車椅子の少女と番剣 作:太陽が嫌い
大分、警戒されているみたいだな。ジャックは・・・かなりの人数が動員されているようだ。
「なあ、霧が濃くなってきてないか?」
「そうね、確かに不自然だわね」
「うああああああ」
「な、な、なにを・・・・ぐあああ」
何事かと、振り向くと辺りの武偵が、武偵を襲っていた。
「アリア!!!」
「ええ」
急いで介入して、止めに入る。
「あんたたちどうしたの!!!」
アリアの悲鳴が聞こえる。
「こいつら・・・」
完璧に意識がない・・・操作されているにしてもこれは・・・超能力か
「アリア、こいつらは多分操られてる。原因は多分この霧かな」
「超能力にしたって、広すぎるわ」
確かに、この霧が全部超能力だとしたら笑えない。しかし、超能力なら、止めようがある。そして、犯人が言っていた、『切り裂きジャックは、感染する』・・・
なるほど、確かに感染しているな。質の悪い話だ。
「アリア、勘でいい。犯人は、どこにいると思う?」
「・・・そうね。恐らく、この惨状を、一番よく見れる場所」
「一番高い場所・・・ここら辺の一番高い場所は、ビックベンだな」
「ええ、いるわ。そこに多分」
「でも、あそこには登れないぞ」
「・・・そうね、でもいるはずよ」
・・・こういう、自信満々なところは姉妹でおんなじなのか・・・これは、しばらくはパートナーは出来そうもないな。
「よし行くか」
暴れていたやつらを昏倒させる。アリアは、うれしそうな顔を浮かべた・・・この頃自分の感を信じてもらえなかったのかもしれない
走って向かっている途中で、何回か互いを襲っている武偵たちを止めに入ったが、酷いものだ。
「地獄絵図・・・・・・」
「ええ、まったくね」
「俺たち以外は、みんな影響を受けているのか」
「そもそも、何で俺らだけ動けるんだろうな」
「恐らくは、個人差があるんでしょう。襲われている武偵は、全員が正気を失っていなかった」
「なるほどな、つまり短期戦にしないとまずいわけか」
ならば、リミッターは2段降ろしておくべきだな。
「着いたわね」
「ああ、ここにいなかったら詰みだな」
「いるわ、あたしの感がそう言ってる」
「アリア、行く前に作戦を伝える」
「ええ分かったわ」
「・・・ほんとにやるの?賭けよその策」
「・・・行こう」
時計台を見上げた・・・い、いる・・・時計塔の上に人影が見えた。
そして、霧が晴れていき・・・姿があらわになる。金髪、赤目の男だ。次の瞬間、男は消えた。
「ッッッッ・・・」
勘に従って、右に飛ぶ。
ナイフが飛んできた。そして、俺のいた場所に突き刺さっていた。やばいな、霧のおかげで全然見えない。精々、1m前しか見えない。
「アリア!!!」
「ええ、大丈夫躱したわ」
「ルツ・アークライト。会いたかったぞ」
「何者だ!!!」
「そうだな・・・亡霊だよ。過去のね・・・切り裂きジャックは伝染したかい」
「お生憎としてないぞ」
挑発気味に、言う。
「お前、何で俺の名前を知っているんだ?」
「ハハハハハハハ、ルツ・アークライト。やはり僕のことは、覚えてないのか」
「知り合いに、お前みたいな、殺人鬼はいない」
「・・・今の君には、分からないのかもな」
「ごちゃごちゃ、行ってないでこの霧を解きなさい」
「神崎・H・アリア、ホームズの弾丸娘が僕を、逮捕出来たらな」
顔は、見えないが、不敵な笑みを浮かべているだろうと思った。
「上等だわ」
アリアが、二丁拳銃をしまい刀に切り替えた。確かに、銃はこの霧の中で乱射したら同士討ちになりそうだ。
「・・・君たちは、どの臓器を取り出されるのが好きだい?」
瞬間、腕に激痛が走る。
ヤバイ見えなかった。最近は、犯人が格上の場合が多い気がする。
「くッッッ」
「ルツ!!!」
隣から、アリアの悲鳴が聞こえる。全く見えなかった。霧のせいじゃない・・・本人の能力か・・・
「問題ない」
そう言って刀を構えなおす。が、ピュン――――ドスドス。ナイフが、足と肩に刺さっていた。そう、防弾制服の上から・・・刺さっていたのだ。
「クソ・・・・」
反射的に、距離を取る。が、愚策だ。
「良いのか、仲間と距離を取って」
「しまった」
霧のせいで、アリアのことを視認できなくなっていた。
「ハハハハハハハ、さあ、余裕がなくなってきたな。ここらで、チェックか?」
「そうでもない・・・お前は、俺にナイフを五か所に差した。最初は、投げたのかと思っていた、相当の切れ味の特殊ナイフなら制服にも刺さる。だが、それにしたってナイフが刺さるまで、視認できないなんてありえない。てことは、お前の霧には視界を制御する能力があると推察できる」
「・・・なるほど、いい洞察だ。この、緊迫した状況で冷静でいられることは良いことだ」
口調が変わってきている。
「だが、不正解だ。それではまだまだ、足りん。僕が支配するのは、視界だけではない。聴覚も、支配できる。」
「ああ、知っていたさ。視界だけしか制御できないなら、武偵たちがあんな状態にはならないから。そんなこと、そしてその霧の能力は、お前の力では使えないということもな」
「何だと、」
「あんたは、この霧の発生に女の臓器が必要なんだ。そしてその臓器を触媒に自分のGを高めている。違うか?」
「・・・」
「沈黙は肯定と取るぞ」
ハッタリだったが、当たりだったようだ。今までの、犯行はこの仕掛けの前準備
昔、面倒くさいながらもカッツェのご高説を聞いておいて正解だった。超能力のGを上げる方法がないか聞いた時に、『本人の日々の鍛錬か、少ないが触媒を使ってGを上げることができる能力者もいたな』
と話していたのを10分前に思い出した。
「そして、その触媒は破壊されると効果を失う。そうすれば、この霧も効果を失う」
「貴様まさか!!!」
焦ったように、切り裂きジャックは、叫びだす。
「そのまさかだ。アリアと離れたのは偶然じゃない。アリアには、ここに来る前に触媒の破壊を任せた。」
触媒なんて、大事なもの普通の場所には置かない・・・とすれば、場所は時計塔の中。
銃声が響いた。男は、苦しみだす。
「ぐああああああ、この、く、やってくれたな、クソガキ」
「さっきから、二人称が違うのは能力の影響か?」
「・・・」
やはり、自分の能力の限界を超えて力を行使すると負担がかかるらしい。霧が晴れてくると同じくジャックは沈黙した。一応警戒は解かないで近づく・・・そして高らかに宣言する「チェックメイトだ」
「・・・いや、まだ終わらない」
「何?」
ジャックが、ナイフで横から切り付けてきた。反射的に躱せたが、ジャックは、追撃に手に持っていたナイフを振り下ろす。間に合わない・・・・
ザシュ――――
鮮血が舞った。くそ、最後の最後で油断した。やばい意識が・・・
「ルツ!!!」
アリアの声が聞こえた。