蒼炎の勇者がダンジョンにいるのは間違っているだろうか 作:クッペ
一番最初にやったのが金銀クリスタルだからサンムーンとかの視点だとやりにくくてしょうがない
現在ダンジョン5階層、先ほどの漆黒の騎士との戦闘を終えダンジョンから帰還している最中だ。
いまだ目を覚まさないアイズを横抱きにし、ダンジョンを上へ上へと進み続ける。
「ん?なあアイク、お前の剣何やら光っていないか?」
隣を歩いていたリヴェリアがアイクのラグネルの異変に気付いた。
「……これは……」
ラグネルが光り輝くこと、アイクはこのことに一つ心当たりがあった。
導きの塔でゼルギウス将軍と一騎打ちに見事勝利し、エタルドをゼルギウス将軍の傍らに立て、次の階層に進もうとした時だ。ラグネルとエタルドが両方光り輝き、共鳴し出した。
アイクの心当たりは、つまりエタルドが近くにあるということなのだが、一瞬でその考えを否定する。エタルドは現在ペグニオン帝国の国宝として飾られている筈だ。
それに今エタルドを振るえるのはワユのみだ。その考えが正しいとなると、この世界にエタルドを持ったワユがやって来たことになってしまう。
自分という前例があるが、その可能性は極めて低いと思いその考えを切り捨てた。
「……あまり気にするな。このまま壊れるということは無いだろう」
「……うん……あれ?ここは……?」
「目が覚めたか?」
「リヴェリア?あれ、私……アイク、下ろして」
「歩けるか?」
「大丈夫……少しふらつくけど歩けるから」
アイズを下ろし出口へと再び歩みを進める。
途中魔石が大量に落ちている場所があった。誰かが戦闘の後魔石を拾わずに帰ってしまったのだろうと思いその場所は無視し、ダンジョンから脱出した。
魔石が大量に転がっていた場所でベルが倒れており、ワユが生まれてきたモンスターを皆殺しにしていたのだが、現段階でアイクがそれを知るすべはない。
* * * * * * * * * *
ダンジョンに潜っていた後半組が黄昏の館に帰還したのは夜が明けてからだ。
にもかかわらず館の前では前半組のメンバーが後半組のメンバーが帰ってくるのを今か今かと待ちわびていた。
「お帰り!アイズ!」
「ただいま、ティオナ、ティオネ、レフィーヤ」
「お帰りなさい、アイズさん!」
「フィン、今帰った」
「お帰り、リヴェリア、アイク。アイズはどうだった?」
「ウダイオスを一人で討伐してしまったよ。何度も肝が冷えた」
「アイクの方は、何か報告はあるかい?」
「俺の方は特にない。俺は部屋で休ませてもらう」
「ああ、ちょっと待って。何で胸を庇いながら歩いているんだい?」
「……」
漆黒の騎士との戦いの際、胸に打ち込まれた石突きでの一撃。傍から見て分かるほど動きに変化はないのだが、フィンの目は誤魔化せなかったようだ。
「現在踏破されている階層に、あなたを傷つけられるほど強いモンスターはいない。リヴェリアとアイズが無事な所から、あなたはきちんと二人を守ってくれようだ。自分の身を犠牲にして」
「今回に関してはお前たちができることは何もない。俺一人で、全て片を付ける」
その一言にフィンはアイクから聞き出すことを諦めたようだ。
「リヴェリア、アイクは一体何と戦った?」
「リヴェリア、お前も分かっているだろう。あいつを相手取れるのは俺だけだ」
「アイク……だがあれだけの実力がある、お前一人で確実に勝てる保証はあるのか?」
「さてな。やってみなければ分からんだろう。だがそれでも、無駄に犠牲を出したくはない」
「リヴェリア、彼がひとりで確実に敵わない相手だとして、皆で挑めば勝てるとは思わないか?聡明な君ならばわかるだろう?」
「実力差の問題じゃない。それにあいつとの決着は――」
「漆黒の騎士」
リヴェリアはアイクの制止を振り切り、ダンジョンで戦った相手の名前を口にする。
「漆黒の騎士、アイクはそう言っていた」
* * * * * * * * * *
少し、漆黒の騎士についての話をしよう。
漆黒の騎士とアイクとの因縁は、暁の女神の話から三年前のクリミア開放戦争まで遡る。
