蒼炎の勇者がダンジョンにいるのは間違っているだろうか 作:クッペ
あんなお菓子会社の陰謀に騙されてチョコ大量買いしてるやつ見ると笑えて来るね!(血涙
「なあリヴェリア、なんで俺の部屋で仕事をしているんだ?」
「今お前を一人にしたら確実に無茶をしでかすだろう?それこそダンジョンに潜りっぱなしとか、漆黒の騎士を倒すまで帰ってこないとかな」
「だからってなぜ俺の部屋にいる?」
「団長命令だ。お前の監視、及び看病だ。いい加減ポーションくらい飲んだらどうだ?」
「はあ……昨日やられたところは既に痛まない。看病も不要だ。それに俺は一人でダンジョンの奥深くまで潜る気はない。道が分からんからな」
「ならば私が部屋にいたとて問題はあるまい?」
「あのなあ……」
漆黒の騎士との戦いの翌日、部屋で安静、療養を言い渡されたアイク。全く動かないのは身体が訛るので剣を振るくらいはしようと思っていたが、朝早くリヴェリアが部屋に来たかと思えば自分の仕事を初めて今に至る。
「なあアイク、私たちはそんなに頼りにならないか?お前の傭兵団の仲間たちには劣るやもしれんが、これでもオラリオ随一の冒険者なんだぞ?」
神妙な面立ちでアイクに訊ねてくる。アイクとしては非常に答え辛い質問だ。
頼りになるかならないか以前に、彼らの実力をすべて把握しきれていない。それに今回に関しては自分でどうにかするしかないのだ。
「頼りにはしている。しかし、あいつとの戦闘は決して手を出すな。あいつの鎧に傷をつけられるのは俺だけだ」
「だが――」
「それに、俺はお前たちに傷ついて欲しくない。まだここに来て日が浅いがそれでも戦闘は一緒にこなしたんだ。仲間には傷ついて欲しくない、だから俺は俺にできることをするだけだ」
『護るべきものの為負けられない』、これはアイクの真情だ。父親を目の前で殺され息を引き取ったあの時、父親から受け継いだグレイル傭兵団、そして自分の手が届く範囲すべてを守る。そう誓った。
「……仲間に傷ついてもらいたくないのは、私も同じなんだがな……さて、私の仕事も一段落した。出掛けるぞ」
「は?どこに行くんだ」
「少し野暮用がある。付き合え」
* * * * * * * * * *
黄昏の館を出たアイクたちが向かった先はバベル。『ヘファイストス・ファミリア』の団長である椿の工房を訪ねていた。
「椿、邪魔するぞ」
ドアをノックし、反応が無かったため部屋へと上がり込むリヴェリアとアイク。椿は武器の作成に集中しておりこちらの来訪に気が付いた様子はない。
「椿、少しいいか?」
少し声を大きくし、椿を呼ぶリヴェリア。こちらに気が付いたようで作業をいったん中断しこちらへと向かってきた。
「おお、リヴェリアとアイクではないか。いつから来ていた?」
「たった今だ」
「それはそれは、気が付かなくてすまなかった。して、手前になんか用か?」
「以前アイクの剣の整備を頼んでいただろう?それを受け取りに来たが、出来ているか?」
「出来ているぞ。すまないが、武器としてダンジョンで使うのはなかなか厳しいだろう。出来るだけ切れ味は戻しておいたが、やはり経年劣化には勝てん」
「いや、大丈夫だ。その剣は武器というよりもお守りみたいなものだからな。で、代金は?」
「代金など要らん、ただ一つ頼みがあるんだが。それを聞いてくれるならばこれは無料にしてやろう」
「頼み?なんだ?」
「手前が作った武器の試し切りをしてほしい。別に今すぐというわけじゃない。こちらが来てほしい時には声をかけよう」
「分かった、引き受けよう」
「ありがたい、他に用件は?」
「いや、無い。ではな、今度の遠征、よろしく頼むぞ」
「分かっている。決まったら伝えてくれ」
アイクとリヴェリアは工房を後にし、外へ出た。
バベルの天辺から視線を感じるが、こちらから如何こう出来ることではないので気が付かないふりをする。
「用事はこれだけか?」
「いいや、この前の探索や遠征で心許無くなってきた備品の補充だ。荷物持ち頼んだぞ?」
遠征で消耗したのは回復薬系統。『ディアンケヒト・ファミリア』が経営している店へ向かい足りなくなった分とこれから使う分の回復薬系統をまとめて補充する。
無駄なトラブルを避けるためにアイクは外でリヴェリアが出てくるのを待つ。
その後ファミリアで使う雑貨などの補充のため、雑貨屋に入る。そこの雑貨屋でハーフエルフの女性がとある商品とにらめっこしていた。
「その商品、欲しいのか?」
「へ?あ!?リヴェリア様!?アイクさんも!す、すいません!失礼な態度を……」
「別に構わないさ、それでこの商品、『神酒』か……欲しいのか?」
「いえ……欲しいと言う訳では無くて……あの、リヴェリア様。『ソーマ・ファミリア』について、何かご存じありませんか?」
