【魔王の城最上階】
濃く禍々しい雰囲気の中、無数のモンスター達の死体が転がっている。その中に二つの影。静寂を解くかのようにその一つの影が口を開いた。
「よくここまで来たな。……ん?他の者はどうした?まさかここまで一人で来たというわけでもなかろう。」
この魔王の城のボスである魔王が余裕な表情でもう一つの影に問いた。
「……仲間なんて最初からいねぇよ、事情があって俺はここまでソロで来た。ハァ……ハァ……」
この男ボロボロの姿で今にも倒れそうな状態である。
「ここまで一人で来たことは褒めてやろう。だが勇者様(笑)がそんな姿でこの魔王を倒すことは出来るかな?今なら見逃してやらんこともないぞ」
勇者はこの言葉を聞いてニヤリと笑った。
「俺にはなぁ、とっておきがあるんだよ。お前を倒すためなら自分を犠牲にすることだってできる!最高ブーストでいくぜぇぇぇ!!!全ステータス二倍上昇、『エンペラータイム』発動。」
「なっ……!!」
二倍になった勇者のステータスは魔王の手に負えないレベルのものとなり攻撃はもちろんスピードを二倍になっているため魔王は動くことすらできない。勇者は切り刻んで切り刻んで切り刻み続けた。魔王は呆気なく勇者に敗れ跡形もなく消滅した。
「終わった……。終わったんだ。……ハハッ……ハハハハハハ……」
『エンペラータイム』を使い切った勇者は魔王を倒した余韻に浸っていた。デメリットによって身動きがとれない。倒れたまま悲しげな表情を浮かべていた。これまでのことを思い返しながら……。
この魔王の城は魔王が倒されたためもうすぐ崩壊する。勇者は覚悟していた。『エンペラータイム』を使った時点で魔王を倒せても倒せなくても自分の死は確定していたのだ。自分は魔王を倒すためだけに生まれてきた、生まれてきた理由にそれ以上もそれ以下もない。そう自分に言い聞かせてきた……。本当は誰よりも死にたくないのに。
「死にたく……死にたくねぇよ……」
ゴゴ……ゴゴゴゴオオオオオオオオ……
城の崩壊が近づく。
あぁ、俺死ぬんだな……。誰にも看取られないまま、一人で死ぬのか。こんな人生に意味はあったのだろうか。来世はもっと平和に暮らしてみたいものだな。
崩壊寸前、勇者は目を閉じた。そしてそのまま眠るように意識を失った。
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「起きて下さい!パチンっ!パチンっ!」
ん?何か人の声がする?天使か?天使なのか?
にしてもほっぺのあたりが…………
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い、イテェんつってんだろぉ!!」
痛覚がある?ってことは俺は生きているのか?そうか、俺は生きているのか。嬉しさのあまり俺はニヤつきながらつっこんでしまった。
「何ニヤニヤしながら叫んでるんですか気持ち悪い。」
すっげぇ美女が俺のこと蔑んだ目で見てる。その手の趣味はないがこれはこれでなかなかいいものだな。少し目覚めそうだ。
それはさておき、ここはどこだろうか。真っ白な空間。そしてこの美女、黒髪ロングで清楚で端正な顔立ち、鋭い目つき、ドSお姉さんキャラと言われれば想像しやすいだろう。頭の上には神々しい輪っかが……輪っか?
「私は神です。貴方は死んだのです、ここでも痛覚は感じますよ。受け入れなさい、愚民」
「……」
俺は言葉を失った。やはり死んだのか。現実を受け止めるしかなかった。
「そうか……、神さんよ、俺は天国に行くのか?地獄に行くのか?」
「いいえ、貴方にはもう一度元の世界に転生してもらいます。本来はこのようなことはないのですが事態が緊急なもので勇者としてまた魔王と戦ってもらいます。」
「いやいやいや、もう一度魔王を倒さないといけないって、俺倒したじゃん!魔王を!跡形もなく消滅させたし!なんでまだ魔王生きてるんだよ!」
魔王が生きているのか?そんなの信じられねぇよ、それが本当ならこれまでの人生は本当に無駄なことにっ……
「貴方は正真正銘あの忌まわしき魔王を倒しましたよ。今回倒すべき魔王は二代目魔王。正確に言うなら第1145141919810代目魔王ですが。」
「第1145141919810代目?どうゆうことだ?」
「その話はまた今度話しましょう。とにかく緊急を要することで時間もありません。今すぐに転生してもらいます、能力は前回の先代勇者の加護ともう一つ能力を与えます。」
神が話を終えたと同時に俺の目の前が空間が歪む。
説明不十分にも程があるだろ。くそったれな勇者としての人生をまた歩むのか……、否、もう一度やり直せる人生、ハッピーエンド目指して頑張るしかないだろ。前回みたいなことはもうこりごりだ……
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ごぼ……ごぼぼぼぼぼぼぼぼほ
「ブチッッッ!!!!ブゥハァッッ!!!!」
思いっきり紐を引きちぎった。俺が目を覚ましたその先はなんと川であった。両手両足縛られていた状態で川の中にいたのだ。そして水面に写った自分の姿を見る。そこには若干14歳ほどの少年がいた。
「川の中で両手両足縛られていて、近くの物陰に隠れている同い年のガキどもか。」
なぁるほどねぇ。彼はこの状況が全て理解できたような、そんな表情を浮かべた。
おはよう、こんにちは、こんばんは、ゴリレガルメンテです。
今回初めて小説を描いたのですがどうでしたか?まだまだ至らないところがあると思うのでもし何かあれば気軽にコメントください笑。また、主人公の名前は第二話で出したいと思います!え?あらすじで名前バレてるよって?いいですか?あなたは何も見ていない。見ていないんです。