数の力で押しつぶす   作:Edain

5 / 5
今回は本編がいつもの半分程度になっています。
その代わりに後書きにて【ウルフェン】について説明が入っています。

最近、ランキングで小説を漁っていたら、日間(加点式・透明)とルーキー日間の方に本作が載っていました。これも読者の皆様のおかげです。本当にありがとうございます。


第四話 再出立

□【司令官】ハインツ

 

「ふぅ…なんとか勝てたか…」

 

 どっと疲労を感じ、その場に座り込む。

 落ち着いて考えてみると、<UBM>である【ウルフェン】に勝つことができたのは、奇跡としか言いようがなかった。

 

「とりあえず、戦利品の確認をするか」

 

 【ウルフェン】を倒した時に手に入った特典武具を取り出す。

 見た目は灰色の軍帽で、正面には狼の横顔のエンブレムが付いている。

 

「見た目は悪くないな。俺好みだ」

 

 そのまま、装備する前に性能の確認もしておく。

 

 【軍狼帽 ウルフェン】

 <伝説級武具(レジェンダリーアームズ)

 軍団を率いし狼の概念を具現化した伝説の武具。

 味方の無念を払う力を持つと共に、装着者に統率の心得を刻み込む。

 

 ※譲渡・売却不可アイテム

 ※装備レベル制限なし

 

 ・装備補正

 防御力+100

 

 ・装備スキル

 《軍狼》

 《敵討》

 《復讐》

 《統率》

 

「装備補正は防御力しかないが、装備スキルが四つもあるのか」

 

 装備スキルの効果も、順番に確認していく。

 

《軍狼》:

 自身のステータスをパーティーメンバーの数×1%上昇させる。上限は200%。

 パッシブスキル

 

《敵討》:

 自身を含むパーティーメンバー全員のステータスを、5分間、その戦闘中にやられたパーティーメンバーの数×2%上昇させる。

 一度の戦闘で1度のみ発動可能。

 アクティブスキル

 

《復讐》:

 範囲内にいる敵にパーティーメンバーを倒した数×50の固定ダメージを与える。

 アクティブスキル

 

《統率》:

 自身の指揮が通りやすくなり、指揮に従っている間は統率のとれた動きをすることができるようになる。

 パッシブスキル

 

「なるほど…いきなり強くなったのはこの《敵討》の効果か」

 

 やられても再召喚でき、単体ではそう強くなくすぐにやられる俺の戦法でも《敵討》は活かせるだろう。

 《復讐》は、俺の場合は数で押すため対象がバラけてしまい相性が悪かったが、恐らくはこのスキルを使い敵を倒すのが本来のスタイルなのだろう。それならば始めから【ウルフェン】が出てこなかったのも頷ける。これも《敵討》と同じ理由で俺の戦法でも活かすことができそうだ。

 《軍狼》は、俺の戦法では正直微妙だ。今回のように少しでも数が多い方が良いという局面以外では俺は前に出ずに指揮をするのに集中するつもりだからだ。欲を言えば俺ではなく見方を強化するスキルが欲しかった。

 最後の《統率》だが、【ゴブリン】達の統率のとれた動きは十中八九このスキルのお陰だろう。【ゴブリン】が【ティールウルフ】と共に【ウルフェン】に従っていた理由は分からないままだが。

 

「しかし…特典武具というのはこうも強力なのか。他のマスター達が奪い合うのも納得できるな」

 

 <UBM>を倒した強者が特典武具を手に入れ強くなり、さらに上位の<UBM>を倒し、特典武具を手に入れる。というサイクルで強くなることを想定しているのだろう。

 しかし、このサイクルだと強者の中でもさらに一握りのものが飛び抜けて強くなり、それ以外のものとの差が広がる一方になってしまう気がするが、その差を埋めることのできる何かが有るのだろうか。

 

「まぁ、その一握りの強者になれば良いだけの話か。幸い、こうして他のマスターよりも早く特典武具を手に入れる事が出来たんだ」

 

 目指すは、強者の中でも一握りの強者。

 

「取り敢えず、一旦アルテラまで戻るか。賞金を受け取らないとな」

 

 特にアルテラでなければ受け取れないというわけではないが、このまま進めばカルディナに入ってしまうため、アルター王国の賞金首である【ウルフェン】の賞金を受けとることができなくなってしまう。せっかく討伐できたのだから、賞金は欲しい。

 それに、さっきの戦いでMPポーションを使いきってしまったのでそれも補充しておきたかった。

 

「少し休んだらまた召喚して出発だな」

 

 

「さて。今度こそ出発だ」

 