「『ソーマ・ファミリア』か……生憎だが、お前が知っている以上のことは知らない、が、それを知っている人物なら心当たりがあるぞ」
「え?どなたですか?」
「案内してやろう、わがファミリアのホームにな。アイク、この『神酒』買ってきてくれ」
「俺はお前の召使じゃないんだがな……」
ぶつくさ文句を言いながら商品を棚から取り、会計をするためにレジへと向かう。
「随分と疲れているようだが、どうかしたか?」
「……え?」
「普段よりも若干表情が暗い。俺に何かできるとは限らないが、ゆっくり休むことも大事な仕事だぞ」
「いえ、大丈夫です。私が新しく担当する冒険者への講習で疲れてるだけですから」
「そうか」
会計を済ませ店を出る三人。そのまま黄昏の館へと到着し、リヴェリアはエイナを応接室へと通す。
応接室で先ほど買ってきた酒瓶を開け、用意していたグラスへと注ぐ。
「それでリヴェリア様、『ソーマ・ファミリア』に心当たりがある方というのは?」
「少し待て、時機に来るだろう」
ドタドタドタと廊下を音を立てて走る音が聞こえてくる。その音はやがて部屋の前で止まり、応接室のドアがバン!と音を立てて開けられる。
「この匂い、『神酒』やな!」
リヴェリアがグラスへと注いだ『神酒』の匂いにつられてやって来たのは『ロキ・ファミリア』の主神、ロキだ。
「リヴェリア様、『ソーマ・ファミリア』について知っているお方というのは?」
「ああ、ロキだ」
「なあリヴェリアー、これ飲んでもええか?」
「ああ、構わん。ただ、彼女の質問に答えてやってほしい」
「あん?あんたは……ギルドの?」
「こんにちは、神ロキ」
「ふむ……で、聞きたいことってなんや?」
「『ソーマ・ファミリア』について」
「ええわ、あんたらに恩を作っておけるのも旨味やな。言っても、答えられるとは限らんよ?」
「分かりました、答えられる範囲でお願いします」
「分かったわ。んで、聞きたいことってなんや?」
「なぜ彼らは、『ソーマ・ファミリア』の眷属はあれほどまでにお金に拘っているのでしょうか?」
「その答えはこの酒や。とりあえず飲んでみい」
グラスをエイナへと手渡し、エイナは中に注がれている『神酒』を一口口に含む。
口に含んだ瞬間、エイナは『神酒』の味に打ち震え、固まった。
「リヴェリア、アイク、あんたらも飲むか?」
「いや、私は遠慮しておこう」
「一口飲んでみよう。それほどまでに美味いのか?」
「飲んでみたらわかるわ」
アイクは『神酒』を一口口に含む。エイナほどの反応はしなくても、表情に多少の変化はあった。
「確かに、普通の酒よりはうまいが、たくさん飲もうとは思えないな」
「そんなん言うやつあんた位のもんやで」
「はっ!今まで何を……?」
「お、気が付いたか。で、どうやった?」
「口に含んだ瞬間、何も考えられなくなるほどの美味しさでした」
「せやろ?でも、これは失敗作や」
「失敗作……ですか?これが?」
「本物の『神酒』は麻薬や。一度飲んだらその味を忘れられなくなる。依存性が強すぎるんや」
そこで一度区切り、
「ソーマはまず眷属に成功した『神酒』を飲ます。その『神酒』に酔いしれた眷属たちに金を集めたらまた飲ませてやると言う。一度でも本物を飲んだらもう失敗作は飲めんくなる。せやから、あそこの眷属たちは他の冒険者たちよりも必死に金を集める。もう一度、本物を飲ませてもらえるようにな」
コンコンと、ドアが控えめにノックされた。
「ロキ、居る?」
「ん?お!アイズたん!なんか用か?」
「お客さん?」
「ああ、アイズ、挨拶しろ」
「こんにちは」
「お邪魔しています、ヴァレンシュタイン氏」
「んでアイズたん?うちに何の用や?愛の巣でも育みたいんか?」
「ステータスの更新をお願いします。あと、変なことしたら切ります」
「もー、つれないなアイズたんは。ええで、ほな行こか」
アイズとロキはそのまま退出し、部屋にはエイナとリヴェリアとアイクが残された。
「すまないな、あんな調子で。知りたいことは知れたか?」
「ええ、ありがとうございます。リヴェリア様。最近『ヘスティア・ファミリア』が少しごたごたしていまして」
「『ヘスティア・ファミリア』というと、ベルのいるところか。何かあったのか?」
「あまり詳しくは話せないのですが、新しい眷属を迎えまして、その方の担当になりました」
「それだけならばそこまで問題ではないだろう」
「その新しい眷属というのが少々問題児でして……なんというか、言い方は悪いのですが”脳筋”というやつでして、新人冒険者の初期講義で少々疲れまして」
エイナは用意されていた水を飲むと同時、
「アイズたんLv.6来たああああああぁーーーー!!!」
口に含んでいた水を勢いよく噴き出した。
内容薄い上に無駄にグダグダと長いですね
なんかこういう特に進まないのってあんまり書く気がしないのって俺だけなのでしょうか?