車椅子の少女と番剣 作:太陽が嫌い
「無事か、キンジ、不知火」
「ああ、無事だとも。可愛いお姫様たちにも傷一つないしね。ルツの方も無事でよかったよ」
「キンジ、話し方が変わってないか?」
「いやいや、これも俺さ・・・」
「・・・人質は、解放された。取り合いず一件落着か」
「そうだね、いったん武偵高に戻ろうか」
★★★★
「って感じです」
今、俺たちは蘭豹に報告している。一応、傷の手当だけしてきた。キンジは、軽症、不知火は腕一本、俺は・・・包帯を巻いているといえば察しが付くだろうか。
あの後、やはり、大変だったらしい。人質は、無傷だったものの結構な被害をキンジたちは受けた。
「おうおう、しっかし、Sランクともあろうものがこれだけ手傷を受けて帰ってくるとわな」
「それは、面目次第もありません」
「まあ、お前ほどの男でこれだけも傷を負ったんや、他の奴やったら負けててたやろうしええわ」
「そうだよ、武藤君なんかほとんど仕事してなかったしね」
不知火が、凄い笑顔で言ってくる。
「不知火ひどくね」
「アハハハハ、冗談さ」
「くそう、キンジなんか言え」
「武藤は、確かに何もやってなかったな」
「ちくしょおおおおお」
「武藤は、俺らを運んでくれた。それだけでも助かったぞ」
「ルツ・・・」
「まあ、仕事してなかったけどな」
「・・・神は死んだのか」
「報告書は、明日までな」
「仕事を、してなかった順にしようか」
不知火、お前武藤に恨みでもあるのか・・・もちろんこの後全員書きました。
あの事件から、2ヶ月・・・色々なことがあった。キンジが女たらしであると知ったり、武藤の報われない恋だったり、不知火のモテっぷりだったり、キンジの女たらしぶりだったり・・・色々出来て、中々楽しかった。
留学最終日・・・・強襲科体育館、
蘭豹が、Sランクの実力を示してこいとか言って、強襲科の1年の相手をしている。
「ウオオオオ」
突っ込んでくる生徒を躱して、足を引っかける。バランスを崩した生徒に、蹴りを入れる。
背後から近付いて来る生徒の攻撃を片手でいなす。
力任せに放った一撃を払われた生徒は、体勢を崩してよろめきかけた。間髪入れずに、追撃を仕掛け、鳩尾に一発、膝に一発きついのをお見舞いする。
あの日から、人の動きがいつもより鮮明にとらえられるようになった。
そのためか10分で、1年生全員を捌いた。息はほとんど上がっていなかった。
「惜しいな・・・アークライト。おどれ、日本に残らんのか?」
「はい、すいません・・・残るつもりはないです」
「そうか、まーしゃあないな」
「また縁があれば来ますよ」
部屋に、荷物を取りに戻ると、キンジたちがいた。
「よう、ルツ」
「フライトまで、時間あるだろ」
「最後に、パーっと飲もうぜ」
武藤が、ジュース片手に、ウインクする・・・
「お前ら、このために今日いなかったのか」
「おうよ、次はいつ会えるかわかんねーしな」
「僕は、また、すぐに会いそうな気がするよ」
こんな会話は、きっと日本に来なかったら出来なかっただろうな・・・・
「キンジ、武藤、不知火、サンキューな」
★★★★
ふー。さてさて、帰ってきました。イギリスに
「ただいま」
「おかえりなさいませ」
サシェとエンドラが挨拶してきた。
「メヌエットは?」
「・・・部屋におられますよ」
様子が変だ。歯切れがよくないな
部屋の前まで来て、ノックをした。しかし返事がない・・・
「入るよ、メヌエット」
扉を開けた瞬間、
パゥッ!!!
「ぐッッッ」
膝に、激痛が走る。余りの痛みに、膝をついてしまう。
空気銃か・・・何でこんなものが・・・立ち上がろうとした瞬間、手を、メヌエットに握られていた。暗くて、顔はよく見えない。メヌエットの、わずかな動きで手首を曲げていく。
「くッ・・・」
余りの痛みに、また地面に膝をついてしまう。これは、バリツか・・・
その状態のまま、メヌエットが馬乗りの状態で乗ってくる。
「動けば、骨をへし折ってしまいますから」
声色が、本気だった。
「こちらを向きなさい、ルツ。」
いつもの、自信に満ちた声ではなかった。弱弱しい声だった。
「ああ、ルツ、ルツ、ルツ。私、失敗でした。やはり、あなたを留学に行かせるべきではありませんでした。あなたを放すべきじゃなかった。あなたは、私のもの。一生私のそばにいるべきなのです」
今までは、暗闇で見えなかったが、至近距離になりはっきりと見える。
あの日と同じ・・・今にも、壊れてしまいそうな目をしていた。ああ、また俺は、メヌエットにこんな顔をさせてしまったのか。なんだか死にたくなってきそうだった。結局、まだメヌエットはあの時の記憶が忘れられないのだ・・・苦しい時に、誰かが、いてあげるべきだったのだろう。大丈夫などと思った俺を殴りたい・・・
「・・・メヌ」
「本当は、分かっているのです。あなたに頼りすぎていると」
拘束が、解けた。俺は、メヌエットを抱きしめる。
「ああ、俺はいいよ。頼ってくれたって、メヌエットが笑ってくれるならそれで。これからは、また一緒だから」
しばらく、メヌエットを抱きしめていた後・・メヌエットの寝息が聞こえた。
お姫様抱っこで、ベットに寝かせて布団をかけてやる・・・色々調べたいことがあったが、今は、メヌエットの隣にいることにした。
次からは、またイギリス編。