 賞金を受け取り、アイテムを補充して再び門を出る。

 討伐の証明は、【軍狼帽 ウルフェン】を見せることで簡単にできた。

 賞金を受け取る時、ギルドに居た<マスター>達に羨ましがられたが、簡単に【軍狼帽 ウルフェン】のスキルを説明したら、特典武具に対する妬みは無くなった。まぁ俺のような数で押すことができるエンブリオやジョブでもない限りこの能力は使えるものではないのでしょうがないが現金な奴らだ。

 そして、改めて俺はアルター王国を出立した。

 

「目指すは黄河帝国だ」

 

 出来れば、今度の道中は穏やかであってほしいと祈りながら。




【軍狼 ウルフェン】について
 元は【群狼 ウルフェン】という逸話級の<UBM>でしたが、襲い掛かってくるマスターを返り討ちにしているうちに伝説級になり【軍狼 ウルフェン】と名前が変わりました。

 伝説級になった際に名前が変わっただけでなくスキルも増えています。
 【群狼 ウルフェン】の持つスキルは

《群狼》:
 自身のステータスを群れの仲間の数×2%上昇させる。
 パッシブスキル

《統率》:
 自身の指示が通りやすくなる。
 パッシブスキル

の二つだけでした。
 【群狼 ウルフェン】の頃は、ステータスを重視した<UBM>だったので、群れの仲間と共に自身も前に出て敵を蹂躙していました。
 しかし、【軍狼 ウルフェン】へと進化した際に、群れを率いる長としての面が前面に出てしまい、スキル重視へと変わってしまい、ステータスは全く変化がありませんでした。
 そして、【軍狼 ウルフェン】の持つスキルは

《群狼》:
 自身のステータスを配下の数×2%上昇させる。
 パッシブスキル

《敵討》:
 自身と配下全員のステータスを、5分間、その戦闘中にやられた配下の数×2%上昇させる。
 一度の戦闘で1度のみ発動可能。
 アクティブスキル

《復讐》:
 範囲内にいる敵に配下を倒した数×100の固定ダメージを与える。
 アクティブスキル

《統率》:
 自身の指揮が通りやすくなり、指揮に従っている間は統率のとれた動きをすることができるようになる。
 パッシブスキル

《軍狼》:
 群れの仲間だけでなく、下した他種族を配下にすることができる。
 パッシブスキル

の五つです。
 【ゴブリン】を配下にしていたのは《軍狼》の効果で、その【ゴブリン】達が統率のとれた動きをしていたのは《統率》の効果です。

 ハインツが【ウルフェン】に勝つことができたのは、様々な要因があります。
 一つ目が、【ウルフェン】がまだ伝説級に成長したばかりで、伝説級に上がってから最初に戦ったのがハインツだったことです。
 新しいスキルを手に入れたばかりの【ウルフェン】は、《軍狼》しか使用したことが無く、《敵討》と《復讐》をハインツとの戦いで試そうとしていました。なので、ハインツが付け入る隙が生まれてしまいました。
 二つ目が、《復讐》の効果がハインツと相性が悪かったことです。
 本編でも触れていますが、このスキルはハインツを相手にする場合相性が悪すぎます。ただでさえ数で押してきて対象がばらけるうえに、本人は攻撃をしてこないのでダメージを与えることができません。さらに、召喚された味方を倒しても再召喚されてしまいます。
 三つ目が、【ウルフェン】が《敵討》と《復讐》を試そうとするあまり配下の数が大きく減少するまで自身が出なかったことです。
 ハインツは敵に配下を倒させてから《敵討》と《復讐》のコンボで倒すのが【軍狼 ウルフェン】の戦闘スタイルだと思いましたが、【ウルフェン】はただ《敵討》と《復讐》を試そうとしていただけです。初めてだったのでどれくらい倒されればいいのか分からず、気が付いたら配下が殆どいなくなっている、と言うことになっていました。これがハインツ相手ではなかったら、《復讐》がかなり有効なのでハインツの考えたように【ウルフェン】の戦闘スタイルになっていました。
 また、配下の数が減少しすぎていたので《群狼》の効果がほとんどなくなっていたのも理由の一つです。
 以上の要因が無ければ、ハインツが勝つことはありませんでした。【ウルフェン】が配下の数が多いうちに出て来ていれば、【群狼】の効果による強化が十分に掛かった【ウルフェン】によって蹂躙されていましたし、自身の能力を把握することで着ていたらハインツが付け入るすきはありませんでした。

以上、長くなりましたが【軍狼 ウルフェン】の説明でした。
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