漆黒の騎士はデイン王国、『狂王アシュナード』直属の配下『四駿』の一人だ。
エリンシアとアイクたちがガリア王国に入ったところで、アイクたちはデイン軍に襲われてしまう。そのデイン軍を率いていたのが漆黒の騎士だ。
そして漆黒の騎士はアイクの父親、グレイルに意味ありげな言葉を残しその場を去る。
アイクと父親のグレイルはその夜、親子水入らずで話をしながらガリアの森を散歩する。突然、グレイルはアイクに対し砦に帰る様言い残しグレイルはそのまま森を歩き続ける。
嫌な予感がしながらもアイクは途中まで砦に向かって歩き続ける。しかし嫌な予感は膨らむ一方だった。アイクは踵を返しグレイルが向かった方へと駆け出した。
森を駆け抜け、剣戟の音が聞こえた。アイクは走る速度を上げやがてグレイルと漆黒の騎士が戦闘をしている場面が目に入った。
漆黒の騎士がラグネルを、グレイルがウルヴァンを振り回し戦闘は苛烈さを増すばかり。漆黒の騎士はグレイルとの鍔迫り合いの後手にしていたラグネルをグレイルに向けて放る。
グレイルは一度それを手に取るが剣を取ることは無く、ウルヴァンを構える。漆黒の騎士は腰にさしていた白銀の剣、エタルドを抜き再び刃を交える。
その決闘の勝者は漆黒の騎士だ。グレイルはエタルドでその身を貫かれ倒れてしまう。激情にかられたアイクは敵わないと知りながら、その戦闘へ介入する。
グレイル傭兵団団長のグレイルを下した漆黒の騎士だ。当然当時のアイクが敵うはずもなく、良いようにあしらわれてしまう。その後ガリア王国国王、カイネギスがその線上に馳せ参じようと咆哮を上げたところで漆黒の騎士はその場を後にする。
アイクはグレイルを背負いながら砦に戻るが、道中グレイルは息絶えてしまう。
その後もう一度漆黒の騎士と戦う機会が訪れる。アイクの実力は申し分なかったものの、彼が使っている武器は漆黒の騎士の鎧に掛けられている女神の祝福を突破することができなかった。
三度目の決戦、アイクはラグネルを携え、漆黒の騎士と対峙する。激戦の末アイクは辛くも勝利を得る。
漆黒の騎士から父親の敵を取ることができたと思われていた。
そして物語は暁の女神の話へと移る。
アイクはラグズ連合に協力している最中、デイン軍と対峙することになる。暁の巫女ミカヤ、その傍らに寄り添っていたのが三年前に倒したはずの漆黒の騎士であった。
再び漆黒の騎士と対峙するアイク。その際先の戦争で女神の加護は失われたと聞かされる。
その場では決着はつかなかったが、彼らの因縁はまだ終わらない。
デイン軍とベグニオン連合の最終決戦の際、人々は女神アスタルテの手によって石へと変えられた。
三隊に分けられ出発する直前、ラグズの中でも最も仲の良いライから、漆黒の騎士の正体を知らされる。
そして導きの塔、アイクと漆黒の騎士は最後の一騎打ちを果たす。アイクは全力である漆黒の騎士を打倒し、アイクが見事勝利を迎え、アイクと漆黒の騎士の因縁は終わりを迎えたと思われていた。
* * * * * * * * * *
「アイズがウダイオスを倒し終えた後、奴は突然姿を現した。なぜだか分からんが、奴の鎧には再び女神の加護が付与されているらしい」
仕方が無く、アイクはダンジョンで起こったことをフィンに説明していた。周りにいたアイズたちも、それに聞き入っている。
「あいつが身につけている鎧にダメージを与えることができる武器は『神剣ラグネル』、もう一つはこの世界に存在しない剣『神剣エタルド』、この二本しかない。だから過去の因縁に決着をつけるためにも、あいつは俺一人で倒す」
幸い実力そのものはゼルギウス将軍の方が上だ。あの槍さえ攻略出来れば負ける気はしない。
そしてアイクが漆黒の騎士と再び会いまみえるまで、そう遠くはないであろうことは想像に難くない。
アスク王国総選挙第一位が神将アイク
まだ選挙期間は続いていますが、ここでアイクが潜り込んで来るとは思いませんでした
なお今日はワユに入れようとして他のユニット覗いていたら間違えて神将アイクにいれてしまったクッペです