは思わないかい?」
「魔術を?」
もしかして、3DSの事がバレたんじゃ……と思っていたので、この言葉は予想外だった。
「そう、魔術だよ」
「興味はあるけど……でもどうして急にそんな事を?」
おれがそう尋ねると、今度は母さんが言った。
「この間私と一緒に買い物に行ってアルザーノ帝国魔術学院の前を通った時に、学院のほうを見ていたでしょう?もしかしたら、あなたも学院で魔術を学びたいのかなって思って、お父さんと相談したんです」
「そっか……」
相槌を打ち、考え込むおれに、母さんが少し慌てたように言った。
「あ、無理に行く必要はないんですよ!コルがもし学院で魔術を習いたいと思うなら、私達はコルの意見に賛成しますし、応援しますって事を伝えたかったんです」
魔術学院には前から興味があったし、おれも魔術を使ってみたいとは前から思っていた。それに、父さんも母さんも俺の事をこんなに考えてくれていたんだ。断わる理由なんて無い。
「……うん、ありがとう二人共。おれ、アルザーノ帝国魔術学院に行きたい。行って、魔術の勉強がしたい」
おれがそう言うと、父さんと母さんは優しく微笑んだ。
こうして、おれはアルザーノ帝国魔術学院へ行くことにが決まった。
そして、十五才になった今。
おれは無事にアルザーノ帝国魔術学院に入学した。
次回からはロクアカのキャラクター達とも関わる予定です。