□アルター王国冒険者ギルド 【司令官】ハインツ
俺が《Infinite Dendrogram》を始めてから、こっちの時間で3ヶ月、リアルでは1か月ほど経った。
あれから、世界中で<Infinite Dendrogram>ブームが巻き起こった。世界中が待ち望んだ夢のゲーム機が完成したのだ、当然だろう。
そして、あれから俺は【騎士】と【指揮官】の二つの下級職をカンストさせ、【司令官】という上級職を後10レベルでカンストというところまで上げていた。
《部隊指揮》のレベルも上限の10まで上げ、レメゲトンも第三形態まで上げている。
第三形態となったレメゲトンの性能は、こうなっている。
召喚魔本 レメゲトン
TYPE:アームズ
到達形態:Ⅲ
装備攻撃力:0
装備防御力:0
ステータス補正
HP補正:E
MP補正:B
SP補正:G
STR補正:D
END補正:D
DEX補正:E
AGI補正:E
LUC補正:F
『保有スキル』
《召喚》:
MPを5消費し人間範疇生物を1人召喚する。
《召喚:○○》と唱えることで自身のついたことのある、または自身のつくことができる下級職の人間範疇生物を召喚可能。
1人につきパーティー枠を1消費し、パーティー枠が埋まっている場合は召喚することができない。
30分間召喚でき、召喚時のレベルは基本的には1だが、召喚者と同じジョブの人間範疇生物を召喚した場合、召喚者と同じレベルになる。また、ジョブごとに経験値を共有でき、次回召喚時にレベルを引き継ぐことが出来る。
アクティブスキル
《召喚枠拡張》Lv3:
自身のパーティー枠拡張スキルの効果をレベル分倍にする。
Lv3では3倍にする。
パッシブスキル
まず、ステータス補正だが、MPが飛びぬけて高い。これは、《召喚》を多用して物量で押すという戦闘スタイルゆえに《召喚》のためのMPを確保する必要があったからだろう。
次に、《召喚》だが、説明文にも書いてあるがジョブごとに経験値を共有できるようになった。これは、召喚している間に経験値が貯まりレベルが上がった場合、次に召喚するときにレベルが上がった状態で召喚することができる。さらに、同じジョブを複数召喚している場合召喚されていても経験値を共有しているようで、人数分の経験値が入るためにレベルがすぐに上がった。
最後に、《召喚枠拡張》だが、説明文に書いてある通りパーティー枠拡張スキルの効果を上昇させるスキルだ。今俺の持っているパーティー枠拡張スキルは《部隊指揮》だけで、普通10レベルでは20人分拡張なのだが、《召喚枠拡張》Lv3の効果によって、60人分拡張になっている。これは、俺の戦闘スタイル的にかなり重要なスキルで、レベルを上げることで倍率も上がるようなので是非とも早目に上がってほしい。
俺は今、冒険者ギルドに来ている。目的は、賞金首のリストだ。
【司令官】の次のジョブとして、黄河帝国と天地でしか転職することができない【兵法家】に就こうと思い、カンストさせてから移動していたら道中の経験値が勿体無いので今のうちから移動を開始しようとしていた。
賞金首のリストは、道中警戒すべき敵の情報を仕入れるために確認しに来ていた。
「【群狼 ウルフェン】か…」
【群狼 ウルフェン】、現在唯一賞金首のリストに乗っているモンスターであり、<
<UBM>というのは、
ボスモンスターでも、通常は同種が複数対存在する。だが、<UBM>は違い、後にも先にも同種は存在しない。
さらに、<UBM>は全て特殊な固有能力や高い戦闘能力を有している。
そのかわり、討伐できた際にはもっとも活躍した者がMVPに選ばれ、特典武具が与えられる。
特典武具は、本人にアジャストしたアイテムが送られ、原則として討伐した<UBM>の保有スキルを劣化させた装備スキルと高い装備補正を持つ場合が多く、譲渡・売却は不可能で盗まれることもない。そんな代物が手に入るのだ、もちろん<マスター>同士で争奪戦が起こったが、ウルフェンは未だに健在だ。
我先にと飛び出した<マスター>を、全て返り討ちにする。<UBM>というのはそれほどまでに強力な存在なのだ。
「できれば遭遇したくないな」
もちろん俺も討伐できるのならしたい。だが、今のレベルではほかの<マスター>達と同じように返り討ちにされてしまうだろう。もちろん、こちらに有利な地形で戦えば勝てる可能性はあるが、可能性は低いだろう。
なぜなら、【群狼 ウルフェン】の戦闘スタイルは群れを率いて戦うものであり、俺の戦闘スタイルと同じタイプの物なのだ。
戦闘スタイルが同じならば、勝つのは当然戦闘能力の優れている方である。そして、<UBM>であるウルフェンは当然戦闘能力が高い。となれば軍配は俺ではなくウルフェンに上がる。
「まぁ、こればかりは祈るしかないか」
ウルフェンの居場所が分かるなら避けていくこともできるが、当然居場所なんて分かるわけもない。
賞金首のリストの確認と言う目的を果たした以上、このままここに居る理由もない。
俺は、黄河王国に向けて出発した。
◇
王都アルテラを出立した俺は、王都アルテラの東に広がる平原を歩いていた。
《騎乗》スキルを持っているので従魔に乗って移動することも考えたが、そうすると《召喚》で呼び出した味方がついてこれないのでやめた。モンスターと遭遇してから《召喚》を使っていたら遅いからだ。
時々遭遇するモンスターを味方に倒させながら進んでいき、もうすぐカルディナとの国境というところで、それに遭遇した。
「ん?あれはリトルゴブリン…じゃないな。ゴブリンウォーリアーとゴブリンアーチャーの…群れか?」
前方に、ゴブリンの集団を発見したのだ。
ゴブリンが集団でいることは不思議ではない。こいつらは大体集団で行動しているからだ。
そして、武装していることも何らおかしくはない。多くはないが、【ゴブリンウォーリアー】や【ゴブリンアーチャー】等の武装をしたゴブリンに遭遇したこともあったからだ。
しかし、その集団には違和感があった。
「しかし群れにしては数が少ない…それに、妙に統率がとれている」
そう、群れにしては数が少なすぎるのだ。
確認できたのは【ゴブリンウォーリアー】が6体、【ゴブリンアーチャー】が4体の、合計10体。群れにしては少なすぎる。
さらに、ウォーリアーがアーチャーを守るように前に立ち、その陣形のままこちらに近づいてくるのだ。
通常のゴブリンの群れであれば、こちらを視認した瞬間に我先にとこちらに攻撃をしてくるのだ。だが、奴らは隊列を組み、そのままこちらに近づいてきている。
「まぁ、たいした驚異ではないか。お前たち、攻撃しろ」
俺が指示を出すと、呼び出されていた味方が一斉に攻撃を始める。
30秒ほどで戦闘は終了した。
「特別強いというわけでもないか…ならあの動きは一体…」
あまりの呆気なさに、あの統率のとれた動きは一体なんだったのかと考えていると、再びゴブリンの集団がこちらに近づいてきた。
「こいつらも妙に統率のとれた動きをしている…それに数までさっきと同じだ」
一体こいつらは何なのかと考えていると、背後から地を蹴る音が聞こえてきた。
「っ!お前たち、迎撃しろ!!」
俺の指示に反応して、味方が背後から接近してきていた敵を迎撃する。
「なんだ?ティールウルフ…?」
俺たちに背後から接近していた敵は、【ティールウルフ】という狼型のモンスターだった。